JP3183127B2 - 滑りローラ付きロッカアーム - Google Patents
滑りローラ付きロッカアームInfo
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Description
バルブ用のロッカアームに関し、特に滑りローラ付きロ
ッカアームに関する。
機構におけるロッカアームは、カムと対向する個所にロ
ーラを設けて、ロッカアームとカムとの摺接を円滑に行
なわせるようにしている。このローラの構造は、例え
ば、実開昭64−32403号公報や特開平5−260
11号公報に見られるように、ローラとローラシャフト
との間にニードルベアリングを介装したニードルローラ
型のものと、図4に示すように、ローラを直接ローラシ
ャフトに嵌装した滑りローラ型のものとがある。
本体とのフリクションによる磨耗の発生は、ロッカアー
ムの円滑な動作を阻害し、ロッカアームの寿命を短くす
るものである。そのため、実開昭64−32403号の
ものでは、ニードルローラの両側面と対応するロッカア
ームの凹嵌部内面に固体被膜潤滑剤層をコーティングす
るようにし、また特開平5−26011号のものでは、
カムと対応する滑りローラの外周面と内周面とに硬質材
料による被覆硬化層を形成するようにして、滑りローラ
およびロッカアーム本体との部分的摺動面の磨耗を少な
くするようにしている。
64−32403号公報に開示されたものでは、ロッカ
アーム本体の狭い凹嵌部の内側面のみに固体被膜潤滑剤
層をコーティングする作業は非常に難しく、生産工程を
煩雑にし製品原価を高くすることになるという課題があ
る。
されたものでは、ロッカアームを軽量化するため滑りロ
ーラを軽量材としたことにより、軽量材の軟質性を保護
するために滑りローラの内外周面に硬化層を形成してお
り、潤滑目的でなく硬化目的を対象とした構造となって
いるため、ローラの両側面と嵌合穴との対向面でのフリ
クション対策はなされておらず、滑りローラの各面での
潤滑性は確保されていないという課題がある。
対向面および両側面のフリクションは勿論であるが、滑
りローラとローラシャフトとの間のフリクションが、ニ
ードルローラのものと比べて大きいため、ロッカアーム
の損耗に最も大きく影響する。すなわち、ロッカアーム
全体への潤滑は、ロッカアームの周辺から飛散してくる
潤滑油飛沫の侵入によって行なわれているのが通常で、
特にエンジンの始動時すなわち運転初期には、温度が低
く潤滑油の粘度が高いため飛沫の侵入が少なく、しかも
潤滑油がシリンダヘッドに上がってくるのに時間がかか
るなど、滑りローラへの潤滑不足を生ずる可能性がある
もので、滑りローラの潤滑不足は滑りローラとローラシ
ャフトとの接触面に「かじり」を生ずるなどロッカアー
ムに大きな損傷を与えて動作不良に至る虞がある。
ムが鉄製の硬質材で構成された構造の滑りローラを有す
るロッカアームでは、特に、滑りローラとローラシャフ
トとの摺動面への潤滑性とともに、滑りローラの他の面
での潤滑性の保持が必要であるという課題がある。本発
明は、このような課題に鑑み創案されたもので、エンジ
ンの運転初期における如き潤滑油の供給不足の状態で
も、滑りローラとローラシャフトとの潤滑性が失わせる
ことなく、長期にわたって円滑に動作できるようにし
た、滑りローラ付きロッカアームを提供することを目的
とする。
めに、本発明のうち請求項1記載の滑りローラ付きロッ
カアームは、ロッカアーム本体の凹所内でローラシャフ
トにて軸支され、カムと対向して回転する鋼鉄製の滑り
ローラを有するロッカアームにおいて、該滑りローラの
全表面にタンブラーコート法にて潤滑皮膜が設けられる
と共に、該潤滑皮膜が該滑りローラの該ローラシャフト
との摺接面では、該滑りローラの他の表面よりも薄く形
成されて設けられていることを特徴としている。
施例について説明すると、図1〜4は本発明による滑り
ローラ付きロッカアームの一実施形態を示すもので、図
1は本滑りローラ付きロッカアームの滑りローラ部を断
面にて示す正面図、図2は図1のII−II線矢視によ
る断面図、図3は滑りローラのみの拡大断面図、図4は
本ロッカアームと他部品との対応関係を示す正面図であ
り、各図中の同じ符号はほぼ同様の部分を示している。
アーム本体で、このロッカアーム本体1の一端部には、
滑りローラ2を装着するための凹所3を形成する一対の
支軸壁4,4が設けられ、他端部には、吸排気バルブ5
のバルブステム5aを挿通するバルブ保持部6が設けら
