JP3172651B2 - 溶融金属の流動制御装置 - Google Patents

溶融金属の流動制御装置

Info

Publication number
JP3172651B2
JP3172651B2 JP09205795A JP9205795A JP3172651B2 JP 3172651 B2 JP3172651 B2 JP 3172651B2 JP 09205795 A JP09205795 A JP 09205795A JP 9205795 A JP9205795 A JP 9205795A JP 3172651 B2 JP3172651 B2 JP 3172651B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
phase difference
linear motor
molten metal
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09205795A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08290249A (ja
Inventor
崎 敬 介 藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP09205795A priority Critical patent/JP3172651B2/ja
Publication of JPH08290249A publication Critical patent/JPH08290249A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3172651B2 publication Critical patent/JP3172651B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属の流動速度を
調節する流動制御装置に関し、特に、これに限定する意
図ではないが、並設された複数個の鋳型内の溶融金属の
流動制御装置に関する。
【0002】
【従来技術】例えばビレットの連続鋳造では、タンデイ
ッシュより鋳型に溶鋼が注入され、鋳型において溶鋼は
鋳型壁面から次第に冷却されつつ引き抜かれる。同一高
さの鋳型壁面における温度が不均一であると、表面割れ
やシェル破断を生じ易い。これを改善するために、従来
は、鋳型長辺の外に配置したリニアモ−タ又は溶鋼上面
に対向するリニアモ−タで、鋳型内溶鋼に一定方向の電
磁駆動力(推力)を与えて溶鋼を積極的に流動駆動して
いる。鋳型内溶鋼に与える推力はリニアモ−タ電流によ
り調整することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、溶融金属が
鋳型で区画され、鋳型の実質上中心位置に挿入されたノ
ズルを通して鋳型内に溶鋼が注入されるので、溶鋼の水
平断面における溶鋼の流速分布は均一とならず、これが
温度分布が不均一となる一つの原因となっている。溶鋼
注入による溶鋼の不均一流動をリニアモ−タの推力で整
え、あるいは不均一流動を抑制しかつ更に強い流動を溶
鋼に生起して、温度分布をある程度均一化することが可
能であるが、リニアモ−タの推力分布自身が不均一であ
ることもあって、溶鋼の水平断面全体に渡って温度分布
を十分に均一にできない場合もある。
【0004】一方、比較的に小断面の鋳型を用いる連続
鋳造、例えばビレットの鋳造においては、複数個の鋳型
を並設して同時並行してそれぞれの鋳型で鋳造を行なう
が、鋳型形状が小さいので、各鋳型に独立にリニアモ−
タを装備しようとしても、隣り合う鋳型のリニアモ−タ
が機械的に干渉するのでリニアモ−タを鋳型のそれぞれ
に個別に設置することが困難であり、リニアモ−タを小
型化すると、十分な推力が得られなくなる可能性があ
る。更には、隣り合う鋳型のリニアモ−タが、電磁気的
な干渉を生じて設計通りの推力(方向,強さ,分布)が
鋳型内溶鋼に加わらないとかの問題を生ずる。
【0005】本発明は、溶融金属に与える推力の分布を
調整することを第1の目的とし、可及的に少数のリニア
モ−タで溶融金属に与える推力の分布を調整することを
第2の目的とする。並設された複数個の鋳型のそれぞれ
の溶融金属の流動を調整することを第3の目的とし、こ
れを可及的に少数のリニアモ−タで行なうことを第4の
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の流動制御装置
は、x方向に延びy方向に分布する複数個のスロットを
有する電磁石コア(Ea,Eb)およびスロットに装着された
複数個の電気コイル(E1〜E12)を有する第1リニアモー
タ(1E);スロットの配列方向yに沿う推力を溶融金属に
与える位相差がある交流電圧(U,V,W)を、第1リニアモ
ータ(1E)の電気コイル(E1〜E12)に印加する第1通電手
段(20F1);x方向に延びy方向に分布する複数個のスロ
ットを有する電磁石コア(La,Lb)およびスロットに装着
された複数個の電気コイル(L1〜L12)を有し、溶融金属
を間に置いて第1リニアモータ(1E)に対向する第2リニ
アモ−タ(1L);第1通電手段(20F1)が第1リニアモ−
タ(1E)に印加する交流電圧(U,V,W)に対して、位相差指
示信号(φ)が示す位相差(φ)を有する交流電圧(ρ,β,
γ)を第2リニアモ−タ(1L)の電気コイル(L1〜L12)に印
加する第2通電手段(20L2);溶融金属の温度分布を検出
する検出手段(t1〜t3);および、該検出手段が検出した
温度分布に対応して、溶融金属の高温部分に加わる推力
が高くなる位相差を選択し、この位相差を表す位相差指
示信号(φ)を第2通電手段(20L2)に与える位相制御手段
(P2);を備える。
【0007】なお、カッコ内には、理解を容易にするた
めに、図面に示し後述する実施例の対応要素又は対応事
項に付した記号を、参考までに付記した。
【0008】
【作用】第1および第2リニアモ−タ(1E,1L)を溶融金
属を間に置いて対向させると、各リニアモ−タが発生す
る磁界が強い程、相互干渉が強くなる。y方向に延びる
リニアモ−タは、その端部と中間部で磁界分布が異なる
ので、該相互干渉も端部と中間部で異なる。リニアモ−
タの電気コイルのそれぞれと、通電手段が出力する各相
交流電圧との対応(対向する2つのリニアモータの相配
置)が固定であると、溶融金属には、y方向にある分布
を有する推力が加わる。例えば、中間部で強く端部で弱
い推力分布,逆に、中間部で弱く端部で強い推力分布
等、が現われる。
【0009】第1リニアモ−タ(1E)に印加する交流電圧
