JP3183451B2 - ほうろう用冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

ほうろう用冷延鋼板の製造方法

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JP3183451B2 JP16184796A JP16184796A JP3183451B2 JP 3183451 B2 JP3183451 B2 JP 3183451B2 JP 16184796 A JP16184796 A JP 16184796A JP 16184796 A JP16184796 A JP 16184796A JP 3183451 B2 JP3183451 B2 JP 3183451B2
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直広 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、ほうろう性と成形性に
優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ほうろう製品にとり重要な性能の一つは
耐爪飛び性である。「爪飛び」とは、ほうろうの焼成時
に鋼板中に侵入した水素が冷却後にガスとなってほうろ
う層と地鉄との界面に集中しほうろうが破壊される現象
である。爪飛びの防止には介在物や析出物と地鉄との隙
間に水素をトラップすることが有効であり、本発明のよ
うな高酸素鋼では水素をトラップするのに介在物が利用
されている。
【0003】最近では、ほうろう製品メーカーからのほ
うろう用鋼板に対する要望がシビアになってきており、
ほうろう用鋼板には、1)上述の耐爪飛び性に優れてい
ることに加えて、ほうろう層との密着性が良いこと、及
び、ほうろう層の外表面に泡やピンホールのない、優れ
た表面性状を付与できるものであること、すなわち、ほ
うろう性に一層優れていることと、2)一層苛酷な成形
を必要とする台所器物などへのほうろう製品の適用を広
げるために、更に一層成形性に優れていることが求めら
れている。尚、本発明の発明者の経験では、慣用的な台
所器物に成形するためには、ほうろう用鋼板は、0.8
mm程度の板厚で、時効劣化しても伸び(EL)46%
以上、降伏点(YP)200MPa以下を満足すること
が必要であると考える。
【0004】鋼中に固溶Cが残ると、その鋼板は時効劣
化を起こし易く苛酷な成形が困難となると共にその表面
にピンホールが発生し易く、また、ほうろうの焼成中に
COガスが発生してほうろう層に泡欠陥を生成するた
め、直接一回掛けほうろう用途には不適当となる。従っ
て、そのような用途の場合は、前処理として、鋼板を予
めオープンコイル焼鈍に供して、脱炭を行い、鋼中のC
の含有量を更に下げることが慣用的に実施されている。
【0005】しかしながら、オープンコイル焼鈍では、
脱炭量の微量な制御は困難であり、、脱炭量が多すぎ鋼
中のCの含有量が5ppm以下になる場合がある。この
場合、鋼の結晶粒界が脆化し、ほうろう製品の成形によ
く用いられている絞り加工やそれに続くスピニング加工
に供したときに、縦割れと呼ばれる脆性破壊が生じ易
い。
【0006】理想的なほうろう用鋼板は、鋼中の固溶C
量が、その時効による成形性の劣化を招いたり、表面に
ピンホールを発生したり、ほうろう施工後に泡が発生し
たりしない程度に低く、その一方で、縦割れが発生しな
い程度に多く存在しているものである。
【0007】特開平6−57374号公報には、ほうろ
う用として、C:0.0050重量%以下、Mn:0.
05〜1.0重量%、Al:0.010重量%以下、
N:0.0200重量%以下、B:0.0030超〜
0.0200重量%、Cu:0.010〜0.100重
量%、Nb:0.003〜0.100重量%、O:0.
