JP3185765U - 両軸受リールの駆動軸 - Google Patents

両軸受リールの駆動軸 Download PDF

Info

Publication number
JP3185765U
JP3185765U JP2013002838U JP2013002838U JP3185765U JP 3185765 U JP3185765 U JP 3185765U JP 2013002838 U JP2013002838 U JP 2013002838U JP 2013002838 U JP2013002838 U JP 2013002838U JP 3185765 U JP3185765 U JP 3185765U
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plating film
composite plating
spool
shaft
drag
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2013002838U
Other languages
English (en)
Inventor
孝元 朝河
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimano Inc
Original Assignee
Shimano Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimano Inc filed Critical Shimano Inc
Priority to JP2013002838U priority Critical patent/JP3185765U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3185765U publication Critical patent/JP3185765U/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】ニッケル系複合めっき被膜を備えるめっき被覆部材において、摺動性能を高める両軸受リールの駆動軸を提供する。
【解決手段】駆動軸30は、軸本体30aを有する。軸本体30aは、先端部に設けられる第1雄ねじ部30cと、第1雄ねじ部30cよりも大径であり、外表面にフッ素化合物の微粒子を分散及び共析させたニッケル系の複合めっき被膜30bが形成された第2雄ねじ部30dと、を有する。
【選択図】図5

