JP3186868U - 段ボール箱用シート及び段ボール箱 - Google Patents

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Abstract

【課題】フラップ同士が互いを係止して仮封止でき、一般的な段ボール箱と同様に隙間なく封函でき段ボール箱を形成する段ボール箱用シート提供する。
【解決手段】箱状に組み立て可能な一枚の段ボール紙からなり、それぞれ対向し合う一対の第1側壁2及び一対の第2側壁3を有する四角筒状部4と、第1側壁の各上縁から延出し、天面を被覆可能な略方形かつ一対の外フラップ5と、第2側壁の各上縁から延出し、天面を部分的に被覆可能な略方形かつ一対の内フラップ6とを備える段ボール箱用シートであって、隣接する二対の外フラップ及び内フラップの少なくとも一対が外フラップ及び内フラップ間の係止機構を有し、この係止機構は、内フラップの先端縁に開口するよう形成された略V字状の切り欠き9と、外フラップの先端縁から略垂直に形成されて切り欠き9と係合するスリット10とで構成される。
【選択図】図2

Description

本考案は、段ボール箱用シート及び段ボール箱に関する。
一対の内フラップ及び一対の外フラップを備えるいわゆるA式の段ボール箱を使用する際、粘着テープ等を用いずに一時的に段ボール箱をフラップで仮封止したい場合がある。通常の封函時には、内フラップの上に外フラップを折り重ねるが、仮封止する場合には、各フラップの一方側が隣接するフラップの上側に配置され、他方側が隣接するフラップの下側に配置されるよう、いわゆる風車型に4枚のフラップを順番に折り込むことが行われている。
フラップを風車型に折り込むためには、最後に折り込むフラップの側端を大きく折り曲げるようにして隣接するフラップの下に差し込むか、最初に折りこんだフラップの側端を折り曲げるようにして隣接するフラップの上に引き出す必要がある。このため、フラップを風車型に折り込むためにはかなりの力が必要とされる。また、そのようにフラップを折り込む際には、段ボール箱用シートが破れたり、段ボール箱用シートに不要な折り目が形成されたりする危険性がある。
段ボール箱をより簡単に仮封止できるようにするため、フラップの側端を折り込みやすいように隣接するフラップの側端を斜めに切除したもの(特開2007−84128号公報及び特開2008−30834号公報)や、フラップを折り曲げてその一部を隣接するフラップに形成したスリットに差し込むようにしたもの(特開2005−343542号公報及び実用新案登録第3117276号公報)が提案されている。
しかしながら、それらの構成では、フラップを大きく切り欠いたり折り曲げたりするため、段ボール箱を最終的に粘着テープで封函したときに、段ボール箱を完全に封止できなかったり、段ボール箱の強度が不十分となったり、見た目が悪くなったりするおそれがある。
特開2007−84128号公報 特開2008−30834号公報 特開2005−343542号公報 実用新案登録第3117276号公報
そこで、本考案は、フラップ同士が互いを係止して仮封止できると共に、一般的な段ボール箱と同様に隙間なく封函できる段ボール箱を形成できる段ボール箱用シート及び段ボール箱を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた考案は、箱状に組み立て可能な一枚の段ボール紙からなり、それぞれ対向し合う一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する四角筒状部と、上記第1側壁の各上縁から延出し、天面を被覆可能な略方形かつ一対の外フラップと、上記第2側壁の各上縁から延出し、天面を部分的に被覆可能な略方形かつ一対の内フラップとを備える段ボール箱用シートであって、隣接する二対の上記外フラップ及び上記内フラップの少なくとも一対が上記外フラップ及び上記内フラップ間の係止機構を有し、この係止機構が、上記内フラップの先端縁に開口するよう形成された略V字状の切り欠きと、上記外フラップの先端縁から略垂直に形成されて上記切り欠きと係合するスリットとを有することを特徴とする。
当該段ボール箱用シートを組み立てた段ボール箱は、内フラップの切り欠きに外フラップのスリットを係合させるので、フラップを大きく変形する必要がなく、内フラップの切り欠きよりも隣接縁側の先端部又は外フラップのスリットよりも隣接縁側の先端部のみを変形させるだけで内フラップと外フラップとが係止し合う状態となり、簡単かつ確実に段ボール箱を仮封止できる。このように、当該段ボール箱用シートは、フラップを大きく変形させる必要がないので、段ボール箱を破損したり、折れ目がついて段ボール箱の強度が不足したりする危険性が低い。また、外フラップにはスリットが形成されるのみで切り欠きがないため、外フラップを上にして粘着テープで段ボール箱を封函すると、一般的な段ボール箱と同様に隙間ができず、段ボール箱の強度も一般的なものと変わらない。なお、本願においてスリットが切り欠きと係合するとは、スリットの一方のエッジが内フラップの上側から下側又は下側から上側へと切り欠きの中を通過することをいう。
