JP2000286107A - 電圧非直線抵抗体及びその製造方法 - Google Patents

電圧非直線抵抗体及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】雷インパルスや過電圧等のサージに対する保護
能力を向上させることにある。 【解決手段】酸化亜鉛を主成分とした焼結体1を備え、
この焼結体1の側面に高抵抗層3を有する電圧非直線体
抵抗体において、高抵抗層3はAl6Si213(ムライ
ト)を主成分として、少なくともAlPO4(オルトリ
ン酸アルミニウム)を1.0〜25wt%、MnFe2
4(フェライト)を0.1〜15wt%、Fe2
3(酸化鉄)を0.1〜15wt% 含む成分で構成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電力系統を
保護する過電圧保護装置に使用される電圧非直線抵抗体
及びその製造方法において、特に高抵抗層を有する電圧
非直線抵抗体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に電力系統において、正常な電圧に
重畳される過電圧を除去して電力系統を保護するため
に、避雷器やサージアブソーバといった過電圧保護装置
が用いられている。
【0003】この過電圧保護装置には、電圧非直線抵抗
体が主に使用されている。電圧非直線抵抗体は、正常な
電圧では略絶縁特性を示し、過電圧が印加された時には
比較的低抵抗となる特性を有する抵抗体である。
【0004】このような電圧非直線抵抗体はZnO(酸
化亜鉛)を主成分とし、非直線抵抗特性を得るために添
加物として少なくとも一種類以上の金属酸化物を添加し
て、混合、造粒、成形した後、焼結して得られる焼結体
を備えている。
【0005】また、焼結体の側面には、サージ吸収時に
側面からのフラッシュ・オーバーを防止するために、高
抵抗成分のペースト状コーテイングやガラスコーテイン
グ等を塗布した後、熱処理によりこれらを焼き付けて、
高抵抗層を形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、電力需要の伸び
と高度情報化社会の発展につれて、安定且つ安価な電力
供給が強く求められている。これを受けて、過電圧保護
装置においても高信頼性および小型化への要求が高まっ
ている。
【0007】最近では、このような要求に応えるため、
電圧非直線抵抗体の単位厚み当たりの電圧値を大きくし
て高さ寸法を低く抑え、さらにはエネルギー吸収能力の
向上により小径化を図ることにより電圧非直線抵抗体の
小型化が推進されている。
【0008】ところが、従来の電圧非直線抵抗体におい
て、焼結体の側面に高抵抗層を接着剤により接着して形
成した場合、接着強度の低下により高抵抗層が焼結体か
ら剥離し易くなり、高抵抗層が部分的にでも焼結体から
剥離すると耐電圧性能が低下するという問題があった。
【0009】したがって、単位厚み当たりの電圧の増大
や小径化により電圧非直線抵抗体を小型化した時に要求
される雷インパルスや過電圧等のサージに対する保護能
力に応えることが困難であった。
【0010】本発明は上記のような問題を解消するため
になされたものであり、接着強度が高く優れた耐電圧性
能を発揮し得る高抵抗層を形成することにより、雷イン
パルスや過電圧等のサージに対する保護能力を向上させ
ることができる電圧非直線抵抗体及びその製造方法を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では次のような手段及び製造方法により電圧
非直線抵抗体を得るものである。
【0012】請求項1に対応する発明は、酸化亜鉛を主
成分とした焼結体を備え、前記焼結体の側面に高抵抗層
を有する電圧非直線体抵抗体において、前記高抵抗層
が、Al6Si213(ムライト)を主成分として、少な
くともAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)を1.
0〜25wt%、MnFe24(フェライト)を0.1
〜15wt%、Fe23(酸化鉄)を0.1〜15wt
%含む成分で形成されるものである。
【0013】請求項1に対応する発明の電圧非直線抵抗
体においては、高抵抗層を焼結体の側面に強く接着する
ことができ、耐電圧性能が向上するので、雷インパルス
や過電圧等のサージに対して優れた保護能力を発揮する
ことができる。
【0014】請求項2に対応する発明は、請求項1に対
応する発明の電圧非直線抵抗体において、前記高抵抗層
を第1の高抵抗層としてその上にさらにSiO2(シリ
カ)またはAl23(アルミナ)またはSiO2(シリ
カ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)またはA
23(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケ
ート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層を形成し
たものである。
【0015】請求項2に対応する発明の電圧非直線抵抗
体においては、第1の高抵抗層の上に非結晶の第2の高
抵抗層を形成することにより、請求項1に対応する発明
の電圧非直線抵抗体に比べて、高抵抗層における耐電圧
性能をさらに高めることができる。
【0016】請求項3に対応する発明は、請求項1又は
請求項2に対応する発明の電圧非直線抵抗体において、
前記高抵抗層の厚さが10μm〜1mmとしたものであ
る。
【0017】請求項3に対応する発明の電圧非直線抵抗
体においては、高抵抗層の厚さを10μm〜1mmに限
定することにより、適切な接着強度と良好な耐電圧性能
の両方を確保することができる。
【0018】請求項4に対応する発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれかの項に対応する発明の電圧非直線体
抵抗体を製造する方法において、Al(H2PO4
3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si213(ムラ
イト)を主成分としたスラリーに、MnFe24(フェ
ライト)及びFe23(酸化鉄)を添加、混合して混合
スラリーを作る混合工程と、前記混合スラリーを前記焼
結体の側面に塗布する塗布工程と、前記混合スラリーの
焼付けを行う焼付け工程により、前記第1の高抵抗層を
形成する。
【0019】請求項4に対応する発明の電圧非直線体抵
抗体の製造方法にあっては、Al(H2PO43(第1
リン酸アルミニウム)とAl6Si213(ムライト)を
主成分としたスラリーに、MnFe24(フェライト)
及びFe23(酸化鉄)を添加、混合して混合スラリー
を作り、これを焼結体の側面に塗布、焼付けることで、
Al6Si213(ムライト)を主成分とし、AlPO4
(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe24(フェラ
イト)及びFe23(酸化鉄)を含有する第1の高抵抗
層を形成し、これを焼結体の側面に強く接着させた電圧
非直線体抵抗体を製造することができる。
【0020】請求項5に対応する発明は、請求項4に対
応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法において、前
記第1の高抵抗層を形成する場合、前記混合工程で平均
粒径が0.01〜10μmであるMnFe24(フェラ
イト)及びFe23(酸化鉄)を用いる。
【0021】請求項5に対応する発明の電圧非直線抵抗
体の製造方法にあっては、MnFe 24(フェライト)
及びFe23(酸化鉄)の平均粒径を0.01〜10μ
mに限定することで、高抵抗層は適切な均一性を保持す
ることができ、優れた耐電圧性能を持つことができる。
【0022】請求項6に対応する発明は、請求項4又は
請求項5に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法
において、前記第1の高抵抗層を形成する場合、混合工
程終了後、100時間以内に塗布工程及び焼付け工程を
終了させることを特徴とする。
【0023】請求項6に対応する発明の電圧非直線抵抗
体の製造方法にあっては、混合工程終了から100時間
以内に塗布工程及び焼付け工程を終了させることによ
り、第1の高抵抗層の接着強度が低下しないうちに、電
圧非直線抵抗体を製造することができる。
【0024】請求項7に対応する発明は、請求項4及至
請求項6のいずれか項に対応する発明の電圧非直線抵抗
体の製造方法において、前記第1の高抵抗層を形成する
場合、前記焼付け工程で、焼付け最高温度を200℃〜
800℃の範囲で焼付けを行うことを特徴とする。
【0025】請求項7に対応する発明の電圧非直線抵抗
体の製造方法にあっては、焼き付け工程での焼付け最高
温度を200〜800℃の範囲で焼付けを行うことによ
り、高抵抗層は優れた接着強度を有することができ、優
れた耐電圧性能を持つことができる。
【0026】請求項8に対応する発明は、請求項4及至
請求項7のいずれかの項に対応する電圧非直線抵抗体の
製造方法において、前記第1の高抵抗層を形成する場
合、前記焼付け工程で、少なくとも100℃から最高温
度までを昇温速度を10℃/hrs〜300℃/hrsの範囲
で焼付けを行う。
【0027】請求項8に対応する発明の電圧非直線抵抗
体の製造方法にあっては、焼き付け工程での焼付け昇温
速度を10℃/hrs〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行
うことにより、第1の高抵抗層は優れた接着強度を有す
ることができ、優れた耐電圧性能を持つことができる。
【0028】請求項9に対応する発明は、請求項2乃至
請求項8のいずれかの項に対応する発明の電圧非直線抵
抗体を製造する方法において、SiO2(シリカ)また
はAl23(アルミナ),SiOCH3(アルコキシシ
