JP3176792B2 - セールクロス用ポリエステル織物およびその製造方法 - Google Patents

セールクロス用ポリエステル織物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度、高弾性率で、か
つ伸度が低く、緻密な織構造を有するセールクロス用ポ
リエステル織物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特公昭59−211683号公報、特公
平3−64632号公報等に記載されているように、ポ
リエステル繊維を用いたセールクロス用織物は、強度及
び弾性率に優れているため、近年、広く用いられるよう
になってきている。
【0003】ところで、セールクロスは、高強度、高弾
性率かつ低伸度であることに加えて、織密度が高く、し
かも糸のズレを防止するために織によるクリンプが充分
に発現した緻密な織構造を有していることが要求され
る。
【0004】この点、ポリエチレンテレフタレート繊維
は、高強度、高弾性率で、伸度も比較的小さくできる
が、緻密な織構造を形成させるためには、織物状態で収
縮処理することが必要であり、この収縮処理を行うと、
織物の伸度が大きくなってしまうという欠点がある。
【0005】一方、本質的に超高強度、かつ低伸度であ
るパラ配向アラミド繊維を使用したセールクロス用織物
も提案されている(米国特許第4,679,519号明
細書)が、パラ配向アラミド繊維は熱的に極めて安定で
あるため、収縮処理を施しても織物が収縮せず、クリン
プが充分に発現した緻密な織構造にならないという問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の問題点を解消し、高強度、高弾性率かつ低
伸度であって、しかも緻密な織構造を有するセールクロ
ス用ポリエステル織物およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、熱収縮応力
を高めたポリエチレンナフタレート繊維を用いることを
着想し、高強度、高弾性率かつ低伸度であり、高密度で
緻密な織構造を有するセールクロス用ポリエステル織物
およびその製造方法の発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、(1)経糸群および/ま
たは緯糸群の少なくとも50重量%がポリエチレンナフ
タレート繊維であり、目付が130〜540g/m2
カバーファクターCFが1,800以上のポリエステル
織物であって、経糸の少なくとも50重量%がポリエチ
レンナフタレート繊維である場合は、前記織物の経方向
に幅5インチ当り100ポンドの荷重を掛けた時の織物
の伸度と目付の積が1,000%・g/m2 以下、また
緯糸の少なくとも50重量%がポリエチレンナフタレー
ト繊維である場合は、前記織物の緯方向に幅5インチ当
り100ポンドの荷重を掛けた時の織物の伸度と目付の
積が800%・g/m2 以下であることを特徴とするセ
ールクロス用ポリエステル織物、および(2)強度5g
/d以上、150℃における熱収縮応力が0.15g/
d以上であるポリエチレンナフタレート繊維を経糸およ
び/または緯糸の少なくとも50重量%に用いて製織
し、収縮係数Kを0.7〜0.93の範囲内に制御して
収縮させることを特徴とする上記(1)記載のセールク
ロス用ポリエステル織物の製造方法であり、該収縮処理
は、150℃以上の温度で行うのが好ましい。
【0009】本発明で用いるポリエチレンナフタレート
繊維は、ポリマーの繰返し単位の85モル%以上がエチ
レン―2,6―ナフタレート単位からなるものであれば
よく、15モル%未満の割合で適当な第3成分を含む共
重合体であってもよいが、本発明の効果を十分発揮する
ためには、共重合成分は10モル%未満が好ましい。
【0010】適当な第3成分としては、下記(a)〜
(c)が例示される。
【0011】(a)2個のエステル形成官能基を有する
化合物、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸;シク
ロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、
ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン―2,7―ジカル
ボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボ
ン酸;ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルス
ルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウ
ムなどのカルボン酸;グリコール酸、p―オキシ安息香
酸、p―オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン
酸;プロピレングリコール、トリメチレングリコール、
ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘ
キサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、
p―キシリレングリコール、1,4―シクロヘキサンジ
メタノール、ビスフェノールA、p,p′―ジフェノキ
シスルホン―1,4―ビス(β―ヒドロキシエトキシ)
ベンゼン、2,2―ビス(p―β―ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパン、ポリアルキレングリコール、p―
フェニレンビス(ジメチルシクロヘキサン)などのオキ
シ化合物、あるいはその機能的誘導体;前記カルボン酸
類、オキシカルボン酸類、オキシ化合物類またはその機
能的誘導体から誘導される高重合度化合物など。
【0012】(b)1個のエステル形成官能基を有する
化合物、例えば、安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベン
ジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコー
ルなど。
【0013】(c)3個以上のエステル形成官能基を有
する化合物、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトー
ル、トリメチロールプロパンなども、重合体が実質的に
線状である範囲内で使用可能である。
【0014】該繊維中には、安定剤、艶消剤などの公知
の添加剤が含まれていてもよい。
【0015】本発明に使用するポリエチレンナフタレー
ト繊維の強度は、5g/d以上であることが必要であ
り、好ましくは、7g/d以上であることが望ましい。
強度が5g/d未満では、セールクロスの強力が低下
し、剪断や引き裂きに対しても破断し易くなるため不適
当である。高強度のポリエチレンナフタレート繊維を得
るためには、ポリマーの重合度が高い方がよく極限粘度
として、0.5以上が好ましい。
【0016】更に、本発明の顕著な特徴は、熱収縮応力
の高いポリエチレンナフタレート繊維を用いることにあ
る。
【0017】熱収縮応力の値は、150℃における値が
0.15g/d以上であることが必要であり、好ましく
は0.2g/d以上である。
【0018】ポリエチレンナフタレート繊維は、本来、
高強度、高弾性率でかつ低伸度であるが、低収縮性であ
り、従来公知の方法で製造した場合には、熱収縮応力は
かなり低くなる。例えば、特公昭48−1967号公報
に開示された方法でポリエチレンナフタレート繊維を製
造すると、150℃に於ける熱収縮応力の値は0.05
g/d程度あるいはそれ以下になってしまう。
【0019】そこで本発明においては、ポリエチレンナ
フタレート繊維が有する高強度、高弾性、低伸度などの
特性を維持したまま熱収縮応力のみを高め、低伸度でか
つ緻密な織構造を有するセールクロス用織物を得ること
を着想した。
【0020】本発明で用いる強度5g/d以上、150
℃における熱収縮応力0.15g/d以上のポリエチレ
ンナフタレート繊維は、例えば、極限粘度が0.5以上
のポリエチレンナフタレートを溶融紡糸し、120〜1
65℃に予熱した後、5倍以上に延伸して、165℃以
下の低温で熱セットすることにより得ることができる。
熱セット後、更に、120℃以下の温度で1.0〜1.
05倍に延伸すると、強度、熱収縮応力が一段と向上す
る。
【0021】本発明のセールクロス用ポリエステル織物
では、経糸群および/または緯糸群の少なくとも50重
量%に上記のポリエチレンナフタレート繊維を用いるこ
とが必要である。ポリエチレンナフタレート繊維が50
重量%未満では、高弾性、低伸度の織物が得られない。
ポリエチレンナフタレート繊維の割合は多いほど好まし
く、特にポリエチレンナフタレート繊維を100%用い
ることが望ましい。
【0022】ポリエチレンナフタレート繊維と並用され
る他の繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維
が好ましいが、全芳香族ポリエステル繊維、全芳香族ポ
リエステル・ポリエーテル繊維、パラ配向アラミド繊維
なども用いることができる。
【0023】ポリエチレンナフタレート繊維を他の繊維