(U,V,W)に対して第2リニアモ−タ(1L)に印加する交流
電圧(ρ,β,γ)の位相(φ)を切換えることにより、対向
する第1および第2のリニアモータ(1E,1L)が発生する
磁束の相互干渉が変化し、これにより、第1および第2
のリニアモータ(1E,1L)から溶鋼に加わる推力分布が変
化する。したがって、位相差指示信号(φ)により、推力
分布を調整することができ、この調整を位相制御手段(P
2)が行なう。
【0010】連続鋳造の場合には、鋳型の水平断面にお
ける溶融金属の温度分布、特に鋳型内壁面に沿う温度分
布が均一であるのが好ましく、そのため温度が高い領域
では溶融金属の流速を速くするのが好ましい。本明で
は、温度検出手段(t1〜t3)で溶鋼温度を検出し、位相制
御手段(P2)で温度分布を判定し温度分布に対応してそれ
を均一化するに適した推力分布をもたらす位相差(φ)を
選択して、この位相差(φ)を設定する。これにより鋳型
内溶鋼温度が均一化する。
【0011】前述のように、複数個の、比較的に小断面
の鋳型を並設して同時並行してそれぞれの鋳型で鋳造を
行なう場合、鋳型形状が小さいので、各鋳型に独立にリ
ニアモ−タを装備しにくい。そこでこのような用途にお
いて本発明は、x方向に延びy方向に分布する複数個の
スロットを有する電磁石コア(Ea,Eb)およびスロットに
装着された複数個の電気コイル(E1〜E12)を有する第1
リニアモータ(1E);スロットの配列方向yに沿う推力を
溶融金属に与える位相差がある交流電圧(U,V,W)を、第
1リニアモータ(1E)の電気コイル(E1〜E12)に印加する
第1通電手段(20F1);x方向に延びy方向に分布する複
数個のスロットを有する電磁石コア(La,Lb)およびスロ
ットに装着された複数個の電気コイル(L1〜L12)を有
し、並設された複数個の溶融金属鋳型(M1〜M3)を間に置
いて第1リニアモ−タ(1E)に対向する第2リニアモ−タ
(1L);第1通電手段(20F1)が第1リニアモ−タ(1E)に
印加する交流電圧(U,V,W)に対して、位相差指示信号
(φ)が示す位相差(φ)を有する交流電圧(ρ,β,γ)を第
2リニアモ−タ(1L)の電気コイル(L1〜L12)に印加する
第2通電手段(20L2);溶融金属の温度分布を検出する検
出手段(t1〜t3);および、該検出手段が検出した各鋳型
内溶融金属の温度に対応して、温度が高い溶融金属があ
る鋳型内の溶融金属に加わる推力が高くなる位相差を選
択し、この位相差を表す位相差指示信号(φ)を第2通電
手段(20L2)に与える位相制御手段(P2);を備える。
【0012】これによれば、複数個の鋳型(M1〜M3)に対
してそれらに共通のリニアモ−タを配設することになる
ので、リニアモ−タの配設が容易である。位相制御手段
(P2)で複数個の鋳型(M1〜M3)の温度分布を判定し各温度
分布に対応してそれを均一化するに適した推力分布をも
たらす位相差(φ)を選択する。これにより、複数個の鋳
型(M1〜M3)の、1つの溶融金属(MM)の流動速度は高くし
他は低くするなど、鋳型(M1〜M3)単位で溶融金属(MM)の
流速を調整することができる。本発明では、温度検出手
段(t1〜t3)で各鋳型内の溶鋼温度を検出し、位相制御手
段(P2)で鋳型(M1〜M3)単位で溶鋼温度の高低を判定し高
低パタ−ンに対応してそれを均一化するに適した推力分
布をもたらす位相差(φ)を選択して、これを設定する。
これにより、溶鋼温度が高い鋳型の溶鋼流速が上昇す
る。
【0013】本発明の他の目的および特徴は、図面を参
照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0014】
【実施例】図1に、本発明の一実施例の、リニアモ−タ
の配置を示す。図中M1,M2,M3は、ビレット製造
用の小型の連続鋳造鋳型であり、第1鋳型,第2鋳型及
び第3鋳型である。これらに図示しない注入ノズルを通
して溶鋼MMが、図1紙面の表側から裏側に向けて(垂
直方向zで上方から下方に)、注入される。各鋳型M
1,M2,M3の正方形の鋳型を形成する各辺は銅板M
12,M22,M32に、非磁性ステンレス板M11,
M21,M31を裏当てしたものである。
【0015】この実施例では、各鋳型M1,M2,M3
内の溶鋼を、3相リニアモ−タで鋳型の各辺に沿って図
1紙面上において時計回り方向に回転駆動するために、
連続鋳造鋳型M1,M2,M3のx方向の外側面に対向
して第1および第2の電磁石コア1Eおよび1Lが、y
方向に等間隔一列で並べられた各鋳型M1,M2,M3
を挟んで、平行に、かつ、鋳型列M1〜M3に関して対
称に配置されている。図2には、第2鋳型M2,リニア
モータ1E及びリニアモータ1Lの拡大横断面(図1の
2A−2A線拡大断面)を示す。これらの図面において
寸法引出線(一点鎖線)間の小形の数字は寸法値(m
m)を示す。なお、第1リニアモータ1Eと第2リニア
モータ1Lとは、同一寸法および同一電気定格のもので
ある。
【0016】図1〜図2を参照すると、この実施例で
は、電磁石コア1Eは、y方向に長く、この長手方向y
にスロット用の12個の切欠を等ピッチで形成した、平
板面が櫛形の薄鋼板を積層したものであり、12個のス
ロットがあり、スロットのそれぞれに電気コイルE1〜
E12が挿入されている。なお、電磁石コア1Eおよび
電気コイルE1〜E12は冷却されかつ耐熱カバ−で被
覆されているが、冷却構造およびカバ−は図示を省略し
ている。電磁石コア1Eは、横側面にx方向に延びるス
ロットがある櫛形であり、各スロットに電気コイルが挿
入され、スロット間の歯が磁極でありその下端面が、連
続鋳造鋳型M1,M2,M3のx方向側面に対向してい
る。電気コイルE1〜E12は、電磁石コア1Eに「胴
巻き」されている。
【0017】この実施例では、電気コイルE1〜E12
の内空間に幅(x)が345mmの電磁石コアEaを通
した後、電気コイルE1〜E12の一辺を各スロットに
押し込むため、電気コイルE1〜E12の内空間の幅方
向xの寸法は、この実施例では360mmであり、スロ
ットの深さ(x)が95mmであるので、電気コイルを
スロットに押し込んだ後は、電気コイルの上辺とコア1
Eの背面(横側面)との間に110mmの空隙を生ず
る。この空隙に、長方形の薄鋼板を積層した補助コアE
bが挿入されている。電磁石コアEaおよび補助コアE
bの両者にも、冷却用の流体流路がありこれに冷媒管が
接続されているが、これらの図示は省略した。
【0018】図3に、図1に示す本発明の一実施例のシ
ステム全体構成及び全電気コイルの結線を示す。
【0019】第1リニアモータ1Eの各電気コイルE1
〜E12は3相交流電圧を発生する電源回路20F1の
