JP3169930B2 - テストパタン自動生成装置及びテストパタン自動生成方法 - Google Patents

テストパタン自動生成装置及びテストパタン自動生成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子回路のテスト
パタンを生成するテストパタン自動生成装置及び方法に
関する。特に、電子回路に修正が加えられた場合に、そ
の修正箇所を活性化し、修正前後の電子回路を区別可能
なテストパタンを生成する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、集積回路は大規模化の一途をたど
り、その試験もますます大規模化している。それに伴
い、集積回路のテストパタンの生成に要する期間も増加
しており、この生成期間が集積回路の開発期間中に占め
る割合も大きくなってきている。
【0003】このテストパタンは、古典的には人手によ
って作成されていた。しかし、集積回路の大規模化によ
って、もはやこのような手法は採用し得なくなり、最近
では、集積回路の故障を高い確率で検出できる高故障検
出率のテストパタンを自動的に作成できる手法が広く利
用されている。そのようなテストパタンの自動生成手法
の1つに「自動テストパタン生成手法」(以下、ATP
G(Automatic Test Pattern Generator)と呼ぶ)があ
る。
【0004】従来は複数の技術者が数ヶ月かかってテス
トパタンを生成していたのに対して、このATPGの利
用によって1人の技術者が1日程度で同様のテストパタ
ンを生成可能となった。その結果、半導体集積回路の開
発期間の短縮と、信頼性の高いテストパタンの生成が実
現されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来の手
法には、次のような問題点がある。第1の問題点は、従
来のATPGで生成されるテストパタンは、回路の修正
内容によっては、回路の修正箇所を検出できない場合が
生ずることである。
【0006】このような場合、従来は、図19のフロー
チャート図に示されているように、人手を介して修正箇
所を検出可能なテストパタンを追加生成する必要があ
り、その結果多大な手間を要してしまっていた。図19
には、集積回路に修正が加えられた場合に、修正後の集
積回路に対する新たなテストパタンの生成処理の概要を
示すフローチャート図が示されている。
【0007】まず、図19のステップ301において
は、いわゆる1chipATPGが実行される。この処
理は、修正した集積回路の回路データに基づき、ATP
Gによってテストパタンを生成する処理である。次にス
テップ302においては、ATPGによって生成したテ
ストパタンを用いて、修正後の集積回路と修正前の集積
回路のテストが行われる。
【0008】ステップ303においては、上記ステップ
302におけるテストの結果、修正箇所を検出できたか
否かが検査される。ここで、修正箇所を検出できると
は、修正前の集積回路と修正後の集積回路とを区別可能
であることを意味する。このステップ303の検査によ
って、上記両集積回路を区別できれば、テストパタンの
生成作業は完了するが、区別できない場合には次のステ
ップ304に処理が移行する。
【0009】ステップ304においては、修正箇所を検
出できるテストパタンが人手によって生成される。ステ
ップ305においては、上記ステップ304で生成され
たテストパタンを、上記1chipATPGで生成した
テストパタンに追加する。そして、この人手で生成され
たテストパタンが追加された新たなテストパタンを用い
て、再び上記ステップ2に処理が移行し、修正前の集積
回路及び修正後の集積回路のテストが再び実行される。
以下、両集積回路が区別可能となるまで、処理が続行さ
れる。
【0010】このような従来の集積回路のテストパタン
の生成手法では、修正箇所をそれぞれ抽出し、その修正
箇所を活性化させるようなテストパタンをすべて人手で
追加生成する必要があった。したがって、修正箇所が多
数存在した場合には、追加生成するテストパタンも多数
となり、テストパタンの生成期間が極めて長くなってし
まっていた。なお、人手でテストパタンを追加生成して
いるのは、従来のATPGによって生成したテストパタ
ンで回路の修正箇所を検出できない例があるからであ
る。
【0011】次に、この従来のATPGによって生成し
