JP3169515U - エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなエアバッグ装置には、例えば前面衝突時に運転席及び助手席搭乗者の上体をそれぞれ拘束する運転席用エアバッグ、助手席エアバッグや、側面衝突時に乗員の側部を拘束するサイドエアバッグ、カーテンエアバッグ等がある。また、近年では前面衝突時に乗員の膝部を拘束するニーエアバッグが普及しつつある。
例えば、特許文献1には、膝保護用のエアバッグ装置において、一対のパネルによってバッグ体を構成するとともに、その内部にエアバッグの厚さを規制する複数のテザーベルトを配置したものが記載されている。
また、特許文献2に記載されたエアバッグにおいては、2つの空室間の隔壁に相当する部分のパネルには、2つの空室のそれぞれの展開用ガス圧力が作用することから強度の確保に十分な配慮が必要であり、また、基布パネルを接合する縫合部の糸に大きな張力が加わってしまう。
これによれば、展開用ガスの圧力は、主に各円筒バッグ体の基布パネルをその周方向に引張する方向に作用し、複数の円筒バッグ体間の連結部を引き剥がす方向にはほとんど作用しないことから、例えば円筒バッグ体を縫合によって接合する場合に、縫合用の糸に負荷される張力を軽減することができる。これによって、エアバッグの強度を確保しつつエアバッグの構造や製造工程を簡素化することができる。
また、各バッグ体を円筒状に形成することによって、例えば平坦な表面を有するエアバッグに対して、同様の展開用ガス圧力であっても表面の反力を高め、より良好に搭乗者を拘束することができる。
さらに、複数の円筒バッグ体を連結してエアバッグを構成することによって、個々のパネルのサイズを小さくし、裁断時における基布取りの自由度を高めて各パネルを密にレイアウトすることができるため、基布の無駄を低減して歩留まりを改善することができる。
これによれば、基布パネルの接合箇所に負荷が集中することを防止でき、エアバッグの強度をより向上できる。
これによれば、展開用ガスの圧力によって糸に作用する張力が軽減され、縫製部の負担を軽減してエアバッグの強度を確保することができる。
これによれば、円筒バッグ体の中央部を補強するとともに、両端部を基布パネルが積層された部分の外側で折り畳むことによって、折り畳んだ際のエアバッグの厚さ増加を抑制することができる。
これによれば、接合部を直線的に配置することができるため、エアバッグの製造工程を簡素化することができる。例えば、円筒バッグ体を縫合によって連結する場合、ステッチを直線状とすることによって、縫製を容易に行うことができる。
これによれば、各円筒バッグ体の開口をその周縁部で接合することによって、展開用ガスが対向するパネル間の隙間に漏れることがなく、展開用ガスを有効に活用してエアバッグを効率よく展開膨張させることができる。
これによれば、最外列の円筒バッグ体内にガス通路から噴出した高温高圧の展開用ガスが接合部に直接吹き付けられることを防止し、接合部の強度を確保できる。
これによれば、乗員拘束時に接合部が乗員に当たることを防止できる。
これによれば、エアバッグを円筒バッグ体の中心軸方向から見た形状を湾曲させることができ、エアバッグをステアリングコラムカバーやインストルメントパネル等の車両の内装部材の表面形状に沿わせた形状とすることができ、エアバッグの拘束性能を向上することができる。
これによれば、複数の円筒バッグ体間で縦糸及び横糸の方向(糸目)を変更することによって、各円筒バッグ体毎にパネルの強度と伸びを適切に設定し、エアバッグ全体としての特性をきめ細かくチューニングすることができる。
これによれば、異方性を有する基布パネルの糸目を異ならせた状態で重ねて円筒バッグ体を構成することによって、円筒バッグ体の強度を効率よく向上することができる。
以下、本考案のエアバッグ装置の第1実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
なお、以下の説明において、前後、上下、左右等の方向は、特記ない限り通常走行時の車両の姿勢を基準とするものである。
第1実施形態のエアバッグ装置は、乗用車等の自動車に搭載されるものである。このエアバッグ装置は、車両の前面衝突時に例えば足元上部(運転席の場合にはステアリングコラムカバーの下側)から車両後方側へ展開膨張し、乗員の膝部、脛部等を拘束するいわゆるニーエアバッグである。
