JP3173929B2 - 呼気成分検出装置 - Google Patents

呼気成分検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は呼気成分検出装置に関
し、被検者の呼気に含まれる特定成分を検出する呼気成
分検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より被検者である運転者の呼気に含
まれる例えばアルコール成分を検出して飲酒運転の防止
を図るアルコール成分検出装置等の呼気成分検出装置が
ある。例えば特公昭51−21698号公報に記載の従
来のアルコール成分検出装置は、管の一端を吸引ポンプ
に連結し、管の他端を車室内に運転席近傍に開口し、運
転者の呼気を吸引ポンプにより管内に導入し、管の途中
に設置したアルコールセンサによって運転者の呼気のア
ルコール濃度を検出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来装置では吸引ポン
プの吸引量は一定とされているため、管の開口端と運転
者の口までの距離が運転座席の前後調整位置により増大
すると、運転者の呼気が管の開口端に到達する量が減少
してしまい、呼気の吸引効率が低下して十分な検出感度
が得られず、検出に要する時間が長くなる。このため、
上記距離を現実に考えられる最大距離として吸引ポンプ
吸引量を設定すると吸引効率が良くなる反面、アルコー
ルセンサの初期ドリフトが増大し、測定精度が低下する
という問題があった。
【0004】ここで、アルコールセンサとして、例えば
SnO2 等の酸化物半導体を用いると、通常、検出素子
を350〜400℃に加熱して使用する。このため、吸
引ポンプが起動され気体流速が大きく変化すると、熱的
なバランスがくずれ、過度的なセンサ出力のドリフトが
生じる。
【0005】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、
被験者の座る座席と上流開口部との離間距離の増大に応
じて空気流量を増大側に可変することにより、呼気の到
達距離の変化による呼気成分の検出精度の低下を防止す
る呼気成分検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理図を
示す。
【0007】同図中、気体通路M1は、被検者の呼気到
達範囲に上流開口部M2を設けられている。呼気成分セ
ンサM3は、上記気体通路M1内に設けられ呼気成分を
検出する。ポンプM4は、上記気体通路M1の上流開口
部M2から呼気成分センサ側へ空気を流動させる。
【0008】座席検出手段M5は、上記被検者の座る座
席位置と上記上流開口部M2との離間距離に基づく値を
出力する。
【0009】ポンプ制御手段M6は、上記座席検出手段
M5の出力値に基づく上記離間距離の増大側の変化に応
じて上記ポンプM4の空気流量を増大側に可変する。
【0010】また、呼気成分センサM3は、加熱式アル
コールセンサであり、気体通路M1の呼気成分センサM
3取付け位置に設けられた内断面積可変機構M7は、空
気流量の増大側の変化に応じて気体通路の内断面積を増
大側に可変する。
【0011】
【作用】本発明においては、被検者の座る座席と上流開
口部との離間距離の増大に応じてポンプM4の空気流量
を増大させることにより、被検者の呼気が呼気成分セン
サM3に到達する距離が変化しても呼気の到達量を一定
とすることができる。
【0012】また、上記ポンプM4の空気流量の増大に
応じて気体通路の内断面積を増大させることにより、加
熱式アルコールセンサ近傍における空気流速をポンプの
空気流量の変化に拘らず一定とすることができる。
【0013】
【実施例】図2は本発明装置の一実施例の構成図を示
す。同図中、10は吸入管であり、その一端はステアリ
ングコラム11のパイプ12に固定され、他端はエンジ
ンルーム14内に設けられたボックス状の取付部15の
壁部に挿入支持されている。この吸入管10の一端の開
口部(上流開口部)10aは運転者の呼気を効率的に収
集するよう運転者に向けて開口している。また取付部1
5内の吸入管10の他端には吸引ポンプ16が設けられ
ており、取付部15に形成された排気口17より被検出
ガスの排出が行なわれる。
【0014】吸気管10の開口部10a近傍には加熱式
アルコールセンサ20が取付けられている。このアルコ
ールセンサ20は例えばSnO2 (酸化スズ)半導体を
用いたセンサであり、内蔵ヒータにより検出素子を35