ラン),イソプロパノール,n−ブタノール,シリコン
系界面活性剤及び酢酸を成分とした水溶液を、前記第1
の高抵抗層を形成した前記焼結体の側面に塗布し、焼付
けて第2の高抵抗層を形成する。
【0029】請求項9に対応する発明の電圧非直線抵抗
体の製造方法にあっては、SiO2(シリカ)またはA
23(アルミナ)またはSiO2とCH3SiO
1.5(オルガノシリケート)またはAl23(アルミ
ナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分
とした非結晶の第2の高抵抗層を形成することにより、
耐電圧特性をさらに高めた非直線抵抗体を製造すること
ができる。
【0030】請求項10に対応する発明は、請求項9に
対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法において、
前記第2の高抵抗層を形成する場合の焼付け工程で、焼
付け最高温度を50℃〜800℃の範囲で焼付けを行
う。
【0031】請求項10に対応する発明の電圧非直線抵
抗体の製造方法にあっては、第2の高抵抗層の焼き付け
工程での焼付け最高温度を50〜800℃の範囲で焼付
けを行うことにより、優れた耐電圧性能を実現すること
ができる。
【0032】請求項11に対応する発明は、請求項9又
は請求項10に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造
方法において、第2の高抵抗層を形成する場合、焼付け
工程で、焼き付け時の少なくとも30℃から焼付け最高
温度までの昇温速度を10℃/hrs〜300℃/hr
sの範囲で焼付けを行う。
【0033】請求項11に対応する発明の電圧非直線抵
抗体の製造方法にあっては、第2の高抵抗層4の焼き付
け工程での焼付け昇温速度を10℃/hrs〜300℃
/hrsの範囲で焼付けを行うことにより、優れた耐電
圧性能を実現することができる。
【0034】請求項12に対応する発明は、酸化亜鉛を
主成分とする焼結体の側面に、Al 6Si213(ムライ
ト)を主成分とし、AlPO4を5.0〜20wt%及
びMn2PO7またはMn4(P273を0.5〜3wt
%を含む高抵抗層を有することを特徴とする。
【0035】請求項13に対応する発明は、酸化亜鉛を
主成分とする焼結体の側面に、Al 6Si213(ムライ
ト)を主成分とし、AlPO4を5.0〜20wt%及
びMg3(PO42を0.5〜3wt%を含む高抵抗層
を有することを特徴とする。
【0036】請求項14に対応する発明は、酸化亜鉛を
主成分とする焼結体の側面に、Al 6Si213(ムライ
ト)を主成分とし、AlPO4を5.0〜20w%及び
Ca(PO3)2を0.5〜3wt%を含む高抵抗層を有
することを特徴とする。
【0037】請求項15に対応する発明は、請求項12
乃至請求項14のいずれかの項に対応する発明の電圧非
直線抵抗体において、高抵抗層にTiO2あるいはFe2
3が0.2〜5wt%を含有していることを特徴とす
る。
【0038】請求項16に対応する発明は、請求項12
乃至請求項14のいずれかの項に対応する発明の電圧非
直線抵抗体において、高抵抗層にMnFe24が1〜1
0wt%含有していることを特徴とする。
【0039】請求項17に対応する発明は、請求項12
乃至請求項16のいずれかの項に対応する発明の電圧非
直線抵抗体において、高抵抗層の上にさらにSiO2
Al23を主成分とした非晶質の高抵抗膜を有すること
を特徴とする。
【0040】従って、上記請求項12乃至請求項17に
対応する発明によれば、焼結体の側面と高抵抗層の接着
強度が大幅に向上し、外部環境に対して安定した品質が
得られ、優れた放電耐量特性と耐劣化特性の双方を備え
た電圧非直線抵抗体を得ることができる。
【0041】ここで、上記請求項12乃至請求項17に
対応する本発明の特徴点とその作用効果について述べる
と次の通りである。
【0042】高抵抗層を形成するためには、請求項12
乃至請求項14のいずれかに対応する発明のように酸化
亜鉛を主成分とする焼結体の側面に、Al6Si2
13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウム塩と
リン酸マンガン塩、リン酸マグネシウム塩、リン酸カル
シウム塩の少なくとも一つを含む高抵抗剤を塗布し、1
50〜600℃の温度範囲で焼き付け処理を行い、高抵
抗層を形成する。
【0043】このとき高抵抗剤は焼結体側面へ塗布され
ることにより、ぬれの作用で焼結体側面部との間に働く
距離へ接近することができるが、リン酸アルミニウムに
その他のリン酸塩を加えることによりぬれの作用が増大
するので、接着強さを増すことができる。また、ぬれ性
をよくするためには、リン酸アルミニウムにその他のリ
ン酸塩の混合比を適宜調整することで、接着強さを増す
ことができる。
【0044】また、第2の作用として、高湿度雰囲気に
対する特性劣化が挙げられる。リン酸アルミニウムのみ
を用いた高抵抗剤を焼き付けて形成される高抵抗層の場
合、未反応のリン酸アルミニウムの一部がイオン化し、
これを例えば相対湿度85%の高湿度雰囲気中に放置し
ておくと、高抵抗層の表面は比較的ポーラスな構造であ
るため、気孔を通して水分を吸収し、粒子表面上のネッ
ク部で凝集が起こり易くなる。
【0045】その結果として、対向電極間に一様な電界
層が形成されることによって電気伝導度が増加し、特性
劣化を引き起こすと考えられる。
【0046】一方、リン酸アルミニウムに、その他のリ
ン酸塩を加えることによって、未反応のリン酸アルミニ
ウムの一部がイオン化することを抑制する作用があり、
高湿度雰囲気中においても特性は劣化しない。
【0047】また、さらに請求項15に対応する発明に
あっては、金属酸化物であるTiO 2やFe23を加え
ることによって同様の効果が期待できる。これは金属酸
化物が一種の触媒として作用し、高抵抗剤の硬化反応が
促進するためである。
【0048】さらに、請求項16に対応する発明にあっ
ては、MnFe24を加えることによって高抵抗層の比
較的ポーラスな構造部に入り込み、同様の作用を及ぼす
と考えられる。
【0049】請求項17に対応する発明にあっては、請
求項12乃至請求項16に対応する発明の高抵抗層の上
に、さらにSiO2、Al23を主成分とした非晶質の
高抵抗膜を形成することによって高抵抗層の比較的ポー
ラスな構造部に入り込むのと同時に、非晶質の高抵抗膜
は発水作用が有るため、これらが焼結体の側面の表面を
覆うことによって同様の作用を及ぼすと考えられる。
【0050】他方、接着力を増大させるためには、焼結
体の側面部への高抵抗剤のぬれ性を向上させるほかに焼
結体と高抵抗剤の熱膨脹係数を合わせる必要がある。焼
結体と高抵抗剤の熱膨脹係数の差が大き過ぎる場合、高
抵抗剤を焼き付け中に剥離が生じたり、放電耐量時に過
剰な熱が生じるため、剥離が生じたりする。
【0051】この場合、基材が酸化亜鉛を主成分とした
焼結体の場合には、高抵抗剤中にAl6 Si2 13を主
成分として用いるのが良い。
【0052】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。
【0053】図1に示すように電圧非直線抵抗体は、焼
結体1を備え、この焼結体1の側面部に第1及び第2の
高抵抗層3及び4を形成すると共に、両平坦面を所定の
厚さに研磨し、その研磨面にアルミ電極2を形成したも
のである。
【0054】本発明による電圧非直線抵抗体の実施の形
態は、全て第1及び第2の高抵抗層3及び4に関するも
のであるが、その前にまず、焼結体1の製造工程につい
て述べる。
【0055】すなわち、主成分のZnO(酸化亜鉛)に
対して、Bi23(酸化ビスマス)、MnO2(酸化マ
ンガン)をそれぞれ0.5mol%、Co23(酸化コ
バルト)、NiO(酸化ニッケル)、Sb23(三酸化
アンチモン)をそれぞれ1mol%添加して原料を作
る。
【0056】次に、この原料を水及び有機物バインダ−
類と共に混合装置で混合し、混合スラリ−を作る。この
混合スラリ−をスプレ−ドライヤ−で噴霧造粒し、所定
重量の造粒粉を金型に入れて所定の圧力で加圧し、例え
ば直径80mmの円板状に成形する。その後、添加した
有機物バインダ−類を予め除くために空気中で400〜
500℃で熱処理し、さらに1200℃で焼成すること
により焼結体1を得る。
【0057】次に上記のようにして製造された焼結体1
の側面に形成される第1及び第2の側面抵抗層の第1の
実施の形態について説明する。
【0058】第1の高抵抗層3は、Al6Si213(ム
ライト)を主成分として、AlPO 4(オルトリン酸ア
ルミニウム)を1.0〜25wt%、MnFe24(フ
ェライト)を0.1〜15wt%、Fe23(酸化鉄)
を0.1〜15wt%含有する成分で構成されている。
このような成分構成の第1の高抵抗層3は、次のような
工程で形成される。
【0059】まず、Al(H2PO4)3(第1リン酸アル
ミニウム)とAl6Si213(ムライト)を主成分とし
たスラリーを作り、このスラリーにMnFe24(フェ
ライト)及びFe23(酸化鉄)を添加し、混合して混
合スラリーを作る(混合工程)。続いて、この混合スラ
リーを焼結体1の側面に塗布する(塗布工程)。そし
て、混合スラリーの焼付けを行い、第1の高抵抗層3を
形成する(焼付け工程)。
【0060】また、第1の高抵抗層3上に形成される第
2の高抵抗層4は、SiO2(シリカ)もしくはAl2
3(アルミナ)もしくはSiO2(シリカ)とCH3Si
1. 5(オルガノシリケート)もしくはAl23(アル
ミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成
分としている。このような第2の高抵抗層4は、次のよ
うな工程で形成される。
【0061】まず、SiO2(シリカ)もしくはAl2
3(アルミナ)とSiOCH3(アルコキシシラン)、イ
