JP3187599B2 - 医療用バッグ及びその製造方法 - Google Patents

医療用バッグ及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輸液バッグ、薬液バッ
グ、血液バッグ等の医療用バッグとその製造方法に関す
るもので、特に医療用バッグの構成材料が押し出し成形
時から最終製品に至るまで外気と全く接触することなく
無菌、無塵の条件で医療用バッグを製造する方法と本体
の少なくとも一箇所に輸液口を装着した特に透析用に好
適な医療用バッグを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、使用されている医療用バッグは、
バッグ本体が2枚の合成樹脂製シートから形成されてい
るものやチューブ状の合成樹脂から形成されているもの
がある。前者の場合は、前記2枚のシート間に、輸液口
等を介在させて該シートの周囲を溶着して袋状に形成し
ていた。他方、後者の場合は、前記チューブを所定の寸
法に切断して切断により形成された開口端部に輸液口等
を介在させて、該開口端部を溶着して袋状に形成してい
た。
【0003】
【従来技術の課題】しかしながらこれらの方法では、シ
ート又はチューブの端部を溶着して、袋状に形成する場
合、輸液口等をシート又はチューブの端部に介在させる
ためバッグ本体の内面が外気にさらされるので、その間
に細菌はもとより微小なゴミ、輸液口等の切りクズがバ
ッグ本体内面に付着することがあり、衛生的に好ましく
ない。また、医療用バッグとして形成した後に、薬液等
を充填しているため、製造工程が多くなり、また薬液充
填の際に薬液又はバッグ内部が汚染される危険性があっ
た。またシート又はチューブ端部の広い面積を溶着する
ため多大な電力を消費し必ずしも経済的ではなかった。
そこで本発明者は、以上の課題を解決するために鋭意検
討を重ねた結果次の発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の各工程よ
りなる医療用バッグ15の製造方法を提供する。医療
用バッグの構成材料を高温状態でチューブ状に押し出
す工程、前記チューブを成形装置の入口で押
圧して融着し、前記チューブ4の長さ方向の両側に、通
路10を介して一対の等間隔の融着部9、9及び該融着
部9と比較して幅広の融着部9aと幅狭の融着部9bを
形成するとともに前記等間隔の融着部9、9と前記幅広
の融着部9a、幅狭の融着部9bを前記チューブ4の長
さ方向に交互に形成する工程、前記チューブ
薬液14を充填する工程、前記のチューブ4の前記
等間隔の融着部9、9間の通路10と前記幅広の融着部
9aと幅狭の融着部9b間の通路10を、チューブ4の
幅方向に溶着して溶着部12を形成し、前記チューブ4
を前記溶着部12に沿って、前記溶着部12及び前記融
着部9、9a、9bの中央部から切断する工程、前記
チューブ4の幅狭の融着部9bの近傍に口部13
装着する工程、
【0005】本発明は、両端部に二対の融着部を形成し
た医療用バッグ15であって、一端部の一対の融着部は
幅広の融着部9aと幅狭の融着部9bよりなり、他方の
端部の一対の融着部は等間隔の融着部9、9よりなり、
前記幅広の融着部9aと幅狭の融着部9bの間及び前記
等間隔の融着部9、9の間にそれぞれ溶着部12、12
を形成し、前記幅狭の融着部9bの近傍に口部13を装
着した医療用バッグ15を提供する
【0006】
【作用】第1の発明においては、最初から最終工程に至
るまで、医療用バッグの内部及び内部に充填する薬液が
外気と接することがなく、完全に無菌、無塵の状態で医
療用バッグを製造することができる。また薬液を医療用
バッグの各構成部材の押し出し、成型と同時に充填する
ことができる。第2の発明においては、輸液口の取り付
けが容易であり薬液の取り出しも袋(チューブ)の壁を
針で貫通するのみで容易に行うことができる。
【0007】
