JP4537795B2 - ボックスカルバートの構築方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、配管用共同溝や水路等に供されるボックスカルバートの構築方法に関する。
ボックスカルバートの構築方法には、大別して、特許文献1〜3に記載されているように、コンクリート二次製品(プレキャストコンクリート部材)のみによる方法(例えば、掘削後、捨てコンクリートを打設し、翌日、墨出し後、コンクリート二次製品を捨てコンクリート上に順次設置し、PC鋼材等で互いに接合して行く方法)と、コンクリートの現場打ちのみによる方法(例えば、掘削後、捨てコンクリートを打設し、翌日、墨出し後、配筋、型枠工事、コンクリート打設といった一連のコンクリートの現場打ち作業を行う方法)とがあるが、これらによる場合は、次のような問題点があった。
即ち、距離の長いボックスカルバートを構築する場合、ボックスカルバートの全長をコンクリート二次製品で構築することは、短い工期で施工することが可能であるという利点を有する半面、コンクリート二次製品の輸送費や保管費が嵩み、コストが高く付くという問題点がある。殊に、コンクリート二次製品の発注から工事着手までに十分な時間がない場合、多数の製造用型枠を用いて短期間に必要個数のコンクリート二次製品を製造することが必要になるから、コストが非常に割高となるのである。
また、距離の長いボックスカルバートの全長をコンクリートの現場打ち施工とした場合は、コンクリート二次製品のみによる施工に比べコストは安く付くが、長手方向の何ヶ所にもコンクリートの打継ぎが発生するため、打継ぎ部毎に、端面型枠から補強鉄筋を貫通させるといった煩わしさが伴い、配筋作業、型枠工事、脱型作業が複雑化して、施工効率が悪くなり、工期が長期化することが多い。
尚、特許文献1では、底版部の大部分をコンクリートの現場打ちによって構築する一方、頂版部をコンクリート二次製品とそれに重ねて打設した現場打ちコンクリートとの合成構造とすることにより、規格品のコンクリート二次製品を用いて、所望の厚さの頂版部が得られるようにしているが、コンクリート二次製品同士を長手方向に接合してボックスカルバートを構築しているから、特許文献1に記載の方法は、コンクリート二次製品のみによるボックスカルバートの構築方法に分類される。特許文献2では、底版部をコンクリートの現場打ちによって構築し、側壁用のT型コンクリートブロックの控壁部を中空構造として、内部にコンクリートを現場打ちする一方、コンクリートの現場打ちによって頂版部用コンクリートブロックと側壁用T型コンクリートブロックとを結合しているが、T型コンクリートブロック同士や頂版部用コンクリートブロック同士を長手方向に接合してボックスカルバートを構築している点では、特許文献2に記載の方法も、特許文献1に記載の方法と大同小異であり、コンクリート二次製品のみによるボックスカルバートの構築方法に分類できる。
また、特許文献4には、コンクリートスラブや土間コンクリート等の版状鉄筋コンクリートを構築するにあたり、ウエブとその上下に一体成形された上,下部フランジとからなる断面「工」字型のプレキャストコンクリート製仕切部材を打継ぎ計画線に沿って型枠上に配置し、上,下部フランジに形成された水平な貫通孔にウエブと直行する方向のスラブ鉄筋を挿通した後、仕切部材までコンクリートを現場打ちし、しかる後、仕切部材の反対側にコンクリートを打設する打継ぎ方法及びそれに使用する打継ぎ仕切部材が記載されているが、この仕切部材は打継ぎ部におけるコンクリートの流れ止めであるから、仕切部材の両側に同時にコンクリートを打設することは無意味であり、そのような施工法は想定されていない。
特開2002−70135号公報 特開平11−229412号公報 特開平9−228347号公報 特公平5−75865号公報
本発明は、上記の問題点を踏まえてなされたもので、その目的とするところは、距離の長いボックスカルバートを構築するにあたり、たとえコンクリート二次製品の発注から工事着手までに十分な時間がなくても、さらには、工事着手から竣工までに十分な時間がなくても、低コストで短工期に施工できるようにしたボックスカルバートの構築方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち請求項1に記載の発明によるボックスカルバートの構築方法は、筒状をなす複数のコンクリート二次製品を、構築すべきボックスカルバートの長手方向にコンクリート二次製品の軸長より長く且つ中途での打継ぎが必要にならない間隔を隔てて設置し、これらのコンクリート二次製品間に、コンクリートの現場打ちにより当該コンクリート二次製品と接合された筒状構造体を構築して、コンクリート二次製品と現場打ちコンクリートによる筒状構造体とでボックスカルバートを構築することを特徴としている。
尚、筒状をなすコンクリート二次製品としては、予め筒状に一体成形されたコンクリート二次製品の他、上下あるいは左右に分割成形した複数のブロックを筒状に連結するコンクリート二次製品であってもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明によるボックスカルバートの構築方法において、コンクリート二次製品の接合用端面に雌ねじ状のインサート金物を埋設しておき、当該インサート金物に継手用鉄筋をねじ込み固定するようにしたことを特徴としている。