Description

本考案は、基材の外表面の少なくとも一部にフッ素化合物の微粒子を共析させたニッケル系複合めっき被膜を備えためっき被覆部材、並びにそれを用いた釣り具用部品及び自転車用部品に関する。
ニッケル等の金属めっき被膜中にフッ素化合物の微粒子が取り込まれた複合めっき被膜は、例えば、金属めっき液中にフッ素化合物の微粒子を分散及び共析させてめっきを行うことにより得られる。このような複合めっき被膜は、摺動性、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性などの特性に優れるため、種々の用途に使用されている。
例えば、撥水性、非粘着性及び摺動性を有する複合めっき皮膜(耐食性複合メッキ皮膜)及びそれを施しためっき被覆物が開示されている。(例えば、特許文献1参照)
また、例えば、金属−フッ素化合物複合めっき被膜を調理器具部材に施した調理器具が開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、金属−フッ素化合物複合めっき被膜を樹脂押出機ダイプレートに施した例が開示されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、ロータリベーン形エアモータの構成要素に、ニッケルに粒径1μm未満のフッ素樹脂を分散させた被膜を施したものが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
通常、これらの従来例においては、金属−フッ素化合物複合めっき被膜を形成するにあたっては、酸性浴、中性浴、水酸化アルカリ浴、アンモニアアルカリ浴などを用いる無電解めっき法が、主に用いられる。
この無電解めっき法においては、還元剤に次亜リン酸ナトリウムやジメチルアミンボランなどを用いてめっきすることにより、マトリックス金属とともに、リンやホウ素を共析させ、合金としても用いられることがある。
特許第4681161号公報 特開平7−23862号公報 特開平11−34142号公報 特開平7−247949号公報
従来のようなフッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合めっき被膜を有するめっき被覆部材は、耐摩耗性や耐食性を重視するものである。このため、実際には、複合めっき被膜中のフッ素化合物の共析率を5容量パーセントから30容量パーセント未満程度で行っている
例えば、リールや釣り竿など、直接、手で触れて、その感覚によって、魚がかかったか否かを見極める必要があるので、特に、部品表面の高い摺動性能が要求される。また、摺動性能が低いと摩擦力が大きくなり、釣り竿に設けられた釣り糸ガイドと釣り糸との摩擦が大きくなり、その摩擦による違和感が、釣果に影響することもある。
また、摩擦力が大きいと、自転車用部品においては、例えば、ギア部分に使用した場合、ギア部品間(ギアとチェーン、チェーンの部品間)に生じる摩擦によって、回転力の伝達効率が悪化するだけでなく、そのフィーリングにも、違和感を生じさせるなど、問題がある。さらに、操作部(ブレーキ機構、変速機構等)においても、各部品間で生じる摩擦及びレバー部材などの直接手が触れる部分でのフィーリングに違和感が生じることがある。
本考案の課題は、ニッケル系複合めっき被膜を備えるめっき被覆部材において、摺動性能を高めることにある。
本考案の別の課題は、摺動性能が高いめっき被覆部材を用いた自転車用部品、釣り具用部品を提供することにある。
本考案に係るめっき被覆部材は、基材と、基材の外表面の少なくとも一部にフッ素化合物の微粒子を分散及び共析させたニッケル系複合めっき被膜を有するめっき被覆部材であり、その複合めっき被膜のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下である。
このめっき被覆部材では、ニッケル系複合めっき被膜を有するめっき被覆部材の有する耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ、複合めっき被膜のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下にすることによって、摺動性能を高めることができる。
フッ素化合物が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体から選択された少なくとも一種であってもよい。これらを使用用途、目的によって、適宜選択することで、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ摺動性能をさらに向上させることができる。
めっき被覆部材の複合めっき被膜の膜厚が、0.5μm以上50μm以下であってもよい。複合めっき被膜の膜厚を0.5μm以上50μm以下にすることによって、従来よりも膜厚が厚い複合めっき被膜を形成でき、摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れためっき被覆部材を提供することができる。
基材は、鉄、アルミニウム、ステンレス、チタン及びこれらの合金から選択してもよい。これらを使用用途、目的によって、適宜選択することで、そのめっき被覆部材の強度を選択でき、摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れためっき被覆部材を提供することができる。
複合めっき被膜は、基材の全周に渡って形成されてもよい。この場合、あらゆる角度からの摩擦や衝撃等に対して、その摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れためっき被覆部材を提供することができる。
複合めっき被膜は、電気めっき処理によって、形成されてもよい。この場合、より容易な方法で、基材の全周に渡って複合めっき被膜を均一に形成させることができ、また、複合めっき被膜の膜厚を厚くできる。
上記のめっき被覆部材を自転車用部品に用いてもよい。例えば、ギア部分に使用した場合、ギア部品間(ギアとチェーン、チェーンの部品間)に生じる摩擦によって、回転力の伝達効率が悪化を生じさせることなく、また、摩擦によるフィーリングの違和感を最小限に抑えることができる。さらに、操作部(ブレーキ機構、変速機構等)においても、各部品間で、生じる摩擦やレバー等直接触れる部分で、そのフィーリングの違和感を最小限に抑えることができる。
上記のめっき被覆部材を釣り具用部品に用いてもよい。これによって、例えば、リール及び釣り竿など、直接、手で触れて、その繊細な感覚を実現できる。また、魚がかかったか否かを感じ取るために、特に、重要な竿に設けられた釣り糸ガイドと釣り糸との摩擦による違和感を最小限に抑えることができる。
本考案によれば、ニッケル系複合めっき被膜を有するめっき被覆部材の有する耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ、複合めっき被膜のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下にすることによって、摺動性能を高めることができる。
本考案の第1実施形態を採用した両軸受リールの背面図。 両軸受リールの左側面図。 図2の切断線III−IIIによる断面図。 図2の切断線IV−IVによる断面図。 ドラグ機構、回転伝達機構及びクラッチ機構を含む分解斜視図。 ピニオンギアの断面図。 ピニオンギアの斜視図。 駆動軸及びピニオンギアの外表面の断面模式図。 本考案の第2実施形態を採用したスピニングリールの側面図。 スピニングリールの断面図。 図10のスプール部分の断面拡大図。 ドラグつまみの断面拡大図。 スプール軸の雄ねじ部の外表面の断面模式図。 第3実施形態を採用した釣り竿の側面図。 釣り糸ガイドの正面図。 釣り糸ガイドのガイド部の外表面の断面模式図。 第4実施形態を採用した自転車のクランク組立体の正面図。 図16の切断線XVII−XVIIによる断面図。 スプロケットの外表面の断面模式図。 本考案の第5実施形態を採用した自転車用チェーンの平面図。 チェーンの正面図。 チェーンの外表面の断面模式図。 本考案の第6実施形態を採用したブレーキシステムの概略構成図。 ブレーキ操作装置の一部断面平面図。 ブレーキ操作装置の外表面の断面模式図。
本考案の第1実施形態が採用された両軸受リール100は、図1から図5に示すように、ベイトキャスト用のリールである。両軸受リール100は、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されるスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2よりもリール本体1側に配置されるドラグ力調整用のスタードラグ3とを備える。また、両軸受リール100は、糸巻用のスプール12と、スプール軸16と、回転伝達機構18と、クラッチ機構13と、ドラグ機構21と、を備える。
<リール本体>
リール本体1は、図1から図5に示すように、フレーム5と、フレーム5の両側方を覆う第1側カバー6a及び第2側カバー6bと、を有する。また、リール本体1は、フレーム5の前方を覆う前カバー8aと、第1側カバー6aにねじ等によって固定される軸支持部8bと、をさらに有する。
フレーム5は、ハンドル2と逆側の第1側板7aと、第1側板7aと対向して配置されるハンドル2側の第2側板7bと、第1側板7aと第2側板7bとを連結する複数の連結部7cと、を有する。第1側板7aには、スプール12が通過可能な開口7dが形成される。開口7dには、軸支持部8bが着脱可能に連結される。上側の連結部7cは、サムレストとして使用される。下側の連結部7cには、竿装着部7eが一体形成される。
リール本体1の第1側板7aと第2側板7bの間には、糸巻き用のスプール12が回転自在かつ着脱可能に装着される。第2側板7bには、図5に示すように、それぞれ貫通孔を有する第1ボス部7f及び第2ボス部7gが形成される。第1ボス部7fは、ハンドル2が連結される後述する駆動軸30の基端を回転自在に支持するために設けられる。第2ボス部7gは、ピニオンギア32を回転自在かつ軸方向移動可能に支持するために設けられる。
図4に示すように、第1側カバー6aは、軸支持部8bを介して第1側板7aに着脱可能に連結される。図5に示すように、第2側カバー6bは、第3ボス部6c及び第4ボス部6dを有する。第3ボス部6cは、駆動軸30を回転自在に支持するために設けられる。第4ボス部6dは、スプール12が固定されるスプール軸16及びピニオンギア32を支持するために設けられる。
軸支持部8bは、図4に示すように、有底筒状の部材である。軸支持部8bの内周部には、筒状の軸受収納部8cが形成される。軸受収納部8cは、スプール軸16の一端を支持する軸受24aを内部に収納する。
第1側板7aと第2側板7bの間には、図1、図3及び図4に示すように、スプール12と、スプール12内に釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構15と、サミングを行う場合の親指の当てとなるクラッチ操作部材17とが配置される。クラッチ操作部材17は、スプール軸16回りに揺動してクラッチ機構13を連結状態と解除状態とに切り換え操作するために設けられる。クラッチ操作部材17は、図2に実線で示すクラッチオン位置と、二点鎖線で示すクラッチオフ位置とに揺動する。
図3から図5に示すように、第2側板7bと第2側カバー6bとの間には、回転伝達機構18と、クラッチ機構13と、クラッチ制御機構19と、ドラグ機構21と、キャスティングコントロール機構22と、が配置される。回転伝達機構18は、ハンドル2の回転をスプール12及びレベルワインド機構15に伝えるための機構である。クラッチ制御機構19は、クラッチ操作部材17の操作に応じてクラッチ機構13の係脱及び制御を行うための機構である。クラッチ制御機構19は、図5に示すように、クラッチヨーク39とクラッチカム44とクラッチプレート45とを有する公知の構造である。キャスティングコントロール機構22は、スプール12の回転時の抵抗力を調整するための制動機構である。さらに、第1側板7aと第1側カバー6aとの間には、遠心力によってスプール12を制動するスプール制動装置23が配置される。スプール制動装置23は、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための装置である。
<スプール及びスプール軸>
図4に示すように、スプール12は、外周に釣り糸が巻き付けられる筒状の糸巻胴部12aと、左右一対のフランジ部12bと、ボス部12cと、を有する。フランジ部12bは、糸巻胴部12aの両端にそれぞれ径方向外方に一体的に突出して設けられる。ボス部12cは、スプール軸16に圧入等の適宜の固定手段により固定される。これにより、スプール12は、スプール軸16に一体回転可能に連結される。
スプール軸16は、第2側板7bを貫通して第2側カバー6bの外方に延びる。スプール軸16の一端は、軸支持部8bの軸受収納部8cに収納される軸受24aによって回転自在に支持される。またスプール軸16の他端は、第2側カバー6aに設けられる第4ボス部6d内で軸受24bによって回転自在に支持される。このように、スプール軸16はリール本体1に2箇所で軸受によって支持される。
スプール軸16は、第2側板7bの第2ボス部7gを貫通する。この貫通部分には、クラッチ機構13を構成するクラッチピン20が固定される。クラッチピン20は、クラッチ機構13を構成するクラッチ部の一例である。クラッチピン20は、径方向に沿ってスプール軸16を貫通し、その両端がスプール軸16から径方向に突出する。スプール軸16のクラッチピン20が貫通するピン貫通部16aは、スプール軸16のスプール12を固定する部分と同様に大径に形成される。
<回転伝達機構>
回転伝達機構18は、図3及び図5に示すように、ハンドル2が一体回転可能に連結される駆動軸30と、駆動軸30に装着される駆動ギア31と、駆動ギア31にかみ合うピニオンギア32(図4及び図5参照)と、駆動軸30に一体回転可能に連結される第1ギア33と、第1ギア33に噛み合う第2ギア34と、を有する。第2ギア34は、レベルワインド機構15をハンドル2の回転に応じて左右に往復移動するために設けられる。駆動軸30及びピニオンギア32は、本考案の第1実施形態によるめっき被覆部材及び釣り具用部品の一例である。また、駆動軸30及びピニオンギア32は、本考案の第1実施形態による釣り具用部品の一例である。
駆動軸30は、図3及び図5に示すように、先端部に第1雄ねじ部30cと、第1雄ねじ部30cよりも大径の第2雄ねじ部30dと、を有する軸本体30aと、軸本体30aの外表面の少なくとも一部に形成された複合めっき被膜30bと、を有する。駆動軸30は、釣り具用部品の一例である。軸本体30aは、例えば鉄、アルミニウム、ステンレス、チタン及びこれらの合金から選択される。第1実施形態では、軸本体30aは、ステンレス合金製であり、本考案の第1実施形態による基材の一例である。また、軸本体30aは、ドラグ機構21を動作させるための大径の鍔部30eを後部に有する。駆動軸30は、第2側板7bの第1ボス部7fに装着された軸受43と、第2側カバー6bの第3ボス部6cに装着された軸受46とによってリール本体1に回転自在に支持される。駆動軸30は、ローラ型のワンウェイクラッチ40により糸巻取方向のみ回転可能である。駆動軸30には、ドラグ機構21のドラグ力を受けるドラグ受け部材としてのラチェットホイール36が鍔部30eに接触して一体回転可能に装着される。ラチェットホイール36は、駆動ギア31と鍔部30eとの間に配置される。ラチェットホイール36は、ドラグ受け部材として機能するとともに、クラッチ機構13をクラッチオフ状態からクラッチオン状態に戻すクラッチ戻し機構としても機能する。さらに、ワンウェイクラッチ40と並列に配置された爪式のワンウェイクラッチとしても機能する。
図3に示すように、駆動軸30には、駆動ギア31が回転自在に装着されるとともに、ドラグ機構21のドラグ板37が一体回転可能に装着される。また、駆動軸30の第2雄ねじ部30dには、スタードラグ3のドラグナット3aが螺合する。駆動軸30の先端には、ハンドル2が一体回転可能に装着される。駆動軸30の先端の第1雄ねじ部30cには、ハンドル2を駆動軸30に固定するためのナット53が螺合する。駆動軸30の後端部には、第1ギア33が一体回転可能に装着される。第1ギア33にかみ合う第2ギア34は、レベルワインド機構15の螺軸15aに一体回転可能に連結される。
複合めっき被膜30bは、図8に示すように、基材としての軸本体30aの外表面の一部にフッ素化合物の微粒子を実質的に均一に分散及び共析させたニッケル系複合めっき被膜である。複合めっき被膜30bは、駆動軸30では、例えば図5にドットで模式的に示し、図3に太線で示す軸本体30aの第1雄ねじ部30c及び第2雄ねじ部30dの形成部分に形成されている。複合めっき被膜30bに用いるフッ素化合物は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体からなる群から選択された少なくとも一種である。好ましくは、フッ素化合物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。複合めっき被膜30bの膜厚は、例えば0.5μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。フッ素化合物の共析率は、好ましくはめっき液全体の容量の例えば、30容量パーセント以上70容量パーセント以下である。より好ましくは、フッ素化合物の共析率は、40容量パーセント以上50容量パーセント以下である。
このような配合でニッケルめっき液中に分散及び共析されたフッ素化合物の微粒子によって複合めっき被膜30bを形成することによって、駆動軸30の第2雄ねじ部30dの及び摺動性能を高くすることができる。これにより、駆動軸30と相対回動する駆動軸30の第2雄ねじ部30dとドラグナット3aと間の摺動抵抗が小さくなり、駆動軸30とスタードラグ3との相対回動がスムーズになる。これにより、ドラグ力が大きくなっても軽い操作力でスタードラグ3を操作できるようになる。しかも、スタードラグ3の操作中におけるきしみ音が小さくなり、操作フィーリングが向上する。
図4及び図5に示すように、ピニオンギア32は、ギア本体32aと、複合めっき被膜32bと、を有している。ギア本体32aは、本考案の第1実施形態による基材の一例であり、例えばステンレス合金製又は黄銅合金等の金属製の部材である。ギア本体32aは、スプール軸16が中心を貫通する段付きの貫通孔32iを有する筒状部材である。ピニオンギア32は、両端がリール本体1に回転自在に支持される。具体的には、ピニオンギア32は、一端が第2側板7bの第2ボス部7gに軸受38aにより回転自在に支持され、他端が第2側カバー6bの第4ボス部6dに軸受38bにより回転自在に支持される。このようにピニオンギア32がリール本体1に両端で支持されるので、ピニオンギアが傾きにくくなり、ピニオンギア32がスプール軸16と接触しない。このため、スプール12の自由回転の回転速度が減速しにくい。
ピニオンギア32は、軸受38a及び軸受38bによって、リール本体1にスプール軸方向に移動自在にも支持される。ギア本体32aは、図6及び図7に示すように、第1支持部32cと、ギア部32dと、くびれ部32eと、第2支持部32fと、を有する。
第1支持部32cは、ピニオンギア32の一端に設けられ、軸受38aを介して回転自在かつ軸方向移動自在に第2側板7bの第2ボス部7gに支持される。第1支持部32cは、クラッチピン20が係合する複数の係合溝32hが形成されたクラッチ係合部32gを有する。複数の係合溝32hは、径方向に沿って形成される。複数の係合溝32hは、例えば、90度交差して径方向に沿って2本設けられている。
ギア部32dは、第1支持部32cと間隔を隔てて配置され、駆動ギア31にかみ合い可能である。ギア部32dは、ピニオンギア32のギア部32dを除く加工が終了した後に貫通孔32iを塞いで複合めっき被膜32bを形成した後に、歯切り等の適宜の機械加工によって形成される。したがって、ギア部32dには、複合めっき被膜32bは形成されない。
くびれ部32eは、第1支持部32cとギア部32dとの間に配置される。くびれ部32eの外径D1は、第1支持部32aよりも小径である。しかし、くびれ部32eの外径D1は、第2支持部32fの外径D2よりも大きい(D1>D2)。このように、駆動ギア31がかみ合うギア部32dとスプール軸16に連結されるクラッチ係合部32gの間に配置されるくびれ部32eの外径D2が第2支持部32fの外径D1よりも大きいので、ピニオンギア32の剛性が高くなり、ピニオンギア32の回転伝達効率が高くなる。
くびれ部32eには、クラッチ制御機構19を構成するクラッチヨーク39が係合する。クラッチヨーク39は、クラッチ操作部材17が図2に二点鎖線で示すクラッチオフ位置にあると、図4に示すオフ位置に配置される。また、クラッチ操作部材17が図2に実線で示すクラッチオン位置にあると、クラッチヨーク39は、図4に示すオフ位置よりスプール12に接近した側(図4左側)のオン位置にピニオンギア32とともに移動する。これにより、クラッチピン20が係合溝32hと係合してクラッチ機構13がクラッチオン状態になる。したがって、クラッチ機構13は、クラッチピン20とピニオンギア32とにより構成される。なお,クラッチヨーク39は、一対のコイルばね35(図5参照)によってオン位置に付勢される。
このように、ピニオンギア32は、回転伝達機構18を構成し、ハンドル2に連動して回転して、ハンドル2の回転をスプール12に伝達するとともに、クラッチ操作部材17の操作に応じてスプール軸16方向に往復移動する。くびれ部32eの外径D1は、第2支持部32fの外径D2よりも大きい。これにより、ピニオンギア32の剛性が高くなり、ピニオンギア32が捩れにくくなる。このため、ピニオンギア32の回転伝達効率が高くなる。
第2支持部32fは、ピニオンギア32の他端に配置される。第2支持部32fは、軸受38bを介して第2側カバー6bの第4ボス部6dに回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。軸受38bは、第4ボス部6d内で、スプール軸16を支持する軸受24bとスペーサ42を挟んで配置される。
複合めっき被膜32bは、図6及び図7に示すように、少なくとも第1支持部32cの外周面に形成される。この実施形態では、複合めっき被膜32bは、図6に太線で示すとともに、図7にドットで示すように、第1支持部32cの外周面に加えて、くびれ部32e、第2支持部32f及び係合溝32hに形成される。複合めっき被膜32bは、図8に示すように、駆動軸30の複合めっき被膜30bと同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。複合めっき被膜32bの共析率は、駆動軸30と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、第1実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜115bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
このような構成されたピニオンギア32は、筒状の金属素材を機械加工してギア部32dの歯切りを除いてクラッチ係合部32gを含む第1支持部32c、くびれ部32e、第2支持部32f、及び貫通孔32iを形成する。そして、貫通孔32iを塞いでフッ素系化合物の微粒子を分散及び共析させたニッケルめっき液が貯留されためっき槽にギア本体32aを漬けて電気めっき処理を行う。電気めっき処理が終わると、ギア部32bを歯切り加工する。
<ドラグ機構>
ドラグ機構21は、クラッチオン状態のとき、駆動ギア31を介してスプール12の糸繰り出し方向の回転を制動する。ドラグ機構21は、スタードラグ3によりドラグ力が調整される。ドラグ機構21は、図3及び図5に示すように、ワンウェイクラッチ40の内輪40aを介して、ハンドル2の回転及びスタードラグ3の押圧力が伝達される。ドラグ機構21は、内輪40aに一体回転可能に連結されるドラグ板37(図3参照)と、ラチェットホイール36と、を有する。ドラグ板37と駆動ギア31との間、及び駆動ギア31とラチェットホイール36との間には、ドラグ作動時に駆動ギア31が滑らかに滑るようにするためにフェルト製またはグラファイト製の第1ドラグ座金41a及び第2ドラグ座金41bが装着される。
<キャスティングコントロール機構>
キャスティングコントロール機構22は、図4に示すように、第1摩擦プレート51a及び第2摩擦プレート51bと、制動キャップ52と、を有する。第1摩擦プレート51a及び第2摩擦プレート51bは、スプール軸16の両端を挟むように配置される。制動キャップ52は、第1摩擦プレート51a及び第2摩擦プレート51bによるスプール軸16の挟持力を調節するための部材である。第1摩擦プレート51aは、制動キャップ52内に配置される。制動キャップ52は、第4ボス部6dの外周面に螺合する。第2摩擦プレート51bは、軸支持部8b内に装着される。
<スプール制動装置>
スプール制動装置23は、図4に示すように、回転部材62と、複数(例えば6つ)のブレーキシュー(図示せず)と、ブレーキドラム66と、移動機構(図示せず)と、を備える。スプール制動装置23はスプール軸16及び軸支持部8bに装着される。スプール制動装置23は、キャスティング時にスプール12の糸繰り出し方向の回転を遠心力によって制動する。
このように構成された両軸受リール100の駆動軸30では、軸本体30aのドラグナット3aが螺合する第2雄ねじ部30dに複合めっき被膜30bが形成される。複合めっき被膜30bにおいて、フッ素化合物の共析率が好ましくは30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは40容量パーセントから50容量パーセントにしたので、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ、摺動性能を高める、すなわち摺動抵抗を低くすることができる。これによって、ドラグ力が大きくなっても軽い操作力でスタードラグ3を操作できるようになる。しかも、スタードラグ3の操作中におけるきしみ音が小さくなり、操作フィーリングが向上する。
また、両軸受リール100のピニオンギア32では、リール本体1の第2側板7bの第2ボス部7gに軸受38aを介して回転自在かつ軸方向移動自在に支持されるギア本体32aの第1支持部32cの外表面に複合めっき被膜32bが形成される。複合めっき被膜32aは、表面粗さが機械加工面よりも小さくなるため、軸受38aの内周面と第1支持部32acとの摺動抵抗を小さくすることができる。ここでは、カラーなどの摺動抵抗を小さくするための部材を用いることなく軸受38aと第1支持部32cとの摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、軸受38aの大型化及びピニオンギア32の強度の低下を招くことなく、軸受38aを介してリール本体1に支持されたピニオンギア32を円滑に軸方向に移動させることができる。
<第2実施形態>
図9から図13において、本考案の第2実施形態が採用されたスピニングリール200は、ハンドル101を回転自在に支持するリール本体102と、ロータ103と、スプール104と、ドラグ機構160(図10参照)と、を備えている。ロータ103は、スプール104に釣り糸を巻き付けるものであり、リール本体102の前部に回転自在に支持される。スプール104は、外周面に釣り糸を巻き取るものであり、ロータ103の前部に前後移動自在に配置される。なお、ハンドル101は、図9に示すリール本体102の左側と、リール本体102の右側とのいずれにも装着可能である。
ハンドル101は、図9に示すように、ハンドル軸110の先端に装着されるハンドルアーム108と、ハンドルアーム108の先端に装着されたハンドル把手109とを備えている。
<リール本体>
リール本体102は、図9及び図10に示すように、開口102dを有する、例えばアルミニウム合金製のリールボディ102aと、開口102dを塞ぐようにリールボディ102aに着脱自在に装着された、例えばアルミニウム合金製の蓋部材102b(図10参照)と、リールボディ102aから斜め上前方に延びる竿取付脚102cとを有する。リールボディ102aは、内部に空間を有しており、その空間内には、ロータ103をハンドル101の回転に連動して回転させるロータ駆動機構105と、スプール104を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構106とが設けられている。
<ロータ駆動機構>
ロータ駆動機構105は、図10に示すように、ハンドル101のハンドル軸110が固定された駆動ギア軸111aとともに回転する駆動ギア111と、この駆動ギア111に噛み合うピニオンギア112とを有する。ピニオンギア112は筒状に形成されており、その前部112aはロータ103の中心部を貫通しており、ナット113によりロータ103と固定される。ピニオンギア112は、その軸方向の中間部と後端部とが、リールボディ102aに間隔を隔てて装着された軸受114a,114bによりリールボディ102aに回転自在に支持される。
<オシレーティング機構>
オシレーティング機構106は、スプール104の中心部にドラグ機構160を介して連結されたスプール軸115を前後方向に移動させてスプール104を同方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構106は、スプール軸115の下方に平行に配置されたトラバースカム軸121と、トラバースカム軸121に沿って前後方向に移動するスライダ122と、トラバースカム軸121の先端に固定された中間ギア123とを有する。スライダ122にはスプール軸115の後端が回転不能に固定される。中間ギア123は、ピニオンギア112に直接又は図示しない減速機構を介して間接的に噛み合っている。
<スプール軸>
スプール軸115は、ピニオンギア112の中心部を貫通して配置される。スプール軸115は、ピニオンギア112の内部をオシレーティング機構106により前後に往復移動する。スプール軸115は、中間部がナット113内に装着された軸受116により、後部がピニオンギア112の後部内周面により、回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。スプール軸115は、図12に示すように、軸本体115aと、軸本体115aの外表面の少なくとも一部に設けられる複合めっき被膜115bと、を有している。スプール軸115は、本考案の第2実施形態によるめっき被覆部材及び釣り具用部品の一例である。また、軸本体115aは、例えば、ステンレス合金製であり、本考案の第2実施形態による基材の一例である。スプール軸115がピニオンギア112と相対回転しながら前後移動するときに、ピニオンギア112にスプール軸115がかじりつくのを防止するために、軸本体115aの外表面には、硬質ニッケルめっきが施される。スプール軸115の先端には、図12に示すように、互いに平行な面で構成された回り止めのための係止面115cと、ドラグ調整用の雄ねじ部115dとが形成される。
複合めっき被膜115bは、雄ねじ部115dの外表面に形成される。第1実施形態と同じく、複合めっき被膜として、フッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。共析率も、第1実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、第1実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜115bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
