JP3183914B2 - インピーダンス自動整合装置 - Google Patents

インピーダンス自動整合装置

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JP3183914B2
JP3183914B2 JP21874191A JP21874191A JP3183914B2 JP 3183914 B2 JP3183914 B2 JP 3183914B2 JP 21874191 A JP21874191 A JP 21874191A JP 21874191 A JP21874191 A JP 21874191A JP 3183914 B2 JP3183914 B2 JP 3183914B2
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雅夫 金谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波電源と負荷との
間にインピーダンス整合回路を挿入してインピーダンス
の整合を図るインピーダンス自動整合装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】高周波電源から負荷に電力を供給する場
合には、電源と負荷との間のインピーダンスを整合させ
ることが必要である。例えば半導体IC、LCD(液晶
ディスプレイ)等の製造過程においては、エッチング、
スパッタリング、薄膜成長等の処理を行う際に、処理を
行うチャンバ内に設けた電極に高周波電力を供給するこ
とにより該チャンバ内にプラズマを発生させて、プラズ
マプロセスを行うが、このように、プラズマを生じさせ
る負荷(プラズマ負荷という。)に高周波電力を供給す
る場合には、高周波電源とプラズマ負荷との間のインピ
ーダンスの整合をとることが特に重要である。両者間の
インピーダンスの整合がとれていない場合には、高周波
電源の出力端で電力の反射が生じてプラズマ負荷に高周
波電力を効率良く供給することができないため、そのプ
ロセスにおいて好結果を得ることができない。
【0003】そのため、高周波電源からプラズマ負荷に
電力を供給する場合には、高周波電源とプラズマ負荷と
の間にL,C回路やトランス等からなるインピーダンス
整合回路を挿入することが必要である。
【0004】無線通信用のアンテンナや、増幅器の入力
回路等に設ける一般のインピーダンス整合回路において
は、負荷のインピーダンスが予め分かっているため、既
知の負荷インピーダンスを用いて整合回路の回路定数を
容易に設定することができる。また負荷インピーダンス
が一定であれば、整合回路の回路定数を一定として整合
状態を保つことができる。
【0005】しかしながらプラズマ負荷のように、その
インピーダンスが時々刻々変化する場合には、既知のイ
ンピーダンスを接続して整合回路の回路定数を決めるわ
けにはいかないため、可変コンデンサや、可変インダク
タンス等の可変インピーダンス素子をインピーダンス調
節手段として用いて、高周波電源と負荷との間のインピ
ーダンスを自動的に整合させる自動整合装置を用いるこ
とが必要である。
【0006】図3は、高周波電源1からインピーダンス
整合回路3と線路2´とを通してプラズマ負荷2に電力
を供給する場合の回路図を示したものである。インピー
ダンス整合回路3は、一定のインダクタンスを有するコ
イルL1 と、第1の可変インピーダンス素子としての第
1の可変コンデンサC1 と、タップを選択することによ
りインダクタンスを調整できるようになっているコイル
L2 と、第2の可変インピーダンス素子としての第2の
可変コンデンサC2 とにより構成され、可変コンデンサ
C1 とC2 の静電容量を変えることによりインピーダン
スの整合を行うようになっている。
【0007】従来のインピーダンス自動整合装置では、
可変コンデンサC1 及びC2 の調整を自動的に行わせる
ため、図示しない検出器により、整合回路3の入力端の
高周波電圧V及び高周波電流Iと、該電圧V及び電流I
の位相差θとを検出し、該電圧Vの絶対値と電流Iの絶
対値との比から、インピーダンス整合回路の入力端より
負荷側を見たインピーダンスZ1 の絶対値を検出して、
該インピーダンスZ1の絶対値を電源の出力インピーダ
ンスZo (電源とインピーダンス整合回路との間をケー
ブルで接続する場合には50Ω、一定)に一致させ、か
つ位相差θを零にするように可変コンデンサC1 及びC
2 の調節部(回転形の可変コンデンサの場合には回転操
軸)を操作するモータを制御していた。
【0008】具体的には、整合回路の入力インピーダン
スをスミスチャート上に表示した場合に入力インピーダ
ンスがスミスチャートのいずれの領域にあるかによっ
て、コンデンサC1 ,C2 の変化の方向を異ならせ、入
力インピーダンスが位置する領域に応じてコンデンサC
1 ,C2 をそれぞれ所定の方向に変化させることによ
り、入力インピーダンスの絶対値と位相差θとを整合点
へと収束させるようにしていた。
【0009】例えば、スミスチャートの反射係数の位相
角目盛りが90度ないし180度の範囲にある領域、−
180度ないし−90度の範囲にある領域、0度ないし
90度の範囲にある領域、及び0度ないし−90度の範
囲にある領域をそれぞれ第1の領域ないし第4の領域と
し、インピーダンスの整合がずれたときに整合回路の入
力インピーダンスZ1 が第1の領域にあるときには、コ
ンデンサC1 の容量を減少させる方向に変化させるとと
もに、コンデンサC2 の容量を増加させる方向に変化さ
せる。また入力インピーダンスZ1 が第2の領域にある
