JP3170969B2 - ハイブリッド車のモータ電圧制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車のモータ電圧制御装置

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JP3170969B2
JP3170969B2 JP23033293A JP23033293A JP3170969B2 JP 3170969 B2 JP3170969 B2 JP 3170969B2 JP 23033293 A JP23033293 A JP 23033293A JP 23033293 A JP23033293 A JP 23033293A JP 3170969 B2 JP3170969 B2 JP 3170969B2
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  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハイブリッド車に搭載
されるモータ電圧を制御する装置、すなわちハイブリッ
ド車のモータ電圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車としては、モータの他、エン
ジン等を搭載した構成、すなわちハイブリッド車が知ら
れている。図8には、一従来例に係るハイブリッド車の
システム構成が示されている。この図に示されるシステ
ムは、三相誘導モータ10を駆動源としている。モータ
10の出力は、図示しないギヤ、シャフト等を介して駆
動輪に伝達される。
【0003】また、この図に示されるハイブリッド車は
鉛電池等の電池12を搭載している。電池12の各端子
は、インバータ14の入力側に接続されており、インバ
ータ14は、コントローラ16の制御のもと、電池12
から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、モー
タ10に供給する。モータ10は、この電力の供給を受
け回転駆動する。コントローラ16は、インバータ14
を制御する際、アクセル開度、モータ10の回転数N等
の情報を入力し、これらに基づきトルク指令値、ひいて
は電流指令値を演算する。トルク指令値及び電流指令値
とは、モータ10から出力させるべきトルク又は電流を
示す指令値である。コントローラ16は、この電流指令
値に基づきインバータ14を制御することにより、モー
タ10の出力トルクを制御する。なお、モータ10の回
転数Nは、モータ10に付設された回転数センサ18に
よって検出されている。
【0004】インバータ14の入力側には電池12の
他、発電機20が設けられている。この発電機20は、
三相交流発電機であり、エンジン22によって駆動され
る。すなわち、エンジン22が運転されている状態で、
コントローラ16の制御のもとに発電機20に界磁電流
が供給されると、発電機20から発電出力が得られる。
発電機20の発電出力は、発電機20の後段に設けられ
た整流器24によって整流され、インバータ14を介し
てモータ10へ、あるいは電池12へと供給される。従
って、このシステム構成においては、モータ10を電池
12及び発電機20双方の出力によって駆動可能であ
り、また電池12はモータ10の回生の他、発電機20
の発電出力によっても充電可能である。なお、電池12
は、モータ10の他にも、車両に搭載する大電力の補
機、例えば、エアコンディショナ(エアコン)等へ電力
を供給する。
【0005】図9には、例えば特開平4−67703号
公報に開示されているシステムの概略動作の流れが示さ
れている。この図に示される動作においては、まず、コ
ントローラ16によりモータ10の負荷が高いか否かが
判定される(100)。この判定の結果、高いとされた
場合には、更に電池12が発電機20の出力によって充
電中であるか否かが判定される(102)。この判定の
結果、充電中であるとされた場合には、コントローラ1
6は電池12の充電電流を徐々に減少させ、発電機20
の発電出力をモータ10側へ回す(104)。更に、コ
ントローラ16は、電池12に接続されている補機(エ
アコン等)が作動中であるか否かを判定する。この判定
の結果、作動中であるとされた場合には、エアコン等の
補機へ供給する電流を減ずることにより、発電機20の
出力をより多くモータ10側へ供給する(108)。従
って、従来においては、モータ10の負荷が高い場合
に、エアコン等の補機への給電を減少させるとともに、
充電電流を減少させることができ、発電機の出力を全て
モータへ供給することが可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなシステム構成においては、モータの回転数の上昇