たテストパタンで回路の修正箇所を検出できない例につ
いて説明する。ここで、修正箇所を検出できないとは、
修正前の集積回路と修正後の集積回路とを区別できない
ことを意味する。まず、例として、図2に修正前の回路
図を示す。そして、図3に、図2の回路図に対して修正
を加えた回路図を示す。以下、これらの図を用いて説明
する。
【0012】図2の回路図は、素子A及び素子Bに格納
されているデータの論理和を素子Wが演算し、その演算
結果を素子Cに出力するものである。この回路に対して
従来のATPGで生成したテストパタンは、素子Wの入
力となる素子A及び素子Bのとりうるすべての値の組み
合わせである。したがって、ATPGで生成されるテス
トパタンは、図4に示す真理値表の通りとなる。図4に
は、図2に示す回路に対して従来のATPGを実行して
得られたテストパタンを表す真理値表が示されている。
この真理値表に示されているように、テストパタンは4
通りである。
【0013】一方、図3の回路は、図2の回路に対して
素子Bと素子Wの接続を切断するような修正が加えられ
ている。このような回路に対して従来のATPGで生成
したテストパタンは、図5に示す真理値表の通りとな
る。図5には、図3に示す回路に対して従来のATPG
を実行して得られたテストパタンを表す真理値表が示さ
れている。
【0014】この図5の真理値表に示されているよう
に、テストパタンは2通りとなる。これは、図3の回路
では、素子Wの一方の入力端子である図中点Xが「0」
固定されているため、図5の真理値表に示される2個の
テストパタンですべての組み合わせを網羅可能だからで
ある。
【0015】次に、この図5の真理値表に示された2個
のテストパタンで、図2及び図3の両回路をテストした
結果について説明する。図2の回路に対してテストを行
う。まず、(A、B、C)=(0、0、0)のテストパ
タンに関するテストを行う。(A、B)=(0、0)を
与えると、素子Aの出力値「0」と素子Bの出力値
「0」に対して、その論理和出力C=「0」となる。し
たがって、テストパタンの期待値のC=「0」と一致す
る。
【0016】次に、(A、B、C)=(1、0、1)の
テストパタンに関するテストを行う。(A、B)=
(1、0)を与えると、素子Aの出力値「1」と素子B
の出力値「0」に対して、その論理和出力C=「1」と
なる。したがって、テストパタンの期待値C=「1」と
一致する。
【0017】さて、図3の回路に対するテストを行う。
まず、(A、B、)=(0、0、0)のテストパタン
に関するテストを行う。(A、B)=(0、0)を与え
ると、素子Aの出力値「0」とXの固定値「0」に対し
て、その論理和出力=「0」となる。したがって、テ
ストパタンの期待値C=「0」と一致する。
【0018】次に、(A、B、)=(1、0、1)の
テストパタンに関するテストを行う。(A、B)=
(1、0)を与えると、素子Aの出力値「1」とXの固
定値「0」に対して、その論理和出力=「1」とな
る。したがって、テストパタンの期待値C=「1」と一
致する。
【0019】このように、図3の回路に基づき従来のA
TPGを使用して得られたテストパタンを、図2及び図
3の回路に適用すると、まったく同一のテスト結果が得
られる。したがって、修正前後の回路の差異を検出する
ことができない。修正による差異を検出できるパタン
は、図4の真理値表に含まれる(A、B、C)=(0、
1、1)というテストパタンであるが、従来のATPG
を図3に適用しても、そのようなテストパタンを生成す
ることはできない。そのため、上述したように両回路を
区別することができないのである。
【0020】以上のように、修正後の回路に従来のAT
PGを適用して生成したテストパタンでは、修正前の回
路と修正後の回路に対して同一の結果をもたらす場合が
生じうる。このような事態が生じると、例えば図3の回
路において製造不良によって誤って図2のように配線が
結線されてしまっても、従来のATPGによるテストパ
タンでは、不良品であると識別することができないとい
う結果をもたらす。
【0021】一般に集積回路において、回路上の問題が
発生した場合、配線行程の修正のみで問題を解決するこ
とは多い。上述したように、配線の一部を「0」固定し
て問題を回避する手法も広く一般に行われている。そし
て、本願発明者らの経験によれば、このような「0」固
定を行って問題を解決を図った場合に上記のような問題
が生じやすい。このような問題を生じる例としては、さ
