JP3183617B2 - 廃プラスチックからポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンを分離する方法及び油化方法 - Google Patents

廃プラスチックからポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンを分離する方法及び油化方法

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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般廃棄物中の廃
プラスチックからポリエチレン、ポリプロピレン及びポ
リスチレンを分離する方法及び分離したポリエチレン、
ポリプロピレン及びポリスチレンから油を生成する廃プ
ラスチックの油化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、廃プラスチックは、プラスチッ
ク約70%、金属、磁器、紙などの異物約20%、水分
約10%を含んでおり、前記プラスチックには、ポリエ
チレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリスチ
レン(PS)(以下「3P]と称する。)が約60〜8
0%、塩化ビニール他が約15%前後、この他に熱硬化
性樹脂等が含まれている。
【0003】この一般廃棄物系プラスチックを油化設備
で処理してガソリン、灯油、軽油等の油を生成して回収
することが行われている。この油化処理工程において、
一般廃棄物系プラスチックには、異物、塩化ビニール、
さらには熱硬化性樹脂、有機窒素化合物が含まれている
ため、油化処理時、異物は、熱分解により残渣となり、
装置の閉塞・磨耗の原因となり、回転装置類等の寿命が
短くなる。また、塩化ビニールは、熱分解により、大半
は残渣と塩化水素を生成するが、残渣は前述と同様に装
置の閉塞・磨耗の原因になるという問題があり、一方塩
化水素は油化処理設備の腐食、生成油中への混入による
製品油の品質低下等の問題を起こす。さらに、熱硬化性
樹脂は加熱しても熱分解せず、その大半が残渣となり、
塩化ビニールの残渣と同様の問題を起こす要因となる。
また、有機窒素化合物は、熱分解によりアンモニアやシ
アン化水素等の有害物質を生成するため、排ガス処理設
備等の付帯設備が必要となり設備が複雑化し処理コスト
も増加する。これらの課題を解決するため、種々の開発
・検討が試みられてきている。
【0004】例えば、特開平7ー18114号公報に
は、油化処理設備の前処理部で廃プラスチックを破砕し
金属等の異物を除去し、得られたフラフを押出機で溶融
押出しして油化処理し生成油を得る技術が提案されてい
る。
【0005】また、本出願人の出願である特願平6ー2
68815号では、前処理部で廃プラスチック中の異物
を風力選別機等により分離している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、風力選別の場
合は、選別効率が悪い結果、異物が後工程の油化装置へ
混入し、500°Cでの熱分解残渣として残り、装置の
早期磨耗、腐食、閉鎖トラブルを来たし、残渣の発生量
が多くなり、油化率が悪くなり、有害物質等の存在によ
り生成油の品質も低下しているのが現状である。
【0007】そこで、本発明は、廃プラスチックから、
3Pのみを選択的に抽出して油化原料とし、油化処理系
内に残渣成分や有害物質が全く混入しないようにして、
設備が安定操業でき、かつ高品質の生成油を得る方法を
提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、廃プラスチッ
クと抽出溶媒となる炭化水素油との混合物から3Pのみ
を抽出することを特徴とし、さらに、抽出された3Pを
熱分解及び蒸留して各種の油を生成し、さらに、これら
の油の一部を抽出溶媒として再利用することを特徴とす
る。
【0009】
【発明の実施の形態】 実施例1 図1は本発明による第1の実施例であって、3Pの抽出
方法のブロックフロー図である。
【0010】予め、適当な大きさに破砕・切断された廃
プラスチックの破砕品又は5〜60mm角のフラフは、
温度が100〜200°Cに加熱された炭化水素油の入
った混合槽1に供給され、ここで撹拌混合される。
【0011】これにより前記廃プラスチックの中の3P
のみは、他のプラスチックに比べて比較的その融点が低
く100°C以上で液状化するため、炭化水素油へ溶解
しやすくなる。一方他のプラスチックは、融点に達して
いないため液状化せずに固体のままであり、溶解しにく
い。また、相溶性の指標として使用されている溶解度パ
ラメーターSP値を試算してみると、例えば生成油のS
P値が8〜9(cal/(cm31/2)であり、これに
対し3PのSP値が8〜11(cal/(cm31/2
であり、きわめて近接しており、一般的に相溶性が高い
ことがうかがえる。