や、SOCの低下等に伴って、モータの出力が不足して
しまうという問題点が生じていた。まず、図10には三
相誘導モータの1相あたり等価回路が示されている。こ
の図の等価回路に基づきモータの最大出力トルクTm
表すと、次の式のようになる。
【0007】
【数1】 従って、モータの最大出力トルクTm は、モータの軸加
速度ωの2乗、ひいては回転数Nの2乗に反比例する。
また、一次電圧V1 は、例えば図8に示すようなシステ
ム構成においては、電池の電圧VB によって制限され
る。すなわち、電圧V1 は、インバータの電圧変換比k
を用いて次のように定まる。
【0008】V1 ≦VB ×k この式において、インバータの電圧変換比kは、例えば
「半導体電力変換回路」、電気学会編、1987等に示
されるように、たかだか0.61である。従って、モー
タが高速回転している場合、モータの最大出力トルクT
m はω2 に反比例して減少することとなるので、発電機
から十分に出力が得られる場合であってもモータから出
力が得られない事態が生じる(図11参照)。これは、
電圧VBが、モータに要求されるトルクを実現するため
に必要な電圧に対して不足している、と表現することも
できる。なお、特開平4−67703号公報開示の装置
では、モータへの電力供給制御は可能であるが、電圧V
B の不足によるモータ出力の不足を免れることはできな
い。
【0009】また、出力不足をひきおこす電圧VB の不
足は、放電の増加(モータ負荷の増大)や電池の充電状
態(SOC)の低下によっても生じる。すなわち、図1
2に示されるように、電池の電圧VB は、SOCが低下
すると低くなる。また、登坂時のようにモータの負荷が
高く発電機出力が充電にまわらないため電池の放電電流
が大きい場合にも、電圧VB は低下する。
【0010】電池電圧VB の不足は、電圧VB がより高
い仕様の電池を使用することに緩和できるが、これは電
池寸法、重量の増大を招いてしまう。
【0011】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを課題としてなされたものであり、モータの回転数の
上昇や、電池のSOCの低下、モータの負荷の増大等に
伴って生じる一次電圧の不足を防止し、当該一次電圧の
不足による出力トルクの不足を防ぐことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の第1の構成に係るモータ電圧制御装
置は、発電機及びモータと電池の間の接続を開閉する手
段と、電池の電圧がモータに要求される出力を実現する
のに必要な電圧よりも低い状態を検出する手段と、当該
状態が検出された場合に上記接続を開く手段と、を備え
ることを特徴とする。
【0013】また、本発明の第2の構成に係るモータ電
圧制御装置は、発電機及びモータと電池の間の接続を開
閉する手段と、モータの出力トルクが所定限度を越えて
低下することを検出する手段と、当該傾向が検出された
場合に上記接続を開く手段と、を備えることを特徴とす
る。
【0014】本発明の第3の構成に係るモータ電圧制御
装置は、発電機及びモータと電池の間の接続を開閉する
手段と、モータの負荷が所定程度以上に大きくかつ電池
の充電状態が所定程度を越えて劣化している状態を検出
する手段と、当該状態が検出された場合に上記接続を開
く手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】そして、本発明の第4の構成に係るモータ
電圧制御装置は、発電機及びモータと電池の間の接続を
開閉する手段と、要求されるモータ出力とこの要求に応
じた制御の結果得られる実際のモータ出力とを直接又は
間接比較し前者に対する後者の不足を検出する手段と、
当該不足が検出された場合に上記接続を開く手段と、を
備えることを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明の第1〜第4の構成のいずれにおいて
も、所定の条件が成立した場合に、発電機及びモータと
電池の間の接続が開かれる。すなわち、電池の電圧がモ
ータに要求される出力を実現するのに必要な電圧よりも
低い場合に、電池がモータの駆動系統から切り離される
こととなり、モータが専ら発電機の出力によって駆動さ
れる状態となる。この状態においては、モータの一次電
圧が電池の電圧によって制限されることがなくなり、発
電機の出力の制御によってモータの一次電圧を確保可能
となる。
【0017】特に、第2の構成においては、モータの出
トルクが所定限度を超えて低下する場合に、上記接続
が開かれる。例えば、モータの回転数が高まり、回転数
対最大トルク特性に従いモータの出力不足が発生する可
