JP3173141B2 - ポリエステル系繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents
ポリエステル系繊維構造物およびその製造方法Info
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造物およびその製造方法に関するものである。さらに詳
細には、抗菌防臭性、防カビ性、難燃性を有するポリエ
ステル系繊維構造物およびその製造方法に関するもので
ある。
ない、ホテル、旅館、学校、病院などの建物で使用され
るカーテン、カーペットなどのインテリア材料は、消防
法により防炎規制されている。一方、こうした繊維製品
においては、繊維表面に付着した汗、汚れ等を栄養源と
して繁殖した細菌やカビ等の微生物により、皮膚障害や
疾病を起こしたり、悪臭を発したり、衛生上悪影響を受
けている。こうした状況の中で、安全性が高く快適な生
活環境をつくるうえで、難燃性、抗菌防臭性、防カビ性
を同時に兼ね備えた繊維製品の開発が望まれている。し
かしながら、難燃化されたポリエステル系繊維は燃焼挙
動がドリップ性であるため、炭化性を示す衛生加工剤や
他素材との併用は難燃性が阻害されることが多く、これ
まで実用化されていない。
特開昭57−51874号公報には、オルガノシリコー
ン第4アンモニウム塩を吸着させたカーペットおよびそ
の製造方法が開示されているが、シリコーン系第4アン
モニウム塩の場合、セルロース系繊維に対してのみ反応
性を持つため、合成繊維については一時的な抗菌効果し
か得られない。さらに、難燃剤との併用は難燃性能を低
下させる。
めの方法として、例えば、特開昭60−194179号
公報には、アニオン基を含む高分子重合体を繊維に固着
させ、塩基性化合物とイオン結合させる方法が開示され
ているが、この方法は、溶融粘度が高くなるために溶融
部のドリップ性が悪くなり必要な難燃性能が得られな
い。
エステル系繊維構造物に対して、難燃性能を低下させる
ことなく、洗濯耐久性およびドライクリーニング耐久性
のある抗菌防臭・防カビ性能を付与したポリエステル系
繊維製品を提供することである。
に本発明のポリエステル系繊維構造物は次の構成を有す
る。すなわち、ポリエステル系繊維内部に均一にハロゲ
ン化シクロアルカン化合物を0.5%owf以上10%
owf未満含有し、繊維表層部に第4アンモニウム塩を
0.02%owf以上0.5%owf未満含有すること
を特徴とするポリエステル系繊維構造物である。
の製造方法は次の構成を有する。すなわち、0.6〜2
0%owfのハロゲン化シクロアルカン化合物を含む染
色浴中、浴比を1:50〜1:5とし、80℃以上で処
理し、洗浄した後、0.03〜0.7%owsの第4ア
ンモニウム塩水溶液を繊維表面に付与し、乾燥し、さら
に150〜210℃の乾熱処理を行うことを特徴とする
ポリエステル系繊維構造物の製造方法である。
発明において用いるポリエステル系繊維構造物として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートに代表されるポリアルキレンテレフタレート繊
維またはこれらのアルキレンテレフタレート単位を主体
とし、これら共重合成分との共重合体繊維からなる不織
布、織物、編物、縫製品などを例示することができる。
また、繊維断面形態としては丸形、異形を問わない。な
お、これら繊維構造物はあらかじめ、染料、顔料、酸化
防止剤などを含有することがあってもさしつかえない本
発明に用いるハロゲン化シクロアルカン化合物とは、環
状飽和炭化水素化合物または少なくとも1個の環状飽和
炭化水素基を有する飽和炭化水素化合物であって、水素
原子の少なくとも1部分がハロゲンにより置換された化
合物である。かかる化合物の具体例としては、例えば、
1,2,3,4,5,6−ヘキサブロモシクロヘキサ
ン、1,2,3,4−テトラブロモシクロオクタンもし
くは1,2,4,6−テトラブロモシクロオクタン(以
下、TBCO)、1,2,5,6,9,10−ヘキサブ
ロモシクロドデカン(以下、HBCD)、1,2−ビス
(3,4−ジブロモシクロヘキシル)1,2−ジブロモ
エタンまたはこれらの化合物の臭素が塩素で置換された