ソプロパノール、n−ブタノール、シリコン系界面活性
剤及び酢酸を成分とした水溶液を、焼結体1の側面に形
成された第1の高抵抗層3の表面に塗布する(塗布工
程)。そして、塗布した水溶液の焼付けを行い、第2の
高抵抗層4を形成する(焼付け工程)。
【0062】ここで、Al6Si213(ムライト)を主
成分とし、前述とは含有量の異なるAlPO4(オルト
リン酸アルミニウム)、MnFe24(フェライト)及
びFe23(酸化鉄)を副成分として焼付けにより第1
の高抵抗層を形成した数種類の電圧非直線抵抗体を試料
として作製し、これらの試料と第1の実施の形態に該当
する試料とを比較する。
【0063】また、第1の実施の形態に該当する含有量
のAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2
4(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を副成分と
する第1の高抵抗層3の表面に、SiO2(シリカ)も
しくはAl23(アルミナ)もしくはSiO2(シリ
カ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)もしくは
Al23(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリ
ケート)を主成分として第2の高抵抗層4を形成した試
料と、この第2の高抵抗層を形成しない試料とを比較す
る。
【0064】すなわち、AlPO4(オルトリン酸アル
ミニウム)が0.1,1,25,30wt%、MnFe2
4(フェライト)が0.1,1,15,20wt%、Fe2
3(酸化鉄)が0.01,0.1,15,20wtの含有
量の組み合わせとなるような数種類の第1の高抵抗層3
を形成した電圧非直線抵抗体を作製した。
【0065】また、第1の実施の形態に該当する含有量
のAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2
4(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を副成分と
して形成した第1の高抵抗層3の表面に、SiO2(シ
リカ)もしくはAl23(アルミナ)もしくはSiO2
(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)も
しくはAl23(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガ
ノシリケート)を主成分として第2の高抵抗層4を形成
した試料と、この第2の高抵抗層を形成しない試料とを
作製した。
【0066】このようにしてそれぞれ作製した各試料に
対して、8/20μs波形のインパルス電流を60kA
から10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測
定して各試料の過電圧保護能力の評価を行った。その結
果を表1及び表2に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】第1の実施の形態に該当する試料、つまり
AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)の含有量が
1,25wt%、MnFe24(フェライト)の含有量
が0.1,15wt%、Fe23(酸化鉄)の含有量が
0.1,15wt%の第1の高抵抗層3を有する試料
(表1及び表2中の試料番号22,27,30,31,
42、43,46,47)は、170kA以上という高
いインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0070】これに対して、上記以外の試料は、100
〜130kAという比較的低いインパルス電流印加によ
り破壊が生じた。また、第1の実施の形態に該当する含
有量のAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、Mn
Fe24(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を副成
分として形成した第1の高抵抗層3の表面に、SiO 2
(シリカ)もしくはAl23(アルミナ)もしくはSi
2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケー
ト)もしくはAl23(アルミナ)とCH3SiO
1.5(オルガノシリケート)を主成分として第2の高抵
抗層4を形成した試料(表1及び表2中の23〜26,
48〜51)は、190〜200kAという極めて高い
インパルス電流印加により破壊が生じた。
【0071】以上の結果から明らかなように第1の実施
の形態は、Al6Si213(ムライト)を主成分とし
て、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)を1.0
〜25wt%、MnFe24(フェライト)を0.1〜
15wt%,Fe23(酸化鉄)を0.1〜15wt%
含む第1の高抵抗層3を備えることによって、この第1
の高抵抗層3が焼結体1の側面に強く接着することがで
き、耐電圧性能が向上する。
【0072】そのため、電圧非直線抵抗体は飛躍的にイ
ンパルス電流に対する保護能力が向上することがわか
る。また、SiO2(シリカ)もしくはAl23(アル
ミもしくはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オル
ガノシリケート)もしくはAl23(アルミナ)とCH
3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分としている
第2の高抵抗層4を形成することにより、さらに、飛躍
的にインパルス電流に対する保護能力が向上することが
分る。
【0073】以上、第1の高抵抗層3の成分として、A
6Si213(ムライト)、AlPO4(オルトリン酸
アルミニウム)、MnFe24(フェライト),Fe2
3(酸化鉄)のみを成分とする例を記述したが、その
他TiO2(酸化チタン)の他、高抵抗層の接着強度を
向上させる成分を加えた場合においても、AlPO
4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe24(フェ
ライト),Fe23(酸化鉄)の含有量が上記の範囲に
おいて、最良のインパルス耐量を実現できることが確認
できている。
【0074】次に第2の実施の形態について述べる。
【0075】第2の実施の形態では、前述した第1の実
施の形態で形成される第1及び第2の高抵抗層3及び4
の厚さを10μm〜1mmとするものである。
【0076】ここで、第1及び第2の高抵抗層3及び4
の厚みが異なる数種類の電圧非直線抵抗体を作製し、第
2の実施の形態に該当する試料と、それ以外の試料とを
比較して、第2の実施の形態の作用効果について説明す
る。
【0077】まずAl6Si213(ムライト)を主成分
として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、M
nFe24(フェライト),Fe23(酸化鉄)をそれ
ぞれ5wt%含有した第1の高抵抗層3を形成し、その
上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシ
リケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層4を
形成する。その際、高抵抗層3及び4の厚みをそれぞ
れ、0.1,1,10,100,500μm及び1,2mm
に調整した試料を作製し、合計7種類の試料を作製し
た。
【0078】以上のようにして作製した各試料につい
て、各試料に8/20μs波形のインパルス電流を60
kAから10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値
を測定し、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。そ
の結果を図2に示す。第2の実施の形態に該当する試
料、つまり第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚みが
1,10,100,500μm及び1mmの試料は、19
0kA以上のインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0079】これに対して、第2の実施の形態に該当し
ない試料、つまり高抵抗層の厚みが0.1μmおよび2
mmの試料は、100〜130kAという低いインパル
ス電流印加により破壊が生じた。これは、第1及び第2
の高抵抗層3及び4の厚みが小さ過ぎると優れたインパ
ルス電流に対する保護能力を得ることができないこと、
反対に第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚みが厚つ過
ぎると、今度は厚みが増加するに連れて第1及び第2の
高抵抗層3及び4の接着強度が低下し、優れたインパル
ス電流に対する保護能力を得ることができないことを示
している。
【0080】以上の結果より、第2の実施の形態では、
第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚さを10μm〜1
mmとすることにより、適切な接着強度と良好な耐電圧
性能の両方を確保することができ、インパルス電流に対
する保護能力を大きく向上させることができる。
【0081】次に第3の実施の形態について説明する。
【0082】第3の実施の形態では、第1の実施の形態
で第1の高抵抗層3を形成する工程のうち、MnFe2
4(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を添加して
混合スラリーを作る混合工程において、平均粒径が0.