らに次のような場合がある。
【0022】図6は修正前の回路図であり、図7は図6
の回路図に修正をした後の回路図である。図7において
は、図6の回路に対して点Xを「0」固定している。図
6の回路に対して従来のATPGを適用して生成したテ
ストパタンは、図8の真理値表に示す通りである。
【0023】また、図7の回路に対して従来のATPG
を適用して生成したテストパタンは、図9の真理値表に
示す通りである。図9の真理値表に示された2個のテス
トパタンを、図6及び図7の回路図に対して適用しても
同一のテスト結果となり、両回路を区別できないこと
は、上記図2及び図3の回路の場合と同様である。
【0024】図10は修正前の回路図であり、図11は
図10の回路図に修正をした後の回路図である。図11
においては、図10の回路に対して点Xを「0」固定し
ている。図10の回路に対して従来のATPGを適用し
て生成したテストパタンは、図12の真理値表に示す通
りである。
【0025】また、図11の回路に対して従来のATP
Gを適用して生成したテストパタンは、図13の真理値
表に示す通りである。図13に示された2個のテストパ
タンを、図10及び図11の回路図に対して適用しても
同一のテスト結果となり、両回路を区別できないこと
は、上記図2及び図3の回路の場合と同様である。
【0026】図14は修正前の回路図であり、図15は
図14の回路図に修正をした後の回路図である。図15
においては、図14の回路に対して点Xを「0」固定し
ている。図14の回路に対して従来のATPGを適用し
て生成したテストパタンは、図16の真理値表に示す通
りである。
【0027】また、図15の回路に対して従来のATP
Gを適用して生成したテストパタンは、図17の真理値
表に示す通りである。表17の真理値表に示された2個
のテストパタンを、図14及び図15の回路図に対して
適用しても同一のテスト結果となり、両回路を区別でき
ないことは、上記図2及び図3の回路の場合と同様であ
る。
【0028】以上述べた例においては、比較的単純な例
について説明したが、より複雑な例においても同様の問
題が生じる可能性があることは明らかであろう。
【0029】これまでに述べたように、上記問題が生じ
た場合には、従来のATPGによって生成したテストパ
タンとは別に、人手で修正箇所を検出可能なテストパタ
ンを生成することになる。例えば、図4や図5に示した
回路の場合に修正箇所を検出可能なテストパタンを生成
するのに約30分必要であると仮定すると、100カ所
の修正箇所があった場合には、約50時間の時間が必要
である。大規模な集積回路になれば、回路の組み合わせ
はさらに複雑となり、回路の修正箇所をすべて抽出し、
それらすべてを検出可能なテストパタンを人手で生成す
るにはさらに多大な時間が必要である。
【0030】本発明は、かかる課題に鑑みなされたもの
であり、その目的は、修正を施した回路を検証するテス
トパタンを生成する際に、修正前回路と修正後の回路の
差分を検出し、修正箇所を活性化しうるテストパタンを
自動生成する装置及び方法を提供することである。
【0031】なお、テストパタンの生成に関する技術
が、例えば、特開平4−312172号公報には、テス
トパタンの故障検出率が向上するように、そのテストパ
タンが作成された論理回路図を自動的に修正する装置が
記載されている。また、特開平4−318678号公報
には、論理設計の検証を自動的に行う装置が示されてい
る。これら装置によれば、論理設計に対して、論理検
証、故障検証、回路規則検証処理を自動的に行うことが
できると記述されているが、依然として上記課題は解決
されていない。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の請求項1記載のテストパタン自動生成装置は、
配線に修正を加えた電子回路をテストするテストパタン
を生成するテストパタン自動生成装置において、前記修
正を加える前の電子回路の情報である旧回路情報と、前
記修正を加えた電子回路の情報である新回路情報とに基
づき、修正された回路部分を求め、この修正された回路
部分の情報である修正箇所情報を出力する修正箇所情報
抽出手段と、前記修正箇所情報と、前記修正を加えた電
子回路中の修正箇所の出力が依存する素子のすべての素
子の組み合せ状態からなる複数のテストパタンを生成
し、これらテストパタンのすべてを前記修正箇所を活性
