JP3170122U - 茸栽培容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】茸の発生部位を特定する培地カバーシートを備えた茸栽培容器を提供する。
【解決手段】培地の表面を覆う培地カバーシート1と、箱形容器と、を備えた茸栽培容器であって、培地カバーシート1は、光不透過又は光透過率の低いシート材からなり、シート材に複数個の開孔2が形成されており、箱型容器4は、上方が開口している。この箱型容器4は、比較的浅底に形成されていてもよい。また、シート材に形成された開孔2は、所定の規則性を持って配列されていてもよく、また、栽培する茸の種類に対応して大きさが変更されていてもよい。また、培地カバーシート1は、種々の材質のもので形成することができる。
【選択図】図2
【解決手段】培地の表面を覆う培地カバーシート1と、箱形容器と、を備えた茸栽培容器であって、培地カバーシート1は、光不透過又は光透過率の低いシート材からなり、シート材に複数個の開孔2が形成されており、箱型容器4は、上方が開口している。この箱型容器4は、比較的浅底に形成されていてもよい。また、シート材に形成された開孔2は、所定の規則性を持って配列されていてもよく、また、栽培する茸の種類に対応して大きさが変更されていてもよい。また、培地カバーシート1は、種々の材質のもので形成することができる。
【選択図】図2
Description
この考案は、茸栽培容器に係り、特に茸の発生部位を特定して栽培できる培地カバーシートを備えた茸栽培容器に関するものである。
伝統的な椎茸の人工栽培は、原木に種菌を植え込んで栽培する原木栽培が主流であったが、この原木栽培はその時々の気象条件並びに病害虫及び有害菌などの影響を受け易いために、安定した収穫が確保し難いことから、近年は、屋内において椎茸栽培に適合した環境を調えて、この環境下で栽培する菌床栽培へと移行して来ている。
この菌床栽培は、オガコなどの基材に米ぬかなどの栄養体を加えた培地を栽培袋に詰める工程、この袋詰めした培地(以下、「菌床」ともいう)を殺菌釜に入れて蒸気殺菌する工程、次いで、この培地に雑菌が入らないように冷却した後に種菌を接種する工程、続いて、温度、湿度などを調節しながら数週間掛けて培養する工程、その後、菌床を栽培袋から取出して、さらに温度、湿度などを調節して菌床を培養しながら茸を発生させる工程及び発生した茸を収穫する工程など経て栽培するようになっている。
この菌床栽培は、原木栽培に比べて、室内において温度、湿度などの条件を任意にコントロールでき、しかも病害虫或いは有害菌の影響を受け難くできるので、安定した収穫及び品質の高い茸を栽培できる利点がある。
この菌床栽培は、原木栽培に比べて、室内において温度、湿度などの条件を任意にコントロールでき、しかも病害虫或いは有害菌の影響を受け難くできるので、安定した収穫及び品質の高い茸を栽培できる利点がある。
この菌床栽培は、所定形状の栽培袋を使用して菌床を作るので、菌床は栽培袋体と略同じ形状となる。例えば、栽培袋に有底で角型の袋体を使用すると角柱状の菌床、或いは有底で円筒型の袋体を使用すると円柱状の菌床ができる。このような形状の菌床から茸が発生するが、その箇所は菌床の外表面、すなわち側面、肩部或いは上面から、多数本の茸が同時に或いは日をおいて、大小さまざまなものが所を選ばずランダムに発生する。そのために、発生した茸同士が互いにぶつかり合って変形し、或いはその大きさも大小混じった不揃いなものとなってしまい、収穫される茸は商品価値が劣ったものとなる。
また、複数個の菌床を密着して配置すると、隣接した菌床から発生した茸がぶつかり合って変形するので、複数個の菌床は比較的広い間隔をあけて配置しなければならない。そのために、広大なスペース或いは棚などが必要になり、また、菌床の水及び温度などの管理も面倒になり、生産性及び作業効率が悪くなるなどの問題がある。
そこで、このような問題を解決するための栽培袋及びこの栽培袋を使用した栽培方法が提案されている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
そこで、このような問題を解決するための栽培袋及びこの栽培袋を使用した栽培方法が提案されている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
例えば、下記特許文献1には、培地の上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培は、以下のイ〜ハを含んだ工程で栽培されている。