ものなどを挙げることができる。かかる化合物の中でも
ハロゲンの大部分またはすべてを臭素としたものは吸尽
効率および難燃性が高く、本発明には好適である。とり
わけ、HBCDは吸尽効率が極めて高くかつ難燃性も極
めて優れているので好ましい。
部の含有量は、0.5〜10%owf好ましくは1.0
〜5.0%owfとするものである。0.5%owfに
満たない場合には十分な難燃性能が得られない問題があ
り、一方、10%owfを越える場合には摩擦堅牢度が
低下したり、吸尽効率が悪くなり好ましくない。
においては、ハロゲン化シクロアルカン化合物を繊維内
部に均一に含有せしめるものである。該化合物の繊維内
部の分布が不均一ならば耐光堅牢度が低下する問題があ
る。
ては、第4アンモニウム塩を繊維表層部に0.02〜
0.5%owf好ましくは0.05〜0.3%owf含
有せしめるものである。第4アンモニウム塩の含有量が
0.02%owfに満たない場合には、加工後の抗菌・
防カビ性能は得られるが、洗濯耐久性の面から不十分で
ある。一方、0.5%owfを越える場合には、コスト
面で実用上好ましくない。ここで、繊維表層部とは、単
繊維表面から単繊維半径の1/2までの領域をいう。な
お、第4アンモニウム塩がこの領域に存在するか否か
は、試料を含金染料により染色し、繊維断面を光学顕微
鏡で観察することにより確認することができる。
造を有する第4アンモニウム塩は、優れた抗菌・防カビ
作用を奏する観点から、好ましく用いられるものであ
る。
R4 は炭素数1〜2のアルキル基Buはブチル基を示
す。) ここで、式[I] におけるR1 は抗菌力を十分なものとす
る観点から炭素数12〜16のアルキル基とするもので
ある。また、R2 ,R3 ,R4 は粘度が上がって繊維製
品を処理する上で不都合となるのを防ぎ、また、水に対
する溶解性を優れたものとする観点から炭素数1または
2のアルキル基とするものである。
オンとしては、他の薬品との相溶性向上の理由からアル
キルリン酸エステルイオンが好ましく選択される。さら
に、安全性を高め、一方、粘度が高くなり合成が困難と
なるのを防止する観点から、アルキル基としては炭素数
が4のもの、すなわち、ブチル基が特に好ましく選択さ
れる。ブチル基であれば、n−ブチル基、iso−ブチ
ル基、tert−ブチル基のいずれであっても好ましく
用いられる。
方法は、例えば、まず染色浴中に上記した難燃性を付与
するためのハロゲン化シクロアルカン化合物を投入し、
染色と難燃加工を同時に行うものである。この場合、ハ
ロゲン化シクロアルカン化合物を繊維に対して0.6〜
20%owfとするものである。ハロゲン化シクロアル
カン化合物の量が0.6%owfに満たない場合には安
定した難燃性能が得られない問題があり、一方、20%
owfを越える場合には該化合物のロスが大きく、作業
性やコスト面で実用的でないなどの問題がある。
る、PH調整剤、均染剤および金属封鎖剤などを適宜添
加することができる。
くは1:20〜1:5とするものである。浴比が1:5
0に満たないと難燃剤や染料のロスが大きく、色ブレな
どの問題があり、一方、1:5を越える場合には難燃剤
を繊維表層部に均一に分布させることはむずかしく、ま
た色ムラになりやすいなどの問題がある。
0〜145℃として浴中処理するものであり、その後、
洗浄を行う。浴中処理時間としては通常20〜60分程
度が採用される。温度が80℃より低いならば難燃剤が
繊維に吸尽されにくく、耐久性がなくなるなどの問題が
ある。
0.7%owsの水溶液を浸漬処理、スプレー処理、泡
処理、グラビア処理などの任意の方法により繊維表面に
付与し、乾燥し、さらに150〜210℃の乾熱処理を
行うものである。第4アンモニウム塩水溶液の濃度が
0.03%owsに満たない場合には、加工後の抗菌・
防カビ性能は得られるが、洗濯耐久性の面から不十分で
ある。一方、0.7%owsを越える場合には、コスト
面で実用上好ましくない。
行うテンター1段仕上げを採用することも可能である。
150℃未満の熱処理では耐久性の面で十分でなく、一
方、210℃を越えると繊維の黄化、脆化の危険があり
実用的に好ましくない。
る。なお、実施例中の性能評価は次の方法によった。
て、中性洗剤“ザブ”(登録商標、花王(株)製)0.