<ロータ>
ロータ103は、図10に示すように、筒状の連結部130と、連結部130の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム131及び第2ロータアーム132と、を有するロータ本体133と、ロータ本体133に揺動自在に装着されたベールアーム134と、を有する。ロータ本体133は、たとえばアルミニウム合金製であり一体成形される。
連結部130の前部には前壁130aが形成されており、前壁130aの中央部にはボス部130bが形成される。ボス部130bの中心部には貫通孔130cが形成されており、この貫通孔130cをピニオンギア112の前部112a及びスプール軸115が貫通する。前壁130aの前部にナット113が配置される。
第1ロータアーム131は、連結部130から外方に凸に湾曲して前方に延びており、連結部130の周方向に広がり湾曲する。第2ロータアーム132は、連結部130から外方に凸に湾曲して前方に延びており、連結部130との接続部は連結部130の周方向に広がり湾曲する。なお、第2ロータアーム132には、軽量化のために開口(図示せず)が形成される。
図10に示すように、ロータ103の連結部130の内部にはロータ103の逆転を禁止するための逆転防止機構150が配置される。逆転防止機構150は、内輪が遊転するローラ型のワンウェイクラッチ151を有する。この逆転防止機構150は、ロータ103の糸繰り出し方向の逆転を常時禁止しており、逆転を許可する状態をとることはない。なお、逆転防止機構を逆転禁止状態と逆転許可状態とに切り換えできるように構成してもよい。
<スプール>
スプール104は、図10に示すように、ロータ本体133の第1ロータアーム131と第2ロータアーム132との間に配置されており、スプール軸115の先端に装着される。スプール104は、図11に示すように、外周に釣り糸が巻かれる、たとえばアルミニウム合金製の糸巻き胴部104aと、糸巻き胴部104aの後部に一体で形成されたスカート部104bと、糸巻き胴部104aの前端に一体形成された前フランジ部104cとを有する。スプール104の内部には、設定されたドラグ力がスプール104に作用するようにスプール104を制動するドラグ機構160が収納される。
糸巻き胴部104aは、円筒状の部材であり、外周面はスプール軸115と平行な周面で構成される。糸巻き胴部104aは、釣り糸が巻き付けられる筒状部104dと、筒状部104dの内周面に一体形成された円板状の支持壁部104eと、支持壁部104eの内周側に形成された筒状の軸支部104fと、を有する。
スカート部104bは、糸巻き胴部104aの後方から径方向に延びる後フランジ部104hと、後フランジ部104hの外周側から後方に筒状に延びる円筒部104iと、を有する。この円筒部104iの内側にロータ103の連結部130が配置される。
前フランジ部104cの外周面には、釣り糸を糸巻き胴部4aからスムーズに放出するための金属製のスプールリング120が装着される。スプールリング120は、先広がりの傾斜面120aを有する。スプールリング120は、リング固定部材119により前フランジ部104cに固定される。リング固定部材119は、前フランジ部104cから前方に突出する筒状の雌ねじ部104jに螺合する。
糸巻き胴部104aの内部において、支持壁部104eの前方には、ドラグ機構160を収納するためのドラグ収納筒部152が一体回転可能に装着される。ドラグ収納筒部152の前方には、軸支部104fとでスプール104をスプール軸115に対して回転自在に支持するための支持筒部153が装着される。
ドラグ収納筒部152の内部には、ドラグ機構160の後述する摩擦機構162が収納される。ドラグ収納筒部152は、スプール104と一体回転する。
支持筒部153はその前方でスプール104内部に装着された線材製の抜け止めばね155によりドラグ収納筒部152とともに抜け止めされる。抜け止めばね155は、糸巻き胴部104aの前面とリング固定部材119の後面との隙間でスプール104内に保持される。
スプール軸115の外周面には、スプール104をスプール軸115に対して回転自在に支持するための2つの軸受158a,158bが装着される第1支持部156及び第2支持部157が嵌め込まれる。第1支持部156は、スプール軸115に回転可能に装着される。
第2支持部157は、図11に示すように、スプール軸115の前側部分に形成された係止面115cの後部に固定される。軸受158bの外輪は、糸巻き胴部104aの軸支部104fに装着される。第2支持部157は、止めねじ159により、スプール軸115に回転不能に固定される。止めねじ159は、すり割り付きのホローセットスクリューを用いたものであり、第2支持部aを貫通してねじ孔にねじ込まれる。
このような構成のスプール104では、糸巻き胴部104aの支持壁部104eの前方に支持筒部153を設け、支持筒部153に軸受158aを配置したので、軸支部104fに2つの軸受を並べる従来の構成に比べて、2つの軸受158a,158bの軸方向の間隔を広くすることができる。このため、スプール104の支持間隔が広くなり、スプール104のがたつきを抑えることができる。
<ドラグ機構>
ドラグ機構160は、図11に示すように、スプール104の糸繰り出し方向への回転を制動してスプール104にドラグ力を作用させるための機構である。ドラグ機構160は、ドラグつまみ161と、前述したスプール軸115と、摩擦機構162と、ドラグ発音機構186を備えている。ドラグつまみ161は、ドラグ力を手で調整するための操作部材である。ドラグつまみ161により摩擦機構162がスプール104側に押圧されてドラグ力が調整される、摩擦機構162は、たとえば4枚のドラグ座金162a〜162dを有する。
ドラグつまみ161は、図12に示すように、第1つまみ部材166及び第1つまみ部材166に対して相対回転する第2つまみ部材167を有するつまみ部163と、第1つまみ部材166と第2つまみ部材167との相対回転により発音する図示しないつまみ発音機構と、を有する。
つまみ部163は、第1つまみ部材166及び第2つまみ部材167に加えて第1つまみ部材166及び第2つまみ部材167を軸方向移動不能かつ回転自在に連結する連結部材174をさらに有する。
第1つまみ部材166は、リング状の鍔部166aと、鍔部166aより小径の円筒部166bとを有する鍔付き筒状の、例えばアルミニウム合金等の金属製の部材である。第1つまみ部材166は、スプール軸115に回転不能かつ軸方向移動自在に設けられている。鍔部166aの前端面には、つまみ発音機構を構成する音出し円板169が一体回転可能に設けられている。
音出し円板169は、合成樹脂製の部材であり、その前面には、周方向に間隔を隔てて多数の音出し凹部169aが形成される。音出し円板169の後面には、鍔部166aに形成された複数の連結孔166eに嵌合する複数の連結突起169bが形成される。これにより音出し円板169は、第1つまみ部材166に対して回り止めされる。
円筒部166bの内周部には、スプール軸115の係止面115cに回転不能に係合する長円状の係止スロット166cが形成される。円筒部166bの後端面が第1支持部156を介して摩擦機構162のドラグ座金162aに当接する。
第2つまみ部材167は、第1つまみ部材166に対向して配置され、第1つまみ部材166と相対回動自在に設けられている。第2つまみ部材167は、スプール軸115に螺合するとともに、鍔部166aを覆うように第1つまみ部材166に向けて筒状に突出する部材である。第2つまみ部材167は、つまみ体171と、つまみ体171に回転不能かつ軸方向移動自在に装着され、スプール軸115の雄ねじ部115dに螺合する雌ねじ部172aを有するナット部材172と、ナット部材172と第1つまみ部材166との間に圧縮状態で配置されたコイルばねからなるばね部材173とを有する。
つまみ体171は、円板部175aと、円板部175aより小径の筒状の突出部175bと、を有する合成樹脂製のつまみ本体175と、つまみ本体175の前面に固定された金属製の円板状のカバー部176と、カバー部176の前面に径方向に沿って固定された金属製の操作つまみ177と、を有する。
つまみ本体175の円板部175aの背面側からは、4本のボルト部材180a〜180dが挿入され,カバー部176を貫通して操作つまみ177にねじ込まれている。これにより、カバー部176と操作つまみ177がつまみ本体175に固定される。
突出部175bは、第1つまみ部材166の鍔部166aを覆うように第1つまみ部材166に向けて筒状に突出する。突出部175bで覆われた第1つまみ部材166の鍔部166aは、突出部175bの内周面に装着された連結部材174により抜け止めされる。これにより、第1つまみ部材166と第2つまみ部材167とが相対回転自在かつ軸方向移動不能に連結される。つまみ本体175の内周部には、ナット部材172が軸方向移動自在かつ一体回転可能に収納されるナット収納部175cが形成される。
カバー部176は、つまみ本体175の円板部175aの前面及び外周面の一部を覆うように形成される。この結果、ドラグつまみ161の機構部分を構成する合成樹脂製のつまみ本体175はスプール104内に隠れて外部に露出しなくなる。カバー部176の前面は、中心部分に向けて徐々に厚みが薄くなるように凹んでいる。操作つまみ177は、カバー部176の直径に沿って配置され、前方に突出する。
連結部材174は、弾性を有する金属線材を折り曲げて形成された部材である。連結部材174は、略正方形の角に相当する4つの角部を有するC字状のばね部材である。連結部材74は、突出部175bの内周面に形成された環状溝に角部が係止されることにより突出部175bの内周面に装着される。連結部材174は、角部の間の3つの円弧部が鍔部166aの後面に接触することにより、鍔部166aを抜け止めする。
ナット部材172は、たとえば六角ナットであり、スプール軸115の先端外周面に形成された雄ねじ部115dに螺合し、つまみ本体175の回動に応じてばね部材173を圧縮する。
つまみ発音機構は、ドラグ操作時に第2つまみ部材167と第1つまみ部材166とが相対回転すると、音出し凹部169aとの衝突を繰り返して発音する。
摩擦機構162のドラグ座金162aは、図11に示すように、第1つまみ部材166に第1支持部156を介して接触し、かつスプール軸115に対して回転不能な金属製の円板部材である。ドラグ座金162bは、スプール104に対して一体回転可能な金属製の円板部材である。ドラグ座金162cは、ドラグ座金162aと同様にスプール軸115に対して回転不能な金属製の円板部材である。ドラグ座金162dは、スプール104及びスプール軸115に対して回転自在なたとえばフェルト製又はグラファイト製の円板部材である。ドラグ座金162bは、スプール104に対して一体回転可能になっている。
ドラグ座金162a〜162dは、支持筒部153を支持する第1支持部156により抜け止めされる。したがって、支持筒部153の前方に配置された抜け止めばね155を外さないと、ドラグ座金162a〜162dは着脱できない。
ドラグ発音機構186は、ドラグの作動によりスプール軸115とスプール104とが相対回転すると発音する機構である。
第2支持部157の後面には、第2支持部157の第1係止面157cに係合する、たとえば合成樹脂製の3枚のスプール位置調整ワッシャ182と、スプール104の後方への移動を規制する2枚の規制ワッシャ183,184とが装着される。規制ワッシャ183,184は、スプール軸115の係止面115cに係合する係止スロット173a,174aが内周部に形成されており、スプール軸115に対して回転不能である。規制ワッシャ184は、段付きワッシャであり、規制ワッシャ183とでシール部材185を保持する。シール部材185の外周部は、ドラグ発音機構186の内周面に接触する。シール部材185は、スプール104の後面から摩擦機構162を含むスプール104内部への液体の流入を防止するために設けられている。
<リールの操作及び動作>
釣りを行う前に魚の大きさや種類に合わせてドラグ力を調整する。ドラグ力を調整するには、ドラグつまみ161を回す。ドラグつまみ161をたとえば時計回りに回すと、スプール軸115に螺合するナット部材172によりばね部材173を介して第1つまみ部材166が摩擦機構162側に押圧される。これによりドラグ力が大きくなる。このとき、第1つまみ部材166と第2つまみ部材167とが相対回転すると、つまみ発音機構が作動し、歯切れがよい軽快なクリック音が発生する。
キャスティング時には、ベールアーム134を糸開放姿勢に反転させる。これにより釣り糸をスプール104から放出可能になる。この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。この状態でハンドル101を糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構105によりロータ103が糸巻取方向に回転し、ベールアーム134がベール反転機構(図示せず)により糸巻取位置に復帰し、釣り糸がベールアーム134によってスプール104に巻き取られる。
ジギングを行う場合、巻取時に釣り上げる魚に応じてドラグ力を調整しなければならない状況が発生することがある。この場合でも、スプール軸115の雄ねじ部115dの表面に複合めっき被膜115bが形成されるため、ドラグつまみ161との摺動性能が高くなる。このため、ドラグ力が大きくなっても軽い操作力でドラグつまみ161を操作できるようになる。
<第3実施形態>
図14において、本考案の第3実施形態が採用された釣り竿300は、元竿201と、元竿の穂先側に連結された少なくとも1本の中竿202と、中竿202の穂先側に連結された穂先竿203との3本の竿体から構成されている。なお、竿体の本数はこれに限定されず、任意に設定可能である。
<元竿>
元竿201は最も竿元側に位置する太径の竿体である。炭素繊維などの強化繊維を引き揃えた上で合成樹脂を含浸させたプリプレグ素材を焼成して製造される管状体からなる。元竿201の竿元側の竿体の外周面にはリアグリップ204が装着され、その穂先側にはリール(図示せず)を脱着自在に装着するためのリールシート205が設けられ、その穂先側にはさらにフロントグリップ206が装着されている。リアグリップ204及びリアグリップ206はそれぞれウレタンゴム等から製造されるパイプ状の部材であり、管状体の所定の周面に接着剤等で固定されている。リールシート205はリールの脚部を軸方向に挟み込んで固定する部分である。リールシート205は、リール装着面205aを有する。また、この元竿201の穂先側の外周面には釣り糸ガイド207が装着されている。
<元竿用の釣り糸ガイド>
図15に示すように、この釣り糸ガイド207は、元竿201の管状体の外周面に固定される部材である。釣り糸ガイド207は、釣り具用部品の一例である。釣り糸ガイド208は、元竿201の管状体の外周面に固定される固定部211と、固定部211より起立する脚部212と、脚部212の頭端に形成された元竿201の軸方向に沿って貫通する貫通孔213aを有するガイドフレーム213と、貫通孔213aにはめ込まれ釣り糸Lが挿通可能なガイドリング214とを有している。
固定部211は硬質の合成樹脂等の左右の半割部材から形成され、左右の半割部材を貼り合わせ面で接着固定などして形成される、元竿201が貫通可能なパイプ状の部材である。パイプの内周面と元竿201の外周面との圧入または両者の接着などの適宜の固定手段により、元竿201の所定の軸方向位置の周面に固定されている。元竿201の所定の軸方向位置における管状体の外径と固定部211のパイプの内径との圧入することにより、両者は位置決めされる。固定部211のパイプ状部分の外周側の一部は開口する受け部となっており、脚部212の回転部を受ける収納部分となっている。
固定部211の受け部から起立するのが脚部212である。脚部212は、チタン,アルミニウムなどの金属若しくは硬質合成樹脂から構成される。脚部212の柱状の部分の頭端側に円盤状に広がるガイドフレーム213が形成される。ガイドフレーム213はその円盤状の部分の中央を貫通する貫通孔213aが形成されており、ここにガイドリング214がはめ込まれて固定されている。ガイドリング214は、釣り糸Lが内部を挿通可能なリング部材であり、環状のリング本体214aと、リング本体214aの外表面に形成される複合めっき被膜214bと、を有する。ガイドリング本体214aはステンレス合金などの硬質の金属製の部材から形成されたリングである。リング本体214aは、本考案の第3実施形態による基材の一例である。ガイドリング214の周方向位置は、リールシート205のリール装着面と一致する。ガイドリング214は、本考案の第3実施形態によるめっき被覆部材及び釣り具用部品の一例である。
複合めっき被膜214bは、ガイドリング214の外表面に形成される。複合めっき被膜214bは、図16に示すように第1実施形態と同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。複合めっき被膜214bの共析率は、第1実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、第1実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜115bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
<中竿>
中竿202は元竿201の穂先側に連結される竿体であり、元竿201と同様にプリプレグ素材を焼成してなる先細りテーパの施された管状体からなる。中竿202の外周面には、軸方向に間隔を隔てて複数の釣り糸ガイド208が設けられる。元竿201に対する連結手法は、いわゆる振出形式,並継形式,インロー継形式など任意のものを選択可能である。例えば、振出形式を採用する場合には、釣り糸ガイド208は、中竿202の外周面上を軸方向に滑動可能とする必要が生じる。
<中竿用の釣り糸ガイド>
図15に示すように、この釣り糸ガイド208は、大きさを除いて釣り糸ガイド207と同様な構成である。したがって、ガイドリング214は、リング本体214aと複合めっき被膜214bと、を有する。複合めっき被膜214bは、釣り糸ガイド207と同様な構成である。なお、中竿202が振出形式で元竿201に連結される場合は、釣り糸ガイド208の固定部211は、中竿202の外周面に軸方向移動可能に設けられる。
<穂先竿>
穂先竿203は中竿2の穂先側に連結される細経の竿体である。他の竿体と同様にプリプレグ素材を焼成した管状体若しくは中実のソリッド体である。穂先竿の外周面には、釣り糸ガイド209が軸方向に間隔を隔てて配置されている。穂先竿203の穂先側端部にはトップガイド210が接着剤等により固定されている。
<穂先竿用の釣り糸ガイド及びトップガイド>
釣り糸ガイド209は、釣り糸ガイド207及び釣り糸ガイド208と大きさを除いて同様な構成である。したがって、ガイドリング214は、リング本体214aと複合めっき被膜214bと、を有する。複合めっき被膜214bは、釣り糸ガイド207と同様な構成である。なお、穂先竿203が振出形式で中竿202に連結される場合は、釣り糸ガイド209の固定部211は、中竿202の外周面に軸方向移動可能に設けられる。
トップガイド210は、穂先竿203の先端の一部が差し込まれた本体部210aと、その本体部210aに起立するようにはめ込まれたガイドリング214とを有する。ガイドリング214は、釣り糸ガイド207と同様構成である。
このような構成の釣り竿300においても、釣り糸Lが接触するガイドリング214の外表面に複合めっき被膜214bが形成されるため、釣り糸Lの摺動抵抗が小さくなり、キャスティング時の仕掛けの飛行距離が長くなる。また、釣り糸Lを巻き取るときの摺動抵抗が小さくなり、釣り糸Lの巻取が容易になる。
<第4実施形態>
図17及び図18において、本考案の第4実施形態が採用された自転車のクランク組立体351は、大径の第1スプロケット371と、小径の第2スプロケット372と、第1スプロケット371及び第2スプロケット372を複数(例えば5本)の固定ボルト390及びナット391により固定可能なギアクランク358と、を有している。ギアクランク358は、クランク連結部375と、5つのスパイダーアーム部376と、右クランクアーム377と、を有している。クランク連結部375は、円形の空間で構成されクランク軸354の右端が一体回転可能に連結される係合凹部378を有する。5つのスパイダーアーム部376は、右ランク連結部375から放射状に延び、第1スプロケット371及び第2スプロケット372を先端に装着可能である。スパイダーアーム部376の先端には、取付孔376bを有するスプロケット取付部376aが形成されている。右クランクアーム377は、クランク軸354の右端に固定され先端にペダル装着孔377aが形成される。
<第1スプロケット及び第2スプロケット>
図18に示すように、第1スプロケット371は、第1スプロケット本体371aと、第1スプロケット本体371aの外表面に形成された第1複合めっき被膜371bと、を有する。第2スプロケット372は、第2スプロケット本体372aと、第2スプロケット本体372aの外表面に形成された第2複合めっき被膜372bと、を有している。第1スプロケット本体371a及び第2スプロケット本体372aは、本考案の基材の一例である。また、第1スプロケット371及び第2スプロケット372は、本考案の第4実施形態によるめっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。
第1スプロケット本体371aの外周部には、複数の第1ギア歯371cが周方向に間隔を隔てて設けられている。第1ギア歯371cの数は、例えば46から54の範囲である。第2スプロケット本体372aの外周部には、複数の第2ギア歯372cが周方向に間隔を隔てて設けられている。第2ギア歯372cの数は、例えば32から38の範囲である。第1スプロケット本体371a及び第2スプロケット本体372aは、例えば、アルミニウム合金材,ステンレス合金材,及びチタン合金材のいずれかひとつを用いた環状の部材である。なお、この実施形態ではアルミニウム合金材を用いている。
第1スプロケット本体371a及び第2スプロケット本体372aの内周部には、径方向内方に突出してギアクランク358のスプロケット取付部376aに各別に連結される5つの第1クランク取付部371d及び第2クランク取付部372dが形成されている。第1クランク取付部371d及び第2クランク取付部372dには、同芯上に配置される第1貫通孔371e及び第2貫通孔372eが各別に形成される。第1貫通孔371e及び第2貫通孔372eは、それぞれ大径の座面を有する段付きの孔である。固定ボルト390及び固定ナット391は、座面に係止される大径の頭部390a及び頭部391aを各別に有している。第1貫通孔371e(図18では、372eになっています。)、取付孔376b及び第2貫通孔372eに固定ボルト391及び固定ナット390が挿入される。第4実施形態では、固定ボルト390は、第2貫通孔372eから挿入され、第1貫通孔371eから挿入された固定ナット391が締め込まれる。
第1複合めっき被膜371b及び第2複合めっき被膜372bは、第4実施形態では、例えば図18に太線で示す第1ギア歯371c及び第2ギア歯372cを含んで形成される。第1複合めっき被膜371b及び第2複合めっき被膜372bは、図19に示すように第1実施形態と同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。第1複合めっき被膜371b及び第2複合めっき被膜372bの共析率は、第1実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、第1実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜115bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
このような構成の第1スプロケット371及び第2スプロケット372では、第5実施形態で説明するチェーン422が接触してもチェーン422との摺動抵抗が小さくなり、チェーン422との摩擦力が小さくなる。このため、チェーン422をスムーズに駆動できるとともに、変速時に一方のスプロケットから他方のスプロケットにチェーン422が移動するとき、チェーン422がスムーズに移動する。
<第5実施形態>
図20及び図21において、本考案の第5実施形態が採用された自転車用のチェーン422は、一対の外側リンクプレート430と、一対の外側リンクプレート430と交互に配置された一対の内側リンクプレート431と、両リンクプレート430,431を連結する連結ピン432と、一対の内側リンクプレート431の内側に配置され連結ピン432の軸回りに回転自在なローラ433とを有している。
<外側リンクプレート>
外側リンクプレート430は、互いに間隔を隔てて対向して配置される。外側リンクプレート430は、第1プレート本体430aと、第1複合めっき被膜430bと、を有している。第1プレート本体430aは、本考案の第5実施形態による基材の一例である。外側リンクプレート430は、本考案の第5実施形態によるめっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。第1プレート本体430aは、たとえば厚みが0.8mm〜1.0mm程度の鋼板を打ち抜き加工により両端を円形のひょうたん形に形成した板状部材である。外側リンクプレート430の両端部には、連結ピン432が貫通可能な第1連結孔430cが形成されている。
<内側リンクプレート>
一対の内側リンクプレート431は、1対の外側リンクプレート430の内側に一部が重複するように互いに間隔を隔てて配置される。内側リンクプレート431は、第2プレート本体431aと、第2複合めっき被膜431bと、を有している。第2プレート本体431aと、第1複合めっき被膜431bと、を有している。第2プレート本体431aは、本考案の第5実施形態による基材の一例である。内側リンクプレート431は、本考案の第5実施形態によるめっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。内側リンクプレート431は、外側リンクプレート430と似た形状であり、たとえば厚みが0.75mm〜0.95mm程度の鋼板を打ち抜き加工により両端を円形のひょうたん形に形成した板状部材である。内側リンクプレート431の両端には、第1連結孔430cに対向可能な第2連結孔431cが形成されている。第2連結孔431cは、プレス加工によって内側に凹んで形成されている。第2連結孔431cは、第1連結孔430cより内径が大きい。内側リンクプレート431の第2連結孔431cの形成部分は、ローラ433を支持するために筒状に形成される。
<連結ピン>
連結ピン432は、特殊鋼の表面に耐摩耗性を向上させるために硬化処理を行った棒状部材である。連結ピン432は、直径が第1連結孔430cの内径よりも大きく、第2連結孔431cの内径よりも小さい。連結ピン432は、第1連結孔430cに圧入され第1及び第2連結孔430c,431cを貫通して両リンクプレート430,431を連結する。また連結ピン432の両端部は、連結ピン432を固定するために塑性変形され大径に形成される。
<ローラ>
ローラ433は、1対の内側リンクプレート431の間に配置され、連結ピン432の軸回りに回転自在である。ローラ433は、ロータ本体433aと、ローラ本体の外表面に形成された複合めっき被膜433bと、を有している。また、ローラ433は、第2連結孔431cに形成された筒状の外周面に回転自在に支持される支持孔433cを有している。ローラ本体433aは、例えば、鉄系合金製であり、本考案の第5実施形態による基材の一例である。ローラ433は、本考案の第5実施形態による複合めっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。
<第1複合めっき被膜、第2複合めっき被膜及び複合めっき被膜>
第1複合めっき被膜430bは、図20及び図21に太線で示す外側リンクプレート430の外表面に形成される。第2複合めっき被膜431bは、図20及び図21に太線で示す内側リンクプレート430の外表面に形成される。第3複合めっき被膜433bは、図20及び図21に太線で示すローラ433の外表面に形成される。第1複合めっき被膜430b、第2複合めっき被膜431b及び第3複合めっき被膜433bは、図22に示すように第1実施形態と同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。第1複合めっき被膜430b、第2複合めっき被膜431b及び第3複合めっき被膜433bの共析率は、第1実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、第1実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。第1複合めっき被膜430b、第2複合めっき被膜431b及び第3複合めっき被膜433bは複、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
このような構成のチェーン422では、第4実施形態で説明したように、第1スプロケット371及び第2スプロケット372との摺動抵抗を小さくすることができる。また、チェーン422の外側リンクプレート430と内側リンクプレート431との摺動抵抗を小さくすることができるとともに、ローラ433とチェーンとの間の摺動抵抗をさらに小さくすることができる。このため、チェーン422の静音化を実現できるとともに、変速動作をスムーズに行えるようになる。
<第6実施形態>
図23において、本考案の第6実施形態が採用された自転車用ブレーキシステム512は、図示しないフロントフォークに装着されるブレーキキャリパ521及び図示しない前輪に装着されるディスクロータ522を有するブレーキ装置518と、ブレーキ装置518を操作するためのブレーキ操作装置523と、を備えている。ブレーキ装置518とブレーキ操作装置523とは、ブレーキホース525により連結される。ブレーキホース525のブレーキ操作装置523と連結される一端には、ブレーキ操作装置523に固定された連結継手526が装着されている。
<ブレーキ装置>
ブレーキキャリパ521は、ディスクロータ522に近接した位置でフロントフォークに取り付けられており、ディスクロータ522にその回転を停止させる締め付け力を加えることができる。ブレーキキャリパ521は、ハウジング570と、ピストンユニット571とを備えている。ハウジング570は、たとえばアルミニウム合金などの熱伝導性材料で構成されており、ボルトで結合された第1ハウジング部材572aと、第2ハウジング部材572bとを有している。両ハウジング部材572a,572bは実質的に同じ形状であり、第2ハウジング部材572bには、ブレーキホース525の他端が連結され、両ハウジング部材572a,572bにブレーキオイルが供給されるようになっている。
ピストンユニット571は、4つのピストン574(2つのみ図示)と、1対のブレーキパッド576とを有している。ピストン574は、第1ハウジング部材572aと、第2ハウジング部材572bとにそれぞれ摺動自在にはめ込まれており、制動解除位置と制動位置との間で移動する。ブレーキパッド576は、ピストン574の先端に配置され一体で移動する。したがって、ピストン574が制動解除位置から制動位置に移動するとブレーキパッド576も制動解除位置から制動位置に移動する。制動位置にあるとき、ブレーキパッド576はディスクロータ522を挟持して摩擦係合し、ディスクロータ522を介して前輪を制動する。制動解除位置にあるとき、ブレーキパッド576はディスクロータ522から離れてディスクロータ522は自由回転可能になる。
