JP3185311B2 - エアバッグの製造方法 - Google Patents

エアバッグの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両衝突時に乗員の衝
撃を吸収するエアバッグの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車における乗員の安全確保の
ためのエアバッグの実用化が急速に高まりつつある。エ
アバッグは、自動車の衝突事故の際、衝突の衝撃を受け
てセンサーが作動し、高温、高圧のガスを発生させ、こ
のガスによって、エアバッグを瞬間的に膨張させ、衝突
時に乗員の顔面、前頭部を保護しようとするものであ
る。従来、エアバッグには300〜1000デニールの
ナイロン6またはナイロン6・6フィラメント糸を用い
た平織物に、耐熱性、難燃性、空気遮断性などの向上の
ため、クロロプレン、クロルスルホン化オレフィン、シ
リコーンなどの合成ゴムなどのエラストマーを塗布、積
層した基布を裁断し、袋体に縫製して作られていた。
【0003】しかしながら、これらのエラストマー樹脂
を基布の片面に塗布、積層する際、通常、ナイフコー
ト、ロールコート、リバースコートなどによるコーティ
ングが採用されているが、フィラメント布帛で構成され
たエアバッグ基布に対しては、エラストマー樹脂の接着
性が十分でなく、高温または低温雰囲気中で、エアバッ
グがガスにより膨張した時、エラストマー樹脂が剥れる
という問題があった。一方、接着性を向上させるため
に、エラストマー樹脂以外に架橋剤、プライマーなどの
第2成分、第3成分などを配合していた。この方法は、
接着性はかなり改善されるが、まだ十分とは言えない。
また、第2成分、第3成分により、エアバッグ基布の風
合が硬くなり、エアバッグ膨張時に、顔面が接触すると
擦過傷を受けることもあり好ましいものではなかった。
また、収納性の面においても十分とは言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来のエアバッグの欠点に鑑み、エアバッグとしての
機械的特性、空気遮断性などの必要な特性を保持しつ
つ、樹脂の接着性に非常に優れ、かつ、風合が柔らか
く、また、収納性にも優れたエアバッグを提供するもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、次のような構成を有する。すなわち、本
発明のエアバッグの製造方法は、フィラメント布帛で構
成されたエアバッグ基布において、該布帛表面に、放電
処理または紫外線処理を施し、次いで樹脂を塗布または
積層することにより、該布帛と該樹脂とを、3.0Kgf/
cm以上の剥離強力で接着することを特徴とするものであ
る。
【0006】
【作用】本発明は、放電処理と紫外線処理の少なくとも
1種の特定な処理を施して、樹脂を塗布、積層すると、
該布帛と該樹脂とを、3.0Kgf/cm以上の剥離強力で接
着させることができ、かつ、前記課題を一挙に解決する
優れたエアバッグを提供し得ることを究明したものであ
る。
【0007】すなわち、本発明の方法を採用すると、
布帛とエラストマー樹脂の接着性について、剥離強力
が、実施例で示されているように、3.0Kgf/cm以上と
大幅に向上させることができるにも拘わらず、風合
らかく、しかも収納性に優れたエアバッグを提供するこ
とができものである。
【0008】本発明で言うフィラメント布帛を構成する
フィラメント糸としては、ナイロン6・6、ナイロン
6,ナイロン12、ナイロン4・6およびナイロン6と
ナイロン6・6共重合体、ナイロンにポリアルキレング
リコール、ジカルボン酸やアミン類などを共重合したポ
リアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのホモ
ポリエステル、ポリエステルの繰り返し単位を構成する
酸成分にイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル
酸またはアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを共
重合したポリエステル繊維、パラフェニレンテレフタル
アミドおよび芳香族エーテルとの共重合などに代表され
るアラミド繊維、レーヨン繊維、超高分子量ポリエチレ
ン繊維、パラフェニレンサルフォン、ポリサルフォンな