01〜10μmであるMnFe 24(フェライト)及び
Fe23(酸化鉄)を用いるものである。
【0083】ここで、第3の実施の形態の作用効果を説
明するために、MnFe24(フェライト)及びFe2
3(酸化鉄)の平均粒径が異なる数種類の電圧非直線
抵抗体を作製する。
【0084】まず、上記第2の実施の形態と同様にAl
6SiO13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オ
ルトリン酸アルミニウム)、MnFe24(フェライ
ト),Fe23(酸化鉄)をそれぞれ5wt%含有した
第1の高抵抗層3を形成する。この第1の高抵抗層3を
形成するにあたって、平均粒径が0.001,0.01,
0.1,1,10及び20μmのMnFe24(フェライ
ト)、Fe23(酸化鉄)を使用した12種類の試料を
作製した。
【0085】これら各試料に対して、第1の高抵抗層3
の上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノ
シリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層4
を形成し、評価試料とした。
【0086】以上のようにして作製した各試料に、8/
20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA
刻みで印加して行き、試料が破壊したときの電流値を測
定することで、各試料の過電圧保護能力の評価を行っ
た。
【0087】その結果を図3に示す。第3の実施の形態
に該当する試料、つまりMnFe24(フェライト)及
びFe23(酸化鉄)の平均粒径が0.01〜10μm
の試料は、190kA以上のインパルス電流を印加する
ことにより破壊が生じたが、平均粒径が上記の範囲外の
試料は、100〜130kAのインパルス電流を印加す
ることにより破壊が生じた。
【0088】一般的に使用する粉末の平均粒径は細かい
ほど分散性が悪くなるので、第1の高抵抗層3の均一性
が悪くなり、平均粒径が0.01μmのMnFe2
4(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を用いた試料
はインパルス電流に対する保護能力が優れたものとはな
らない。
【0089】一方、使用する粉末の平均粒径が粗いと、
やはり高抵抗層成分中に偏積しやすくなるため、平均粒
径が20μmのMnFe24(フェライト)及びFe2
3(酸化鉄)を用いた試料も、インパルス電流に対す
る保護能力が優れたものとはならない。
【0090】以上の結果より、第3の実施の形態では、
平均粒径が0.01〜10μmの範囲のMnFe2
4(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を添加するこ
とで、第1の高抵抗層3が適切な均一性を保持でき、優
れた耐電圧性能を発揮し、インパルス電流に対する保護
能力が優れたものとなる。
【0091】次に第4の実施の形態について説明する。
【0092】第4の実施の形態では、第1の実施の形態
で第1の高抵抗層3を形成する場合、Al(H2PO4
3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si213(ムラ
イト)を主成分としたスラリーに、MnFe24(フェ
ライト)及びFe23(酸化鉄)を添加して混合スラリ
ーを作る混合工程が終了した後、100時間以内に塗布
工程及び焼付け工程を終了させるものである。
【0093】ここで、第4の実施の形態の作用効果を説
明するために次のような試料を作製した。
【0094】Al(H2PO43(第1リン酸アルミニ
ウム)とAl6Si213(ムライト)を主成分としたス
ラリーに、MnFe24(フェライト)及びFe2
3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%添加し、スプレー塗布
により焼結体1の側面に塗布,焼き付けを行うに当たっ
て、MnFe24(フェライト)及びFe23(酸化
鉄)を添加後、1,12,24,50,100,120及
び180時間後に塗布,焼付けを行った7種類の試料を
作製した。
【0095】これらの各試料に対して、第1の高抵抗層
3の上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガ
ノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層
4を形成し、評価試料とした。
【0096】以上のようにして作製した各試料に、8/
20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA
刻みで印加して行き、試料が破壊したときの電流値を測
定することで、各試料の過電圧保護能力の評価を行っ
た。
【0097】その結果を図4に示す。第4の実施の形態
に該当する試料、つまりスラリーにMnFe24(フェ
ライト)及びFe23(酸化鉄)を添加後、100時間
以内に塗布,焼付けを行った試料は、180kA以上の
インパルス電流印加により破壊が生じた。
【0098】これに対して、スラリーにMnFe2
4(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を添加後、1
20及び180時間経過後に塗布,焼付けを行った試料
は、100〜130kAのインパルス電流印加により破
壊が生じた。このように破壊電流値が小さいのは次のよ
うな理由が考えられる。
【0099】Al(H2PO43(第1リン酸アルミニ
ウム)中にMnFe24(フェライト)及びFe2
3(酸化鉄)を添加すると、添加したMnFe24(フ
ェライト)及びFe23(酸化鉄)が徐々に溶解してい
き、Al(H2PO43(第1リン酸アルミニウム)の
正常な硬化反応を妨げる。
【0100】そのため、第1の高抵抗層3の接着強度を
次第に低下し、添加から120及び180時間経過した
後に塗布,焼付けを行っても、第1の高抵抗層3は焼結
体1の側面に接着し難く、耐電圧性能が低下してインパ
ルス電流に対する保護能力が優れたものとはならなかっ
た。
【0101】以上の結果より、第4の実施の形態では、
MnFe24(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を
添加後100時間以内に塗布,焼付けを行うことで、第
1の高抵抗層3の接着強度が低下しないうちに焼結体1
の側面に形成することが可能である。これにより、第4
の実施の形態に係る電圧非直線抵抗体はインパルス電流
に対する保護能力が優れたものとなる。
【0102】次に第5の実施の形態について説明する。
【0103】第5の実施の形態では、第1の実施の形態
で第1の高抵抗層3を形成する場合、Al(H2PO4
3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si213(ムラ
イト)を主成分としたスラリーに、MnFe24(フェ
ライト)及びFe23(酸化鉄)を添加して混合した混
合スラリーを塗布した後、焼付けを行う際にその焼き付
け最高温度を200℃〜800℃とするものである。
【0104】ここで、第5の実施の形態の作用効果を説
明するために次のような試料を作製した。
【0105】Al(H2PO43(第1リン酸アルミニ
ウム)とAl6Si213(ムライト)を主成分としたス
ラリーに、MnFe24(フェライト)及びFe2
3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%添加し、スプレー塗布
により焼結体1の側面に塗布,焼き付けを行うに当たっ
て、焼付け時の最高温度を150,200,400,60
0,800及び1000℃で焼付けを行った5種類の試
料を作製した。
【0106】これらの各試料に対して、第1の高抵抗層
3の上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガ
ノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層
4を形成し、評価試料とした。
【0107】以上のようにして作製した各試料に、8/
20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA
刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測定し、各試料
の過電圧保護能力の評価を行った。
【0108】その結果を図5に示す。第5の実施の形態
に該当する試料、つまり第1の高抵抗層3の焼き付け最
高温度を200〜800℃の範囲で焼付けを行った試料
は、190kA以上のインパルス電流印加により破壊が
生じた。
【0109】これに対して、150℃及び1000℃で
焼付けを行った試料は、100〜110kAのインパル
