JP3178902B2 - X線回折装置 - Google Patents

X線回折装置

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JP3178902B2 JP18782892A JP18782892A JP3178902B2 JP 3178902 B2 JP3178902 B2 JP 3178902B2 JP 18782892 A JP18782892 A JP 18782892A JP 18782892 A JP18782892 A JP 18782892A JP 3178902 B2 JP3178902 B2 JP 3178902B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射線画像蓄積板に試
料のX線回折像を蓄積させ、これを読み取ることによっ
て前記試料のX線回折情報を得るようにしたX線回折装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、放射線画像蓄積板に結晶性試
料のX線回折像を蓄積させ、これを読み取ることによっ
て前記試料のX線回折情報を得るようにしたX線回折装
置が種々開発されている。この種のX線回折装置では、
X線ゴニオメータで回転自在に保持した試料にX線源か
ら射出されたX線を照射し、このとき前記試料からの回
折X線を所定位置(X線回折像蓄積位置)に配置した放
射線画像蓄積板に蓄積し、しかるのち、この蓄積が終了
した放射線画像蓄積板を放射線画像読取装置における放
射線画像読取位置にセットして、蓄積されている画像を
読み取る。
【0003】ところで、この種のX線回折装置は、当初
は、前記放射線画像蓄積板を一つしか備えておらず、一
つの画像蓄積が終了した場合、その蓄積されている画像
を読み取って蓄積画像を消去するまでは、次の画像蓄積
作業が始められないという欠点があり、例えば、結晶の
形態が時々刻々変化するような試料について結晶の時間
分解解析を行うような場合には、その時間分解能を向上
させることに一定の限界が生じていた。
【0004】そこで、このような欠点を解消する装置と
して、従来、図2および図3に示すX線回折装置が提案
された。このX線回折装置は、特開平3−57947号
公報に開示されたもので、試料1に対するX線照射方向
を変化させるために試料1を回転自在に保持したX線ゴ
ニオメータ2と、前記試料1にX線を照射したときに該
試料から生ずるX線回折像を蓄積するための2枚の放射
線画像蓄積板31,32と、前記放射線画像蓄積板3
1,32に蓄積された放射線画像を読み取る放射線画像
読取装置4と、前述の2枚の放射線画像蓄積板31,3
2の内の一方をX線回折像蓄積位置に移動させ他方を前
記放射線画像読取装置4による放射線画像読取位置に移
動させるための移動機構5とを具備した構成である。な
お、図中の矢印Xは、入射X線を示している。
【0005】ここに、前記放射線画像蓄積板31,32
は、共に略円弧板状の呈している。図2および図3にお
いて、第1の放射線画像蓄積板31の存在している位置
がX線回折像蓄積位置であり、また、第2の放射線画像
蓄積板32の存在している位置が放射線画像読取位置で
ある。
【0006】第1の放射線画像蓄積板31は、前記移動
機構5の第1のねじ棒51に螺合した第1の移動台51
cに取り付けられていて、第1のねじ棒51の回転によ
ってX線回折像蓄積位置と放射線画像読取位置との間を
直線的に往復移動可能にされている。一方、第2の放射
線画像蓄積板32は、補助移動台32aに取り付けられ
ており、この補助移動台32aが第2のねじ棒52に螺
合した第2の移動台52cに取り付けられている。前記
第2のねじ棒52は、前述の第1のねじ棒51と平行に
配備されている。また、前記補助移動台32aは、第2
の移動台52c上に装備されたねじ棒52gに螺合して
おり、このねじ棒52gの回転によって、第2の移動台
52cの移動方向(第2のねじ棒52の軸線方向)とは
直交する方向に直線的に進退可能にされている。このよ
うな構成によって、第2の放射線画像蓄積板32は、前
記第2のねじ棒52の軸線方向(即ち、X線回折像蓄積
位置と放射線画像読取位置とが並ぶ方向)への往復移動
と、第2のねじ棒52の軸線に直交する方向の進退移動
とが可能にされており、これらの移動動作を組み合わせ