ディスクロータ522は、前輪のハブに固定されており、前輪に連動して回転する。ディスクロータ522は、たとえばステンレス合金製の円板部材である。
<ブレーキ操作装置>
ブレーキ操作装置523は、ブレーキ装置518とブレーキホース525により連結され、ブレーキホース525を介してブレーキ装置518を手で操作するための装置である。ブレーキ操作装置523は、図23及び図24に示すように、ハンドルバー515に装着可能なブラケット530と、ブラケット530に揺動自在に設けられ、手で操作可能なレバー部材531と、レバー部材531の揺動によりブレーキオイルを圧縮してブレーキホース525を介してディスクブレーキシステム512に送出可能な圧油送出部524と、圧油送出部524に設けられ、連結継手526の他端が固定される継手固定部527と、を有している。
ブラケット530は、圧油送出部524と一体形成され、ハンドルバー515に装着される取付部540と、取付部540と一体形成された支持部541とを有している。取付部540には、ハンドルバー515を挟んで取付バンド540aが配置されており、取付バンド540aからボルトを挿入してハンドルバー515にブラケットを取り付けできる。支持部541には、揺動軸542がハンドルバー515と食い違う軸に沿って配置されている。
レバー部材531は、揺動軸542に回転可能に装着され、操作開始位置からハンドルバー515に接近する方向に揺動自在である。レバー部材531は、ブラケット530から突出しており、その突出端がハンドルバー515に対して接離するように揺動する。レバー部材531には、圧油送出部524に当接する当接部544が形成されている。
圧油送出部524は、ブレーキオイルを圧縮するためのマスターシリンダ581と、マスターシリンダ581内部を動作軸Xに沿って移動するピストン582と、ブレーキオイルPOを貯蔵するリザーバタンク583とを有している。マスターシリンダ581は、ブラケット530と一体形成されている。マスターシリンダ581の先端には、連結継手526が取り付けられている。ピストン582の一端は、レバー部材531の当接部544に接触するようにマスターシリンダ581から図24左側に突出している。ピストン582は、戻しばね584により図24左方に付勢されている。これにより、レバー部材531も制動解除位置に向けて付勢されている。リザーバタンク583は、ブラケット530と一体形成されている。
このような構成の第6実施形態のブレーキ操作装置523のレバー部材531、ピストン582及びマスターシリンダ581は、本考案の第6実施形態によるめっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。レバー部材531は、レバー本体531aと、複合めっき被膜531bと、を有している。複合めっき被膜531bは、レバー本体531aの使用者の手指が触れる外側面に形成されている。レバー本体531aは、本考案の第6実施形態による基材の一例である。
ピストン582は、ピストン本体582aと、複合めっき被膜582bと、を有している。また、マスターシリンダ581は、シリンダ本体581aと、複合めっき被膜581bと、を有している。ピストン582の複合めっき被膜582bは、マスターシリンダ581が接触する図24に太線で示すピストン582の外周面に形成されている。マスターシリンダ581の複合めっき被膜581bは、ピストン582が接触する図24に太線で示すマスターシリンダ581の内周面に形成される。レバー本体531a、シリンダ本体581a及びピストン本体582aは、本考案の第6実施形態による基材の一例である。
なお、ブレーキ装置518において、ハウジング570のシリンダの内周面及びピストンユニット571のピストン574の外周面に複合めっき被膜を形成してもよい。
複合めっき被膜531b,581b,582bは、図25に示すように第1実施形態と同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。複合めっき被膜531b,581b,582bの共析率は、第1実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、第1実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜531b,581b,582bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
このような構成のブレーキシステム512において、ブレーキ操作装置523において、レバー部材531の手指が触れる外側面に複合めっき被膜531bが形成されるため、手指とレバー部材531との摺動抵抗が小さくなり、使用者がブレーキ操作を行うとき、手指にレバー部材531が馴染んでブレーキ操作を行いやすくなる。
また、マスターシリンダ581とピストン582との接触部分に複合めっき被膜581b,582bが形成されるため、マスターシリンダ581とピストン582との摺動抵抗が小さくなり、レバー部材531の押圧よるピストン582の移動がスムーズになる。
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。なお、特徴の説明において、請求項の文言と実施形態の文言との対応については第1実施形態または第4実施形態の符号によって説明する。
(A)めっき被覆部材である駆動軸30(またはピニオンギア32)は、基材である軸本体30a(またはギア本体32a)と、軸本体30a(またはギア本体32a)の外表面の少なくとも一部にフッ素化合物の微粒子を分散及び共析させたニッケル系複合めっき被膜30b(または32b)を有する。複合めっき被膜30b(または32b)のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下である。
この駆動軸30(またはピニオンギア32)では、ニッケル系の複合めっき被膜30b(または32b)を有する駆動軸30(またはピニオンギア32)の有する耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ、複合めっき被膜30b(または32b)のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下にすることによって、摺動性能を高めることができる。
(B)フッ素化合物が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体から選択された少なくとも一種であってもよい。これらを使用用途、目的によって、適宜選択することで、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ摺動性能をさらに向上させることができる。
(C)の複合めっき被膜30b(または32b)の膜厚が、0.5μm以上50μm以下であってもよい。複合めっき被膜30b(または32b)の膜厚を0.5μm以上50μm以下にすることによって、従来よりも膜厚が厚い複合めっき被膜30b(または32b)を形成でき、摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れためっき被覆部材を提供することができる。
(D)基材である駆動軸の軸本体30a(またはピニオンギア32のギア本体32a)は、鉄、アルミニウム、ステンレス、チタン及びこれらの合金から選択してもよい。これらを使用用途、目的によって、適宜選択することで、駆動軸30(またはピニオンギア32)の強度を選択でき、摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れた駆動軸30(またはピニオンギア32)を提供することができる。
(E)複合めっき被膜30b(または32b)は、駆動軸の軸本体30a(またはピニオンギア32のギア本体32a)の全周に渡って形成されてもよい。この場合、あらゆる角度からの摩擦や衝撃等に対して、その摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れた駆動軸30(またはピニオンギア32)を提供することができる。
(F)複合めっき被膜30b(または32b)は、電気めっき処理によって、形成されてもよい。この場合、より容易な方法で、駆動軸の軸本体30a(またはピニオンギア32のギア本体32a)の全周に渡って複合めっき被膜30b(または32b)を均一に形成させることができ、また、複合めっき被膜30b(または32b)の膜厚を厚くできる。
(G)上記のめっき被覆部材を自転車用部品に用いてもよい。例えば、第1スプロケット371、第2スプロケット372、チェーン422等の回転伝達部品に使用した場合、スプロケット部品間(スプロケットとチェーン、チェーンの部品間)に生じる摩擦によって、回転力の伝達効率が悪化を生じさせることなく、また、摩擦によるフィーリングの違和感を最小限に抑えることができる。さらに、操作部(ブレーキ装置、変速機構等)においても、各部品間で、生じる摩擦やレバー等直接触れる部分で、そのフィーリングの違和感を最小限に抑えることができる。
(H)上記のめっき被覆部材を釣り具用部品に用いてもよい。これによって、例えば、リール及び釣り竿など、直接、手で触れて、その繊細な感覚を実現できる。また、魚がかかったか否かを感じ取るために、特に、重要な竿に設けられた釣り糸ガイドと釣り糸との摩擦による違和感を最小限に抑えることができる。
<他の実施形態>
以上、本考案の一実施形態について説明したが、本考案は上記実施形態に限定されるものではなく、考案の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
(a)上記実施形態では、駆動ギア31が駆動軸30に回転自在に装着されているが、駆動ギアが駆動軸に一体回転可能な両軸受リールにも本考案を適用できる。
(b)上記実施形態では、ピニオンギア32めっき処理時に貫通孔32iを塞いだが、貫通孔32iに複合めっき被膜を形成してもよい。この場合には、特に、第2軸受を設けずにスプール軸に貫通孔32iが接触するおそれがある場合にも、ピニオンギア32の摺動性能が高くなる。
(c)クラッチヨーク及びクラッチカム等の部材を金属製にし、これらの部材にさらにフッ素樹脂含有めっきを施してもよい。この場合、クラッチカム及びクラッチカムの形状及び方式には特に限定されず、どのような形状及び方式のものであってもよい。
(d)上記実施形態では、釣り具用部品において、釣り竿、ロープロファイルの両軸受リール及びスピニングリールを例に本考案に係るめっき被覆部材を説明したが、本考案は彼に限定されない。たとえば、丸形の両軸受リール、電動リール及び片軸受リールに設けられるめっき被覆部材にも本考案を適用できる。
(e)上記実施形態では、めっき被覆部材を有する自転車用部品としてスプロケット、チェーン、ブレーキ装置、及びブレーキ操作装置を例に本考案を説明したが、本考案はこれに限定されない。めっき被覆部材を有する自転車用部品は、使用者が手に触れたり、部品同士が摺動する全ての自転車用部品(例えば自転車用サスペンション、など)に本考案を適用できる。
30 駆動軸(釣り具用部品及びめっき被覆部材の一例)
30a 軸本体(基材の一例)
32b 複合めっき被膜
32 ピニオンギア(釣り具用部品及びめっき被覆部材の一例)
32a ギア本体(基材の一例)
32b 複合めっき被膜
115 スプール軸(釣り具用部品及びめっき被覆部材の一例)
115a 軸本体(基材の一例)
115b 複合めっき被膜
214 ガイドリング(釣り具用部品及びめっき被覆部材の一例)
214a リング本体(基材の一例)
214b 複合めっき被膜
371 第1スプロケット(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
371a 第1スプロケット本体(基材の一例)
371b 第1複合めっき被膜
372 第2スプロケット(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
372a 第2スプロケット本体(基材の一例)
372b 第2複合めっき被膜
422 チェーン
430 外側リンクプレート(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
430a 第1プレート本体(基材の一例)
430b 第1複合めっき被膜
431 内側リンクプレート(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
431a 第2プレート本体(基材の一例)
431b 第2複合めっき被膜
433 ローラ(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
433a ローラ本体(基材の一例)
433b 複合めっき被膜
531 レバー部材
531a レバー本体
531b 複合めっき被膜
581 マスターシリンダ
581a シリンダ本体
581b 複合めっき被膜
582 ピストン
582a ピストン本体
582b 複合めっき被膜
本考案は、軸本体、より詳しくは軸本体の雄ねじ部の外表面の少なくとも一部にフッ素化合物の微粒子を共析させたニッケル系複合めっき被膜を備えた両軸受リールの駆動軸に関する。
ニッケル等の金属めっき被膜中にフッ素化合物の微粒子が取り込まれた複合めっき被膜は、例えば、金属めっき液中にフッ素化合物の微粒子を分散及び共析させてめっきを行うことにより得られる。このような複合めっき被膜は、摺動性、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性などの特性に優れるため、種々の用途に使用されている。
例えば、撥水性、非粘着性及び摺動性を有する複合めっき皮膜(耐食性複合メッキ皮膜)及びそれを施しためっき被覆物が開示されている。(例えば、特許文献1参照)
また、例えば、金属−フッ素化合物複合めっき被膜を調理器具部材に施した調理器具が開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、金属−フッ素化合物複合めっき被膜を樹脂押出機ダイプレートに施した例が開示されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、ロータリベーン形エアモータの構成要素に、ニッケルに粒径1μm未満のフッ素樹脂を分散させた被膜を施したものが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
通常、これらの従来例においては、金属−フッ素化合物複合めっき被膜を形成するにあたっては、酸性浴、中性浴、水酸化アルカリ浴、アンモニアアルカリ浴などを用いる無電解めっき法が、主に用いられる。
この無電解めっき法においては、還元剤に次亜リン酸ナトリウムやジメチルアミンボランなどを用いてめっきすることにより、マトリックス金属とともに、リンやホウ素を共析させ、合金としても用いられることがある。
特許第4681161号公報 特開平7−23862号公報 特開平11−34142号公報 特開平7−247949号公報
従来のようなフッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合めっき被膜を有するめっき被覆部材は、耐摩耗性や耐食性を重視するものである。このため、実際には、複合めっき被膜中のフッ素化合物の共析率を5容量パーセントから30容量パーセント未満程度で行っている
例えば、リールや釣り竿など、直接、手で触れて、その感覚によって、魚がかかったか否かを見極める必要があるので、特に、部品表面の高い摺動性能が要求される。また、摺動性能が低いと摩擦力が大きくなり、釣り竿に設けられた釣り糸ガイドと釣り糸との摩擦が大きくなり、その摩擦による違和感が、釣果に影響することもある。
また、摩擦力が大きいと、自転車用部品においては、例えば、ギア部分に使用した場合、ギア部品間(ギアとチェーン、チェーンの部品間)に生じる摩擦によって、回転力の伝達効率が悪化するだけでなく、そのフィーリングにも、違和感を生じさせるなど、問題がある。さらに、操作部(ブレーキ機構、変速機構等)においても、各部品間で生じる摩擦及びレバー部材などの直接手が触れる部分でのフィーリングに違和感が生じることがある。
本考案の課題は、ニッケル系複合めっき被膜を備える両軸受リールの駆動軸において、摺動性能を高めることにある。
本考案の別の課題は、摺動性能が高いめっき被覆部材を用いた自転車用部品、釣り具用部品を提供することにある。
本考案に係る軸本体を有する両軸受リールの駆動軸は、軸本体を備える。軸本体は、先 端部に設けられる第1雄ねじ部と、前記第1雄ねじ部よりも大径であり、外表面にフッ素 化合物の微粒子を、共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下の分散及び 共析させたニッケル系複合めっき皮膜が形成された第2雄ねじ部と、を有する。
この駆動軸では、ニッケル系複合めっき被膜を有するめっき被覆部材の有する耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ、複合めっき被膜のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下にすることによって、摺動性能を高めることができる。
フッ素化合物が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体から選択された少なくとも一種であってもよい。これらを使用用途、目的によって、適宜選択することで、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ摺動性能をさらに向上させることができる。
めっき被覆部材の複合めっき被膜の膜厚が、0.5μm以上50μm以下であってもよい。複合めっき被膜の膜厚を0.5μm以上50μm以下にすることによって、従来よりも膜厚が厚い複合めっき被膜を形成でき、摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れためっき被覆部材を提供することができる。
軸本体は、鉄、アルミニウム、ステンレス、チタン及びこれらの合金から選択してもよい。これらを使用用途、目的によって、適宜選択することで、そのめっき被覆部材の強度を選択でき、摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れためっき被覆部材を提供することができる。
複合めっき被膜は、第2雄ねじ部の全周に渡って形成されてもよい。この場合、あらゆる角度からの摩擦や衝撃等に対して、その摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れためっき被覆部材を提供することができる。
複合めっき被膜は、電気めっき処理によって、形成されてもよい。この場合、より容易な方法で、第2雄ねじ部の全周に渡って複合めっき被膜を均一に形成させることができ、また、複合めっき被膜の膜厚を厚くできる。
上記のめっき被覆部材を自転車用部品に用いてもよい。例えば、ギア部分に使用した場合、ギア部品間(ギアとチェーン、チェーンの部品間)に生じる摩擦によって、回転力の伝達効率が悪化を生じさせることなく、また、摩擦によるフィーリングの違和感を最小限に抑えることができる。さらに、操作部(ブレーキ機構、変速機構等)においても、各部品間で、生じる摩擦やレバー等直接触れる部分で、そのフィーリングの違和感を最小限に抑えることができる。
上記のめっき被覆部材を釣り具用部品に用いてもよい。これによって、例えば、リール及び釣り竿など、直接、手で触れて、その繊細な感覚を実現できる。また、魚がかかったか否かを感じ取るために、特に、重要な竿に設けられた釣り糸ガイドと釣り糸との摩擦による違和感を最小限に抑えることができる。
本考案によれば、軸本体を有する両軸受リールの駆動軸は、軸本体は、先端部に設けら れる第1雄ねじ部と、前記第1雄ねじ部よりも大径であり、外表面にフッ素化合物の微粒 子を、共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下の分散及び共析させたニ ッケル系複合めっき皮膜が形成された第2雄ねじ部と、を有し、ニッケル系複合めっき被膜を有するめっき被覆部材の有する耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ、複合めっき被膜のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下にすることによって、摺動性能を高めることができる。
本考案の実施形態を採用した両軸受リールの背面図。 両軸受リールの左側面図。 図2の切断線III−IIIによる断面図。 図2の切断線IV−IVによる断面図。 ドラグ機構、回転伝達機構及びクラッチ機構を含む分解斜視図。 ピニオンギアの断面図。 ピニオンギアの斜視図。 駆動軸及びピニオンギアの外表面の断面模式図。 本考案の第1参考例を採用したスピニングリールの側面図。 スピニングリールの断面図。 図10のスプール部分の断面拡大図。 ドラグつまみの断面拡大図。 スプール軸の雄ねじ部の外表面の断面模式図。 2参考例を採用した釣り竿の側面図。 釣り糸ガイドの正面図。 釣り糸ガイドのガイド部の外表面の断面模式図。 3参考例を採用した自転車のクランク組立体の正面図。 図16の切断線XVII−XVIIによる断面図。 スプロケットの外表面の断面模式図。 本考案の第4参考例を採用した自転車用チェーンの平面図。 チェーンの正面図。 チェーンの外表面の断面模式図。 本考案の第5参考例を採用したブレーキシステムの概略構成図。 ブレーキ操作装置の一部断面平面図。 ブレーキ操作装置の外表面の断面模式図。
本考案の実施形態が採用された両軸受リール100は、図1から図5に示すように、ベイトキャスト用のリールである。両軸受リール100は、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されるスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2よりもリール本体1側に配置されるドラグ力調整用のスタードラグ3とを備える。また、両軸受リール100は、糸巻用のスプール12と、スプール軸16と、回転伝達機構18と、クラッチ機構13と、ドラグ機構21と、を備える。
<リール本体>
リール本体1は、図1から図5に示すように、フレーム5と、フレーム5の両側方を覆う第1側カバー6a及び第2側カバー6bと、を有する。また、リール本体1は、フレーム5の前方を覆う前カバー8aと、第1側カバー6aにねじ等によって固定される軸支持部8bと、をさらに有する。
フレーム5は、ハンドル2と逆側の第1側板7aと、第1側板7aと対向して配置されるハンドル2側の第2側板7bと、第1側板7aと第2側板7bとを連結する複数の連結部7cと、を有する。第1側板7aには、スプール12が通過可能な開口7dが形成される。開口7dには、軸支持部8bが着脱可能に連結される。上側の連結部7cは、サムレストとして使用される。下側の連結部7cには、竿装着部7eが一体形成される。
リール本体1の第1側板7aと第2側板7bの間には、糸巻き用のスプール12が回転自在かつ着脱可能に装着される。第2側板7bには、図5に示すように、それぞれ貫通孔を有する第1ボス部7f及び第2ボス部7gが形成される。第1ボス部7fは、ハンドル2が連結される後述する駆動軸30の基端を回転自在に支持するために設けられる。第2ボス部7gは、ピニオンギア32を回転自在かつ軸方向移動可能に支持するために設けられる。
図4に示すように、第1側カバー6aは、軸支持部8bを介して第1側板7aに着脱可能に連結される。図5に示すように、第2側カバー6bは、第3ボス部6c及び第4ボス部6dを有する。第3ボス部6cは、駆動軸30を回転自在に支持するために設けられる。第4ボス部6dは、スプール12が固定されるスプール軸16及びピニオンギア32を支持するために設けられる。
軸支持部8bは、図4に示すように、有底筒状の部材である。軸支持部8bの内周部には、筒状の軸受収納部8cが形成される。軸受収納部8cは、スプール軸16の一端を支持する軸受24aを内部に収納する。
第1側板7aと第2側板7bの間には、図1、図3及び図4に示すように、スプール12と、スプール12内に釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構15と、サミングを行う場合の親指の当てとなるクラッチ操作部材17とが配置される。クラッチ操作部材17は、スプール軸16回りに揺動してクラッチ機構13を連結状態と解除状態とに切り換え操作するために設けられる。クラッチ操作部材17は、図2に実線で示すクラッチオン位置と、二点鎖線で示すクラッチオフ位置とに揺動する。
図3から図5に示すように、第2側板7bと第2側カバー6bとの間には、回転伝達機構18と、クラッチ機構13と、クラッチ制御機構19と、ドラグ機構21と、キャスティングコントロール機構22と、が配置される。回転伝達機構18は、ハンドル2の回転をスプール12及びレベルワインド機構15に伝えるための機構である。クラッチ制御機構19は、クラッチ操作部材17の操作に応じてクラッチ機構13の係脱及び制御を行うための機構である。クラッチ制御機構19は、図5に示すように、クラッチヨーク39とクラッチカム44とクラッチプレート45とを有する公知の構造である。キャスティングコントロール機構22は、スプール12の回転時の抵抗力を調整するための制動機構である。さらに、第1側板7aと第1側カバー6aとの間には、遠心力によってスプール12を制動するスプール制動装置23が配置される。スプール制動装置23は、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための装置である。
<スプール及びスプール軸>
図4に示すように、スプール12は、外周に釣り糸が巻き付けられる筒状の糸巻胴部12aと、左右一対のフランジ部12bと、ボス部12cと、を有する。フランジ部12bは、糸巻胴部12aの両端にそれぞれ径方向外方に一体的に突出して設けられる。ボス部12cは、スプール軸16に圧入等の適宜の固定手段により固定される。これにより、スプール12は、スプール軸16に一体回転可能に連結される。
スプール軸16は、第2側板7bを貫通して第2側カバー6bの外方に延びる。スプール軸16の一端は、軸支持部8bの軸受収納部8cに収納される軸受24aによって回転自在に支持される。またスプール軸16の他端は、第2側カバー6aに設けられる第4ボス部6d内で軸受24bによって回転自在に支持される。このように、スプール軸16はリール本体1に2箇所で軸受によって支持される。
スプール軸16は、第2側板7bの第2ボス部7gを貫通する。この貫通部分には、クラッチ機構13を構成するクラッチピン20が固定される。クラッチピン20は、クラッチ機構13を構成するクラッチ部の一例である。クラッチピン20は、径方向に沿ってスプール軸16を貫通し、その両端がスプール軸16から径方向に突出する。スプール軸16のクラッチピン20が貫通するピン貫通部16aは、スプール軸16のスプール12を固定する部分と同様に大径に形成される。
<回転伝達機構>
回転伝達機構18は、図3及び図5に示すように、ハンドル2が一体回転可能に連結される駆動軸30と、駆動軸30に装着される駆動ギア31と、駆動ギア31にかみ合うピニオンギア32(図4及び図5参照)と、駆動軸30に一体回転可能に連結される第1ギア33と、第1ギア33に噛み合う第2ギア34と、を有する。第2ギア34は、レベルワインド機構15をハンドル2の回転に応じて左右に往復移動するために設けられる。駆動軸30及びピニオンギア32は、本考案の第1実施形態によるめっき被覆部材及び釣り具用部品の一例である。また、駆動軸30及びピニオンギア32は、本考案の第1実施形態による釣り具用部品の一例である。
駆動軸30は、図3及び図5に示すように、軸本体30aを有する。軸本体30aは、先端部に第1雄ねじ部30cと、第1雄ねじ部30cよりも大径の第2雄ねじ部30dと、を有する。第2雄ねじ部30dの外表面には、複合めっき被膜30bが形成される。駆動軸30は、釣り具用部品の一例である。軸本体30aは、例えば鉄、アルミニウム、ステンレス、チタン及びこれらの合金から選択される。第1実施形態では、軸本体30aは、ステンレス合金製であり、本考案の第1実施形態による基材の一例である。また、軸本体30aは、ドラグ機構21を動作させるための大径の鍔部30eを後部に有する。駆動軸30は、第2側板7bの第1ボス部7fに装着された軸受43と、第2側カバー6bの第3ボス部6cに装着された軸受46とによってリール本体1に回転自在に支持される。駆動軸30は、ローラ型のワンウェイクラッチ40により糸巻取方向のみ回転可能である。駆動軸30には、ドラグ機構21のドラグ力を受けるドラグ受け部材としてのラチェットホイール36が鍔部30eに接触して一体回転可能に装着される。ラチェットホイール36は、駆動ギア31と鍔部30eとの間に配置される。ラチェットホイール36は、ドラグ受け部材として機能するとともに、クラッチ機構13をクラッチオフ状態からクラッチオン状態に戻すクラッチ戻し機構としても機能する。さらに、ワンウェイクラッチ40と並列に配置された爪式のワンウェイクラッチとしても機能する。
図3に示すように、駆動軸30には、駆動ギア31が回転自在に装着されるとともに、ドラグ機構21のドラグ板37が一体回転可能に装着される。また、駆動軸30の第2雄ねじ部30dには、スタードラグ3のドラグナット3aが螺合する。駆動軸30の先端には、ハンドル2が一体回転可能に装着される。駆動軸30の先端の第1雄ねじ部30cには、ハンドル2を駆動軸30に固定するためのナット53が螺合する。駆動軸30の後端部には、第1ギア33が一体回転可能に装着される。第1ギア33にかみ合う第2ギア34は、レベルワインド機構15の螺軸15aに一体回転可能に連結される。
複合めっき被膜30bは、図8に示すように、基材としての軸本体30aの外表面の一部にフッ素化合物の微粒子を実質的に均一に分散及び共析させたニッケル系複合めっき被膜である。複合めっき被膜30bは、駆動軸30では、例えば図5にドットで模式的に示し、図3に太線で示す軸本体30aの第1雄ねじ部30c及び第2雄ねじ部30dの形成部分に形成されている。複合めっき被膜30bに用いるフッ素化合物は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体からなる群から選択された少なくとも一種である。好ましくは、フッ素化合物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。複合めっき被膜30bの膜厚は、例えば0.5μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。フッ素化合物の共析率は、好ましくはめっき液全体の容量の例えば、30容量パーセント以上70容量パーセント以下である。より好ましくは、フッ素化合物の共析率は、40容量パーセント以上50容量パーセント以下である。
このような配合でニッケルめっき液中に分散及び共析されたフッ素化合物の微粒子によって複合めっき被膜30bを形成することによって、駆動軸30の第2雄ねじ部30dの及び摺動性能を高くすることができる。これにより、駆動軸30と相対回動する駆動軸30の第2雄ねじ部30dとドラグナット3aと間の摺動抵抗が小さくなり、駆動軸30とスタードラグ3との相対回動がスムーズになる。これにより、ドラグ力が大きくなっても軽い操作力でスタードラグ3を操作できるようになる。しかも、スタードラグ3の操作中におけるきしみ音が小さくなり、操作フィーリングが向上する。