ス電流印加により破壊が生じた。このように破壊電流値
が小さいのは次のような理由が考えられる。
【0110】200℃未満の焼付け温度では、Al(H
2PO43(第1リン酸アルミニウム)の硬化反応が起
こらないため、Al6Si213(ムライト)を主成分と
して、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、Mn
Fe24(フェライト)、Fe23(酸化鉄)を含んだ
第1の高抵抗層3が形成されなかったため、焼結体1の
側面への接着度合いが悪く、耐電圧が低下してインパル
ス電流に対する保護能力が優れたものとはならなかっ
た。
【0111】また、800℃より高い焼付け温度では、
Al(H2PO43(第1リン酸アルミニウム)の正常
な硬化反応を起こすことができなかっため、Al6Si2
13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルト
リン酸アルミニウム)、MnFe24(フェライト)、
Fe23(酸化鉄)を含んだ第1の高抵抗層3が形成さ
れない。このため、焼結体1の側面への接着度合いが悪
く、耐電圧が低下してインパルス電流に対する保護能力
が優れたものとはならなかった。
【0112】以上の結果より、第5の実施の形態では、
第1の高抵抗層3を焼付ける最高温度を200〜800
℃で行うことで、接着強度が最も高い状態で第1の高抵
抗層3を焼結体1側面に形成することが可能である。こ
れにより、第5の実施の形態に係る電圧非直線抵抗体は
インパルス電流に対する保護能力を優れたものとなる。
【0113】次に第6の実施の形態について説明する。
【0114】第6の実施の形態では、第1の実施の形態
で第1の高抵抗層3を形成する場合、Al(H2PO4
3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si213(ムラ
イト)を主成分としたスラリーに、MnFe24(フェ
ライト)及びFe23(酸化鉄)を添加して混合した混
合スラリーを塗布した後、焼付けを行う際に少なくとも
100℃〜最高温度までの昇温速度を10℃/hrs〜
300℃/hrsで行うものである。
【0115】ここで、第5の実施の形態の作用効果を説
明するために次のような試料を作製した。
【0116】Al(H2PO43(第1リン酸アルミニ
ウム)とAl6Si213(ムライト)を主成分としたス
ラリーに、MnFe24(フェライト)及びFe2
3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%添加し、スプレー塗布
により焼結体1の側面に塗布,焼き付けを行うに当たっ
て、焼付け時の昇温速度を5,10,100,200,30
0及び400℃/hrsで焼付けを行った6種類の試料
を作製した。
【0117】これらの各試料に対して、第1の高抵抗層
3の上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガ
ノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層
4を形成し、評価試料とした。
【0118】このようにして作製した各試料に対して、
それぞれ8/20μs波形のインパルス電流を60kA
から10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測
定し、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0119】その結果を図6に示す。第6の実施の形態
に該当する試料、つまり第1の高抵抗層の焼き付け昇温
速度を10〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行った
試料は、190kA以上のインパルス電流印加により破
壊が生じた。
【0120】これに対して、5℃/hrs及び400℃
/hrsで焼付けを行った試料は、100〜130kA
のインパルス電流印加により破壊が生じた。このように
破壊電流値が小さいのは次のような理由が考えられる。
【0121】10〜300℃/hrsの昇温速度で第1
の高抵抗層3を焼付けることによって最適なAl(H2
PO43(第1リン酸アルミニウム)の硬化反応速度を
与えることができ、焼結体1の側面への接着度がきわめ
て高く、耐電圧が向上してインパルス電流に対する保護
能力が優れたものとなる。
【0122】これに対して、昇温速度が300℃/hr
sより速くなるとAl(H2PO4 3(第1リン酸アル
ミニウム)の硬化反応が急激に進行してしまい、焼結体
1の側面への接着度が低下する。
【0123】また、10℃/hhrs未満の焼付け昇温
速度では、Al(H2PO43(第1リン酸アルミニウ
ム)の硬化反応がゆっくりと進行し、Al6Si2
13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリ
ン酸アルミニウム)、MnFe2 4(フェライト)、F
23(酸化鉄)を含んだ第1の高抵抗層3が完全に形
成されなかったため、焼結体1の側面への接着度合いが
悪くなるため、耐電圧が低下してインパルス放電耐量特
性は低下する。
【0124】以上の結果より、第6の実施の形態では、
第1の高抵抗層3を焼付ける昇温速度を10〜300℃
/hrsで行うことで、接着強度が最も高い状態で第1
の高抵抗層3を焼結体1側面に形成することが可能であ
る。これにより、第6の実施の形態に係る電圧非直線抵
抗体はインパルス電流に対する保護能力が優れたものと
なる。
【0125】次に第7の実施の形態について説明する。
【0126】第7の実施の形態では、Al6Si2
13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリ
ン酸アルミニウム)、MnFe24(フェライト)、F
23(酸化鉄)をそれぞれ5wt%含んでいる第1の
高抵抗層3の上に、SiO2(シリカ),SiOCH
3(アルコキシラン),イソプロパノール、n−ブタノ
ール、シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とした水溶
液を塗布し焼付けを行うことによって、SiO2(シリ
カ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分
とする第2の高抵抗層4を形成する際に、第2の高抵抗
層4の焼き付け最高温度を50〜800℃の範囲で行う
ものである。
【0127】ここで、第7の実施の形態の作用効果を説
明するために次のような試料を作製した。
【0128】第1の高抵抗層3の上に、SiO2(シリ
カ)とSiOCH3(アルコキシラン),イソプロパノ
ール、n−ブタノール、シリコン系界面活性剤及び酢酸
を成分とする溶液を塗布して焼付けを行なうに当たっ
て、焼付け時の最高温度を30,50,100,30
0,600,800,1000℃で焼付けを行った7種
類の試料を作製した。
【0129】このようにして作製した各試料に対して、
それぞれ8/20μs波形のインパルス電流を60kA
から10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測
定し、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0130】その結果を図7に示す。第7の実施の形態
に該当する試料、第2の高抵抗層4の焼き付け最高温度
を50〜800℃の範囲で焼付けを行った試料は、19
0kA以上のインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0131】これに対して、30℃及び1000℃で焼
付けを行った試料は、100〜110kAのインパルス
電流印加により破壊が生じた。このように破壊電流値が
小さいのは次のような理由が考えられる。
【0132】50℃未満の焼付け温度では、イソプロパ
ノール,n−ブタノールの蒸発が起こらないため、Si
O2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケー
ト)を主成分とする第2の高抵抗層4が形成されなかっ
たため、良好な耐電圧性能が得られず、インパルス電流
に対する保護能力が優れたものが得られならなかった。
【0133】また、800℃を超える焼付け温度では、
急激にイソプロパノール,n−ブタノールの蒸発が生じ
るため、SiO2(シリカ)とCHSiO1.5(オルガノ
シリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4が正常な
状態で形成されなかったため、良好な耐電圧性能が得ら
れず、インパルス電流に対する保護能力が優れたものが
得られなかった。
【0134】以上の結果より、第7の実施の形態では、
第2の高抵抗層4を焼付ける最高温度を50〜800℃
で行うことで、良好な耐電圧性能を有する第2の高抵抗
