JP3168823B2 - キャリア捕集装置 - Google Patents

キャリア捕集装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二成分系現像剤を用い
て現像を行う電子写真複写機あるいは電子写真プリンタ
等の画像形成装置における、現像により感光体に付着し
たキャリアを捕集するキャリア捕集装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真複写機や電子写真プ
リンタ等の画像形成装置において、トナーとキャリアを
有する二成分系現像剤を用いた現像が広く行われてい
る。二成分系現像剤を用いた現像機は、感光体にトナー
のみ付着させキャリアは感光体に極力付着させずに回収
するよう構成されているが、完全には回収されず感光体
に付着するキャリアもある。感光体にキャリアが付着す
ると、転写用紙の、付着したキャリアの周囲の部分が感
光体に十分に接触できず白抜け等の原因になる。
【0003】これを防止するため、従来より、感光体に
付着したキャリアを捕集する装置が提案されている。例
えば特開昭62−262074号公報には、捕集部材と
感光体との間に電界を形成してキャリアを捕集する装置
が提案されており、実公昭53−32599号公報に
は、磁気的吸引力によりキャリアを捕集する装置が提案
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子写真方式を
用いた複写機やプリンタは、一様な濃度のベタ部の再現
性や細線の再現性等の画質を向上させるという観点か
ら、感光体上に形成された画像のエッジ部から非画像部
への電気力線の回り込みを防止してエッジ効果を抑制す
るために、感光体と現像ローラとの間のギャップを狭
め、強い現像電界を用いて現像を行う傾向にある。また
現像の際にキャリアとトナーとからなる磁気ブラシが形
成されるが、この磁気ブラシによるベタ部の掃目をなく
し均一現象を行うという観点から、磁気ブラシによるス
キャベシングフォース(感光体を掃く力)を低減する必
要上、従来の例えば100μm径のキャリアと比べ例え
ば50μm径等小粒径の球形キャリアを使用する傾向に
ある。
【0005】この強い現像電界、小粒径キャリアを組合
わせると高画質の画像を得ることができるが、小粒径キ
ャリアの磁気的付着力は従来の100μm程度の粒径の
キャリアと比較し極端に弱く、また強い現像電界も災い
して、その小粒径のキャリアが、電気力により、感光体
の非画像部に容易に付着してしまうという問題がある。
キャリアが感光体に付着すると、前述したように転写工
程においてキャリア周辺のトナーが用紙に十分に接触で
きず転写不良になり画質を著しく低下させてしまう結果
となる。
【0006】また、前述したように、感光体に付着した
キャリアを捕集する装置も種々提案されているが、感光
体に付着した小粒径のキャリアを捕集するためには、従
来の径の大きいキャリアを捕集する場合と比べ、より強
力な磁界ないし電界が必要となる。磁界ないし電界を強
めるには、捕集装置を感光体により近づけることにより
達成されるが、単に近づけたのでは、捕集したキャリア
が、搬送中に、感光体の画像部を擦ってしまい白筋を発
生させてしまうという問題がある。
【0007】本発明は、上記事情に鑑み、キャリアを有
効に捕集するとともに、捕集したキャリアが感光体に接
触しにくい構造のキャリア捕集装置を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】記目的を達成する本発明のキャリア捕集
装置は、感光体に潜像を形成しその潜像をキャリアとト
ナーとを有する二成分系現像剤を用いて現像して転写す
る画像形成装置における、現像により感光体に付着した
キャリアを捕集するキャリア捕集装置において、互いに
異なる極性の2つの極の間にそれら2つの極それぞれの
法線方向の磁力の極大値のいずれよりも大きい値の接線
方向の磁力を有する領域を備えその領域内のいずれかの
位置が感光体に最近接した状態に配置された固定マグネ
ットを具備したことを特徴とする。
【0010】ここで、上記本発明のキャリア捕集装置に
おいて、前記固定マグネットが、円周方向に複数の極を
有し前記感光体に沿って配置された円柱状の固定マグネ