能性が生じたときに、上記接続が開かれる。従って、こ
の構成においては、モータの回転数の上昇等に伴うトル
ク不足が解消されることとなる。
【0018】次に、第3の構成においては、モータの負
荷が所定程度以上に大きく、かつ電池の充電状態が所定
程度を超えて劣化している場合に上記接続が開かれる。
例えば、電池の放電電流が大きく、かつ電池のSOCが
劣化している場合に、上記接続が開かれる。従って、こ
の構成においては、モータの負荷が高く、かつ、電池の
充電状態が悪い場合に生じる電池電圧不足によるトルク
不足が解消される。
【0019】そして、第4の構成においては、実際のモ
ータ出力がモータに要求される出力を実現するのに必要
な出力に至っていない場合に、上記接続が開かれる。例
えば、車両操縦者がアクセルを踏み込んでいるにも拘ら
ず、電池の電圧の不足によってモータの一次電流等がこ
の踏み込みに相当する値となっていない場合等に、上記
接続が開かれる。従って、要求されるモータ出力に対す
るモータ出力の不足が好適に解消されることになる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に
基づき説明する。なお、図8〜図12に示される従来例
と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0021】図1には、本発明の一実施例に係るハイブ
リッド車のシステム構成が示されている。この図に示さ
れるシステムは、整流器24及びインバータ14と電池
12の接続を開閉するコンタクタ26を設けたことを特
徴としている。このコンタクタ26はコントローラ16
によって開閉制御される。また、この実施例において
は、電池12のSOCを検出するSOCセンサ28、電
池12の充放電電流を検出する電流センサ30、インバ
ータ14への入力電流を検出する電流センサ32及びモ
ータ10に供給される電流を供給する電流センサ34が
設けられており、これらのセンサ28〜34による検出
結果がコントローラ16に供給されている。
【0022】図2には、上述したシステム構成において
実施可能な電圧制御動作、すなわち本発明の第1実施例
における動作の流れが示されている。
【0023】この図の動作においては、まず、コントロ
ーラ16により、モータ10の回転数Nに係る判定が実
行される(200)。すなわち、回転数センサ18によ
って検出されるモータ10の回転数Nが所定値と比較さ
れる。この所定値は、図11に示されるようなモータの
最大出力トルクT の低下が顕著になる、例えば定ト
ルク領域と定出力領域の境界回転数の2倍程度の値に設
定する。このように、モータ10の回転数を所定値と比
較することは、モータの最大出力トルクT が所定限度
を越えて低下したことを判定することに対応し、この判
定によりモータの最大出力トルクT の低下が顕著にな
っているかを判定することになる。
【0024】この判定の結果、回転数Nが所定値未満で
あるとされた場合には、コントローラ16はコンタクタ
26をオンさせ(202)、整流器24及びインバータ
14と電池12を接続する。すなわち、回転数Nが十分
低ければ、N2 に反比例したモータ10の最大出力トル
クTm の低下は顕著でないと見做すことができるため、
従来と同様のシステム構成によるモータ10の駆動が行
われる。
【0025】逆に、ステップ200において回転数Nが
所定値以上であると判定された場合には、コントローラ
16は、コンタクタ26をオフさせ(204)、整流器
24及びインバータ14と電池12の接続を切り離す。
すなわち、回転数Nが高いと、N2 に反比例するモータ
10の最大出力トルクTm の低下が顕著となると見做せ
るから、電池12を切り離し、発電機20の発電出力に
よるモータ10の駆動へと切り換える。この状態では、
インバータ14の入力電圧、ひいてはモータ10の一次
電圧V1 は、電池12の電圧VB による制限を受けなく
なる。従って、モータ10の一次電圧V1 を発電機20
の制御によって適当な値まで高めることが可能になる。
また、コンタクタ26をオフさせた後、コントローラ1
6によって発電機20の界磁電流を上げることにより
(206)、モータ10の一次電圧V1 を上げることが
できる。
【0026】また、この実施例においては、コンタクタ
26をオフさせるのに先立ち、コントローラ16による
発電機20の界磁制御が実行されている(208)。す
なわち、モータ10の回転数Nが高い場合、発電機20
の発電電力のうち余剰した部分が電池12に流入してい
るか、あるいはコントローラ16によって電池12の保
護のため発電機20の発電出力が絞られている。この状
態からコンタクタ26をオフさせる際、コントローラ1