020超〜0.100重量%、P:0.020重量%未
満、S:0.020未満を含有し、かつB/N≧1、N
b/C≧7をそれぞれ満足し、残部が鉄及び不可避的不
純物から成る鋼板が提案されている。この鋼板は、Cの
含有量の上限として0.0050重量%を許容しつつ、
CをNbCとして固定して成形性劣化を阻止し、かつ、
BをB23やBNとして固定的に存在させて耐爪飛び性
の向上を図ったことを特徴とするものであり、冷間圧延
後は、オープンコイル焼鈍に比べて処理時間が短いため
結果として需要者のニーズにより納期を短縮でき、且
つ、コストが安い連続焼鈍方式により焼鈍できると教示
されている。しかしながら、連続鋳造スラブに酸化物の
表面への析出に伴う表面疵の発生を阻止することが困難
であるから、結果として、製造された冷延鋼板は、ほう
ろう用として現在の更に一層苛酷なニーズを満足させる
表面性状のものではない。
【0008】特開昭59−35657号公報には、ほう
ろう用として、C:0.003重量%以下、O:0.0
20重量%以上含み、かつ、Nbを酸化物として存在す
るものを除き上記C量の2倍以上0.04重量%以下含
有し、残部が不可避的不純物と鉄よりなる冷延鋼板が提
案されている。この鋼板も、上述の先行技術と同様、C
NbCとして固定したことを特徴とするものであり、
Cの含有量の上限は更に0.003重量%と低く規定さ
れているが、ほうろう用として現在の更に一層苛酷なニ
ーズを満足させる表面性状のものではない。
【0009】特開平7−150252号公報には、ほう
ろう用冷延鋼板の製造方法として、C:0.0015〜
0.0030重量%、Si:0.2重量%以下、Mn:
0.5重量%以下、P:0.003〜0.024重量
%、S:0.02重量%以下、Al:0.01重量%以
下、N:0.0040重量%以下、O:0.0150〜
0.0400重量%、Cu:0.015〜0.060重
量%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からな
り、(Cu/P):2.5〜5.5を満足する化学組成
の連続鋳造スラブを、熱間圧延し、500〜700℃で
巻取り、酸洗いし、冷間圧延し、750〜850℃で炉
内の露点を−20〜10℃に制御しながら脱炭しつつ連
続焼鈍を行い、そして、40〜120℃/秒の冷却速度
で冷却する工程を含む方法が提案されている。この方法
は、冷間圧延後に炉内の露点を−20〜10℃に制御し
ながら連続焼鈍処理をすることを特徴とするものである
が、露点をこのように高くした場合には、ハースロール
に起因する表面疵の発生が懸念される。また、耐爪飛び
性に関しても更なる改善が、現在は望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】それ故、本発明は、耐
爪飛び性、ほうろう層と鋼との密着性、ほうろう層の表
面性状を含むほうろう性及び成形性に更に一層優れたほ
うろう用鋼板及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0011】更に、本発明は、操業時間の短縮化が可能
でしかも安価な連続焼鈍法を利用した、ほうろう性及び
成形性に更に一層優れたほうろう用鋼板の製造方法を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、従来
の高酸素鋼にBが合金元素として添加された化学組成の
スラブでは表面疵が発生する懸念があるため、Bを添加
せずに、耐縦割れ性を含む成形性とほうろう性が一層改
善されたほうろう用冷延鋼板を、連続焼鈍法によって、
製造すべく、鋭意研究の結果、特に、(1)Nbを積極
的に含み、更に、Nb、C、Si、Mn、P、S、A
l、N、O及びCuがそれぞれ特定の含有量の範囲を満
足するような化学組成の連続鋳造スラブを用いること、
(2)熱間圧延の前に、スラブを予め1200℃以下
(好ましくは、950〜1100℃)の温度で均熱処理
すること、(3)焼鈍時間を最長120秒とすること
(4)焼鈍後の冷却速度を60〜120℃/秒とするこ
とにより、スラブ表面疵の発生が少なく、ほうろう性と
成形性とが更に一層改善された鋼板が製造できることを
見いだし、本発明の製造方法を構成するに至った。
【0013】すなわち、上記の課題を上首尾に解決でき
る手段の一つである本発明のほうろう用冷延鋼板の製造
方法は、 C:0.0005〜0.0035重量%、 Si:0.2重量%以下、 Mn:0.5重量%以下、 S:0.02重量%以下、 Al:0.01重量%以下、 N:0.0040重量%以下 O:0.0150〜0.0800重量% P:0.003〜0.024重量% Cu:0.015〜0.060重量% Nb:0.010〜0.050重量% を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、 関係式 Cu/P=2.5〜5.5 [式1] を満足する化学組成の連続鋳造スラブを、950〜12