0〜400℃に加熱してアルコール濃度を検出し、アル
コール濃度に応じた電圧のアルコール濃度検出信号を検
出制御回路21に供給する。
【0015】また、運転座席22のシートスライド機構
23には座席検出手段としての座席位置検出器24が設
けられている。座席位置検出器24は運転座席22のス
ライド位置に応じた電圧の位置検出信号を発生し検出制
御回路21に供給する。
【0016】検出制御回路21は、図3に示す如き公知
のハードウェア構成を有している。同図中、図2と同一
構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図
3において、検出制御回路21は中央処理装置(CP
U)50、処理プログラムを格納したリード・オンリ・
メモリ(ROM)51、作業領域として使用されるラン
ム・アクセス・メモリ(RAM)52、エンジン停止後
もデータを保持するバックアップRAM53、マルチプ
レクサ付き入力インタフェース回路54、入出力インタ
フェース回路55及びA/Dコンバータ56などから構
成されており、それらは双方向のバス57を介して接続
されている。
【0017】ADコンバータ56はアルコールセンサ2
0からのアルコール濃度検出信号及び座席位置検出器2
4からの位置検出信号を入力インタフェース回路54を
通して順次切換えて取り込み、それをアナログ・ディジ
タル変換してバス57へ順次送出する。入出力インタフ
ェース回路55は吸引ポンプ16、及びアルコールセン
サ20のヒータに通電を行なう通電回路26、及び後述
する変位駆動回路27夫々に制御信号を選択的に送出し
てそれらを制御する。
【0018】図4は本発明装置の一実施例の検出処理の
フローチャートを示す。同図中、ステップS2では座席
位置の位置検出信号を取り込んで座席位置を検出し、ス
テップS4で次式により吸引ポンプ16の吸入量Q(リ
ットル/min)を算出する。
【0019】Q=aX2 ただし、aは係数、Xは位置検出信号に基づく運転座席
22のまくら22aから吸入管10の開口部10aまで
の距離(cm)である。
【0020】次にステップS6で吸入量Qとなるように
吸引ポンプ16を駆動制御する。そして、ステップS8
でアルコールセンサ20のアルコール濃度検出信号を取
り込んでアルコール濃度を検出する。次のステップS1
0で検出したアルコール濃度が所定値を越えている場合
はステップS12でインターロックを行ない、エンジン
キーがアクセサリーオン状態からスタート状態に移行す
ることを禁止して飲酒運転を防止し処理を終了する。ア
ルコール濃度が所定値未満の場合はそのまま処理を終了
する。
【0021】このように、距離Xの二乗に比例して吸引
ポンプ16の吸入量を増大させることにより、アルコー
ルセンサ20に到達する運転者の呼気の量を距離Xの変
化に拘らず略一定とすることができ、アルコールセンサ
20の検出精度が低下することを防止できる。
【0022】図5は本発明装置の変形例の要部の構成図
を示す。同図中、図2と同一部分には同一符号を付し、
その説明を省略する。図5において、吸引管10の一端
には内断面積可変機構30が設けられ、この内断面積可
変機構30内にアルコールセンサ20が取り付けられて
いる。
【0023】この内断面積可変機構30はステアリング
ホイール側から見たとき図6(A),(B)に示す如
く、ステアリングコラム11のパイプ12に脚部31
a,31bで係合されている。例えばソレノイドプラン
ジャ等の図3に示す変位駆動回路27の駆動により脚部
31a,31bをパイプ12に対して上昇させて図6
(A)に示す如く開口部10aのアルコールセンサ20
の取付位置の内断面積を最大とした状態から、また脚部
31a,31bをパイプ12に対して下降させて図6
(B)に示す如く開口部10aの内断面積を最小とする
状態まで内断面積をリニアに可変する構成である。
【0024】図7は本発明装置の変形例の検出処理のフ
ローチャートを示す。同図中、ステップS22では座席
位置の位置検出信号を取り込んで座席位置を検出し、ス
テップS24で次式により吸引ポンプ16の吸入量Q
(リットル/min)を算出する。
【0025】Q=aX2 この後、ステップS25で次式により内断面積S(cm
2 )を算出する。
【0026】S=cQ ただし、cは定数である。
【0027】例えば、X=50cmのとき、Q=1l/
min,S=5cm2 であり、X=80cmのとき、Q
=2.56/min,S=12.5cm2 である。この
後、ステップS26で内断面積Sとなるように変位駆動
回路27を駆動する。
