JPH08269943A

JPH08269943A - 面内嵌合型サンドイッチ構造

Info

Publication number: JPH08269943A
Application number: JP9748495A
Authority: JP
Inventors: Masato Tsujii; 正人辻井; Yoshihiro Takano; 良広高野; Hiroaki Nakayama; 裕章中山
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1995-03-31
Filing date: 1995-03-31
Publication date: 1996-10-15

Abstract

(57)【要約】【目的】鋼殻形成の際の溶接を極小とし、従来よりも
加工手間の低減・工場製作から現場施工までのトータル
的な省力化を達成した継ぎ手構造、特に面内で嵌合する
サンドイッチ構造について提供する。【構成】対向する鋼板１ａ，１ｂの内面相互を、嵌合
型継ぎ手３ａ，３ｂを有するウェブ材２ａ，２ｂで連結
し、壁体を形成する面内嵌合型サンドイッチ構造とす
る。継ぎ手の嵌合は矢板型嵌合あるいは雄・雌材継ぎ手
型嵌合である。更に、嵌合型継ぎ手を有するウェブ材２
ａ，２ｂの面内に複数個の孔４ａ，４ｂを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、土木・建築分野におけ
る鋼構造にコンクリートを組み込んだ合成構造（以下、
サンドイッチ構造と言う）、例えば工場設備の地下ピッ
ト・建築物の壁体等を形成するための構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物の擁壁を築造する際、一般的に鉄
筋コンクリート工法が採用されている。しかし、現場施
工を主体とし、掘削・コンクリートの型枠組み・鉄筋籠
の組立・型枠の脱型等、多くの人手を要し現場工程が長
い。更に高水圧下での止水性にも問題がある。これらの
課題を克服するため、軽量溝形鋼にコンクリート打設用
の型枠の機能を持たせたサンドイッチ構造が開発されて
いる。例えば、構造工学論文集（1993年３月VOL.39A,P.
1465〜1477）には、図７及び図８に示すように、直列に
接続された軽量溝形鋼７（２５０×７５×６ｍｍ）から
なる壁版を間隔をおいて配置し、対向する軽量溝形鋼７
にわたってラチス材８を溶接し、その壁版間にコンクリ
ート６を打設するプレファブ型の壁体構造の開発が開示
されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のような開示され
たサンドイッチ構造物では、適用される軽量溝形鋼７
は、鉄筋コンクリート壁を築造する時に必要とされてき
た型枠の役割を果たす。更に、鉄筋コンクリートにおけ
る鉄筋が受け持っていた荷重分担の機能を軽量溝形鋼７
が担う。また、ラチス材８にせん断補強筋としての機能
を持たせることで高耐荷能力を確保する。そして、軽量
溝形鋼７を連続して配置することにより止水性を確保で
きる。従って、このようなサンドイッチ構造では、以上
のようなことから現場施工の省力化を実現できる。しか
し、このサンドイッチ構造を実現するには以下のような
問題点が挙げられる。まず工場製作において、１つの鋼
殻構造を形成する際、ウェブ材として軽量溝形鋼７の側
板１１とラチス材８（丸鋼）とを溶接する時、ラチス材
８を対向する側板１１（鋼板）の所定の位置へ溶接する
ことの難しさが挙げられる。また溶接量も多い。更に鋼
殻同士を溶接する際にも、手間と多くの時間を要する。
また、鋼殻を形成してから施工現場へ運搬するため、量
が嵩み一度に運搬できる量も制限される。更に現場でも
鋼殻同士を溶接するため、工場製作から現場までの工程
・工期も長期に亘る。特に溶接に関しては、熟練した技
術者を要するため、その人員の確保並びに人件費の面で
も負担となる。本発明では、鋼殻１０の形成の際の溶接
を極小とし、従来よりも加工手間の低減・工場製作から
現場施工までのトータル的な省力化を達成した継ぎ手構
造、特に面内（壁面内）で嵌合するサンドイッチ構造に
ついて提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的達成
のため、対向する鋼板１ａ，１ｂの内面相互を、嵌合型
継ぎ手３ａ，３ｂを有するウェブ材２ａ，２ｂで連結
し、壁体９を形成する面内嵌合型サンドイッチ構造を要
旨とする。本発明の面内嵌合型サンドイッチ構造では、
継ぎ手３ａ，３ｂの嵌合は矢板型嵌合あるいは雄・雌材
継ぎ手型嵌合であれば、本発明の効果を得る上で好適で
ある。更には、嵌合型継ぎ手を有するウェブ材２ａ，２
ｂの面内に複数個の孔４ａ，４ｂを設けることは鋼殻１
０とコンクリート６との付着向上に効果的であると共
に、コンクリート６の打設時にトレミー管等を一箇所に
配置するだけで、隅々までコンクリート６を充填させる
ことができる。