どのサルフォン系繊維、ポリエーテルケトン繊維、炭素
繊維、ガラス繊維などからなる連続繊維を使用すること
ができる。これらの繊維の中でも特にポリエステル繊維
に対しては、従来方法では困難で問題とされていたシリ
コーンゴムとの接着不良ならびにゴム架橋による風合硬
化が解決できる。
【0009】かかる連続繊維には、原糸糸条の製造工程
や加工工程での生産性あるいは、特性改善のために通常
使用されている各種添加剤を含んでいてもよい。たとえ
ば、熱安定性、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防
止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などを含有せしめ
ることができる。
【0010】また、フィラメント布帛とは、該フィラメ
ントからなる編織物をいい、通常は織物が使用され、織
組織は特に限定されないが、平織組織が特に好ましい。
【0011】また本発明で言う放電処理とは、ガスに高
電圧を印加することによって発生する放電を意味するも
のであり、かかる放電には、大気圧中で形成させるコロ
ナ放電と真空容器にガスを封入して形成させる低温プラ
ズマ放電がある。
【0012】低温プラズマは、好ましくは50Torr以
下、さらに好ましくは20Torr以下、特に好ましくは
0.01〜10Torrの減圧下で高電圧を印加する。高電
圧を印加する放電周波数(交流)は、高周波、低周波、
マイクロ波を用いることができ、また直流を用いること
もできる。
【0013】本発明でいう非重合性ガス雰囲気中で放電
処理する方法は、重合性を有しないガスを放電電離する
もので、ガス種類としては、Ar 、N2 、He 、CO、
CO2 、O2 、空気、水蒸気などを例示できる。
【0014】本発明でいう重合性ガス雰囲気中でプラズ
マ処理する方法は、重合性ガスを気相で重合させ被処理
物に該重合物を析出させるものである。
【0015】かかる重合性を有するガスとしては、メタ
ン、エタン、エチレン、アセチレンなどの炭化水素ガス
やC3 6 、C3 8 、C4 8 、C2 4 などの含フ
ッ素ガス、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリメトキシシランなどのシランガ
スなどを使用することができる。
【0016】かかるガスを放電雰囲気中に封入し、高電
圧を印加するがコロナ放電の場合、非重合性ガスとして
は、火花放電の発生が少ないAr、Heなどの希ガス類
が好ましい。またコロナ放電にて重合性ガスを用いる場
合は、雰囲気中を希ガス類で置換した後、希ガス雰囲気
中に重合性ガスを導入して放電処理すると、重合性ガス
の利用効率が高く、好ましい。
【0017】真空中でおこなう低温プラズマは、真空容
器を0.01Torr以下、好ましくは0.001Torr以下
に減圧した後、非重合性ガスまたは重合性ガスを導入し
て放電処理すれば容易に目的を達成することができる。
【0018】処理装置としては、コロナ放電の場合は、
必要に応じてガスを置換できるようにした容器内に対向
した電極を設置すれば良く、低温プラズマ処理は、真空
容器内に電極を設置する内部電極方式と、真空容器の外
に設置する外部電極方式があるが、どちらの方式でも本
発明の効果を付与することができる。これらの方式の中
でも処理効果の効率からすると内部電極方式の方が好ま
しい。
【0019】本発明の放電に使用する電極の形状は、平
板状、棒状、ワイヤー状、ロール状、ナイフエッヂ状な
ど、目的に応じて組み合せて使用することができるが、
放電電極として金属棒の表面にガラスあるいはセラミッ
クスを被覆したもの、アース電極として金属、例えばス
テンレス製の板や、ドラム状のものを組合せるのが好ま
しい。電極間の距離は、コロナ放電の場合、好ましくは
0.1〜5cm、さらに好ましくは0.1〜2cm、特に好
ましくは0.1〜0.5cmである。
【0020】大気圧中でおこなうコロナ放電の場合、一
方の電極をガラスあるいはセラミックスなどの誘電体で
被覆したものを用いて、希ガス類雰囲気で放電させると
誘電体表面に均一なグロー状の放電が形成され、その部
分に非処理物を接触させて処理すれば電極間の線状の放
電にさらすことなく、均一な処理が可能である。この場
合電極間の距離は0でもさしつかえない。低温プラズマ
における電極間の距離は、好ましくは0.5〜10cm、