層4を第1の高抵抗層3を施した焼結体1の側面に形成
することが可能である。これにより、第7の実施の形態
に係る電圧非直線抵抗体はインパルス電流に対する保護
能力が優れたものとなる。
【0135】以上、第2の高抵抗層4の焼き付け温度を
限定した実施例として、SiO2(シリカ)とCHSi
1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高
抵抗層4を形成する場合を代表例として記述したが、S
iO2(シリカ)またはAl23(アルミナ)またはA
23(アルミナ)とCHSiO1.5(オルガノシリケ
ート)を主成分とする第2の高抵抗層4を形成する場合
においても、上記の焼き付け温度範囲において、最良の
インパルス耐量を実現できる事が確認できている。
【0136】次に本発明の第8の実施の形態について説
明する。
【0137】第8の実施の形態では、Al6Si2
13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリ
ン酸アルミニウム)、MnFe24(フェライト)、F
23(酸化鉄)をそれぞれ5wt%含んでいる第1の
高抵抗層3の上に、SiO2(シリカ),SiOCH
3(アルコキシラン),イソプロパノール、n−ブタノ
ール、シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とした水溶
液を塗布し焼付けを行うことによって、SiO2(シリ
カ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分
とする第2の高抵抗層4を形成する際に、第2の高抵抗
層4の焼き付け時の少なくとも30℃〜最高温度の昇温
速度を10〜300℃/hrsの範囲で行うものであ
る。
【0138】ここで、第8の実施の形態の作用効果を説
明するため、次のような試料を作製した。
【0139】第1の高抵抗層3の上に、SiO2(シリ
カ)とSiOCH3(アルコキシラン),イソプロパノ
ール、n−ブタノール、シリコン系界面活性剤及び酢酸
を成分とする溶液を塗布して焼付けを行なうにあたっ
て、焼付け時の最高温度を焼付け時の最高温度を400
℃とし、 焼付け時の昇温速度を5,10,100,20
0,300及び400℃/hrsで焼付けを行った6種
類の試料を作製した。
【0140】このようにして作製した各試料に対して、
それぞれ8/20μs波形のインパルス電流を60kA
から10kA刻みで印加しながら、試料が破壊する電流
値を測定して各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0141】その結果を図8に示す。第8の実施の形態
に該当する試料、第2の高抵抗層4の焼き付け最高温度
を10〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行った試料
は、190kA以上のインパルス電流印加により破壊が
生じた。
【0142】これに対して、5℃/hrs及び400℃
/hrsで焼付けを行った試料は、100〜130kA
インパルス電流印加により破壊が生じた。このように破
壊電流値が小さいのは次のような理由が考えられる。
【0143】10℃/hrs未満の昇温速度では、反応
がゆっくりと進行し、SiO2(シリカ)とCH3SIO
1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵
抗層4が完全に形成されなかったため、良好な耐電圧性
能が得られず、インパルス電流に対する保護能力が低下
した。
【0144】また、300℃/hrsを超える焼付け温
度では、急激にイソプロパノール,n−ブタノールの蒸
発が生じるため、SiO2(シリカ)とCH3SIO1.5
(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層
4が正常な状態で形成されなかったため、良好な耐電圧
性能が得られず、インパルス電流に対する保護能力が低
下した。
【0145】以上の結果より、第8の実施の形態では、
第2の高抵抗層4を焼付ける最高温度を10〜300℃
/hrsで行うことで、良好な耐電圧性能を有する第2
の高抵抗層4を第1の高抵抗層3を施した焼結体1の側
面に形成することが可能である。これにより、第8の実
施の形態に係る電圧非直線抵抗体はインパルス電流に対
する保護能力が優れたものとなる。
【0146】以上、第2の高抵抗層4の焼き付け温度を
限定した実施例として、SiO2(シリカ)とCH3SI
1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高
抵抗層4を形成する場合を代表例として述べたが、Si
2(シリカ)またはALAl23(アルミナ)または
Al23(アルミナ)とCH3SIO1.5(オルガノシリ
ケート)を主成分とする第2の高抵抗層4を形成する場
合においても、上記の焼き付け温度範囲において、最良
のインパルス耐量を実現できることが確認できている。
【0147】以上述べた本発明による電圧非直線抵抗体
及びその製造方法の第1の実施の形態乃至第8の実施の
形態で述べたように、焼結体1の側面に形成される第1
の高抵抗層3が、Al6Si213(ムライト)を主成分
として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)を
1.0〜25wt%、MnFe24(フェライト)を
0.1〜15wt%、Fe23(酸化鉄)を0.1〜1
5wt%含む成分で構成することによって、接着強度が
高く、且つ優れた耐電圧性能を発揮し、雷インパルス過
電圧等のサージに対する保護能力を向上させることがで
きた。さらに、第1の高抵抗層3の上に、第2の高抵抗
層4としてSiO2(シリカ)もしくはAl23(アル
ミナ)もしくはSiO2(シリカ)とCH3SiO
1.5(オルガノシリケート)もしくはAl23(アルミ
ナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分
とした非晶質の第2の高抵抗層4を形成することによっ
て、さらに優れた耐電圧性能を発揮し、雷インパルス過
電圧等のサージに対する保護能力を向上させることがで
きる。
【0148】次に上述した第1の実施の形態乃至第8の
実施の形態とは異なる成分で構成される本発明による電
圧非直線抵抗体及びその製造方法の実施の形態について
説明する。
【0149】第9の実施の形態では、酸化亜鉛を主成分
とする焼結体の側面に、Al6Si213(ムライト)を
主成分とし、リン酸アルミニウム塩にリン酸マンガン塩
を含む高抵抗剤を塗布し、焼き付け処理を行って高抵抗
層を形成する電圧非直線抵抗体について説明する。
【0150】図9は、本実施の形態によるセラミック素
子の断面図である。図9に示すように焼結体11を円板
状とし、この焼結体11の両端面(図9の上下面)には
電極12が設けられる。
【0151】また、焼結体11の側面(図9の円周方
向)には、第1の高抵抗層13が形成される。
【0152】さらに、第1の高抵抗層13上に第2の側
面高抵抗膜14が形成される。
【0153】ここで、セラミック素子の焼結体11を得
るためための製造工程を説明する。
【0154】まず、酸化亜鉛(ZnO)に酸化ビスマ
ス、酸化マンガン、二酸化珪素、酸化クロムをそれぞれ
0.5モル%、酸化コバルト、酸化アンチモン、酸化ニ
ッケルをそれぞれ1モル%添加して、酸化亜鉛を調整す
る。
【0155】次いで、この原料を水や有機バインダー類
と共に混合装置に入れて混合し、この混合物をスプレー
ドライヤーで、噴霧造粒する。
【0156】次に、この造粒粉を金型に入れて加圧し、
例えば、直径80mm、厚さ30mmの円板に成形する。ま
た、例えば寸法が100mm×100mm×30mmのテスト
ピースを成形しておく。
【0157】このようにして得られた成形体を約120
0℃の温度で焼成し、焼結体11とテストピースP1を
得る。
【0158】このテストピースP1にAl6Si2
13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウムとリ
ン酸マンガンを適当量に調整した高抵抗剤を垂らし、ぬ
れ角を調べた後、別のテストピースP1と焼結体11に
塗布し、これを200〜600℃の温度範囲で焼き付け
を行い、第1の高抵抗層13を形成する。
【0159】このとき、テストピースと焼結体に形成さ
れる第1の高抵抗層13の膜厚が一定になるように適量
の高抵抗剤を塗布する。
【0160】次いで、接着強度を調べるために、第1の
高抵抗層13を形成したテストピースP1の接着面と直
角な面を研磨して、70mm×70mm×20mmにテストピ
ースP2を作成する。
【0161】一方、第1の高抵抗層13を形成した焼結
体11の両端面を研磨し、アルミニウムの電極を溶射
し、電極12を設けて電圧非直線抵抗体を得る。
【0162】ここで、電圧非直線抵抗体の高抵抗層の膜