て移動操作することによって、第1の放射線画像蓄積板
31とぶつからずに位置を入れ替えることができる。
【0007】なお、前記放射線画像読取装置4は、詳細
はしないが、読取装置本体42に回転可能に装備された
回転プローブ41の先端から、励起光の照射や発光光の
検出を行うもの方式のものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図2および図3に示し
た従来のX線回折装置では、最初は、第1の放射線画像
蓄積板31をX線回折像蓄積位置に位置させるととも
に、第2の放射線画像蓄積板32を放射線画像読取位置
に位置させておく。そして、この状態で第1の放射線画
像蓄積板31にX線回折像を蓄積する。
【0009】そして、X線回折像の蓄積が終了したら、
第1および第2の放射線画像蓄積板31,32の位置を
互いに入れ替えて、今度は、第2の放射線画像蓄積板3
2にX線回折像を蓄積するとともに、第1の放射線画像
蓄積板31に蓄積されているX線回折像を放射線画像読
取装置4に読み取らせる。
【0010】そして、第2の放射線画像蓄積板32への
X線回折像の蓄積と第1の放射線画像蓄積板31からの
X線回折像の読み取りとが終了したら、また、それぞれ
の放射線画像蓄積板31,32の位置を入れ替えて、X
線回折像の蓄積と、X線回折像の読み取りとを繰り返
す。
【0011】以上の動作を次々と繰り返すことによっ
て、一つのX線回折像蓄積動作を終了した場合に、その
蓄積した画像の読み取りが終了するまで待たずに、直に
次のX線回折像の蓄積動作に移ることができ、したがっ
て、極めて能率的な測定が可能になり、例えば、結晶の
時間分解解析測定等における時間分解能の著しい向上も
期待できることとなる。
【0012】しかし、図2および図3に示したX線回折
装置の場合、2枚の放射線画像蓄積板31,32同士を
蓄積板の面に沿う方向に離間させて同一面上に並べた構
造であるため、各放射線画像蓄積板31,32を移動操
作する移動機構5としては、図示のように、放射線画像
蓄積板の3枚分あるいはそれ以上の長さに渡って放射線
画像蓄積板を往復動させる機構(ねじ棒51,52や案
内用のレール等)や、一方の放射線画像蓄積板を面と直
交する方向に往復動させる機構(ねじ棒52gや案内用
のレール等)が必要で、移動機構5が大型化するととも
に移動機構5の構成が繁雑化するという問題があった。
そして、なによりも、大きな設置スペースが必要になる
という問題もあった。
【0013】また、X線回折像の蓄積処理に要する時間
よりも読み取り処理に要する時間の方が長い場合には、
1回の蓄積処理毎に、それらの処理時間の差分が次の蓄
積処理に移行する際の待ち時間として必要となるという
点も、改善が要求されていた。
【0014】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、2枚の放射線画像蓄積板をX線回折像蓄積位置およ
び放射線画像読取位置に移動させる移動機構を単純でか
つコンパクトな構成とすることができ、X線回折装置と
しての設置スペースをコンパクトにすることができ、し
かも、X線回折像の蓄積処理に要する時間よりも読み取
り処理に要する時間の方が長い場合でも、それらの処理
時間の差分による待ち時間が必要なく連続して2枚の放
射線画像蓄積板へ蓄積処理を行うこともでき、測定処理
の能率向上の点でも優れたX線回折装置を提供すること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明に係るX線回折装置は、(1) 試料に対す
るX線照射方向を変化させるために試料を回転自在に保
持したX線ゴニオメータと、前記試料にX線を照射した
ときに該試料から生ずるX線回折像を蓄積するための放
射線画像蓄積板と、前記放射線画像蓄積板に蓄積された
放射線画像を読み取る放射線画像読取装置とを備えたX
線回折装置であって、前記放射線画像蓄積板は、X線回
折像の蓄積を行うX線回折像蓄積位置の端部側に位置し
た回転軸によって回転可能に支持されて該回転軸を中心
に回転移動することにより、該放射線画像蓄積板の位置
を前記X線回折像蓄積位置と前記放射線画像読取装置の
放射線画像読取位置とのいずれかに任意に設定できるよ
うに構成されたものであることを特徴とする構成とし
た。
【0016】また、この構成1の態様として、(2)
