JP3185817B2 - 感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルム - Google Patents

感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルム

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感熱記録用ラベル、感
熱記録紙などに用いる際、表面剥離強度や隠ぺい性、白
色性などが改良された、フィルム内部に微細な空洞を多
量に含有した感熱記録用ポリエステルフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂を主原料とした紙代替物である
合成紙は、天然紙に比べて、耐水性、吸湿寸法安定性、
表面安定性、印刷の光沢性と鮮明性、機械的強度などに
優れている。近年、これらの長所を活かした用途展開が
進められている。ポリエステルやポリプロピレンを主原
料とした紙と類似した機能を有するフィルムを得る方法
として、微細な空洞をフィルム内部に多量に含有させる
方法には、フィルム自体を軽量化できる点や適度な柔軟
性を付与できて、鮮明な印刷や感熱記録が可能になると
いう利点がある。従来、空洞含有フィルムを基紙とした
感熱記録体は広く開示されている。(特開昭62−14
829、特開平1−198388)しかしながら、これ
までの感熱記録用空洞含有フィルムは耐熱性、腰の強さ
に問題があるだけでなく、表面強度が不十分であるため
に感熱記録用ラベルとして使用した場合に取扱性が悪い
という欠点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前期の欠点
を解決した、即ち、空洞の大きさを適性化することによ
って、感熱記録印字が鮮明でかつ耐久性のあり、隠ぺい
性や白色性に優れるだけでなく、充分な耐熱性、腰の強
さと表面強度を合わせ持つ感熱記録用空洞含有フィルム
を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、空洞含
有ポリエステル系フィルム(A)の少なくとも片面に、
無色ないしは淡色の塩基性染料と該塩基性染料と加熱溶
融接触して発色せしめうる呈色剤とを含有する感熱記録
(B)を有する感熱記録用空洞含有ポリエステル系フ
ィルムであって、該A層は、ポリエステルに該ポリエス
テルに非相溶の熱可塑性樹脂が混合された重合体混合物
を少なくとも1軸に配向することにより製造される微細
な空洞を多数含有する単層のポリエステル系フィルムで
あり、その表面から中央部方向3μmまでの表層に含ま
れる空洞含有率が4体積%以下であり、かつ、中央部を
含めたA層全体の平均空洞含有率が8体積%以上50体
積%以下であることを特徴とする感熱記録用空洞含有ポ
リエステル系フィルムに関する。
【0005】本発明の該ポリエステルと該ポリエステル
に非相溶性の熱可塑性樹脂を混合させた重合体混合物
は、たとえば、各樹脂のチップを混合し押出機内で溶融
混練した後、押出して固化することによって得られる方
法や、あらかじめ混練機によって両樹脂を混練したもの
を更に押出機より溶融押出して固化する方法や、ポリエ
ステルの重合工程においてポリエステルに非相溶性の熱
可塑性樹脂を添加し、かくはん分散して得たチップを溶
融押出して固化する方法などによっても得られる。該重
合体混合物には、用途に応じて着色剤、耐光剤、蛍光
剤、帯電防止剤などを添加することも可能である。得ら
れた重合体混合物は、更に速度差をもったロール間での
延伸(ロール延伸)やクリップに把持して拡げていくこ
とによる延伸(テンター延伸)や空気圧によって拡げる
ことによる延伸(インフレーション延伸)などによって
少なくとも1軸に配向処理する。配向処理することによ
り、ポリエステルと空洞発現剤の界面で剥離が起こり空
洞が発現する。したがってポリエステルに混合させる該
ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂の量は、目的と
する空洞の量によって異なってくるが、重合体混合物全
体に対して3重量%〜35重量%が好ましい。3重量%
未満では、空洞の生成量を多くすることに限界があり、
目的の柔軟性や軽量性や描画性が得られない。逆に、4
0重量%以上では、ポリエステルフィルムの持つ耐熱性
や強度が著しく損なわれる。
【0006】該重合体混合物を配向処理する条件は、空
洞の生成と密接に関係する。したがって本目的を達成す
るための条件はたとえば、もっとも一般的に行われてい
る逐次2軸延伸工程を例に挙げると、該重合体混合物の
連続シートを長手方向にロール延伸した後に、幅方向に
テンター延伸する逐次2軸延伸法の場合以下のようにな
る。ロール延伸においては多数の空洞を発生させるため
温度をポリエステルの2軸延伸温度+30℃以下、倍率
を1.2〜5倍とするのが好ましい。テンター延伸にお
いては破断せずに安定製膜するため温度を80〜140
℃、倍率を1.2〜5倍とするのが好ましい。延伸配向
処理した空洞含有フィルムは、130度以上好ましくは
180度以上で熱固定を行うと高温での寸法安定性を向