化するための修正箇所活性化パタンとして出力する修正
箇所活性化パタン生成手段と、前記新回路情報に基づ
き、前記修正を加えた電子回路をテストする原テストパ
タンを生成するテストパタン生成手段と、前記原テスト
パタンに前記修正箇所活性化パタンをマージすることに
よって、前記修正前の電子回路と、前記修正後の電子回
路とを区別しうるテストパタンを生成する修正箇所活性
化パタンマージ手段とを含む構成としてある。
【0033】このような構成によれば、修正箇所を活性
化可能なテストパタンを含むテストパタンを自動的に生
成できるため、修正前後の電子回路を区別可能である。
【0034】また、請求項2記載のテストパタン自動生
成装置は、前記修正箇所情報抽出手段は、前記新回路情
報と前記旧回路情報とを等価検証し、差分情報を出力す
る等価検証手段と、前記差分情報に基づき、修正箇所を
抽出し、修正箇所情報を出力する修正箇所抽出手段とを
含む構成としてある。このような構成によれば、修正箇
所を等価検証の技術を用いて効率的に検出し、修正箇所
情報を出力することができる。
【0035】さらに、請求項3記載のテストパタン自動
生成装置は、前記修正箇所抽出手段は、前記修正箇所の
位置情報を、前記修正箇所情報として出力する構成とし
てある。このような構成によれば、修正箇所の位置情報
を修正箇所の情報として出力するため、修正箇所を電子
回路上で容易に特定可能である。
【0036】そして、請求項4記載のテストパタン自動
生成装置は、前記修正箇所活性化パタン生成手段は、前
記新回路情報に対して、前記修正箇所情報で指定される
箇所を活性化するATPGアルゴリズムを適用してテス
トパタンを生成する構成としてある。このような構成に
よれば、修正箇所情報が指定する箇所を活性化するテス
トパタンを容易に生成可能である。
【0037】特に、請求項5記載のテストパタン自動生
成装置は、前記テストパタン生成手段は、前記新回路情
報に対してATPGアルゴリズムを適用してテストパタ
ンを生成する構成としてある。このような構成によれ
ば、新回路情報に対してその修正箇所を活性化するテス
トパタン以外の一般的なテストパタンを生成することが
できる。この一般的なテストパタンに、修正箇所を活性
化するテストパタンを加えれば、修正前後の電子回路を
区別することができるテストパタンが得られる。
【0038】また、請求項6記載のテストパタン自動生
成方法は、配線に修正を加えた電子回路をテストするテ
ストパタンを生成するテストパタン自動生成方法におい
て、前記修正を加える前の電子回路の情報である旧回路
情報と、前記修正を加えた電子回路の情報である新回路
情報とに基づき、修正された回路部分を求め、この修正
された回路部分の情報である修正箇所情報を出力する修
正箇所情報抽出ステップと、前記修正を加えた電子回路
中の修正箇所の出力が依存する素子のすべての素子の組
み合せ状態からなる複数のテストパタンを生成し、これ
らテストパタンのすべてを前記修正箇所を活性化するた
めの修正箇所活性化パタンとして出力する修正箇所活性
化テストパタン生成ステップと、前記新回路情報に基づ
き、前記修正を加えた電子回路をテストする原テストパ
タンを生成するテストパタン生成ステップと、前記原テ
ストパタンに前記修正箇所活性化パタンをマージするこ
とによって、前記修正前の電子回路と、前記修正後の電
子回路とを区別しうるテストパタンを生成する修正箇所
活性化パタンマージステップとを含む構成としてある。
このような構成によれば、上記請求項1記載のテストパ
タン自動生成装置と同様の作用・効果を有するテストパ
タン自動生成方法が得られる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について、図面を用いて説明する。 [第一実施形態]図1には、本発明の好適な第一実施形
態にかかるテストパタン生成装置の構成ブロック図が示
されている。
【0040】この図1に示すように、テストパタン生成
装置は、修正前と修正後の2つの回路情報から差分を抽
出する修正箇所情報抽出手段106と、この抽出した修
正箇所から修正部分を活性化させるテストパタン109
を生成する修正箇所活性化パタン生成手段108を備え
ている。
【0041】さらに、テストパタン生成装置は、生成さ
れたテストパタン109と修正後の新回路情報102と
に基づき、修正箇所を検出可能なテストパタンを生成す
る修正箇所検出パタン生成手段113を備えている。