ときには、コンデンサC1 及びC2 の容量をともに減少
させる方向に変化させ、第3の領域にあるときには、コ
ンデンサC1 及びC2 の容量をともに増加させる方向に
変化させる。入力インピーダンスZ1 が第4の領域にあ
るときには、コンデンサC1 の容量を増加させる方向に
変化させ、コンデンサC2 の容量を減少させる方向に変
化させる。コンデンサC1 ,C2 の容量を変化させるこ
とによって入力インピーダンスが異なる領域に移動した
場合には、その領域で定められた方向にコンデンサC1
,C2 の容量を変化させる。これらの操作を何度も繰
り返すことにより、整合回路の入力インピーダンスの絶
対値と、整合回路の入力側の電圧と電流の位相差θとを
整合点へと収束させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のインピーダンス
自動整合装置においては、可変コンデンサC1 のみを動
かせば整合がとれる状態のときでも、可変コンデンサC
1 ,C2 の双方を動かして整合点を探していたため、整
合をとるのに時間がかかり、負荷インピーダンスの時々
刻々の変化に迅速に対応できないという問題があった。
また従来の装置では、可変インピーダンス素子が整合点
に向う過程で最短距離をたどらないため、その途中の過
程では、不整合が生じた初期の状態での反射電力を上回
る反射電力が発生することがあり、負荷に的確に電力を
供給することができない。
【0011】更に従来の自動整合器において、可変コン
デンサ調整用のモータとして直流モータを用いる場合、
整合回路の入力インピーダンスが50Ωから離れている
量に比例した駆動電圧をモータに印加していたため、可
変コンデンサのインピーダンスが急変する領域で、制御
が不安定になるのを避けられなかった。
【0012】即ち、可変コンデンサは、図6に示すよう
に、電極の重なり面積が小さい領域で重なり面積の微小
変化に対して静電容量が大幅な変化を示す特性を示す
が、従来の装置では、可変コンデンサの静電容量が大幅
に変化すると、大きな駆動電圧がモータに印加されるた
め、モータ及び可変コンデンサに大きな慣性力が働いて
モータが停止しにくくなり、可変コンデンサの調節部の
位置を目標位置に収束させることができなくなってハン
チングが生じるという問題があった。
【0013】更に、可変コンデンサ調節用のモータとし
て直流モータを用いる場合、一般に直流モータは入力電
圧に対して不感帯を有するため、分解能が高い制御を行
うことが困難であり、インピーダンスの整合を精密に行
わせることが困難であった。即ち、従来の装置において
は、モータに供給する直流電圧の最小値を、動いている
モータが停止するときの最高停止電圧よりも1V程度大
きい値に設定していたが、この場合、前述のように慣性
により、整合点でモータを停止させることができなくな
る。これを避けるためにモータに供給する直流電圧の最
小値をモータの最高停止電圧に設定すると、整合がかな
りずれるまでモータが再始動しないため、分解能が高い
制御を行わせることができなかった。
【0014】また入力インピーダンスの絶対値に相当す
る信号と、インピーダンス整合回路の入力側の電圧、電
流の位相差に相当する信号との2つの信号を用いて制御
を行う従来のインピーダンス自動整合装置では、2個の
可変インピーダンス素子しか制御することができなかっ
たため、整合範囲に限界があり、負荷インピーダンスの
広範囲の変化に対して対応することができないという問
題があった。
【0015】本発明の目的は、不整合状態が生じたとき
に、可変インピーダンス素子を最短距離で整合点に調整
することができるようにして、整合をとる過程で初期の
反射電力以上の反射電力が発生するのを防止したインピ
ーダンス整合装置を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、制御を不安定にする
ことなく、高い分解能で可変インピーダンス調節用のモ
ータを制御して、反射電力を低いレベルに抑えることが
できるようにしたインピーダンス自動整合装置を提供す
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1に示した
ように、高周波電源1と負荷2との間に、複数の可変イ
ンピーダンス素子を備えたインピーダンス整合回路3を
挿入し、各可変インピーダンス素子の調節部を操作する
モータを制御することにより高周波電源と負荷との間の
インピーダンスを整合させるインピーダンス自動整合装
置に係わるものである。
【0018】本発明においては、インピーダンス整合回
路3の入力側での高周波電流の絶対値を検出する入力電
流検出手段4と、インピーダンス整合回路の入力側での
高周波電圧の絶対値を検出する入力電圧検出手段5と、
インピーダンス整合回路の入力側での高周波電流と高周
波電圧との位相差θを検出する位相差検出手段6と、イ
ンピーダンス整合回路の入力側での高周波電流の絶対値
と高周波電圧の絶対値と位相差θとから、インピーダン
ス整合回路の入力インピーダンスZ1 を演算する入力イ
ンピーダンス演算手段7と、各可変インピーダンス素子
の調節部の位置を検出する調節部位置検出手段8と、調
節部位置検出手段により検出された調節部の位置から各
可変インピーダンス素子のインピーダンスを演算する可
変インピーダンス演算手段9と、入力インピーダンスZ
1 と可変インピーダンス演算手段により演算された各可
変インピーダンス素子のインピーダンスとその他の回路
定数とを用いてインピーダンス整合回路3の可変インピ
ーダンス素子が設けられた部分より負荷側のインピーダ
ンスZまたは該インピーダンス整合回路の出力端より負