構成1のX線回折装置において、前記放射線画像蓄積板
は、X線回折像の蓄積を行うX線回折像蓄積位置の一端
側に位置した第1回転軸によって回転可能に支持された
第1の放射線画像蓄積板と、前記X線回折像蓄積位置の
他端側に位置した第2回転軸によって回転可能に支持さ
れた第2の放射線画像蓄積板とを備え、前記第1回転軸
と第2回転軸とは互いに平行をなし、前記第1および第
2の放射線画像蓄積板は、それぞれの回転軸を回転中心
として共通のX線回折像蓄積位置から所定角度回転した
位置が前記放射線画像読取装置による放射線画像読取位
置に設定されるものであることを特徴とする構成とし
た。
【0017】
【作用】上述の構成1によれば、放射線画像蓄積板を、
X線回折像の蓄積を行うX線回折像蓄積位置の端部側に
位置した回転軸によって回転可能に支持されて該回転軸
を中心に回転移動することにより、該放射線画像蓄積板
の位置が前記X線回折像蓄積位置と前記放射線画像読取
装置の放射線画像読取位置とのいずれかに任意に設定で
きるようにしたので、放射線画像蓄積板の位置を放射線
画像蓄積位置と画像読取位置とのいずれかに任意に設定
するための機構を従来に比較して単純化できる。
【0018】また、構成2によれば、2枚の放射線画像
蓄積板を用い、その2枚の放射線画像蓄積板は、X線回
折像蓄積位置から所定角度回転させることによって放射
線画像読取位置に移動させるもので、これらの放射線画
像蓄積板を移動操作する移動機構は、放射線画像蓄積板
を所定角度回転させるための回転軸をX線回折像蓄積位
置の両側にそれぞれ1本ずつ互いに平行な関係で装備す
るという単純でかつコンパクトな構成とすることがで
き、X線回折装置としての設置スペースを大幅に縮小す
ることが可能になる。
【0019】しかも、前記回転軸で所定角度回転する2
つの放射線画像蓄積板同士は、放射線画像読取位置で互
いに対面する構造となり、2枚の放射線画像蓄積板に対
して同時に読取処理を実行させることが可能になるた
め、X線回折像の蓄積処理に要する時間よりも読み取り
処理に要する時間の方が長い場合でも、それらの処理時
間の差分による待ち時間が必要なく連続して2枚の放射
線画像蓄積板へ蓄積処理を行うことが可能になり、測定
処理の能率を著しく改善することも可能になる。
【0020】
【実施例】図1および図4は、本発明に係るX線回折装
置の一実施例を示したものである。この一実施例のX線
回折装置は、試料1に対するX線照射方向を変化させる
ために試料1を回転自在に保持したX線ゴニオメータ2
と、前記試料1にX線を照射したときに該試料1から生
ずるX線回折像を蓄積するための2枚の放射線画像蓄積
板11,12と、これらの放射線画像蓄積板11,12
に蓄積された放射線画像を読み取る放射線画像読取装置
4と、2枚の放射線画像蓄積板11,12をX線回折像
蓄積位置および放射線画像読取位置に移動させる移動機
構20とを具備した構成である。なお、図中の矢印X
は、入射X線を示している。
【0021】ここに、前記試料1は、結晶性試料であ
り、例えば、結晶の形態が時々刻々変化するコバロキシ
ム錯体等も対象とされ得る。X線ゴニオメータ2は図2
に示した従来例のものと同一のもので、公知のものであ
る。
【0022】前記第1の放射線画像蓄積板11および第
2の放射線画像蓄積板12は、いずれも、円筒体の一部
をなす曲面状の基板の表面に放射線画像蓄積性物質を塗
布したもので、いわゆる略円弧板状を呈している。これ
らの放射線画像蓄積板11,12に塗布されている放射
線画像蓄積性物質は、X線等の放射線が照射されると、
その放射線照射による増を潜像として蓄積し、その潜像
に所定の励起用の光を照射すると、その潜像に対応した
発光を行う性質を有するものである。なお、この放射線
画像蓄積性物質自体は、公知のものである。
【0023】前記放射線画像読取装置4は、図2に示し
た従来例のものと同一のもので、励起光の光源や発光光
の検出装置等が内蔵された読取装置本体42と、該読取
装置本体42に装備された回転軸42aに取り付けられ
た回転プローブ41と、前記回転軸42aに取り付けら
れたバランスアーム41aとを備えたものである。前記
回転プローブ41の内部および回転軸42aの内部に
は、前記励起光を読取装置本体42内に装備された光源
からの回転プローブ41の先端部まで導くとともに、放
射線画像蓄積板上での発光光を読取装置本体42内に装