6は、電流センサ30によって検出される電池12の電
流が0となるよう、発電機20の界磁電流を下げる。こ
のような制御が行われた上で、コンタクタ26をオフさ
せると、当該コンタクタ26の動作をアークなしで実行
することが可能となり、コンタクタ26を長寿命化でき
る。
【0027】図3には、本発明の第2実施例における動
作の流れが示されている。この図は、特にコントローラ
16の動作の流れを示している。
【0028】この図においては、まず、アクセル開度に
関する判定が実行される(210)。すなわち、車両操
縦者によるアクセルペダルの踏み込みが大きいか否かが
判定される。この判定において用いられる所定値は、例
えばモータ10の出力で10kW程度に相当する値を設
定するのが好ましい。また、この判定の結果、アクセル
開度が所定値以上であると判定された場合には、コント
ローラ16は、更に、SOCセンサ28によって検出さ
れる電池12のSOCが所定値以上であるか否かを判定
する(212)。この判定に用いる所定値は、例えば3
0〜50%程度の値とするのが好ましい。
【0029】このような判定の結果、アクセル開度が所
定値未満であるとされた場合や、SOCが所定値以上で
あるとされた場合には、コントローラ16によってコン
タクタ26がオンされる(202)。すなわち、アクセ
ル開度が小さく、あるいはSOCが高い場合には、図1
2に示される特性による電圧VB の低下はさほど顕著と
なっていないと見做すことができるため、整流器24及
びインバータ14と電池12との間の接続が維持され
る。
【0030】逆に、アクセル開度が所定値以上であり、
かつ、SOCが所定値未満であるとされた場合には、図
12に示される関係による電圧VB の低下が顕著となる
と考えられる。この場合、コントローラ16は、コンタ
クタ26をオフさせて(204)、整流器24及びイン
バータ14と電池12の間の接続を切り離す。従って、
この場合、専ら発電機20の出力によってモータ10が
駆動される状態となる。また、この実施例においても、
ステップ206に係る界磁制御を実行することにより、
モータ10の一次電圧V1 を適当な値まで上昇させるこ
とができる。
【0031】更に、この実施例においても、アークが生
じないようコンタクタ26をオフさせることができる。
すなわち、コンタクタ26をオフさせるのに先立ち、コ
ントローラ16によってインバータ14の制御が行わ
れ、電池12の電流IB が0となるよう、モータ10の
出力(トルクと回転数Nの積)が下げられる(21
4)。このような制御を行うことにより、コンタクタ2
6をアークなしでオフさせることが可能となる。また、
ステップ214において下げられたモータ14の出力
は、コンタクタ26をオフさせた後、もとの値まで復帰
制御するのが好ましい(216)。
【0032】図4には、本発明の第3実施例における動
作、特にコントローラ16の動作の流れが示されてい
る。
【0033】この実施例においては、モータ10に対す
る電流指令I1 * が電流センサ34によって検出される
モータ10の一次電流I1 と比較される(218)。こ
こに、電流指令I1 * とは、例えば図5(a)に示され
るような量である。より詳細には、コントローラ16は
アクセル開度等に基づきモータ10のトルクを制御する
にあたって、アクセル開度等に基づいてトルク指令値を
求めた上で、このトルク指令値に基づきトルク電流指令
値Iq * を演算する。コントローラ16は、更にこのト
ルク電流指令値Iq * の2乗と一定の励磁電流指令値I
d * の2乗を加算し、その平方根を求め、これを電流指
令値I1 * とする。コントローラ16は、求めた電流指
令値I1 * に基づき、インバータ14を構成する各スイ
ッチング素子の動作を制御し、これによりモータ10に
供給される一次電流I1 を、トルク電流指令値Iq *
対応するトルク電流成分(モータ10においてトルクの
発生に寄与する成分)と、励磁電流指令値Id * に対応
する励磁電流成分とに、ベクトル制御する。
【0034】ステップ218における判定は、|I1 *
−I1 |が所定値以上であるか否かの判定であり、これ
は、車両操縦者によるアクセルペダルの踏み込みに対応
した一次電流I1 が実際に供給されているか否かの判定
に相当する。すなわち、図5(b)に示されるように電
池12の電圧VB が不足している場合には、コントロー
ラ16によってアクセル開度に相当する指令値I1 *
求められていたとしても、実際にモータ10に供給され
る一次電流I1 の値が、この指令値I1 * より小さな値
となる。ステップ218においては、この差を検出する
ことにより、電池12の電圧VB の不足を検出してい
る。
【0035】ステップ218において、指令値I1 *