【0042】修正箇所情報抽出手段106は、修正前後
の回路情報を比較し、その差分を検出する等価検証手段
103と、得られた差分情報104に基づき、修正箇所
の情報である修正箇所情報107を抽出する修正箇所抽
出手段105と、を備えている(図1参照)。
【0043】等価検証手段103は、修正前の回路情報
である旧回路情報101と修正後の回路情報である新回
路情報102とに基づき、両者の差分を検出する。この
検出処理は、従来の等価検証技術を用いることによって
実現することができる。また、修正箇所抽出手段105
は、等価検証で検出された修正前後の回路の差分が、修
正された箇所であると見なし、この箇所を抽出する。修
正箇所抽出手段105は、具体的には、修正後の回路内
における修正箇所の位置情報である修正箇所情報107
を抽出・出力する。
【0044】修正箇所活性化パタン生成手段108は、
抽出された上記修正箇所情報107に基づき、その修正
箇所の回路を活性化させる修正箇所活性化パタン109
を生成する。なお、活性化させたい回路部分を指定し、
その回路部分を活性化させるテストパタンを生成するこ
とは、従来のATPGの技術を利用することによって可
能である。修正箇所検出パタン生成手段113は、1c
hipATPG実行手段110と、修正箇所活性化パタ
ンマージ手段112と、を備えている。
【0045】1chipATPG実行手段110は、修
正後の新回路情報102に基づき、従来のATPGを実
行し、テストパタンを生成する。そして、修正箇所活性
化パタンマージ手段112は、1chipATPG実行
手段110が生成したテストパタンに先の修正箇所活性
化パタン109をマージし、修正箇所を検出可能なテス
トパタン、すなわち、修正前後の回路を区別可能なテス
トパタンを生成する。
【0046】以下、本第一実施形態にかかるテストパタ
ン生成装置の具体的な動作について、図面に基づき詳細
に説明する。本説明においては、従来の技術の説明で用
いた図2及び図3の回路を同様に用いて説明する。既に
説明したように、図2の回路における素子Bの出力と素
子Wの入力との間の点Xを切断し、このX点を「0」固
定したものが図3に示す回路である。また、図2の回路
に対して従来のATPGを実行して得られたテストパタ
ンの真理値表が図4の説明図に示されている。同様に、
修正後の図3の回路に対して従来のATPGを実行して
得られたテストパタンの真理値表が図5の説明図に示さ
れている。
【0047】さて、図1に示されているテストパタン生
成装置において、修正前の旧回路情報101と、修正後
の新回路情報102とが修正箇所情報抽出手段106に
与えられる。ここで、修正前の旧回路情報101は、図
2に示される回路に関する回路情報であり、修正後の新
回路情報102は、図3に示される回路に関する回路情
報である。
【0048】修正箇所情報抽出手段106における等価
検証手段103は、修正前及び修正後の回路情報(10
1、102)について等価検証を行い、修正前後におけ
る差分情報104を検出し出力する。
【0049】さて、上記図2及び図3に示された回路に
関して、等価検証手段103が、等価検証を実行する
と、上記X点における結線が修正前後において異なるこ
とが検出される。そのため、図2のX点と図3のX点と
では、論理が異なるという検証結果が得られる。
【0050】この結果に基づき、修正箇所抽出手段10
5は、X点に関し修正が行われたと判断する。そして、
修正箇所抽出手段105は、X点についての情報、すな
わち、修正後の回路内でのX点の位置を示す情報を出力
する。この出力した情報が、修正箇所情報107であ
る。図3に示された例においては、「素子Wの入力端子
X」というX点の位置情報が、修正箇所情報107とな
る。
【0051】次に、この修正箇所情報107が修正箇所
活性化パタン生成手段108に与えられる。そして、修
正箇所活性化パタン生成手段108は修正箇所情報10
7を参照しながら新回路情報102に対するテストパタ
ンを生成する。この生成動作は、従来のATPGのアル
ゴリズムを用いて実現される。従来のATPGアルゴリ
ズムにおいては、所定の回路の指定した場所を活性化す
るテストパタンを生成することが可能であった。本第一
実施形態においては、この従来のATPGアルゴリズム
を用いて、図3の回路の新回路情報102に対して、X
点を活性化させるテストパタンが生成される。ここで、