3相電源接続端子U11,V11,W11に接続されて
いる。一方、第2リニアモータ1Lの各電気コイルL1
〜L12は、電源回路20L2の3相電源接続端子ρ
1,β1,γ1に接続されている。図3に示す結線は2
極のものであり、電気コイルに3相交流を通電する。例
えば、第1リニアモ−タ1Eの電気コイルE1〜E12
は、図3ではこの順に、W,W,u,u,V,V,w,
w,U,U,v,vと表している。そして「U」は3相
交流のU相の正相通電(そのままの通電)を、「u」は
U相の逆相通電(U相より180度の位相づれ通電)を
表し、電気コイル「U」にはその巻始め端にU相が印加
されるのに対し、電気コイル「u」にはその巻終り端に
U相が印加されることを意味する。同様に、「V」は3
相交流のV相の正相通電を、「v」はV相の逆相通電
を、「W」は3相交流のW相の正相通電を、「w」はW
相の逆相通電を表わす。
【0020】電源回路20F1,20L2は制御回路P
2と接続され、電源回路20F1と電源回路20L2間
もデータラインにより接続される。制御回路P2には、
モールド側辺付近の上部空間に配置される赤外線温度セ
ンサーt1,t2,t3が、鋳型内空間の溶鋼表面(パ
ウダが乗っていることもある)を狙い、それ等の温度を
検出して、温度検出信号を与える。
【0021】該温度検出信号に基づいて、制御回路P2
が、鋳型内溶鋼の温度分布(鋳型単位)を判定し、判定
結果に基づいて、温度が高い溶鋼(鋳型単位)に与える
電磁推力を大きくする位相差φを算出し、かつ、3個の
鋳型の溶鋼の平均温度に対応して、これが高いと推力を
大きくするコイル電圧指令値VdcA1および3相交流電
圧周波数を算出して、電源回路20F1,20L2に出
力する。
【0022】電源回路20F1,20L2は、コイル電
圧指令値VdcA1により3相交流電圧の電圧レベルを決
定する。更に、電源回路20F1は制御回路P2より出
力される周波数指令値Fdcにより3相交流電圧の周波数
を設定し、電源回路20F1は、該周波数を規定するパ
ルス信号PLを電源回路20L2に与える。位相差φを
表わすデ−タDLは電源回路20L2に与えられ、電源
回路20L2は、電源回路20F1が出力する3相交流
(U,V,W)とレベル,周波数共に実質上同一である
が、位相がφだけ遅れた3相交流(ρ,β,γ)を発生
する。
【0023】電源回路20F1,20L2は、こうして
電圧レベル,周波数,位相が決定された3相交流電圧
(U,V,W),(ρ,β,γ)をそれぞれ電気コイル
E1〜E12,L1〜L12に印加する。
【0024】図4に、電気コイルE1〜E12に3相交
流を流す電源回路20F1の構成を示す。3相交流電源
(3相電力線)21には、直流整流用のサイリスタブリ
ッジ22A1が接続されており、その出力(脈流)はイ
ンダクタ25A1およびコンデンサ26A1で平滑化さ
れる。平滑化された直流電圧は3相交流形成用のパワ−
トランジスタブリッジ27A1に印加され、これが出力
する3相交流のU相が図3に示す電源接続端子U11
に、V相が電源接続端子V11に、またW相が電源接続
端子W11に印加される。
【0025】電気コイルE1〜E12が、連続鋳造鋳型
(M1,M2,M3)内部の溶鋼MMを回転駆動する推
力を発生するコイル電圧指令値VdcA1が位相角α算出
器24A1に与えられ、位相角α算出器24A1が、指
令値VdcA1に対応する導通位相角α(サイリスタトリ
ガ−位相角)を算出し、これを表わす信号をゲ−トドラ
イバ23A1に与える。ゲ−トドライバ23A1は、各
相のサイリスタを、各相のゼロクロス点から位相カウン
トを開始して位相角αで導通トリガ−する。これによ
り、トランジスタブリッジ27A1には、指令値VdcA
1が示す直流電圧が印加される。
【0026】一方、3相信号発生器31A1は、周波数
指令値Fdcで指定された周波数の、定電圧3相交流信号
U,V,Wを発生して、比較器29A1に与える。さら
に3相信号発生器31A1は、周波数指令値Fdcが表す
周波数に比例した周波数のパルス信号PL、および3相
信号発生器31A1が発生した3相交流信号の位相を表
す位相データDLを、後述する電源回路20L2内部の
3相信号発生器31B2に出力する。
【0027】比較器29A1にはまた、三角波発生器3
0A1が3KHzの、定電圧三角波を与える。比較器2
9A1は、U相信号が正レベルのときには、それが三角
波発生器30A1が与える三角波のレベル以上のとき高
レベルH(トランジスタオン)で、三角波のレベル未満
のとき低レベルL(トランジスタオフ)の信号を、U相
の正区間宛て(U相正電圧出力用トランジスタ宛て)に
ゲ−トドライバ28A1に出力し、U相信号が負レベル
のときには、それが三角波発生器30A1が与える三角
波のレベル以下のとき高レベルHで、三角波のレベルを
越えるとき低レベルLの信号を、U相の負区間宛て(U
相負電圧出力用トランジスタ宛て)にゲ−トドライバ2
8A1に出力する。V相信号およびW相信号に関しても
同様である。ゲ−トドライバ28A1は、これら各相,
正,負区間宛ての信号に対応してトランジスタブリッジ
27A1の各トランジスタをオン,オフ付勢する。
【0028】これにより、電源接続端子U11には、3
相交流のU相電圧が出力され、電源接続端子V11に同
様なV相電圧が出力され、また電源接続端子W11に同
様なW相電圧が出力され、これらの電圧の上ピ−ク/下
ピ−ク間レベルはコイル電圧指令値VdcA1で定まる。
この3相電圧の周波数はこの実施例では周波数指令値F
dcにより定まる。すなわち、コイル電圧指令値VdcA1
で指定されたピ−ク電圧値(推力)の、周波数がFdc
(例えば50Hz)の3相交流電圧が、図1及び図3に示
す電気コイルE1〜E12に印加される。
【0029】図5に、電気コイルL1〜L12に3相交
流を流す電源回路20L2の構成を示す。3相交流電源
(3相電力線)21には直流整流用のサイリスタブリッ
ジ22B2が接続されており、その出力(脈流)はイン
ダクタ25B2およびコンデンサ26B2で平滑化され
る。平滑化された直流電圧は3相交流形成用のパワ−ト
ランジスタブリッジ27B2に印加され、これが出力す
る3相交流のρ相が図3に示す電源接続端子ρ1に、β
相が電源接続端子β1に、またγ相が電源接続端子γ1
に印加される。
【0030】電気コイルL1〜L12が、連続鋳造鋳型
(M1,M2,M3)内部の溶鋼MMを回転駆動する推
力を発生するコイル電圧指令値VdcA1が位相角α算出
器24B2に与えられ、位相角α算出器24B2が、指
令値VdcA1に対応する導通位相角α(サイリスタトリ
ガ−位相角)を算出し、これを表わす信号をゲ−トドラ