対する電流I1 の差が比較的小さいと判定された場合に
は、ステップ202が実行され、コンタクタ26がオン
される(202)。逆に、上記差が顕著であると判定さ
れた場合には、コンタクタ26がオフされ(204)、
その後ステップ206が実行される。また、この実施例
においても、ステップ204を実行するのに先立ち、コ
ントローラ16によって電池12の電流IB が0に制御
される(220)。
【0036】従ってこの実施例においても、前述の各実
施例と同様、電池12の電圧VB の不足によるモータ1
0の一次電圧V1 の不足、ひいてはモータ10の出力ト
ルクの不足を回避することができる。
【0037】図6には、本発明の第4実施例におけるコ
ントローラ16の動作の流れが示されている。この実施
例においては、第3実施例におけるステップ218に代
え、ステップ222に係る判定が実行されている。
【0038】ステップ222において行われる判定は、
|アクセル開度×N−IINV |が所定値以上であるか否
かの判定である。すなわち、車両操縦者のアクセルペダ
ル踏み込み量を示すアクセル開度と、回転数センサ18
よって検出されるモータ10の回転数Nとを乗じた値
が、電流センサ32によって検出されるインバータ14
の入力電流IINV と大きな差を有しているか否かの判定
である。当該差の絶対値が所定値未満である場合にはコ
ンタクタ26がオンされ(202)、逆に所定値以上で
ある場合にはコンタクタ26がオフされる(204)。
また、この実施例においても、ステップ220及び20
6に係る制御が実行される。
【0039】この判定は、電池12の電圧VB が、車両
操縦者により要求されているモータ10の出力からみて
不足しているか否かに係る判定に相当している。すなわ
ち、コントローラ16においてアクセル開度に基づき演
算されるトルク指令値は、モータ10に要求される出力
をその回転数Nで除した値に対応している。モータ10
に要求される出力は、インバータ14が必要とする入力
電力、ひいては入力電流IINV に対応しているから、コ
ントローラ16に入力されるアクセル開度にモータ10
の回転数Nを乗ずることにより、インバータ14が必要
とする入力電流IINV を求めることができる。電池12
の電圧VB が不足している場合には、このような入力電
流IINV が必要であっても電池12はこれを供給するこ
とができず、従って図7に示されるような不足が発生す
る。ステップ222はこの事実に基づき、モータ10に
要求される出力に対する電池12の電圧VB の不足を検
出している。このような構成によっても、前述の第3実
施例と同様の効果を得ることができる。
【0040】なお、以上の説明においては、コンタクタ
26をオフさせた後、発電機20の界磁電流を上げる制
御を行っているが、この制御は必ずしも行わなくても構
わない。また、コンタクタ20をオフさせる際に、車両
操縦者にこの状況を知らせるべくアラーム表示を行うよ
うにしてもよい。加えて、モータ10として誘導モータ
を考えたが、本発明は、同期モータに適用しても構わな
い。更に、第1実施例においては回転数Nを用いて判定
を行っていたが、これに代え、車速、変速比等の情報を
用いても構わない。第2実施例におけるアクセル開度及
びSOCの判定は、判定しきい値を一定として実行する
必要はなく、電池12の電圧VB が一定値となるような
アクセル開度とSOCの関係をマップ化し、このマップ
上の曲線に対して上か下かにより、当該判定を行っても
よい。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電池の電圧がモータに要求される出力を実現するのに必
要な電圧よりも低い場合に、発電機及びモータと電池の
間の接続を開くようにしたため、電池の電圧不足による
モータの出力トルクの不足を防止することができる。
【0042】また、本発明によれば、モータの最大出力
トルクが所定限度を超えて低下する場合(例えば回転数
が顕著に高い場合)に、発電機及びモータと電池の間の
接続を開くようにしたため、回転数の上昇等に伴うモー
タの出力トルクの低下を防止することができる。
【0043】更に、本発明によれば、モータの負荷が所
定程度以上に大きく、かつ、電池の充電状態が所定程度
を超えて劣化している場合(例えば車両が登坂状態にあ
り、大電流放電しており、かつ電池のSOCが劣化して
いる場合)に発電機及びモータと電池の間の接続を開く
ようにしたため、このような状況下においても同様にモ
ータの出力トルクを確保することができる。
【0044】そして、本発明によれば、実際のモータ出
力が要求されるモータ出力に対し不足している場合に発
電機及びモータと電池の間の接続を開くようにしたた