【実施例】図1は本発明の医療用バッグの製造装置の概
略図で、製造装置は押出成形機1と金型2と成形装置3
とから構成されている。金型2の後方部には無菌エアー
の供給ライン5と薬液の供給ライン6及びエアーの回収
ライン7が装着され、無菌エアーの供給ライン5とエア
ーの回収ライン7の各ノズル5a、7aは金型2の下部
に配置され、薬液の供給ライン6のノズル6aは成形装
置3の中まで延設されている。また薬液供給ライン6の
中に無菌エアーの供給ライン6bが配置され、これのノ
ズル6cは成形装置3の下部付近まで延設されている。
成形装置3は駆動軸8aとコンベヤ8bからなりコンベ
ヤ8bの表面には所定の間隔をおいてローラー8が設け
られている。
【0008】押出成形機1から溶融樹脂を金型2内に押
出して、金型2のノズルからチューブ4状に押し出す。
チューブ4は高温状態で成形装置3に搬送され、成形装
置3の入口付近でローラー8により押圧されることによ
り融着部9が形成される。融着部9の中央には通路10
が形成される(図2(図1のA矢視図)参照)。融着部
9は等間隔、同一形状に形成しても良いが図2のように
幅広の融着部9aと幅狭の融着部9bを交互に形成し、
後述するように口部を装着したときに中の薬液が排出し
やすいようにするのが望ましい。融着部9の形状等はコ
ンベヤ8bの表面に装着したローラー8の形状、配置等
を調整することにより自由に変更することができる。
【0009】チューブ4は無菌エアーの供給ライン5に
よりエアーを供給しながら成形されるので膨らんだ形状
を維持することができる。また、エアーの回収ライン7
をチューブ4内と連通させることにより高温状態のチュ
ーブ4から蒸発(気化)するチューブ4の添加剤(可塑
剤等)を回収ライン7から回収することができるので、
医療用バッグとして成形した後、医療用バッグ内面に付
着することがないので衛生的である。さらにチューブ4
を押し出しながら密閉系で薬液を充填するのでチューブ
4内にゴミ等が付着しないので衛生的である。
【0010】薬液は金型2内を経て供給されるものであ
るが金型2内を通過する際には、急激な温度上昇のた
め、突沸あるいは変質するおそれがあるので、これを防
止するためにあらかじめ金型2内に通過させる前に温め
た状態でまたは一度温めて冷却した後に、金型2内を通
過させると良い。所定量の薬液を注入しながら図3に示
すようにチューブ4を水平となるように調整された載置
台11に水平に横たえた状態で搬送する。薬液充填位置
は横たえながら搬送しているチューブ4内の薬液レベル
よりも常に高い位置にあるので、搬送中のチューブ4に
は薬液を密に充填することができるが、無菌エアーの供
給ライン6bのノズル6cより必要量のエアーを注入す
ることができる。以上のように薬液を充填したチューブ
を同一形状に連続して水平状態に押し出すことにより均
等に薬液を充填した医療用バッグを例えば100個単
位、200単位毎に大量生産することができる。
【0011】薬液を充填したチューブ4は図4に示すよ
うに通路10を溶着し、この溶着部12に沿うラインB
に沿って切断する。例えば図4のように幅広の融着部9
aと幅狭の融着部9bを同幅の融着部9、9と交互に形
成した場合は、図5のようなチューブ4を得ることがで
きる。
【0012】 図5のチューブ4の幅狭の融着部9bの
近くに口部13を例えば出願人が特願昭63−7752
0号に提案したように接着剤等を用いて装着することに
より図6に示すような医療用バッグ15を得ることがで
きる。医療用バッグ15は口部13の位置が相対的に端
部の低い位置設定されているので図7及び図8のよう
に注射針14を口部13に穿刺して薬液を排出するとき
は袋(チューブ)内に残留することなく速かに排出する
ことができる。
【0013】
【発明の効果】 医療用バッグの各構成部材の押し出しから、最終形状
の医療用バッグの製造工程に至るまで、医療用バッグの