尚、請求項3に記載の発明のように、コンクリート二次製品の接合用端面に全周にわたって連続したコッターを形成しておくことは、コンクリート二次製品と現場打ちコンクリートによる筒状構造体の一体性を高める上で望ましく、請求項4に記載の発明のように、コンクリート二次製品と現場打ちコンクリートによる筒状構造体との接合面の中程に水膨潤性シールを介在させ、接合面の端部にコーキング目地を形成することは、コンクリート二次製品と現場打ちコンクリートによる筒状構造体との接合面の止水性を高める上で望ましい。
請求項1に記載の発明によれば、ボックスカルバートを構築するにあたり、コンクリート二次製品に比べコストが安いコンクリートの現場打ち施工を採用しているにもかかわらず、打継ぎが必要となる部位毎にコンクリート二次製品を配置することで、コンクリートの打継ぎが発生しなくなり、打継ぎ部毎に、端面型枠から補強鉄筋を貫通させるといった煩わしさがなくなるため、配筋作業、型枠工事、脱型作業等が大幅に簡略化され、施工効率を高めることが可能である。
コンクリート二次製品は、構築すべきボックスカルバートの長手方向にコンクリート二次製品の軸長より長く且つ中途での打継ぎが必要にならない間隔おきに配置されるだけであるから、コンクリート二次製品の必要個数が少なくて済み、コンクリート二次製品の発注から工事着手までにさほど時間がなくても、十分に対応できる。
さらに、コンクリート二次製品で仕切られた各工区が隣の工区と干渉しない独立したスペースとなるので、どの工区からでも施工でき、工事着手から竣工までに十分な時間がなくても、作業員を夫々の工区に配置して、多人数施工による短工期対応が可能となる。
従って、これらの結果として、距離の長いボックスカルバートであっても低コストで短工期に施工できることになる。
請求項2に記載の発明によれば、インサート金物にねじ込まれた継手用鉄筋によりコンクリート二次製品とコンクリートの現場打ちによる筒状構造体との一体化を図ることができ、コンクリート二次製品のみでボックスカルバートを構築する場合のようなPC鋼材等によるコンクリート二次製品同士の連結作業も不要である。また、継手用鉄筋をコンクリート二次製品のインサート金物にねじ込み固定するいわゆる後付け方式としたので、コンクリート二次製品の据付け後、継手用鉄筋をねじ込み固定することにより、継手用鉄筋がコンクリート二次製品の輸送や据付け時の障害にならず、鉄筋突出部で怪我をする虞もなく、安全性を確保できる。
以下、本発明に係るボックスカルバートの構築方法を例示図に基づいて説明する。図1、図2に示すAは、配管用共同溝や水路等に供される距離の長いボックスカルバートであり、長手方向に適当間隔を隔てて設置された筒状をなす複数の鉄筋コンクリート造のコンクリート二次製品1と、これらのコンクリート二次製品1間に、コンクリートの現場打ちにより構築されて、コンクリート二次製品1と接合された鉄筋コンクリート造の筒状構造体2とで構成されている。図1に示す3は地盤の掘削底に打設された捨てコンクリートである。
前記コンクリート二次製品1は、図3、図4に示すように、予め角型の筒状に一体成形されたもので、コンクリート二次製品1の接合用端面Sには、全周にわたって連続した溝状のコッター4が形成されている。また、コンクリート二次製品1の接合用端面Sには、図2〜図4に示すように、雌ねじ状のインサート金物5が周方向に間隔をあけて複数個埋設されており、任意の時点で、好ましくは、コンクリート二次製品1を捨てコンクリート3上の所定位置に据え付けた後、前記インサート金物5に継手用鉄筋6をねじ込み固定するように構成されている。
継手用鉄筋6としては、端部にねじ切り加工した鉄筋などが使用され、図2に示すように、継手用鉄筋6と筒状構造体2の肉厚内に埋設された主筋7aとは重ね継手とされている。7bは肋筋である。コンクリート二次製品1と現場打ちコンクリートによる筒状構造体2との接合面の中程には水膨潤性シール8を介在させ、接合面の内側の端部にコーキング目地9を形成して、接合面の止水性を高めてある。
尚、図示の例では、コーキング目地9を接合面の内側の端部に形成したが、接合面の外側の端部に形成してもよい。また、図示の例では、コンクリート二次製品1の上面に埋設したインサート金物にアイボルト等の吊り金具10を装着して、コンクリート二次製品1を揚重するように構成してあるが、コンクリート二次製品1の内側に挿通した鋼材等を介して揚重するように構成してもよい。
次に、上記ボックスカルバートAの構築方法の一例を図面に基づいて説明する。先ず、図6の(A)に示すように、地盤の掘削底に捨てコンクリート3を打設する。
捨てコンクリート3が硬化したら、捨てコンクリート3上に墨出し(基準線の記入)を行い、図5の(A)、図6の(B)に示すように、前記コンクリート二次製品1を、構築すべきボックスカルバートの長手方向に適当間隔(これは、図示の通り、コンクリート二次製品1の軸長より長く、且つ、中途での打継ぎが必要にならない間隔である。)を隔てて複数個設置する。
