JP3181851B2 - エンボスキャリアテープの製造方法 - Google Patents

エンボスキャリアテープの製造方法

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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子部品、精
密部品などの表面実装部品を連続的に巻き取り収納する
エンボスキャリアテープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエンボスキャリアテープ用の成形
金型は、プレス成形用であり、図2に示すようにエンボ
スキャリアテープ1は、スプロケットホール2とエンボ
スキャビティー3の一定数を同時に、同一ショットで形
成して順送し、これを繰り返すことで連続成形品となる
が、この一定量の順送精度は、順送装置自体に依存して
いる。
【0003】エンボスキャリアテープは、熱可塑性樹脂
製シートを金型の内外で、プレス成形可能になるまで加
熱軟化させながら、もしくは加熱後に成形するが、順送
装置の送り量だけでショット毎に一定量を送ると、熱可
塑性樹脂製シートのたわみなどから‘送り量のばらつ
き’が生じ、安定した製品が得られない。このため、確
実にショット毎に一定量を順送し、定位置に固定して上
記たわみを矯正するとともに連続成形の精度を上げ不良
品の発生を防止するため、金型内にスプロケットホール
2を所定の位置で位置決めする位置決めピンを設置して
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の製
造方法では、加熱成形して得られる成形品の収縮率(以
下、成形収縮率という)に合わせて設定した位置、すな
わち、初期設定した成形収縮率に適合した位置にしか位
置決めピンを設けていなかったために、異なる熱可塑性
樹脂を使用した場合やロット間で成形収縮率のばらつき
が発生した場合には対応できず、スプロケットホール2
以外を打ち抜いて不良を生じていた。
【0005】従来、エンボスキャリアテープに使用され
る熱可塑性樹脂製シートは、ポリ塩化ビニール、ポリス
チレン、ポリエチレンテレフタレートなどを主とし、こ
れに導電性や静電防止性を付与しているタイプもある。
また、近年は廃棄物処理や環境汚染の観点から、包装容
器の材質に対しても厳しい要求が出されてきたため、同
じ熱可塑性樹脂製シートを使用するにしても前記問題に
対処していくために樹脂配合などを変更せざるを得なく
なっている。さらに、新しい熱可塑性樹脂製シート、例
えばポリブチレンテレフタレート製やポリカーボネート
製シートなどの要求もある。
【0006】このようにキャリアテープの成形に使用す
る熱可塑性樹脂製のシート材料が多様化すると、シート
材料によって成形収縮率が異なり、また、熱可塑性樹脂
製シートの原材料ロットの‘ばらつき’や製造時の‘ば
らつき’などから成形収縮率の変動が発生した場合、一
定の成形収縮率のみに対応できる金型では、成形収縮率
ごとにエンボスキャリアテープ用成形金型を作製する必
要が出てきてしまうなどの問題もある。本発明の課題
は、異なる成形収縮率を有する種々の熱可塑性樹脂を材
料シートに使用しても、寸法規格を満たすことができる
金型を使用したエンボスキャリアテープの製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するため、成形収縮率の異なる熱可塑性樹脂シート
に対応できるように、複数個の位置決めピンを1台の金
型に設置できるようにし、使用する熱可塑性樹脂シート
の成形収縮率に応じた所望の位置に位置決めピンを設置
するようにしている。すなわち、本発明のエンボスキャ
リアテープの製造方法は、熱可塑性樹脂シートを成形金
型の内外で加熱軟化させてエンボスキャビティーとスプ
ロケットホールを形成して順送し、これを繰り返すこと
で連続成形品となすエンボスキャリアテープの製造方法
において、成形金型内におけるエンボスキャリアテープ
のスプロケットホールの移動路上に複数の位置決めピン
取付孔を設け、使用する熱可塑性樹脂シートの成形収縮
率に応じて選択した該位置決めピン取付孔に、該スプロ
ケットホールと係合する位置決めピンを設置して繰り返
し成形することを特徴としている。この位置決めピン
付孔は、成形に使用する熱可塑性樹脂の種類に合わせ、
その収縮率に応じた位置に複数個設けられ、成形に際し
ては、使用する熱可塑性樹脂に合わせて選択した取付孔
に位置決めピンを設置する。
【0008】複数個の位置決めピンを、使用する熱可塑