さらに好ましくは3〜7cmの電極間距離で用いるのが放
電に斑がなく、均一な処理ができて好ましい。両電極は
必要に応じて水などで冷却するのがよい。
【0021】本発明の放電電力としては、放電電力を放
電電極の面積で割った値で0.3〜15 W/cm2 の範囲
が好ましい。放電電力が0.3W/cm2 より小さいと処
理に時間がかかり過ぎる傾向があり、また、15W/cm
2 を越えると、放電が不安定になりやすい傾向がでてく
る。処理時間は、数秒から数分の範囲で実施する。
【0022】次に本発明でいう紫外線処理とは、大気中
に取り出せる180〜400nmの波長領域の紫外線を照
射する処理をいい、光源としては、高圧水銀ランプ、メ
タルハライドランプ、クセノンランプ、低圧水銀ランプ
などを使用することができる。これらの中でもエネルギ
ーレベルの大きい183.9nmと253.7nmの波長を
有する低圧水銀ランプが好ましく使用される。低圧水銀
ランプの場合、雰囲気ガスに空気、あるいは酸素を用い
るとオゾンが発生し、この酸化作用を利用すれば、反応
効率が高まり好ましい。しかしオゾン濃度が高すぎると
フィラメント表面が劣化し、エラストマーとの接着性
が、むしろ低下する場合があるので注意が必要である。
オゾン濃度は好ましくは5000ppm 以下、さらに好ま
しくは3000ppm 以下、特に好ましくは1500ppm
以下である。
【0023】かかる紫外線処理の照射強度は、照度が2
53.7nmの波長において好ましくは3mw/cm2 以上、
さらに好ましくは10mw/cm2 以上がよく、照射時間は
秒単位から分単位の時間で十分であるが、照度、時間は
目的に応じて変更することができる。
【0024】かかる紫外線処理は、減圧下または加圧下
で処理してもさしつかえない。また、本発明の放電処理
と紫外線処理を組み合せて使用しても、本発明の効果を
達成することができる。
【0025】また、本発明で言う樹脂としては、別に特
定する必要はないが、エアバッグ基布に通常使用される
エラストマー樹脂が好ましく使用される。かかるエラス
トマー樹脂としては、耐熱性、難燃性を有するエラスト
マー樹脂を使用することができ、たとえばクロロプレ
ン、クロルスルホン化オレフィン、シリコーン、ポリア
ミド、ポリエステル、ポリイミドなどのエラストマーか
らなる樹脂、中でも特にシリコーンエラストマーからな
る樹脂が効果的に優れている。
【0026】かかる樹脂を塗布または積層する方法は、
ナイフコート、ロールコート、リバースコートなどのコ
ーティング法、またドライラミネート、ウェットラミネ
ートおよび押出ラミネートなどのラミネート法を用いる
ことができる。中でもコーティング法が効果的に優れて
いる。
【0027】
【実施例】次に実施例により、本発明をさらに詳しく説
明する。なお、実施例中のエアバッグにおける基布とエ
ラストマー樹脂の接着性および基布の柔軟性、耐熱性に
ついては、下記の方法により、剥離強力、耐揉性、剛軟
度、防融性を測定した。
【0028】剥離強力:JISK6328の剥離試験法
に準じて、剥離強力(kgf/cm) を求めた。
【0029】耐揉性:JISK6328の揉み試験法
(スコット法)に準じて押圧荷重2000gで500回
揉み、ゴム層と基布の剥離状態を調べた。
【0030】剛軟度:JISL1096の45゜カンチ
レバー法に準じ、ゴム面を上にして剛軟度(mm)を求め
た。
【0031】防融性:大栄科学精器製作所製NM−1型
防融試験機を用い、表面温度360℃で5秒間、ゴム面
にコテ先部を静置し、軽く取り外した後の穴あき面積を
求め等級にて表わした。
【0032】 等級 穴あき面積 5級 0 4級 1/8 3級 1/4 2級 1/2 1級 1 実施例1〜4、比較例1〜2 トータル繊度500デニール、120フィラメント、強
度8.5 g/デニールのポリエステル繊維を使用し、経
糸ならびに緯糸ともに38本/インチの平織物を製織し
た。次いで、常法にて精練、乾燥、中間セットした後、
本発明においては、該織物を次の条件で低温プラズマ処
理を施した。
【0033】装置 :内部電極型装置 放電電極 :ステンレスチューブをガラスで被覆 アース電極:ステンレス製ドラム 放電周波数:100KHz 放電電力 :3.7 W/cm2 真空度 :0.4、1.0Torr ガス :N2 処理時間 :15、30秒 しかる後、強力向上剤としてシリカを含有する有効成分