これらのコンクリート二次製品1間に、前記主筋7a及び肋筋7bを配筋し、型枠(図示せず)を組み立て、コンクリートを打設して、図5の(B)、図6の(C)に示すように、コンクリート二次製品1と接合された筒状構造体2を構築する。インサート金物5に対する継手用鉄筋6のねじ込み固定は、任意の時点で行うことができるが、コンクリート二次製品1を捨てコンクリート3上の所定位置に据え付けた後で行えば、コンクリート二次製品1の輸送や据付け時に継手用鉄筋6が障害にならず、鉄筋突出部で怪我をする虞もなく、安全性を確保できる。殊に、配筋作業時に継手用鉄筋6をねじ込むようにすれば、職種の錯綜も回避されることになる。
そして、図5の(C)、図6の(D)に示すように、全てのコンクリート二次製品1間に筒状構造体2を構築することによって、図1、図2に示した距離の長いボックスカルバートAが構築されることになる。
この場合、コンクリート二次製品1で仕切られた各工区が隣の工区と干渉しない独立したスペースとなるので、どの工区からでもコンクリートの現場打ちによる筒状構造体2の施工が可能である。また、工事着手から竣工までに十分な時間がなくても、作業員を夫々の工区に配置して、多人数施工により短工期でボックスカルバートAを構築することが可能となる。
上記の構成によれば、距離の長いボックスカルバートAを構築するにあたり、長手方向の大部分において、コンクリート二次製品に比べコストが安いコンクリートの現場打ち施工を採用しているにもかかわらず、打継ぎが必要となる部位毎にコンクリート二次製品1を配置することで、コンクリートの打継ぎが発生しなくなり、打継ぎ部毎に、端面型枠から補強鉄筋を貫通させるといった煩わしさがなくなるため、配筋作業、型枠工事、脱型作業等が大幅に簡略化され、施工効率を高めることが可能である。
コンクリート二次製品1は、構築すべきボックスカルバートの長手方向に適当間隔おきに配置されるだけであるから、コンクリート二次製品1の必要個数が少なくて済み、コンクリート二次製品1の発注から工事着手までに時間がなくても、十分に対応でき、しかも、コンクリート二次製品1で仕切られた各工区が隣の工区と干渉しない独立したスペースとなるので、図5の(B)、図6の(C)に示したように、どの工区からでもコンクリートの現場打ちによる筒状構造体2の施工が可能であり、たとえ、工事着手から竣工までに十分な時間がなくても、作業員を夫々の工区に配置して、多人数施工による短工期対応が可能となる。
尚、上述した実施形態においては、コンクリート二次製品1として、図3に示したように、予め筒状に一体成形したものが使用されているが、断面の大きなボックスカルバートを構築する場合であれば、図7の(A)に示すように、側壁部1aで上下に分割したり、図7の(B)に示すように、頂版部1b及び底版部1cで左右に分割した形状のコンクリートブロックを成形しておき、捨てコンクリート上への据付け時に、ボルト・ナットによる連結、PC鋼材による連結等、既知の連結手段により、コンクリートブロック同士を連結して、筒状をなすコンクリート二次製品1を構成してもよい。
ボックスカルバートの概略斜視図である。 ボックスカルバートの要部の拡大断面図である。 コンクリート二次製品の斜視図である。 コンクリート二次製品の据付け作業を説明する正面図である。 ボックスカルバートの構築方法を説明する縦断側面図である。 ボックスカルバートの構築方法を説明する概略平面図である。 コンクリート二次製品の他の例を示す斜視図である。
A ボックスカルバート
1 コンクリート二次製品
2 現場打ちコンクリートによる筒状構造体
3 捨てコンクリート
4 コッター
5 インサート金物
6 継手用鉄筋

Claims (4)

  1. 筒状をなす複数のコンクリート二次製品を、構築すべきボックスカルバートの長手方向にコンクリート二次製品の軸長より長く且つ中途での打継ぎが必要にならない間隔を隔てて設置し、これらのコンクリート二次製品間に、コンクリートの現場打ちにより当該コンクリート二次製品と接合された筒状構造体を構築して、コンクリート二次製品と現場打ちコンクリートによる筒状構造体とでボックスカルバートを構築することを特徴とするボックスカルバートの構築方法。
  2. コンクリート二次製品の接合用端面に雌ねじ状のインサート金物を埋設しておき、当該インサート金物に継手用鉄筋をねじ込み固定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のボックスカルバートの構築方法。
  3. コンクリート二次製品の接合用端面に全周にわたって連続したコッターを形成しておくことを特徴とする請求項1又は2に記載のボックスカルバートの構築方法。
  4. コンクリート二次製品と現場打ちコンクリートによる筒状構造体との接合面の中程に水膨潤性シールを介在させ、接合面の端部にコーキング目地を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のボックスカルバートの構築方法。
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