X点の位置情報は修正箇所情報107によって指定され
ている。
【0052】次に、図3に示された回路に基づき、X点
を活性化させるテストパタンを生成する動作を説明す
る。X点を活性化させるためには、素子Bが「0」と
「1」の両方の値をとり得るようなテストパタンを生成
する必要がある。しかし、上記従来の技術の図19のフ
ローチャート図で示された動作では、ATPGを実行し
ても、素子Bが「0」または「1」のいずれか一方の状
態みのテストパタンしか生成されない。
【0053】その理由は、従来のATPGが、故障検出
率の向上を目的としたアルゴリズムだからである。図3
に示された回路においては、X点が「0」固定されてい
る。したがって、素子Bが「0」と「1」の値をとるよ
うなテストパタンと、素子Bが「0」または「1」のい
ずれかの値のみをとるようなテストパタンとの故障検出
率は同一である。そのため、故障検出率が同一であるな
らば、テストパタンの種類は少ない方が好ましい。その
結果、従来のATPGでは、素子Bの値が「0」または
「1」のいずれか一方の値のみをとるテストパタンしか
生成されないのである。
【0054】さらに、出力Dの値は素子Aの値にも依存
する。したがって、結局X点を活性化させるためには、
素子A素子Bのすべての値の組み合わせ状態を考慮する
必要がある。そのため、素子Aが「0」であって素子B
が「0」と「1」の場合、素子Aが「1」であって素子
Bが「0」と「1」の場合、の4通りの状態をとりうる
テストパタンを生成し、そのテストパタンを用いればX
点を活性化させることが可能である。
【0055】このようにして生成される図3の回路に対
する修正箇所活性化パタンは、以下の4通りである。 1 (A、B、D)=(0、0、0) 2 (A、B、D)=(0、1、0) 3 (A、B、D)=(1、0、1) 4 (A、B、D)=(1、1、1) このうち、実際に修正箇所(X点)を検出可能なテスト
パタン、すなわち図2の回路と図3の回路とを区別可能
なテストパタンは、上記2のテストパタンだけである。
【0056】この2のテストパタンを適用すれば、図
の回路はテストをパスするが、図の回路では、素子D
の値がテストパタンと異なってしまい、テストをパスで
きない。その結果図2と図3の回路を区別することが
可能である。このテストパタン以外の上記1、3、4の
テストパタンは図2の回路と図3の回路の双方で同様に
テストをパスしてしまい、両回路を区別することはでき
ない。
【0057】しかし、上記1、2、3、4の各テストパ
タンのうち、そのテストパタンがX点を活性化させるか
否かを判断することは一般に困難であると考えられる。
したがって、本第一実施形態においては、修正箇所活性
化パタン生成手段108は、上記4個のテストパタンを
すべて修正箇所活性化パタン109として出力する。
【0058】そして、修正箇所検出パタン生成手段11
3においては、1chipATPG実行手段110が、
修正後の新回路について従来のATPGアルゴリズムを
実行し、1chipATPGテストパタン111を生成
する。次に、修正箇所活性化パタンマージ手段112
は、1chipATPGテストパタン111に、上述の
修正箇所活性化パタン109を付加することによって、
修正箇所を検出可能なテストパタンを生成する。
【0059】本第一実施形態において説明した例におい
ては、修正後の新回路情報について従来のATPGアル
ゴリズムで生成されたテストパタンのみでは、修正前後
の回路の差異を検出することは不可能である。従来のA
TPGアルゴリズムで生成されたテストパタンに、修正
箇所活性化パタンを加えることによって初めて修正箇所
を検出可能なテストパタンを生成することが可能とな
る。
【0060】[第二実施形態]上述した第一実施形態に
おけるテストパタン生成装置の各手段は、ソフトウェア
で構成することが好ましい。この場合には、本発明はテ
ストパタン生成方法と考えることができる。本第二実施
形態では、このようなテストパタン生成方法について説
明する。
【0061】本第二実施形態にかかるソフトウェア生成
方法の動作を表すフローチャート図が図18に示されて
いる。この図において、修正箇所情報抽出ステップ18
−1においては、新回路情報102と、旧回路情報10
1と、に基づき、修正箇所の抽出が行われる。抽出され
た修正箇所は修正箇所情報107として出力される。こ
のステップの処理は、上述した修正箇所情報抽出手段1