車両1は、運転席2、インストルメントパネル3、ステアリングホイール4、コラムカバー5、エアバッグ装置10等を備えている。
運転席2は、搭乗者Pが着座するシートである。
インストルメントパネル3は、運転者2の前方に設けられた樹脂製の部材であって、計器類、空調装置、ナビゲーションオーディオ装置等が収容されるものである。インストルメントパネル3の下部は、搭乗者Pの下肢部と対向して配置されている。
ステアリングホイール4は、搭乗者Pが把持して操舵操作を入力するものであり、図示しないステアリングコラムを介して図示しないステアリングギアボックスに接続されている。ステアリングコラムは、インストルメントパネル3を貫通して配置されている。
コラムカバー5は、ステアリングコラムのインストルメントパネル3から突き出た部分を収容する樹脂性のカバーである。
エアバッグ11は、例えばナイロン系やポリエステル系の織物にコーティングを施した基布を切り出して形成された複数のパネル、クロス等の基布部材(カットパーツ)を縫合してバッグ状に形成されている。エアバッグ11は、車両1の前面衝突時に、展開用ガスを導入されることによって、コラムカバー5の下面と搭乗者Pの脚部との間で展開膨張し、搭乗者Pの膝部等を拘束する。
エアバッグ11の構成等については、後により詳細に説明する。
インフレータ13は、リテーナ12に設けられ、エアバッグ11の展開時(車両の衝突時)に、エアバッグ11を展開させる展開用ガスを発生するガス発生装置である。インフレータ13は、燃焼時に窒素ガスなどを発生するガス発生剤や、着火剤を介してガス発生剤に点火するイグナイタを備えている。インフレータ13は、後述するスリットからエアバッグ11の第1バッグ体100の内部に挿入されている。インフレータ13は、図示しないボルトを用いて、エアバッグ11を共締めしつつリテーナ12に固定されている。
衝突センサ14は、車両の衝突時に発生する衝撃を検出して検出された衝撃に応じた信号を生成し、この信号をコントローラ15に伝達する。
コントローラ15は、衝突センサ14の出力に基づいて、エアバッグ11の展開要否を判別し、展開が必要と判定された場合に、インフレータ13に展開信号を供給する情報処理装置を備えている。
図2は、エアバッグ11を平面的に(膨張させずに)展開した状態を示す平面図であって、エアバッグ11をコラムカバー5等の車体構造に接する面側(前方側)から見た図である。
図3は、展開膨張後のエアバッグ11を斜め前方側かつ斜め上方側から見た外観斜視図である。
図4は、エアバッグ11のパネル構成及び縫合箇所を示す模式的断面図であって、図2におけるIV−IV部矢視断面を示すものである。
図5は、エアバッグ11を構成する各パネル及びクロスを1枚の基布パネルから切り出す際の裁断パターンを示す図である。
図6は、エアバッグ11を構成する各パネルの組み合わせを示す分解斜視図である。なお、図6においては、一部のパッチクロスについては図示を省略している。また、図5、図6等において、縫製時にステッチが配置される箇所を二点鎖線で示す。
各バッグ体100,200,300は、基布パネルを巻いてその周方向における両端部を縫合することによって、展開膨張時に略円筒状となるように形成されている。各バッグ体100,200,300は、その中心軸方向が車幅方向に略沿うように平行に配置されている。
第1バッグ体100、第2バッグ体200、第3バッグ体300は、リテーナ12側から順次配列されている。各バッグ体は、隣接するバッグ体とその外周面が相互に所定の幅において当接した状態で連結されている。
メインパネル110及びメインパッチ120は、実質的に同一の形状に切り出され、重ね合わせて用いられる。なお、メインパネル110とメインパッチ120とは、図5に示すように、基布から裁断する際の方向を例えば約45°異ならせることによって、縦糸及び横糸の方向(糸目)を異ならせている。これにより、基布の強度の異方性の影響を低減し、第1バッグ体100を効果的に補強することができる。
また、メインパネル110は、後述する第2バッグ体200のメインパネル210、第3バッグ体300のメインパネル310に対しても、糸目を例えば約45°傾斜させて基布取り及び裁断されている。このような糸目の決定は、基布における強度、伸び等の各種物性の異方性と、各バッグに要求される特性とを考慮して適宜行われる。
メインパネル110及びメインパッチ120は、それぞれ第1バッグ体100の外表面及び内面を構成する部分である。