図4及び図5に示すように、ピニオンギア32は、ギア本体32aと、複合めっき被膜32bと、を有している。ギア本体32aは、本考案の第1実施形態による基材の一例であり、例えばステンレス合金製又は黄銅合金等の金属製の部材である。ギア本体32aは、スプール軸16が中心を貫通する段付きの貫通孔32iを有する筒状部材である。ピニオンギア32は、両端がリール本体1に回転自在に支持される。具体的には、ピニオンギア32は、一端が第2側板7bの第2ボス部7gに軸受38aにより回転自在に支持され、他端が第2側カバー6bの第4ボス部6dに軸受38bにより回転自在に支持される。このようにピニオンギア32がリール本体1に両端で支持されるので、ピニオンギアが傾きにくくなり、ピニオンギア32がスプール軸16と接触しない。このため、スプール12の自由回転の回転速度が減速しにくい。
ピニオンギア32は、軸受38a及び軸受38bによって、リール本体1にスプール軸方向に移動自在にも支持される。ギア本体32aは、図6及び図7に示すように、第1支持部32cと、ギア部32dと、くびれ部32eと、第2支持部32fと、を有する。
第1支持部32cは、ピニオンギア32の一端に設けられ、軸受38aを介して回転自在かつ軸方向移動自在に第2側板7bの第2ボス部7gに支持される。第1支持部32cは、クラッチピン20が係合する複数の係合溝32hが形成されたクラッチ係合部32gを有する。複数の係合溝32hは、径方向に沿って形成される。複数の係合溝32hは、例えば、90度交差して径方向に沿って2本設けられている。
ギア部32dは、第1支持部32cと間隔を隔てて配置され、駆動ギア31にかみ合い可能である。ギア部32dは、ピニオンギア32のギア部32dを除く加工が終了した後に貫通孔32iを塞いで複合めっき被膜32bを形成した後に、歯切り等の適宜の機械加工によって形成される。したがって、ギア部32dには、複合めっき被膜32bは形成されない。
くびれ部32eは、第1支持部32cとギア部32dとの間に配置される。くびれ部32eの外径D1は、第1支持部32aよりも小径である。しかし、くびれ部32eの外径D1は、第2支持部32fの外径D2よりも大きい(D1>D2)。このように、駆動ギア31がかみ合うギア部32dとスプール軸16に連結されるクラッチ係合部32gの間に配置されるくびれ部32eの外径D2が第2支持部32fの外径D1よりも大きいので、ピニオンギア32の剛性が高くなり、ピニオンギア32の回転伝達効率が高くなる。
くびれ部32eには、クラッチ制御機構19を構成するクラッチヨーク39が係合する。クラッチヨーク39は、クラッチ操作部材17が図2に二点鎖線で示すクラッチオフ位置にあると、図4に示すオフ位置に配置される。また、クラッチ操作部材17が図2に実線で示すクラッチオン位置にあると、クラッチヨーク39は、図4に示すオフ位置よりスプール12に接近した側(図4左側)のオン位置にピニオンギア32とともに移動する。これにより、クラッチピン20が係合溝32hと係合してクラッチ機構13がクラッチオン状態になる。したがって、クラッチ機構13は、クラッチピン20とピニオンギア32とにより構成される。なお,クラッチヨーク39は、一対のコイルばね35(図5参照)によってオン位置に付勢される。
このように、ピニオンギア32は、回転伝達機構18を構成し、ハンドル2に連動して回転して、ハンドル2の回転をスプール12に伝達するとともに、クラッチ操作部材17の操作に応じてスプール軸16方向に往復移動する。くびれ部32eの外径D1は、第2支持部32fの外径D2よりも大きい。これにより、ピニオンギア32の剛性が高くなり、ピニオンギア32が捩れにくくなる。このため、ピニオンギア32の回転伝達効率が高くなる。
第2支持部32fは、ピニオンギア32の他端に配置される。第2支持部32fは、軸受38bを介して第2側カバー6bの第4ボス部6dに回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。軸受38bは、第4ボス部6d内で、スプール軸16を支持する軸受24bとスペーサ42を挟んで配置される。
複合めっき被膜32bは、図6及び図7に示すように、少なくとも第1支持部32cの外周面に形成される。この実施形態では、複合めっき被膜32bは、図6に太線で示すとともに、図7にドットで示すように、第1支持部32cの外周面に加えて、くびれ部32e、第2支持部32f及び係合溝32hに形成される。複合めっき被膜32bは、図8に示すように、駆動軸30の複合めっき被膜30bと同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。複合めっき被膜32bの共析率は、駆動軸30と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、第1実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜115bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
このような構成されたピニオンギア32は、筒状の金属素材を機械加工してギア部32dの歯切りを除いてクラッチ係合部32gを含む第1支持部32c、くびれ部32e、第2支持部32f、及び貫通孔32iを形成する。そして、貫通孔32iを塞いでフッ素系化合物の微粒子を分散及び共析させたニッケルめっき液が貯留されためっき槽にギア本体32aを漬けて電気めっき処理を行う。電気めっき処理が終わると、ギア部32bを歯切り加工する。
<ドラグ機構>
ドラグ機構21は、クラッチオン状態のとき、駆動ギア31を介してスプール12の糸繰り出し方向の回転を制動する。ドラグ機構21は、スタードラグ3によりドラグ力が調整される。ドラグ機構21は、図3及び図5に示すように、ワンウェイクラッチ40の内輪40aを介して、ハンドル2の回転及びスタードラグ3の押圧力が伝達される。ドラグ機構21は、内輪40aに一体回転可能に連結されるドラグ板37(図3参照)と、ラチェットホイール36と、を有する。ドラグ板37と駆動ギア31との間、及び駆動ギア31とラチェットホイール36との間には、ドラグ作動時に駆動ギア31が滑らかに滑るようにするためにフェルト製またはグラファイト製の第1ドラグ座金41a及び第2ドラグ座金41bが装着される。
<キャスティングコントロール機構>
キャスティングコントロール機構22は、図4に示すように、第1摩擦プレート51a及び第2摩擦プレート51bと、制動キャップ52と、を有する。第1摩擦プレート51a及び第2摩擦プレート51bは、スプール軸16の両端を挟むように配置される。制動キャップ52は、第1摩擦プレート51a及び第2摩擦プレート51bによるスプール軸16の挟持力を調節するための部材である。第1摩擦プレート51aは、制動キャップ52内に配置される。制動キャップ52は、第4ボス部6dの外周面に螺合する。第2摩擦プレート51bは、軸支持部8b内に装着される。
<スプール制動装置>
スプール制動装置23は、図4に示すように、回転部材62と、複数(例えば6つ)のブレーキシュー(図示せず)と、ブレーキドラム66と、移動機構(図示せず)と、を備える。スプール制動装置23はスプール軸16及び軸支持部8bに装着される。スプール制動装置23は、キャスティング時にスプール12の糸繰り出し方向の回転を遠心力によって制動する。
このように構成された両軸受リール100の駆動軸30では、軸本体30aのドラグナット3aが螺合する第2雄ねじ部30dに複合めっき被膜30bが形成される。複合めっき被膜30bにおいて、フッ素化合物の共析率が好ましくは30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは40容量パーセントから50容量パーセントにしたので、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ、摺動性能を高める、すなわち摺動抵抗を低くすることができる。これによって、ドラグ力が大きくなっても軽い操作力でスタードラグ3を操作できるようになる。しかも、スタードラグ3の操作中におけるきしみ音が小さくなり、操作フィーリングが向上する。
また、両軸受リール100のピニオンギア32では、リール本体1の第2側板7bの第2ボス部7gに軸受38aを介して回転自在かつ軸方向移動自在に支持されるギア本体32aの第1支持部32cの外表面に複合めっき被膜32bが形成される。複合めっき被膜32aは、表面粗さが機械加工面よりも小さくなるため、軸受38aの内周面と第1支持部32acとの摺動抵抗を小さくすることができる。ここでは、カラーなどの摺動抵抗を小さくするための部材を用いることなく軸受38aと第1支持部32cとの摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、軸受38aの大型化及びピニオンギア32の強度の低下を招くことなく、軸受38aを介してリール本体1に支持されたピニオンギア32を円滑に軸方向に移動させることができる。
<第1参考例
図9から図13において、本考案の第1参考例が採用されたスピニングリール200は、ハンドル101を回転自在に支持するリール本体102と、ロータ103と、スプール104と、ドラグ機構160(図10参照)と、を備えている。ロータ103は、スプール104に釣り糸を巻き付けるものであり、リール本体102の前部に回転自在に支持される。スプール104は、外周面に釣り糸を巻き取るものであり、ロータ103の前部に前後移動自在に配置される。なお、ハンドル101は、図9に示すリール本体102の左側と、リール本体102の右側とのいずれにも装着可能である。
ハンドル101は、図9に示すように、ハンドル軸110の先端に装着されるハンドルアーム108と、ハンドルアーム108の先端に装着されたハンドル把手109とを備えている。
<リール本体>
リール本体102は、図9及び図10に示すように、開口102dを有する、例えばアルミニウム合金製のリールボディ102aと、開口102dを塞ぐようにリールボディ102aに着脱自在に装着された、例えばアルミニウム合金製の蓋部材102b(図10参照)と、リールボディ102aから斜め上前方に延びる竿取付脚102cとを有する。リールボディ102aは、内部に空間を有しており、その空間内には、ロータ103をハンドル101の回転に連動して回転させるロータ駆動機構105と、スプール104を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構106とが設けられている。
<ロータ駆動機構>
ロータ駆動機構105は、図10に示すように、ハンドル101のハンドル軸110が固定された駆動ギア軸111aとともに回転する駆動ギア111と、この駆動ギア111に噛み合うピニオンギア112とを有する。ピニオンギア112は筒状に形成されており、その前部112aはロータ103の中心部を貫通しており、ナット113によりロータ103と固定される。ピニオンギア112は、その軸方向の中間部と後端部とが、リールボディ102aに間隔を隔てて装着された軸受114a,114bによりリールボディ102aに回転自在に支持される。
<オシレーティング機構>
オシレーティング機構106は、スプール104の中心部にドラグ機構160を介して連結されたスプール軸115を前後方向に移動させてスプール104を同方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構106は、スプール軸115の下方に平行に配置されたトラバースカム軸121と、トラバースカム軸121に沿って前後方向に移動するスライダ122と、トラバースカム軸121の先端に固定された中間ギア123とを有する。スライダ122にはスプール軸115の後端が回転不能に固定される。中間ギア123は、ピニオンギア112に直接又は図示しない減速機構を介して間接的に噛み合っている。
<スプール軸>
スプール軸115は、ピニオンギア112の中心部を貫通して配置される。スプール軸115は、ピニオンギア112の内部をオシレーティング機構106により前後に往復移動する。スプール軸115は、中間部がナット113内に装着された軸受116により、後部がピニオンギア112の後部内周面により、回転自在かつ軸方向移動自在に支持される。スプール軸115は、図12に示すように、軸本体115aと、軸本体115aの外表面の少なくとも一部に設けられる複合めっき被膜115bと、を有している。スプール軸115は、本考案の第1参考例によるめっき被覆部材及び釣り具用部品の一例である。また、軸本体115aは、例えば、ステンレス合金製であり、本考案の第1参考例による基材の一例である。スプール軸115がピニオンギア112と相対回転しながら前後移動するときに、ピニオンギア112にスプール軸115がかじりつくのを防止するために、軸本体115aの外表面には、硬質ニッケルめっきが施される。スプール軸115の先端には、図12に示すように、互いに平行な面で構成された回り止めのための係止面115cと、ドラグ調整用の雄ねじ部115dとが形成される。
複合めっき被膜115bは、雄ねじ部115dの外表面に形成される。上記実施形態と同じく、複合めっき被膜として、フッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。共析率も、上記実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、上記実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜115bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
<ロータ>
ロータ103は、図10に示すように、筒状の連結部130と、連結部130の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム131及び第2ロータアーム132と、を有するロータ本体133と、ロータ本体133に揺動自在に装着されたベールアーム134と、を有する。ロータ本体133は、たとえばアルミニウム合金製であり一体成形される。
連結部130の前部には前壁130aが形成されており、前壁130aの中央部にはボス部130bが形成される。ボス部130bの中心部には貫通孔130cが形成されており、この貫通孔130cをピニオンギア112の前部112a及びスプール軸115が貫通する。前壁130aの前部にナット113が配置される。
第1ロータアーム131は、連結部130から外方に凸に湾曲して前方に延びており、連結部130の周方向に広がり湾曲する。第2ロータアーム132は、連結部130から外方に凸に湾曲して前方に延びており、連結部130との接続部は連結部130の周方向に広がり湾曲する。なお、第2ロータアーム132には、軽量化のために開口(図示せず)が形成される。
図10に示すように、ロータ103の連結部130の内部にはロータ103の逆転を禁止するための逆転防止機構150が配置される。逆転防止機構150は、内輪が遊転するローラ型のワンウェイクラッチ151を有する。この逆転防止機構150は、ロータ103の糸繰り出し方向の逆転を常時禁止しており、逆転を許可する状態をとることはない。なお、逆転防止機構を逆転禁止状態と逆転許可状態とに切り換えできるように構成してもよい。
<スプール>
スプール104は、図10に示すように、ロータ本体133の第1ロータアーム131と第2ロータアーム132との間に配置されており、スプール軸115の先端に装着される。スプール104は、図11に示すように、外周に釣り糸が巻かれる、たとえばアルミニウム合金製の糸巻き胴部104aと、糸巻き胴部104aの後部に一体で形成されたスカート部104bと、糸巻き胴部104aの前端に一体形成された前フランジ部104cとを有する。スプール104の内部には、設定されたドラグ力がスプール104に作用するようにスプール104を制動するドラグ機構160が収納される。
糸巻き胴部104aは、円筒状の部材であり、外周面はスプール軸115と平行な周面で構成される。糸巻き胴部104aは、釣り糸が巻き付けられる筒状部104dと、筒状部104dの内周面に一体形成された円板状の支持壁部104eと、支持壁部104eの内周側に形成された筒状の軸支部104fと、を有する。
スカート部104bは、糸巻き胴部104aの後方から径方向に延びる後フランジ部104hと、後フランジ部104hの外周側から後方に筒状に延びる円筒部104iと、を有する。この円筒部104iの内側にロータ103の連結部130が配置される。
前フランジ部104cの外周面には、釣り糸を糸巻き胴部4aからスムーズに放出するための金属製のスプールリング120が装着される。スプールリング120は、先広がりの傾斜面120aを有する。スプールリング120は、リング固定部材119により前フランジ部104cに固定される。リング固定部材119は、前フランジ部104cから前方に突出する筒状の雌ねじ部104jに螺合する。
糸巻き胴部104aの内部において、支持壁部104eの前方には、ドラグ機構160を収納するためのドラグ収納筒部152が一体回転可能に装着される。ドラグ収納筒部152の前方には、軸支部104fとでスプール104をスプール軸115に対して回転自在に支持するための支持筒部153が装着される。
ドラグ収納筒部152の内部には、ドラグ機構160の後述する摩擦機構162が収納される。ドラグ収納筒部152は、スプール104と一体回転する。
支持筒部153はその前方でスプール104内部に装着された線材製の抜け止めばね155によりドラグ収納筒部152とともに抜け止めされる。抜け止めばね155は、糸巻き胴部104aの前面とリング固定部材119の後面との隙間でスプール104内に保持される。
スプール軸115の外周面には、スプール104をスプール軸115に対して回転自在に支持するための2つの軸受158a,158bが装着される第1支持部156及び第2支持部157が嵌め込まれる。第1支持部156は、スプール軸115に回転可能に装着される。
第2支持部157は、図11に示すように、スプール軸115の前側部分に形成された係止面115cの後部に固定される。軸受158bの外輪は、糸巻き胴部104aの軸支部104fに装着される。第2支持部157は、止めねじ159により、スプール軸115に回転不能に固定される。止めねじ159は、すり割り付きのホローセットスクリューを用いたものであり、第2支持部aを貫通してねじ孔にねじ込まれる。
このような構成のスプール104では、糸巻き胴部104aの支持壁部104eの前方に支持筒部153を設け、支持筒部153に軸受158aを配置したので、軸支部104fに2つの軸受を並べる従来の構成に比べて、2つの軸受158a,158bの軸方向の間隔を広くすることができる。このため、スプール104の支持間隔が広くなり、スプール104のがたつきを抑えることができる。
<ドラグ機構>
ドラグ機構160は、図11に示すように、スプール104の糸繰り出し方向への回転を制動してスプール104にドラグ力を作用させるための機構である。ドラグ機構160は、ドラグつまみ161と、前述したスプール軸115と、摩擦機構162と、ドラグ発音機構186を備えている。ドラグつまみ161は、ドラグ力を手で調整するための操作部材である。ドラグつまみ161により摩擦機構162がスプール104側に押圧されてドラグ力が調整される、摩擦機構162は、たとえば4枚のドラグ座金162a〜162dを有する。
ドラグつまみ161は、図12に示すように、第1つまみ部材166及び第1つまみ部材166に対して相対回転する第2つまみ部材167を有するつまみ部163と、第1つまみ部材166と第2つまみ部材167との相対回転により発音する図示しないつまみ発音機構と、を有する。
つまみ部163は、第1つまみ部材166及び第2つまみ部材167に加えて第1つまみ部材166及び第2つまみ部材167を軸方向移動不能かつ回転自在に連結する連結部材174をさらに有する。
第1つまみ部材166は、リング状の鍔部166aと、鍔部166aより小径の円筒部166bとを有する鍔付き筒状の、例えばアルミニウム合金等の金属製の部材である。第1つまみ部材166は、スプール軸115に回転不能かつ軸方向移動自在に設けられている。鍔部166aの前端面には、つまみ発音機構を構成する音出し円板169が一体回転可能に設けられている。
音出し円板169は、合成樹脂製の部材であり、その前面には、周方向に間隔を隔てて多数の音出し凹部169aが形成される。音出し円板169の後面には、鍔部166aに形成された複数の連結孔166eに嵌合する複数の連結突起169bが形成される。これにより音出し円板169は、第1つまみ部材166に対して回り止めされる。
円筒部166bの内周部には、スプール軸115の係止面115cに回転不能に係合する長円状の係止スロット166cが形成される。円筒部166bの後端面が第1支持部156を介して摩擦機構162のドラグ座金162aに当接する。
第2つまみ部材167は、第1つまみ部材166に対向して配置され、第1つまみ部材166と相対回動自在に設けられている。第2つまみ部材167は、スプール軸115に螺合するとともに、鍔部166aを覆うように第1つまみ部材166に向けて筒状に突出する部材である。第2つまみ部材167は、つまみ体171と、つまみ体171に回転不能かつ軸方向移動自在に装着され、スプール軸115の雄ねじ部115dに螺合する雌ねじ部172aを有するナット部材172と、ナット部材172と第1つまみ部材166との間に圧縮状態で配置されたコイルばねからなるばね部材173とを有する。
つまみ体171は、円板部175aと、円板部175aより小径の筒状の突出部175bと、を有する合成樹脂製のつまみ本体175と、つまみ本体175の前面に固定された金属製の円板状のカバー部176と、カバー部176の前面に径方向に沿って固定された金属製の操作つまみ177と、を有する。
つまみ本体175の円板部175aの背面側からは、4本のボルト部材180a〜180dが挿入され,カバー部176を貫通して操作つまみ177にねじ込まれている。これにより、カバー部176と操作つまみ177がつまみ本体175に固定される。
突出部175bは、第1つまみ部材166の鍔部166aを覆うように第1つまみ部材166に向けて筒状に突出する。突出部175bで覆われた第1つまみ部材166の鍔部166aは、突出部175bの内周面に装着された連結部材174により抜け止めされる。これにより、第1つまみ部材166と第2つまみ部材167とが相対回転自在かつ軸方向移動不能に連結される。つまみ本体175の内周部には、ナット部材172が軸方向移動自在かつ一体回転可能に収納されるナット収納部175cが形成される。
カバー部176は、つまみ本体175の円板部175aの前面及び外周面の一部を覆うように形成される。この結果、ドラグつまみ161の機構部分を構成する合成樹脂製のつまみ本体175はスプール104内に隠れて外部に露出しなくなる。カバー部176の前面は、中心部分に向けて徐々に厚みが薄くなるように凹んでいる。操作つまみ177は、カバー部176の直径に沿って配置され、前方に突出する。
連結部材174は、弾性を有する金属線材を折り曲げて形成された部材である。連結部材174は、略正方形の角に相当する4つの角部を有するC字状のばね部材である。連結部材74は、突出部175bの内周面に形成された環状溝に角部が係止されることにより突出部175bの内周面に装着される。連結部材174は、角部の間の3つの円弧部が鍔部166aの後面に接触することにより、鍔部166aを抜け止めする。
ナット部材172は、たとえば六角ナットであり、スプール軸115の先端外周面に形成された雄ねじ部115dに螺合し、つまみ本体175の回動に応じてばね部材173を圧縮する。
つまみ発音機構は、ドラグ操作時に第2つまみ部材167と第1つまみ部材166とが相対回転すると、音出し凹部169aとの衝突を繰り返して発音する。
摩擦機構162のドラグ座金162aは、図11に示すように、第1つまみ部材166に第1支持部156を介して接触し、かつスプール軸115に対して回転不能な金属製の円板部材である。ドラグ座金162bは、スプール104に対して一体回転可能な金属製の円板部材である。ドラグ座金162cは、ドラグ座金162aと同様にスプール軸115に対して回転不能な金属製の円板部材である。ドラグ座金162dは、スプール104及びスプール軸115に対して回転自在なたとえばフェルト製又はグラファイト製の円板部材である。ドラグ座金162bは、スプール104に対して一体回転可能になっている。
ドラグ座金162a〜162dは、支持筒部153を支持する第1支持部156により抜け止めされる。したがって、支持筒部153の前方に配置された抜け止めばね155を外さないと、ドラグ座金162a〜162dは着脱できない。
ドラグ発音機構186は、ドラグの作動によりスプール軸115とスプール104とが相対回転すると発音する機構である。
第2支持部157の後面には、第2支持部157の第1係止面157cに係合する、たとえば合成樹脂製の3枚のスプール位置調整ワッシャ182と、スプール104の後方への移動を規制する2枚の規制ワッシャ183,184とが装着される。規制ワッシャ183,184は、スプール軸115の係止面115cに係合する係止スロット173a,174aが内周部に形成されており、スプール軸115に対して回転不能である。規制ワッシャ184は、段付きワッシャであり、規制ワッシャ183とでシール部材185を保持する。シール部材185の外周部は、ドラグ発音機構186の内周面に接触する。シール部材185は、スプール104の後面から摩擦機構162を含むスプール104内部への液体の流入を防止するために設けられている。
<リールの操作及び動作>
釣りを行う前に魚の大きさや種類に合わせてドラグ力を調整する。ドラグ力を調整するには、ドラグつまみ161を回す。ドラグつまみ161をたとえば時計回りに回すと、スプール軸115に螺合するナット部材172によりばね部材173を介して第1つまみ部材166が摩擦機構162側に押圧される。これによりドラグ力が大きくなる。このとき、第1つまみ部材166と第2つまみ部材167とが相対回転すると、つまみ発音機構が作動し、歯切れがよい軽快なクリック音が発生する。
キャスティング時には、ベールアーム134を糸開放姿勢に反転させる。これにより釣り糸をスプール104から放出可能になる。この状態で釣り竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っかけながら釣り竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。この状態でハンドル101を糸巻取方向に回転させると、ロータ駆動機構105によりロータ103が糸巻取方向に回転し、ベールアーム134がベール反転機構(図示せず)により糸巻取位置に復帰し、釣り糸がベールアーム134によってスプール104に巻き取られる。
ジギングを行う場合、巻取時に釣り上げる魚に応じてドラグ力を調整しなければならない状況が発生することがある。この場合でも、スプール軸115の雄ねじ部115dの表面に複合めっき被膜115bが形成されるため、ドラグつまみ161との摺動性能が高くなる。このため、ドラグ力が大きくなっても軽い操作力でドラグつまみ161を操作できるようになる。
<第2参考例
図14において、本考案の第2参考例が採用された釣り竿300は、元竿201と、元竿の穂先側に連結された少なくとも1本の中竿202と、中竿202の穂先側に連結された穂先竿203との3本の竿体から構成されている。なお、竿体の本数はこれに限定されず、任意に設定可能である。
<元竿>
元竿201は最も竿元側に位置する太径の竿体である。炭素繊維などの強化繊維を引き揃えた上で合成樹脂を含浸させたプリプレグ素材を焼成して製造される管状体からなる。元竿201の竿元側の竿体の外周面にはリアグリップ204が装着され、その穂先側にはリール(図示せず)を脱着自在に装着するためのリールシート205が設けられ、その穂先側にはさらにフロントグリップ206が装着されている。リアグリップ204及びリアグリップ206はそれぞれウレタンゴム等から製造されるパイプ状の部材であり、管状体の所定の周面に接着剤等で固定されている。リールシート205はリールの脚部を軸方向に挟み込んで固定する部分である。リールシート205は、リール装着面205aを有する。また、この元竿201の穂先側の外周面には釣り糸ガイド207が装着されている。
<元竿用の釣り糸ガイド>
図15に示すように、この釣り糸ガイド207は、元竿201の管状体の外周面に固定される部材である。釣り糸ガイド207は、釣り具用部品の一例である。釣り糸ガイド208は、元竿201の管状体の外周面に固定される固定部211と、固定部211より起立する脚部212と、脚部212の頭端に形成された元竿201の軸方向に沿って貫通する貫通孔213aを有するガイドフレーム213と、貫通孔213aにはめ込まれ釣り糸Lが挿通可能なガイドリング214とを有している。
固定部211は硬質の合成樹脂等の左右の半割部材から形成され、左右の半割部材を貼り合わせ面で接着固定などして形成される、元竿201が貫通可能なパイプ状の部材である。パイプの内周面と元竿201の外周面との圧入または両者の接着などの適宜の固定手段により、元竿201の所定の軸方向位置の周面に固定されている。元竿201の所定の軸方向位置における管状体の外径と固定部211のパイプの内径との圧入することにより、両者は位置決めされる。固定部211のパイプ状部分の外周側の一部は開口する受け部となっており、脚部212の回転部を受ける収納部分となっている。
固定部211の受け部から起立するのが脚部212である。脚部212は、チタン,アルミニウムなどの金属若しくは硬質合成樹脂から構成される。脚部212の柱状の部分の頭端側に円盤状に広がるガイドフレーム213が形成される。ガイドフレーム213はその円盤状の部分の中央を貫通する貫通孔213aが形成されており、ここにガイドリング214がはめ込まれて固定されている。ガイドリング214は、釣り糸Lが内部を挿通可能なリング部材であり、環状のリング本体214aと、リング本体214aの外表面に形成される複合めっき被膜214bと、を有する。ガイドリング本体214aはステンレス合金などの硬質の金属製の部材から形成されたリングである。リング本体214aは、本考案の第2参考例による基材の一例である。ガイドリング214の周方向位置は、リールシート205のリール装着面と一致する。ガイドリング214は、本考案の第3実施形態によるめっき被覆部材及び釣り具用部品の一例である。
複合めっき被膜214bは、ガイドリング214の外表面に形成される。複合めっき被膜214bは、図16に示すように上記実施形態と同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。複合めっき被膜214bの共析率は、上記実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、 上記実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜115bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
<中竿>
中竿202は元竿201の穂先側に連結される竿体であり、元竿201と同様にプリプレグ素材を焼成してなる先細りテーパの施された管状体からなる。中竿202の外周面には、軸方向に間隔を隔てて複数の釣り糸ガイド208が設けられる。元竿201に対する連結手法は、いわゆる振出形式,並継形式,インロー継形式など任意のものを選択可能である。例えば、振出形式を採用する場合には、釣り糸ガイド208は、中竿202の外周面上を軸方向に滑動可能とする必要が生じる。
<中竿用の釣り糸ガイド>
図15に示すように、この釣り糸ガイド208は、大きさを除いて釣り糸ガイド207と同様な構成である。したがって、ガイドリング214は、リング本体214aと複合めっき被膜214bと、を有する。複合めっき被膜214bは、釣り糸ガイド207と同様な構成である。なお、中竿202が振出形式で元竿201に連結される場合は、釣り糸ガイド208の固定部211は、中竿202の外周面に軸方向移動可能に設けられる。
<穂先竿>