荷側のインピーダンスZ2 を負荷回路側インピーダンス
として演算する負荷回路側インピーダンス演算手段10
と、負荷回路側インピーダンスが負荷回路側インピーダ
ンス演算手段10により演算された値にあるときにイン
ピーダンス整合回路の入力インピーダンスを電源側イ
ンピーダンスに等しくするために必要な各可変インピー
ダンス素子の調節部の位置を目標位置として演算する調
節部目標位置演算手段11と、各可変インピーダンス素
子の調節部の現在位置を目標位置に一致させるように各
可変インピーダンス素子の調節部を操作するモータを制
御する調節部位置制御手段12とを設ける。
【0019】上記モータとして直流モータを用いる場
合、調節部位置制御手段は、各可変インピーダンス素子
の調節部の現在位置と目標位置との差を各可変インピー
ダンス素子の調節部の位置と目標位置との偏差Dとして
演算する調節部位置偏差演算手段13と、該偏差の絶対
値|D|を基準値dと比較する整合度判定手段14と、
各可変インピーダンス素子の偏差の絶対値|D|が基準
値dよりも大きいときに直流電圧供給指令を発生し、各
可変インピーダンス素子の偏差の絶対値|D|が基準値
dよりも小さく、かつ各可変インピーダンス素子の調節
部の位置が目標位置と一致していないとき(整合してい
ないとき)にパルス電圧供給指令を発生する駆動電圧供
給指令手段15と、直流電圧供給指令が発生したときに
は各可変インピーダンス素子の調節部を操作するモータ
Mに直流電圧を供給し、パルス電圧供給指令が発生した
ときには各可変インピーダンス素子の調節部を操作する
モータMにパルス電圧を供給する駆動電圧供給手段16
とにより構成できる。
【0020】上記基準値dは、各可変インピーダンス素
子の調節部の位置が目標位置にどの程度近づいたかを判
断する基準を与えるものであり、モータや調節部の慣性
を考慮して適値に設定する。偏差が基準値よりも小さく
なったとき(整合点に近づいたとき)に駆動電圧供給手
段16がモータに与えるパルス電圧の波高値は、停止し
ているモータを起動させるのに十分な大きさに設定さ
れ、該パルス電圧の周期は、整合状態を確認して次のパ
ルス電圧を供給するかどうかの判断を行うために必要な
時間に設定される。また、パルス電圧の継続時間は、1
つのパルス電圧でどの程度モータを回転させるかを決定
するもので、これが制御の分解能を決定する。パルス電
圧の幅を狭くすれば分解能を高くすることができるが、
余り分解能を高くすると整定時間が長くなる。パルス電
圧の幅を広くし過ぎると、モータを整合点で停止させる
ことができなくなって制御が不安定になる。これらを勘
案してパルス電圧の幅を適値に設定する。
【0021】可変インピーダンス素子の調節部をより速
く整合点に持っていくためには、パルス電圧の波高値を
偏差Dの絶対値に比例させることが望ましい。
【0022】尚可変インピーダンス素子の調節部を操作
するモータとしてはパルスモータを用いることができ
る。
【0023】
【作用】上記のインピーダンス自動整合装置において、
入力インピーダンス演算手段7は、インピーダンス整合
回路の入力側で検出した高周波電流の絶対値と、高周波
電圧の絶対値と、該高周波電流と高周波電圧との位相差
とから、インピーダンス整合回路3の入力インピーダン
スZ1 を演算する。この入力インピーダンスZ1は、負
荷のインピーダンスの変化、及びインピーダンス整合回
路内の可変インピーダンス素子のインピーダンスの変化
に伴って変化する。インピーダンス整合回路内の可変イ
ンピーダンス素子のインピーダンスは可変インピーダ
ンス素子の調節部の位置と一定の関係を有するので、該
調節部の位置を検出することにより各可変インピーダン
ス素子のインピーダンスを求めることができる。インピ
ーダンス整合回路内の他の回路定数は既知である。
【0024】ここでインピーダンス整合回路の出力端子
から負荷側を見たインピーダンスを負荷回路側インピー
ダンスとすると、負荷回路側インピーダンス演算手段1
0は、インピーダンス整合回路2の出力端子から負荷
の回路を見た負荷回路側インピーダンスZ2 の抵抗分
2 及びリアクタンス分X2 をそれぞれ未知数とし、上記
可変インピーダンス素子のインピーダンスと、既知の回
路定数と、インピーダンス整合回路の入力側で検出した
高周波電流の絶対値、高周波電圧の絶対値及び高周波電
流と電圧との位相差を用いて演算により求めた入力イン
ピーダンスZ1の抵抗分R1 及びリアクタンス分X1
から、該抵抗分R2 及びリアクタンス分X2 を演算す
る。
【0025】上記負荷回路側インピーダンスZ2 は、整
合回路の出力端と負荷との間を接続する伝送回路のイン
ピーダンスと、負荷のインピーダンスとを含んでいる。
この負荷回路側インピーダンスZ2 は、負荷インピー
ダンスの変化に伴って変化する。
【0026】上記の各演算はコンピュータを用いること
により瞬時に行うことができるため、時々刻々変化する
入力インピーダンスZ1 及び負荷回路側インピーダンス
Z2をほぼリアルタイムで求めることができる。
【0027】調節部目標位置演算手段11は、上記負荷
回路側インピーダンスZ2 を用いて、インピーダンス整
合回路の入力インピーダンスを電源側のインピーダンス
(伝送ケーブルの場合には50Ω)に等しくするために
必要な各可変インピーダンス素子の調節部の位置(イン
ピーダンス整合回路の入力インピーダンスが電源側のイ
ンピーダンスに等しくなるときの各可変インピーダンス
素子の調節部の位置)を、各可変インピーダンス素子の
調節部の目標位置として演算する。
【0028】調節部位置制御手段12は、各可変インピ
ーダンス素子の調節部の位置を上記目標位置に一致させ
るように制御する。