メインパネル110及びメインパッチ120は、中央に設けられた連結部111,121と、この連結部111,121の両側からそれぞれ張り出した車体側面部112,122、乗員側面部113,123を有する。
連結部111,121には、第1バッグ体100内から第2バッグ体200内へ展開用ガスを導入する開口(ガス通路・ガス流通孔)114,124が設けられている。図5に示すように、開口114,124は、連結部111,121の長手方向に沿って例えば3つが略等間隔に配列されている。個々の開口114,124は、例えば連結部111,121の長手方向に沿った長辺方向を有する長円形に形成されている。
メインパネル110及びメインパッチ120の車体側面部112,122は、連結部111,121の一方の側縁部から張り出して設けられ、その平面形は例えば連結部111,121との接続部を下底とする略等脚台形状となっている。
メインパネル110及びメインパッチ120の乗員側面部113,123は、連結部111,121の他方の側縁部から張り出して設けられ、その平面形は例えば連結部111,121との接続部を下底とする略等脚台形状となっている。
車体側面部112,122及び乗員側面部113,123は、その外周縁部を相互にステッチS06で縫合される。この縫製については後に詳しく説明する。
パッチクロス130は、図5に示すように、中央部131、右翼部132、左翼部133を備えている。
中央部131は、平面形が略等脚台形状に形成されている。中央部131は、メインパネル110及びメインパッチ120の乗員側面部113、123より一回り小さいサイズとなっている。また、中央部131には、インフレータ13が挿入されるスリット134が形成されている。
右翼部132及び左翼部133は、中央部131の左右両端縁にそれぞれ連結されるとともに、その平面形は中央部131と実質的に同じ等脚台形状に形成されている。パッチクロス130は、右翼部132及び左翼部133を中央部131との連結部で折り返すことによって、略等脚台形状の平面形を有する3枚重ねの基布パネルとなる。
図6に示すように、パッチクロス130は、3枚重ねとなるように折り畳まれた状態で、メインパッチ120の車体側面部122と乗員側面部123との間に挿入される。
メインパネル210及びパッチクロス220は、平面状に展開した形状が略矩形となっている。
メインパネル210は、図5等に示すように、乗員側面部211、第1連結部212、第2連結部213、第1車体側面部214、第2車体側面部215、第1縫合しろ216、第2縫合しろ217等を備えている。
第1連結部212は、第2バッグ体200が第1バッグ体100と連結される帯状の部分であり、第1バッグ体100のメインパネル110の連結部111と当接する部分である。第1連結部212は、乗員側面部211の一方の側部に隣接して配置されている。
第2連結部213は、第2バッグ体200が第3バッグ体300と連結される帯状の部分であり、第3バッグ体300のメインパネル310の連結部311と当接する部分である。第2連結部213は、乗員側面部211における第1連結部212と反対側の側部に隣接して配置されている。
第2連結部213には、第2バッグ体200内から第3バッグ体300内へ展開用ガスを導入する開口(ガス通路)219が設けられている。
開口218,219は、各連結部212,213の長手方向に沿って例えば3つが略等間隔に配列されている。個々の開口218,219は、各連結部212,213の長手方向に沿った長辺方向を有する長円形に形成されている。
第1縫合しろ216及び第2縫合しろ217は、第1車体側面部214及び第2車体側面部215の端部に設けられ、メインパネル210を筒状に巻いて第2バッグ体200を形成する際の縫合が行われる部分である。
パッチクロス220は、乗員側面部221、第1連結部222、第2連結部223、第1車体側面部224、第2車体側面部225、第1縫合しろ226、第2縫合しろ227等を備えている。これらの各部分は、上述したメインパネル210の対応部分に貼付され、メインパネル210を補強する。パッチクロス220は、メインパネル210を、中央の開口218,219の両端でカットした形状となっている。
また、第1連結部222及び第2連結部223には、第1連結部212及び第2連結部213における中央の開口218,219に相当する位置に、開口228,229が形成されている。