イバ23B2に与える。ゲ−トドライバ23B2は、各
相のサイリスタを、各相のゼロクロス点から位相カウン
トを開始して位相角αで導通トリガ−する。これによ
り、トランジスタブリッジ27B2には、指令値VdcA
1が示す直流電圧が印加される。
【0031】一方、3相信号発生器31B2には、3相
信号発生器31A1より出力されてきたパルス信号P
L,位相データDLおよび制御回路P2より出力されて
きた位相差指示デ−タ(φ)が入力される。3相信号発
生器31B2は、パスル信号で指定された周波数Fdc
の、位相データDL(3相信号発生器31A1が発生す
る3相交流信号の位相)よりもφだけ位相が遅れた定電
圧3相交流信号ρ,β,γを発生して、比較器29B2
に与える。
【0032】比較器29B2にはまた、三角波発生器3
0B2が3KHzの、定電圧三角波を与える。比較器2
9B2は、U相信号が正レベルのときには、それが三角
波発生器30B2が与える三角波のレベル以上のとき高
レベルH(トランジスタオン)で、三角波のレベル未満
のとき低レベルL(トランジスタオフ)の信号を、U相
の正区間宛て(U相正電圧出力用トランジスタ宛て)に
ゲ−トドライバ28B2に出力し、U相信号が負レベル
のときには、それが三角波発生器30B2が与える三角
波のレベル以下のとき高レベルHで、三角波のレベルを
越えるとき低レベルLの信号を、U相の負区間宛て(U
相負電圧出力用トランジスタ宛て)にゲ−トドライバ2
8B2に出力する。V相信号およびW相信号に関しても
同様である。ゲ−トドライバ28B2は、これら各相,
正,負区間宛ての信号に対応してトランジスタブリッジ
27B2の各トランジスタをオン,オフ付勢する。
【0033】これにより、電源接続端子ρ1には、電源
回路20F1が発生する3相交流のU相電圧よりφだけ
位相遅れたρ相電圧が出力され、電源接続端子β1には
電源回路20F1が発生する3相交流のV相電圧よりφ
だけ位相が遅れたβ相電圧が出力され、また電源接続端
子γ1には電源回路20F1が発生する3相交流のW相
電圧よりφだけ位相が遅れたγ相電圧が出力され、これ
らの電圧の上ピ−ク/下ピ−ク間レベルはコイル電圧指
令値VdcA1で定まる。この3相電圧の周波数は周波数
指令値Fdcで定まる。この実施例では位相差φを、φ=
0°,60°,120°,180°,240°,300
°の、60度単位で調整するようにしている。2π(3
60°)の間を連続的に(例えば1°単位)で調整する
ことも可能であるが、制御が細かく制御回路P2におけ
る位相差φ選択のための演算が複雑になりしかもそのた
めに整えておくべき参照デ−タが多くなるので、これら
を簡単にするために、この実施例では、上述のように6
0度刻みで調整するようにした。
【0034】なお、60°刻みの場合、3相信号発生器
31B2が発生する3相交流波の位相を、3相信号発生
器31A1が発生する3相交流波に対してφだけ遅られ
るということは、3相信号発生器31A1の発生する
U,V,Wの相信号の入れ換え、または反転(u,v,
w)と同等となる。つまり、各電源接続端子ρ1,β
1,γ1より出力される交流電圧の各相ρ,β,γを電
源回路20F1が出力する各相U,V,W(また、その
逆相u,v,w)で表すと、表1のようになる。表1に
は、電源接続端子ρ1,β1,γ1より出力される電圧
相を、位相差φ対応で示す。
【0035】
【表1】
【0036】すなわち、コイル電圧指令値VdcA1で指
定されたピ−ク電圧値(推力)の、電源回路20F1の
出力する3相交流電圧と同一周波数であるが、位相がφ
だけ遅れた3相交流電圧が、図1及び図3に示す第2リ
ニアモ−タ1Lの電気コイルL1〜L12に印加され
る。
【0037】図6に、図4に示す電源回路20F1の3
相信号発生器31A1の回路構成を示す。3相信号発生
器31A1に入力された周波数指令値Fdcは、VCO
(電圧制御発振器:電圧/周波数変換器)A2に与えら
れる。VCO A2は、この実施例では、周波数指令値
Fdcの電圧レベルによりその発振周波数が変化するアナ
ログサイン波を発振し、さらに2値化してパルス変換
し、指示された周波数Fdc×360 なる高周波パルス
PLを発生して、カウンタA3〜A5ならびに3相信号
発生器31B2のカウンタB3〜B5に、カウントパル
スとして与える。3相交流の周波数指示値Fdcが50H
zの場合、パルスPLの周波数は18000Hzであ
る。
【0038】カウンタA3,A4,A5は、到来するパ
ルスPLをカウントアップする。カウンタA3,A4,
A5のカウントデータがそれぞれROM A12,A1
3,A14の読み出しアドレスを指定する。カウンタA
3のカウントデ−タは、電源回路20L2に位相データ
DLとして与えられる。
【0039】ROM A12,A13,A14には、サ
イン波一周期のレベルデ−タが、1°区分(アドレス)
で格納されており、例えばこれらのROMのアドレス0
には、サイン波の位相0°のデ−タ(0)が、アドレス
90には上ピ−ク値デ−タが、アドレス180にはデ−
タ(0)が、アドレス270には下ピ−ク値デ−タが、
そしてアドレス359には、359°のデ−タが格納さ
れている。
【0040】カウンタA3のカウントデ−タ(DL)
と、ディップスイッチでなるコ−ド発生器A9が発生す
る360を表わすデ−タが一致判定器A6で比較され
て、両者が一致したとき、一致判定器A6がクリア信号
をカウンタA3に与える。これにより、カウンタA3の
カウントデ−タ(DL)は、,1,2,・・・,35
9,360(クリアにより0),1,2,・・・,35
9,360(クリアにより0),1,2,・・・と、パ
ルスPLの到来に同期して順次に0から359を表わす
ものに変化し、これを繰返す。これにより、パルスPL
の一周期を1°とするサイン波レベルデ−タが、ROM
A12より読み出され、D/Aコンバ−タA15でア
ナログ信号(サイン波:交流波形)に変換され、比較器
29A1にU相交流として与えられる。
【0041】一致判定回路A7が、カウンタA3のカウ
ントデ−タ(DL)が120になったときにカウンタA
4をクリアし、カウンタA4はパルスPLをカウントア
ップしてカウントデ−タを、アドレスデ−タとしてRO
M A13に与える。ROMA13からサイン波レベル
デ−タが読み出されてD/Aコンバ−タA16でアナロ
グ信号(サイン波:交流波形)に変換され、比較器29
A1にV相交流として与えられる。カウンタA3のカウ
ントデ−タが120のとき、カウンタA4のカウントデ
−タが0となるので、D/Aコンバ−タA16の出力サ
イン波(V相)は、D/Aコンバ−タA15の出力サイ
ン波(U相)より、120°遅れたものとなる。
