JP3180810U - 薬用瓶の蓋 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬用瓶のゴム製の栓体に両頭針を刺す場合に、ゴム製の栓体を脱落させることなく栓体に両頭針を貫通させることができる薬用瓶の蓋を提供する。
【解決手段】ゴム製の栓体5が嵌着している薬用瓶4の瓶口に装着される蓋体であって、蓋本体1と内蓋2と外蓋3とによって構成されている。内蓋2の頂面板22の下面側には、内蓋2の中心側から外側に向って斜め下方に延在するように係止突片24が複数個形成されている。係止突片24は栓体5の上面に係合して栓体5の中心方向への移動を規制する。
【選択図】図1

Description

本考案は、バイアル等の薬用瓶の蓋に関するものである。
薬用瓶の瓶口部に施したゴム栓に注射針を挿通させて少量の薬液を取り出したい場合には外蓋のみを除去し、また、大量の薬液を一度に取り出したい場合には外蓋を含む蓋本体全体を除去する構成とした薬用瓶の蓋は、従来から広く使用されている。
このような薬用瓶の蓋の構成を図5,図6に示す。図5は蓋の構成を示す分解斜視図であり、図6は薬用瓶に装着された状態での蓋の構成を示す断面図である。
この薬用瓶の蓋は、図5に示すように、アルミ等の軟質金属薄板によって逆有底円筒状に形成した蓋本体1と、前記蓋本体1の頂面内側に嵌合させることができ且つ蓋本体1と相似形状に形成した内蓋2と、前記蓋本体1の頂面板12を含む上半部に冠着させることのできる合成樹脂製の外蓋3との組み合わせによって構成されている。
蓋本体1は、適宜の高さをした周胴部11の上面に頂面板12を形成することによって逆有底円筒状に形成されている。
13は頂面板12の中央部に穿設した透孔であり、この透孔13を通して薬用瓶4の瓶口に嵌装したゴム製の栓体5の上面が露出するようになっている。
14は頂面板12に穿設した透孔13の周囲に形成された適宜の幅をもった溝からなる引き裂き用のスリットであり、スリット14の両端部が形成された頂面板12から周胴部11の上端部に達するように切り裂き筋を刻設することによってこれに囲まれる内側が引き起こし用の環状体15となるように構成されている。
内蓋2は、図5に示したように、周胴部21の上端に頂面板22を連続させることによって逆有底円筒状に形成されているものであり、蓋本体1と相似形状をなし、これに嵌合することができる大きさとして形成されているものである。この内蓋2は、本例では蓋本体1と同質材のアルミ等の軟質金属薄板によって形成されている。
前記した周胴部21の高さは、図6に示すように、ゴム製の栓体5のフランジの高さよりも低く形成してあり、使用時において前記したゴム製の栓体5のフランジの周胴に密着できるようにしてある。
23は内蓋2の頂面板22に穿設した透孔であり、この透孔23の大きさは、蓋本体1の頂面板12に穿設した透孔13よりも小さい寸法となっている。これによって、外蓋3を剥離除去する際に内蓋2から外れる係止爪39を蓋本体1の透孔13を通して上面に引き上げることができる(図6参照)。
蓋本体1の上面に冠着する外蓋3は、適宜の硬度を有する合成樹脂を用いて形成するものであり周胴部が蓋本体1の周胴部11に少許だけかぶさることができる浅い倒皿状となるように形成されている。
外蓋3の裏面中央部には、図5に示すように、内蓋2に穿設した透孔23の円周に当接しながら折り曲げ係止することのできる略円筒形状の係止爪39が突設されている。この係止爪39は、透孔23に嵌合させたのち、内蓋2の内側から折り曲げ加圧をすることにより、或いは同じく内側から加熱をすることにより押し広げられながら倒伏させられるように折り曲げ自在に突設されている。
上記のように構成された薬用瓶の蓋は以下のようにして組み立てる。
蓋体を組み立てる場合には先ず蓋本体1の内側に内蓋2を嵌合させる。
次いで蓋本体1の外側から外蓋3を冠着させ、外蓋3の内側面に突設されている略円筒形状の係止爪39を蓋本体1の透孔13及び内蓋2の頂面板22に穿設している透孔23の双方に貫通するように挿通させる。
内蓋2の透孔23に挿通させた円筒形状の係止爪39は内蓋2の内側からこれを外側方向に押し広げるように加圧し(場合によっては加熱しながら加圧して押し広げる)て透孔に触れている部分から先端部分を横に倒し内蓋2の裏面に密着させることによって蓋本体1を内側に挟んだ状態に組み立てる(この場合蓋本体1は外蓋3と内蓋2とによって狭持された状態となっているだけであり、蓋本体の裏面から突設した係止爪39によって係止されることはない。)。