ットであって、上記第1のキャリア捕集装置ないし第2
のキャリア捕集装置が、さらに、上記固定マグネットを
覆い、その固定マグネットの円周に沿って回転し感光体
に付着したキャリアを捕獲して搬送する、感光体に近接
して配置された円筒状の捕獲スリーブと、捕獲スリーブ
の感光体に最近接した位置よりもその捕獲スリーブの回
転方向の下流側にその捕獲スリーブに当接あるいは近接
して配置された、捕獲スリーブに捕獲されたキャリアを
捕獲スリーブから掻き落とすスクレーパと、スクレーパ
により掻き落とされたキャリアを収納する収納ケースと
を備えたものであってもよい。
【0011】
【作用】固定マグネットの磁力により捕獲されたキャリ
アは、磁力線に沿ってキャリアチェーンを形成し、また
S極ないしN極の上部にはキャリアの穂立ち(磁気ブラ
シ)を形成する。従来は、固定マグネットのS極ないし
N極が感光体に最近接するように配置するのが常であっ
たが、これに対し、本発明キャリア捕集装置は、S極と
N極との間に、それらS極およびN極それぞれの法線方
向の磁力の極大値のいずれよりも大きい値の接線方向の
磁力を有する領域を作り出し、その領域に固定マグネッ
トの幾何学的な固定位置を規定したものである。
【0012】
【0013】このように、本発明のキャリア捕集装置
は、固定マグネットの、S極とN極とのほぼ中間の位置
を感光体に最近接させたため、キャリアチェーンは感光
体に対しては接線方向に形成され、また磁気ブラシは感
光体から離れた位置に形成され、したがって捕獲したキ
ャリアが感光体と接触しにくくなる。したがって従来よ
りも高画質の画像を得ることができ、もしくは、接触の
可能性を従来と同程度まで許容するならその分固定マグ
ネットを感光体により近接させ、より強い磁界を発生さ
せてキャリアの捕獲力を増すことができる。
【0014】また、感光体に最近接している部分がS極
とN極とのほぼ中間であるため、この最近接した部分の
キャリア搬送力は、S極もしくはN極の極上よりも強
く、したがって捕獲したキャリアをより容易に速やかに
感光体から遠ざけることができる。また、固定マグネッ
トのS極ないしN極の磁力は、強い方が有利なため、そ
の材料や寸法等から定まる最大の磁力となるように磁化
されており、通常それ以上の磁力を得ることは困難であ
るが、本発明ではS極とN極とのほぼ中間部分を感光体
に最近接させているため、S極ないしN極の法線方向の
磁力は従来と同一であっても、S極とN極とを近づけた
固定マグネットを形成することにより、S極とN極との
中間部分、すなわち感光体に最近接した部分の接線方向
の磁力を、S極ないしN極における法線方向の磁力より
も強めることができ、そのような固定マグネットを採用
することにより、感光体との距離を従来と同一に保った
場合であっても、感光体に付着したキャリアを一層強い
力で捕獲することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、本発明のキャリア捕集装置の一実施例を内蔵した
画像形成装置の、現像部近傍の構造を示した図である。
感光体ドラム10に近接して現像装置20が配置されて
おり、その現像装置20には、図1の紙面に垂直な方向
に延びる円柱状の固定マグネット21と、その固定マグ
ネット21を取り巻く円筒上のスリーブ22からなる現
像ローラ23が備えられている。現像剤タンク24の内
部にはキャリアとトナーからなる二成分系現像剤(図示
せず)が蓄えられており、上側オーガ25、下側オーガ
26及びカウンタオーガ27により撹拌されている。撹
拌によりキャリアに付着したトナーは、キャリアに付着
したまま固定マグネット21に吸引されてスリーブ22
に付着する。スリーブ22は矢印B方向に回転し、スリ
ーブ22に付着した現像剤は、その回転により、途中で
層厚規制部材28によりその層厚が規制されて、感光体
ドラム10に近接した位置に運ばれる。一方、感光体ド
ラム10は矢印A方向に回転し、その上流側で形成され
た潜像が、そのトナーにより現像される。その現像の際
に飛散したトナーは負圧に保たれたダクト29,30を
通って回収される。現像後のキャリアは、スリーブ22
に付着したまま、現像剤タンク24内に戻される。この
現像の際、感光体ドラム10に付着するキャリアもあ
り、このキャリアを捕集するため、現像装置20の下流