【0029】上記のように、本発明では、各時点でイン
ピーダンス整合回路を整合状態にするために必要な可変
インピーダンス素子の調節部の位置を演算して、各可変
インピーダンス素子の調節部の位置を演算した目標位置
に一致させるように制御するので、負荷インピーダンス
が変化して整合がずれた場合に、可変インピーダンス素
子を最短距離で整合点に調整することができるため、初
期の反射電力以上の反射電力が発生するのを防ぐことが
できる。
【0030】上記調節部位置制御手段12を図1に示さ
れているように(請求項2に記載したように)構成した
場合には、先ず各可変インピーダンス素子の現在の位置
と目標位置との偏差Dを演算し、整合度判定手段14に
よりこの偏差Dを基準値dと比較する。駆動電圧供給指
令手段15は、偏差の絶対値が基準値よりも大きいとき
(可変インピーダンス素子の調節部の位置が目標位置か
らある程度離れているとき)にはモータに直流電圧を与
えることを指令し、偏差の絶対値が基準値よりも小さく
なったとき(調節部の位置が目標位置にある程度近づい
たとき)にはモータにパルス電圧を与えることを指令す
る。従って偏差が大きい間は各可変インピーダンス素子
の調節部を速やかに目標位置に向けて変位させるように
連続的にモータを駆動し、調節部が目標位置に近付く
と、整合状態を確認しながらモータをパルス電圧により
間歇的に駆動して調節部を徐々に目標位置に近づける。
このような制御を行うと、直流モータを用いて、分解能
が高い制御を行わせることができるため、僅かなインピ
ーダンスの不整合が生じた場合でも、迅速に整合を図る
ことができ、反射電力を低いレベルに保つことができ
る。
【0031】また整合点を演算により求めるため、整合
させるインピーダンス(電源側のインピーダンス)を容
易に変更することができる。
【0032】
【実施例】図2はプラズマ負荷に電力を供給する場合に
本発明を適用した実施例の構成を示したもので、同図に
おいて1は高周波電源、2はプラズマ負荷、3はインピ
ーダンス整合回路、2´はインピーダンス整合回路3の
出力端子と負荷との間を接続する同軸ケーブルである。
【0033】インピーダンス整合回路3は、図3に示し
たものと同様に、インダクタンスが一定なコイルL1
と、第1の可変インピーダンスとしての第1の可変コン
デンサC1 と、第2の可変インピーダンス素子としての
第2の可変コンデンサC2 と、タップを選択することに
よりインダクタンスの調整が可能なコイルL2 とを備え
ている。第1及び第2の可変コンデンサC1 及びC2 の
それぞれの静電容量を調節する調節部(操作軸)は、直
流モータM1 ,M2 を駆動源とした図示しない操作機構
に連結され、負荷インピーダンスが変化したときには、
可変コンデンサC1 ,C2 の調節部の位置を目標位置に
一致させるように両可変コンデンサの調節部を操作する
モータM1 ,M2 を制御することにより、インピーダン
スの整合を図るようになっている。
【0034】インピーダンス整合回路3の入力端には、
高周波電流I(ベクトル)の絶対値|I|と、高周波電
圧V(ベクトル)の絶対値|V|と、電流Iと電圧Vの
位相差θとを検出する検出器3Aが設けられている。
【0035】インピーダンス整合回路3の回路定数は、
第1及び第2の可変コンデンサC1及びC2 の静電容量
と、コイルL1 及びL2 のインダクタンスとである。こ
れらの内、コイルL1 及びL2 のインダクタンスは既知
であるが、インピーダンス調節手段である第1及び第2
の可変コンデンサC1 及びC2 の静電容量は随時変化す
る。これらの可変コンデンサの静電容量は、それぞれの
調節部の位置から演算で求めることができる。そこで本
実施例では、可変コンデンサC1 及びC2 の調節部の位
置を検出するために可変抵抗器VR1 及びVR2 を設
け、これらの可変抵抗器の摺動子を可変コンデンサC1
及びC2 の調節部と連動するようにそれぞれの可変コン
デンサの調節部の駆動機構に連結している。可変抵抗器
VR1 及びVR2 の両端には一定の直流定電圧を印加し
てあり、可変抵抗器VR1 及びVR2 の摺動子と接地間
にそれぞれコンデンサC1 及びC2 の調節部の位置(回
転角)に相応した位置検出信号Vp1及びVp2を得るよう
にしている。
【0036】この実施例では、可変抵抗器VR1 及びV
R2 と、両可変抵抗器に直流定電圧を印加する電源とに
より可変インピーダンス素子の調節部の位置を検出する
調節部位置検出手段8が構成されている。検出信号Vp1
及びVp2から可変インピーダンス素子としての可変コン
デンサC1 及びC2 の調節部の現在位置Px1及びPx2が
検出され、これらの現在位置から可変コンデンサC1 及
びC2 の現在のインピーダンスが演算される。
【0037】インピーダンス整合回路の入力端の電流の
絶対値|I|、電圧の絶対値|V|、電圧と電流の位相
差θ及び位置検出信号Vp1,Vp2はアナログ/デジタル
コンバータ(A/Dコンバータ)20に入力されてデジ
タル信号に変換され、それぞれのデジタル信号がコンピ
ュータ21に入力されている。
【0038】コンピュータ21は図4及び図5に示した
アルゴリズムに従って、可変コンデンサC1 ,C2 の目
標位置を演算し、各可変コンデンサの調節部の位置を目
標位置に一致させるように制御する。
【0039】図4に示したアルゴリズムに従って行われ
る処理は次の通りである。
【0040】先ず整合回路3の入力端の電流Iの絶対値
|I|と電圧Vの絶対値|V|とから次式(1)により
入力インピーダンスZ1 の絶対値|Z1|を演算する。
【0041】 |Z1|=|V|/|I| …(1) 次に上記インピーダンスの絶対値と、電圧、電流の位相