【0042】一致判定回路A11が、カウンタA3のカ
ウントデ−タ(DL)が240になったときにカウンタ
A5をクリアし、カウンタA5はパルスPLをカウント
アップしてカウントデ−タを、アドレスデ−タとしてR
OM A14に与える。ROM A14からサイン波レ
ベルデ−タが読み出されてD/Aコンバ−タA17でア
ナログ信号(サイン波:交流波形)に変換され、比較器
29A1にW相交流として与えられる。カウンタA3の
カウントデ−タが240のとき、カウンタA5のカウン
トデ−タが0となるので、D/Aコンバ−タA17の出
力サイン波(W相)は、D/Aコンバ−タA15の出力
サイン波(U相)より、240°遅れたものとなる。
【0043】図7に、図5に示す電源回路20L2の3
相信号発生器31B2の回路構成を示す。電源回路20
F1より与えられるパルスPLは、カウンタB3,B
4,B5にカウントパルスとして与えられる。カウンタ
B3,B4,B5は、パルスPLをカウントアップす
る。カウンタB3,B4,B5のカウントデータがそれ
ぞれROM B12,B13,B14の読み出しアドレ
スを指定する。
【0044】ROM B12,B13,B14には、R
OM A12,A13,A14と同一のデ−タが格納さ
れている。
【0045】カウンタA3のカウントデ−タ(DL)
と、位相差指示デ−タ(φ)が一致判定器B8で比較さ
れて、両者が一致したとき、一致判定器B8がクリア信
号をカウンタB5に与える。すなわち、一致判定回路B
8が、カウンタB5のカウントデ−タ(DL)が指定位
相差φになったときにカウンタB5をクリアし、カウン
タB5はパルスPLをカウントアップしてカウントデ−
タを、アドレスデ−タとしてROM B14に与える。
ROM B14からサイン波レベルデ−タが読み出され
てD/Aコンバ−タB17でアナログ信号(サイン波:
交流波形)に変換され、比較器29B2にρ相交流とし
て与えられる。カウンタB5のカウントデ−タが指定位
相差φのとき、カウンタB5のカウントデ−タが0とな
るので、D/Aコンバ−タB17の出力サイン波(ρ
相)は、D/Aコンバ−タA15の出力サイン波(U
相)より、φ°遅れたものとなる。
【0046】一致判定回路B10が、カウンタB5のカ
ウントデ−タが120になったときにカウンタB4をク
リアし、カウンタB4はパルスPLをカウントアップし
てカウントデ−タを、アドレスデ−タとしてROM B
13に与える。ROM B13からサイン波レベルデ−
タが読み出されてD/Aコンバ−タB16でアナログ信
号(サイン波:交流波形)に変換され、比較器29B2
にβ相交流として与えられる。カウンタB5のカウント
デ−タが120のとき、カウンタB4のカウントデ−タ
が0となるので、D/Aコンバ−タB16の出力サイン
波(β相)は、D/Aコンバ−タB17の出力サイン波
(ρ相)より、120°遅れたものとなる。
【0047】一致判定回路B6が、カウンタB5のカウ
ントデ−タが240になったときにカウンタB3をクリ
アし、カウンタB3はパルスPLをカウントアップして
カウントデ−タを、アドレスデ−タとしてROM B1
2に与える。ROM B12からサイン波レベルデ−タ
が読み出されてD/Aコンバ−タB15でアナログ信号
(サイン波:交流波形)に変換され、比較器29B2に
γ相交流として与えられる。カウンタB5のカウントデ
−タが240のとき、カウンタB3のカウントデ−タが
0となるので、D/Aコンバ−タB15の出力サイン波
(γ相)は、D/Aコンバ−タB17の出力サイン波
(ρ相)より、240°遅れたものとなる。 再び図3
を参照されたい。制御回路P2は、電源回路20F1及
び電源回路20L2に同値の電圧指令値VdcA1を与
え、電源回路20F1に周波数指令値Fdcを与えるとと
もに、電源回路20L2には位相差指示信号φを与え
る。また、連続鋳造鋳型M1,M2,M3のそれぞれ側
辺付近の上部空間には、鋳型内空間の溶鋼表面(パウダ
が乗っていることもある)を狙う赤外線温度センサーt
1,t2,t3が配置されており、それ等の温度検出信
号が制御回路P2に与えられる。前述のように、電源回
路20F1の出力する3相交流電圧(U,V,W)の位
相は固定(基準)であるが、電源回路20L2の出力す
る3相交流電圧(ρ,β,γ)の位相は、それに与えら
れる位相差指示信号φにより、(U,V,W)に対して
φ°だけ遅れたものとなる。
【0048】制御回路P2は、温度センサ−t1,t
2,t3が検出した温度の高低分布(鋳型M1,M2,
M3単位)を、高温と検出した溶鋼部に強い電磁推力を
与える電磁推力分布に変換し、この電磁推力分布をもた
らす位相差φを、φ=0°,60°,120°,180
°,240°,300°と、60°づつ異る値の中より
選択し、選択したした位相差φを表わす位相差指示信号
φを、電源回路20L2の3相信号発生器31B2に与
える。
【0049】制御回路P2は、概略で言うと、赤外線温
度センサーt1,t2,t3の温度検出信号をデジタル
変換して読込み、各検出温度を時系列平均した平均値t
mを算出し、温度tmがあるしきい値th以上であると
高温、th未満であると低温と決定し、高温と決定した
鋳型内の溶鋼MMに対する駆動力(電磁推力)を高くし
(撹拌速度を上げる)、低温と決定した鋳型内の溶鋼M
Mに対する駆動力を下げる(撹拌速度を下げる)位相差
φ(図8,9)を選択する。つまり制御回路P2は、3
つの連続鋳造鋳型M1,M2,M3内の温度の高,低を
認識して、3つの連続鋳造鋳型M1,M2,M3内の溶
鋼MMの温度を平準化するに必要な電磁力(推力)分布
を生ずる相配置(第2リニアモ−タ1Lの電気コイルに
対する相割当)を選択する。そして、該相配置の電磁力
を生成する為に必要である、電源回路20F1の出力す
る3相交流電圧U,V,Wと電源回路20L2の出力す
る3相交流電圧ρ,β,γとの間の位相差φを電源回路
20L2に指示する。
【0050】図8及び図9に、位相差φ対応の第2リニ
アモータ1Lの各電気コイルL1〜L12の相配置(第
1リニアモ−タ1Eとの極性の関係を理解し易いように
U,u,V,v,W,wで示す:表1参照)及び各連続
鋳造鋳型M1,M2,M3内の溶鋼MMに作用する電磁
力(矢印;ベクトル)を示す。なお、図8および図9に
おいて、(a)および(d)には第1リニアモ−タ1E
の相配置(固定)をも示すが、他の図面(b),
(c),(e)および(f)には、第1リニアモ−タ1
Eの相配置の図示は省略した。
【0051】図10および図11に、制御回路P2の制
御動作を示す。電源がオンされると、制御回路P2は、
まず、レジスタ,デ−タメモリ等のクリアを行い、タイ
マJsをスタートさせる(ステップ1〜3)。以下、カ