上させることができる。表層のみ空洞の量を少なくする
ためには、該重合体混合物中の該熱可塑性樹脂の分散粒
子を表層付近の方が中央部付近より細かくする方法が有
効であり、該ポリエステルと該熱可塑性樹脂の溶融粘度
特性や押出機より溶融押しだしするときの条件を選ぶこ
とによって得られる。
【0007】本発明のフィルムは上記空洞含有ポリエス
テルフィルムに無色ないしは淡色の塩基性染料と該塩基
性染料と加熱溶融接触して発色せしめうる呈色剤とを含
有する感熱記録層を少なくとも片面に設けたものであ
る。ここでいう無色ないし淡色の塩基性染料としては感
熱記録体分野で公知の各種の化合物が使用可能であり、
例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)
−6−ジメチルアミノフタリド等のトリアリルメタン系
染料や3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フェニル
アミノフルオラン等のフルオラン系染料が例示される。
また、呈色剤としても同様に感熱記録体分野で公知の各
種の化合物が使用可能であり、例えば、4,4’−イソ
プロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリ
デンジフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエ
ステル等が例示される。感熱記録層の形成は通常、上記
の化合物の他にバインダー、無機顔料、各種助剤等を含
有する塗液を空洞含有フィルムに塗布することによって
行われる。塗布量は特に限定されない。感熱記録層上に
はオーバーコート層を設けることも可能であり、空洞含
有フィルムとの接着性の向上等を目的として各種下塗層
を設けることも可能である。感熱記録体製造分野におけ
る各種公知技術を付加しうるものである。
【0008】
【作用】本発明において、ポリエステルを用いるのは、
該空洞含有ポリエステルフィルムの耐熱性や機械的強度
を満足させるためである。本発明において、ポリエステ
ルに該ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を混合
し、重合体混合物を得るのは、ポリエステル中に該ポリ
エステルに非相溶性の熱可塑性樹脂の微細な粒子を分散
させて、次の配向処理によって生じる空洞の核を作るた
めである。本発明において表層3μmに含まれる空洞の
量を空洞率4体積%以下にするのは、表面強度を強くす
るためであり、表面強度が強くなることによって壁会に
対する強さも向上するためである。一方、全体層の平均
空洞率を8体積%以上にするのは、鮮明な感熱記録像を
得ることができるような柔軟性を得るためである。
【0009】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。 1)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをフェノール(6重量部)とテトラクロロ
エタン(4重量部)の混合溶媒に溶解し、30℃で測定
した。 2)ポリスチレン系樹脂のメルトフローインデックス JIS−K7210に準じて、200℃、荷重5kgで
測定した。 3)フィルムの見かけ比重 フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確
に切り出し、その厚みを50点測定し、平均厚みをtμ
mとし、それの重さを0.1mgまで測定しwgとし、
フィルムの見かけ密度を下式によって計算した。 見かけ密度(g/cm )=w/(5×5×t)×10000 また、固体の比重は固体の密度と4℃での水の密度
(0.999973g/cm )との比と一般に定義さ
れ、水の密度は実質上1.00g/cm とみなせるこ
とから、上記フィルムの見かけ密度を水の密度で除する
と、フィルムの見かけ比重は下記のように算出される。
【0010】 見かけ比重(−)=w/(5×5×t)×10000
【0011】4)フィルムの平均空洞率 下式によって計算した。 空洞含有率(体積%)=100×(1−真比容積/見かけ比容積)
【0012】 真比容積=x1/d1+x2/d2+x3/d3+…+xi/di+…
【0013】見かけ比容積=1/フィルムの見かけ比重 上式におけるxiはi成分の重量分率、diはi成分の
真比重を表す。実施例中の計算において用いた真比重の
値は、ポリエチレンテレフタレート1.40、一般用ポ
リスチレン1.05アナターゼ型二酸化チタン3.9
を用いた。
【0014】5)空洞含有フィルムの表層の空洞率 フィルムの断面の表層付近を走査型電子顕微鏡で写真撮
影した後、表層から深さ3μmまでの領域の空洞をトレ
ーシングフィルムにトレースし塗りつぶした図を画像解
析装置で画像処理を行い、空洞率を面積率で求め、この
値をそのまま体積%とし表示した。 ・使用した走査型電子顕微鏡 日立製作所製 S−510型の走査型電子顕微鏡 ・使用した画像解析処理装置 ルーゼックスIID(ニレコ株式会社) 6)光線透過率 JIS−K6714に準じ、ポイック積分球式H.T.