当該段ボール箱用シートにおいて、上記スリットの長さが上記切り欠きの深さよりも大きいとよい。スリットを長くすることにより、外フラップに折り目をつけることなく弾性変形によって切り欠きに係合可能な隙間を形成できる。
当該段ボール箱用シートにおいて、上記外フラップが、上記スリットの所定位置を起点とし、この外フラップと隣接する上記内フラップと反対側かつこの外フラップの先端縁に伸びる弱化線を有するとよい。外フラップの上に内フラップを配置して、弱化線、先端縁及びスリットで確定される三角形の部分(以下摘み部という)を上方に折返すようにして把持することで、外フラップの弱化線より基端縁側の部分を内フラップの切り欠きより基端縁側の部分の上に引き出し、外フラップ及び内フラップに互いを係止させられる。
当該段ボール箱用シートにおいて、上記内フラップの基端縁から上記切り欠きの略V字状の頂点までの垂直距離と上記外フラップにおける上記内フラップとの隣接縁から上記弱化線の起点までの垂直距離との差が20mm以下であり、上記内フラップにおける上記外フラップとの隣接縁から上記切り欠きの上記頂点までの垂直距離と上記外フラップの基端縁から上記弱化線の上記起点までの垂直距離との差が20mm以下であるとよい。これにより、段ボール箱を封止するように内フラップと外フラップとを折り重ねたとき、切り欠きの頂点と摘み部の基端縁側の頂点とが概略重なるように配置される。このため、スリットが切り欠きに深く係合し、確実な仮封止ができる。
当該段ボール箱用シートにおいて、上記切り欠きが、隣接する上記外フラップとの隣接縁側の近位エッジと、上記隣接縁と反対側の遠位エッジとによって画定され、上記遠位エッジの上記内フラップの先端縁に対する傾斜角度と、上記弱化線の上記外フラップの先端縁に対する傾斜角度との合計角度が90°より大きいとよい。この合計角度を大きくすれば、弱化線が切り欠きの隣接縁と反対側のエッジ(以下遠位エッジという)よりも内フラップの基端縁側に配置されるので、この弱化線と遠位エッジとの間の領域において外フラップと内フラップとが重なり合って外フラップで内フラップを係止できる。
上記合計角度が95°以上120°以下であるとよい。これにより、外フラップが内フラップを係止するために十分な重複領域を確保できると共に、外フラップの弱化線近傍部分を内フラップの下側から内フラップの上側に引き出す際の抵抗が過剰にならない。
当該段ボール箱用シートにおいて、上記内フラップの基端縁から上記切り欠きの略V字状の頂点までの垂直距離が、上記内フラップにおける上記外フラップとの隣接縁から上記切り欠きの上記頂点までの垂直距離より大きく、上記外フラップの基端縁から上記弱化線の上記起点までの垂直距離が、上記外フラップにおける上記内フラップとの隣接縁から上記弱化線の起点までの垂直距離より大きいとよい。このように構成すれば、スリットを設けた外フラップが延出する第1側壁と切り欠きを設けた内フラップが延出する第2側壁との間の角度を広げるように段ボール箱を変形させることにより初めて切り欠きにスリットを係合させられる。段ボール箱のこの変形に対する反力が切り欠きとスリットとを係合させる方向に作用するため、フラップが係止し合う状態を保持できる。
当該段ボール箱用シートにおいて、上記内フラップの基端縁から上記切り欠きの略V字状の頂点までの垂直距離と上記外フラップの基端縁から上記弱化線の上記起点までの垂直距離との差が5mm以上20mm以下であるとよい。このように構成すれば、フラップの仮封止時における段ボール箱の変形量を適切にできる。
よって、当該段ボール箱用シートを組み立ててなる段ボール箱は、容易に仮封止できると共に、一般的な段ボール箱と同様に粘着テープによって隙間なく封止できる。
以上のように、当該段ボール箱用シートを組み立ててなる段ボール箱は、フラップを大きく変形させることなく互いが係止し合う状態として容易に仮封止できると共に、一般的な段ボール箱と同様に粘着テープ等を用いて隙間なく封函できる。