穂先竿203は中竿2の穂先側に連結される細経の竿体である。他の竿体と同様にプリプレグ素材を焼成した管状体若しくは中実のソリッド体である。穂先竿の外周面には、釣り糸ガイド209が軸方向に間隔を隔てて配置されている。穂先竿203の穂先側端部にはトップガイド210が接着剤等により固定されている。
<穂先竿用の釣り糸ガイド及びトップガイド>
釣り糸ガイド209は、釣り糸ガイド207及び釣り糸ガイド208と大きさを除いて同様な構成である。したがって、ガイドリング214は、リング本体214aと複合めっき被膜214bと、を有する。複合めっき被膜214bは、釣り糸ガイド207と同様な構成である。なお、穂先竿203が振出形式で中竿202に連結される場合は、釣り糸ガイド209の固定部211は、中竿202の外周面に軸方向移動可能に設けられる。
トップガイド210は、穂先竿203の先端の一部が差し込まれた本体部210aと、その本体部210aに起立するようにはめ込まれたガイドリング214とを有する。ガイドリング214は、釣り糸ガイド207と同様構成である。
このような構成の釣り竿300においても、釣り糸Lが接触するガイドリング214の外表面に複合めっき被膜214bが形成されるため、釣り糸Lの摺動抵抗が小さくなり、キャスティング時の仕掛けの飛行距離が長くなる。また、釣り糸Lを巻き取るときの摺動抵抗が小さくなり、釣り糸Lの巻取が容易になる。
<第3参考例
図17及び図18において、本考案の第3参考例が採用された自転車のクランク組立体351は、大径の第1スプロケット371と、小径の第2スプロケット372と、第1スプロケット371及び第2スプロケット372を複数(例えば5本)の固定ボルト390及びナット391により固定可能なギアクランク358と、を有している。ギアクランク358は、クランク連結部375と、5つのスパイダーアーム部376と、右クランクアーム377と、を有している。クランク連結部375は、円形の空間で構成されクランク軸354の右端が一体回転可能に連結される係合凹部378を有する。5つのスパイダーアーム部376は、右ランク連結部375から放射状に延び、第1スプロケット371及び第2スプロケット372を先端に装着可能である。スパイダーアーム部376の先端には、取付孔376bを有するスプロケット取付部376aが形成されている。右クランクアーム377は、クランク軸354の右端に固定され先端にペダル装着孔377aが形成される。
<第1スプロケット及び第2スプロケット>
図18に示すように、第1スプロケット371は、第1スプロケット本体371aと、第1スプロケット本体371aの外表面に形成された第1複合めっき被膜371bと、を有する。第2スプロケット372は、第2スプロケット本体372aと、第2スプロケット本体372aの外表面に形成された第2複合めっき被膜372bと、を有している。第1スプロケット本体371a及び第2スプロケット本体372aは、本考案の基材の一例である。また、第1スプロケット371及び第2スプロケット372は、本考案の第3参 考例によるめっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。
第1スプロケット本体371aの外周部には、複数の第1ギア歯371cが周方向に間隔を隔てて設けられている。第1ギア歯371cの数は、例えば46から54の範囲である。第2スプロケット本体372aの外周部には、複数の第2ギア歯372cが周方向に間隔を隔てて設けられている。第2ギア歯372cの数は、例えば32から38の範囲である。第1スプロケット本体371a及び第2スプロケット本体372aは、例えば、アルミニウム合金材,ステンレス合金材,及びチタン合金材のいずれかひとつを用いた環状の部材である。なお、この参考例ではアルミニウム合金材を用いている。
第1スプロケット本体371a及び第2スプロケット本体372aの内周部には、径方向内方に突出してギアクランク358のスプロケット取付部376aに各別に連結される5つの第1クランク取付部371d及び第2クランク取付部372dが形成されている。第1クランク取付部371d及び第2クランク取付部372dには、同芯上に配置される第1貫通孔371e及び第2貫通孔372eが各別に形成される。第1貫通孔371e及び第2貫通孔372eは、それぞれ大径の座面を有する段付きの孔である。固定ボルト390及び固定ナット391は、座面に係止される大径の頭部390a及び頭部391aを各別に有している。第1貫通孔371e(図18では、372eになっています。)、取付孔376b及び第2貫通孔372eに固定ボルト391及び固定ナット390が挿入される。第3参考例では、固定ボルト390は、第2貫通孔372eから挿入され、第1貫通孔371eから挿入された固定ナット391が締め込まれる。
第1複合めっき被膜371b及び第2複合めっき被膜372bは、第3参考例では、例えば図18に太線で示す第1ギア歯371c及び第2ギア歯372cを含んで形成される。第1複合めっき被膜371b及び第2複合めっき被膜372bは、図19に示すように 上記実施形態と同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。第1複合めっき被膜371b及び第2複合めっき被膜372bの共析率は、上記1実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、上記実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜115bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
このような構成の第1スプロケット371及び第2スプロケット372では、第4参考 で説明するチェーン422が接触してもチェーン422との摺動抵抗が小さくなり、チェーン422との摩擦力が小さくなる。このため、チェーン422をスムーズに駆動できるとともに、変速時に一方のスプロケットから他方のスプロケットにチェーン422が移動するとき、チェーン422がスムーズに移動する。
<第4参考例
図20及び図21において、本考案の第4参考例が採用された自転車用のチェーン422は、一対の外側リンクプレート430と、一対の外側リンクプレート430と交互に配置された一対の内側リンクプレート431と、両リンクプレート430,431を連結する連結ピン432と、一対の内側リンクプレート431の内側に配置され連結ピン432の軸回りに回転自在なローラ433とを有している。
<外側リンクプレート>
外側リンクプレート430は、互いに間隔を隔てて対向して配置される。外側リンクプレート430は、第1プレート本体430aと、第1複合めっき被膜430bと、を有している。第1プレート本体430aは、本考案の第4参考例による基材の一例である。外側リンクプレート430は、本考案の第4参考例によるめっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。第1プレート本体430aは、たとえば厚みが0.8mm〜1.0mm程度の鋼板を打ち抜き加工により両端を円形のひょうたん形に形成した板状部材である。外側リンクプレート430の両端部には、連結ピン432が貫通可能な第1連結孔430cが形成されている。
<内側リンクプレート>
一対の内側リンクプレート431は、1対の外側リンクプレート430の内側に一部が重複するように互いに間隔を隔てて配置される。内側リンクプレート431は、第2プレート本体431aと、第2複合めっき被膜431bと、を有している。第2プレート本体431aと、第1複合めっき被膜431bと、を有している。第2プレート本体431aは、本考案の第4参考例による基材の一例である。内側リンクプレート431は、本考案の第4参考例によるめっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。内側リンクプレート431は、外側リンクプレート430と似た形状であり、たとえば厚みが0.75mm〜0.95mm程度の鋼板を打ち抜き加工により両端を円形のひょうたん形に形成した板状部材である。内側リンクプレート431の両端には、第1連結孔430cに対向可能な第2連結孔431cが形成されている。第2連結孔431cは、プレス加工によって内側に凹んで形成されている。第2連結孔431cは、第1連結孔430cより内径が大きい。内側リンクプレート431の第2連結孔431cの形成部分は、ローラ433を支持するために筒状に形成される。
<連結ピン>
連結ピン432は、特殊鋼の表面に耐摩耗性を向上させるために硬化処理を行った棒状部材である。連結ピン432は、直径が第1連結孔430cの内径よりも大きく、第2連結孔431cの内径よりも小さい。連結ピン432は、第1連結孔430cに圧入され第1及び第2連結孔430c,431cを貫通して両リンクプレート430,431を連結する。また連結ピン432の両端部は、連結ピン432を固定するために塑性変形され大径に形成される。
<ローラ>
ローラ433は、1対の内側リンクプレート431の間に配置され、連結ピン432の軸回りに回転自在である。ローラ433は、ロータ本体433aと、ローラ本体の外表面に形成された複合めっき被膜433bと、を有している。また、ローラ433は、第2連結孔431cに形成された筒状の外周面に回転自在に支持される支持孔433cを有している。ローラ本体433aは、例えば、鉄系合金製であり、本考案の第4参考例による基材の一例である。ローラ433は、本考案の第4参考例による複合めっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。
<第1複合めっき被膜、第2複合めっき被膜及び複合めっき被膜>
第1複合めっき被膜430bは、図20及び図21に太線で示す外側リンクプレート430の外表面に形成される。第2複合めっき被膜431bは、図20及び図21に太線で示す内側リンクプレート430の外表面に形成される。第3複合めっき被膜433bは、図20及び図21に太線で示すローラ433の外表面に形成される。第1複合めっき被膜430b、第2複合めっき被膜431b及び第3複合めっき被膜433bは、図22に示すように上記実施形態と同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。第1複合めっき被膜430b、第2複合めっき被膜431b及び第3複合めっき被膜433bの共析率は、上記実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、上記実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。第1複合めっき被膜430b、第2複合めっき被膜431b及び第3複合めっき被膜433bは複、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
このような構成のチェーン422では、第3参考例で説明したように、第1スプロケット371及び第2スプロケット372との摺動抵抗を小さくすることができる。また、チェーン422の外側リンクプレート430と内側リンクプレート431との摺動抵抗を小さくすることができるとともに、ローラ433とチェーンとの間の摺動抵抗をさらに小さくすることができる。このため、チェーン422の静音化を実現できるとともに、変速動作をスムーズに行えるようになる。
<第5参考例
図23において、本考案の第5参考例が採用された自転車用ブレーキシステム512は、図示しないフロントフォークに装着されるブレーキキャリパ521及び図示しない前輪に装着されるディスクロータ522を有するブレーキ装置518と、ブレーキ装置518を操作するためのブレーキ操作装置523と、を備えている。ブレーキ装置518とブレーキ操作装置523とは、ブレーキホース525により連結される。ブレーキホース525のブレーキ操作装置523と連結される一端には、ブレーキ操作装置523に固定された連結継手526が装着されている。
<ブレーキ装置>
ブレーキキャリパ521は、ディスクロータ522に近接した位置でフロントフォークに取り付けられており、ディスクロータ522にその回転を停止させる締め付け力を加えることができる。ブレーキキャリパ521は、ハウジング570と、ピストンユニット571とを備えている。ハウジング570は、たとえばアルミニウム合金などの熱伝導性材料で構成されており、ボルトで結合された第1ハウジング部材572aと、第2ハウジング部材572bとを有している。両ハウジング部材572a,572bは実質的に同じ形状であり、第2ハウジング部材572bには、ブレーキホース525の他端が連結され、両ハウジング部材572a,572bにブレーキオイルが供給されるようになっている。
ピストンユニット571は、4つのピストン574(2つのみ図示)と、1対のブレーキパッド576とを有している。ピストン574は、第1ハウジング部材572aと、第2ハウジング部材572bとにそれぞれ摺動自在にはめ込まれており、制動解除位置と制動位置との間で移動する。ブレーキパッド576は、ピストン574の先端に配置され一体で移動する。したがって、ピストン574が制動解除位置から制動位置に移動するとブレーキパッド576も制動解除位置から制動位置に移動する。制動位置にあるとき、ブレーキパッド576はディスクロータ522を挟持して摩擦係合し、ディスクロータ522を介して前輪を制動する。制動解除位置にあるとき、ブレーキパッド576はディスクロータ522から離れてディスクロータ522は自由回転可能になる。
ディスクロータ522は、前輪のハブに固定されており、前輪に連動して回転する。ディスクロータ522は、たとえばステンレス合金製の円板部材である。
<ブレーキ操作装置>
ブレーキ操作装置523は、ブレーキ装置518とブレーキホース525により連結され、ブレーキホース525を介してブレーキ装置518を手で操作するための装置である。ブレーキ操作装置523は、図23及び図24に示すように、ハンドルバー515に装着可能なブラケット530と、ブラケット530に揺動自在に設けられ、手で操作可能なレバー部材531と、レバー部材531の揺動によりブレーキオイルを圧縮してブレーキホース525を介してディスクブレーキシステム512に送出可能な圧油送出部524と、圧油送出部524に設けられ、連結継手526の他端が固定される継手固定部527と、を有している。
ブラケット530は、圧油送出部524と一体形成され、ハンドルバー515に装着される取付部540と、取付部540と一体形成された支持部541とを有している。取付部540には、ハンドルバー515を挟んで取付バンド540aが配置されており、取付バンド540aからボルトを挿入してハンドルバー515にブラケットを取り付けできる。支持部541には、揺動軸542がハンドルバー515と食い違う軸に沿って配置されている。
レバー部材531は、揺動軸542に回転可能に装着され、操作開始位置からハンドルバー515に接近する方向に揺動自在である。レバー部材531は、ブラケット530から突出しており、その突出端がハンドルバー515に対して接離するように揺動する。レバー部材531には、圧油送出部524に当接する当接部544が形成されている。
圧油送出部524は、ブレーキオイルを圧縮するためのマスターシリンダ581と、マスターシリンダ581内部を動作軸Xに沿って移動するピストン582と、ブレーキオイルPOを貯蔵するリザーバタンク583とを有している。マスターシリンダ581は、ブラケット530と一体形成されている。マスターシリンダ581の先端には、連結継手526が取り付けられている。ピストン582の一端は、レバー部材531の当接部544に接触するようにマスターシリンダ581から図24左側に突出している。ピストン582は、戻しばね584により図24左方に付勢されている。これにより、レバー部材531も制動解除位置に向けて付勢されている。リザーバタンク583は、ブラケット530と一体形成されている。
このような構成の第6実施形態のブレーキ操作装置523のレバー部材531、ピストン582及びマスターシリンダ581は、本考案の第5参考例によるめっき被覆部材及び自転車用部品の一例である。レバー部材531は、レバー本体531aと、複合めっき被膜531bと、を有している。複合めっき被膜531bは、レバー本体531aの使用者の手指が触れる外側面に形成されている。レバー本体531aは、本考案の第5参考例による基材の一例である。
ピストン582は、ピストン本体582aと、複合めっき被膜582bと、を有している。また、マスターシリンダ581は、シリンダ本体581aと、複合めっき被膜581bと、を有している。ピストン582の複合めっき被膜582bは、マスターシリンダ581が接触する図24に太線で示すピストン582の外周面に形成されている。マスターシリンダ581の複合めっき被膜581bは、ピストン582が接触する図24に太線で示すマスターシリンダ581の内周面に形成される。レバー本体531a、シリンダ本体581a及びピストン本体582aは、本考案の第5参考例による基材の一例である。
なお、ブレーキ装置518において、ハウジング570のシリンダの内周面及びピストンユニット571のピストン574の外周面に複合めっき被膜を形成してもよい。
複合めっき被膜531b,581b,582bは、図25に示すように上記実施形態と同様にフッ素化合物の微粒子をニッケルめっき液中に分散共析させたものである。複合めっき被膜531b,581b,582bの共析率は、上記実施形態と同様であり、好ましくは、30容量パーセントから70容量パーセント、より好ましくは、40容量パーセントから50容量パーセントである。また、フッ素化合物は、上記実施形態と同じ群から選択された少なくとも一種である。複合めっき被膜531b,581b,582bの膜厚は、例えば0.5μmから50μmの範囲であり、好ましくは、5μmから15μmの範囲である。
このような構成のブレーキシステム512において、ブレーキ操作装置523において、レバー部材531の手指が触れる外側面に複合めっき被膜531bが形成されるため、手指とレバー部材531との摺動抵抗が小さくなり、使用者がブレーキ操作を行うとき、手指にレバー部材531が馴染んでブレーキ操作を行いやすくなる。
また、マスターシリンダ581とピストン582との接触部分に複合めっき被膜581b,582bが形成されるため、マスターシリンダ581とピストン582との摺動抵抗が小さくなり、レバー部材531の押圧よるピストン582の移動がスムーズになる。
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。なお、特徴の説明において、請求項の文言と実施形態の文言との対応については上記実施形態または第3参考例の符号によって説明する。
(A)めっき被覆部材である駆動軸30(またはピニオンギア32)は、基材である軸本体30a(またはギア本体32a)と、軸本体30a(またはギア本体32a)の外表面の少なくとも一部にフッ素化合物の微粒子を分散及び共析させたニッケル系複合めっき被膜30b(または32b)を有する。複合めっき被膜30b(または32b)のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下である。
この駆動軸30(またはピニオンギア32)では、ニッケル系の複合めっき被膜30b(または32b)を有する駆動軸30(またはピニオンギア32)の有する耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ、複合めっき被膜30b(または32b)のフッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下にすることによって、摺動性能を高めることができる。
(B)フッ素化合物が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体から選択された少なくとも一種であってもよい。これらを使用用途、目的によって、適宜選択することで、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性を維持しつつ摺動性能をさらに向上させることができる。
(C)の複合めっき被膜30b(または32b)の膜厚が、0.5μm以上50μm以下であってもよい。複合めっき被膜30b(または32b)の膜厚を0.5μm以上50μm以下にすることによって、従来よりも膜厚が厚い複合めっき被膜30b(または32b)を形成でき、摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れためっき被覆部材を提供することができる。
(D)基材である駆動軸の軸本体30a(またはピニオンギア32のギア本体32a)は、鉄、アルミニウム、ステンレス、チタン及びこれらの合金から選択してもよい。これらを使用用途、目的によって、適宜選択することで、駆動軸30(またはピニオンギア32)の強度を選択でき、摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れた駆動軸30(またはピニオンギア32)を提供することができる。
(E)複合めっき被膜30b(または32b)は、駆動軸の軸本体30a(またはピニオンギア32のギア本体32a)の全周に渡って形成されてもよい。この場合、あらゆる角度からの摩擦や衝撃等に対して、その摺動性能をより向上させるとともに、硬度の点、及び相手材の攻撃(摩耗)を防止するという点でより優れた駆動軸30(またはピニオンギア32)を提供することができる。
(F)複合めっき被膜30b(または32b)は、電気めっき処理によって、形成されてもよい。この場合、より容易な方法で、駆動軸の軸本体30a(またはピニオンギア32のギア本体32a)の全周に渡って複合めっき被膜30b(または32b)を均一に形成させることができ、また、複合めっき被膜30b(または32b)の膜厚を厚くできる。
(G)上記のめっき被覆部材を自転車用部品に用いてもよい。例えば、第1スプロケット371、第2スプロケット372、チェーン422等の回転伝達部品に使用した場合、スプロケット部品間(スプロケットとチェーン、チェーンの部品間)に生じる摩擦によって、回転力の伝達効率が悪化を生じさせることなく、また、摩擦によるフィーリングの違和感を最小限に抑えることができる。さらに、操作部(ブレーキ装置、変速機構等)においても、各部品間で、生じる摩擦やレバー等直接触れる部分で、そのフィーリングの違和感を最小限に抑えることができる。
(H)上記のめっき被覆部材を釣り具用部品に用いてもよい。これによって、例えば、リール及び釣り竿など、直接、手で触れて、その繊細な感覚を実現できる。また、魚がかかったか否かを感じ取るために、特に、重要な竿に設けられた釣り糸ガイドと釣り糸との摩擦による違和感を最小限に抑えることができる。
<他の実施形態>
以上、本考案の一実施形態について説明したが、本考案は上記実施形態に限定されるものではなく、考案の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
(a)上記実施形態では、駆動ギア31が駆動軸30に回転自在に装着されているが、駆動ギアが駆動軸に一体回転可能な両軸受リールにも本考案を適用できる。
(b)上記実施形態では、ピニオンギア32めっき処理時に貫通孔32iを塞いだが、貫通孔32iに複合めっき被膜を形成してもよい。この場合には、特に、第2軸受を設けずにスプール軸に貫通孔32iが接触するおそれがある場合にも、ピニオンギア32の摺動性能が高くなる。
(c)クラッチヨーク及びクラッチカム等の部材を金属製にし、これらの部材にさらにフッ素樹脂含有めっきを施してもよい。この場合、クラッチカム及びクラッチカムの形状及び方式には特に限定されず、どのような形状及び方式のものであってもよい。
(d)上記実施形態では、釣り具用部品において、釣り竿、ロープロファイルの両軸受リール及びスピニングリールを例に本考案に係るめっき被覆部材を説明したが、本考案は彼に限定されない。たとえば、丸形の両軸受リール、電動リール及び片軸受リールに設けられるめっき被覆部材にも本考案を適用できる。
(e)上記実施形態では、めっき被覆部材を有する自転車用部品としてスプロケット、チェーン、ブレーキ装置、及びブレーキ操作装置を例に本考案を説明したが、本考案はこれに限定されない。めっき被覆部材を有する自転車用部品は、使用者が手に触れたり、部品同士が摺動する全ての自転車用部品(例えば自転車用サスペンション、など)に本考案を適用できる。
30 駆動軸(釣り具用部品及びめっき被覆部材の一例)
30a 軸本体(基材の一例)
30b 複合めっき被膜
30c 第1雄ねじ部
30d 第2雄ねじ部
32 ピニオンギア(釣り具用部品及びめっき被覆部材の一例)
32a ギア本体(基材の一例)
32b 複合めっき被膜
115 スプール軸(釣り具用部品及びめっき被覆部材の一例)
115a 軸本体(基材の一例)
115b 複合めっき被膜
214 ガイドリング(釣り具用部品及びめっき被覆部材の一例)
214a リング本体(基材の一例)
214b 複合めっき被膜
371 第1スプロケット(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
371a 第1スプロケット本体(基材の一例)
371b 第1複合めっき被膜
372 第2スプロケット(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
372a 第2スプロケット本体(基材の一例)
372b 第2複合めっき被膜
422 チェーン
430 外側リンクプレート(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
430a 第1プレート本体(基材の一例)
430b 第1複合めっき被膜
431 内側リンクプレート(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
431a 第2プレート本体(基材の一例)
431b 第2複合めっき被膜
433 ローラ(自転車用部品及びめっき被覆部材の一例)
433a ローラ本体(基材の一例)
433b 複合めっき被膜
531 レバー部材
531a レバー本体
531b 複合めっき被膜
581 マスターシリンダ
581a シリンダ本体
581b 複合めっき被膜
582 ピストン
582a ピストン本体
582b 複合めっき被膜