2%、温度40℃±2℃、浴比1:50で5分間強反転
で洗濯し、その後、排液脱水後、オーバーフローさせな
がらすすぎを2分間行う操作を2回繰り返し、これを洗
濯1回とする。
基ずく45度ミクロバーナー法およびコイル法で測定し
た。
状球菌(stapylococcus aureus
ATTC6538p)を用いた。試験方法は滅菌試料布
に上記試験菌のブイヨン懸濁液を注加し、密閉容器中で
37℃、18時間培養後の生菌数を測定し、殖菌数に対
する菌数を測定し、次の基準に従った。log(B/
A)>2の条件下、log(B/C)を菌数増減値差と
し、1.6以上を合格レベルとした。
した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した
菌数、Cは加工品の18時間培養分散回収した菌数を表
す。 <防カビ性評価>JIS Z 2911 6.2.2
(繊維製品試験;湿式法)に準じた。
振型(200g)に準じた。
filの加工糸のポリエステル系繊維100%使いの平
織物を“サンデットG−29”(三洋化成(株)製)1
g/l、水酸化ナトリウム(30%)2g/lを含む処
理浴中で80℃、15分間の条件で精練を行った後、乾
燥し150℃で30秒間の中間セットを行い、次の配合
の染色、難燃剤処理液を使用して液流染色機により13
0℃で60分間処理した。
9(三洋化成(株)製)0.5g/l、ハイドロサルフ
ァイト1g/lからなる浴で80℃,20分間還元洗浄
し、60℃,10分湯洗い後、さらに水洗を行なった。
その後、前記式[I] において、R1 をC12H25とし、R
2 、R3 、R4 をCH3 とした第4アンモニウム塩化合
物を0.3%ows含む処理液を調整し、該染色布帛を
浸漬した後、ピックアップ率100%で絞り、ピンテン
ターで170℃で2分間乾熱処理してポリエステル系繊
維構造物を得た。実施例1のすべての水準と比較例1−
1および比較例1−2の試料を含金染料により染色し、
繊維断面を光学顕微鏡で観察したところ、繊維表層部に
第4アンモニウム塩を含有していることが確認できた。
カビ性を評価した結果を表1に示す。抗菌性は5回洗濯
後の菌数増減値差、防カビ性能は5回洗濯後のかび抵抗
性で示した。表1のとおり、HBCDの含有量が0.5
%owf未満(比較例1−1)では、難燃性能が不十分
であった。0.5%owf以上で防災規準に合格する難
燃性能が得られた。また、抗菌・防カビ性能はいずれも
十分であり、洗濯耐久性も良好であった。10%owf
以上(比較例1−2)では、摩擦堅牢度が低下し、吸尽
効率も悪かった。
塩化合物にかえて、アニオン基を含む反応型水溶性ウレ
タン樹脂5%ows、シアヌル酸系酸化防止剤0.25
%ows、重曹0.008%owsおよび有機スズ触媒
0.3%owsを添加して混合した水溶液を調製した。
実施例1において難燃剤を20%owfで処理した布帛
をこの水溶液に浸し、マングルで絞り150℃で100
秒間処理した。ついで、下記式[II]の化合物(Prox
el IB,アイシーアイ[ICI]社製)の0.8%
ows水溶液に浸漬し、150℃で45秒間処理した
(比較例1−3)。
ったが、難燃性が低下していた。
て、ハロゲン化シクロアルカン化合物としてHBCD単
独に代えてHBCDとTBCOの混合物を用い、他の条
件は同一とし10%owfで処理した染色布帛を、前記
式[I] のR1 をC12H25としR2 、R3 、R4 をCH3
とした第4アンモニウム塩化合物を有効成分として8%
含む衛生加工剤を0.18%ows、0.25%ow
s、0.4%ows、3.8%ows、6.2%ow
s、7.0%owsの6とおりに、それぞれ調整した処
理液に浸漬し、ピックアップ率100%で絞り、ピンテ
ンターで170℃で2分間乾熱処理してポリエステル繊