なお、第2バッグ体200の第2連結部213,223は、第3バッグ体300の連結部311と重ね合わせられ、協働して第2バッグ体200と第3バッグ体300との間の接合部側壁を構成する。
メインパネル310は、図5等に示すように、連結部311、車体側面部312、乗員側面部313等を備えている。
連結部311は、第3バッグ体300が第2バッグ体200と連結される帯状の部分であり、第2バッグ体200のメインパネル210の第2連結部213と当接する部分である。連結部311には、第2バッグ体200内から第3バッグ体300内へ展開用ガスを導入する開口(ガス通路)314が設けられている。開口314は、連結部311の長手方向に沿って例えば3つが略等間隔に配列されている。個々の開口314は、連結部311の長手方向に沿った長辺方向を有する長円形に形成されている。
車体側面部312及び乗員側面部313は、連結部311の両側の側縁部からそれぞれ張り出して設けられている。
車体側面部312及び乗員側面部313は、その平面形が連結部311の長手方向に沿った長辺を有する略矩形に形成されるとともに、連結部311と反対側のコーナ部は丸められた形状となっている。
図7は、エアバッグ11の縫製手順を示す図である。
まず、第1バッグ体100を構成するパネルと、第2バッグ体200を構成するパネルとを接合する。図7(a)に示すように、第1バッグ体100のメインパネル110とメインパッチ120とを、これらの連結部111,121が重なるようにして重ね合わせる。また、第2バッグ体200のメインパネル210とパッチクロス220とを、これらの第1連結部212,222が重なるようにして重ね合わせる。また、図7においては図示していないが、パッチクロス130、第1マウスクロス140、第2マウスクロス150は、予め第1バッグ体100のメインパネル110とメインパッチ120に取り付けられている。
そして、第1バッグ体100のメインパネル110の連結部111と、第2バッグ体200のメインパネル210の第1連結部212とを重ね合わせた状態で、これらの各パネルをステッチS01及びS02によって縫合する。ステッチS01及びS02は、それぞれ連結部111等の車体側端部及び乗員側端部に設けられ、エアバッグ11の横方向(連結部の長手方向)に、全幅にわたって伸びている。
なお、各パネル、クロスの外周縁部には、重ね合わせる際の位置決めに用いるための位置決め孔を有するタブ状の張出部が形成されている。この張出部は、エアバッグ11の縫製後に切除される。
図8は、エアバッグ11の折り畳み手順を示す図である。図8(a)から図8(c)は、時系列におけるエアバッグ11の平面形の推移を示している。また、図8(d)は、図8(b)のd−d部における模式的矢視断面図である。なお、図8において、一点鎖線で示す折線は、当該折線が折目の外側に露出する山折線を示す。また、点線で示す折線は、当該折線が折目の内側に隠れる谷折線を示す。また、以下の説明において、横方向の折線とは、車幅方向に沿って延びた折線を示し、縦方向の折線とは、横方向の折線と直交する方向の折線を示すものとする。
次に、図8(b)に示すように、エアバッグ11の幅方向における両端部11aを、エアバッグ11の左右側端部近傍にそれぞれ設けられた縦方向の折線F02において、エアバッグ11のコラムカバー側に折り返す。
さらに、図8(c)に示すように、エアバッグ11の上端部側から順次配列された横方向の折線F03からF05において、エアバッグ11の第3バッグ体300及び第2バッグ体200を折り畳む。ここで、折線F03からF05は谷折線となっており、これを順次折ることによって、第3バッグ体300及び第2バッグ体200は、ロール状に巻かれることになる。
次に、エアバッグ11の周囲をリテーナ12のサイズに合わせて適宜折り畳み、エアバッグ11をリテーナ12に収容する。
各バッグ体100,200,300の連結部に設けられる上述した開口114,124,218,219,314等は、上述した折り畳み工程における折線とエアバッグ11の平面視における位置が重なるように配置すると、折線部分にかかる基布パネルの枚数が減り、折り畳み後における折線部分の厚さが大きくなることを防止でき、また、折り畳み作業も容易となる。
