JP3176624U7 - - Google Patents

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JP3176624U7
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本考案は、人の口腔内の上顎部に装着する上顎用入れ歯の改良に関するものである。
口腔内の上顎部に生えていた自然歯の全てが、あるいはその1〜2本を残して大半が抜けてしまったような場合、人工歯を馬蹄形状に並設した総入れ歯又は残った歯を生かす嵌め孔付きの総入れ歯に準ずるような入れ歯を上顎部に接合保持して使用している。
その代表例を図4に示す。この上顎用入れ歯1は、人工歯2が馬蹄形状に並設され、上顎部の歯茎(図示せず。)に嵌装される凹部を備えた歯茎嵌装部3と、上顎部の口蓋(口腔内のアーチ型をなす上壁)に面接合させる口蓋接合部4とが一体に連成されてなっている。なお、上顎部に残り歯が存在する場合には、歯茎嵌装部3の残り歯対応箇所にこれを活かす嵌合孔5が形成されていることもある。
ところで、上顎部に自然歯が十分に生え揃っていて、入れ歯の必要のない口腔内の口蓋には、上顎部の中央から斜めにでこぼこしたシワのようなもの(医学用語では「口蓋皺襞(こうがいすうへき」という。)があり、人の日常生活において、口腔内の舌体表面(特に舌先)は、常にこの「口蓋皺襞」に何の違和感もなく無意識のうちに接触している。
ところが、図4に示すように、上顎部に自然歯がなくなり、上顎用入れ歯1を嵌めることを余儀なくされると、本来舌先が接触すべき「口蓋皺襞」は口蓋接合部4によって完全に隠されてしまう。そして、口蓋接合部4における舌体との接触面6には今まで何ら加工への配慮が払われておらず、その全面は鏡面のままであるため、舌体表面は常時つるつるした接触面6に触れることになる。すると、舌体表面や舌先には、前記「口蓋皺襞」で覚えていた無意識の接触感とはかけ離れた違和感が生じ、これが不快感となって異物拒絶反応を惹き起こし、吐き気等を催す結果になっている。そのため、食物が喉を通らず、咀嚼もままならないといった本来楽しくあるべき摂食をも阻害する状況に陥ることがあるのも現状である。
そこで、前記舌体の違和感をなるべく減らすべく、口蓋接合部4の中程に床穴7を形成し、舌体の一部がこの床穴7を通して直に口蓋に接触するようにした技術が実開平5−70518号として提案されている(特許文献1)。
実開平5−70518号
しかし、舌体が感じ取る異物感や違和感は、多くは舌先に集中しているにも拘わらず、特許文献1の技術では、床穴7が口蓋接合部4の中程にあることから、舌体表面が直に触れるのは口蓋の中央上壁あたりに限られ、舌先が本来触れるはずの「口蓋皺襞」はその口蓋接合部4で隠されてしまう。そのため、舌先は、依然として鏡面状態のままの接触面5との接触を避けられず、その鏡面接触が舌先に異物感や違和感を生じさせることともなり、この異物感等による異物拒絶反応は依然として避けられない。
本考案は、上顎用入れ歯の装着時において、舌体表面や舌先の接触による異物感や違和感をなくし、異物拒絶反応を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するための本考案は、以下に記した特徴を有する。すなわち、人工歯が馬蹄形状に並設され口腔内の上顎部の歯茎に嵌装される凹部を備えた歯茎嵌装部と、上顎部の口蓋(口腔内のアーチ型をなす上壁)に面接合される口蓋接合部とが一体に連成されてなる上顎用入れ歯において、前記口蓋接合部における舌体との接触面が、粒子を浮き出し加工した粒子浮き出し面で構成されていることを特徴としている。
上顎用入れ歯における口蓋接合部の舌体との接触面を、前記のような粒子浮き出し面とすることにより、その装着時、舌体による粒子浮き出し面への接触が常態化して舌体表面や舌先では異物感や違和感を覚えなくなり、異物拒絶反応を抑制することができる。
また、本考案は、舌体との接触面を波型状に凹凸加工した波型面とすることもできる。このような加工面とすることにより、その表面が舌体表面や舌先に馴染み、舌体自体が接触への常態感さえ覚えて異物感や違和感を払拭させることができる。なお、上記粒子浮き出し面や波型面は、人工歯の歯列に沿いながらこの歯列に近接又は接触させて口蓋接合部の中央域に施こしてもよい。
本考案による上顎用入れ歯の第一の実施例を示す底面図である。 本考案の第二の実施例による中央域加工部分の底面図である。 本考案の第三の実施例による中央域加工部分の底面図である。 従来の上顎用入れ歯の底面図である。
以下に、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。本考案による上顎用入れ歯10は、図1に示すように、口腔内の上顎部の歯茎に嵌め付ける凹部を有し、下方に向く人工歯2が馬蹄形状に並設されている歯茎嵌装部3と、上顎部の口蓋に面接合される口蓋接合部4が一体に連成されている。なお、上顎部に残り歯が存在する場合には、歯茎嵌装部3の残り歯対応箇所には、これを活かす嵌合孔5が形成されることもある。ここまでの構成は従来技術と異なるところはない。
本考案では、この口蓋接合部4における舌体との接触面6の全面またはほぼ全面が、粒子を浮き出し加工した粒子浮き出し面11として構成されている。この粒子浮き出し面11の加工法としては、型取り等の常法で行われるのが一般的であるが、切削等の他の方法での面形成も可能である。
前記実施例による上顎用入れ歯10によると、装着時において、舌体表面や舌先が粒子浮き出し面11に常時接触することになるが、この粒子浮き出し面11の細やかなザラザラ感が舌体に快く伝わることとなり、この接触が常態化して異物感や違和感が払拭され、長時間での装着が可能となる。
図2には、本考案の第二の実施例が示されている。この実施例では、前記第一の実施例による粒子浮き出し面11が、人工歯2の歯列に沿いながらこの歯列に近接又は接触させて口蓋接合部4の中央域CAに施されている。図2は近接例である。この中央域CAは、主に舌体の舌先が触れるあたりで、場所的には、口腔内の口蓋内壁にある「口蓋皺襞」の存在域とほぼ一致する。したがって、舌先は、この「口蓋皺襞」対応位置の中央域CAに施された粒子浮き出し面11aと常時接触することとなる。これによる効果及び面加工法は、第一の実施例に準ずる。
図3には、本考案の第三の実施例が示されている。この実施例では、口蓋接合部4の中央域CAに、表面を波型状に凹凸加工した波型面11cが施されている。したがって、舌先がこの波型面11cに接触すると、快いでこぼこ感が得られ、遺物感や違和感は払拭されることになる。
なお、波型面11cは、図3では口蓋接合部4の中央域CAに形成された例が示されているが、口蓋接合部4の全面又はほぼ全面に形成することも本考案に含まれる。その他の構成及び面加工法は、第一の実施例に準ずる。
前記上顎用入れ歯10は、通常は着脱式であるが、インプラントによる固定式のものにも適用することが可能である。
1,10 上顎用入れ歯
2 人口歯
3 歯茎嵌装部
4 口蓋接合部
5 嵌合部
6 接合面
11a 粒子浮き出し面
11c 波型面
CA 中央域