イ.直径8〜20cm、高さ10〜30cmの合成樹脂フィルム製縦長袋に椎茸用人工培地を収容する工程、
ロ.培地上部中央に、深さ2〜8cm程度の呼吸穴を形成する工程、
ハ.次いで、培地の上面部を完熟させ椎茸を発生させる時点で、長袋の上部を切取り開放
状態とする工程。
イ.直径8〜20cm、高さ10〜30cmの合成樹脂フィルム製縦長袋に椎茸用人工培地を収容する工程、
ロ.培地上部中央に、深さ2〜8cm程度の呼吸穴を形成する工程、
ハ.次いで、培地の上面部を完熟させ椎茸を発生させる時点で、長袋の上部を切取り開放
状態とする工程。
この椎茸栽培方法は、上記ロ工程において、培地上部中央に所定大きさの呼吸穴が形成されるので、この呼吸穴から培地の上部表面部分へ空気が供給される。その結果、培地の表面部分が集中的に早く完熟されて、この表面部分の椎茸の発生が早くなる。したがって、この栽培方法によると、培地の上面部から茸が発生するので、栽培、収穫が容易になる。勿論、側面から発生しないので、菌床を密着配置することも可能になる。
また、下記特許文献2にも、同様の培地上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培方法は、椎茸菌床栽培の培養完了後の発生工程において、栽培容器(栽培袋)の上部を取除いて、菌床上面のみを露出させ、その他の部分は菌床側面及び底面部部分との間に若干の隙間を保持させて栽培容器として残して、その隙間に間に注水することで菌床側面及び底面からの茸の発生を抑制し、菌床上面からのみ発生させる方法である。その具体的な方法として、以下の例が紹介されている。
横20cm、縦12cm、高さ17cm、重量2700gの培地を形成し、常法により殺菌、冷却、接種を行う。菌床の培養は20℃±1℃で80日間管理し、81日目から85日目までを25℃とする。25℃の環境で栽培袋上面を切取り、菌床同士の設置間隔を1cmとして菌床側面と栽培袋フィルムの隙間に注水して、1日に1回の散水をしながら15日間管理する。その後、温度を15℃に低下させて、散水を3日に1回として茸の発生を行う。その結果、試験数1000に対して、1菌床1世代当りの芽数で上面47、側面1、底面0、合計48、茸の平均個重24g、1菌床の平均発生量1152gとなった。
この椎茸栽培方法は、露出した菌床の上面が新鮮な空気に触れて、上部表面に準備されていた茸原基は適正な環境で茸へと成長し、側面及び底面の原基は菌床側面と袋の隙間に注入した水と接触させることで、その成長活動が抑制されているものである。
さらに、下記特許文献3にも、同様の培地上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培方法は、培養中又は培養完了後の工程において、栽培容器を取除いた露出状態の菌床を別の容器内に上面のみを開放した状態で収容し、菌床と容器間の隙間に水或いは水溶液を満たすことにより、菌床側面及び底面からのキノコの発生を抑制するようにした栽培方法である。具体的には、所定の縦、横及び高さを有するアクリル製の容器本体を用いて、この容器本体は、その上部四隅に弾力性のある菌床固定用支持体が斜め45度の角度で取付けられ、さらに底部に所定高さの菌床設置台が所定間隔で2本取付けられている。この支持体は、本体に挿入される菌床が吸水により、浮上しないように抑制する機能を果すものとなっている。
そして、この容器本体を用い、培養した菌床が袋から取出されて露出状態にして容器に収容され支持体で固定される。散水又は給水により水が供給されて、菌床と本体との隙間に満たされる。容器に菌床が配置された後は、毎日散水が行われ、培養完了後の温度管理は、朝晩は13℃、日中は20℃に室温が調整される。その結果、菌床の上面からのみキノコが発生されるようになっている。
上記特許文献1〜3の椎茸栽培方法によれば、菌床の上面に椎茸を集中的に発生させることが可能になる。しかしながら、これらの栽培方法では、菌床の上面に椎茸を集中的に発生させることができるが、この上面において茸発生の部位を特定させることができない。そのため、菌床上面において茸は所かまわずランダムに発生し、この上面において従来技術が抱える問題が発生する。
また、上記特許文献1〜3の椎茸栽培方法は、管理及び作業が面倒になるなど課題が潜在している。上記特許文献1の栽培方法では穴あけ作業、上記特許文献2の栽培方法では回数の多い注水作業、さらに上記特許文献3では菌床の移し替え用の容器の設置及び移し替え作業などの各種作業が必要になる。このような作業は、その殆どが手作業となるので自動化が難しく、しかも菌床数が多くなると、それに比例して人件費も増大し、茸のコストが高くなる。茸の人工栽培では、通常、人件費が他の費用、例えば、菌床製造費などと比べて高額になり、全体の略半分に近い割合を占めている。