本考案の一つの実施形態に係る段ボール箱を示す模式的斜視図である。 図1の段ボール箱を形成するための段ボール箱用シートを示す模式的展開図である。 図1の段ボール箱の外フラップの上に内フラップを折り重ねた状態を示す模式的平面図である。 図1の段ボール箱の外フラップと内フラップとが係止し合う仮封止状態を示す模式的平面図である。 本考案の図1とは異なる実施形態に係る段ボール箱を示す模式的斜視図である。 図5の段ボール箱の模式的平面図である。 本考案の図1及び図4とは異なる実施形態に係る段ボール箱を示す模式的平面図である。 本考案の図1図4及び図6とは異なる実施形態に係る段ボール箱を示す模式的斜視図である。 図8の段ボール箱を形成するための段ボール箱用シートを示す模式的展開図である。 図8の段ボール箱の異なる仮封止状態を示す模式的斜視図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本考案の実施形態を詳説するが、まず図1乃至図4を用いて本考案の第一実施形態について説明する。
[第一実施形態]
図1の段ボール箱は、図2の1枚の段ボールシートからなる段ボール箱用シート1を組み立てることにより構成される。この段ボール箱用シート1は、それぞれ対向し合う一対の第1側壁2及び一対の第2側壁3を有する四角筒状部4と、第1側壁2の各上縁から延出し、四角筒状部4の天面を被覆可能な略方形かつ一対の外フラップ5と、第2側壁3の各上縁から延出し、四角筒状部4の天面を部分的に被覆可能な略方形かつ一対の内フラップ6と、第1側壁2の各下縁から延出し、四角筒状部4の底面を被覆可能な略方形かつ一対の下側外フラップ7と、第2側壁3の各下縁から延出し、四角筒状部4の底面を部分的に被覆可能な略方形かつ一対の下側内フラップ8とを備え、隣接する二対の外フラップ5及び内フラップ6がそれぞれ各対の外フラップ5及び内フラップ6間の係止機構を有する。なお、図において、太い実線は段ボールシートの切断されたエッジを示し、細い実線は段ボールシートを型押しして折り曲げやすくした罫線を示す。
対をなす外フラップ5及び内フラップ6間の係止機構は、内フラップ6の先端縁6b(第2側壁3と反対側の端縁)に開口するよう形成され、内フラップ6の先端縁6bから略垂直に延伸する近位エッジ9a及びこの近位エッジ9aの奥端から外フラップ5と反対側に伸びる遠位エッジ9bとによって画定された略V字状の切り欠き9と、外フラップ5の先端縁5bから略垂直に形成され、切り欠き9に係合可能なスリット10及びこのスリットの所定位置を起点Qとし、内フラップ6と反対側かつその外フラップ5の先端縁5bに伸びる罫線からなる弱化線11とによって画定される略直角三角形状の摘み部12とを有する。
切り欠き9の略V字形状の頂点P(近位エッジ9a及び遠位エッジ9bの奥端)は、応力集中によって破れにくいように微小な円弧で接続されることが好ましい。また、スリット10の奥端は、応力集中によって破れにくいような公知の処理、例えばスリットを縦棒としてT字状をなすように短い切り込みを入れる処理がなされることが好ましい。
外フラップ5の基端縁5a(第1側壁2の上端縁)から先端縁5b(第1側壁2と反対側の端縁)までの延出長さLは、内フラップ6の基端縁6a(第2側壁3の上端縁)から先端縁6b(第2側壁3と反対側の端縁)までの延出長さと等しい。
外フラップ5のスリット10の長さは、切り欠き9の深さ(近位エッジ9aの長さ)よりも大きいことが好ましい。例えば、本実施形態において、スリット10の長さと切り欠き9の深さとの差は、約30mmである。
外フラップ5において、対をなす内フラップ6側の隣接縁5cから弱化線11の先端縁5bとの交点までの距離は、外フラップ5及び内フラップ6の延出長さL以下であることが好ましい。先端縁5b上における隣接縁5cから弱化線11までの距離と外フラップ5及び内フラップ6の延出長さLとの差は、5mm以上50mm以下が好ましい。
内フラップ6において、対をなす外フラップ5側の隣接縁6cから遠位エッジ9bの先端縁6bとの交点までの距離は、外フラップ5及び内フラップ6の延出長さL以下であることが好ましい。先端縁6b上における隣接縁6cから遠位エッジ9bまでの距離と外フラップ5及び内フラップ6の延出長さLとの差は、5mm以上50mm以下が好ましい。
内フラップ6の基端縁6aから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Aは、内フラップ6の隣接縁6cから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Bよりも大きい。換言すると、切り欠き9の頂点Pは、内フラップ6の基端縁6aの隣接縁6c側の端部から45°の角度で引いた仮想線よりも先端縁6b側に位置している。切り欠き9の頂点Pの基端縁6aからの垂直距離Aと隣接縁6cからの垂直距離Bとの差は5mm以上20mm以下が好ましい。例えば、本実施形態において、切り欠き9の頂点Pの基端縁6aからの垂直距離Aと隣接縁6cからの垂直距離Bとの差は約10mmである。