ッコ内においてはステップという言葉を省略してステッ
プ番号のみを記す。
【0052】制御回路P2は次に、赤外線温度センサー
t1,t2,t3の温度検出信号をデジタル変換して読
込む。すなわち、各連続鋳造鋳型M1,M2,M3内の
溶鋼MM上表面(パウダが存在することもある)の温度
T1,T2,T3を読込む(4)。ここでは、温度T1
の書込みに割り当てられている、16個のデ−タの読み
/書き用の第1テ−ブル(メモリ領域)の、最も古いデ
−タを捨てて、今回読込んだ温度デ−タT1を追加書込
みし、同様に、温度T2の書込みに割り当てられてい
る、16個のデ−タの読み/書き用の第2テ−ブル(メ
モリ領域)の、最も古いデ−タを捨てて、今回読込んだ
温度デ−タT2を追加書込みし、同様に、温度T3の書
込みに割り当てられている、16個のデ−タの読み/書
き用の第3テ−ブル(メモリ領域)の、最も古いデ−タ
を捨てて、今回読込んだ温度デ−タT3を追加書込みす
る。
【0053】この処理を終えると制御回路P2は、フラ
グレジスタIFの内容が1であるかどうかを確かめ
(5)、IF=1(16回の読込みをすでに実行してい
る)でなければ次のステップ6に進んでカウントレジス
タの内容nに1を加算する。そしてnが16に満たなけ
ればタイマJsがオーバするの待ってステップ3に戻る
(6〜7→3)。すなわち、サンプリング周期Jsをも
って検出温度T1,T2,T3を読込む。16回の読込
みを終了すると、第1〜第3テ−ブルに、それぞれ過去
16回の読込みデ−タが満たされたことになる。そこで
制御回路P2は、フラグレジスタIFを1とする。ステ
ップ5において、平均値を算出する為に読み込んだ温度
データが平均値を算出するのに必要なだけの読み込みを
終了しているかどうかの判定を行うが、ここでIF=1
であれば、すなわち16回以上の読込みを繰返した後に
は、ステップ9に進む。
【0054】ステップ9では、読み込んで第1〜第3テ
−ブルにため込んだ温度データ(3組、各組16個)よ
り、各連続鋳造鋳型(M1,M2,M3)内の溶鋼MM
の温度T1,T2,T3の過去16回の値の平均値Tm
1,Tm2,Tm3を算出し、これを現時点における温
度とする。制御回路P2は、第1鋳型M1内の溶鋼MM
の温度の平均値Tm1,第2鋳型M2内の溶鋼MMの温
度の平均値Tm2、および、第3鋳型M3内の溶鋼MM
の温度の平均値Tm3を、それぞれ、しきい値Th(設
定値)と比較し、Th以上であると高、Th未満である
と低と見なして、3個の鋳型の判定した「高,低」の組
み合わせに対応して、「高」の鋳型の溶鋼には高推力を
与える相配置を決定する(10〜14)。そして電源回
路20F1と電源回路20L2の出力する3相交流電圧
が、該相配置をもたらす電磁力を生成する位相差φ(相
配置)を選択し、これを表わす位相差指示信号φを、電
源回路20L2に出力する(15〜26)。つまり、電
源回路20F1の出力する3相交流電圧(U,V,W)
の位相を基準とし、電源回路20L2に与える位相差指
示信号φにより、電源回路20L2の出力する3相交流
電圧(ρ,β,γ)の位相を、一周期(360度)のφ
/360だけ遅らせる。電源回路20L2は、上述のよ
うに、位相差指示信号φに従い、電源回路20F1の出
力する3相交流電圧(U,V,W)よりφだけ位相が遅
れた(相配置が変化した)3相交流電圧(ρ,β,γ)
を発生する。本実施例においてφは、φ=0°,60
°,120°,180°,240°,300°と60°
づつ異る値の中より、3個の鋳型の判定した「高,低」
の組み合わせに対応して選択される。
【0055】すなわち、各鋳型内の溶鋼MMの温度の平
均値Tm1,Tm2,Tm3がしきい値Th以上である
時を〔高〕,また、しきい値Thより低い時を〔低〕と
すれば、Tm1〔高〕,Tm2〔高〕,Tm3〔高〕の
時にはモードφ=0(図8の(a)対応)を選択して電源
回路20L2に出力する(ステップ17)。
【0056】Tm1〔高〕,Tm2〔高〕,Tm3
〔低〕の時にはモードφ=60(図8の(b)対応)を選
択して電源回路20L2に出力する(ステップ13)。
【0057】Tm1〔高〕,Tm2〔低〕,Tm3
〔高〕の時にはモードφ=300(図9の(f)対応)を
選択して電源回路20L2に出力する(ステップ1
5)。
【0058】Tm1〔高〕,Tm2〔低〕,Tm3
〔低〕の時にはモードφ=0(図8の(a)対応)を選択
して電源回路20L2に出力する(ステップ16)。
【0059】Tm1〔低〕,Tm2〔高〕,Tm3
〔低〕の時にはモードφ=120(図8の(c)対応)を
選択して電源回路20L2に出力する(ステップ2
6)。
【0060】Tm1〔低〕,Tm2〔高〕,Tm3
〔高〕の時にはモードφ=180(図9の(d)対応)を
選択して電源回路20L2に出力する(ステップ2
2)。
【0061】Tm1〔低〕,Tm2〔低〕,Tm3
〔高〕の時にはモードφ=240(図9の(e)対応)を
選択して電源回路20L2に出力する(ステップ2
4)。
【0062】また、Tm1〔低〕,Tm2〔低〕,Tm
3〔低〕の時にはモードφ=0(図8の(a)対応))を
選択して電源回路20L2に出力する(ステップ2
5)。
【0063】これにより、図8及び図9の(a)〜
(f)に矢印(ベクトル)で示すような推力が、3つの
連続鋳造装置M1,M2,M3の溶鋼MMに与えられ、
高温の溶鋼は強く旋回駆動され、水平断面における鋳型
内壁面に沿う流動速度が高くかつ温度の均一化が速く、
鋳型による冷却が均一に作用する。
【0064】以上のように、第2リニアモ−タ1Lの各
電気コイルL1〜L12に与える3相交流電圧の、第1
リニアモータ1Eの各電気コイルE1〜E12に与える
3相交流電圧に対する位相を、位相差指示信号φ(相配
置)を切換えることにより変化させることにより、各鋳
型内の溶鋼に与える流動駆動推力を調整することができ
る。赤外線温度センサ−t1〜t3で各鋳型の溶鋼温度
を検出し、制御回路P2で温度分布(鋳型単位)を判定
し温度分布に対応してそれを均一化するに適した推力分
布をもたらす位相差φ(相配置)を選択して、電源回路
20L2に3相交流の位相差を指示するので、高温の溶
鋼の流動速度が速くなり鋳型による冷却が均一に作用す
る。リニアモ−タ1E,1Lを複数個の鋳型に共通に配
設するので、リニアモ−タの配設が容易である。
【0065】また、位相を連続にした結果を、図12に
示す。電磁トルクが、位相により連続に変化することが
わかる。
【0066】なお、上記実施例は、1組のリニアモ−タ
1E,1Lを用いたものであるが、同様なリニアモ−タ
をz方向に更に配列して、z方向各位置で水平断面上の
流速分布を調整するようにしてもよい。また、上記実施