差θとから、次式により入力インピーダンスZ1 を演算
する。この入力インピーダンスZ1 の抵抗分をR1 と
し、リアクタンス分をX1 とし、Z1 =R1 +jX1
とおくと、R1 及びX1 は次の式で与えられる。
【0042】 R1 =|Z1|cos θ …(2) X1 =|Z1|sin θ …(3) 次いで位置検出信号Vp1及びVp2から可変コンデンサC
1 及びC2 の静電容量を演算し、その結果に基づいて可
変コンデンサC1 及びC2 のインピーダンス−jXC1及
び−jXC2を演算する。可変コンデンサC1 及びC2 の
静電容量をそれぞれ同じ符号C1 及びC2 で表わすと、
可変コンデンサC1 及びC2 のインピーダンス−jXC1
及び−jXC2はそれぞれ−jXC1=−j(1/ωC1)
び−jXC2=−j(1/ωC2(ωは角周波数)で与え
られる。
【0043】ここでコイルL1 及びコイルL2 のインダ
クタンスをそれぞれ同じ符号L1 及びL2 で表わして、
両コイルのインピーダンスjXL1及びjXL2それぞれ
jXL1=jωL1 及びjXL2=jωL2 とする。
【0044】次に整合回路の出力端から負荷側の回路を
見たインピーダンスZ2 を、Z2 =R2 +jX2 とおい
て、該R2 及びX2 を未知数とし、インピーダンス整合
回路の入力側での検出値を用いて(2)式及び(3)式
により演算した入力インピー ダンスZ1 の抵抗分R1 及
びリアクタンス分X1 と、前記位置検出信号を用いて演
算により求めた整合回路の可変コンデンサのリアクタン
スXC1,XC2と、既知数である整合回路のコイルのリア
クタンスXL1及びXL2とを用いて、R2 及びX2 を求め
る。これらR2 及びX2 は次の式により与えられる。尚
「*」は乗算記号を示す。
【0045】 R2 =R1 *(XC1)/B …(4) X2 ={R1 *XC1+(A+XC1)*XC1*A}/B+XC2−XL2 …(5) 但し、 A=X1 −XL1 …(6) B=R1 +(+XC1) …(7)上記(4)式ないし(7)式において、R1 及びX1
は、前述のように、インピーダンス整合回路3の入力イ
ンピーダンスZ1 の抵抗分及びリアクタンス分で、イン
ピーダンス整合回路3の入力側で随時検出される電流I
及び電圧Vと両者の位相差θとから(2)式及び(3)
式を用いて求められるものである。 また(4)式ないし
(7)式においてXc1及びXc2は、R1 及びX1 を求め
るための電流I及び電圧Vと両者の位相差θとが検出さ
れた時の(インピーダンスの整合をとる前の)可変コン
デンサC1 及びC2 のリアクタンスであり、前記位置検
出信号により検出された可変コンデンサC1 及びC2 の
調節部の位置から演算されたものである。またXL1及び
XL2は、コイルL1 及びL2 のリアクタンスで、これら
は既知の値である。 インピーダンス整合回路3の出力端
から負荷側の回路を見たインピーダンスZ2 の抵抗分R
2 及びリアクタンス分X2 と、インピーダンス整合回路
3の入力インピーダンスZ1 の抵抗分R1 及びリアクタ
ンス分X1 と、可変コンデンサC1及びC2 のリアクタ
ンスXC1及びXC2との関数との間には、常に(4)式な
いし(7)式の関係が成立している。 本発明では、イン
ピーダンスZ2 の抵抗分R2 とリアクタンス分X2 とを
随時検出するために、インピーダンス整合回路3の入力
インピーダンスZ1 と、可変 コンデンサC1 及びC2 の
リアクタンスとを検出している。 そして、本発明では、
インピーダンス整合回路3の出力端から負荷側を見たイ
ンピーダンスZ2 の抵抗分及びリアクタンス分が上記の
ようにして求めた値にある各瞬時において、インピーダ
ンス整合回路3の入力インピーダンスを電源のインピー
ダンスに等しくするために必要な可変コンデンサC1 及
びC2 のリアクタンスXC1及びXC2の値を求め、可変コ
ンデンサC1 及びC2 のリアクタンスをこれらの値に等
しくするために必要な可変コンデンサの調節部の位置を
目標位置として求めて、可変コンデンサC1 及びC2 の
調節部の位置を目標位置に一致させるように制御するこ
とにより、インピーダンスの整合を図る。 そのため、イ
ンピーダンス整合回路の可変インピーダンス素子が設け
られた部分よりも負荷側のインピーダンス(図2の例で
は可変コンデンサC2 より負荷側のインピーダンス)Z
または上記Z2 を負荷回路側インピーダンスとして、こ
の負荷回路側インピーダンスの抵抗分及びリアクタンス
分を表す式を求め、この式に整合条件(インピーダンス
整合回路の入力インピーダンスを電源のインピーダンス
に等しくするための条件)を入れることにより、インピ
ーダンスの整合をとるために必要なXc1,XC2の値を求
める。 ここでは、インピーダンス整合回路の可変コンデ
ンサC2 よりも負荷側のインピーダンスZを負荷回路側
インピーダンスとし、この負荷回路側インピーダンスZ
をZ=R+jXとおく。図2から明らかなように、Z=
Z2 +jXL2であるから、上記負荷回路側インピーダン
スZの抵抗分R及びリアクタンス分Xは、R=R2 ,X
=X2 +XL2により求めることができる。ここで、R2
及びX2 はそれぞれ(4)式及び(5)式により与えら
れるから、R及びXは、下記の式で与えられる。 R=R2 =R1 *XC1 /B …(4)´ X=X2 +XL2 =[XC1{R1 +(X1 −XL1+XC1)(X1 −XL1)}/B]+XC2 …(5)´即ち、図2の回路においては、各瞬時における負荷のイ
ンピーダンスに対してインピーダンス整合回路の入力イ
ンピーダンスZ1 =R1 +jX1 が検出された 時に、