00℃で均熱処理し、熱間圧延し、600〜700℃で
巻取り、酸洗いし、圧下率75%以上で冷間圧延し、7
50〜850℃で最大120秒間連続焼鈍し、そして焼
鈍後室温まで60〜120℃/秒の冷却速度で冷却する
工程を含むことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法の具体的な実施
の形態を、鋼板の素材である連続鋳造スラブの化学組成
とその処理手順に分けて以下に詳述する。
【0015】(1)連続鋳造スラブの化学組成 C:0005〜0.0035重量%、 0.0035重量%を超えると、連続焼鈍を行った場合
には、時効劣化やピンホールの発生に起因するスリバー
疵と呼ばれる表面疵の発生を招き易い。一方、0.00
5重量%未満であると、ほうろう製品に成形する段階で
縦割れが発生し易く、また、製鋼段階での処理時間が長
くなり、結果として製鋼コストも上昇する。従って、C
の含有量の範囲を上記のように定めた。なお、好ましく
は、0.0005〜0.0025重量%である。
【0016】Si:0.2重量%以下、 Siは含有されていることによるほうろう性や成形性に
対する影響は小さいが、0.2重量%を超えると、鋼板
の表面性状が劣化し易い。従って、Siの含有量の上限
を上記のように定めた。
【0017】Mn:0.5重量%以下 Siと同様に、Mnは含有されていることによるほうろ
う性や成形性に対する影響は小さいが、0.5重量%を
超えると、A3変態点が下がり過ぎて、ほうろう層の焼
成中に変態が起こり焼成歪みと呼ばれる歪みが発生し易
い。従って、Mnの含有量の上限を上記のように定め
た。
【0018】S:0.02重量%以下 Sは、熱間圧延中に割れを引き起こす原因となる。その
防止のためにはMnを大量に添加しなければならず、コ
ストの上昇につながる。従って、Sの含有量の上限を上
記のように定めた。
【0019】Al:0.01重量%以下、 Alは製鋼段階で脱酸剤として用いられるため、スラブ
には固有的に含まれる元素であるが、本発明では、Oを
特定量含有させて介在物を形成させ爪飛びを抑制するこ
とを意図しているが、Alの含有量が0.001重量%
超えると、有効な量のOの鋼中での存在を困難にする。
従って、Alの含有量の上限を上記のように定めた。
【0020】N:0.0040重量%以下 Nは、含有されていることによるほうろう性への影響は
小さいが、Cと同様に時効劣化を起こし成形性を低下さ
せ易い。従って、Nの含有量の上限を上記のように定め
た。
【0021】 O:0.0150〜0.0800重量% Oは鋼中に介在物を形成して爪飛びの発生を抑制する重
要な元素であり、有効な抑制を図るためには、0.01
50重量%以上含有されることが必要である。一方、
0.0800重量%を超えて含有されると、連続鋳造時
にピンホールが発生し結果としてスラブに表面疵をもた
らし易く、また、介在物を粗大化させてほうろうの前処
理として実施される酸洗時に膨れ欠陥を発生し易い。従
って、Oの含有量の範囲を上記のように定めた。
【0022】P:0.003〜0.024重量% 耐縦割れ性には、鋼中におけるPの粒界偏析の存在も影
響する。また、Pはほうろう前処理(酸洗)時に影響を
及ぼし易い。すなわち、含有量が高いとそれだけ、鋼の
酸への溶け易さ(酸洗減量)が増大する。酸洗減量が多
すぎると、ほうろう焼成時に泡を生じ易く、酸洗減量が
少なすぎると、ほうろう層の密着性が悪い。従って、P
の含有量の範囲を上記のように定めた。
【0023】Cu:0.015〜0.060重量% Cuはほうろうの前処理として実施される酸洗での酸洗
速度を下げる元素であり、酸洗処理鋼板の表面の凹凸を
最適に制御してほうろう層との良好な密着性を確保する
ために必要な元素である。0.015重量%以上の添加
でその効果を発揮する一方で、0.060重量%を超え
て添加させると、酸洗速度が下がりすぎて、ほうろう層
との良好な密着性の確保に必要な凹凸を処理鋼板の表面
に付与することができない。従って、Cuの含有量の範
囲を上記のように定めた。
【0024】Cu/P=2.5〜5.5 CuとPは共に、ほうろうの前処理として実施される酸
洗での酸洗い速度に影響を及ぼす元素であり、その比率
を最適な範囲に定めることにより、ほうろう層と鋼板と
の間に最適な密着性を確保できる。従って、Cu/Pの
比率を上記のように定めた。
【0025】Nb:0.010〜0.050重量% Nbは、CをNbCとしてまたNをNbNとして固定し
て、鋼板を非時効化する元素であり、0.010重量%
以上添加されるとその効果を発揮する。なお、NbCは
ほうろう性特に耐爪飛び性を改善する効果もある。一
方、0.050重量%を超えて添加されると、NbCな
どの析出物が増大して細粒化し、特に絞り(r値)が劣
化する。また、合金コストも上昇する。従って、Nbの
含有量の範囲を上記のように定めた。