蓋体を瓶4に装着するには、先ず、蓋本体1の周胴部11部分を薬用瓶4の瓶口部に冠着させ、次いで、周胴部11の下端部を瓶蓋の巻締め機に当接させれば、周胴下端部は瓶口方向に加圧されて折り曲げられ、図6に示すように完全に巻締め固定をすることができる(なお、この方法は公知のものであり、格別新規なものではない)。
以上のようにして瓶4に蓋体を装着した後、通常は高温高圧の水蒸気によって滅菌処理が施される。
このように構成されている蓋を具えた薬用瓶に収納されている薬剤のなかには、点滴によって患者に投与される薬剤もある。
現在、病院等の医療施設においては、図7に示したような薬用瓶60内の薬液Mを、点滴用チューブ70を介して患者に投与する方法が多用されている。62は、点滴用チューブ70を接続するためのゴム製の栓体である。
通常このような薬液Mは、経年変化を防ぐために、図8(a)に示したように、固体状の薬剤Xと液体状の薬液Yとに分離した状態で保管されており、使用する直前に、この薬剤Xと薬液Yとを混合して薬液Mを作り、その薬液Mを患者に投与している。
薬剤Xを収納してある薬用瓶4の内部と、薬液Yを収納してある薬用瓶60の内部とを連通させる器具としては、図8(a)に示したような構成の両頭針80が用いられている。このような両頭針80は、円筒状のカバー部82の中央部を仕切っている円盤状の支持板83の中心部に、両端部に針先が形成されている両頭針本体81の中央部が貫通した状態で固定されている構成になっている。
薬剤Xと薬液Yとを混合して薬液Mを作る場合には、図8(a)に示したように、薬用瓶4を密閉しているゴム製の栓体に両頭針本体81の一方の側の針先を刺した後、他方の針先を、薬用瓶60の瓶口81の内側を密閉しているゴム製の栓体82に刺して、図8(b)に示したように薬用瓶40と薬用瓶60との内部を連通させた状態にする。このような状態で、薬液Yを薬用瓶4に入れて薬剤Xを溶かし、その溶液を再び薬用瓶60に回収した後、薬用瓶60から両頭針80を外して薬液Mの製作を終了する。
以上説明した薬剤Xと薬液Yとを混合する過程において、図9(a)に示したように、薬用瓶4の瓶口の内側を密閉しているゴム製の栓体5に、両頭針本体81の針先を栓体5の上面に直角な方向ではなく傾けた状態で刺そうとした場合には、両頭針本体81の外径は通常の注射針に比して太いために針先が刺さらず、その針先に押されて栓体5が薬用瓶4の内部側に脱落してしまうことがあった。このように、図9(b)に示したような栓体5が脱落した状態においては、薬剤Xが外気に触れて汚染されてしまう可能性があるために、このような薬剤Xは患者に投与することは出来ず廃棄処分にしなければならない。
即ち、従来は薬用瓶4の栓体5に両頭針本体81を上面に対して直角な方向に刺さない場合には、薬用瓶4内の薬剤Xを無駄にしてしまうという虞があった。
以上の問題を解消するために、本考案は、アルミ等の軟質金属薄板によって逆有底円筒状に形成した蓋本体と、この蓋本体の頂面板内側に嵌合させることができ且つ蓋本体と相似形状に形成した内蓋と、前記蓋本体の頂面板を含む上半部に冠着させることのできる合成樹脂製の外蓋との組み合せによって構成され、ゴム製の栓体が嵌着している薬用瓶の瓶口部に装着する薬用瓶の蓋であって、前記蓋本体は、その頂面板に適宜大きさの透孔を穿設し、前記透孔はその外周に適宜の幅をもった溝を有し、その溝の両端部に蓋本体の周胴部に達するようにした切り裂き筋を刻設することによってこれに囲まれる内側を引き裂き用の環状体として形成し、また、前記蓋本体の内側に嵌合する前記内蓋は、前記蓋本体とこれより少許だけ小さい相似形状として形成して頂面板には透孔を穿設した薬用瓶の蓋において、前記内蓋の頂面板の下面側には、中心側から外側に向って斜め下方に延在するように突設された係止突片であって、前記ゴム製の栓体の上面と係合して当該ゴム製の栓体の上面の中心方向への移動を規制する係止突片が配設されていることを特徴とするものである。
ここで、前記係止突片は、前記内蓋の頂面板の下面側に、円周方向に沿って等間隔で複数個配設されていてもよい。