備された発光光検出装置まで導く導光手段が挿通されて
いる。このような構成により、放射線画像読取装置4
は、回転プローブ41の先端部から励起光の照射および
発光光の検出を行う。なお、読取装置本体42内に装備
された発光光検出手段は、コンピュータ等の画像処理装
置に接続されている。
【0024】この一実施例の場合は、前記回転軸42a
の中心軸線(イ)は、放射線画像読取位置にある各放射
線画像蓄積板11,12の曲面のなす円筒の中心軸と重
なる。即ち、前記回転プローブ41を回転させたとき、
該回転プローブ41の先端が描く円筒と放射線画像読取
位置に位置した放射線画像蓄積板11,12の曲面のな
す円筒とは同心であり、回転プローブ41の描く円の僅
かに外側に、前記放射線画像蓄積板11,12の表面が
位置しする。図1において実線で示した放射線画像蓄積
板11,12は、放射線画像読取位置にある状態を示し
ている。また、図1に2点鎖線で示した放射線画像蓄積
板11は、X線回折像蓄積位置に移動したときの状態を
示している。
【0025】前記移動機構20は、X線回折像の蓄積を
行うX線回折像蓄積位置(図1の二点鎖線による放射線
画像蓄積板11の位置)の一端側に位置して前記第1の
放射線画像蓄積板11を回転可能に支持した第1回転軸
21と、前記X線回折像蓄積位置の他端側に位置して第
2の放射線画像蓄積板12を回転可能に支持した第2回
転軸22とを備えたものである。
【0026】前記第1回転軸21と第2回転軸22とは
互いに平行な関係にあり、90゜の回転により放射線画
像蓄積板をX線回折像蓄積位置あるいは放射線画像読取
位置に移動させる。これらの回転軸21,22によって
放射線画像読取位置にある放射線画像蓄積板11,12
は、図1に示すように、互いに画像蓄積面を対面させた
状態になる。なお、第1回転軸21と第2回転軸22と
は、共通の基台23上に装備されている。また、図示は
しないが、これらの回転軸21,22は、それぞれ個別
に回転駆動源(モータ)を有しており、これらの回転駆
動源は図示略の制御装置によって制御される。この制御
装置は、前記回転軸21,22の回転を操作することに
よって放射線画像蓄積板11,12をX線回折像蓄積位
置あるいは放射線画像読取位置に移動させるが、同時
に、X線回折像の蓄積処理のタイミングや放射線画像読
取装置4による読取処理のタイミング等も放射線画像蓄
積板の移動操作に連動して制御する。
【0027】ただし、この一実施例の場合、前記制御装
置は、放射線画像の読取処理に要する時間に応じて、放
射線画像読取装置4による読取処理の実行時期を変更す
るようにしている。
【0028】X線回折像の蓄積処理に要する時間よりも
読み取り処理に要する時間の方が短い場合、前記制御装
置は、例えば、最初に第1の放射線画像蓄積板11をX
線回折像蓄積位置に位置させて、第1の放射線画像蓄積
板11に対してX線回折像の蓄積処理を実行させる。そ
の間、第2の放射線画像蓄積板12は放射線画像読取位
置に待機させておく。
【0029】そして、第1の放射線画像蓄積板11に対
する蓄積処理が終了したら、第1の放射線画像蓄積板1
1を90゜回転させて放射線画像読取位置に退避させ、
代りに第2の放射線画像蓄積板12を90゜回転させて
X線回折像蓄積位置に位置させ、第2の放射線画像蓄積
板12に対してX線回折像の蓄積処理を実行させるとと
もに、放射線画像読取位置に退避している第1の放射線
画像蓄積板11に対して放射線画像読取装置4による読
取処理を実行させる。
【0030】そして、第2の放射線画像蓄積板12に対
する蓄積処理が終了したら、第2の放射線画像蓄積板1
2を90゜回転させて放射線画像読取位置に退避させ、
代りに第1の放射線画像蓄積板11を90゜回転させて
X線回折像蓄積位置に位置させ、第1の放射線画像蓄積
板11に対してX線回折像の蓄積処理を実行させるとと
もに、放射線画像読取位置に退避している第2の放射線
画像蓄積板12に対して放射線画像読取装置4による読
取処理を実行させる。
【0031】以後、同様に、放射線画像蓄積板11,1
2を交互にX線回折像蓄積位置に移動させて、蓄積処理
および読取処理を繰り返させることによって、連続的な
X線回折像の蓄積処理を可能ならしめる。
【0032】一方、X線回折像の蓄積処理に要する時間
よりも読み取り処理に要する時間の方が長い場合には、
