JP3182170B2 - セラミックスと金属との接合方法 - Google Patents

セラミックスと金属との接合方法

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信之 南
陽一 石田
修 花岡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックスと金属と
の接合方法に関し、特に、高温下で接合強度の低下が生
ぜず、確実にセラミックスと金属とを接合することがで
きるセラミックスと金属との接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、非酸化物セラミックスと金属とを
接合する方法として、セラミックスと金属の間に活性金
属ロウを挿入し、約800℃の高温度で接合する方法が
知られている。しかしながら、約800℃の高温度で接
合させた従来の非酸化物セラミックス−金属接合体は、
これを25℃の常温に戻した時、セラミックスの収縮率
と金属の収縮率との差から両者の接合面に接合残留応力
が作用し、その結果、セラミックスを破壊する欠点を有
している。そこで、上記接合残留応力を軽減する目的
で、セラミックスと金属との間に応力緩衝金属を挿入す
ることが提案されている。応力緩衝金属としては、銅、
タングステンの他にチタン、ニオブ等が選定されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ここで
選定している銅、タングステン、チタン、ニオブ等の緩
衝金属は、500℃以上の大気雰囲気下で酸化され、そ
のため、その接合強度が急激に低下する欠点を有してい
る。そして、仮に、500℃以上の高温度域で使用でき
る高温度特性の優れたセラミックス、耐熱金属、耐熱ロ
ウを用いたとしても、該緩衝金属の耐熱特性に制限され
てしまい、この高温度域で接合強度の高いセラミックス
−金属接合体を得ることができなかった。
【0004】そこで、本発明者等は、該緩衝金属につい
て鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成したものであっ
て、本発明は、500℃以上の高温下でも接合強度の低
下が生ぜず、確実にセラミックスと金属とを接合するこ
とができるセラミックスと金属との接合方法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そして、本発明は、上記
目的を達成する手段として、高温に強いニッケル又はク
ロムを所定厚さにメッキした金属箔(緩衝金属)を使用
する点にある。即ち、本発明は、セラミックスと金属と
の接合部分に、1〜5μmのニッケル又はクロムメッキ
を施した金属箔を挿入し、ロウ付けすることを特徴とす
るセラミックスと金属との接合方法である。
【0006】本発明において、接合に用いるセラミック
スとしては、窒化珪素、炭化珪素、サイアロン等の非酸
化物セラミックスが好ましく、また、接合に用いる金属
としては、ステンレス(SUS304)等所望に応じ種
々の金属を使用することができる。
【0007】また、本発明において、セラミックスと金
属との接合面に挿入する金属箔(緩衝金属)としては、
銅、タングステン、チタン、ニオブが好ましい。そし
て、本発明は、この金属箔(緩衝金属)の表面に、高温
に強いニッケル又はクロムをメッキしたものを使用する
点に特徴を有するが、このメッキ厚は、ニッケル又はク
ロムのどちらであっても、また、何れの緩衝金属に対し
てもその種類を問わず、1〜5μmが好適である。この
メッキ厚が1μmより薄い場合、緩衝金属母材を高温大
気雰囲気から保護する効果が少なく、逆に、メッキ厚が
5μmより厚いと、緩衝金属母材とメッキ膜との熱膨張
係数の差からメッキ膜に残留応力が生じ、メッキが剥離
してしまい、その結果、低荷重でも、セラミックス−金
属接合体が破壊してしまうので、好ましくない。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明をより詳細に説明する。 (実施例)3×4×20(mm)の窒化珪素、炭化珪素
及びサイアロン等の非酸化物セラミックス(何れも日本
セラテック社製)と3×4×20(mm)ステンレス
(SUS304、日本冶金社製)の3×4(mm)面を
突きあわせる構造体(接合体)に於いて、これらの間
(接合面)に応力緩衝金属として、厚みが0.2(m
m)の銅、タングステン、チタン、ニオブ箔を挿入し、
活性金属ロウ(TKC-710 田中貴金属工業社製)を用い、
10-6torrの真空雰囲気で830℃でロウ付けし、
接合強度測定用試験体を作成した。
【0009】ここで用いた各種緩衝金属には、ニッケル
メッキ又はクロムメッキがなされている。このニッケル
メッキは、標準的に用いられるワット浴で、また、クロ
ムメッキも標準的に用いられるクロム酸−硫酸浴でメッ
キした。これらのメッキ厚みは、コク−ル法で確認し
た。この試験体を500℃に加熱された大気雰囲気中に
1時間放置した後、JIS R1601に定める方法で、この試
験体の接合強度を測定した。結果を表1に、No.2、3、6、
7、10、11、14、15、18、19、22、23、26、27、30、31として表示し
た。
【0010】(比較例)比較のために、緩衝金属のメッ
キ厚として、本発明の1〜5μmの範囲外である試験体
(0.5μm及び7μm厚にメッキ加工した緩衝金属を
用いた試験体)を実施例と同一条件で作成した。この試
験体の接合強度を、実施例と同一方法で測定し、その結
果を同じく表1に、No.1、4、5、8、9、12、13、16、17、20、21、2
4、25、28、29、32として表示した。なお、表1には、接合
すべき非酸化物セラミックスとして、サイアロンを用い
たものの例を示した。
【0011】
【表1】
【0012】表1から明らかなように、1μm及び5μ
mのニッケルメッキ又はクロムメッキを施した金属箔
(銅、タングステン、チタン、ニオブの緩衝金属)を用
いた接合体は、メッキ材並びに金属箔(緩衝金属)の種
類を問わず、いずれも、少なくとも10Kg/mm2
上の接合強度(500℃強度)を有することが理解でき
る。これに対して、本発明で限定する1〜5μmのメッ
キ厚の範囲外である0.5μm及び7μm厚としたもの
は、いずれも、接合強度が低く、5Kg/mm2の接合
強度(500℃強度)にも達しないものであった。な
お、表1に示す接合体は、上記したとおり、接合すべき
非酸化物セラミックスとして、サイアロンを用いた例で
あるが、窒化珪素、炭化珪素等の非酸化物セラミックス
であっても、同様な接合強度が得られた。
【0013】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、500
℃以上の高温下でも接合強度の低下が生ぜず、確実にセ
ラミックスと金属とを接合することができる効果が生ず
る。そして、本発明により、簡便な工程で、高温下での
高接合強度を有するセラミックス−金属接合体が得ら
れ、高温に晒される機械部品等の素材として好適な新材
料を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 37/00 - 37/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスと金属との接合部分に、1
    〜5μmのニッケル又はクロムメッキを施した金属箔を
    挿入し、ロウ付けすることを特徴とするセラミックスと
    金属との接合方法。
  2. 【請求項2】 挿入する金属箔は、銅、タングステン、
    チタン、ニオブである請求項1に記載のセラミックスと
    金属との接合方法。
  3. 【請求項3】 接合に用いるセラミックスは、窒化珪
    素、炭化珪素、サイアロン等の非酸化物セラミックスで
    ある請求項1に記載のセラミックスと金属との接合方
    法。
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