Claims (8)

  1. 基材と、
    前記基材の外表面の少なくとも一部にフッ素化合物の微粒子を分散及び共析させたニッケル系複合めっき皮膜と、を備え、
    前記ニッケル系複合めっき皮膜の前記フッ素化合物の微粒子の共析率が30容量パーセント以上70容量パーセント以下であることを特徴とするめっき被覆部材。
  2. 前記フッ素化合物が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体からなる群から選択された少なくとも一種である、請求項1記載のめっき被覆部材。
  3. 前記複合めっき被膜の膜厚が、0.5μm以上50μm以下である、請求項1又は2に記載のめっき被覆部材。
  4. 前記基材は、鉄、アルミニウム、ステンレス、チタン及びこれらの合金からなる金属群から選択された少なくとも一種である、請求項1から3のいずれかに記載のめっき被覆部材。
  5. 前記複合めっき被膜は、前記基材の全周に渡って形成されている、請求項1から4のいずれかに記載のめっき被覆部材。
  6. 前記複合めっき被膜は、電気めっき処理によって形成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のめっき被覆部材。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の前記めっき被覆部材を用いた自転車用部品。
  8. 釣り具に用いられる釣り具用部品であって、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の前記めっき被覆部材を用いた釣り具用部品。
JP2013002838U 2013-05-22 2013-05-22 両軸受リールの駆動軸 Expired - Lifetime JP3185765U (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013002838U JP3185765U (ja) 2013-05-22 2013-05-22 両軸受リールの駆動軸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013002838U JP3185765U (ja) 2013-05-22 2013-05-22 両軸受リールの駆動軸