そのために、人件費の軽減が課題の一つとなっている。また、上記特許文献2の栽培方法では、注水により菌床を入れた袋上部が広がりすぎることがあるので、この部分にバンドなどの取付けが必要となり、この作業も手作業となる。さらに、培養後期になると菌床上面や袋との菌床間の水没していない部分にキノコバエ、ダニなどの害虫が発生しやすく、食害を引起すなどの課題がある。
菌床栽培は、茸の発生、成長に好適な環境を如何にして作りだすかが重要になる。この栽培環境は、原木栽培時に最も効率よく発生、成長する自然環境に似た環境を人工的に作りだすことにある。上記特許文献1〜3の栽培方法では、空気或いは水によって上面栽培を可能としている。しかしながらこれらの栽培方法では、上面栽培は可能となっても菌床上面において茸の発生部位を特定できない。
そこで、本考案者は、栽培環境は、上記特許文献1〜3にみられるように空気及び水だけでなく光も重要な要素になることに着目して検討した。すなわち、光のうち紫外線は、原基の形成、すなわち菌糸体の成長に有害であることから、この成長過程では不要となるが、茸の発生と成長には必要となることから、培養容器を工夫しこの容器に所定のタイミングで光を照射すれば原基の形成、すなわち茸の発生部位を特定することができることを見出して、本考案を完成させるに至ったものである。
そこで、本考案の目的は、茸の発生部位を特定して栽培できる培地カバーシートを備えた茸栽培容器を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の茸栽培容器は、上方が開口した箱型容器と、前記箱型容器の開口を覆う培地カバーシートと、を備えた茸栽培容器であって、前記培地カバーシートは、光不透過又は光透過率が低く、複数個の開孔が形成されているシート材からなることを特徴とする。
請求項2の考案は、請求項1に記載の茸栽培容器において、前記箱型容器は、浅底に形成されていることを特徴とする。
請求項3の考案は、請求項1に記載の茸栽培容器において、前記複数個の開孔は、所定の規則性を持って配列されていることを特徴とする。
請求項4の考案は、請求項1又は3に記載の茸栽培容器において、前記複数個の開孔は、茸の種類に対応して大きさが異なるものが用いられている。
請求項5の考案は、請求項1に記載の茸栽培容器において、前記シート材は、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されていることを特徴とする。
請求項6の考案は、請求項1又は5に記載の茸栽培容器において、前記シート材は、樹脂フィルム、生分解性フィルム、光触媒性フィルム、不織布、紙材、木材のいずれかで形成されていることを特徴とする。
請求項7の考案は、請求項1、5又は6に記載の茸栽培容器において、前記シート材は、前記培地に固定する固定手段が設けられていることを特徴とする。
請求項8の考案は、請求項7に記載の茸栽培容器において、前記固定手段は、糊剤であることを特徴とする。
本考案は上記構成を備えることにより以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1及び2の考案によれば、上方が開口した箱型容器と茸の発生部位を特定できる培地カバーシートとを組合せることによって、菌床上面で茸の発生部位を特定させて栽培することが可能な茸栽培容器を提供することができる。
すなわち、この培地カバーシートは、複数個の開孔を設けた光不透過又は光透過率の低いシートで形成されているので、例えば、椎茸を栽培する際に、このカバーシートで培地床の表面を覆うと、茸原基の形成に必要な光は、開孔から露出した培地に当り、他の部分には当らないので、光が当らない箇所は原基の形成が抑制され、光が当った開孔から露出した培地は原基の形成が促進されて、この開孔を設けた箇所が茸の発生部位となる。したがって、複数個の開孔を所定の間隔で配列することによって、個々の茸がバランスよく発生して、管理が容易になり品質の高い茸の生産が可能になる。
また、培地は、培地カバーシートで覆われるので、培地表面が乾燥し難くなり、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成されて高品質の茸を生産できる。さらに、この培地カバーシートは、光不透過又は光透過率の低い材料からなるシート材に開孔を設けたものなので、簡単に作成できる。また、箱型容器を比較的浅底に形成することもできる。