コントローラ15が衝突センサ14の出力に基づいて、エアバッグ11の展開膨張が必要な衝突を検出すると、コントローラ15は、エアバッグ11の内部に配置されたインフレータ13に展開用ガスを発生させ、エアバッグ11の展開膨張を開始させる。リテーナ12に収容されたエアバッグ11に展開用ガスが導入されると、エアバッグ11の主要部はリテーナ12から出て、上述した折畳み手順とは逆の順序によって展開する。このとき、第1バッグ体100内に噴出した展開用ガスは、第1バッグ体100を膨張させるとともに、開口114,124,218,228を重ねて構成されたガス通路から第2バッグ体200内へ導入される。さらに、第2バッグ体200に導入された展開用ガスは、第2バッグ体200を膨張させるとともに、開口219,229,314を重ねて構成されたガス通路から第3バッグ体300内へ導入され、第3バッグ体300を膨張させる。
比較例のエアバッグ装置は、上述したエアバッグ11に代えて、以下説明するエアバッグ500を備えている。
図9は、エアバッグ500を平面的に展開した状態を示す平面図であって、エアバッグ500を上方(コラムカバー側・反搭乗者側)から見た図である。
図10は、展開膨張後のエアバッグ500を斜め前方側かつ斜め上方側から見た外観斜視図である。
また、エアバッグ500の内部には、第1実施形態のパッチクロス130と実質的に同様の図示しないパッチクロスのほか、補強用のクロスが適宜配置されている。
車体側メインパネル510には、インフレータが挿入されるスリット511が形成され、この部分には第1実施形態の第1マウスクロス140、第2マウスクロス150と実質的に同様の第1マウスクロス550及び第2マウスクロス560が設けられている。
テザー530とテザー540とは、上下方向に離間して配置されている。
第1実施形態のエアバッグ11や、比較例のエアバッグ500のように、厚さが規制された平坦な形状のエアバッグの場合、展開用ガスの圧力Pによってエアバッグの車体側メインパネル510と乗員側メインパネル520とを引き離す方向に作用する力は大きなものになる。
また、テザー530,540の両端部を縫合によって車体側メインパネル510、乗員側メインパネル520に接合した場合、テザー530,540に負荷される張力Ttはほぼ全てがステッチS11等の縫合部の糸にも負荷される。このため、縫合部の糸に加わる張力Tsが大きくなり、十分な接合強度を確保するためには、多数のステッチを用いたり、糸の強度を増す必要がある。さらに、テザー530,540の端部の縫合は、車体側あるいは乗員側メインパネルのいずれかのメインパネルをめくりあげて保持した状態で行う必要があることから、エアバッグの製造工程が煩雑となってしまう。
また、展開用ガスの圧力Pによってメインパネル110等に作用する張力Tpの作用方向は、ステッチS01の糸に作用する張力Tsと略直交していることから、糸の張力Tsが小さくなる。これによって、エアバッグの展開膨張時の損傷を防止することができ、エアバッグ装置10の信頼性が向上する。
また、第2バッグ体200は、メインパネル210等を巻いて両端部を接合した接合箇所であるステッチS05を、搭乗者側の反対側となるコラムカバー側に設けたことによって、ステッチS05、第1縫合しろ216、第2縫合しろ217が搭乗者に当たることがない。
次に、本考案を適用したエアバッグ装置の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のエアバッグ装置は、第1実施形態のエアバッグ装置10におけるエアバッグ11に代えて、以下説明するエアバッグ11Bを備えている。
図12は、エアバッグ11Bを平面的に展開した状態を示す平面図であって、エアバッグ11Bを上方から見た図である。
図13は、エアバッグ11Bのパネル構成及び縫合箇所を示す模式的断面図であって、図12におけるXIII−XIII部矢視断面を示すものである。
図14は、エアバッグ11Bを構成する各パネル、クロスの平面展開図である。
また、第2実施形態においては、第1バッグ体100のメインパッチ120においても、連結部121を最外列の開口124の内側にのみ設けることによって、メインパッチ120の両端部には切欠部126が形成されている。
(1)第3バッグ体300の連結部及び外周縁部を補強するメインパッチ320を設けたことによって、第3バッグ体300の強度を向上することができる。特に、第2バッグ体200から第3バッグ体300へ流入する高温・高圧の展開用ガスによって、エアバッグ11Bの外周縁部におけるステッチS06が損傷を受けることを防止できる。