と併用する場合は、通常、ポリエチレンナフタレート繊
維からなる経糸および/または緯糸と、他の繊維からな
る経糸および/または緯糸とを混織するが、ポリエチレ
ンナフタレート繊維と他の繊維との混繊糸、引揃糸等を
用いてもよい。
【0024】ポリエチレンナフタレート繊維と他の繊維
を混織するに際しては、ポリエチレンナフタレート繊維
と他の繊維を交互に配し、同種の糸同志ができるだけ隣
り合わない様、経糸および/または緯糸を配列すること
が必要である。
【0025】ポリエチレンナフタレート繊維は、経糸、
緯糸のどちらに用いてもよく、また、両方に用いること
ができるが、とりわけ、経糸に用いると、経方向の伸度
が低いセールクロス用織物が得られるので好ましい。
【0026】本発明のセールクロス用ポリエステル織物
の目付は、130〜540g/m2の範囲にあることが
必要である。目付が130g/m2 未満では、織物の強
度が全体的に弱くなり、織目が変形し易く、またカバー
ファクターを大きくとることが技術的に難しくなる。逆
に、目付が540g/m2 を越えると、セールクロスが
重くなり、取扱性が損われることになる。
【0027】更に、本発明のセールクロス用ポリエステ
ル織物のカバーファクターCFは1,800以上である
ことが必要であり、好ましくは2,000〜3,200
である。カバーファクターCFは次式で定義される。
【0028】
【数1】
【0029】経糸はヤーンデニールの同じものを使用す
るのが好ましいが、異なるヤーンデニールの糸を混ぜて
使用する場合は、その平均デニールを経糸ヤーンデニー
ルとする。緯糸についても同様である。カバーファクタ
ーCFが1,800未満では、織物の透け感が大きくな
り、強固なセールクロス構造体が得られない。織目付を
一定とした場合、ヤーンデニールが小さい程、カバーフ
ァクターは大きくなるが、原糸コストが高くなりかつ製
織が著しく難しくなるので、通常、75〜500dのヤ
ーンが用いられる。
【0030】更に、経糸群の少なくとも50重量%がポ
リエチレンナフタレート繊維である場合は、織物の経方
向に幅5インチ当り100ポンドの荷重をかけた場合の
伸度(以下100lb荷重伸度と呼ぶ)(%)と織物の
目付(g/m2 )の積(%・g/m2 )を1,000%
・g/m2 以下、緯糸群の少なくとも50重量%がポリ
エチレンナフタレート繊維である場合は、織物の緯方向
に幅5インチ当り100ポンドの荷重をかけた場合の伸
度(以下100lb荷重伸度と呼ぶ)(%)と織物の目
付(g/m2 )の積(%・g/m2 )を800%・g/
2 以下にすることが必要である。
【0031】この値が、それぞれ1,000%・g/m
2 、800%・g/m2 を越えると、必然的に弾性率が
低下し、セールクロスが風を受けた場合の推進力が低減
することになる。この値は、特に500%・g/m2
下であることが好ましい。
【0032】経方向に高弾性率化するか、緯方向に高弾
性率化するかは、セールクロスの設計思想により任意に
選択することができる。勿論、両方向に高弾性化するの
が好ましいことはいうまでもない。
【0033】かかる本発明のセールクロス用ポリエステ
ル織物を製造するには、前述した強度5g/d以上、1
50℃における熱収縮応力0.15g/d以上のポリエ
チレンナフタレート繊維を経糸群および/または緯糸群
の少なくとも50重量%に用いて製織し、得られた生機
を下記の式で表わされる収縮係数Kが0.7〜0.93
となるように制御しながら収縮させればよい。
【0034】
【数2】
【0035】収縮係数Kが0.93を越えると収縮によ
る織構造の緻密化が不十分で、糸のズレが起こり易く、
セールクロスとしての耐久性が低下する。また、透け感
も大きくなってセールクロスとしては不満足なものにな
ってしまう。
【0036】一方、収縮係数Kを0.7未満にすること
は、本発明の如き高密度の織物では基本的に困難であ
り、また収縮が大き過ぎて均一な織物に仕上がらない。
特に好ましい収縮係数Kの値は、0.8〜0.9であ
り、この範囲であれば、仕上加工が特に円滑に行なえ
る。
【0037】本発明で用いるポリエチレンナフタレート
繊維の熱収縮応力は、140〜170℃の範囲にピーク
値を有するので、製織された織物を150℃以上の温度
で張力をかけつつ若干収縮させると、極めて緻密な織物
に仕上げられる。好ましいセールクロス用織物の製法と
しては、製織された生機織物を精練して、100℃以上
で樹脂加工した後、150℃以上の温度で熱収縮処理す
るのが極めて有効である。この場合の織物の幅の収縮
は、7〜12%に制御するのが適当であり、0.8〜
0.9の収縮係数Kに相当する。
【0038】