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3185765U true JP3185765U (ja) 2013-09-05

Family

ID=50429495

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013002838U Expired - Lifetime JP3185765U (ja) 2013-05-22 2013-05-22 両軸受リールの駆動軸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3185765U (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015071803A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 株式会社シマノ 摺動部材、摺動部材を用いた自転車用部品、摺動部材を用いた釣り具用部品、及び摺動部材の製造方法
JP2015092009A (ja) * 2013-10-02 2015-05-14 株式会社シマノ 摺動部材、摺動部材を用いた自転車用部品、及び摺動部材を用いた釣り具用部品
US10465139B2 (en) 2013-10-02 2019-11-05 Shimano Inc. Slide member, bicycle component using slide member, and fishing tackle component using slide member
US11274260B2 (en) 2013-10-02 2022-03-15 Shimano Inc. Slide member, bicycle component using slide member, and fishing tackle component using slide member

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015071803A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 株式会社シマノ 摺動部材、摺動部材を用いた自転車用部品、摺動部材を用いた釣り具用部品、及び摺動部材の製造方法
JP2015092009A (ja) * 2013-10-02 2015-05-14 株式会社シマノ 摺動部材、摺動部材を用いた自転車用部品、及び摺動部材を用いた釣り具用部品
US10465139B2 (en) 2013-10-02 2019-11-05 Shimano Inc. Slide member, bicycle component using slide member, and fishing tackle component using slide member
US11274260B2 (en) 2013-10-02 2022-03-15 Shimano Inc. Slide member, bicycle component using slide member, and fishing tackle component using slide member

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI589225B (zh) 雙軸承捲線器的小齒輪、及具備該小齒輪的雙軸承捲線器
US7784725B2 (en) Reverse prevention mechanism for lever drag reel
KR100532196B1 (ko) 부품 조립체
TWI637690B (zh) 雙軸承捲線器的小齒輪及雙軸承捲線器
JP3185765U (ja) 両軸受リールの駆動軸
JP2014155470A5 (ja)
JP6411009B2 (ja) 釣り用リールのリール部品
JP5291904B2 (ja) 両軸受リールのキャストコントロール機構
KR101715087B1 (ko) 듀얼 베어링 릴의 사운드 발생 장치
JP2011019428A (ja) 両軸受リールのレバードラグ機構
JP2012007643A5 (ja)
JP2015126703A5 (ja)
JP2014197986A5 (ja)
JP5242353B2 (ja) 両軸受リールのドラグ調整装置
JP6368529B2 (ja) 釣用リールのドラグ機構用の制動板組、及び釣用リールのドラグ機構用の制動板組を備えた釣用リール
JP2012000087A (ja) 両軸受リールの変速操作機構
JP2012000087A5 (ja)
JP2009165462A (ja) 釣り用リールのハンドル把手及びハンドル組立体
JP2015208284A5 (ja)
JP2012120444A (ja) 釣り用リールの回転伝達機構
JPH11225633A (ja) 部品組立体
TWI627902B (zh) 雙軸承捲線器的拖曳機構
JP2014138561A5 (ja)
JP3882019B2 (ja) 釣り用リールのドラグ機構
JP2006304689A (ja) スピニングリールのドラグ機構

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130626

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3185765

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term