外フラップ5の基端縁5aから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Cは、外フラップ5の隣接縁5cから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Dよりも大きい。換言すると、弱化線の起点Qは外フラップ5の基端縁5aの隣接縁5c側の端部から45°の角度で引いた仮想線よりも先端縁5b側に位置している。弱化線11の起点Qの基端縁5aからの垂直距離Cと隣接縁5cからの垂直距離Dとの差は5mm以上20mm以下が好ましい。例えば、本実施形態において、弱化線11の起点Qの基端縁5aからの垂直距離Cと隣接縁5cからの垂直距離Dとの差は約10mmである。
内フラップ6の基端縁6aから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Aと外フラップ5の基端縁5aから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Cとは実質的に等しく、内フラップ6の隣接縁6cから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Bと外フラップ5の隣接縁5cから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Dとは実質的に等しい。換言すると、内フラップ6における切り欠き9の隣接縁6cに対する配置及び形状は、外フラップ5における摘み部12の隣接縁5cに対する配置及び形状と対称である。
また、上述の条件からは、内フラップ6の基端縁6aから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Aと外フラップ5の隣接縁5cから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Dとの差が20mm以下であり、かつ、内フラップ6の隣接縁6cから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Bと外フラップ5の基端縁5aから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Cとの差が20mm以下であるとの好ましい関係が導き出される。換言すると、図3に示すように、当該段ボール箱において天面を被覆するように外フラップ5及び内フラップ6を折り重ねたとき、切り欠き9の頂点Pが弱化線11の起点Qの近傍に位置することが好ましい。
切り欠き9の遠位エッジ9bの内フラップ6の先端縁6bに対する傾斜角度αは、弱化線11の外フラップ5の先端縁5bに対する傾斜角度βと実質的に等しい。また、遠位エッジ9bの傾斜角度αと弱化線11の傾斜角度βとの合計角度は、90°よりも大きい。遠位エッジ9bの傾斜角度αと弱化線11の傾斜角度βとの合計角度は、95°以上120°以下であることが好ましい。例えば、本実施形態において、遠位エッジ9bの傾斜角度α及び弱化線11の傾斜角度βは、共に約50°であり、合計角度は100°である。
<仮封止方法>
当該段ボール箱は、以下に説明するように仮封止される。
当該段ボール箱において、図3に示すように、四角筒状部4の天面を被覆するように外フラップ5を折り込み、その上に内フラップ6を折り重ねると、内フラップ6に対して外フラップ5の摘み部12は切り欠き9よりも基端縁6a側に配置され、外フラップ5に対して内フラップ6の切り欠き9は摘み部12よりも基端縁5a側に配置される。つまり、この状態では、スリット10を切り欠き9に係合させられない。
そこで、図4に示すように、外フラップ5に対して内フラップ6を傾斜させて、当該段ボール箱を略平行四辺形状に変形させることで、切り欠き9の頂点Pと弱化線11の起点Qとを概略重ね合わせる。これにより、摘み部12を切り欠き9を通して内フラップ6の上側に引き出すことが可能となり、スリット10と切り欠き9とを係合させられる。
ここで、切り欠き9の遠位エッジ9bの傾斜角度αと弱化線11の傾斜角度βとの合計角度は、さらに図3における外フラップ5の隣接縁5cと内フラップ6の隣接縁6cとの交点を中心とした切り欠き9の頂点Pと弱化線11の起点Qとの間の角度(本実施形態では約4°)以上90°よりも大きいので、スリット10と切り欠き9とを係合させた状態で、外フラップ5の弱化線11の基端縁5a側部分と、内フラップ6の遠位エッジ9bの基端縁6a側部分とが重なり合う重複領域S(ハッチング部分)が形成される。この重複領域Sにおいて、外フラップ5が内フラップ6を上から抑え込み、当該段ボール箱を封止状態に保つ。