維構造物を得た。実施例2のすべての水準と比較例2の
すべての水準の試料を含金染料により染色し、繊維断面
を光学顕微鏡で観察したところ、繊維表層部に第4アン
モニウム塩を含有していることが確認できた。
び防カビ性を評価した。抗菌性は5回洗濯後の菌数増減
値差、防カビ性能は5回洗濯後のかび抵抗性で示した。
4アンモニウム塩化合物の含有量が0.02%owf未
満(比較例2−1)では、難燃性は十分であったが、抗
菌・防カビ性能が得られなかった。0.5%owf以上
(比較例2−2)では、抗菌・防カビ性能は十分である
が、難燃性の低下が見られた。
維構造物は、防災規準に合格する難燃性能を維持し、し
かも洗濯耐久性に優れた抗菌防臭・防カビ性を有してい
る。
テル系繊維の難燃、抗菌防臭・防カビ性能の複合化が可
能になり、カーテン分野などへの商品展開を幅広いもの
とすることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】ポリエステル系繊維内部に均一にハロゲン
化シクロアルカン化合物を0.5%owf以上10%o
wf未満含有し、繊維表層部に第4アンモニウム塩を
0.02%owf以上0.5%owf未満含有すること
を特徴とするポリエステル系繊維構造物。 - 【請求項2】ハロゲン化シクロアルカン化合物がヘキサ
ブロモシクロドデカンおよび/またはテトラブロモシク
ロオクタンであることを特徴とする請求項1項記載のポ
リエステル系繊維構造物。 - 【請求項3】第4アンモニウム塩が下記一般式[I] で表
される化合物であることを特徴とする請求項1または請
求項2に記載のポリエステル系繊維構造物。 【化1】 (R1 は炭素数12〜16のアルキル基、R2 ,R3 ,
R4 は炭素数1〜2のアルキル基Buはブチル基を示
す。) - 【請求項4】0.6〜20%owfのハロゲン化シクロ
アルカン化合物を含む染色浴中、浴比を1:50〜1:
5とし、80℃以上で処理し、洗浄した後、0.03〜
0.7%owsの第4アンモニウム塩水溶液を繊維表面
に付与し、乾燥し、さらに150〜210℃の乾熱処理
を行うことを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製
造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP17683592A JP3173141B2 (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | ポリエステル系繊維構造物およびその製造方法 |
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JPH0625970A JPH0625970A (ja) | 1994-02-01 |
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---|---|---|---|---|
JP3651132B2 (ja) * | 1996-08-22 | 2005-05-25 | 東レ株式会社 | ポリエステル系繊維材料およびその製造方法 |
JP6432344B2 (ja) * | 2012-04-19 | 2018-12-05 | 国立大学法人 熊本大学 | マグネシウム合金及びその製造方法 |
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1992
- 1992-07-03 JP JP17683592A patent/JP3173141B2/ja not_active Expired - Fee Related
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