JP3172056B2 - 角形鋼管型サンドイッチ構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、土木・建築分野におけ
る鋼構造にコンクリートを組み込んだ合成構造（以下サ
ンドイッチ構造と呼ぶ）、例えば工場設備の地下ピット
・建築物の壁体等を形成する構造物に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物の擁壁を築造する際、一般的に鉄
筋コンクリートが採用されている。しかし、現場施工を
主体とし、堀削・コンクリートの型枠組み・鉄筋籠の組
立・型枠の脱型等、多くの人手を要し現場工程が長い。
更に高水圧下での止水性にも問題がある。これらの課題
を克服するため、鋼板にコンクリートの型枠機能を持た
せたサンドイッチ構造が開発されている。

【０００３】例えば構造工学論文集（1993年３月、Vol.
39A,P.1465〜1477）には、図４に示すように、軽量溝形
鋼４を両側の外殻鋼板として用い、そのリブにラチス材
５を溶接し、その中にコンクリートを打設するプレファ
ブ型の壁体構造の開発が開示されている。図４の (a)は
鋼殻構造のコンクリート打設前、 (b)はコンクリート打
設後を示す。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記文献のようなサン
ドイッチ構造では、適用される形鋼は鉄筋コンクリート
で必要とされてきた型枠の役割を果たす。更に、鉄筋コ
ンクリートにおける鉄筋が受け持っていた荷重分担の機
能を形鋼が担うようにしている。また、ラチス材に剪断
補強筋としての機能を持たせることで、高耐荷能力を確
保している。そして、形鋼を連続して配置することによ
り止水性を確保できる。従って、このようなサンドイッ
チ構造では、以上のようなことから現場施工の省力化を
実現できる。

【０００５】しかし、このサンドイッチ構造を実現する
には、次のような問題点が挙げられる。まず工場製作に
おいて、一つの鋼殻構造を形成する際、ウェブ材として
軽量溝形鋼４と丸鋼のラチス材５とを溶接する時、内向
する形鋼リブを所定の位置に溶接することの難しさが挙
げられる。また溶接量も多い。更に鋼殻同士を溶接する
際にも、手間と多くの時間を要する。

【０００６】また、鋼殻を形成してから施工現場へ運搬
するため、量が嵩み一度に運搬できる量も制限される。
更に現場でも鋼殻同士を溶接するため、工場製作から現
場までの工程・工期も長期に亘る。特に溶接に関して
は、ある程度熟練した技術者を要するため、その人員の
確保並びに人件費の面でも負担となる。本発明は、鋼殻
形成の際のつなぎ部の加工作業を省力化した、特にエレ
メントで小分割する角形鋼管型のサンドイッチ構造の提
供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的達成
のため、隣接する角形鋼管の対向する面同士を溶接で連
結し、つなぎ部内面に複数個の孔を設けた建築物の壁体
を形成することを特徴とする角形鋼管型サンドイッチ構
造を要旨とする。本発明の角形鋼管型サンドイッチ構造
では、角形鋼管の対向した両側面に角形鋼管を連結した
ブロック体を予め形成し、後でこのブロック体同士を連
結することによって壁体を形成することもできる。ま
た、コンクリートと鋼殻の付着向上のため、つなぎ部内
面に孔を設けることが効果的である。また、コンクリー
ト打設時に、トレミー管等を一箇所に配置するだけで、
隅々までコンクリートを充填させることができる。

【０００８】

【作用】本発明の角形鋼管型サンドイッチ構造では、角
形鋼管の側面を連結するのみで、従来技術よりも溶接作
業の低減を図れる。更に、上記構成のため、製作の加工
手間が簡略化される。また、角型のもの同士を連結する
ため溶接作業も容易である。工場製作段階で溶接された
鋼殻は、従来型のものより剛性が高いため、運搬時に与
える影響も少なくて済む。また、鋼殻建て込み時も、剛
性が高いため施工が容易である。以上の結果、工場製作
から現場施工までのトータル的な省力化が図れると共
に、工期も大幅に短縮される。

【０００９】

【実施例】本発明の角形鋼管を用いるサンドイッチ構造
の例について述べる。図１は溶接後の鋼殻を部分的に切
欠いた概略斜視図、図２は鋼殻を鉛直方向から見た断面
図である。角形鋼管１同士の対向面は溶接で連結する。
その溶接箇所は必要に応じて適宜選択すればよい。角形
鋼管１は、市販の既製品特にＵコラムを適用するのが、
製造コストの面で有利である。

【００１０】図１では、コンクリートと鋼殻の付着強化
のため、つなぎ部内面に複数の孔２を設けてある。図１
では角形の孔を示しているが、孔の形状はそれ以外に丸
形でもどんな形状でも構わない。また、孔の配列も任意
で適宜決定してよい。

【００１１】上記のようにして製造された鋼殻構成用の
部材は、施工現場で互いに角型のもの同士を連結溶接す
るため、精度が良く施工も簡単である。連結終了後は図
３に示すように鋼殻内部にコンクリート３を打設し、サ
ンドイッチ構造の壁体を構築する。なお、上記実施例に
おいて、図１及び図２に示したようなブロック体を予め
形成しておき、施工現場でこれらのブロック体を連結し
て壁体を構築することもできる。

【００１２】

【発明の効果】本発明は、従来技術と比べ施工性・工期
の面で著しく優れ、その結果トータル的なコスト面での
低下を期待できる。更に鋼殻のリブとして、側面連結部
が剛性確保に寄与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の角形鋼管型サンドイッチ構造の一実施
例を構成する鋼殻の嵌合後の斜視図。

【図２】図１の鋼殻を鉛直方向から見た断面図。

【図３】図１の鋼殻構造にコンクリートを打設した後の
角形鋼管型サンドイッチ構造の斜視図。

【図４】(a),(b) は従来のプレファブ型の壁体構造の斜
視図。

【符号の説明】

１：角形鋼管 ２：孔 ３：コンクリート ４：軽量溝形鋼（ 250×75×6 ） ５：ラチス材（丸鋼）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−78915（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−169911（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−237714（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−321249（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−91597（ＪＰ，Ｕ) 実開 平６−74629（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E02D 5/02 - 5/20 E02D 29/00 E02D 29/045 - 29/055

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 隣合う角形鋼管の対向する面同士を溶接
   で連結し、つなぎ部内面に複数個の孔を設けた建築物の
   壁体を形成することを特徴とする角形鋼管型サンドイッ
   チ構造。