(4)´式及び(5)´式が成立している
【0046】ここで、電源1とインピーダンス整合回路
3との間が特性インピーダンス50Ωのケーブルで接続
されていると仮定すると、電源側のインピーダンスは5
0Ωである。このとき、インピーダンス整合回路の入力
インピーダンスを電源側のインピーダンス(50Ω)に
等しくするためには、Z1 =R1 +jX1 =50+j0
を満たせばよいから、(4)´式及び(5)´式におい
てR1 =50,X1 =0とおくことにより、整合回路3
の入力インピーダンスを電源側のインピーダンスと整合
させるための条件を、下記の(8)式及び(9)式のよ
うに求めることができる
【0047】 R=50XC1/{2500+(XL1−XC1)}=50XC1/α …(8) X=(β/α)+XC2 …(9) 但し、 α={2500+(XL1−XC1)} …(10) β=XC1{2500+XL1(XL1−XC1)} …(11)(8)式及び(9)式において、左辺のR及びXは、各
瞬時における負荷のインピーダンスが反映されたもので
あり、これらは、インピーダンス整合回路の入力側で検
出された各瞬時の電流及び電圧と両者の位相差とから求
めたR1 及びX1 と、位置検出信号により求められた各
瞬時における可変コンデンサのリアクタンスXc1及びX
C2と既知のXL1及びXL2とを用いて、既に演算されてい
るものである。したがって、(8)式及び(9)式を解
くことにより、負荷回路側インピーダンスが演算された
値にあるときにインピーダンス整合回路3の入力インピ
ーダンスを電源インピーダンスに等しくするために必要
なXc1及びXc2の値を求めることができる。 ここで、
E,F,G,Hを次の(12)式ないし(15)式のよ
うに定義すると、電源側のインピーダンスを50Ωと仮
定した場合にインピーダンス整合回路の入力インピーダ
ンスを電源側インピーダンスに等しくするために必要な
Xc1及びXc2は下記の(16)式及び(17)式により
与えられる。
【0048】 E=R−50 …(12) F=−R*XL1 …(13) G=R*(2500+XL1) …(14) H=F*F−E*G …(15) Xc1=(−F−H1/2 )/E …(16) Xc2=X−β/{2500+(XL1−Xc1)}=X−(α/β)…(17) これらXc1及びXc2を、直ちに可変コンデンサC1 及び
C2 の調節部の位置Po1及びPo2に計算し直し、これら
の位置Po1及びPo2をそれぞれ可変コンデンサC1 及び
C2 の調節部の目標位置(整合時の位置)として、可変
コンデンサC1及びC2 の調節部の位置を目標位置に一
致させるように制御することにより、インピーダンス整
合回路3の入力インピーダンスを電源インピーダンスに
等しくすることができる。 インピーダンス整合回路3に
おいて、インダクタンスL2 のインピーダンスは既知で
あって変化しないため、上記の説明では、このインダク
タンスL2 を負荷の一部と見做して、可変コンデンサC
2 より負荷側のインピーダンスZを負荷回路側インピー
ダンスとしたが、前記[作用]の項で述べたように、イ
ンピーダンス整合回路3の出力端より負荷側のインピー
ダンスZ2 を負荷回路側インピーダンスとしてもよい。
インピーダンス整合回路3の出力端より負荷側のインピ
ーダンスZ2 を負荷回路側インピーダンスとする場合に
は、(8)式及び(9)式において、R=R2 及びX=
X2 として、XC1及びXC2を求めればよい。コンピュー
タは図4に示したアルゴリズムに従って可変コンデンサ
C1 及びC2 の調節部の位置を上記目標位置に一致させ
るようにモータM1 及びM2 を制御する。
【0049】ここで可変コンデンサC1 及びC2 の調節
部の目標位置と現在位置との偏差をDとして、可変コン
デンサC1 に関しての偏差D=Po1−Px1と、可変コン
デンサC2 に関しての偏差D=Po2−Px2とを演算し、
これらの偏差の絶対値|D|と基準値dとの大小関係を
判別する。
【0050】可変コンデンサC1 の調節部の位置Px1が
目標位置Po1よりある程度以上離れていて、|D|>d
の関係が成立していると、コンピュータは調節部の位置
Px1を目標位置Po1に近づけるように直流モータM1 に
直流電圧を供給することを指令する直流電圧供給指令を
出す。この指令はコンピュータ21から駆動電圧供給手
段16に与えられる。このとき駆動電圧供給手段16
は、モータM1 に正極性または負極性(モータの回転方
向により異なる)の一定の直流電圧Vo を供給し、調節
部の位置Px1を目標位置Po1に近付ける方向にモータM
1 を連続的に回転させる。
【0051】同様に、可変コンデンサC2 の調節部の位
置Px2が目標位置Po2よりある程度以上離れていて、可
変コンデンサC2 についても|D|>dの関係が成立し
ていると、コンピュータはモータM2 に直流電圧を供給
することを指令する直流電圧供給指令を出す。この指令
がコンピュータ21から駆動電圧供給手段16に与えら
れると、モータM2 に一定の直流電圧Vo が供給され、
可変コンデンサC2 の調節部が目標位置に近付く方向に
連続的に動かされる。
【0052】モータに直流電圧が与えられた後、コンピ
ュータは再び図4の過程を最初のステップから実行し、
入力インピーダンスZ1 、負荷回路側インピーダンスZ
2 、可変コンデンサC1 ,C2 のインピーダンス、可変
コンデンサC1 ,C2 の目標位置の演算を行った後、図
5の過程を実行する。
【0053】可変コンデンサC1 の調節部の位置が目標
位置にある程度以上近づき、|D|<dとなると、調節
部の位置Px1が目標位置Po1に一致しているか否か(整