内部及び内部に充填する薬液が外気と接することがない
ので、完全に無菌、無塵の状態で医療用バッグを製造す
ることができる。 薬液を医療用バッグの各構成部材の押し出し、成型と
同時に滅菌状態で充填するので、衛生的であり製造工程
が大幅に簡略化でき、量産化に有利である。 高温状態のチューブを押圧するのみで融着しさらにチ
ューブの幅と較べてはるかに面積の狭い通路を溶着する
のみで密封することができるので消費電力が少く経済効
果が高い。 チューブの構成材料中の添加剤がチューブ内面に残留
することがないので衛生的である。 口部は本体表面に接着剤等により装着するのみである
から、取付けが容易であり針で袋(チューブ)を貫通す
るのみで薬液を排出することができ、従来のゴム栓のよ
うにくずが出ないので、本体内部及び薬液を汚染する心
配がない。また、本体と別に製造することができるの
で、輸液の目的に応じた医療用針のサイズに合致した口
部を採用することができる。 口部を袋(チューブ)の端部の低い位置に設けている
ので中の薬液をスムーズに排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用バッグの製造装置の概略図
【図2】図1の装置により成形されたチュ−ブの概略図
(図1のA矢視図)
【図3】図2のチュ−ブに薬液を充填する工程の概略図
【図4】図3のチュ−ブを溶着、切断する工程の概略図
【図5】図4のチュ−ブを切断したところの概略図
【図6】図5のチュ−ブに口部を装着した医療用バッグ
の概略図
【図7】 医療用バッグより薬液を排出するところの概
略図
【図8】 図7の口部付近の概略図
【符合の説明】
1 押し出し成形機 2 金型 3 成形装置 4 チュ−ブ 5、6b 無菌エア−の供給ライン 5a、6c ノズル 6 薬液の供給ライン 6a ノズル 7 エア−の回収ライン 7a ノズル 8 ロ−ラ− 8a 駆動軸 8b コンベヤ 9 融着部 9a 幅広の融着部 9b 幅狭の融着部 10 通路 11 チュ−ブの載置台 12 溶着部 13 口部 14 薬液 15 医療用バッグ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の各工程よりなることを特徴とする医療
    用バッグ15の製造方法。医療用バッグの構成材料を
    高温状態でチューブ状に押し出す工程、 前記チューブを成形装置の入口で押圧して融
    着し、前記チューブ4の長さ方向の両側に、通路10を
    介して一対の等間隔の融着部9、9及び該融着部9と比
    較して幅広の融着部9aと幅狭の融着部9bを形成する
    とともに前記等間隔の融着部9、9と前記幅広の融着部
    9a、幅狭の融着部9bを前記チューブ4の長さ方向に
    交互に形成する工程、 前記チューブに薬液14を充填する工程、 前記のチューブ4の前記等間隔の融着部9、9間の
    通路10と前記幅広の融着部9aと幅狭の融着部9b間
    の通路10を、チューブ4の幅方向に溶着して溶着部1
    2を形成し、前記チューブ4を前記溶着部12に沿っ
    て、前記溶着部12及び前記融着部9、9a、9bの中
    央部から切断する工程、 前記チューブ4の幅狭の融着部9bの近傍に口部
    13を装着する工程、
  2. 【請求項2】両端部に二対の融着部を形成した医療用バ
    ッグ15であって、一端部の一対の融着部は幅広の融着
    9aと幅狭の融着部9bよりなり、他方の端部の一対
    の融着部は等間隔の融着部9、9よりなり、前記幅広の
    融着部9aと幅狭の融着部9bの間及び前記等間隔の融
    着部9、9の間にそれぞれ溶着部12、12を形成し、
    前記幅狭の融着部9bの近傍に口部13を装着したこと
    を特徴とする医療用バッグ15
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