厚さとテストピースP2の膜厚は研磨時に測定した。
【0163】比較例として本発明品と同様の焼結体1
1、テストピースP1を用い、Al23を主成分とし、
リン酸アルミニウムを適当量含有させたものを作製し
て、そのぬれ角を調べ、本実施の形態と同様の温度で焼
き付け、これを比較例1として製作した。
【0164】表3に本発明品及び比較例1のぬれ角、剥
離面積、衝撃接着強度、引っ張り付着強さ、放電耐量特
性、課電寿命特性、耐湿特性を示す。
【0165】
【表3】
【0166】供試試料は各々8p用意した。
【0167】ここで、剥離面積とは非直線抵抗体の外
観、即ち電圧非直線抵抗体の高抵抗層13が焼結体11
から剥離した面積の総和を示す。
【0168】衝撃接着強度はデュポン式による耐衝撃性
試験(JIS K5400 8.3 参照)に基づいて行い、試験
片はテストピースP2を用い、質量500±1∋の重り
を一定の高さから落下させて高低抗層面が割れ、剥離が
生じない高さ位置の平均をプロットする。
【0169】高抵抗層の引っ張り付着強さはJIS K5
400 8.7 に基づき行った。ここでは試験片としてテスト
ピースP2を用いた。引っ張り強さは平均値をプロット
する。
【0170】放電耐量特性は4/10μsのインパルス
を5分間隔で2回通電し、破壊及び沿面閃絡が起きるま
で40kAから20kAずつ電流値を上昇させていっ
た。
【0171】課電寿命特性は周囲温度120℃、課電率
95%(ACピーク値)の条件で行い、初期漏れ電流値
I0とT時間後の漏れ電流値Itの比It/I0が1.
1を越える時間を測定した。
【0172】耐湿試験は、周囲温度を20℃にし、試験
槽内を一定湿度に保つためにデシケータ内に塩化カリウ
ム水溶液を浸す。この場合、相対湿度は約85%になる
ように調湿し、電圧非直線抵抗体をデシケータ内に放置
しておく。そして、60時間後、電圧非直線抵抗のDC
1μAの電圧値V60を測定し、初期電圧値V0からの変
化率を求めた。ここで変化率(%)は(V60−V0)×
100/V0として計算した。
【0173】表3から分かることは、本実施の形態に示
したようにAl6Si213(ムライト)を主成分とし、
リン酸アルミニウムとリン酸マンガンを適当量に調整し
た高抵抗剤は比較例に比べ、ぬれ角度が小さいことであ
る。
【0174】さらに、リン酸アルミニウムとリン酸マン
ガンを適当量に調整することによってぬれ角度を最適化
することができる。ぬれ角度が60°以下であれば、剥
離面積は100mm以下となり、衝撃接着強度も50m
m以上、引っ張り付着強さは0.8MPa以上と向上す
るが、さらに高抵抗膜の厚さが50〜200μmである
ものは、衝撃接着強度、引っ張り付着強さも強く、放電
耐量特性も良好であることが分かる。
【0175】また、Al6Si213(ムライト)を主成
分とし、リン酸アルミニウムとリン酸マンガンを適当量
に調整した高抵抗剤は比較例に比べ、課電寿命、耐湿特
性のいずれも優れている。
【0176】第10の実施の形態では、第9の実施の形
態で示したぬれ角度30°の高抵抗剤に、Fe23を適
量含有させたものと、MnFe24を適量含有させたも
のをそれぞれ焼き付けて高低抗層を形成させた。また、
その上にさらにSiO2、Al23を主成分とした非晶
質の高抵抗剤を塗布した後焼き付けて非晶質の高抵抗膜
4を形成したものも製作した。
【0177】比較例として第9の実施の形態で示したぬ
れ角度30°の高抵抗剤からなる高低抗層にSiO2
Al23を主成分とした非晶質の高抵抗剤を塗布し、焼
き付けた非直線抵抗体(比較例2)とAl23を主成分
とし、リン酸アルミニウムを適当量含有させたものから
構成される高抵抗層にSiO2、Al23を主成分とし
た非晶質の高抵抗剤を塗布したものを100〜350℃
焼き付けた非直線抵抗体(比較例3)を作製した。
【0178】ここで、高抵抗層の厚さはどれも一定にな
るように塗布量を調整している。
【0179】表4に本発明品及び比較例2、比較例3の
Fe23添加量、MnFe24添加量、非晶質の高抵抗
膜の有無、放電耐量特性、課電寿命特性、耐湿特性を示
す。
【0180】
【表4】
【0181】表4から分かることは、Al6Si2
13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウムとリ
ン酸マンガンを適当量に調整した高抵抗剤にFe2 3
が適量含有させたものと、MnFe24を適量含有させ
たものは耐湿特性が大きく向上するがFe23が0.2
〜5wt%又はMnFe24を1〜10wt%から外れ
ると放電耐量特性が低下したり、耐湿特性が低下したり
する。また、Fe23とMnFe24が上記範囲内であ
れば両者を同時に用いても影響は無い。
【0182】また、これらの高低抗層上にさらにSiO
2、Al23を主成分とした非晶質の高低抗層を形成し
たものはさらに耐湿特性が向上する。
【0183】次に本発明の第11の実施の形態を説明す
る。
【0184】側面高抵抗剤中のリン酸アルミニウム塩及
びとリン酸マンガン塩の添加量を調整して、高抵抗層中
のAlPO4,Mn4(P273の重量%及び焼き付け
温度について検討した。さらに、非晶質の高抵抗膜を形
成させた時の焼き付け温度についても検討した。その結
果を表5に示す。
【0185】
【表5】
【0186】表5から分かることは、Mg4(P273
の添加量が0.5〜3wt%の範囲内にある場合、放電
耐量特性や課電寿命特性、耐湿試験は比較例に比べ良好
な特性を示すが、さらに高抵抗層の焼き付け温度を15
0〜600℃、非晶質の高低抗膜を150〜350℃で
行えばさらに良好な特性を得ることができる。
【0187】また、AlPO4が5〜20wt%から外
れると放電耐量は定価することが分かる。これはAlP
4が上記範囲から外れると付着強さが定価するためと
考えられる。
【0188】第11の実施の形態に示すように、焼き付
け温度が高いと、課電寿命特性が低下する傾向にある。
これら高い温度で焼き付けを行うと焼結体の結晶相が相
転移を起こすためである。そのため、焼き付け温度はな
るべく低い温度で焼き付けることが望ましい。
【0189】この他、本発明は次のようにしてもよい。
【0190】本発明品においては高抵抗層の主成分がA
6Si213(ムライト)を用いているが、これは焼結
体との熱膨脹係数を合わせるためである。即ち、素体に
大きなサージエネルギーが注入されると急激温度上昇に
伴うため、素体と高抵抗層との熱膨脹差が大きいと、高
抵抗層が素体から剥がれ、放電耐量特性が低下してしま
う。
【0191】高抵抗層の主成分にAl6Si213(ムラ
イト)を用いると20〜200℃の範囲において、素体
と高抵抗層の熱膨脹係数の差が±2.0×10-6/℃に
なり、他の金属酸化物を用いるより、安定した高抵抗層
が得られる。
【0192】なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施
の形態に限定されたるものではなく、その要旨を変更し
ない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【0193】例えば、本実施の形態では、酸化亜鉛を主
成分とする焼結体の側面に、Al6Si213(ムライ
ト)を主成分とし、AlPO4を5.0〜20wt%、
Mn4(P273を0.5〜3wt%を含む側面抵抗層
について述べたが、Mn4(P 273に代わりにMn2
27,Mg3(PO24,Ca(PO32を加えても
同様の効果を示すことが確認されている。
【0194】以上説明した本発明の第9の実施の形態乃
至第11の実施の形態によれば、より良好で安定した放
電耐量特性と耐特性劣化の双方に優れたセラミック素子
を用いた電圧非直線抵抗体を得ることができる。
【0195】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、接着
強度が高く優れた耐電圧性能を発揮し得る高抵抗層を形
成することにより、雷インパルスや過電圧等のサージに
対する保護能力を向上させることができる電圧非直線抵
抗体及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1乃至第8の実施の形態における電
圧非直線抵抗体を示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の電圧非直線抵抗体
において、第1及び第2の高抵抗層の厚みと過電圧保護
能力の関係を示したグラフ。
【図3】本発明の第3の実施の形態の電圧非直線抵抗体
において、第1の高抵抗層を形成する工程のうち、混合
スラリーを作る混合工程でフェライト及び酸化鉄の平均
粒径と過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図4】本発明の第4の実施の形態の電圧非直線抵抗体
において、第1の高抵抗層を形成する工程のうち、フェ
ライト及び酸化鉄の添加後から、塗布及び焼付け終了ま
