JP3171743B2 - バリスタの製造法 - Google Patents

バリスタの製造法

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JP3171743B2 JP02169794A JP2169794A JP3171743B2 JP 3171743 B2 JP3171743 B2 JP 3171743B2 JP 02169794 A JP02169794 A JP 02169794A JP 2169794 A JP2169794 A JP 2169794A JP 3171743 B2 JP3171743 B2 JP 3171743B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサージ吸収器などに用い
られ、故障時において瞬時的な過熱による外装樹脂の発
煙、発火を防止する機能を有するバリスタの製造法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、酸化亜鉛を主成分とするバリスタ
は、その優れた電圧電流非直線性と、急しゅん波に対す
る応答性および単位面積あたりの大きなサージ電流耐量
特性によって、小形で大きなサージに耐え、しかも優れ
た保護効果が得られるサージ吸収器として、一般に電子
機器、回路のサージ保護用として、その電源部、出力
部、信号伝送入出力部、誘導性負荷間または接点間など
に広く使用されている。
【0003】以下に従来の一般的な酸化亜鉛バリスタに
ついて説明する。図2において1は板状に形成されたバ
リスタ素体であり、その両面には電極2が形成されてい
る。この電極2は、一般的には銀を低融点ガラスをバイ
ンダーとしてバリスタ素体1に焼付けて形成される。前
記電極2にはリード線3をはんだ付けしてあり、その上
から、素体全体を保護するために、エポキシ主体の樹脂
よりなる有機質塗料4をコーティングしている。
【0004】以上のように構成された従来の酸化亜鉛バ
リスタは、その素体が接着性がよくて緻密な有機質塗料
4で全面を保護されているため、耐湿性をはじめとする
耐候性性能が優れており、また、サージ吸収動作時の電
極2間の沿面放電も効果的に防止できて、小形ではある
が大きいサージ電流耐量が確保でき、サージ吸収器とし
て十分な性能を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のバリスタの構成では、バリスタが何らかの原因で定
格以上のサージを負担した場合、素体には局所的に電流
が集中するホットスポットができ、この部分が過熱して
バリスタ素体の微構造が破壊されて短絡状態になり、こ
の部分の残存抵抗とこれを流れる故障電流によるジュー
ル熱によって次第にバリスタ素体全体が過熱し、外装樹
脂が有機質のため、これが発煙、発火する危険性がある
という問題を有していた。
【0006】本発明は前記従来の問題に留意し、故障電
流によりバリスタ素体全体が過熱しても、発煙、発火の
危険性の少ないバリスタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、バリスタ素体全面に、水性コロイダルシ
リカとエチルシリケート単量体をシラン系カップリング
剤およびアルミニウムアルコキシドからなる触媒により
加水分解して得られる均一混合液状体を塗布、硬化させ
てプライマー層を形成し、その上に、水性コロイダルシ
リカとエチルシリケート単量体をシラン系カップリング
剤およびアルミニウムアルコキシドを触媒として加水分
解させた均一混合液状体に無機質フィラーを均一に混合
したものを塗布硬化させて外装塗装部を形成するバリス
タの製造法とする。
【0008】
【作用】上記製造法によって製造されたバリスタは、そ
の故障時にホットスポット過熱したとき、この部分のコ
ロイダルシリカを主体とするプライマー層を溶融し、こ
の部分を絶縁化してそれ以降の故障電流を過熱にならな
い程度まで低減してバリスタ素体全体の過熱を防ぎ、ま
た、外装塗装部は無機質フィラーを含有した発煙、発火
の危険性の少ない塗料であるので前記発煙、発火をしな
いこととなる。また、外装塗装部は緻密性、接着性が劣
り、耐湿性能が劣化するが、プライマー層がバリスタ系
体を完全にコートするため、接着性がよく、耐湿性をは
じめとする耐候性性能を確保するとともに、サージ吸収
動作時の電極間沿面放電も防止することとなる。
【0009】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を参照しながら
説明する。図1(a)は本発明の一実施例におけるバリ
スタ素体にプライマーを塗布、硬化させた状態の平面を
示し、図1(b)はさらにその上に無機質フィラーを含
む外装塗料を塗布、硬化させた状態の平面を示し、図1
(c)は同断面を示す。
【0010】図1(a)において11は板状のバリスタ
素体であり、その両面には、銀を低融点ガラスをバイン
ダーとして焼きつけてなる電極12を形成している。こ
の電極12にはリード線13をはんだ付けしている。前
記のバリスタ素体11の全体にはプライマー層14を塗
布、硬化して形成している。そして、図1(b)、図1
(c)に示すように、その上に無機質外装塗料15をコ
ートしている。
【0011】具体的には前記バリスタ素体11は、φ1
0mmのバリスタ電圧220V(AC100V用)の酸
化亜鉛バリスタ素体を使用し、電極12を形成した後、
φ0.8mmのはんだメッキ軟銅線を電極12にはんだ
付けした。これにシリカ固形成分20%を有する水性コ
ロイダルシリカ25部とエチルシリケート単量体17部
および溶媒アルコール24部をシラン系カップリング剤
12部およびアルミニウムアルコキシド24部を触媒と
して加えて均一混合して、得られた液状体を塗布し、風
乾20分の後、130℃の恒温槽で15分間加熱して硬
化させ、プライマー層15を形成した。その後、水性コ
ロイダルシリカ10部とエチルシリケート単量体7部を
シラン系カップリング剤5部およびアルミニウムアルコ
キシド10部を触媒として加え、均一に混合したものに
無機質フィラー60部を加えた不燃化塗料を塗布し、風
乾20分の後130℃の恒温槽で15分間熱硬化させて
外装塗料15を形成した。
【0012】以上のようにして構成された本発明による
バリスタと、従来のエポキシ樹脂塗装のバリスタおよ
び、本発明によるバリスタのプライマー層ならびに外装
塗料から触媒のアルミニウムアルコキシドのみを除いて
作成したバリスタについて、破壊試験および高耐湿負荷
試験をおこなった。この結果を表1、表2に示す。
【0013】
【表1】
【0014】表1から明らかなように、本発明で得られ
たバリスタは、破壊時の現象が従来品と全く異なり、発
煙が著しく少なく、その発煙継続時間も短かく、また、
継続して電圧が印加された場合も、本発明によるバリス
タは特性が回復方向になっているため、故障電流がほと
んど流れなくなり、バリスタに発煙は発生しない。これ
に対して従来品は、故障電流が継続して流れ、その間、
バリスタ素体の温度が上昇し続けるために、相当の発煙
があり、さらに継続して電圧が印加されていると、バリ
スタ素体短絡部で放電がおこり、アークが発生し、場合
によっては過熱したバリスタ素体およびアークによって
エポキシ樹脂が発火する場合もある。
【0015】なお、本発明によるバリスタの特性回復は
素体の短絡部(直径約0.5mmの貫通孔)が、溶融し
た無機質材料で絶縁化したためであることが確認できて
いる。また、触媒のアルミニウムアルコキシドのみを除
いたバリスタも、この破壊試験では本発明によるバリス
タと同様の効果が得られている。しかし、下記の表2の
高温耐湿負荷試験では、バリスタ電圧の劣化が見られ、
バリスタとして十分な信頼性が得られていない。
【0016】
【表2】
【0017】上記表2から明らかなように、本発明によ
るバリスタは、無機質外装塗料が有機質のそれより密着
性、機密性が劣るために、一般的にはその性能が悪くな
る高温耐湿負荷試験およびサージ電流試験においても、
その構成により有機質外装塗料と比較して全く遜色のな
い性能を確保することができた。また、触媒のアルミニ
ウムアルコキシドを除いたバリスタは、本発明によるバ
リスタに較べて高温耐湿負荷特性が著しく悪いが、これ
はプライマー層および外装塗料の硬化反応が十分でな
く、湿度に対して十分緻密な塗膜が形成されていないた
めと考えられる。
【0018】以上のように本実施例によれば、バリスタ
の破壊時の挙動が従来品と全く異なり、発煙が著しく少
なくなり、継続して電圧が印加されてもアーク発生、発
火の危険性のないバリスタが得られ、しかも、その他の
バリスタとしての必要な性能は、従来品と同様に確保で
きるという優れた効果を得ることができる。
【0019】なお、実施例においては、シラン系カップ
リング剤の場合の効果を説明したが、これをチタネート
系カップリング剤またはアルミネートカップリング剤に
置き換えても、同様な効果を得ることが確認できてい
る。
【0020】
【発明の効果】以上の実施例の説明より明らかなよう
に、本発明はバリスタ素体に、水性コロイダルシリカと
エチルシリケート単量体をシラン系またはチタネート系
またはアルミネート系カップリング剤とアルミニウムア
ルコキシドを触媒として加水分解させて得られる混合液
状体を塗布、硬化してプライマー層を形成し、その上
に、水性コロイダルシリカとエチルシリケート単量体を
シラン系またはチタネート系またはアルミネート系カッ
プリング剤とアルミニウムアルコキシドを触媒として加
水分解させて得られる混合液状体に無機質フィラーを混
合した不燃化塗料を塗布、硬化させて外部塗装部を形成
するため、得られたバリスタはその破壊時に発煙が著し
く少なくなり、継続して電圧を印加されてもアーク発
生、発火の危険性のないものであり、しかもその他のバ
リスタとしての必要な性能は、従来品と同様に確得でき
るという優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施例におけるプライマー
層を形成したバリスタの平面図 (b)は同プライマー層上に外部塗料部を形成したバリ
スタの平面図 (c)は同バリスタの断面図
【図2】(a)は従来のバリスタの平面図 (b)は同バリスタの断面図
【符号の説明】
11 バリスタ素体 12 電極 13 リード線 14 プライマー層 15 無機質外装塗料
フロントページの続き (72)発明者 石田 英基 兵庫県尼崎市西長州町1丁目6番76号 株式会社石田化学研究所内 (56)参考文献 特開 平4−100883(JP,A) 特開 昭60−148004(JP,A) 特開 昭59−119995(JP,A) 特開 昭51−79250(JP,A) 特開 平4−206801(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリスタ素体全面に、水性コロイダルシ
    リカとエチルシリケート単量体をシラン系カップリング
    剤およびアルミニウムアルコキシドからなる触媒により
    加水分解して得られる混合液状体を塗布、硬化させつつ
    プライマー層を形成し、その上に、水性コロイダルシリ
    カとエチルシリケート単量体をシラン系カップリング剤
    およびアルミニウムアルコキシドを触媒として加水分解
    させた混合液状体に無機質フィラーを混合したものを塗
    布、硬化させて外装塗装部を形成するバリスタの製造
    法。
  2. 【請求項2】 バリスタ素体全面に、シリカ固形成分1
    〜40%を有する水性コロイダルシリカ100部に対し
    てエチルシリケート単量体1〜10部とをシラン系カッ
    プリング剤1〜5部およびアルミニウムアルコキシド1
    〜10部を触媒として加水分解して得られる均一混合液
    体を塗布硬化させてプライマー層を形成し、その上に、
    シリカ固形成分1〜40%を有する水性コロイダルシリ
    カ100部に対してエチルシリケート単量体1〜10部
    をシラン系カップリング剤1〜5部およびアルミニウム
    アルコキシド1〜10部を触媒として加水分解して得ら
    れる均一混合液状体10〜30部と無機質フィラー70
    〜90部を混合してなる不燃化塗料を塗布、硬化させて
    外部塗装部を形成するバリスタの製造法。
  3. 【請求項3】 プライマー層のシラン系カップリング剤
    をチタネート系カップリング剤で置き換えた請求項1ま
    たは2記載のバリスタの製造法。
  4. 【請求項4】 不燃化塗料のシラン系カップリング剤を
    チタネート系カップリング剤で置き換えた請求項1また
    は2記載のバリスタの製造法。
  5. 【請求項5】 プライマー層のシラン系カップリング剤
    をアルミネート系カップリング剤で置き換えた請求項1
    または2記載のバリスタの製造法。
  6. 【請求項6】 不燃化塗料のシラン系カップリング剤を
    アルミネート系カップリング剤で置き換えた請求項1ま
    たは2記載のバリスタの製造法。
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JP2010192539A (ja) * 2009-02-16 2010-09-02 Nippon Chemicon Corp 電子部品の製造方法
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