【０００５】

【作用】本発明の面内嵌合型サンドイッチ構造では、対
向する鋼板１ａ，１ｂ間を嵌合継ぎ手３ａ，３ｂを有す
るウェブ材２ａ，２ｂを介して連結するようになってい
ることから、溶接作業は工場段階で鋼板１ａ，１ｂとウ
ェブ材２ａ，２ｂを溶接するのみで現場での溶接作業は
不要となり、従来技術よりも大幅な現場溶接の低減がで
きる。また、上記構成とすることによって製作の加工手
間が簡素化される。そして、現場での鋼殻１０の形成
は、継ぎ手３ａ，３ｂを嵌合させるだけであるから現場
施工作業が大幅に簡略化され、作業時間も短くて済む。
以上の結果、工場製作から現場施工までのトータル的な
省力化が図れるとともに工期も大幅に短縮される。

【０００６】

【実施例】次に本発明を図示の例に基づいて説明する。
まず本発明の一例の矢板型の嵌合継ぎ手を有するサンド
イッチ構造について説明する。図１は嵌合後の鋼殻１０
を部分的に切欠いた概略斜視図、図２は鋼殻１０を鉛直
方向から見た断面図である。対向する各鋼板１ａ，１ｂ
の内面側には、それぞれ一端側に上下方向に延長する嵌
合継ぎ手３ａ，３ｂを有するウェブ材２ａ，２ｂの他端
側が上下方向に配置されて溶接により固着され、かつ前
記継ぎ手を有するウェブ材２ａ，２ｂは、左右方向に間
隔をおいて複数設けられて、各鋼殻構成用部材１２ａ，
１２ｂが構成され、対向する各鋼板１ａ，１ｂ相互の嵌
合継ぎ手３ａ，３ｂによって嵌合されて鋼殻１０を構成
している。そして、各ウェブ材２ａ，２ｂには、上下方
向に間隔をおいて複数の孔４ａ，４ｂがそれぞれ設けら
れている。

【０００７】図１に例示した面内嵌合型サンドイッチ構
造では、まず鋼殻１０を構成する部材として、例えば幅
３ｍ×高さ４ｍのような大きな幅を持つ鋼板１ａ，１ｂ
に、一端側に上下方向に延長する嵌合継ぎ手３ａ，３ｂ
を有するウェブ材２ａ，２ｂを左右方向に間隔をおいて
複数配置し、前記ウェブ材２ａ，２ｂの他端側を溶接等
で接合し固着して各鋼殻構成用部材１２ａ，１２ｂを構
成する。嵌合継ぎ手３ａ，３ｂを有するウェブ材２ａ，
２ｂは、市販の鋼矢板を長手方向に等分割したものを適
用するのが作業上および製造コストの面でも有利であ
る。その他に嵌合継ぎ手部をウェブ材２ａ，２ｂに接合
したものも適用してさしつかえない。なお、ウェブ材２
ａ，２ｂの面内には複数の孔４ａ，４ｂを設けておくと
鋼殻１０とコンクリート６の付着強化に効果的である。
図１では、角形の孔４ａ，４ｂを示しているが、孔４
ａ，４ｂの形状は角形以外に丸形あるいはその他任意の
形状でもよい。また、孔の配列も任意の適宜の配列でよ
い。

【０００８】上記のようにして製造された鋼殻構成用部
材１２ａ，１２ｂは、施工現場でお互いの継ぎ手３ａ，
３ｂを嵌合しながら建込むので、建込み精度がよく、施
工時間も短い。嵌合が終了したのちは、図３に示すよう
に、鋼殻内部にコンクリート６を打設し、サンドイッチ
構造の壁体９を構築する。

【０００９】次に他の本発明の実施例として、継ぎ手が
雄・雌材継ぎ手嵌合であるサンドイッチ構造について説
明する。図４は、嵌合後の鋼殻１０を部分的に切欠いた
概略斜視図で、図５は鋼殻１０を鉛直方向から見た断面
図である。この例では、鋼板１ａに、上下方向に延長す
ると共に左右方向に間隔をおいて配置された複数の雌型
嵌合継ぎ手５ａを溶接により固着した鋼殻構成用部材１
２ａと、鋼板１ｂに、雄型嵌合継ぎ手５ｂを有する複数
のウェブ材２ｂを溶接により固着した鋼殻構成用部材１
２ｂとを、各継ぎ手５ａ，５ｂの部分で嵌合することに
より鋼殻１０が形成されている。そして、雄型嵌合継ぎ
手５ｂを有するウェブ材２ｂには複数の孔４ｃが上下方
向に間隔をおいて設けられている。