性樹脂に応じて金型に設置できるようにすることで、使
用する熱可塑性樹脂の種類を変えても、エンボスキャリ
アテープの寸法規格を満たすことができ、これにより熱
可塑性樹脂の種類毎に別個の金型を用意するという無駄
がなくなる。なお、位置決めピン設置は、製品の成形
縮が完全に終了した位置に設置することが重要である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明のエンボスキャリアテープの製造方法について具体的
に説明する。図1は、本発明で使用する金型の寸法取り
合いと位置決めピンの設置位置を示した一例の模式図、
図2はエンボスキャリアテープの一例の部分斜視図であ
る。図1は、使用した熱可塑性樹脂製シートを加熱して
成形した際の成形収縮率を2%として設計し、成形する
スプロケットホール2の間隔を4.0mm、成形するエ
ンボスキャビティー3の間隔も4.0mmとし、1ショ
ットをそれぞれ5個としてシミュレーションしたもので
ある。
【0010】模式図中の左端にあるスプロケットホール
2のセンター線の位置を、基準位置0.000mmとす
る。成形収縮率を2%としたので、次のスプロケットホ
ール2のセンター線の位置は、約4.08163mmと
なり、5個目のスプロケットホール2のセンター線の位
置は、約16.3265mmとなる。同様に、模式図中
の左端にあるエンボスキャビティー3のセンター線の位
置は、隣り合った各スプロケットホール2間の中央とす
るために、約2.04082mmとなり、次のエンボス
キャビティー3のセンター線の位置は、約6.1224
5mmとなり、5個目のエンボスキャビティー3のセン
ター位置は、約18.3673mmとなる。
【0011】次に、金型内に設置された位置決めピン4
は、前記した成形収縮率からそのセンター線の位置を、
例えば上記スプロケットホール2の基準位置から16
0.00mmとすることで、位置決めピンとしての機能
を備える。このとき、位置決めピン4の直径は、スプロ
ケットホール2の径より大きいと成形したスプロケット
ホール2を壊すことになり、小さすぎると位置決めの効
果がなくなるため、スプロケットホールの直径とほぼ同
一の直径であることが必要である。この状態のときに、
順送装置により成形品として4.0mmを出せるような
送り量を設定することで、スプロケットホール2および
エンボスキャビティー3のそれぞれ隣り合う間隔が、設
計値4.0mmとなる。
【0012】しかして、このシミュレーションの金型を
使用した際に、熱可塑性樹脂製シートの成形収縮率に
‘ばらつき’が発生し、成形収縮率2.0%が、2.0
5%となった場合、エンボスキャリアテープ1のスプロ
ケットホール2およびエンボスキャビティー3の間隔
は、それぞれ約3.99796mmとなり、位置決めピ
ン4の位置とは結果として160.00−(3.997
96×40)=0.0816mmずれることとなる。こ
の状態のときに、順送装置の送り量を調整して位置決め
ピン4に合わせることも可能であるが、成形−順送の繰
り返しでエンボスキャリアテープ1は連続成形品となる
ため、ショットごとの接続部分に、約0.0816mm
の誤差が反映されるため寸法上の製品不良に該当するこ
とがある。
【0013】このため成形収縮率2.05%としたとき
の調整済み位置決めピン5を、159.918mmの位
置に設けるか、金型構造上160.00mmの位置と近
すぎて、設けることが不可能であれば、160.00m
mを超える方向でも超えない方向でも良いが、3.99
796mmの整数倍ずらした位置(例えば1倍分超えな
い方向にずらした位置であれば、159.918−
(3.99796×1)=155.920mm)に設け
ることでショットごとの接続部分にすべての成形収縮率
の相違分である、2.05%−2%の0.05%が反映
されることがなくなり寸法上の製品不良に該当しなくな
る。
【0014】このように成形収縮率の違いによる調整済
み位置決めピン5を、複数個金型に設けることができる
ようにしておけば、成形収縮率の異なる熱可塑性樹脂製
シートを用いた場合や熱可塑性樹脂製シートのロット間
成形収縮率の‘ばらつき’が発生した場合でも、調整
済み位置決めピン5を選定使用することで1台の金型で
有効に使用することが可能となる。
【0015】また、位置決めピン4を160.00mm
に設定した場合、わずかな成形収縮率の相違が累積され
て悪影響を及ぼすので、位置決めピン4の設定位置を、
例えば、20.00mmの位置にすると、0.05%の
相違は、20mm−(20mm×0.9995)=0.