【0028】次にステップS27で吸入量Qとなるよう
に吸引ポンプ16を駆動制御する。そして、ステップS
28でアルコールセンサ20のアルコール濃度検出信号
を取り込んでアルコール濃度を検出する。次のステップ
S30で検出したアルコール濃度が所定値を越えている
場合はステップS22でインターロックを行ない、エン
ジンキーがアクセサリーオン状態からスタート状態に移
行することを禁止して飲酒運転を防止し処理を終了す
る。アルコール濃度が所定値未満の場合はそのまま処理
を終了する。
【0029】このように、吸引ポンプ16の空気流量Q
の増大に応じて内断面積Sを増大させることにより、加
熱式アルコールセンサ20近傍における空気流速を吸引
ポンプ16の空気流量Qの変化に拘らず一定とすること
ができ、空気流速の変化によるアルコールセンサ20の
熱的なバランスがくずれることに起因する検定精度の低
下を防止できる。
【0030】ところで、上記実施例では自動車に設置す
る呼気成分センサとして加熱式アルコールセンサ20を
用いたものであるが、この他に呼気成分センサとしては
被検者の口臭成分を検出する口臭センサであっても良
く、上記実施例に限定されない。口臭センサとしては、
例えば口臭の主成分であるメチルメルカプタンの濃度を
検出するSnO2 半導体の硫化物センサを用いればよ
い。
【0031】
【発明の効果】上述の如く、本発明の呼気成分検出装置
によれば、被験者の座る座席と吸引開口部との距離の増
大に応じて空気流動量を増大側に可変することにより、
呼気の到着距離の変化による呼気成分の検出精度の低下
を防止でき、また、ポンプの空気流量の増大に応じて気
体通路の内断面積を増大させることにより加熱式アルコ
ールセンサの熱的なバランスがくずれることに起因する
検出精度の低下を防止でき、実用上きわめて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】本発明装置の一実施例の構成図である。
【図3】検出制御回路のブロック図である。
【図4】検出処理のフローチャートである。
【図5】本発明装置の変形例の要部の構成図である。
【図6】内断面積可変機構を示す図である。
【図7】検出処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10 吸引管 10a 開口部 16 吸引ポンプ 20 アルコールセンサ 21 検出制御回路 22 運転座席 24 座席位置検出器 27 変位駆動回路 30,M7 内断面積可変機構 M1 気体通路 M2 上流開口部 M3 呼気成分センサ M4 ポンプ M5 座席検出手段 M6 ポンプ制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田口 敏行 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 稲垣 大 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 実開 昭60−137362(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/12 G01N 27/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検者の呼気到達範囲に上流開口部を設
    けた気体通路と、 上記気体通路内に設けられ呼気成分を検出する呼気成分
    センサと、 上記気体通路の上流開口部から呼気成分センサ側へ空気
    を流動させるポンプと、 上記被検者の座る座席位置と上記上流開口部との離間距
    離に基づく値を出力する座席検出手段と、 上記座席検出手段の出力値に基づく上記離間距離の増大
    側の変化に応じて上記ポンプの空気流量を増大側に可変
    するポンプ制御手段とを有することを特徴とする呼気成
    分検出装置。
  2. 【請求項2】 前記呼気成分センサは、加熱式アルコー
    ルセンサであり、 前記気体通路の呼気成分センサ取付け位置に、前記空気
    流量の増大側の変化に応じて気体通路の内断面積を増大
    側に可変する内断面積可変機構を有することを特徴とす
    る請求項1記載の呼気成分検出装置。
  3. 【請求項3】 前記呼気成分センサは、口臭センサであ
    ることを特徴とする請求項1記載の呼気成分検出装置。
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