請求項3の考案によれば、複数個の開孔を所定の規則性、例えば格子状の仮想線を設定して、これらの仮想線がクロスする箇所にそれぞれ配列すると、この配列にしたがって原基形成がされるので、発生する茸が衝突することなく、バランスを考慮した生産が可能になる。
請求項4の考案によれば、複数個の開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されるので、茸の種類に応じて、効率のよい栽培が可能になる。例えば、椎茸栽培の場合、円形開孔の直径を1.00〜5.00mmの範囲にするのが好ましい。5.0mm以上にすると、1つの開孔から複数個の椎茸が発生し、そのまま生育すると品質が低下し、一方で一部を残して除去しようとするとその作業が必要になる。また、他の茸、例えば、舞茸、ナメコ茸などの場合は、比較的大きくするのが好ましい。
請求項5又は6の考案によれば、シート材は種々の材質でフィルム状ないし板状体に形成することができる。樹脂フィルム、不織布、紙材及び木材などは入手が簡単なので、培地カバーを低価格で簡単に作成できる。生分解性フィルムで形成することで、使用済みのシートは、そのまま放置或いは土へ埋設して処分することが可能になる。不織布で形成することで、通気性を持たせることが可能になる。板状体や木材で形成することで、耐久性が増し、再使用が可能になる。
請求項7の考案によれば、培地カバーシートで培地表面を覆うとき、折れ曲がらず、培地表面から浮いたりしないようにすることが重要になるが、固定手段を設けることによって、培地上面に培地カバーシートを密着させて固定することが可能になる。
請求項8の考案によれば、簡単に培地上面に培地カバーシートを密着させて固定することができる。
以下、図面を参照して本考案の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本考案の技術思想を具体化するための茸の発生部位を特定して栽培できる培地カバーシートを備えた茸栽培容器を例示するものであって、本考案をこれらに特定することを意図するものではなく、実用新案登録請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
図1及び図2を参照して、本考案の箱型容器と、培地カバーシートと、を備えた茸栽培容器を説明する。なお、図1は茸栽培容器に用いる培地カバーシートを示し、図1Aは培地カバーシートの平面図、図1Bは図1の1B部分の拡大図である。図2Aは培地床を作成するための箱形容器の斜視図、図2Bは箱形容器内に培地が詰められて上面が培地カバーシートで覆われた茸栽培容器の斜視図である。
培地カバーシート1は、図1に示すように、光不透過又は光透過率の低い材料からなる所定大きさのシート材からなり、このシート材に複数個の開孔2が所定の規則性をもって形成された構成を有している。その素材は、ポリエチレンなどの合成樹脂製フィルム或いは生分解性フィルムや光触媒性フィルムからなり、その肉厚は、例えば10〜100μmである。これらの素材は、光不透過又は光透過率が低くなるように加工処理されている。
光透過率を低下させるには、透明なポリエチレンなどの合成樹脂製フィルム材に黒の顔料を5%以上混入したものが好ましい。これ以下、例えば1%程度にすると、部位特定の効果が少なくなる。この程度の顔料を混入により、材料費を低下させることができる。また、生分解性フィルム材を使用すると、使用済みのシートは、そのまま放置或いは土へ埋設して処分することが可能になる。
なお、培地カバーシートは、上記のものに限定されるものではなく、他の材料、例えば不織布、紙材などでもよい。不織布で形成すると通気性を持たせることが可能になる。また、この培地カバーシートは、肉薄のシートだけでなく、所定の肉厚、例えば肉厚が1.00〜5.00mmの板状体で形成してもよい。板状材は木材でもよい。板状材で形成すると耐久性が増し再使用が可能になる。
この培地カバーシート1は、任意形状の培地床の表面を覆う大きさに形成されている。以下、矩形状のシートについて説明する。
この培地カバーシート1は、所定の長さL及び幅長Wを有する矩形状になっている。このカバーシート1には、複数個の開孔2が所定の規則性をもって形成されている。この規則性は、開孔が形成された箇所が茸の発生部位となるので、少なくとも発生した茸が成長した状態で互いにぶつかり合わない間隔、或いは茸を大きく成長させることなどを考慮して配列される。1例として、所定の間隔をあけた縦横の仮想格子線を設けてこれらの格子線が交差する箇所に所定大きさの開孔を形成する。この開孔2は、所定の直径を有する略円形状をなしている。この開孔2の大きさは、茸の種類によって決定される。例えば、椎茸の場合は、円形開孔の直径が1.00mm〜5.0mm程度が好ましい。5.0mmを超えると、開孔から複数本の椎茸が発生する率が高くなる。また、その他の茸、舞茸、ナメコ茸などは開孔が大きく形成される。