側にキャリア捕集装置40が備えられている。
【0016】キャリア捕集装置40には、円柱状の固定
マグネット41とその固定マグネットを取り巻き、矢印
C方向に回転する捕獲スリーブ42からなる捕獲ローラ
43が備えられている。固定マグネット41は、図示の
ようにS極とN極との中間が感光体ドラム10に最近接
するように配置されている。感光体ドラム10に付着し
て搬送されてきたキャリアは、固定マグネット41に吸
引されて捕獲スリーブ42に付着し、矢印C方向に搬送
される。捕獲スリーブ42の回転方向(矢印C方向)の
下流側には、捕獲スリーブ42により搬送されてきたキ
ャリアを剥ぎ落とすスクレーパ44が、固定マグネット
41の下流側のS極上で捕獲スリーブ42に当接ないし
近接するように配置されている。スクレーパ44により
剥ぎ落とされたキャリアは、収納ケース45に収納され
る。
【0017】図2は、本実施例における、スリーブ捕集
装置40に備えられた固定マグネット41の配置状態
(図2(A))、及びそれとの対比のための、従来の配
置状態(図2(B))を示す模式図である。本実施例で
は、図2(A)に示すように、固定マグネット41は、
そのS極とN極との丁度中間の位置が感光体ドラム10
に最近接するように据え付けられている。これに対し、
従来は、図2(B)に示すように極(この例ではN極)
近傍の垂直方向の強い磁力が利用され、したがって極が
感光体ドラムに最近接するように配置されている。
【0018】図3は、感光体ドラム10に付着したキャ
リア1が捕獲ローラ43に捕獲される様子を示した模式
図である。感光体ドラム10に付着したキャリア1は、
捕獲ローラ43を構成する固定マグネット41に磁気的
に吸引される。固定マグネット41に吸引されたキャリ
ア1は、磁力線に沿って多数のキャリアが数珠つなぎに
繋がったキャリアチェーンを形成するが、S極とN極と
の中間では磁力線は接線方向に延びているため、キャリ
アチェーンも、図示のように、捕獲スリーブ42に密着
した方向に形成される。したがって捕獲スリーブ42に
捕獲されたキャリア1が感光体ドラムに接する可能性が
低減される。また、S極とN極との中間では極上と比べ
捕獲スリーブ42の回転に伴ってキャリアが搬送されや
すく、本実施例のようにS極とN極との中間位置を感光
体ドラム10に最近接するように配置することにより捕
獲されたキャリアは感光体ドラム10から速やかに遠ざ
かることになる。固定マグネット41の極上では磁力線
は垂直に延びているため、キャリアはその極上にとどま
りそこにキャリアの穂立ち(磁気ブラシ)が形成される
が、固定マグネット41の極は感光体ドラム10から離
れた位置にあるため、その磁気ブラシが感光体ドラム1
0を擦る可能性も小さい。
【0019】このように、本実施例によれば、キャリア
が感光体ドラム10の画像領域を擦ることにより生じる
白筋の発生を避けながら、キャリアを有効に捕集するこ
とができる。図4は、固定マグネットの磁力の実測値を
示す図である。図中実線は垂直方向の磁力、破線は接線
方向の磁力の分布を示している。
【0020】図示のように、極上では垂直方向の磁力が
強く、極間では接線方向の磁力が強い。また、S1極と
N極との間隔は、N極とS2極との間隔に比べて狭く、
このようにS極とN極との間隔の狭い固定マグネットを
形成すると、図示のように極上の磁力(垂直方向の磁
力)よりも強い磁力(接線方向の磁力)を有する領域D
が形成される。したがって、この領域D内のいずれかの
位置(典型的には接線方向の磁力のピークの位置)が感
光体ドラム10に最近接するように固定マグネットを据
え付けることにより、上述した、極間ではキャリアチェ
ーンが接線方向に形成されキャリアが感光体ドラム10
を擦る可能性が小さいこと、及び極間ではキャリアの搬
送性が高いことの他、極を感光体ドラム10に最近接さ
せた場合よりも強い磁力で、感光体ドラム10に付着し
たキャリアがより有効に捕獲されるという利点をも有す
ることになる。
【0021】図5は、白抜けの個数を比較した実験デー
タを示すグラフである。ここでは、図4に示す磁力分布
を有するマグネットを用い、図3(A),(B)に示す
ように、感光体ドラムにS1極とN極との間、N極がそ
れぞれ最近接するようにそのマグネットを固定した。図
中破線が本実施例の極間タイプであり、実線が従来例