(2)第1バッグ体100のメインパッチ120の連結部121、及び、第3バッグ体300のメインパッチ320の連結部321の長さを、対応するメインパネル110,310の連結部111,311よりも短くしたことによって、エアバッグ11Bの両端部において基布の積層枚数を少なくし、エアバッグ11Bを折り畳んだ際の部分的な厚さの増加を抑制し、リテーナ12への収容と縫製作業とを容易にすることができる。
次に、本考案を適用したエアバッグ装置の第3実施形態について説明する。
第3実施形態のエアバッグ装置は、第1実施形態のエアバッグ装置10におけるエアバッグ11に代えて、以下説明するエアバッグ11Cを備えている。
図15は、エアバッグ11Cのパネル構成及び縫合箇所を示す模式的断面図であって、第1実施形態における図4に相当する断面を示すものである。
また、ステッチS06を搭乗者から反対側となるコラムカバー側に配置したことによって、ステッチS06が搭乗者に当たることを防止できる。
次に、本考案を適用したエアバッグ装置の第4実施形態について説明する。
第4実施形態のエアバッグ装置は、第1実施形態のエアバッグ装置10におけるエアバッグ11に代えて、以下説明するエアバッグ11Dを備えている。
図16は、展開膨張後のエアバッグ11Dを斜め前方側かつ斜め上方側から見た外観部分透視斜視図である。
エアバッグ11Dは、各円筒バッグ体100〜300の連結部に設けられる各開口114,124,218,219,228,229,314をほぼ円形に形成している。これらの各開口114,124,218,219,228,229,314は、各連結部の長手方向(車幅方向)に例えば3つ、ほぼ等間隔に配列されている。
ステッチS09は、図16に示すように、開口114,124,218,228の外周縁部に略沿って円環状に延びている。ステッチS09は、第1バッグ体100のメインパネル110、メインパッチ120、及び、第2バッグ体200のメインパネル210、パッチクロス220を縫合している。
図示しないステッチS10は、開口219,229,314の外周縁部に略沿って円環状に延びている。ステッチS10は、第2バッグ体200のメインパネル210、パッチクロス220、及び、第3バッグ体300のメインパネル310を縫合している。
以上説明した第4実施形態においても、上述した第1実施形態と実質的に同様の効果を得ることができる。また、各バッグ体間の各連結部において、対向するパネル間の隙間に展開用ガスが入り込むことを防止できることから、展開用ガスを効率よく利用することができる。
次に、本考案を適用したエアバッグ装置の第5実施形態について説明する。
第5実施形態のエアバッグ装置は、第1実施形態のエアバッグ装置10におけるエアバッグ11に代えて、以下説明するエアバッグを備えている。
図17は、エアバッグを構成する各パネル、クロスの平面展開図である。
先ず、第5実施形態のエアバッグにおいては、各バッグ体100〜300の間に設けられる開口114,124,218,219,314,324を、エアバッグの幅方向に例えば7つ設けている。
例えば、エアバッグを構成する各基布パネル、クロス等の基布部材(カットパーツ)の形状や枚数等は適宜変更することができる。また、各実施形態では各基布部材を縫合によって接合しているが、これに限らず、例えば接着等の他の接合方法を用いてもよい。
また、各実施形態は、例えば3本の円筒バッグ体を連結したものであるが、円筒バッグ体の本数は例えば2本又は4本以上であってもよい。
さらに、各実施形態のエアバッグ装置は、例えば運転席用のニーエアバッグ装置であるが、本考案は助手席用のニーエアバッグ装置、サイドエアバッグ装置、カーテンエアバッグ装置等にも適用することができる。
図18乃至図22は、ガス通路の他の構成を示す模式図である。
上述した第4実施形態では、ステッチによって包囲された円形の開口は、例えば3つが連結部の長手方向に配列されているが、図18(a)、(b)に示すように、ステッチS41によって方位された円形の開口401は、例えば1つや2つであってもよく、また、図示はしていないが、4つ以上であってもよい。
また、図19(b)、図19(c)に示すように、このような開口401をエアバッグの幅方向に2つ、3つあるいはそれ以上設けてもよい。
また、図20(b)に示すように、開口401及びステッチS41をエアバッグの幅方向に2つ配置し、各ステッチS41の間をステッチS44によって縫合するとともに、最外列のステッチS41の外側をステッチS45によって縫合する構成とすることもできる。