なお、実際の段ボール箱用シート1は、弾性を有するので、当該段ボール箱の変形が僅かであれば、第1側壁2及び第2側壁3の膨らみ等により、外フラップ5の隣接縁5cと反対側の端縁及び内フラップ6の隣接縁6cと反対側の端縁が潰されることはない。また、このような弾性変形によって、外フラップ5の摘み部12及び重複領域Sを内フラップ6の切り欠き9を通して引き出すことが可能である。さらに、このように外フラップ5と内フラップ6とが互いを係止する状態で、段ボール箱用シート1の弾性力は、当該段ボール箱を平面視で長方形に戻す方向、つまり重複領域Sを増大させる方向に作用する。従って、当該段ボール箱に外側から力が作用しても、外フラップ5のスリット10と内フラップ6の切り欠き9との係合は容易に解消されず、仮封止状態を保持できる。
このように、仮封止を保持する弾性力を作用させるために、切り欠き9の頂点Pの基端縁6aからの垂直距離Aと隣接縁6cからの垂直距離Bとの差が5mm以上20mm以下であることが好ましく、弱化線11の起点Qの基端縁5aからの垂直距離Cと隣接縁5cからの垂直距離Dとの差が5mm以上20mm以下であることが好ましい。上記垂直距離Aと上記垂直距離Bとの差及び上記垂直距離Cと上記垂直距離Dとの差が上記下限値未満の場合、十分な弾性力を作用させられず、仮封止が容易に解消されるおそれがある。一方、上記垂直距離Aと上記垂直距離Bとの差及び上記垂直距離Cと上記垂直距離Dとの差が上記上限値を超える場合、必要な変形量が過大となり、段ボール箱用シート1が破れたり不必要な折り目が形成されたりして当該段ボール箱の強度が低下するおそれがある。
また、切り欠き9の頂点Pと弱化線11の起点Qとを略重ね合わせるように切り欠き9とスリット10とを係合させるためには、内フラップ6の基端縁6aから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Aと外フラップ5の隣接縁5cから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Dとの差が20mm以下であり、かつ、内フラップ6の隣接縁6cから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Bと外フラップ5の基端縁5aから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Cとの差が20mm以下であることが好ましい。上記垂直距離Aと上記垂直距離Dとの差及び上記垂直距離Bと上記垂直距離Cとの差が上記上限値を超える場合、外フラップ5の上に内フラップ6を重ね合わせたときに切り欠き9の頂点Pと弱化線11の起点Qとが離れすぎて、必要な変形量が過大となり、段ボール箱用シート1が破れたり不必要な折り目が形成されたりして当該段ボール箱の強度が低下するおそれがある。
また、遠位エッジ9bの傾斜角度αと弱化線11の傾斜角度βとの合計角度が95°以上120°以下であることが好ましい。上記合計角度が上記下限未満の場合、十分な重複領域Sを形成できず、仮封止が容易に解消されるおそれがある。一方、上記合計角度が上記上限を超える場合、重複領域Sが過大となり、摘み部12を切り欠き9を通して内フラップ6の上側に引き出すことが困難となるおそれがある。
<利点>
以上説明したように、当該段ボール箱は、内フラップ6の切り欠き9に外フラップ5のスリットを係合させて仮封止できる。また、当該段ボール箱は、外フラップ5にスリット10と弱化線11とを設けただけでシートを切り取っていないので、内フラップ6の上に外フラップ5を折り重ねて粘着テープ等で封止する場合、一般的な段ボール箱と同様に隙間なく封函できる。
[第二実施形態]
次に、本考案の第二実施形態について図5及び図6を用いて説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同一構成又は同一機能を有する部材については同一符号を用い、説明を省略することがある。
図5及び図6の段ボール箱は、外フラップ5の隣接縁5cからスリット10(弱化線11の起点Q)までの垂直距離Dが、内フラップ6の基端縁6aから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Aよりも大きい。このように、外フラップ5の隣接縁5cからスリット10(弱化線11の起点Q)までの垂直距離Dが内フラップ6の延出長さL未満であれば、スリット10と切り欠き9とを係合させられる。