【作用】セールクロスは、高度な寸法安定性を有してい
ることが必要であり、そのためには、原理的には、使用
する繊維が低伸度で低収縮性であることが好ましい。
【0039】従って、例えば、パラ配向アラミド繊維の
ような高弾性率、低伸度の繊維が好適であると考えられ
るが、低伸度の繊維は、製織が極めて困難であるという
問題がある。また、繊維に収縮能がないため、高密度で
緻密な織構造に仕上げることができない。
【0040】ポリエチレンテレフタレート繊維は、従来
よりセールクロスに使用されてきた汎用素材であり、適
度の収縮能があるため、製織後の熱処理により緻密な織
構造とすることができるが、この収縮により分子が繊維
軸方向に緩和して、弾性率が低下し、伸度が高くなっ
て、高弾性率、低伸度のセールクロスを得ることが困難
である。
【0041】これに対して、本発明では、高い収縮能を
付与したポリエチレンナフタレート繊維を使用している
ため、製織後の生機を収縮熱処理することによって、高
密度で緻密な織構造を得ることができ、しかも収縮熱処
理によって弾性率、伸度が低下せず、高弾性率、低伸度
のセールクロス用織物を得ることが可能となる。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではな
い。
【0043】なお、本発明における繊維または織物の物
性値は、以下の方法により測定した。
【0044】(1)強度、伸度 繊維の強度、伸度は、JIS−L−1017に準じて測
定した。サンプル長は20cm、伸長速度は100%/
分とした。
【0045】(2)初期弾性率 繊維の初期弾性率はJIS−L−1017の初期引張抵
抗度に準拠して測定した。
【0046】(3)極限粘度 チップをフェノールと2,4,6―トリクロロフェノー
ルとの混合溶媒(重量比6:4)に溶解し、35℃での
流下時間から求めた。
【0047】(4)熱収縮応力 熱収縮応力は、カネボーエンジニアリング(株)社の熱
応力試験器(タイプKE−II)を使用し、繊維サンプル
にあらかじめ10mg/dの荷重をかけて、室温から3
00℃まで2.4℃/秒の速度で昇温した際に発生する
応力を、各温度で読み取った。
【0048】(5)100lb荷重伸度 測定しようとする織物から5インチ以上で、かつ織物の
繰り返し単位の整数倍に相当する幅および20インチの
長さを有する矩形サンプルを切り出す。経または緯のい
ずれか測定しようとする方向を長さ方向とし、つかみ間
隔16インチ、引張り速度20mm/分で該サンプルを
伸長し、5インチあたり100lbに相当する荷重に対
応する伸度を読み取った。
【0049】[実施例1]極限粘度0.63のポリエチ
レン―2,6―ナフタレートチップを、孔数48ホー
ル、孔径0.40mmの円形紡糸孔を有する紡糸口金か
ら紡糸温度300℃にて吐出し、紡糸速度150m/
分、口金直下に設置した加熱紡糸筒の温度を390℃と
して溶融紡糸した。
【0050】該未延伸糸を表面温度145℃の加熱ロー
ラに8回捲回して加熱した後、145℃の第1延伸ロー
ラに捲回し、6.55倍に延伸した。次いで、第1延伸
ローラと120℃の第2延伸ローラの間で1.05倍に
延伸し、150d/48filおよび250d/48f
ilのポリエチレンナフタレート(以下、PENと略称
する)繊維A、Bを得た。
【0051】一方、比較のため、特公昭55−1371
号の実施例1、実験No.5に準じ、175℃の第1延
伸ローラにて6.03倍に延伸し、更に200℃に昇温
した第2延伸ローラにて、1.14倍に延伸し、全延伸
倍率6.87倍に延伸して、150d/48filおよ
び250d/48filのPEN繊維C、Dを得た。
【0052】更に、従来から使用されているポリエチレ
ンテレフタレート(以下、PETと略称する)繊維につ
いても、150d/filおよび250d/filの2
種類の繊維E、Fを作成した。
【0053】各繊維の製造条件及び物性を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】また、A、C、およびEの熱収縮応力のグ
ラフを図1に示す。
【0056】次いで、このようにして得た各繊維を用い
て製織を行った。PET繊維およびPEN繊維とも、表
2に示すように、150d/48fを経糸に使用し、2
50d/48fを緯糸に使用した。
【0057】織設計としては、経糸は116本/イン
チ、緯糸は60本/インチに設定し、ウォータージェッ
トルームにて製織した。
【0058】製織された生機を精練して、樹脂加工した
後、190℃にて収縮熱処理した。収縮熱処理は、織物
の幅が約10%程度の収縮に制限されるような張力下で
実施した。
【0059】セットされた織物をカレンダー加工処理を