Rメーター(日本精密光学製)を用い、フィルムの光線
透過率を測定した。この値が小さいほど隠ぺい性が高
い。 7)表面剥離強度 セロテープ(18mm幅、ニチバン製)を用い、セロテ
ープ剥離テストにより表面剥離強度を評価した。剥離角
は空洞含有フィルムを平面に保ち約150度方向で行っ
た。剥離された空洞含有フィルムの面積より、以下のよ
うに差別化した。 クラス5・・・全体が剥離した クラス4・・・ほとんど剥離した クラス3・・・半分程度、剥離した クラス2・・・ほとんど剥離しない クラス1・・・まったく剥離しない
【0015】原料として固有粘度0.62のポリエチレ
ンテレフタレート樹脂86重量%とメルトフローインデ
ックス3.0g/10分の一般用ポリスチレン10重量
%及び平均粒径0.3μmのアナターゼ型二酸化チタン
4重量%を2軸スクリュー押出機でT−ダイスより29
0℃で溶融押出しし、静電気的に冷却回転ロールに密着
固化し、引き続きロール延伸機により80℃で3.5倍
縦延伸を行い、引き続きテンターにより130℃で3.
5倍延伸し、220℃で3%緩和させながら熱固定し、
内部に多数の空洞を含有するポリエステルフィルム
(A)を得た。溶融押出し時の重合体混合物融液の平均
流速は8.8m/秒であった。得られた空洞含有ポリエ
ステル系フィルム(A)は、見かけ比重が1.16、
層から深さ3μmまでの領域の空洞率が1体積%、フィ
ルム(A)全体の平均空洞率が16体積%、光線透過率
が15%、厚みが52μmであった。また、表面剥離強
度はきわめて優れ、クラス2の性能を有していた。この
空洞含有ポリエステル系フィルム(A)の片面に、塩基
性染料として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フ
ェニルアミノフルオラン、呈色剤として4,4′−イソ
プロピリデンジフェノール、微粒子状無定型シリカを酸
化澱粉とともに、水中に分散した塗液を乾燥重量が7.
0g/mとなるように塗布乾燥して、感熱記録層
(B)を有するコートフィルムを作成した。このコート
フィルムを感熱方式のファクシミリに通紙した。マクベ
ス濃度計(TR−927:反射モード)を用いて測定し
た記録濃度は1.05であった。
【0016】
【発明の効果】本発明の感熱記録用空洞含有ポリエステ
ルフィルムは、従来のポリスチレンやポリオレフィンを
空洞発現剤として用いて得られる空洞含有ポリエステル
フィルムと同様に、軽量性、柔軟性、隠ぺい性、艶消し
性、描画性などを有していると共に、従来の空洞含有ポ
リエステルフィルムに比べ、感熱記録層塗布後の記録特
性に優れ、特に表面剥離強度に優れるために感熱記録ラ
ベルとして好適なフィルムであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 67/02 C08L 67/02 // B29K 67:00 105:04 B29L 7:00 (56)参考文献 特開 平6−179765(JP,A) 特開 平5−58029(JP,A) 特開 平6−51436(JP,A) 特開 平5−329970(JP,A) 特開 平6−15793(JP,A) 特開 平4−45979(JP,A) 特開 平2−243397(JP,A) 特開 平6−316155(JP,A) 特開 平5−345476(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/28 - 5/34 C08J 9/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空洞含有ポリエステル系フィルム(A)
    少なくとも片面に、無色ないしは淡色の塩基性染料と
    該塩基性染料と加熱溶融接触して発色せしめうる呈色剤
    とを含有する感熱記録層(B)を有する感熱記録用空洞
    含有ポリエステル系フィルムであって、該A層は、ポリ
    エステルに該ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂が混
    合された重合体混合物を少なくとも1軸に配向すること
    により製造される微細な空洞を多数含有する単層のポリ
    エステル系フィルムであり、その表面から中央部方向3
    μmまでの表層に含まれる空洞含有率が4体積%以下で
    あり、かつ、中央部を含めたA層全体の平均空洞含有率
    が8体積%以上50体積%以下であることを特徴とする
    感熱記録用空洞含有ポリエステル系フィルム。
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