【0026】[式1] なお、Nb、C及びNの間には更に上記の関係式を満足
する必要がある。Nbの含有量が上記関係式を満足しな
い程少ない場合には、CとNの固定が未だ不満足である
からである。
【0027】(2)連続鋳造スラブの処理工程 950〜1200℃で均熱処理 950℃未満では熱間圧延時の圧延荷重が大きくなり過
ぎ、望ましい圧下率を達成することが困難となる。一
方、1200℃を超えると、NbC等の炭化物が再固溶
し、また、再析出してもその析出物は比較的小さいこと
から、成形性とほうろう性(特に耐爪飛び性)が悪化す
る。従って、上記温度範囲で均熱処理することとした。
なお、更に好ましい温度範囲は、950〜1100℃で
ある。
【0028】 熱間圧延処理 慣用的に実施できる。則ち、900〜1080℃程度の
温度で粗圧延後、仕上温度 850〜910℃程度で仕
上圧延する。仕上圧延の圧下率は、80〜95%であ
り、板厚を6.0〜2.3mm程度にする。
【0029】 600〜700℃で巻取り処理 600℃以上であると伸びが劣化することもなくまた炭
化物も確実に析出する。一方、700℃を超えると熱間
圧延後の結晶粒が異常に大きくなり、また、Pの粒界偏
析による脆化が起こり引き続いての冷間圧延が困難とな
る。従って、上記の温度範囲で巻取り処理することとし
た。
【0030】 酸洗処理
【0031】 圧下率75%以上で冷間圧延処理 圧下率が75%以上であると、焼鈍後に伸びや絞り(r
値)が高くなり、台所器物等の成形に必要な成形性が得
られる。従って、圧下率75%以上で冷間圧延処理をす
ることとした。
【0032】 750〜850℃で最大120秒間連
続焼鈍処理 焼鈍温度: 750〜850℃ 750℃以上で処理すると、再結晶が十分に成長して、
鋼板が時効劣化しても、なお、伸び(EL)46%以
上、降伏点(YP)200MPa以下を満足することが
できる。一方、850℃を超えた温度で処理すると、N
bCが再溶解し、成形性及びほうろう性(特に耐爪飛び
性)を劣化させる。従って、750〜850で連続焼鈍
処理することとした。
【0033】焼鈍時間: 最長120秒間 焼鈍時間が長いと、やはりNbCが再固溶し、成形性及
びほうろう性が劣化し易い。また、本発明の鋼板は、冷
間圧延時に押し潰された鋼中介在物の周辺にボイドが生
じ、これが水素吸蔵能の向上をもたらし、結果として耐
爪飛び性を更に改善させることに成功したものと考えら
れるため、焼鈍時間が長くなると、冷間圧延時に生じた
介在物周辺のボイドがFeや炭化物の拡散によって消失
する懸念がある。従って、焼鈍時間を最長で120秒間
とした(図2から明らかなように、焼鈍時間の下限は1
0秒以上あればよい)。なお、この焼鈍時間から、焼鈍
方式は、典型的には、連続焼鈍法となるであろう。
【0034】 焼鈍後室温まで60〜120℃/秒の
冷却速度で冷却処理 冷却速度が遅すぎると、Pの結晶粒界への偏析が進み、
ほうろう層の密着性及び耐縦割れ性が劣化する。一方、
冷却速度が速すぎると、鋼板の形状制御が不安定とな
。従って、上記の範囲の冷却速度で処理することとし
た。なお、後処理として伸び率が0.6〜1.0%のス
キンパスを行ってもよい。
【0035】
【実施例】
(実施例1:化学組成の影響)転炉で溶製しRH真空脱
ガス処理で成分調整を行った溶鋼を連続鋳造で鋳込ん
だ。得られた種々の化学組成のスラブを、表1に示す。
これらのスラブを、以下の工程で処理した。
【0036】 1)均熱処理: 1100℃ 2)熱間圧延処理:粗圧延の出側温度 1030〜1050℃、 仕上圧延 880〜900℃ 圧延後の板厚:4.00mm 3)巻取り処理: 650℃ 4)酸洗処理: 約10%HClにて、40〜50秒 5)冷間圧延: 圧下率83% 6)連続焼鈍処理:800℃、100秒間 7)冷却処理: 焼鈍後室温まで80℃/秒の冷却速度 8)伸び率0.8%のスキンパス このようにして得られた、本発明鋼〜と、比較鋼1
〜7を、表2に示す条件下で時効後に引張り試験及び縦
割れ試験を行い、成形性を調査し、更に、表3に示す条
件で直接1回掛けほうろうを行い、ほうろう性を調査し
た。
【0037】なお、密着指数はPEI法で求めたもので
あり、爪飛び発生数は100×200(mm)の試験片
での発生数を数えたものであり、また、泡は外観目視に
より判定したものである。その結果は、表4に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】本発明鋼は、いずれも良好な成形性及びほ
うろう性を示した。しかしながら、比較鋼1は、O量が
多く同時にBが添加されているため、表面疵が発生して
おり、更に、C量も多いため時効後の伸び(EL)が目
標値(46%以上)を下回っており、泡も発生してい
る。比較鋼2、3はO量が少ないため爪飛びが発生して
いる。比較鋼4はO量が多く同時にBが添加されている
ため、表面疵が発生している。比較鋼5は、Nb量が少
