JP3187396U - メカニカルシール用コンプリング - Google Patents

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清喬 落合
圭介 永田
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Abstract

【課題】厳しい使用環境においても、高い耐久性を確保できるメカニカルシール用コンプリングを提供する。
【解決手段】回転軸Jに固定された回転環と、静止側部材20に固定され回転環と摺動接触してシール面を形成する非回転環14とを備えているメカニカルシールに用いられ、非回転環を回転方向に係止すると共に非回転環に回転環方向への押し付け力を伝達する環状のコンプリング22であって、静止側部材20に形成された凹部40に収容される突出部24を外縁部に備え、突出部は、突出部の外周部が凹部の内周部と接触する際、面接触となる形状を備えている。好ましくは、凹部が略矩形形状を有し、突出部が凹部と相補的な形状と、凹部に所定のクリアランスをもって収容される寸法とを有している。
【選択図】図3

Description

本願考案は、メカニカルシール用コンプリングに関し、詳細には、軸封止部に使用されるメカニカルシール用コンプリングに関する。
メカニカルシールは、回転環と非回転環の端面を摺動接触させてシールを行うシール装置として種々の分野に広く用いられている。
メカニカルシールは、回転環がモータの回転軸等の回転軸に装着されて回転軸と共に回転し、非回転環がモータケーシング等の静止側部材に装着され回転しない構造を有している。この非回転環は回転環と摺動接触し摩擦抵抗による回転力を受けるため、非回転環の回転を防止する廻り止めが必要となる。また、摺動端面の摩耗や振動などに対処するため、さらに摺動端面の接触圧を維持するために、非回転環か回転環の一方を軸線方向に従動可能とし、スプリングにより摺動端面方向に押圧しておく必要がある。
このような要請に応じ、非回転環を回転方向に係止すると共に非回転環に回転環方向への押し付け力を伝達するコンプリングを設け、さらにこのコンプリングの外縁に回転防止手段を設けることにより、コンプリングおよび非回転環の回転防止等を図るメカニカルシールが知られている(特許文献1)。
特開平2001−254842号公報
上記特許文献1のメカニカルシールでは、コンプリング50の外縁から突出した回転防止手段である略半円形状の突出部52が、コンプリングが収容される円形開口54の外縁に形成された略半円形状の凹部56に所定のクリアランスをとって収容される構成であった(図1)。
このような構成では、回転方向の力が作用しコンプリング50が回転しようとすると、コンプリング50の略半円形状の突出部52の側壁が、円形開口54の略半円形状の凹部56の側壁に接触し、コンプリング50の回転が阻止されることになる。
このときコンプリング50の突出部52の側壁は、図1に示されているように、点接触に近い状態で、凹部56と接触する。この結果、使用状況によっては、コンプリング50の突出部52の側壁に摩耗が生じ易くなる場合があった。特に、取付ける機械の精度が高くない場合(例えば、直角度不良、振動が大きい等)には、非回転環がこれらの精度不良に対応して軸方向に追従するため、摩耗が生じ易くなっていた。
本考案はこのような点に鑑みてなされたものであり、厳しい使用環境においても、高い耐久性を確保できるメカニカルシール用コンプリングを提供することを目的とする。
本考案によれば、
回転軸に固定された回転環と、静止側部材に固定され前記回転環と摺動接触してシール面を形成する非回転環とを備えているメカニカルシールに用いられ、前記非回転環を回転方向に係止すると共に該非回転環に回転環方向への押し付け力を伝達する環状のコンプリングであって、
前記静止側部材に形成された凹部に収容される突出部を外縁部に備え、前記突出部は、該突出部の外周部が前記凹部の内周部と接触する際、面接触となる形状を備えている、
ことを特徴とするコンプリングが提供される。
このような構成によれば、静止側部材の凹部に収容された突出部は、凹部の内周面とは面接触で接触することになるので、凹部の内周面との接触による摩耗が減少し、耐久性が向上する。
本考案の他の好ましい態様によれば、
前記突出部が、前記コンプリングの外縁の複数箇所に形成されている。
本考案の他の好ましい態様によれば、
前記突出部が、径方向に対向する2カ所の位置に形成されている。
本考案の他の好ましい態様によれば、
前記突出部が、前記凹部と相補的な形状と、前記凹部に所定のクリアランスをもって収容される寸法とを有している。
本考案の他の好ましい態様によれば、
前記凹部が、略矩形形状を有し、
前記突出部が、前記凹部と相補的な形状と、前記凹部に所定のクリアランスをもって収容される寸法とを有している。
本考案によれば、厳しい使用環境においても、高い耐久性を確保できるメカニカルシール用コンプリングが提供される。
従来技術のコンプリングの突出部とケーシング側部材の凹部との関係を示す図面である。 本考案のコンプリングが組み込まれたメカニカルシールの、回転軸Jに装着された状態を示す断面図である。 図2のII-II断面図である。 本実施形態のコンプリングの平面図である。 回転防止用凹部に収容された本実施形態のコンプリングの外方突出部が、回転防止用凹部の内周面に接触している状態を示す図面である。