また、図5及び図6の段ボール箱において、切り欠き9の遠位エッジ9bの内フラップ6の先端縁6bに対する傾斜角度αは約45°であり、弱化線11の外フラップ5の先端縁5bに対する傾斜角度βは約65°である。つまり、図5及び図6の段ボール箱では、遠位エッジ9bの傾斜角度αと弱化線11の傾斜角度βとの合計角度が約110°である。このように、遠位エッジ9bの傾斜角度αと弱化線11の傾斜角度βとの合計角度が90°より大きければ、外フラップ5のスリット10を内フラップ6の切り欠き9に係合させたときに、遠位エッジ9bと弱化線11とが交差し、重複領域Sを形成できる。
[第三実施形態]
本考案の第三実施形態について図7を用いて説明する。なお、第三実施形態において、第一実施形態又は第二実施形態と同一構成又は同一機能を有する部材については同一符号を用い、説明を省略することがある。
図7の段ボール箱は、外フラップ5の隣接縁5cからスリット10(弱化線11の起点Q)までの垂直距離Dが、内フラップ6の基端縁6aから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Aよりも大きく、さらに外フラップ5の基端縁5aから弱化線11の起点Qまでの垂直距離Cが、内フラップ6の隣接縁6cから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Bよりも大きい。このような構成でも、重複領域Sを形成するようにスリット10を切り欠き9と係合させられる。
また、図7の段ボール箱において、切り欠き9の遠位エッジ9bの内フラップ6の先端縁6bに対する傾斜角度αは45°であり、弱化線11の外フラップ5の先端縁5bに対する傾斜角度βも45°である。つまり、図7の段ボール箱では、遠位エッジ9bの傾斜角度αと弱化線11の傾斜角度βとの合計角度が90°である。このため、外フラップ5のスリット10を内フラップ6の切り欠き9に係合させたときに、遠位エッジ9bと弱化線11とを交差させることはできないが、スリット10が弱化線11の起点Qよりも深い位置で切り欠き9と係合する。このように、適当な重複領域Sを画定できるように弱化線11を配置すれば、遠位エッジ9bの傾斜角度αと弱化線11の傾斜角度βとの合計角度が90°以下であってもよい。
[第四実施形態]
本考案の第四実施形態について図8、図9及び図10を用いて説明する。なお、第四実施形態において、第一実施形態、第二実施形態又は第三実施形態と同一構成又は同一機能を有する部材については同一符号を用い、説明を省略することがある。
図8の段ボール箱は、図9の段ボール箱用シート1を組み立ててなる。図8の段ボール箱は、外フラップ5に弱化線が形成されていない。しかしながら、外フラップ5の隣接縁5cからスリット10までの垂直距離Dが、内フラップ6の基端縁6aから切り欠き9の頂点Pまでの垂直距離Aよりも大きく、内フラップ6の延出長さLよりも若干小さい程度であるため、図8に示すように、スリット10を切り欠き9に係合できる。外フラップ5の隣接縁5cからスリット10までの垂直距離Dと内フラップ6の延出長さLとの差は、20mm以上50mm以下とすることが好ましい、上記垂直距離Dが上記下限値未満の場合、仮封止状態が容易に解消されるおそれがある。一方、上記垂直距離Dが上記上限値を越える場合、スリット10を切り欠き9に係合させるのが困難になるおそれがある。
また、図8の段ボール箱は、図10に示すように、外フラップ5のスリット10より隣接縁5c側の部分が内フラップ6の上側に配置されるよう、スリット10と切り欠き9とを係合させることも可能である。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本考案の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、当該段ボール箱用シートにおいて弱化線は罫線だけでなく、ミシン目状の切り込み、シートの片面のみを切断したハーフカット等であってもよい。
また、上述の各実施形態では、隣接する外フラップ及び内フラップの二つの対がそれぞれ外フラップ及び内フラップ間の係止機構を有するが、いずれか一対のみが本考案に係る上述の外フラップ及び内フラップ間の係止機構を有してもよい。この場合、係止機構を有しない外フラップ及び内フラップの対は、従来通りに風車型に折り込むことで仮封止できる。より詳しくは、そのような変形実施形態の段ボール箱では、先ず係止機構のスリットを有する外フラップを折り曲げ、続いて係止機構を有しない内フラップをその上に折り重ね、係止機構を有しない外フラップをさらにその上に折り重ね、最後に係止機構の切り欠きを有する内フラップを一番上に折り重ね、最も下側に配置された外フラップのスリットを最も上側に折り重ねられた内フラップの切り欠きに係合させる。