れるとともに、中央部にはロッカシャフト7に嵌挿され
る貫通穴8が設けられている。
れる中空のローラシャフト9にて軸支される滑りローラ
2が、その一部をロッカアーム本体1の周辺よりやや突
出するようにして回転自在に取り付けられ、この滑りロ
ーラ2の突出した部分でカムシャフト10付きのカム1
1と対接しているもので、これら各部(ロッカアーム本
体1,滑りローラ2,ローラシャフト9を含む)は硬質
の鉄材(硬質の鉄材としては、例えば一例として、高炭
素クロム軸受鋼鋼材,クロム鋼鋼材,クロムモリブデン
鋼鋼材を用い、硬度としてはロックウエルCスケール6
0以上のものが使用される)にて製作されている。な
お、図中、12は吸排気バルブ5を弾装するスプリング
である。
の、少なくとも滑りローラ2とローラシャフト9との摺
接面13乃至、摺接面13を含む滑りローラ2の全表面
14には、潤滑皮膜Aすなわち潤滑性のある低摩擦係数
皮膜、例えばりん酸マンガン系化成皮膜とか二硫化モリ
ブデンを含有したエポキシ皮膜などが、スプレーコーテ
ィングの後に焼き付けされるか、あるいはどぶ付け後に
焼き付けされるかなどして形成されている。
ーラシャフト9との摺接面13に形成される潤滑皮膜A
すなわち潤滑性を有する低摩擦係数皮膜は、エンジン始
動時などにおけるロッカアーム部への潤滑油の供給が不
足する状態においても、滑りローラ2とローラシャフト
9との摺接面13に潤滑性を与えて、滑りローラ2とロ
ーラシャフト9との間に潤滑不足に伴う損傷の発生を防
止しうることは勿論のこと、潤滑油が供給された後にお
いても一層良好な潤滑性を維持しうる効果がある。
ローラ2とローラシャフト9との摺接面13としたの
は、滑りローラ付きロッカアームでの滑りローラ2とロ
ーラシャフト9との摺接面13は、潤滑不足時における
最も損障の生じ易い個所であって、この個所の潤滑性を
保持することを最低条件とされるからである。また、ロ
ーラシャフト9との摺接面13を含む滑りローラ2の全
表面14に潤滑皮膜Aを形成するときは、エンジン始動
時の潤滑不足に対して、凹所3内における滑りローラ2
と両支軸壁4,4間とのフリクションに対する潤滑性と
滑りローラ2とカム9との摺接面に対する潤滑性を保持
させて、潤滑不足に伴う磨損および動作不円滑などの発
生をなくするとともに、潤滑油が供給された後において
も各部の潤滑性を一層良好に維持しうる効果がある。
滑りローラ2のローラシャフト9との摺接面13では潤
滑皮膜Aを薄く形成し、他の面14では潤滑皮膜Aを摺
接面13よりも厚く形成することにより、ロッカアーム
1の作動機能を一段と高めるようにしている。すなわ
ち、滑りローラを有するロッカアームでは、滑りローラ
2の内径とローラシャフト9の外周とのクリアランスの
小さいことが要求されるもので、潤滑皮膜Aは薄く形成
されることが望ましく、エンジン始動時の潤滑油不足状
態を経過するまでの間における潤滑性が潤滑皮膜Aによ
って保持されればよいものである。
皮膜を形成し、他の面にそれよりも厚い潤滑皮膜する場
合の具体的製造方法の一例について説明する。まず、部
品としての滑りローラ2の表面を脱脂,防錆処理し、皮
膜コーティングの乗りをよくするため、りん酸亜鉛処理
による下地処理を行ない、乾燥した後にドライコートコ
ーティングを施す。
ブラーコート法といわれる方法を行なうもので、樽状の
容器に、上記滑りローラ2,液状ゾルベスト,潤滑剤と
しての有機溶剤ソルベントと、滑りローラ2の内径穴を
通過しうる小径のボール等を入れて、容器を斜めに傾け
た状態で回転させる。すると、ボールは滑りローラに当
たり、ボールが当たった滑りローラの表面には薬剤の皮
膜が付着されるもので、ボールの当たる頻度が多いほど
厚い皮膜が形成されることになる。
ールの当たる頻度が少ないので、他の面に比べて薄い皮
膜が形成される。このように皮膜形成した滑りローラを
取り出し、加熱硬化処理を施して皮膜の付着を固定さ
せ、仕上げ処理を行なう。上述の方法により、滑りロー
ラ2の内径面には薄い潤滑皮膜が形成され、その他の表
面14には内径面の皮膜よりも厚い潤滑皮膜が形成され
るものである。
記載の滑りローラ付きロッカアームによれば、ロッカア
ーム本体の凹所内でローラシャフトにて軸支され、カム
と対向して回転する鋼鉄製の滑りローラを有するロッカ
アームにおいて、少なくとも、該滑りローラの該ローラ
シャフトとの摺接面にタンブラーコート法にて潤滑皮膜
が設けられているので、エンジン始動時などにおけるロ
ッカアームへの潤滑油の供給が不足する状態において