前記制御装置は、例えば、最初に第1の放射線画像蓄積
板11をX線回折像蓄積位置に位置させて、第1の放射
線画像蓄積板11に対してX線回折像の蓄積処理を実行
させる。その間、第2の放射線画像蓄積板12は放射線
画像読取位置に待機させておく。
【0033】そして、第1の放射線画像蓄積板11に対
する蓄積処理が終了したら、第1の放射線画像蓄積板1
1を90゜回転させて放射線画像読取位置に退避させ、
代りに第2の放射線画像蓄積板12を90゜回転させて
X線回折像蓄積位置に位置させ、第2の放射線画像蓄積
板12に対してX線回折像の蓄積処理を実行させる。こ
の第2の放射線画像蓄積板12に対する蓄積処理の期
間、放射線画像蓄積板11は放射線画像読取位置に待機
させたままである。
【0034】そして、第2の放射線画像蓄積板12に対
する蓄積処理が終了したら、第2の放射線画像蓄積板1
2を90゜回転させて放射線画像読取位置に退避させ、
第1および第2の放射線画像蓄積板11,12の双方が
放射線画像読取位置に位置した状態にする。そして、放
射線画像読取装置4によって、互いに対面している放射
線画像蓄積板11,12の双方に対して同時に読取処理
を実行させる。
【0035】そして、放射線画像蓄積板11,12に対
する読取処理が終了したら、第1の放射線画像蓄積板1
1をX線回折像蓄積位置に復帰させ、第1の放射線画像
蓄積板11に対する蓄積処理を実行させる。
【0036】以後、放射線画像蓄積板11,12の双方
にたいして連続して蓄積処理を実行したら、その後に、
放射線画像蓄積板11,12の双方が放射線画像読取位
置で対面する状態にして、放射線画像蓄積板11,12
の双方に対して同時に読取処理を実行させるという手順
を繰り返す。
【0037】これによって、X線回折像の蓄積処理に要
する時間よりも読み取り処理に要する時間の方が長い場
合でも、それらの処理時間の差分による待ち時間が必要
なく連続して2枚の放射線画像蓄積板11,12へ蓄積
処理を行うことが可能になり、また、移動機構20によ
る回転動作回数の低減も相乗されて、蓄積処理に要する
時間と読取処理に要する時間の差分による待ち時間が、
実質的には1/2以下に低減されることになり、測定処
理の能率を大きく改善することが可能になる。また、以
上の一実施例のX線回折装置は、2枚の放射線画像蓄積
板11,12は、X線回折像蓄積位置から90゜回転さ
せることによって放射線画像読取位置に移動させるもの
で、これらの放射線画像蓄積板11,12を移動操作す
る移動機構20は、図示のように、X線回折像蓄積位置
の両側に一対の回転軸21,22を装備するという単純
でかつコンパクトな構成とすることができ、X線回折装
置としての設置スペースを大幅に縮小することが可能に
なる。
【0038】しかも、前述したように、2つの放射線画
像蓄積板11,12は、放射線画像読取位置で互いに対
面する構造となり、2枚の放射線画像蓄積板11,12
に対して同時に読取処理を実行させることが可能になる
ため、X線回折像の蓄積処理に要する時間よりも読み取
り処理に要する時間の方が長い場合でも、それらの処理
時間の差分による待ち時間が必要なく連続して2枚の放
射線画像蓄積板へ蓄積処理を行うことが可能になり、測
定処理の能率を著しく改善することが可能になる。
【0039】なお、前述の一実施例では、放射線画像蓄
積板11,12は、いずれも放射線画像蓄積板の曲面を
形成する円筒の中心軸が水平方向に延在して回転軸2
1,22と直交する状態のもの(いわゆる、横型、横読
取式)を示したが、図5に示すように、放射線画像蓄積
板の曲面を形成する円筒の中心軸が垂直方向に延在して
回転軸21,22と平行する状態のもの(いわゆる、縦
型、縦読取式)にしてもよい。
【0040】また、前述の一実施例では、図示していな
いが、放射線画像読取位置にある放射線画像蓄積板と放
射線画像読取装置4の回転プローブ41とは、回転軸4
2aの中心軸線方向に相対移動可能に構成される。これ
は、放射線画像蓄積板の画像蓄積面の全域を読取走査た
めのもので、放射線画像蓄積板側あるいは放射線画像読
取装置4側のどちらか一方を前記回転軸42aに軸線方
向に進退可能な構成としておくことで達成される。
【0041】さらに、上記一実施例では、放射線画像蓄
積板を2枚用いた例を示したが、これは、場合によって
は1枚であっても良く、その場合でも放射線画像蓄積板