【００１０】図４および図５の場合の施工手順について
説明すると、図１および図２の場合と同様に、大きな幅
をもつ鋼板１ａ，１ｂを鋼殻構成用部材１２ａ，１２ｂ
を構成するための部材として用い、一方の鋼板１ａの内
側には、上下方向に延長する雌型嵌合継ぎ手５ａを左右
方向に間隔をおいて複数配置して溶接等で接合固着して
ユニット化した鋼殻構成用部材１２ａを構成し、他方の
鋼板１ｂには上下方向に延長する雄型嵌合継ぎ手５ｂを
有するウェブ材２ｂを複数配置して溶接等で接合固着し
てユニット化した鋼殻構成用部材１２ｂを構成する。そ
して、図６に示すように、各ユニット化した鋼殻構成用
部材１２ａ，１２ｂにおける前記各継ぎ手５ａ，５ｂ相
互を嵌合して建込み鋼殻１０を形成したのちにコンクリ
ート６を打設してサンドイッチ構造の壁体９を構築す
る。なお、図４では、雌型嵌合継ぎ手５ａの形状は、パ
イプ状部材（鋼管）にスリット開口１３を設けた断面一
部切欠円形ものであるが、その形状は前記の形状に限る
ものではなく、角形その他の嵌合継ぎ手としての機能を
有するものであれば形状は任意形状でよい。また、雄型
嵌合継ぎ手５ｂについても、図示したＴ型でなく、円盤
型，円筒状あるいは円柱状その他の任意の形状でもよ
い。

【００１１】雄・雌型嵌合継ぎ手５ａ，５ｂに関して
は、図４，図５の変形例として、雌型継ぎ手５ａを直接
鋼板１ａに接合するのではなく、一端側に雌型嵌合継ぎ
手５ａを有するウェブ材２ａの他端側を鋼板１ａに溶接
により接合するのも可能である。

【００１２】また、雄型嵌合継ぎ手５ｂと雌型嵌合継ぎ
手５ａをそれぞれの鋼板１ａ，１ｂに接合配置する配列
についても、一方の鋼板１ａに雄型または雌型の１つの
継ぎ手のみを配置するだけでなく、１つの鋼板に雄型と
雌型の継ぎ手を交互に、あるいはランダムに配置しても
かまわない。

【００１３】本発明を実施して連続した鋼殻１０を築造
する場合、直列に配置される隣り合う鋼板１ａ，１ａを
溶接により固着してもよい。また鋼板１ａ，１ａの両端
部に、それぞれ上下方向に延長する継手を溶接により固
着して設けることにより、直列に配置される隣り合う鋼
板１ａ，１ａを継手を介して連結してもよく、また継手
相互を溶接により固定してもよい。

【００１４】本発明を実施する場合、壁面内において継
手相互を嵌合する面内嵌合型の継手の嵌合方式として、
公知の鋼矢板に適用されている引張力に対応できる嵌合
方式であれば、適宜の嵌合方式を採用してもよい。また
鋼板１ａ，１ｂの内面又はウェブ材２ａ，２ｂにジベル
を設けてもよい。

【００１５】

【発明の効果】本発明は従来技術と比べ、構造が簡単で
あると共に強固であるサンドイッチ構造の構造物を築造
することができ、しかも施工性・工期の面で著しく優
れ、その結果トータル的なコストを低減することができ
る。更に嵌合継ぎ手が壁体に作用するせん断力に対して
引張り材として働くため、せん断補強の向上にもつなが
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の嵌合型サンドイッチ構造の一実施例を
構成する鋼殻の嵌合後の一部切欠斜視図である。

【図２】図１の鋼殻を鉛直方向から見た平面図である。

【図３】図１の鋼殻構造にコンクリートを打設した後の
嵌合型サンドイッチ構造の一部切欠斜視図である。

【図４】本発明の他の実施例における鋼殻の斜視図であ
る。

【図５】図４の鋼殻を鉛直方向から見た平面図である。

【図６】図４にコンクリートを打設した後のサンドイッ
チ構造の斜視図である。

【図７】従来のプレファブ型の壁体構造（コンクリート
打設前の状態）を示す一部縦断斜視図である。

【図８】従来のプレファブ型の壁体構造にコンクリート
を打設した状態を示す一部縦断斜視図である。

【符号の説明】

１ａ鋼板１ｂ鋼板２ａウェブ材２ｂウェブ材３ａ嵌合継ぎ手３ｂ嵌合継ぎ手４ａ孔４ｂ孔４ｃ孔５ａ雌型嵌合継ぎ手５ｂ雄型嵌合継ぎ手６コンクリート７軽量溝形鋼８ラチス材（丸鋼）９壁体１０鋼殻１１側板１２ａ鋼殻構成用部材１２ｂ鋼殻構成用部材１３スリット

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】対向する鋼板１ａ，１ｂの内面相互を、
嵌合型継ぎ手３ａ，３ｂを有するウェブ材２ａ，２ｂで
連結し、壁体９を形成する面内嵌合型サンドイッチ構
造。
【請求項２】継ぎ手３ａ，３ｂの嵌合が矢板型嵌合で
ある請求項１の面内嵌合型サンドイッチ構造。
【請求項３】継ぎ手３ａ，３ｂの嵌合が雄・雌材継ぎ
手型嵌合である請求項１の面内嵌合型サンドイッチ構
造。
【請求項４】嵌合型継ぎ手３ａ，３ｂを有するウェブ
材２ａ，２ｂの面内に複数個の孔４ａ，４ｂを設けた請
求項１，２または３の面内嵌合型サンドイッチ構造。