また、図20(c)に示すように、エアバッグの幅方向(円筒バッグ体の中心軸方向)に延びた長円状の開口402を、エアバッグの幅方向に例えば2つ配置し、これら2つの開口402の周囲をステッチS46によって縫合するようにしてもよい。
また、以上の各例に示したような開口に代えて、エアバッグの展開膨張時に開口する以下のようなスリットを用いてガス通路を構成してもよい。
例えば、図21(b)のように上下方向(円筒バッグ体の周方向)に延びたスリット404を、エアバッグの幅方向(円筒バッグ体の中心軸方向)に複数列配列し、その上下を、上述したような幅方向直線状のステッチS42,S43によって縫合してもよい。
また、図21(b)のような上下方向のスリット404に代えて、図21(c)のような幅方向(円筒バッグ体の中心軸方向)に延びたスリット405を用いてもよい。この場合、スリット405は、エアバッグの上下方向及び幅方向にそれぞれ複数段、複数列配列した構成とすることができる。
また、図21(d)に示すように、クロス状(X字状)に形成されたスリット406を、連結部111の長手方向に沿って複数配列してもよい。
また、図22(b)に示すように、隣り合ったステッチS47の端部を相互に近接させて配置してもよい。
また、図22(c)に示すように、隣り合った開口407をそれぞれ包囲するステッチS47の一部が交叉し、ステッチS47が形成する長円の一部が重なり合う構成としてもよい。
3 インストルメントパネル 4 ステアリングホイール
5 コラムカバー
10 エアバッグ装置 11,11B,11C,11D エアバッグ
12 リテーナ 13 インフレータ
14 衝突センサ 15 コントローラ
100 第1バッグ体
110 メインパネル 111 連結部
112 車体側面部 113 乗員側面部
114 開口 115 スリット
120 メインパッチ 121 連結部
122 車体側面部 123 乗員側面部
124 開口 125 スリット
126 切欠部
130 パッチクロス 131 中央部
132 右翼部 133 左翼部
134 スリット
140 第1マウスクロス 141 スリット
150 第2マウスクロス 151 スリット
200 第2バッグ体
210 メインパネル 211 乗員側面部
212 第1連結部 213 第2連結部
214 第1車体側面部 215 第2車体側面部
216 第1縫合しろ 217 第2縫合しろ
218 開口 219 開口
220 パッチクロス 221 乗員側面部
222 第1連結部 223 第2連結部
224 第1車体側面部 225 第2車体側面部
226 第1縫合しろ 227 第2縫合しろ
228 開口 229 開口
300 第3バッグ体
310 メインパネル 311 連結部
312 車体側面部 313 乗員側面部
314 開口
320 メインパッチ 321 連結部
322 車体側面部 323 乗員側面部
324 開口 325,326 開口
327 切欠部
401,402,403,407 開口
404,405,406 スリット
500 エアバッグ
510 車体側メインパネル 511 スリット
520 乗員側メインパネル
530,540 テザー
550 第1マウスクロス 560 第2マウスクロス
S01〜S09,S11〜12,S41〜S47 ステッチ
F01〜F07 折線
Claims (11)
- 基布パネルを巻いて両端部を接合することによってそれぞれ略円筒状に形成され、相互に外周面が接する状態で連結された複数の円筒バッグ体と、
前記複数の円筒バッグ体の1つに展開用ガスを供給するガス供給手段と、
前記複数の円筒バッグ体の連結箇所に設けられ、一方の前記円筒バッグ体から他方の前記円筒バッグ体へ前記展開用ガスを導入するガス通路と
を有するエアバッグ装置。 - 前記複数の円筒バッグ体における前記基布パネルの接合箇所は前記複数の円筒バッグ体を相互に連結する連結箇所から離間して設けられること
を特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。 - 前記複数の円筒バッグ体は縫合によって連結され、該縫合箇所に用いられる糸の張力作用方向を、前記展開用ガスの圧力によって前記円筒バッグ体の基布パネルに作用する張力の作用方向と略直交させて配置したこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアバッグ装置。 - 前記円筒バッグ体の少なくとも1つは、長手方向における中央部において他の部分よりも多い枚数の基布パネルを重ねて構成されること