06において実行される。修正箇所情報抽出手段106
の詳細な動作は、上述した第一実施形態の通りである。
【0062】修正箇所活性化パタン生成ステップ18−
2においては、上記修正箇所情報107と、新回路情報
102と、に基づき、修正箇所を活性化するためのテス
トパタンである修正箇所活性化パタン109が生成され
る。このステップの処理は、上述した修正箇所活性化パ
タン生成手段108において実行される。修正箇所活性
化パタン生成手段108の詳細な動作は、上述した第一
実施形態の通りである。
【0063】1chipATPG実行ステップ18−3
においては、新回路情報102に基づき、従来のATP
Gアルゴリズムを用いてテストパタンが生成される。こ
のテストパタンは1chipATPGテストパタン11
1である。このステップの処理は、上述した1chip
ATPG実行手段110において実行される。1chi
pATPG実行手段110の詳細な動作は、上述した第
一実施形態の通りである。
【0064】修正箇所活性化パタンマージステップ18
−4においては、上記1chipATPGテストパタン
111と、上記修正箇所活性化パタン109と、をマー
ジし、最終的なテストパタン114が生成される。この
ステップの処理は、上述した修正箇所活性化パタンマー
ジ手段112において実行される。修正箇所活性化パタ
ンマージ手段112の詳細な動作は、上述した第一実施
形態の通りである。
【0065】本第二実施形態によれば、上記第一実施形
態と同様に修正箇所を検出可能なテストパタンを生成す
ることが可能である。
【0066】
【発明の効果】以上述べたように本願発明によれば、以
下のような効果がある。すなわち、修正後の回路につい
て、従来のATPGアルゴリズムを適用して得られたテ
ストパタンでは、回路修正箇所の検出が不可能であるの
に対して、本発明により生成されたテストパタンは、上
記修正箇所を検出できるという効果を奏するのである。
【0067】この結果、修正箇所を検出可能なテストパ
タンの生成に要する時間を極めて短くすることができ
る。これは、従来は、修正箇所を検出できるテストパタ
ンを人手で作成していたのに対して、本発明によれば修
正箇所を検出可能なテストパタンを自動的に生成できる
ためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本第一実施形態にかかるテストパタン生成装置
の構成ブロック図である。
【図2】修正前の回路例を示す回路図である。
【図3】図2に示されている回路に修正を加えた回路図
である。
【図4】図2に示されている回路に従来のATPGを実
行して得られたテストパタンの真理値表である。
【図5】図3に示されている回路に従来のATPGを実
行して得られたテストパタンの真理値表である。
【図6】修正前の回路例を示す回路図である。
【図7】図6に示されている回路に修正を加えた回路図
である。
【図8】図6に示されている回路に従来のATPGを実
行して得られたテストパタンの真理値表である。
【図9】図7に示されている回路に従来のATPGを実
行して得られたテストパタンの真理値表である。
【図10】修正前の回路例を示す回路図である。
【図11】図10に示されている回路に修正を加えた回
路図である。
【図12】図10に示されている回路に従来のATPG
を実行して得られたテストパタンの真理値表である。
【図13】図11に示されている回路に従来のATPG
を実行して得られたテストパタンの真理値表である。
【図14】修正前の回路例を示す回路図である。
【図15】図14に示されている回路に修正を加えた回
路図である。
【図16】図14に示されている回路に従来のATPG
を実行して得られたテストパタンの真理値表である。
【図17】図15に示されている回路に従来のATPG
を実行して得られたテストパタンの真理値表である。
【図18】本第二実施形態にかかるテストパタン生成方
法の動作を表すフローチャート図である。
【図19】従来の技術における、集積回路に修正が加え
られた場合に、修正後の集積回路に対する新たなテスト
パタンの生成処理の概要を示すフローチャート図であ
る。
【符号の説明】