【0012】ここで、混合槽1に供給する廃プラスチッ
クの概略のサイズ形状は、前述のとおり、5〜60mm
角程度のもので十分であるが、例えば、10μm〜5m
m角等の粉砕品にすると廃プラスチックの表面積が格段
と増加し、それにより炭化水素油との接触面積が格段に
増加するため前記の液状化への反応が短時間で完了す
る。また、前記異物も微細化により真比重に近寄ってく
るため重力分離が容易となり前記炭化水素油への3Pの
みの溶解・抽出効率が上昇する。
【0013】混合槽での炭化水素油としては、別の設
備、例えば市販の炭化水素油でもよいが、望ましくは後
工程の油化処理部で発生した熱分解ガスを冷却して得ら
れる生成油又は蒸留分解して得られた留分を適当な比率
にブレンドした混合油を利用すると経済的となる。
【0014】なお、抽出分離した3Pは、本発明の他、
物理再生やガス化メタノール等にも利用できる。
【0015】前記の方法により、廃プラスチックから炭
化水素油を溶解・抽出したテストの結果を図3に示す。
テストに使用した廃プラスチックは、予め約10mm角
に切断したものを使用した。
【0016】図3は、混合槽1の操作温度と3P回収率
の関係を示すものである。図3に示すとおり、3Pの回
収率は、全般的に操作温度の上昇とともに増加し、例え
ば、約100°C以上になると3Pが融点以上となるた
めかなり溶解しはじめる。同時に廃プラスチック中から
脱水が急激に発生する。約170°C以上になると3P
抽出率は、向上するものの廃プラスチック中から塩化水
素が生成し、装置の腐食等の観点より好ましくないが、
実用上は、腐食対策を取れば対処できる。
【0017】操作温度が約270°Cになると熱可塑性
樹脂のほとんどが溶解するものの、残渣成分が増加する
ため好ましくない。さらに350°C以上では、3Pの
回収率は微増するが、混合槽1内において、廃プラスチ
ックの熱分解が発生し、それにより槽内がガス化しはじ
めるため好ましくない。
【0018】炭化水素油としては、例えば、生成油(パ
ラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素及び芳香族
炭化水素(エチルベンゼンやスチレンモノマーを含む)
や、それを蒸留して得られる炭化水素油(例えば、芳香
族炭化水素油(エチルベンゼンリッチ油)、灯・軽油留
分、重質油留分等)、または、パラフィン系炭化水素や
オレフィン系炭化水素及びキシレン、トルエン、その他
の芳香族炭化水素油を抽出溶媒とした抽出試験を行った
が、同じ効果を奏することがわかった。
【0019】特に、芳香族炭化水素油系の溶媒は、より
抽出効率が高いことがわかった。
【0020】本テストにおいて、混合槽1での混合・撹
拌物の保持温度は150°Cとした。また、3P回収率
の測定方法については、一般に知られている溶剤分画法
により測定した。
【0021】図3から明らかなとおり、炭化水素油の操
作温度を100°C以上とすることにより3P回収率が
上昇することが判明した。また、生成油中には、芳香族
炭化水素が20重量%以上含有されており、そのまま溶
媒として使用できることがわかった。さらに、この生成
油を蒸留分離して得られた炭化水素油も溶媒として使用
できることがわかった。
【0022】次に、混合槽1における廃プラスチックと
炭化水素油の混合割合は、1:1〜30の範囲が望まし
い。炭化水素油の割合が1以下になると混合槽1での粘
性が急激に上昇し相当大きな混合・撹拌力を必要とす
る。また、上限については、理論上は炭化水素油の量を
多くするほど良好であり、30以上では、効率は横ばい
となり経済性が悪化することになる。
【0023】以上より、混合槽1及び分離槽2の操作温
度は、原料中に含まれている脱水を行う上で下限は約1
00°C以上が好ましく、PVCの溶解や塩化水素の生
成を抑制することにより、約170°Cが好ましい。但
し、混合槽1及び分離槽2にこの塩化水素の除去対策を
考慮した除去装置、例えば、塩基性固形物を充填した固
定床反応槽等を付加すればその上限温度は350°Cで
もよい。
【0024】一方、有機塩素化合物、有機窒素化合物、
熱硬化性樹脂及び異物は、溶解・抽出されず、系外へ分
離排出される(以下「抽出残」と称する。)。分離槽2
の抽出残は、さらに3Pの抽出効率を上げる場合は、も
う一度同様の処理を行い回収率を上げることができる。
【0025】本発明の溶解・抽出により、3Pを90%
以上の高回収率で抽出することができた。
【0026】以後の工程については、基本的には本出願
人がすでに出願している特願平6ー26815号の方法
で行うとよいが、以下に図1により詳述する。
【0027】抽出された3Pを含む抽出液は、油化処理
部の分解蒸留塔3に送られる。分解蒸留塔3は、熱分解
部と蒸留部とからなり、熱分解部が塔の下部にあり、熱
分解部の上に蒸留部が形成されている一体構造のもので
ある。蒸留部の構造は、通常の蒸留塔と同じ構造であ
る。
【0028】熱分解油加熱炉4と熱分解部とは流路で接
続されており、熱分解油加熱炉4へ熱分解部の溶解した