での時間と過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図5】本発明の第5の実施の形態の電圧非直線抵抗体
において、第1の高抵抗層形成時の焼き付け温度と過電
圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図6】本発明の第6の実施の形態の電圧非直線抵抗体
において、第1の高抵抗層形成時の焼き付け昇温速度と
過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図7】本発明の第7の実施の形態の電圧非直線抵抗体
において、第2の高抵抗層形成時の焼き付け温度と過電
圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図8】本発明の第8の実施の形態の電圧非直線抵抗体
において、第2の高抵抗層形成時の焼き付け昇温速度と
過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図9】本発明の第9乃至第11の実施の形態における
電圧非直線抵抗体を示す断面図。
【符号の説明】
1,11…焼結体 2,12…電極 3,13…第1の高抵抗層 4,14…第2の高抵抗層

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛を主成分とした焼結体を備え、
    前記焼結体の側面に高抵抗層を有する電圧非直線体抵抗
    体において、 前記高抵抗層が、Al6Si213(ムライト)を主成分
    として、少なくともAlPO4(オルトリン酸アルミニ
    ウム)を1.0〜25wt%、MnFe24(フェライ
    ト)を0.1〜15wt%、Fe23(酸化鉄)を0.
    1〜15wt%含む成分で構成されたことを特徴とする
    電圧非直線抵抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電圧非直線抵抗体におい
    て、前記高抵抗層を第1の側面抵抗層として、その上に
    さらにSiO2(シリカ)またはAl23(アルミナ)
    またはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノ
    シリケート)またはAl23(アルミナ)とCH3Si
    1.5(オルガノシリケート)を主成分とする非晶質の
    第2の高抵抗層を形成したことを特徴とする電圧非直線
    抵抗体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の電圧非直線抵抗体
    において、前記高抵抗層の厚さが10μm〜1mmとし
    たことを特徴とする電圧非直線抵抗体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかの項に
    記載の電圧非直線体抵抗体を製造する方法において、A
    l(H2PO43(第1リン酸アルミニウム)とAl6
    213(ムライト)を主成分としたスラリーに、Mn
    Fe24(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を添加
    し、混合して混合スラリーを作る混合工程と、前記混合
    スラリーを前記焼結体の側面に塗布する塗布工程と、前
    記混合スラリーの焼付けを行う焼付け工程により、前記
    第1の高抵抗層を形成することを特徴とする電圧非直線
    抵抗体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の電圧非直線抵抗体の製造
    方法において、前記第1の高抵抗層を形成する場合、前
    記混合工程で、平均粒径が0.01〜10μmであるM
    nFe24(フェライト)及びFe23(酸化鉄)を用
    いることを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5記載の電圧非直線
    抵抗体の製造方法において、前記混合工程終了後、10
    0時間以内に塗布工程及び焼付け工程を終了させること
    を特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4及至請求項6のいずれかの項に
    記載の電圧非直線抵抗体の製造方法において、前記第1
    の高抵抗層を形成する場合、前記焼付け工程で、焼付け
    最高温度を200℃〜800℃の範囲で焼付けを行うこ
    とを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項4及至請求項7のいずれかの項に
    記載の電圧非直線抵抗体の製造方法において、前記第1
    の高抵抗層を形成する場合、前記焼付け工程で、焼付け
    時の少なくとも100℃から最高温度の昇温速度を10
    ℃/hrs〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行うこ
    とを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項2乃至請求項8のいずれかの項に
    記載の電圧非直線抵抗体を製造する方法において、Si
    2(シリカ)またはAl23(アルミナ),SiOC
    3(アルコキシシラン),イソプロパノール,n−ブ
    タノール,シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とした
    水溶液を、前記第1の高抵抗層を形成した前記焼結体の
    側面に塗布する塗布工程後、焼付けを行うことにより前
    記第2の高抵抗層を形成することを特徴とする電圧非直
    線抵抗体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の電圧非直線抵抗体の製
    造方法において、前記第2の高抵抗層を形成する場合、
    焼付け工程で、焼付け最高温度を50〜800℃の範囲
    で行うことを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10記載の電圧非直線抵
    抗体の製造方法において、前記第2の高抵抗層を形成す
    る場合、焼付け時の少なくとも30℃から最高温度の昇
    温速度を10℃/hrs〜300℃/hrsの範囲で行
    うことを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
  12. 【請求項12】 酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面
    に、Al6Si213(ムライト)を主成分とし、AlP
    4を5.0〜20wt%及びMn2PO7またはMn
    4(P273を0.5〜3wt%を含む成分の高抵抗層
    を形成したことを特徴とする電圧非直線抵抗体。
  13. 【請求項13】 酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面
    に、Al6Si213(ムライト)を主成分とし、AlP
    4を5.0〜20wt%及びMg3(PO42を0.5
    〜3wt%を含む成分の高抵抗層を形成したことを特徴
    とする電圧非直線抵抗体。
  14. 【請求項14】 酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面
    に、Al6Si213(ムライト)を主成分とし、AlP
    4を5.0〜20w%及びCa(PO3)2を0.5〜3
    wt%を含む成分の高抵抗層を形成したことを特徴とす
    る電圧非直線抵抗体。
  15. 【請求項15】 請求項12乃至請求項14のいずれか
    に記載の電圧非直線抵抗体において、高抵抗層にTiO
    2あるいはFe23が0.2〜5wt%を含有している
    ことを特徴とする電圧非直線抵抗体。
  16. 【請求項16】請求項12乃至請求項14のいずれかに
    記載の電圧非直線抵抗体において、高抵抗層にMnFe
    24が1〜10wt%含有していることを特徴とする電
    圧非直線抵抗体。
  17. 【請求項17】 請求項12乃至請求項16のいずれか
    に記載の電圧非直線抵抗体において、前記高抵抗層を第
    1の高抵抗層としてその上にさらにSiO2、Al23
    を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層を有することを
    特徴とする電圧非直線抵抗体。
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