35%の分子量55万からなるメチルビニルシリコーン
ゴム100部、ハイドロジェンオルガノシロキサンから
なる架橋剤2部、白金触媒0.5部、ベンガラ0.5部
からなる塗工液を粘度が28000cps になるようにト
ルエンにて調整し、低温プラズマ処理面をナイフコータ
ーにて塗工量が45 g/ m2 になるようにコーティング
し、120℃乾燥後、180℃で3分間加硫処理を行な
った。
【0034】比較として、低温プラズマ処理を施さず
に、織物を同様にコーティングしたもの(比較例1)、
また低温プラズマ処理を施さずに、前記塗工液にエポキ
シ基含有シランカップリング剤からなる接着向上剤を
4.5部添加し、コーティングしたもの(比較例2)も
あわせて、コーティング面が内側になるように袋体を縫
製した。このようにして得られたエアバッグの評価結果
を表1に示した。
【0035】
【表1】 表1からわかるように、低温プラズマ処理を施した後、
シリコーンゴムにてコーティングした本発明のエアバッ
グは、シリコーンゴムとの接着性に優れ、剛軟度が小さ
く柔軟であり、収納性にも優れ、また防融性も良好であ
った。
【0036】一方、比較例1のエアバッグは、シリコー
ンゴムとの接着性が不十分であり、比較例2のエアバッ
グは、シリコーンゴムとの接着性はやや向上したが、ま
だ不十分であり、また、風合が硬くなっており、顔面に
接触させると痛さがあり、収納性にも問題があった。
【0037】実施例5、比較例3〜4 トータル繊度420デニール、72フィラメント、強度
8.1 g/デニールのナイロン6・6繊維を使用し、経
糸ならびに緯糸とも47本/インチの平織物を製織し
た。次いで、常法により精練、乾燥、中間セットした
後、本発明においては、該織物を次の条件で大気圧中で
放電処理を施した。
【0038】放電電極 :銅チューブをガラスで被覆 アース電極:ステンレス板 放電周波数:30KHz 放電電力 :12 W/cm2 ガス :Ar 処理時間 :30秒 なお、放電処理は、放電電極とアース電極を通さず、放
電電極の表面に形成された放電部分に織物を接触させな
がら処理した。
【0039】しかる後、強力向上剤としてシリカを含有
する分子量7万からなるメチルビニルシリコーンゴム1
00部、ハイドロジェンオルガノシロキサンからなる架
橋剤2.5部、白金触媒0.2部、ベンガラ1.0部か
らなる塗工粘度41000cps の塗工液で、放電処理面
をコンマコーターにて塗工量が55 g/ m2 になるよう
にコーティングし、130℃乾燥後、180℃で5分間
加硫処理を行なった。比較として、放電処理を施さずに
織物を同様の塗工液にてコーティングを行なったもの
(比較例3)、放電処理を施さずに前記塗工液にトリメ
トキシ基含有シランカップリング剤からなる接着向上剤
を5.5部添加し、コーティングを行なったもの(比較
例4)もあわせてコーティング面が内側になるように袋
体を縫製した。このようにして得られたエアバッグの評
価結果を表2に示した。
【0040】
【表2】 表2からわかるように、放電処理を施した後、シリコー
ンゴムにてコーティングを行なった本発明のエアバッグ
は、シリコーンゴムとの接着性に優れ、また柔らかい風
合を有し、かつ防融性に優れていた。一方、比較例3の
エアバッグは、シリコーンゴムとの接着性に劣り、比較
例4のエアバッグは、接着性がかなり向上したが、風合
が硬く、顔面と接触させると痛さがあり、また収納性に
も問題があった。
【0041】実施例6〜7、比較例5 トータル繊度840デニール、162フィラメント、強
度8.8 g/デニールのナイロン6繊維を使用し、経糸
ならびに緯糸とも27本/インチの平織物を製織した。
次いで、常法にて精練、乾燥、中間セットした後、本発
明においては、該織物を低圧水銀ランプを用い、空気中
にて次の条件で紫外線処理を施した。
【0042】ランプ出力:500 W 照度 :35mw/cm2 (253.7nm) 処理時間 :30、60秒 オゾン濃度:380ppm しかる後、亜鉛華、マグネシアおよびチオウレア系の加
硫促進剤を配合したクロロプレンゴムからなる塗工粘度
45000cps の塗工液で紫外線処理面をナイフコータ
ーにて塗工量が110 g/ m2 になるように3回の繰返
しコーティングを行ない、125℃乾燥後、185℃で
5分間加硫処理を行なった。
【0043】比較として、紫外線処理を施さずに織物を