培地カバーシート1は、その裏面に培地に固定する手段3が設けられている。この固定手段には、例えば糊剤を用いる。この固定手段により、培地との間の隙間を少なくして培地に密着させることができる。
培地床は、比較的浅底の箱型容器4を使用して作成される。この箱型容器4は、全体が長さL'、幅長W'及び高さHを有し、カバーシートとは、L>L'、W>W'の関係にあり、カバーシートより若干小さくなっている。すなわち、この箱型容器4は、所定大きさの底部4aと、この底部の周囲から所定高さに立設された側壁4b〜4cと有し、上方が開口した細長の容器からなり、合成樹脂成型体で形成されている。底部4aには、水抜孔(図示省略)が形成されている。側壁は、対向する横幅の短い側壁4b、4b及び横幅の長い側壁4c、4c'で形成されている。この箱型容器4に培地を詰めて、開口をカバーシートで覆うことによって、培地床が形成される。なお、培地床の形成は、このような容器に限定されず、任意の形状の箱型容器でもよい。
この培地カバーシートは、上記の構成を有するが、箱型容器4に詰めた培地床の表面を覆うことによって、茸発生部位を特定ができる。例えば、椎茸を栽培する際に、この培地カバーシートで培地床の表面を覆うと、茸原基の形成に必要な光は、開孔から露出した培地に当り、他の部分には当らない。このため光が当らない箇所は原基の形成が抑制され、光が当る開孔から露出した培地は原基の形成が促進されて、この開孔を設けた箇所が最初に発生する発生部位となる。
したがって、複数個の開孔を所定の間隔で配列することによって、個々の茸がバランスよく発生して、管理が容易になり品質の高い茸の生産が可能になる。また、培地床は、培地カバーシートで覆われるので、培地表面が乾燥し難くなり、培地床は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成されて高品質の茸を生産できる。さらに、この培地カバーシートは、光不透過又は光透過率の低い材料からなるシート材に開孔を設けたものなので簡単に作成できる。
次に、図3を参照して、本考案の茸栽培容器を使用した椎茸栽培方法を説明する。なお、図3は椎茸栽培の工程図である。
まず、所定量のおがこに、栄養体として米ぬかを混合して、所定量の水を加えて培地調整を行う(工程I)。調整された培地を箱型容器4に詰めて培地床を作成する(工程II)。この培地床の上面を培地カバーシート1で覆う(図2A参照)。この工程では、培地上面で折れ曲がったり或いは浮いたりしないように培地に密着するように固定する。この固定は、糊剤3を培地に貼着することによって行う。次いで、この箱型容器ごと高圧釜内に入れて加殺菌又は滅菌する。殺菌又は滅菌を行った後に、冷却する(工程III、IV)。
まず、所定量のおがこに、栄養体として米ぬかを混合して、所定量の水を加えて培地調整を行う(工程I)。調整された培地を箱型容器4に詰めて培地床を作成する(工程II)。この培地床の上面を培地カバーシート1で覆う(図2A参照)。この工程では、培地上面で折れ曲がったり或いは浮いたりしないように培地に密着するように固定する。この固定は、糊剤3を培地に貼着することによって行う。次いで、この箱型容器ごと高圧釜内に入れて加殺菌又は滅菌する。殺菌又は滅菌を行った後に、冷却する(工程III、IV)。
その後、クリーンルームへ搬送して、このクリーンルーム内で培地カバーシートの上から椎茸の種菌を接種する(工程V)。この接種により、椎茸の種菌は、カバーシートの開孔2から培地の中へ接種される。
次いで、所定の培養室へ搬送し、この培養室で培養を行う。この培養は、初期培養(工程IV)と熟成培養(工程V)に分けて実施する。初期培養では、光を照射することなく略暗黒の状態で菌糸培養に適した環境、例えば、室温18〜20℃と湿度60%に保持して種菌を生育・増殖させる。この期間は略30日程度である。その後の熟成培養では、熟成培養に適した環境(例えば温度20〜23℃)、特に所定の光を照射して、略60日〜70日掛けて培地に栄養蓄積を行う。