本考案によれば、薬用瓶のゴム製の栓体に両頭針を刺す場合に、内蓋に配設されている係止突片が栓体の上面に係合して栓体の上面の中心方向への移動を規制するので、ゴム製の栓体を脱落させることなく栓体に両頭針を貫通させることができる。
本考案の実施例1の構成を示す分解斜視図である。 本考案の実施例1の動作の説明図である。 本考案の実施例1の構成の説明図である。 本考案の実施例1の構成の説明図である。 従来の薬用瓶の蓋の構成を示す分解斜視図である。 従来の薬用瓶の蓋の構成を示す断面図である。 従来の薬用瓶の使用方法の説明図である。 従来の薬用瓶の使用方法の説明図である。 従来の薬用瓶の使用方法の説明図である。
以下、図面を用いて本考案の実施例について説明する。
図1は、本考案の実施例1の構成を示した分解斜視図である。
図1において、従来例の構成を示した図5と同一符号のものは同一のものを示しているので、その説明は省略する。
本実施例1においては、内蓋2の構成のみが従来例と異なっている。
図1に示したように、本実施例1に係る内蓋2の頂面板22には、その下面側に中心側から外側に向って斜め下方に延在するような係止突片24が突設されている。
この係止突片24は、内蓋2の円周方向に沿って等間隔となるようにプレス加工によって複数個形成されている。
本実施例1を、ゴム製の栓体5が嵌着している薬用瓶4の瓶口に完全に固定した状態においては、内蓋2の係止突片24は、その下側に位置しているゴム製の栓体5の上面に、押圧された状態または突き刺さった状態で係合している。
このように蓋体が薬用瓶4の瓶口に固定されている状態から外蓋3を外して、図2(a)に示したように両頭針本体81を栓体5の上面に刺した場合、両頭針本体81によって栓体5の中心の上面には略下向きに力が加わり、栓体5の上面はその中心方向に移動しようとするが、この移動に対して係止突片24は栓体5の上面に食い込んでその移動を規制するので、両頭針本体81は、図2(b)に示したように斜めに刺されたときでも栓体5を脱落させることなく栓体5を貫通する。
なお、以上説明した本実施例1においては、係止突片24の形状は図1に示したように略長方形の形状となっているが、この形状は略長方形に限られるものではなく、例えば、図3に示すように三角形の形状の係止突片25としてもよい。
さらに、この係止突片は、図4に示すように、長方形の形状の2つの係止突片が対向するように構成された1組の係止突片26としてもよい。この場合、内蓋2の中心に近い側の係止突片が内蓋2の中心側から外側に向って斜め下方に延在するように配設されていれば、以上説明した本考案の効果を得ることができる。
1 蓋本体
2 内蓋
3 外蓋
4 薬用瓶
5 ゴム栓
11 周胴部
12 頂面板
13 透孔
14 引き裂き用の溝
15 引き起こし用の環状体
21 周胴部
22 頂面板
23 透孔
24,25,26 係止突片
39 係止爪
60 薬用瓶
70 点滴用チューブ
80 両頭針
X 薬剤
Y 薬液

Claims (2)

  1. アルミ等の軟質金属薄板によって逆有底円筒状に形成した蓋本体と、この蓋本体の頂面板内側に嵌合させることができ且つ蓋本体と相似形状に形成した内蓋と、前記蓋本体の頂面板を含む上半部に冠着させることのできる合成樹脂製の外蓋との組み合せによって構成され、ゴム製の栓体が嵌着している薬用瓶の瓶口部に装着する薬用瓶の蓋であって、前記蓋本体は、その頂面板に適宜大きさの透孔を穿設し、前記透孔はその外周に適宜の幅をもった溝を有し、その溝の両端部に蓋本体の周胴部に達するようにした切り裂き筋を刻設することによってこれに囲まれる内側を引き裂き用の環状体として形成し、また、前記蓋本体の内側に嵌合する前記内蓋は、前記蓋本体とこれより少許だけ小さい相似形状として形成して頂面板には透孔を穿設した薬用瓶の蓋において、
    前記内蓋の頂面板の下面側には、中心側から外側に向って斜め下方に延在するように突設された係止突片であって、前記ゴム製の栓体の上面と係合して当該ゴム製の栓体の上面の中心方向への移動を規制する係止突片が配設されていることを特徴とする薬用瓶の蓋。
  2. 前記係止突片は、前記内蓋の頂面板の下面側に、円周方向に沿って等間隔で複数個配設されていることを特徴とする請求項1に記載の薬用瓶の蓋。
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