Claims (4)

  1. 人工歯が馬蹄型状に並設され口腔内の上顎部の歯茎に嵌装される凹部を備えた歯茎嵌装部と、上顎部の口蓋(口腔内のアーチ型をなす上壁)に面接合される口蓋接合部とが一体に連成されてなる上顎用入れ歯において、前記口蓋接合部における舌体との接触面が、粒子を浮き出し加工した粒子浮き出し面で構成されていることを特徴とする上顎用入れ歯。
  2. 前記粒子浮き出し面は、前記人工歯の歯列に沿いながらこの歯列に近接又は接触させて前記口蓋接合部の中央域に施されている請求項2に記載の上顎用入れ歯。
  3. 人工歯が馬蹄型状に並設され口腔内の上顎部の歯茎に嵌装される凹部を備えた歯茎嵌装部と、上顎部の口蓋(口腔内のアーチ型をなす上壁)に面接合される口蓋接合部とが一体に連成されてなる上顎用入れ歯において、前記口蓋接合部における舌体との接合面が、表面を波型状に凹凸加工した波型面で構成されていることを特徴とする上顎用入れ歯。
  4. 前記波型面は、前記人工歯の歯列に沿いながらこの歯列に近接又は接触させて前記口蓋接合部の中央域に施されている請求項3に記載の上顎用入れ歯。
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