の位置を放射線画像蓄積位置と画像読取位置とのいずれ
かに任意に設定するための機構を従来に比較して単純化
できる。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本願の
第1の発明に係るX線回折装置は、放射線画像蓄積板
を、X線回折像の蓄積を行うX線回折像蓄積位置の端部
側に位置した回転軸によって回転可能に支持されて該回
転軸を中心に回転移動することにより、該放射線画像蓄
積板の位置が前記X線回折像蓄積位置と前記放射線画像
読取装置の放射線画像読取位置とのいずれかに任意に設
定できるようにしたので、放射線画像蓄積板の位置を放
射線画像蓄積位置と画像読取位置とのいずれかに任意に
設定するための機構を従来に比較して単純化できるとい
う効果を得ている。また、本願の第2の発明では、2枚
の放射線画像蓄積板を用い、その2枚の放射線画像蓄積
板は、X線回折像蓄積位置から所定角度回転させること
によって放射線画像読取位置に移動させるもので、これ
らの放射線画像蓄積板を移動操作する移動機構は、放射
線画像蓄積板を所定角度回転させるための回転軸をX線
回折像蓄積位置の両側にそれぞれ1本ずつ互いに平行な
関係で装備するという単純でかつコンパクトな構成とす
ることができ、X線回折装置としての設置スペースを大
幅に縮小することが可能になる。
【0043】しかも、前記回転軸で所定角度回転する2
つの放射線画像蓄積板同士は、放射線画像読取位置で互
いに対面する構造となり、2枚の放射線画像蓄積板に対
して同時に読取処理を実行させることが可能になるた
め、X線回折像の蓄積処理に要する時間よりも読み取り
処理に要する時間の方が長い場合でも、それらの処理時
間の差分による待ち時間が必要なく連続して2枚の放射
線画像蓄積板へ蓄積処理を行うことが可能になり、測定
処理の能率を著しく改善することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の斜視図である。
【図2】従来のX線回折装置の斜視図である。
【図3】従来のX線回折装置の平面図である。
【図4】本発明の一実施例の平面図である。
【図5】本発明の他の実施例の要部の説明図である。
【符号の説明】
1 試料 2 X線ゴニオメータ 4 放射線画像読取装置 11,12 放射線画像蓄積板 20 移動機構 21,22 回転軸 41 回転プローブ 42a 回転軸

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料に対するX線照射方向を変化させる
    ために試料を回転自在に保持したX線ゴニオメータと、
    前記試料にX線を照射したときに該試料から生ずるX線
    回折像を蓄積するための放射線画像蓄積板と、前記放射
    線画像蓄積板に蓄積された放射線画像を読み取る放射線
    画像読取装置とを備えたX線回折装置であって、 前記放射線画像蓄積板は、X線回折像の蓄積を行うX線
    回折像蓄積位置の端部側に位置した回転軸によって回転
    可能に支持されて該回転軸を中心に回転移動することに
    より、該放射線画像蓄積板の位置を前記X線回折像蓄積
    位置と前記放射線画像読取装置の放射線画像読取位置と
    のいずれかに任意に設定できるように構成されたもので
    あることを特徴とするX線回折装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のX線回折装置におい
    て、 前記放射線画像蓄積板は、X線回折像の蓄積を行うX線
    回折像蓄積位置の一端側に位置した第1回転軸によって
    回転可能に支持された第1の放射線画像蓄積板と、前記
    X線回折像蓄積位置の他端側に位置した第2回転軸によ
    って回転可能に支持された第2の放射線画像蓄積板とを
    備え、 前記第1回転軸と第2回転軸とは互いに平行をなし、 前記第1および第2の放射線画像蓄積板は、それぞれの
    回転軸を回転中心として共通のX線回折像蓄積位置から
    所定角度回転した位置が前記放射線画像読取装置による
    放射線画像読取位置に設定されるものであることを特徴
    とするX線回折装置。
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