この工程において、培地床内に菌糸が繁殖し始めるが、この培地床は、開孔を除く全ての箇所が光の透過がし難くなっているので、茸を発生させる原基は、まず開孔部分に形成される。すなわち、光は、開孔から露出した培地に当り、他の箇所には当らないので、光が当らない箇所では原基の形成が抑制され、光が当った開孔から露出した培地には原基の形成が促進されて、この開孔を設けた箇所は褐色に変色し茸発生部位となる。なお、光が当らない箇所は、白っぽくなっている。また、培養期間中は、菌床上面が培地カバーシートで覆われているので、培地床は湿度が保たれ、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成されて高品質の茸を生産できる。また、培地は、培地カバーシートで覆われるので、培地表面が乾燥し難くなり、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成される。
熟成培養が終了した後に、培地カバーシート1を取外して茸の発生をさせる(工程VI)。
この発生工程では、原基形成が促進された箇所からいち早く最初の茸が発生し、育成されて収穫される。すなわち、初回の発生は、発生部位が特定された箇所から発生する。その初回の収穫量は、全体の収穫量の約半分以上となる。また、この工程において、培地カバーシートが除去された直後は、培地カバーシートで密着していた培地床の表面が白っぽい状態となっているが、光の照射によって徐々に褐色化して、茸が発生する。しかしながら、これらの発生は2回目、3回目以降のものとなり、回が進むにしたがって収穫量が減少する。
この発生工程では、原基形成が促進された箇所からいち早く最初の茸が発生し、育成されて収穫される。すなわち、初回の発生は、発生部位が特定された箇所から発生する。その初回の収穫量は、全体の収穫量の約半分以上となる。また、この工程において、培地カバーシートが除去された直後は、培地カバーシートで密着していた培地床の表面が白っぽい状態となっているが、光の照射によって徐々に褐色化して、茸が発生する。しかしながら、これらの発生は2回目、3回目以降のものとなり、回が進むにしたがって収穫量が減少する。
この培地カバーシートを使用した椎茸栽培方法は、初回の発生で椎茸の発生部位を特定するので、個々の椎茸をバランスよく発生・育成することが可能になり、品質の高い椎茸を初回で、全収穫量の50%以上収穫できる。
以上の茸栽培容器では、椎茸栽培に適用した例を説明したが、本考案の茸栽培容器は椎茸栽培に限定されるものでなく、培地カバーシートを種々変更することによって他の茸、例えば舞茸、なめこ茸などにも適用できるものである。
1 培地カバーシート
2 開孔
3 固定手段
4 箱型容器
2 開孔
3 固定手段
4 箱型容器
Claims (8)
- 上方が開口した箱型容器と、前記箱型容器の開口を覆う培地カバーシートと、を備えた茸栽培容器であって、
前記培地カバーシートは、光不透過又は光透過率が低く、複数個の開孔が形成されているシート材からなることを特徴とする茸栽培容器。 - 前記箱型容器は、浅底に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の茸栽培容器。
- 前記複数個の開孔は、所定の規則性を持って配列されていることを特徴とする請求項1に記載の茸栽培容器。
- 前記複数個の開孔は、茸の種類に対応して大きさが異なるものが用いられていることを特徴とする請求項1又は3に記載の茸栽培容器。
- 前記シート材は、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の茸栽培容器。
- 前記シート材は、樹脂フィルム、生分解性フィルム、光触媒性フィルム、不織布、紙材、木材のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1又は5に記載の茸栽培容器。
- 前記シート材は、前記培地に固定する固定手段が設けられていることを特徴とする請求項1、5又は6に記載の茸栽培容器。
- 前記固定手段は、糊剤であることを特徴とする請求項7に記載の茸栽培容器
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008163269A Continuation JP2010000058A (ja) | 2008-06-23 | 2008-06-23 | 培地カバーシート及びこの培地カバーシートを備えた栽培容器並びに培地カバーシート又は栽培容器を使用した茸栽培方法 |
Publications (1)
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JP3170122U true JP3170122U (ja) | 2011-09-01 |
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