101 旧回路情報 102 新回路情報 103 等価検証手段 104 差分情報 105 修正箇所抽出手段 106 修正箇所情報抽出手段 107 修正箇所情報 108 修正箇所活性化パタン生成手段 109 修正箇所活性化パタン 110 1chipATPG実行手段 111 1chipATPGテストパタン 112 修正箇所活性化パタンマージ手段 113 修正箇所検出パタン生成手段 114 テストパタン 201 回路情報 202 1chipATPG実行手段 203 テストパタン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−310185(JP,A) 特開 平2−112776(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/3183 G06F 17/50

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配線に修正を加えた電子回路をテストす
    るテストパタンを生成するテストパタン自動生成装置に
    おいて、 前記修正を加える前の電子回路の情報である旧回路情報
    と、前記修正を加えた電子回路の情報である新回路情報
    とに基づき、修正された回路部分を求め、この修正され
    た回路部分の情報である修正箇所情報を出力する修正箇
    所情報抽出手段と、 前記修正を加えた電子回路中の修正箇所の出力が依存す
    る素子のすべての素子の組み合せ状態からなる複数のテ
    ストパタンを生成し、これらテストパタンのすべてを前
    記修正箇所を活性化するための修正箇所活性化パタンと
    して出力する修正箇所活性化パタン生成手段と、 前記新回路情報に基づき、前記修正を加えた電子回路を
    テストする原テストパタンを生成するテストパタン生成
    手段と、 前記原テストパタンに前記修正箇所活性化パタンをマー
    ジすることによって、前記修正前の電子回路と、前記修
    正後の電子回路とを区別しうるテストパタンを生成する
    修正箇所活性化パタンマージ手段と、 を含むことを特徴とするテストパタン自動生成装置。
  2. 【請求項2】 前記修正箇所情報抽出手段は、 前記新回路情報と前記旧回路情報とを等価検証し、差分
    情報を出力する等価検証手段と、 前記差分情報に基づき、修正箇所を抽出し、修正箇所情
    報を出力する修正箇所抽出手段と、 を含むことを特徴とする請求項1記載のテストパタン自
    動生成装置。
  3. 【請求項3】 前記修正箇所抽出手段は、 前記修正箇所の位置情報を、前記修正箇所情報として出
    力することを特徴とする請求項2記載のテストパタン自
    動生成装置。
  4. 【請求項4】 前記修正箇所活性化パタン生成手段は、
    前記新回路情報に対して、前記修正箇所情報で指定され
    る箇所を活性化するATPGアルゴリズムを適用してテ
    ストパタンを生成することを特徴とする請求項1記載の
    テストパタン自動生成装置。
  5. 【請求項5】 前記テストパタン生成手段は、前記新回
    路情報に対してATPGアルゴリズムを適用してテスト
    パタンを生成することを特徴とする請求項1記載のテス
    トパタン自動生成装置。
  6. 【請求項6】 配線に修正を加えた電子回路をテストす
    るテストパタンを生成するテストパタン自動生成方法に
    おいて、 前記修正を加える前の電子回路の情報である旧回路情報
    と、前記修正を加えた電子回路の情報である新回路情報
    とに基づき、修正された回路部分を求め、この修正され
    た回路部分の情報である修正箇所情報を出力する修正箇
    所情報抽出ステップと、 前記修正を加えた電子回路中の修正箇所の出力が依存す
    る素子のすべての素子の組み合せ状態からなる複数のテ
    ストパタンを生成し、これらテストパタンのすべてを前
    記修正箇所を活性化するための修正箇所活性化パタンと
    して出力する修正箇所活性化テストパタン生成ステップ
    と、 前記新回路情報に基づき、前記修正を加えた電子回路を
    テストする原テストパタンを生成するテストパタン生成
    ステップと、 前記原テストパタンに前記修正箇所活性化パタンをマー
    ジすることによって、前記修正前の電子回路と、前記修
    正後の電子回路とを区別しうるテストパタンを生成する
    修正箇所活性化パタンマージステップと、 を含むことを特徴とするテストパタン自動生成方法。
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