合がとれているか否か)の判定が行われ、一致していな
いと判定されると駆動電圧供給手段16にパルス電圧供
給指令が与えられる。これによりモータM1 に1つのパ
ルス電圧が与えられる。
【0054】同様に可変コンデンサC2 の調節部の位置
が目標位置にある程度以上近づいて|D|<dとなり、
かつ調節部の位置Px2が目標位置Po2に一致していない
と判定されると、駆動電圧供給手段16にパルス電圧供
給指令が与えられ、モータM2 に1つのパルス電圧が与
えられる。
【0055】このパルス電圧の波高値Vは少なくとも停
止状態にあるモータを始動させるために必要な大きさ以
上に設定することが必要であるが、調節部の位置の整定
を迅速に行わせるためには、次式のように、調節部の位
置の偏差に比例させてパルス電圧の波高値を変化させる
ことが好ましい。
【0056】 V=Vmin +{(Vo−Vmin )/d}*D …(18) ここでVmin は、停止状態のモータが回転を始めるとき
の電圧(始動電圧)である。またdは可変コンデンサの
調節部の位置が目標位置に近づいたか否かを判断する基
準値で、例えばd=5程度に設定される。尚可変コンデ
ンサC1 及びC2 の調節部の位置は、それぞれの可変コ
ンデンサの電極が最大に重なる位置を100とし、可動
電極が完全に抜けきる位置を0としている。
【0057】コンピュータはパルス電圧供給指令を与え
た後、図4の過程を最初のステップから実行し、次いで
図5の過程を実行する。可変コンデンサC1 ,C2 の調
節部の位置と目標位置との偏差差が所定の判定基準ΔD
以下になったときに両者が一致したものとして(整合が
とれたものとして)、電圧供給指令を停止し、図4の過
程に戻る。従って整合がとれた後は、再び負荷が変動す
るまでモータM1 及びM2 が停止状態に保たれる。
【0058】本実施例において、可変コンデンサの調節
部の現在位置と目標位置との偏差Dとモータの供給電圧
Vとの関係の一例を示すと図7のようになり、同図の斜
線部分ではモータにパルス電圧が与えられる。この例で
は、d=5とし、ΔD=0.05としている。この場
合、各可変コンデンサの調節部が目標位置の前後±0.
05以内の位置に達すればモータが停止することにな
る。この場合、コンデンサの全調節範囲が100である
から、コンデンサの調整範囲の0.05/100=1/
2000を分解能として制御を行うことができる。
【0059】上記の実施例では、図4の入力インピーダ
ンスZ1 を演算する過程、及び可変インピーダンス素子
の位置からそのインピーダンスを演算する過程によりそ
れぞれ、図1の入力インピーダンス演算手段7及び可変
インピーダンス演算手段9が実現される。また負荷回路
側インピーダンスを演算する過程、入力インピーダンス
を電源側インピーダンスに等しくする可変インピーダン
ス素子の調節部の位置を演算する過程により、それぞれ
図1の負荷回路側インピーダンス演算手段10及び調節
部目標位置演算手段11が実現される。また図5の偏差
Dを演算する過程により調節部位置偏差演算手段13が
実現され、偏差Dの絶対値を基準値dと比較する過程に
より、整合判定手段14が実現される。更に直流電圧を
供給することを指令する過程及びパルス電圧を供給する
ことを指令する過程により、駆動電圧供給指令手段が実
現される。
【0060】本発明において用いるインピーダンス整合
回路3はいかなる構成のものでもよく、また可変インピ
ーダンス素子の数に制限はない。図8(A)ないし
(E)は種々のインピーダンス整合回路を例示したもの
で、同図(A)に示した回路は、上記の実施例で用いた
逆L形と呼ばれる回路である。同図(B)の回路は可変
コンデンサC1 及びC2 とインダクタンスLとからなる
π形の回路であり、同図(C)の回路は、可変コンデン
サC1 及びC2 とインダクタンスLとからなるT形の回
路である。また同図(D)の回路は可変インダクタンス
Lと可変コンデンサCとからなるL形の回路であり、同
図(E)の回路は、3個の可変コンデンサC1 〜C3 と
インダクタンスL1 及びL2 とを用いた逆L形の回路で
ある。これら以外の種々の回路構成のインピーダンス整
合回路を用いることもできる。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、インピ
ーダンス整合回路を整合状態にするために必要な可変イ
ンピーダンス素子の調節部の位置を随時演算して、各可
変インピーダンス素子の調節部の位置を演算した目標位
置に一致させるように制御するので、負荷インピーダン
スが変化して整合がずれた場合に、可変インピーダンス
素子を最短距離で整合点に合わせることができ、初期の
反射電力以上の反射電力が生じるのを防ぐことができる
利点がある。
【0062】また本発明によれば、整合点を演算により
求めるため、整合させるインピーダンス(電源側のイン
ピーダンス)を容易に変更することができる。
【0063】特に請求項2に記載した発明によれば、各
可変インピーダンス素子の現在の位置と目標位置との偏
差の絶対値を基準値と比較して、偏差の絶対値が基準値
よりも大きいときにモータに直流電圧を与え、偏差の絶
対値が基準値よりも小さくなったときにモータにパルス
電圧を与えることにより、偏差が大きい間は各可変イン
ピーダンス素子の調節部を速やかに目標位置に向けて変
位させるようにモータを連続的に駆動し、調節部が目標
位置に近付くと、整合状態を確認しながらモータをパル
ス電圧により間歇的に駆動して調節部を徐々に目標位置
に近づけるようにしたので、直流モータを用いて、分解
能が高い制御を行わせることができる。従って僅かなイ
ンピーダンスの不整合が生じた場合でも、迅速に整合を