なくC、Nを固定するのに不十分なため、時効後の伸び
(EL)が目標値(46%以上)を下回っている。比較
鋼6は、Cu/P値が低いため、酸洗時に表面が過酸洗
され、表面の凹凸が良好でないため密着性が悪い。比較
鋼7は、比較鋼6とは逆に、Cu/Pが高いため、表面
の酸洗が不足しており、表面の凹凸が良好でないため密
着性が悪い。
【0043】(実施例2:処理工程の影響)表1に示し
た化学組成のスラブを、スラブ加熱温度(均熱処理)、
焼鈍時間、(焼鈍後の)冷却速度を変えながら処理し
て、それらの時効後の鋼板の機械的特性(伸び及び降伏
点)、爪飛び及び縦割れの発生状況に及ぼす影響を調査
した。結果は、表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】機械的特性(伸び及び降伏点)、爪飛び及
び縦割れの発生状況に関して、本発明鋼はいずれも良好
であったが、比較鋼は特に爪飛び性及び縦割れ性が悪か
った。
【0046】(実施例3:処理工程の影響)表1の本発
明鋼の化学組成のスラブを、スラブ加熱温度と冷間圧
延後の焼鈍温度を種々に変えた以外は、実施例1と同様
に処理して鋼板を得、それを表2に示した条件で時効試
験を実施した。得られた、時効後の伸び(EL)に及ぼ
す冷間圧延後の焼鈍温度とスラブ加熱温度の影響を、図
1aに示す。
【0047】表1の本発明鋼と比較鋼6の化学組成の
スラブを、冷間圧延後の焼鈍温度を変えた以外は、実施
例1と同様に処理して鋼板を得、それを表3に示す条件
で直接1回掛けほうろうを行い、耐泡性を調査した。得
られた、耐泡性に及ぼす冷間圧延後の焼鈍温度と鋼中の
Nb、C及びNの含有量との関係の影響を、図1bに示
す。
【0048】(実施例4:処理工程の影響) 表1の本発明鋼の化学組成のスラブを、スラブ加熱温
度と冷間圧延後の焼鈍温度を種々に変えた以外は、実施
例1と同様に処理して鋼板を得、それを爪飛び性との相
関が強い鋼中の水素透過時間を調査すべく、5%H2
4+1.4g/Lチオ尿素溶液中で50mA/dm2
電流密度で電流を流した。なお、水素透過時間は、溶液
と鋼板との間で発生した水素が鋼板中を通って鋼板の反
対面に発生するまでの時間であり、長い程耐爪飛び性が
良好となることを示す。結果を図2に示す。本発明の範
囲に含まれる処理をしたものが、外れる処理をしたもの
に比べて、水素透過時間が長かった。
【0049】以上の実施例から、本発明の連続鋳造スラ
ブの化学組成及び該スラブの処理条件が全て満たされて
初めて良好なほうろう性と成形性とを有するほうろう用
冷延鋼板が得られることが分かる。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法により製造された冷延鋼板
は、従来のほうろう用鋼板に比べて、更に一層ほうろう
性と成形性が優れており、この鋼板を用いて製造したほ
うろう製品は、台所器物や当然ながらシステムキッチン
や家電部品等としても満足できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは、時効後の伸びに及ぼす冷間圧延後の
焼鈍温度とスラブ加熱温度の影響を示す図である。図1
bは、耐泡性に、冷間圧延後の焼鈍温度と鋼中のNb、
C及びNの含有量との関係の及ぼす影響を示す図であ
る。
【図2】水素透過時間に及ぼす冷間圧延後の焼鈍時間と
スラブ加熱温度,焼鈍温度の影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−275736(JP,A) 特開 平7−150252(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46,8/02 C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0005〜0.0035重量% Si:0.2重量%以下 Mn:0.5重量%以下 S:0.02重量%以下 Al:0.01重量%以下 N:0.0040重量%以下 O:0.0150〜0.0800重量% P:0.003〜0.024重量% Cu:0.015〜0.060重量% Nb:0.010〜0.050重量% を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、 関係式 Cu/P=2.5〜5.5 [式1] を満足する化学組成の連続鋳造スラブを、 950〜1200℃で均熱処理し、 熱間圧延し、 600〜700℃で巻取り、 酸洗し、 圧下率75%以上で冷間圧延し、 750〜850℃で最長120秒間連続焼鈍し、そして
    焼鈍後室温まで60〜120℃/秒の冷却速度で冷却す
    る工程を含む、ほうろう性と成形性に優れたほうろう用
    冷延鋼板の製造方法。
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