01mmの変動で順送装置の送り量を調整することが可
能となる。しかし実際のエンボスキャリアテープの成形
においては、成形サイクル速度が早く熱可塑性樹脂製シ
ートが完全に冷却されず、成形収縮が終了しない。この
ため製品の収縮を完全に終了させるためには、エンボス
キャリアテープ成形金型を第一ステージ目でスプロケッ
トホール2の形成とエンボスキャビティー3の形成を行
い、第二ステージ目で製品の収縮を完全に終了させた
後、位置決めピン4を使用する必要があるため、20.
00mmの位置では位置決めピン4を設置することがで
きず、成形収縮が終了する範囲にまで位置決めピン4を
もっていく必要がある。
【0016】
【実施例】幅24mm、エンボスキャビティーピッチ1
2mmのエンボスキャリアテープにおいて、成形収縮率
が2.00%で、厚さが0.3mmのポリ塩化ビニール
樹脂製シートである1378BHR[信越ポリマー
(株)製商品名]と、厚さ0.3mmのアモルファスポ
リエチレンテレフタレート樹脂製シートであるAPET
00C−20[信越ポリマー(株)製商品名]および
収縮率が2.05%で厚さ.3mmの一般的なポリ
スチレン樹脂製シート[クリアレン、電気化学(株)製
商品名]並びに成形収縮率が2.10%で厚さ0.3m
mのポリスチレンシートであるPSX10C−21(信
越ポリマー(株)製商品名)を用いてエンボスキャリア
テープの成形を試みた。金型の初期設定の成形収縮率は
2.00%にした。また、使用する熱可塑性樹脂製シー
トの成形収縮率は、上記のように異なっているため、位
置決めピンを160.00mm(2.00%用)に設置
し調整済み位置決めピンを155.920mm(2.0
5%用)と151.845mm(2.10%用)の3箇所
に設置した。結果は以下のようになった。
【0017】
【表1】
【0018】表1から明らかなように、位置決めピンを
最適でない位置に設置して実施した場合、ショットの連
続部分に成形収縮率の相違が反映されてしまい、規格の
限界値を超えるか若しくは規格外となってしまう。それ
を回避するために順送装置の送り量を調整すると位置決
めピンもしくは調整済み位置決めピン自体によるスプロ
ケットホールの破壊(正円が楕円形状になる)が発生し
た。
【0019】
【発明の効果】本発明のエンボスキャリアテープの製造
方法によれば、異なる成形収縮率をもった種々の熱可塑
性樹脂シートを寸法不良を発生することなく一つの金型
成形することが可能となり、また熱可塑性樹脂製シー
トの原材料ロットの‘ばらつき’や製造時の‘ばらつ
き’が発生しても調整可能となり、生産性を向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する金型の寸法取り合いおよび位
置決めピンの設置位置を示した一例の模式的平面図であ
る。
【図2】エンボスキャリアテープの一例の部分斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 エンボスキャリアテープ 2 スプロケットホール 3 エンボスキャビティー 4 位置決めピン 5 調整済み位置決めピン

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂シートを成形金型の内外で
    加熱軟化させてエンボスキャビティーとスプロケットホ
    ールを形成して順送し、これを繰り返すことで連続成形
    品となすエンボスキャリアテープの製造方法において、
    成形金型内におけるエンボスキャリアテープのスプロケ
    ットホールの移動路上に複数の位置決めピン取付孔を設
    け、使用する熱可塑性樹脂シートの成形収縮率に応じて
    選択した該位置決めピン取付孔に、該スプロケットホー
    ルと係合する位置決めピンを設置して繰り返し成形する
    ことを特徴とするエンボスキャリアテープの製造方法。
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