図ることができ、反射電力を低いレベルに保つことがで
きる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の構成を示す回路図である。
【図3】従来のインピーダンス整合装置の構成を示す回
路図である。
【図4】本発明の各手段を実現するコンピュータソフト
のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】本発明の各手段を実現するコンピュータソフト
のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図6】可変コンデンサの電極の重なり面積とインピー
ダンスとの関係を示した線図である。
【図7】本発明の実施例においてモータに供給する電圧
と、可変コンデンサの調節部の位置の偏差との関係を示
した線図である。
【図8】(A)ないし(E)はそれぞれ本発明で用いる
ことができるインピーダンス整合回路の異なる構成例を
示した回路図である。
【符号の説明】
1…高周波電源、2…負荷、3…インピーダンス整合回
路、4…入力電流検出手段、5…入力電圧検出手段、6
…位相差検出手段、7…入力インピーダンス演算手段、
8…調節部位置検出手段、9…可変インピーダンス演算
手段、10…負荷回路側インピーダンス演算手段、11
…調節部目標位置演算手段、12…調節部位置制御手
段、13…調節部位置偏差演算手段、14…整合度判定
手段、15…駆動電圧供給指令手段、16…駆動電圧供
給手段、M…モータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 7/40 H03H 11/30 H04B 3/02 H05H 1/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の可変インピーダンス素子を備えた
    インピーダンス整合回路を高周波電源と負荷との間に挿
    入し、各可変インピーダンス素子の調節部を操作するモ
    ータを制御することにより高周波電源と負荷との間のイ
    ンピーダンスを整合させるインピーダンス自動整合装置
    であって、 前記インピーダンス整合回路の入力側での高周波電流の
    絶対値を検出する入力電流検出手段と、 前記インピーダンス整合回路の入力側での高周波電圧の
    絶対値を検出する入力電圧検出手段と、 前記インピーダンス整合回路の入力側での高周波電流と
    高周波電圧との位相差を検出する位相差検出手段と、 前記インピーダンス整合回路の入力側での高周波電流の
    絶対値と高周波電圧の絶対値と前記位相差とから、前記
    高周波電流の絶対値、高周波電圧の絶対値及び前記位相
    差が検出された時点における前記インピーダンス整合回
    路の入力インピーダンスZ1 を演算する入力インピーダ
    ンス演算手段と、 前記各可変インピーダンス素子の調節部の位置を検出す
    る調節部位置検出手段と、 前記調節部位置検出手段により検出された調節部の位置
    から各可変インピーダンス素子のインピーダンスを演算
    する可変インピーダンス演算手段と、 前記入力インピーダンスと前記可変インピーダンス演算
    手段により演算された各可変インピーダンス素子のイン
    ピーダンスとその他の回路定数とを用いて前記インピー
    ダンス整合回路の可変インピーダンス素子が設けられた
    部分よりも負荷側のインピーダンスZまたは該インピー
    ダンス整合回路の出力端より負荷側のインピーダンスZ
    2 を負荷回路側インピーダンスとして演算する負荷回路
    側インピーダンス演算手段と、前記負荷回路側インピーダンスが前記負荷回路側インピ
    ーダンス演算手段により演算された値にあるときに前記
    インピーダンス整合回路の入力インピーダンスを電源側
    のインピーダンスに等しくするために必要な各可変イン
    ピーダンス素子の調節部の位置を目標位置として演算す
    る調節部目標位置演算手段と、 前記各可変インピーダンス素子の調節部の現在位置を目
    標位置に一致させるように各可変インピーダンス素子の
    調節部を操作するモータを制御する調節部位置制御手段
    とを備えたことを特徴とするインピーダンス自動整合装
    置。
  2. 【請求項2】 前記モータは直流モータからなり、 前記調節部位置制御手段は、 各可変インピーダンス素子の調節部の現在位置と目標位
    置との差を各可変インピーダンス素子の調節部の位置の
    偏差として演算する調節部位置偏差演算手段と、 前記調節部位置の偏差の絶対値を基準値と比較する整合
    度判定手段と、 各可変インピーダンス素子の偏差の絶対値が基準値より
    も大きいときに直流電圧供給指令を発生し、各可変イン
    ピーダンス素子の偏差の絶対値が基準値よりも小さく、
    かつ各可変インピーダンス素子の調節部の位置が目標位
    置と一致していないときにパルス電圧供給指令を発生す
    る駆動電圧供給指令手段と、 前記直流電圧供給指令が発生したときには各可変インピ
    ーダンス素子の調節部を操作するモータに直流電圧を供
    給し、前記パルス電圧供給指令が発生したときには各可
    変インピーダンス素子の調節部を操作するモータにパル
    ス電圧を供給する駆動電圧供給手段とを備えていること
    を特徴とする請求項1に記載のインピーダンス自動整合
    装置。
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