め、例えばアクセル開度に対する出力不足を防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るハイブリッド車のシス
テム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例におけるコントローラの動
作の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例におけるコントローラの動
作の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3実施例におけるコントローラの動
作の流れを示すフローチャートである。
【図5】この実施例における電圧不足の検出原理を示す
図であり、図5(a)は電流制御の内容を、図5(b)
は電流指令値と実際の電流との差をそれぞれ示す図であ
る。
【図6】本発明の第4実施例におけるコントローラの動
作の流れを示すフローチャートである。
【図7】この実施例における電圧不足の検出原理を示す
図である。
【図8】一従来例に係るハイブリッド車のシステム構成
を示すブロック図である。
【図9】従来例においてモータの負荷が高いときに実行
される電流制御の流れを示すフローチャートである。
【図10】三相誘導モータの1相当たり等価回路を示す
回路図である。
【図11】モータ電圧の低下に伴う最大トルクの低下を
示す図である。
【図12】SOCの低下に伴う励磁電圧の低下を示す図
である。
【符号の説明】
10 モータ 12 電池 14 インバータ 16 コントローラ 18 回転数センサ 20 発電機 22 エンジン 24 整流 26 コンタクタ 28 SOCセンサ 30,32,34 電流センサ VB 電池の電圧 IB 電池の電流 SOC 電池の充電状態 V1 モータの一次電圧 I1 モータの一次電流 N モータの回転数 IINV インバータの入力電流 I1 * 電流指令値

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の駆動源たるモータと、充放電可能
    な電池と、その発電出力をモータ及び電池に供給する
    電機と、を有し、電池及び発電機双方の出力によりモー
    タを駆動可能でかつ発電機の出力により電池を充電可能
    なハイブリッド車に搭載され、 発電機及びモータと電池の間の接続を開閉する手段と、 電池の電圧がモータに要求される出力を実現するのに必
    要な電圧よりも低い状態を検出する手段と、 当該状態が検出された場合に上記接続を開く手段と、 を備えることを特徴とするモータ電圧制御装置。
  2. 【請求項2】 車両の駆動源たるモータと、充放電可能
    な電池と、その発電出力をモータ及び電池に供給する発
    電機と、を有し、電池及び発電機双方の出力によりモー
    タを駆動可能でかつ発電機の出力により電池を充電可能
    なハイブリッド車に搭載され、 発電機及びモータと電池の間の接続を開閉する手段と、 モータの最大出力トルクが所定限度を越えて低下するこ
    とを検出する手段と、 この所定限度を越えて低下することが検出された場合に
    上記接続を開く手段と、 を備えることを特徴とするモータ電圧制御装置。
  3. 【請求項3】 車両の駆動源たるモータと、充放電可能
    な電池と、その発電出力をモータ及び電池に供給する
    電機と、を有し、電池及び発電機双方の出力によりモー
    タを駆動可能でかつ発電機の出力により電池を充電可能
    なハイブリッド車に搭載され、 発電機及びモータと電池の間の接続を開閉する手段と、 モータの負荷が所定程度以上に大きくかつ電池の充電状
    態が所定程度を越えて劣化している状態を検出する手段
    と、 当該状態が検出された場合に上記接続を開く手段と、 を備えることを特徴とするモータ電圧制御装置。
  4. 【請求項4】 車両の駆動源たるモータと、充放電可能
    な電池と、その発電出力をモータ及び電池に供給する
    電機と、要求されるモータ出力に応じてモータ出力を制
    御する手段と、を有し、電池及び発電機双方の出力によ
    りモータを駆動可能でかつ発電機の出力により電池を充
    電可能なハイブリッド車に搭載され、 発電機及びモータと電池の間の接続を開閉する手段と、 要求されるモータ出力とこの要求に応じた制御の結果得
    られる実際のモータ出力とを直接又は間接比較し前者に
    対する後者の不足を検出する手段と、 当該不足が検出された場合に上記接続を開く手段と、 を備えることを特徴とするモータ電圧制御装置。
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