を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記ガス通路は、前記複数の円筒バッグ体の連結箇所において基布パネルに形成された開口を有し、
前記複数の円筒バッグ体は、該円筒バッグ体の長手方向に略沿って延びかつ前記開口を挟んで配置された一対の接合部によって連結されること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記ガス通路は、前記複数の円筒バッグ体の連結箇所において基布パネルに形成された開口を有し、
前記複数の円筒バッグ体は、前記開口の周縁部を全周にわたって接合することによって連結されること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記複数の円筒バッグ体における最外列の円筒バッグ体は、前記基布パネルの接合部を円筒状に形成する接合部を、該円筒バッグ体に前記展開用ガスを導入する前記ガス通路と対向する位置からずらして配置したこと
を特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記複数の円筒バッグ体の少なくとも1つは、前記基布パネルの接合部を、拘束対象となる搭乗者と反対側に配置したこと
を特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記円筒バッグ体は3本以上設けられ、前記複数の円筒バッグ体を相互に連結する連結部は、各円筒バッグ体の中心軸が同一平面上からずらして配置される位置に設けられること
を特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記基布パネルは、縦糸及び横糸を有する織物であって、前記複数の円筒バッグ体は、前記基布パネルの前記縦糸及び前記横糸の方向を相互に異ならせた状態で連結されること
を特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記基布パネルは、縦糸及び横糸を有する織物であって、前記複数の円筒バッグ体の少なくとも一部は、複数の基布パネルを前記縦糸及び前記横糸の方向を相互に異ならせた状態で重ねて構成されること
を特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
Priority Applications (1)
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JP2011002855U JP3169515U (ja) | 2011-05-23 | 2011-05-23 | エアバッグ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011002855U JP3169515U (ja) | 2011-05-23 | 2011-05-23 | エアバッグ装置 |
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JP2009017910A Continuation JP2010173453A (ja) | 2009-01-29 | 2009-01-29 | エアバッグ装置及びエアバッグ装置の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2011002855U Expired - Lifetime JP3169515U (ja) | 2011-05-23 | 2011-05-23 | エアバッグ装置 |
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JP (1) | JP3169515U (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018020737A (ja) * | 2016-08-05 | 2018-02-08 | タカタ株式会社 | 運転席用エアバッグ、運転席用エアバッグ装置及びステアリングホイール |
-
2011
- 2011-05-23 JP JP2011002855U patent/JP3169515U/ja not_active Expired - Lifetime
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