以上の説明のように、本考案に係る段ボール箱用シート及び段ボール箱は、一時的に品物を収容するためにも使用され、封函して品物を輸送するためにも使用され得る段ボール箱に好適である。
1 段ボール箱用シート
2 第1側壁
3 第2側壁
4 四角筒状部
5 外フラップ
6 内フラップ
7 下側外フラップ
8 下側内フラップ
9 切り欠き
9a 近位エッジ
9b 遠位エッジ
10 スリット
11 弱化線
12 摘み部
A 内フラップの基端縁から切り欠きの頂点までの垂直距離
B 内フラップの隣接縁から切り欠きの頂点までの垂直距離
C 外フラップの基端縁から弱化線の起点までの垂直距離
D 外フラップの隣接縁から弱化線の起点までの垂直距離
L 外フラップ及び内フラップの延出長さ
P 切り欠きの頂点
Q 弱化線の起点
S 重複領域
α 遠位エッジの内フラップの先端縁に対する傾斜角度
β 弱化線の外フラップの先端縁に対する傾斜角度

Claims (9)

  1. 箱状に組み立て可能な一枚の段ボール紙からなり、
    それぞれ対向し合う一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する四角筒状部と、
    上記第1側壁の各上縁から延出し、天面を被覆可能な略方形かつ一対の外フラップと、
    上記第2側壁の各上縁から延出し、天面を部分的に被覆可能な略方形かつ一対の内フラップと
    を備える段ボール箱用シートであって、
    隣接する二対の上記外フラップ及び上記内フラップの少なくとも一対が上記外フラップ及び上記内フラップ間の係止機構を有し、
    この係止機構が、上記内フラップの先端縁に開口するよう形成された略V字状の切り欠きと、上記外フラップの先端縁から略垂直に形成されて上記切り欠きと係合するスリットとを有することを特徴とする段ボール箱用シート。
  2. 上記スリットの長さが上記切り欠きの深さよりも大きい請求項1に記載の段ボール箱。
  3. 上記外フラップが、上記スリットの所定位置を起点とし、この外フラップと隣接する上記内フラップと反対側かつこの外フラップの先端縁に伸びる弱化線を有する請求項1又は請求項2に記載の段ボール箱用シート。
  4. 上記内フラップの基端縁から上記切り欠きの略V字状の頂点までの垂直距離と上記外フラップにおける上記内フラップとの隣接縁から上記弱化線の起点までの垂直距離との差が20mm以下であり、
    上記内フラップにおける上記外フラップとの隣接縁から上記切り欠きの上記頂点までの垂直距離と上記外フラップの基端縁から上記弱化線の上記起点までの垂直距離との差が20mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の段ボール箱用シート。
  5. 上記切り欠きが、隣接する上記外フラップとの隣接縁側の近位エッジと、上記隣接縁と反対側の遠位エッジとによって画定され、
    上記遠位エッジの上記内フラップの先端縁に対する傾斜角度と、上記弱化線の上記外フラップの先端縁に対する傾斜角度との合計角度が90°より大きい請求項3又は請求項4に記載の段ボール箱用シート。
  6. 上記合計角度が95°以上120°以下である請求項5に記載の段ボール箱用シート。
  7. 上記内フラップの基端縁から上記切り欠きの略V字状の頂点までの垂直距離が、上記内フラップにおける上記外フラップとの隣接縁から上記切り欠きの上記頂点までの垂直距離より大きく、
    上記外フラップの基端縁から上記弱化線の上記起点までの垂直距離が、上記外フラップにおける上記内フラップとの隣接縁から上記弱化線の起点までの垂直距離より大きい請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の段ボール箱用シート。
  8. 上記内フラップの基端縁から上記切り欠きの略V字状の頂点までの垂直距離と上記外フラップの基端縁から上記弱化線の上記起点までの垂直距離との差が5mm以上20mm以下である請求項7に記載の段ボール箱用シート。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の段ボール箱用シートを組み立ててなる段ボール箱。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019001488A (ja) * 2017-06-14 2019-01-10 金子包装ホールディングス株式会社 厚紙製包装用箱
CN112193565A (zh) * 2020-08-07 2021-01-08 广东世腾环保包装科技有限公司 一种免封口纸箱

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