廃プラスチックが供給され、熱分解油加熱炉4で生成さ
れた熱分解油は分解蒸留塔3の熱分解部へ戻される。分
解蒸留塔3内の熱分解油の一部は残渣処理機5に供給さ
れ塔内に溜まったカーボンなどを含む残渣が系外へ排出
される。
【0029】分解蒸留塔3の蒸留部では蒸留が行われ、
熱分解ガスは芳香族留分、灯・軽油留分、ワックス留分
に分留される。得られた油は、燃料としてあるいは受槽
6でブレンドし抽出工程に使用する炭化水素油に用いら
れる。
【0030】実施例2 図2は、本発明による半連続式抽出方法のブロックフロ
ー図である。原理的には実施例1と全く同じであるので
ここでは省略する。混合と分離が一体となった混合分離
槽7が2系列ある。例えば、混合分離槽7aで炭化水素
油と廃プラスチックが一定時間混合撹拌された後、一定
時間静置分離され、その後、抽出液と抽出残が別々に排
出される回分式操作方法である。一方混合分離槽7bは
逆に混合分離槽7aが混合撹拌分離の操作中に抽出液を
後工程へ送液する。油化処理部は、実施例と全く同じ方
法である。
【0031】
【発明の効果】本発明の効果は、次のとおりである。
【0032】(1) 生成油中には芳香族炭化水素油が
20〜60重量%含まれているので、芳香族は、特に3
Pに対して選択的な抽出能力を有しておりきわめて有効
と考えられるため、3Pのみを高回収率で抽出できる。
【0033】(2) 3pのみの油化処理のため系内に
塩化水素等の有害物質が混入しないため、生成油がきわ
めてクリーンであり、また、有害ガスの生成もない。
【0034】(3) 廃プラスチックの熱分解と比較す
ると、異物やカーボン残渣による閉塞トラブルがなく、
PET及びPVC中の可塑剤等による結晶析出トラブル
もない。
【0035】(4) 従来の処理で必要であった減容機
及び風力選別機等が不用となるため、電力原単位が小さ
くなる。
【0036】(5) 廃プラスチックを渦巻きポンプで
圧入できるので、空気の持込みがなくなり、槽内が安全
に保たれるとともに、ギヤポンプのような磨耗による装
置故障がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例1の3Pの抽出方法及び油
化方法のブロックフロー図。
【図2】本発明による実施例2の3Pの抽出方法及び油
化方法のブロックフロー図。
【図3】混合槽の操作温度と3P回収率との関係を示す
グラフ。
【符号の説明】
1 混合槽、 2 分離槽、 3 分解蒸留塔、4 熱
分解油加熱炉、 5残渣処理機、 6 受槽、 7a,
7b混合・分離槽
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 23:12 25:06 (72)発明者 舟橋 栄次 北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本 製鐵株式会社 機械・プラント事業部内 (72)発明者 松田 健志 北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本 製鐵株式会社 機械・プラント事業部内 (72)発明者 大野 仁 北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本 製鐵株式会社 機械・プラント事業部内 (56)参考文献 特開 平7−41772(JP,A) 特開 平7−113089(JP,A) 特開 平7−102263(JP,A) 特開 平7−324192(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 11/00 - 11/28 C10G 1/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃プラスチックと炭化水素からなる抽出
    溶媒とを混合し、100〜170℃に加熱してポリエチ
    レン、ポリプロピレン及びポリスチレンのみを抽出し、
    融点に達しないその他のプラスック及び異物は、不溶解
    分として系外へ排出すると共に、前記抽出油を分解蒸留
    して生成油を得ることを特徴とする廃プラスチックから
    ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンを分離
    する油化方法。
  2. 【請求項2】 抽出溶媒である炭化水素油は、廃プラス
    チックと抽出溶媒である炭化水素油とを混合してポリエ
    チレン、ポリプロピレン及びポリスチレンのみを抽出
    し、抽出したポリエチレン、ポリプロピレン及びポリス
    チレンを分解蒸留して得られる生成油又は蒸留して得ら
    れる炭化水素油であることを特徴とする請求項1記載の
    廃プラスチックからポリエチレン、ポリプロピレン及び
    ポリエチレンを分離する油化方法。
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