例は、3個の鋳型を対象とするものであるが、その数に
格別な制限はなく、1個でも4個以上でも同様に適用し
うる。1個の場合は、1つの鋳型内の、連続した溶鋼を
y方向に仮想領域区分して、各領域を一単位(図1の1
つの鋳型に相当)として、上述の実施例と同様に位相差
を調整すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の、鋳型に対するリニアモ
−タの配置を示す水平断面図である。
【図2】 図1に示す第2鋳型M2,リニアモータ1E
及びリニアモータ1Lの縦断面図(図1の2A−2A線
断面図)である。
【図3】 図1に示す実施例の全体構成を示すブロック
図である。
【図4】 図3に示す電源回路20F1の構成を表す電
気回路図である。
【図5】 図3に示す電源回路20L2の構成を表す電
気回路図である。
【図6】 図4に示す3相信号発生器31A1の構成を
表すブロック図である。
【図7】 図5に示す3相信号発生器31B2の構成を
表すブロック図である。
【図8】 (a)は、電源回路20L2の3相信号発生
器31B2にφ=0が指示された時の、リニアモータ1
Lの相配置及び連続鋳造鋳型M1,M2,M3内の溶鋼
MMに加わる電磁力(推力)を示すブロック図、(b)
は、3相信号発生器31B2にφ=60が指示された時
のリニアモータ1Lの相配置及び電磁力を示すブロック
図、(c)は、3相信号発生器31B2にφ=120が
指示された時のリニアモータ1Lの相配置及び電磁力を
示すブロック図である。
【図9】 (d)は、電源回路20L2の3相信号発生
器31B2にφ=180が指示された時のリニアモータ
1Lの相配置及び連続鋳造鋳型M1,M2,M3内の溶
鋼MMに加わる電磁力を示すブロック図、(e)は、3
相信号発生器31B2にφ=240が指示された時のリ
ニアモータ1Lの相配置及び電磁力を示すブロック図、
(f)は、3相信号発生器31B2にφ=300時のリ
ニアモータ1Lの相配置及び電磁力を示すブロック図で
ある。
【図10】 制御回路P2の制御動作の一部を示すフロ
ーチャートである。
【図11】 制御回路P2の制御動作の残部を示すフロ
−チャ−トである。
【図12】 位相を連続に変えたときの電磁トルク図で
ある。
【符号の説明】
1E,1L:リニアモータ 20F1,20L
2:電源回路 1E,1L,La,Lb:電磁石コア Ea,Eb:補
助コア E1〜E12,L1〜L12:電気コイル MM:溶
融金属 M11,M21,M31:非磁性ステンレス板 M12,M22,M
32:銅板 M1,M2,M3:連続鋳造鋳型 P2:制御
回路 t1,t2,t3:赤外線温度センサー U,V,W,ρ,
β,γ:交流電圧 U11,V11,W11,ρ1,β1,γ1:電源接続端子 VCO:
電圧制御発振器
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−38559(JP,A) 特開 平6−182511(JP,A) 特開 平5−146854(JP,A) 特開 平6−182518(JP,A) 特開 平4−200849(JP,A) 特開 昭63−183761(JP,A) 特開 昭62−279060(JP,A) 特開 平7−24559(JP,A) 特開 平6−182517(JP,A) 特開 平7−256142(JP,A) 特開 平8−90169(JP,A) 特開 平8−206800(JP,A) 実開 平2−16251(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/115 B22D 11/00 B22D 11/04 311 B22D 11/16 104

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】x方向に延びy方向に分布する複数個のス
    ロットを有する電磁石コアおよびスロットに装着された
    複数個の電気コイルを有する第1リニアモ−タ; スロットの配列方向yに沿う推力を溶融金属に与える位
    相差がある交流電圧を、第1リニアモ−タの電気コイル
    に印加する第1通電手段; x方向に延びy方向に分布する複数個のスロットを有す
    る電磁石コアおよびスロットに装着された複数個の電気
    コイルを有し、溶融金属を間に置いて第1リニアモ−タ
    に対向する第2リニアモ−タ; 第1通電手段が第1リニアモ−タに印加する交流電圧に
    対して、位相差指示信号が示す位相差を有する交流電圧
    を、第2リニアモ−タの電気コイルに印加する第2通電
    手段;溶融金属の温度分布を検出する検出手段; および、該検出手段が検出した温度分布に対応して、溶融金属の
    高温部分に加わる推力が高くなる位相差を選択し、この
    位相差を表す 位相差指示信号を第2通電手段に与える位
    相制御手段; を備える溶融金属の流動制御装置。
  2. 【請求項2】x方向に延びy方向に分布する複数個のス
    ロットを有する電磁石コアおよびスロットに装着された
    複数個の電気コイルを有する第1リニアモ−タ; スロットの配列方向yに沿う推力を溶融金属に与える位
    相差がある交流電圧を、第1リニアモ−タの電気コイル
    に印加する第1通電手段; x方向に延びy方向に分布する複数個のスロットを有す
    る電磁石コアおよびスロットに装着された複数個の電気
    コイルを有し、溶融金属を間に置いて第1リニアモ−タ
    に対向する第2リニアモ−タ; 第1通電手段が第1リニアモ−タに印加する交流電圧に
    対して、位相差指示信号が示す位相差を有する交流電圧
    を、第2リニアモ−タの電気コイルに印加する第2通電
    手段;溶融金属の温度分布を検出する検出手段; および、該検出手段が検出した温度分布に対応して、溶融金属の
    高温部分に加わる推力が高くなる位相差を選択し、この
    位相差を表す 位相差指示信号を第2通電手段に与え、交
    流電圧指示信号を前記第1通電手段および第2通電手段
    に与える制御手段; を備える溶融金属の流動制御装置。
  3. 【請求項3】x方向に延びy方向に分布する複数個のス
    ロットを有する電磁石コアおよびスロットに装着された
    複数個の電気コイルを有する第1リニアモ−タ; スロットの配列方向yに沿う推力を溶融金属に与える位
    相差がある交流電圧を、第1リニアモ−タの電気コイル
    に印加するための第1通電手段; x方向に延びy方向に分布する複数個のスロットを有す
    る電磁石コアおよびスロットに装着された複数個の電気
    コイルを有し、並設された複数個の溶融金属鋳型を間に