も、滑りローラとローラシャフトとの摺接面には潤滑性
が保有されており、潤滑不足に伴うロッカアームの損傷
を防止して、長期にわたり損傷することのないロッカア
ームを提供しうる利点がある。
面に設けられているので、エンジン始動時の潤滑不足時
においても、滑りローラとローラシャフトの間は勿論、
滑りローラと両支軸壁の間および滑りローラとカムとの
摺接面に対する潤滑性を保持させて、エンジン始動時に
おける潤滑不足に伴うロッカアームの摺接面の磨損を防
止して、長期にわたり損傷することのないロッカアーム
を提供しうる利点がある。
ローラシャフトとの摺接面では、該滑りローラの他の表
面よりも薄く形成されて設けられているので、滑りロー
ラの内径とローラシャフトの外周とのクリアランスを小
さく保って滑りローラの回転を正確且つ円滑に行なわす
とともに、エンジン始動時の潤滑油不足状態におけるロ
ッカアームの摺接面各部の摩損を防止して、長期にわた
り損傷することのないロッカアームを提供しうる利点が
ある。
部切断正面図である。
応関係を示す正面図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 ロッカアーム本体の凹所内でローラシャ
フトにて軸支され、カムと対向して回転する鋼鉄製の滑
りローラを有するロッカアームにおいて、該滑りローラの全表面にタンブラーコート法にて潤滑皮
膜が設けられると共に、該潤滑皮膜が該滑りローラの該
ローラシャフトとの摺接面では、該滑りローラの他の表
面よりも薄く形成されて設けられている ことを特徴とす
る、滑りローラ付きロッカアーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25394295A JP3183127B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 滑りローラ付きロッカアーム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25394295A JP3183127B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 滑りローラ付きロッカアーム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0988524A JPH0988524A (ja) | 1997-03-31 |
JP3183127B2 true JP3183127B2 (ja) | 2001-07-03 |
Family
ID=17258143
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25394295A Expired - Fee Related JP3183127B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 滑りローラ付きロッカアーム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3183127B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7836861B2 (en) | 2007-02-22 | 2010-11-23 | Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha | Variable valve mechanism for internal combustion engine |
-
1995
- 1995-09-29 JP JP25394295A patent/JP3183127B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7836861B2 (en) | 2007-02-22 | 2010-11-23 | Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha | Variable valve mechanism for internal combustion engine |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0988524A (ja) | 1997-03-31 |
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