以下、本考案の実施形態のコンプリングについて図面に沿って説明する。図2は、本考案のコンプリングが組み込まれたメカニカルシールの、回転軸Jに装着された状態を示す断面図である。Cは、回転軸Jを備えた機器本体のケーシングである。
メカニカルシールは、回転環ユニット1と静止環ユニット2とを備えている。回転環ユニット1は、Oリング4を介して回転軸Jに固定されたスリーブ6と、スリーブ6にOリング8を介して固定され、回転軸Jと一体的に回転する回転リング(回転環)10と、を備えている。さらに、回転環の供回りを防止するためのピン14(ピン12)が設けられている。
静止側部材に固定された静止環ユニット2は、回転リング10の端面と摺動接触してシール面Sを形成する端面を有するシールリング(非回転環)14と、シールリング14にOリング16を介して連結されたリテーナ18を備えている。
シールリング14は、リテーナ18に対して軸線方向に移動可能に構成され、回転軸Jの軸方向の移動やシール面Sの摩耗に応じて追従できる。リテーナ18は更にフランジ20に支持されている。
シールリング14には、コンプリング22が装着されている。コンプリング22は、図3に示すように、外縁から径方向外方に突出する外方突出部24と、内縁から径方向内方に突出する内方突出部26とを有している。
フランジ20には、円周方向に所定数のスプリング28が装着され、その先端がコンプリング22のスプリング受け部30に当接している。このスプリング28の押し付け力はコンプリング22を介してシールリング14に伝達され、シールリング14を回転リング10方向に押圧するようになっている。
フランジ20のケーシングC側には、コンプリング22の外径より大径の開口が形成され、ここにリテーナ18が装着されている。組立の際には、この開口からスプリング28とコンプリング22を装着し、その後、リテーナ18を装着する。この構成により、フランジ20を1枚とすることができる。
フランジ20はボルトなどによりケーシングCに固定されている。固定の際はプリセットリング32を介してセットスクリュウ34に対して軸心位置を規定し、固定後にプリセットリング32を取外す。さらに、ブッシュ36が設けられている。
シールリング14の外周には、コンプリング22の内方突出部26と対応し、相補的な形状を有する嵌合用凹部38が形成されている。本実施態様では、内方突出部26は、略矩形形状を有し、90度の角度間隔で、4つ設けられている。
内方突出部26が、この嵌合用凹部38に嵌合することにより、コンプリング22の回転方向及び軸線方向に係止されるようになっている。なお、内方突出部26の形状は、本実施形態では矩形状であり、数も4個であるが、任意の形状、数とすることができる。
静止側部材であるフランジ20の内周面には、コンプリング22の外方突出部24に対応する位置に回転防止用凹部40が設けられている。
コンプリング22の平面図である図4に示されているように、本実施態様コンプリング22では、外縁から径方向外方に突出する外方突出部24が、コンプリング22の直径方向に対向した位置に1個づつ、合計2個形成されている。一方、回転防止用凹部40もこれに対応し、直径方向に対向した位置に1個づつ、合計2個形成されていている。
また、本実施形態のコンプリング22では、外方突出部24が略矩形形状を有し、回転防止用凹部40は、矩形形状の外方突出部24が、周囲に1mm程度のクリアランスをもって収容される寸法を有する矩形形状とされている。
即ち、回転防止用凹部40(静止側部材の凹部)に収容された外方突出部24は、コンプリング22が回転しようとして回転防止用凹部40の内周面と接触する際には、図5に示されているように、直線状の側壁部が、回転防止用凹部40の直線状の側壁部(内周面)と面接触(線接触)の関係で接触するように構成されている。
回転防止用凹部40は、図2に示されているように軸線方向に所定の長さを有しており、外方突出部24が回転防止用凹部40に収容されることにより、回転方向の動きは規制されるが、軸線方向には回転防止用凹部40の長さ分だけ移動可能になっている。従って、コンプリング22はシールリング14の動き追従できるように構成されている。
このように構成せれた本実施形態のコンプリング22では、コンプリング22は外方突出部24が回転防止用凹部40に収容されることにより回転が規制されて廻り止めされている。さらに、コンプリング22は、内方突出部26が、シールリング14の嵌合用凹部38に嵌合することにより、回転が規制され、廻り止めされる。この結果、コンプリング22が、シールリング14の廻り止め機能を果たしている。
同時に、スプリング受け部30でスプリング28の荷重を受け、シールリング14に押し付け力を伝達するスプリング受けの機能も果たしている。そのため、従来の廻り止めピン等を必要とせず、軸線方向の長さを短くでき、組立作業も容易になる。
さらに、図5に示されているように、回転防止用凹部40(静止側部材の凹部)に収容された外方突出部24は、回転防止用凹部40の内周面とは面接触(線接触)で接触することになるので、回転防止用凹部40の内周面との接触による摩耗が減少し、耐久性が向上する。
本考案の前記実施形態に限定されることなく、実用新案登録請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
J:回転軸を備えた機器本体のケーシングである。
1:回転環ユニット
2:静止環ユニット
10:回転リング
14:シールリング(非回転環)
20:フランジ
22:コンプリング
24:外方突出部
26:内方突出部
28:スプリング
38:嵌合用凹部
40:回転防止用凹部