    置いて第1リニアモ−タに対向する第2リニアモ−タ; 第1通電手段が第1リニアモ−タに印加する交流電圧に
    対して、位相差指示信号が示す位相差を有する交流電圧
    を、第2リニアモ−タの電気コイルに印加する第2通電
    手段;溶融金属の温度分布を検出する検出手段; および、該検出手段が検出した各鋳型内溶融金属の温度に対応し
    て、温度が高い溶融金属がある鋳型内の溶融金属に加わ
    る推力が高くなる位相差を選択し、この位相差を表す
    相差指示信号を第2通電手段に与える位相制御手段; を備える溶融金属の流動制御装置。
  4. 【請求項4】x方向に延びy方向に分布する複数個のス
    ロットを有する電磁石コアおよびスロットに装着された
    複数個の電気コイルを有する第1リニアモ−タ; スロットの配列方向yに沿う推力を溶融金属に与える位
    相差がある交流電圧を、第1リニアモ−タの電気コイル
    に印加するための第1通電手段; x方向に延びy方向に分布する複数個のスロットを有す
    る電磁石コアおよびスロットに装着された複数個の電気
    コイルを有し、並設された複数個の溶融金属鋳型を間に
    置いて第1リニアモ−タに対向する第2リニアモ−タ; 第1通電手段が第1リニアモ−タに印加する交流電圧に
    対して、位相差指示信号が示す位相差を有する交流電圧
    を、第2リニアモ−タの電気コイルに印加する第2通電
    手段;溶融金属の温度分布を検出する検出手段; および、該検出手段が検出した各鋳型内溶融金属の温度に対応し
    て、温度が高い溶融金属がある鋳型内の溶融金属に加わ
    る推力が高くなる位相差を選択し、この位相差を表す
    相差指示信号を第2通電手段に与え、交流電圧指示信号
    を前記第1通電手段および第2通電手段に与える制御手
    段; を備える溶融金属の流動制御装置。
JP09205795A 1995-04-18 1995-04-18 溶融金属の流動制御装置 Expired - Fee Related JP3172651B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09205795A JP3172651B2 (ja) 1995-04-18 1995-04-18 溶融金属の流動制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09205795A JP3172651B2 (ja) 1995-04-18 1995-04-18 溶融金属の流動制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08290249A JPH08290249A (ja) 1996-11-05
JP3172651B2 true JP3172651B2 (ja) 2001-06-04

Family

ID=14043873

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09205795A Expired - Fee Related JP3172651B2 (ja) 1995-04-18 1995-04-18 溶融金属の流動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3172651B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08290249A (ja) 1996-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100202471B1 (ko) 연속 주조 방법 및 장치
US6337566B1 (en) Continuous casting apparatus using a molten metal level gauge
JP3172651B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
JP2002313547A (ja) 板材用誘導加熱装置
JP3138611B2 (ja) 連続鋳造鋳型内溶融金属の流動制御装置
WO1989011362A1 (en) Injector for high speed thin continuous casting machine and pouring control method
JPH08206800A (ja) 溶融金属の流動制御装置
JPH09136147A (ja) 導電体の回転駆動装置
JP3452709B2 (ja) 移動磁界発生装置
JP3089176B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
JP3006991B2 (ja) 連続鋳造装置
JP3273107B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
JP2000324899A (ja) 回転機械を調節する方法、および回転機械用の電源回路
JP3067916B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
TW302310B (ja)
JP3145021B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
JP3545540B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
JP3124214B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
JP3164748B2 (ja) 誘導モータの制御装置
JP3533047B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
JPH0815643B2 (ja) 幅可変薄スラブ連続鋳造機の湯面レベル制御方法
JP3041182B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置
JPH0649220B2 (ja) 連続鋳造機のリニアモータ装置およびその制御方法
JPH07123765A (ja) 同期電動機の制御装置
JP3067941B2 (ja) 溶融金属の流動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20010306

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees