JP3185818B2 - 感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルム - Google Patents
感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルムInfo
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Description
熱記録紙などに用いる際、表面剥離強度や隠ぺい性、白
色性などが改良された、フィルム内部に微細な空洞を多
量に含有した感熱記録用ポリエステルフィルムに関す
る。
合成紙は、天然紙に比べて、耐水性、吸湿寸法安定性、
表面安定性、印刷の光沢性と鮮明性、機械的強度などに
優れている。近年、これらの長所を活かした用途展開が
進められている。ポリエステルやポリプロピレンを主原
料とした紙と類似した機能を有するフィルムを得る方法
として、微細な空洞をフィルム内部に多量に含有させる
方法には、フィルム自体を軽量化できる点や適度な柔軟
性を付与できて、鮮明な印刷や感熱記録が可能になると
いう利点がある。従来、空洞含有フィルムを基紙とした
感熱記録体は広く開示されている。(特開昭62−14
829、特開平1−198388)しかしながら、これ
までの感熱記録用空洞含有フィルムは耐熱性、腰の強さ
に問題があるだけでなく、表面強度が不十分であるため
に感熱記録用ラベルとして使用した場合に取扱性が悪い
という欠点を有していた。
を解決した、即ち、空洞の大きさを適性化することによ
って、感熱記録印字が鮮明でかつ耐久性のあり、隠ぺい
性や白色性に優れるだけでなく、充分な耐熱性、腰の強
さと表面強度を合わせ持つ感熱記録用空洞含有フィルム
を提供せんとするものである。
ステルに非相溶の熱可塑性樹脂が混合された重合体混合
物を少なくとも1軸に配向することにより作られる微細
な空洞を含有する単層のポリエステル層(A)の少なく
とも片面に、熱可塑性樹脂からなる層(B)を設け、さ
らに、その少なくとも片面に、無色ないしは淡色の塩基
性染料と該塩基性染料と加熱溶融接触して発色せしめう
る呈色剤とを含有する感熱記録層(C)を有する感熱記
録用空洞含有ポリエステル系フィルムであって、該A層
は、その表面から3μmまでに含まれる空洞含有率が4
体積%以下であり、中央部を含めたA層全体の平均空洞
含有率が10体積%以上50体積%以下であることを特
徴とする感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルムに
関する。
に非相溶性の熱可塑性樹脂を混合させた重合体混合物
は、たとえば、各樹脂のチップを混合し押出機内で溶融
混練した後、押出して固化することによって得られる方
法や、あらかじめ混練機によって両樹脂を混練したもの
を更に押出機より溶融押出して固化する方法や、ポリエ
ステルの重合工程においてポリエステルに非相溶性の熱
可塑性樹脂を添加し、かくはん分散して得たチップを溶
融押出して固化する方法などによっても得られる。該重
合体混合物には、用途に応じて着色剤、耐光剤、蛍光
剤、帯電防止剤などを添加することも可能である。得ら
れた重合体混合物は、更に速度差をもったロール間での
延伸(ロール延伸)やクリップに把持して拡げていくこ
とによる延伸(テンター延伸)や空気圧によって拡げる
ことによる延伸(インフレーション延伸)などによって
少なくとも1軸に配向処理する。配向処理することによ
り、ポリエステルと空洞発現剤の界面で剥離が起こり空
洞が発現する。したがってポリエステルに混合させる該
ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂の量は、目的と
する空洞の量によって異なってくるが、重合体混合物全
体に対して3重量%〜35重量%が好ましい。3重量%
未満では、空洞の生成量を多くすることに限界があり、
目的の柔軟性や軽量性や描画性が得られない。逆に、4
0重量%以上では、ポリエステルフィルムの持つ耐熱性
や強度が著しく損なわれる。
洞の生成と密接に関係する。したがって本目的を達成す
るための条件はたとえば、もっとも一般的に行われてい
る逐次2軸延伸工程を例に挙げると、該重合体混合物の
連続シートを長手方向にロール延伸した後に、幅方向に
テンター延伸する逐次2軸延伸法の場合以下のようにな
る。ロール延伸においては多数の空洞を発生させるため
温度をポリエステルの2軸延伸温度+30℃以下、倍率
を1.2〜5倍とするのが好ましい。テンター延伸にお
いては破断せずに安定製膜するため温度を80〜140
℃、倍率を1.2〜5倍とするのが好ましい。延伸配向
処理した空洞含有フィルムは、130度以上好ましくは
180度以上で熱固定を行うと高温での寸法安定性を向
上させることができる。本発明においては、表層と中心
層を積層したいわゆる複合フィルムとしなければならな
い。その方法は特に限定されるものではない。しかし生
産性を考慮すると、表層と中心層の原料は別々の押出機
から押出し、1つのダイスに導き未延伸シートを得た
後、少なくとも1軸に配向させる、いわゆる共押出法に
よる積層がもっとも好ましい。
系フィルムは、A層の表面から深さ3μmまでの層に含
まれる空洞含有率が4体積%以下であり、かつ全体層の
平均空洞率が10体積%以上であることが必要である。
A層の表面から深さ3μmまでの表層に含まれる空洞が
4体積%より多い場合は、特に表面強度の良好なものが
得られない。また空洞率が4体積%以下であるA層の表
層部の厚みが3μmよりも薄い場合も特に表面強度の良
好なものが得られない。従って本発明では、中央部より
空洞の少ないA層の表層部分は、深さが3μmまでの層
であり、そこに含まれる空洞含有率は4体積%以下であ
る必要がある。さらに全体層としては、空洞の平均含有
率が10体積%以上である必要がある。全体層の平均空
洞率が10体積%より少ない場合は空洞含有ポリエステ
ル系フィルム特有の柔軟性が不十分となり、感熱記録像
の鮮明性が不足する。
めには、該重合体混合物中の該熱可塑性樹脂の分散粒子
をA層の表層付近の方が中央部付近より細かくする方法
が有効であり、該ポリエステルと該熱可塑性樹脂の溶融
粘度特性や押出機より溶融押しだしするときの条件を選
ぶことによって得られる。本発明のフィルムは上記空洞
含有ポリエステルフィルムに無色ないしは淡色の塩基性
染料と該塩基性染料と加熱溶融接触して発色せしめうる
呈色剤とを含有する感熱記録層を少なくとも片面に設け
たものである。ここでいう無色ないし淡色の塩基性染料
としては感熱記録体分野で公知の各種の化合物が使用可
能であり、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ
フェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等のトリアリ
ルメタン系染料や3−ジエチルアミノ−6−メチル−7
−フェニルアミノフルオラン等のフルオラン系染料が例
示される。また、呈色剤としても同様に感熱記録体分野
で公知の各種の化合物が使用可能であり、例えば、4,
4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シク
ロヘキシリデンジフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸
ベンジルエステル等が例示される。感熱記録層の形成は
通常、上記の化合物の他にバインダー、無機顔料、各種
助剤等を含有する塗液を空洞含有フィルムに塗布するこ
とによって行われる。塗布量は特に限定されない。感熱
記録層上にはオーバーコート層を設けることも可能であ
り、空洞含有フィルムとの接着性の向上等を目的として
各種下塗層を設けることも可能である。感熱記録体製造
分野における各種公知技術を付加しうるものである。
は、該空洞含有ポリエステルフィルムの耐熱性や機械的
強度を満足させるためである。本発明において、ポリエ
ステルに該ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を混
合し、重合体混合物を得るのは、ポリエステル中に該ポ
リエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂の微細な粒子を分
散させて、次の配向処理によって生じる空洞の核を作る
ためである。本発明において、熱可塑性樹脂B層を設
け、かつA層の表層部3μmまでに含まれる空洞の量を
空洞率4体積%以下にするのは、より表面強度を強くす
るためであり、表面強度が強くなることによってへき開
に対する強さも向上するためである。一方、全体層の平
均空洞率を10体積%以上にするのは、鮮明な感熱記録
像を得ることができるような柔軟性を得るためである。
エタン(4重量部)の混合溶媒に溶解し、30℃で測定
した。 2)ポリスチレン系樹脂のメルトフローインデックス JIS−K7210に準じて、200℃、荷重5kgで
測定した。 3)フィルムの見かけ比重 フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確
に切り出し、その厚みを50点測定し、平均厚みをtμ
mとし、それの重さを0.1mgまで測定しwgとし、
フィルムの見かけ密度を下式によって計算した。 見かけ密度(g/cm 3 )=w/(5×5×t)×10000 また、固体の比重は固体の密度と4℃での水の密度
(0.999973g/cm 3 )との比と一般に定義さ
れ、水の密度は実質上1.00g/cm 3 とみなせるこ
とから、上記フィルムの見かけ密度を水の密度で除する
と、フィルムの見かけ比重は下記のように算出される。
真比重を表す。実施例中の計算において用いた真比重の
値は、ポリエチレンテレフタレート1.40、一般用ポ
リスチレン1.05、アナターゼ型二酸化チタン3.