(極上タイプ)である。
【0022】感光体ドラム10と捕獲スリーブ42(図
1参照)との間隔は、一端、中央、他端のそれぞれで測
定したところ、極間タイプ(実施例),極上タイプ(従
来例)のいずれも0.48mm,0.49mm,0.4
8mmであった。ここでは、カラープリンタを用い、マ
ゼンダの現像工程における、感光体ドラム10のバック
グラウンドとしての帯電電位Vbkg と現像ローラ23に
印加するバイアス電位Vbiasとの電位差|Vbkg −V
bias|を変化させて現像を行い、その後シアン画像密度
20%の中間調を現像し可視化して、B4サイズあたり
の白抜けの個数を測定した。
【0023】その結果、図5に示すように、従来の、極
を感光体ドラムに最近接させた極上タイプと比べ、極の
中間を最近接させた極間タイプ(本実施例)では白抜け
個数がほぼ半減した。図5に示す評価のほか、白筋の発
生頻度についても評価し、本実施例の方が従来例と比べ
顕著に減少したことを確認した。
【0024】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のキャリ
ア捕集装置は、固定マグネットのS極とN極とのほぼ中
間の位置を感光体に最近接させたため、捕獲されたキャ
リアは感光体近傍では接線方向にキャリアチェーンを形
成し、したがってキャリアが感光体を擦ることが少なく
なる。また感光体に最近接した部分は高いキャリア搬送
力を有しているため、捕獲されたキャリアは、捕獲スリ
ーブの回転により、スクレーパの位置まで容易に速やか
に搬送される。
【0025】これにより、本発明のキャリア捕集装置を
採用した画像形装置では、白抜けや白筋の少ない良好な
画質の画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャリア捕集装置の一実施例を内蔵し
た画像形成装置の、現像部近傍の構造を示した図であ
る。
【図2】スリーブ捕集装置に備えられた固定マグネット
の配置状態を示す模式図である。
【図3】感光体ドラムに付着したキャリアが捕獲ローラ
に捕獲される様子を示した模式図である。
【図4】固定マグネットの磁力の実測値を示す図であ
る。
【図5】白抜けの個数を比較した実験データを示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 キャリア 10 感光体ドラム 20 現像装置 23 現像ドラム 40 キャリア捕集装置 41 固定マグネット 42 捕獲スリーブ 43 捕獲ローラ 44 スクレーパ 45 収納ケース

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光体に潜像を形成し該潜像をキャリア
    とトナーとを有する二成分系現像剤を用いて現像して転
    写する画像形成装置における、現像により前記感光体に
    付着したキャリアを捕集するキャリア捕集装置におい
    て、 互いに異なる極性の2つの極の間に該2つの極それぞれ
    の法線方向の磁力の極大値のいずれよりも大きい値の接
    線方向の磁力を有する領域を備え該領域内のいずれかの
    位置が前記感光体に最近接した状態に配置された固定マ
    グネットを具備したことを特徴とするキャリア捕集装
    置。
  2. 【請求項2】 前記固定マグネットが、円周方向に複数
    の極を有し前記感光体に沿って配置された円柱状の固定
    マグネットであって、 前記キャリア捕集装置が、さらに、 前記固定マグネットを覆い、該固定マグネットの円周に
    沿って回転し前記感光体に付着したキャリアを捕獲して
    搬送する、前記感光体に近接して配置された円筒状の捕
    獲スリーブと、 前記捕獲スリーブの前記感光体に最近接した位置よりも
    該捕獲スリーブの回転方向の下流側に該捕獲スリーブに
    当接あるいは近接して配置された、該捕獲スリーブに捕
    獲されたキャリアを該捕獲スリーブから掻き落とすスク
    レーパと、 前記スクレーパにより掻き落とされたキャリアを収納す
    る収納ケースとを備え たことを特徴とする請求項1記載
    キャリア捕集装置。
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