Claims (6)

  1. 回転軸に固定された回転環と、静止側部材に固定され前記回転環と摺動接触してシール面を形成する非回転環とを備えているメカニカルシールに用いられ、前記非回転環を回転方向に係止すると共に該非回転環に回転環方向への押し付け力を伝達する環状のコンプリングであって、
    前記静止側部材に形成された凹部に収容される突出部を外縁部に備え、前記突出部は、該突出部の外周部が前記凹部の内周部と接触する際、面接触となる形状を備えている、
    ことを特徴とするメカニカルシール用コンプリング。
  2. 前記突出部が、前記コンプリングの外縁の複数箇所に形成されている、
    請求項1に記載のメカニカルシール用コンプリング。
  3. 前記突出部が、径方向に対向する2カ所の位置に形成されている、
    請求項1に記載のメカニカルシール用コンプリング。
  4. 前記突出部が、前記凹部と相補的な形状と、前記凹部に所定のクリアランスをもって収容される寸法とを有している、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載のメカニカルシール用コンプリング。
  5. 前記凹部が、略矩形形状を有し、
    前記突出部が、前記凹部と相補的な形状と、前記凹部に所定のクリアランスをもって収容される寸法とを有している、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載のメカニカルシール用コンプリング。
  6. 請求項1ないし6に記載のメカニカルシール用コンプリングを備えていることを特徴とするメカニカルシール。
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