行い、若干の幅修正を行って、セールクロス用織物に仕
上げた。
【0060】得られた各セールクロス用織物の諸物性
は、表2に示す通りであった。
【0061】
【表2】
【0062】熱収縮応力の大きいPEN繊維A、Bを用
いた織物(実験No.1)は、高強度、高弾性率で、荷
重に対する伸度が小さく、織構造が緻密で優れたセール
クロス用織物に仕上げることができた。
【0063】PEN繊維でも、熱収縮応力の小さい繊維
C、Dを用いた場合(実験No.2)は、製織を行な
い、適当な幅入れ処理や熱処理を行っても、収縮係数K
が十分でなく、織構造がルーズな構造となった。この織
物は実験No.1と同様、高強度、高弾率で、荷重に対
する伸度も小さかったが、セールクロスとして使用する
と糸のズレによる変形が起こり易く、長期間の使用に耐
えることができなかった。
【0064】従来から用いられているPET繊維E、F
を用いて作成した織物(実験No.3)は、目付、収縮
係数およびカバーファクターは満足できる値を示した
が、荷重に対する伸度が大きく、従って、100lb荷
重伸度×目付の値が1,000%・g/m2 を越え、織
物の弾性率が低下し、セールクロスに使用した場合、走
行性が低下した。
【0065】[実施例2]実施例1で使用したPEN繊
維AおよびPET繊維Eを適宜組合わせて、PEN繊維
とPET繊維が混合した経糸を整経し、緯糸にPET繊
維Fを用いて、ウォータージェットルームにてセールク
ロス用織物を製織した。製織及び加工条件は、実施例1
の実験No.1と同じであった。その結果を表3に示
す。
【0066】
【表3】
【0067】経糸としてPEN繊維を50重量%以上使
用した場合(実験No.4)は、高強度、高弾性率で、
経方向の荷重に対する伸度は小さく、高密度、緻密な織
構造を有する優れたセールクロス用織物が得られた。な
お、この場合、PEN繊維とPET繊維の配列は、両者
を1本ずつ交互に各4本並べた後、PET繊維の隣りに
PEN繊維を2本並べることを繰り返して整経した。
【0068】これに対して、PEN繊維の量が50重量
%未満の場合(実験No.5)は、経方向の荷重に対す
る伸度が増し、100lb荷重伸度×目付の値が1,0
00%・g/m2 を越え、弾性率が低下して、PET繊
維100%の場合(実施例1の実験No.3)と同程度
になってしまった。なお、この場合、PEN繊維とPE
T繊維の配列は、両者を1本ずつ交互に各4本並べた
後、PEN繊維の隣りにPET繊維を2本並べることを
繰り返して整経した。
【0069】[実施例3]実施例1で使用したPEN繊
維BとPET繊維Fを緯糸に適宜混合し、経糸にPET
繊維Eを用いて、セールクロス用織物を作成した。製織
および加工条件は、実施例1の実験No.1と同様にし
た。その結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】緯糸としてPEN繊維を50重量%以上使
用した場合(実験No.6)は、高強度、高弾性率で、
緯方向の荷重に対する伸度が小さく、高密度、緻密な織
構造を有する優れたセールクロス用織物が得られた。な
お、この場合、緯糸におけるPEN繊維とPET繊維の
配列は、両者を1本ずつ交互に各4本並べて打ち込んだ
後、PET繊維の隣りにPEN繊維を2本並べて打ち込
むことを繰り返した。
【0072】これに対して、PEN繊維の量が50重量
%未満の場合(実験No.7)は、緯方向の荷重に対す
る伸度が増し、100lb荷重伸度×目付の値が800
%・g/m2 を越え、弾性率が低下して、セールクロス
に不適当な織物となった。なお、この場合、緯糸におけ
るPEN繊維とPET繊維の配列は、両者を1本ずつ交
互に各4本並べて打ち込んだ後、PEN繊維の隣りにP
ET繊維を2本並べて打ち込むことを繰り返した。
【0073】[実施例4]実施例1の実験No.1にお
いて、織密度を変更して、目付およびカバーファクター
の異なる織物を製織し、実施例1の実験No.1と同様
の加工および仕上げを行った。その結果を表5に示す。
【0074】
【表5】
【0075】目付が130g/m2 以上、カバーファク
ターが、1,800以上の場合(実験No.8)は、織
物組織が強靭となり、セールクロスに適した製品に仕上
げることが可能となった。
【0076】これに対して、織密度が粗く、目付が13
0g/m2 未満、カバーファクターも1,800未満の
場合(実験No.9)は、織物の透け感が大きくて、織
物組織がくずれ易く、セールクロスとしては全く使用不
可能であった。
【0077】また、カバーファクターは1800以上で
あるが、目付が130g/m2 未満の場合(実験No.