9、ルチル型二酸化チタン4.2を用いた。
影した後、表層から深さ3μmまでの領域の空洞をトレ
ーシングフィルムにトレースし塗りつぶした図を画像解
析装置で画像処理を行い、空洞率を面積率で求め、この
値をそのまま体積%とし表示した。 ・使用した走査型電子顕微鏡 日立製作所製 S−510型の走査型電子顕微鏡 ・使用した画像解析処理装置 ルーゼックスIID(ニレコ株式会社)
Rメーター(日本精密光学製)を用い、フィルムの光線
透過率を測定した。この値が小さいほど隠ぺい性が高
い。
ープ剥離テストにより表面剥離強度を評価した。剥離角
は空洞含有フィルムを平面に保ち約150度方向で行っ
た。剥離された空洞含有フィルムの面積より、以下のよ
うに差別化した。 クラス5・・・全体が剥離した クラス4・・・ほとんど剥離した クラス3・・・半分程度、剥離した クラス2・・・ほとんど剥離しない クラス1・・・まったく剥離しない
ート樹脂80重量%にメルトフローインデックス2.0
g/10分一般用ポリスチレン15重量%、平均粒径
0.3μmのアナターゼ型二酸化チタン5重量%をA層
の原料とし、B層の原料としてポリエチレンテレフタレ
ート樹脂95重量%、平均粒径0.3μmのルチル型二
酸化チタン5重量%を各々別の2軸スクリュー押出機で
T−ダイスより290℃で溶融押出しし、静電気的に冷
却回転ロールに密着固化し、各層がそれぞれB/A/B
=30/440/30μmの重合体混合物の未延伸シー
トを得た。この時、T−ダイスリット間隔は1.0mm
で、その部分での重合体混合物の融液の平均流速は8.
8m/秒であった。引き続き該未延伸シートをロール延
伸機で83℃で3.5倍縦延伸を行い、引き続きテンタ
ーで130℃で3.5倍横延伸したあと235℃で4%
緩和させながら熱処理し、内部に多数の空洞を含有する
積層ポリエステルフィルムを得た。厚みはB/A/B=
3/44/3μmであった。得られたフィルムのA層
は、表層部の空洞率が2体積%、全体の平均空洞率が2
1体積%であった。また空洞の少ない部分は表層から約
3μmの深さまで存在していた。本実施例で得られた積
層空洞含有フィルムは、表面剥離強度がクラス1であっ
た。なお、本実施例の重合体混合物の未延伸シートのA
層断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、中央部の
ポリスチレンの分散粒子径は平均5.0μmであるのに
対し、表層付近の分散粒子径は平均0.7μmであっ
た。積層フィルムの見かけ比重は1.10、光線透過率
は13%、厚みは50μmであった。このフィルムの片
面に塩基性染料として3−ジエチルアミノ−6−メチル
−7−フェニルアミノフルオラン、呈色剤として4,
4’−イソプロピリデンジフェノール、微粒子状無定型
シリカを酸化澱分とともに、水中に分散した塗液を乾燥
重量が7.0g/m2となるように塗布乾燥して、コー
トフィルムを作製した。このコートフィルムを感熱方式
のファクシミリに通紙した。マクベス濃度計で測定した
記録濃度は1.05であった。
ルフィルムは、従来のポリスチレンやポリオレフィンを
空洞発現剤として用いて得られる空洞含有ポリエステル
フィルムと同様に、軽量性、柔軟性、隠ぺい性、艶消し
性、描画性などを有していると共に、従来の空洞含有ポ
リエステルフィルムに比べ、感熱記録層塗布後の記録特
性に優れ、特に表面剥離強度に優れるために感熱記録ラ
ベルとして好適なフィルムであった。
Claims (1)
- 【請求項1】 ポリエステルに該ポリエステルに非相溶
の熱可塑性樹脂が混合された重合体混合物を少なくとも
1軸に配向することにより作られる微細な空洞を含有す
る単層のポリエステル層(A)の少なくとも片面に、熱
可塑性樹脂からなる層(B)を設け、さらに、その少な
くとも片面に、無色ないしは淡色の塩基性染料と該塩基
性染料と加熱溶融接触して発色せしめうる呈色剤とを含
有する感熱記録層(C)を有する感熱記録用空洞含有ポ
リエステル系フィルムであって、該A層は、その表面か
ら3μmまでに含まれる空洞含有率が4体積%以下であ
り、中央部を含めたA層全体の平均空洞含有率が10体
積%以上50体積%以下であることを特徴とする感熱記
録用空洞含有ポリエステル系フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15781592A JP3185818B2 (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15781592A JP3185818B2 (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH05345476A JPH05345476A (ja) | 1993-12-27 |
JP3185818B2 true JP3185818B2 (ja) | 2001-07-11 |
Family
ID=15657906
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP15781592A Expired - Fee Related JP3185818B2 (ja) | 1992-06-17 | 1992-06-17 | 感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4736647B2 (ja) * | 2005-09-06 | 2011-07-27 | 東洋紡績株式会社 | リライト記録媒体用基材フィルム及びそれを用いたリライト記録媒体 |
-
1992
- 1992-06-17 JP JP15781592A patent/JP3185818B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH05345476A (ja) | 1993-12-27 |
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