同様の塗工液にて、同様のコーティングを行なったもの
(比較例5)もあわせて、コーティング面が内側になる
ように袋体を縫製した。このようにして得られたエアバ
ッグの評価結果を表3に示した。
【0044】
【表3】 表3からわかるように、紫外線処理を施した後、クロロ
プレンゴムにてコーティングを行なった本発明のエアバ
ッグは、クロロプレンゴムとの接着性が良好で、かつ防
融性にも優れており、また収納性にも問題はなかった。
一方、比較例5のエアバッグは、クロロプレンゴムとの
接着性が劣り、また耐揉性にも問題があった。
【0045】実施例8、比較例6 トータル繊度250デニール、240フィラメント、強
度7.9デニールのポリエステル繊維を使用し、経糸な
らびに緯糸ともに55本/インチの平織物を製織し、常
法にて精練、乾燥、中間セットした。その後、本発明に
おいては、実施例1と同様の装置を用い、ガスとしてメ
タンを用い、真空度0.7Torr、放電電力13 W/cm2
で60秒の放電処理を施し、織物表面に重合物を析出さ
せた。しかる後、実施例1と同一の塗工液にて、放電処
理面をコンマコーターで塗工量が50 g/ m2 になるよ
うにコーティングし、120℃乾燥後、180℃で5分
間加硫処理を行なった。
【0046】比較として、放電処理を施さずに、織物を
同様にコーティングしたもの(比較例6)もあわせてコ
ーティング面が内側になるように袋体を縫製した。この
ようにして得られたエアバッグの評価結果を表4に示し
た。
【0047】
【表4】 表4からわかるように、放電処理を施した後、シリコー
ンゴムにてコーティングを行なった本発明のエアバッグ
は、シリコーンゴムとの接着性に優れ、剛軟度が小さく
柔軟であり、収納性にも優れ、また防融性も良好であっ
た。比較例6のエアバッグは、シリコーンゴムとの接着
性が不十分であり、耐揉性にも問題があった。
【0048】
【発明の効果】本発明で得られたエアバッグは、次の効
果を有する。
【0049】(1)本発明のエアバッグは、エラストマ
ー樹脂のコーティングの際に、接着性を高めるための接
着向上剤の添加、または架橋剤の増量を必要とせず、高
い接着性を有する。
【0050】(2)高温または低温時においても、良好
な接着性を有し、エラストマー樹脂が高温、高圧ガスに
よって剥れることはない。
【0051】(3)風合が柔らかく、顔面に接触して
も、従来のエアバッグに感じられた痛さはない。
【0052】(4)エアバッグの収納性に優れている。
【0053】(5)エアバッグとしての機械的特性は全
く損なわない。
【0054】(6)本発明は、このように極めて安全
性、信頼性の高いエアバッグが提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 21/16 B32B 27/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィラメント布帛で構成されたエアバッ
    グ基布において、該布帛表面に、放電処理または紫外線
    処理を施し、次いで樹脂を塗布または積層することによ
    り、該布帛と該樹脂とを、3.0Kgf/cm以上の剥離強力
    で接着することを特徴とするエアバッグの製造方法。
  2. 【請求項2】 放電処理が、大気圧中で発生させたコ
    ロナ放電または真空中で発生させた低温プラズマ雰囲気
    中の処理である請求項1記載のエアバッグの製造方法。
  3. 【請求項3】 低温プラズマ雰囲気中の圧力が、0.
    01〜50Torrである請求項2記載のエアバッグの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 放電処理が、非重合性ガスまたは重合
    性ガス、または、非重合性ガスおよび重合性ガスの混合
    ガスのいずれかのガス雰囲気中で施すものである請求項
    1記載のエアバッグの製造方法。
  5. 【請求項5】 紫外線処理が、300nm以下の波長成
    分を含むものである請求項1記載のエアバッグの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 樹脂が、シリコーンゴムである請求項
    1記載のエアバッグの製造方法。
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