10)は、織物の強度が全体的に弱くなり、織目が変形
し易く、セールクロスとして長期間の使用に耐えること
ができなかった。
【0078】[実施例5]実施例1の実験No.1にお
いて、生機織物の収縮熱処理に際し、織物の幅の収縮を
変更制御することにより、収縮係数Kを表6に示すよう
に変更した。
【0079】
【表6】
【0080】収縮係数Kが0.7〜0.93の範囲内に
ある場合(実験No.12、13)は、高密度で緻密な
織構造が得られ、耐久性に優れたセールクロス用織物が
得られた。
【0081】これに対して、収縮係数Kが0.93を越
えると(実験No.14)、織構造の緻密化が不十分で
糸のズレが起こり易く、耐久性が劣ったものとなった。
【0082】また、収縮係数Kを0.7未満にすると
(実験No.11)、収縮が大きすぎて、均一な織物が
得られなかった。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、高強度、高弾性率であ
り、しかも低伸度で、高密度の織目構造を有する、耐久
性に優れたセールクロス用ポリエステル織物を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維の熱収縮応力と温度との関係を示すグラ
フ。
【符号の説明】
A 本発明のポリエチレンナフタレート繊維 C 従来のポリエチレンナフタレート繊維 E ポリエチレンテレフタレート繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 茂 大阪府大阪市中央区南本町1丁目6番7 号 帝人株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−59163(JP,A) 特開 平3−294542(JP,A) 特開 平4−18162(JP,A) 特開 平2−210039(JP,A) 特開 平4−153312(JP,A) 特開 昭49−61460(JP,A) 特開 平1−68538(JP,A) 特開 平5−321132(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 27/18 D01F 6/00 - 6/96 D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経糸群および/または緯糸群の少なくと
    も50重量%がポリエチレンナフタレート繊維であり、
    目付が130〜540g/m2 、カバーファクターCF
    が1,800以上のポリエステル織物であって、経糸の
    少なくとも50重量%がポリエチレンナフタレート繊維
    である場合は、前記織物の経方向に幅5インチ当り10
    0ポンドの荷重を掛けた時の織物の伸度と目付の積が
    1,000%・g/m2 以下、また緯糸の少なくとも5
    0重量%がポリエチレンナフタレート繊維である場合
    は、前記織物の緯方向に幅5インチ当り100ポンドの
    荷重を掛けた時の織物の伸度と目付の積が800%・g
    /m2 以下であることを特徴とするセールクロス用ポリ
    エステル織物。
  2. 【請求項2】 強度が5g/d以上、150℃における
    熱収縮応力が0.15g/d以上であるポリエチレンナ
    フタレート繊維を、経糸群および/または緯糸群の少な
    くとも50重量%に用いて製織し、収縮係数Kを0.7
    〜0.93の範囲内に制御して収縮させることを特徴と
    する請求項1記載のセールクロス用ポリエステル織物の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 150℃以上の温度で収縮させる請求項
    2記載のセールクロス用ポリエステル織物の製造方法。
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