JP3168511U - フィルム配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁皮膜層を必要とせず、第1の配線に厚みがあっても、第1の配線と第2の配線がショートすることがないフィルム配線基板を提供する。【解決手段】フィルム基材2と、フィルム基材の一方の面に形成された配線層6とを含む。配線層は、上層の金属層9と上層の金属層より酸化されにくい金属からなる下層の金属層8とを含んでおり、配線層には、複数のパッド部5b,5cと第1の配線1が形成されており、フィルム基材の複数のパッド部に対応する位置には、フィルム基材の他方の面から下層の金属層にまで達する少なくとも2つの孔3が形成されており、フィルム基材の他方の面には、複数のパッド部の下層の金属層間をつなぐように、孔を介して、第2の配線4が形成されている。【選択図】図2

Description

本考案は、フィルム配線基板に関するものであり、フィルムアンテナなどの電子部品に好適に用いられる。
図4に示されるように、従来のフィルム配線基板は、絶縁基板10上の一方の面に、第1の配線11が形成されており、内側の第1の配線11の上には、第1の絶縁皮膜層12a、第2の絶縁皮膜層12b、第3の絶縁皮膜層12cが、順に積層されている。また、第3の絶縁皮膜層12cの上には、第2の配線14が形成されている。一方、外側の2つの第1の配線11の上には、孔13a、孔13b、孔13cが、それぞれ設けられた第1の絶縁皮膜層12a、第2の絶縁皮膜層12b、第3の絶縁皮膜層12cが、積層されている。さらに外側の第1の配線11の上には、孔13a、孔13b、孔13cを介し、第2の配線14が形成され、外側の第1の配線11と第2の配線14が電気的に接続されている。このことにより、外側の第1の配線11間にジャンパー線が設けられている。尚、特許文献1では、孔13a、孔13b、孔13cのそれぞれの孔径が、孔13a<孔13b<孔13cとなるように、第1の絶縁皮膜層12a、第2の絶縁皮膜層12b、第3の絶縁皮膜層12cは形成されており、第2の配線14が断線しにくいようになっている。
実公平2−31799号公報
従来のフィルム配線基板は、ジャンパー線を設けるために、絶縁皮膜層を多層状に形成するなど製造方法が複雑であり、かつ第1の配線11の膜厚が厚いと、第1の配線11と第2の配線14の配線がショートしやすいという課題があった。
本考案は、フィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に形成された配線層とを含むフィルム配線基板において、前記配線層は、上層の金属層と前記上層の金属層より酸化されにくい金属からなる下層の金属層とを含んでおり、前記配線層には、複数のパッド部と第1の配線が形成されており、前記フィルム基材の前記複数のパッド部に対応する位置には、前記フィルム基材の他方の面から前記下層の金属層にまで達する少なくとも2つの孔が形成されており、前記フィルム基材の他方の面には、前記複数のパッド部の前記下層の金属層間をつなぐように、前記孔を介して、第2の配線が形成されていることを特徴とするフィルム配線基板である。このことにより、絶縁皮膜層を必要とせず、第1の配線の厚みが厚くとも、第1の配線と第2の配線がショートすることがない。また、パッド部の裏面にジャンパー線があるため、外部装置と接続する複数のパッド部間の距離を近接して設置できる。
また、本考案は、前記下層の金属層は、Niを含む金属であることを特徴とするフィルム配線基板である。このことにより、下層の金属層に、酸化層や腐食層が形成されにくく、かつフィルム基材上に、第1の配線およびパッド部をメッキで作りやすい。
また、本考案は、前記下層の金属層と前記フィルム基材との間には、トリアジン系の分子接着層があることを特徴とするフィルム配線基板である。従来のフィルム配線基板は、第1の配線をメッキで形成する際、フィルム基材表面を粗さなければ、フィルム基材と第1の配線との密着性を確保できなかった。このため、第1の配線の表面平坦性を確保できなかった。本考案のように、トリアジン系の分子接着層を設けることで、フィルム基材表面を粗さなくとも、フィルム基材と第1の配線との密着性を確保でき、第1の配線の表面平坦性を確保できる。
本考案は、絶縁皮膜層を必要とせず、第1の配線の厚みが厚くとも、第1の配線と第2の配線がショートすることがない。また、パッド部の裏面にジャンパー線があるため、外部装置と接続する複数のパッド部間の距離を近接して設置できる。
第1の実施形態のフィルム配線基板を説明する図である。 図1のA−A線の断面を説明する図である。 第1の実施形態のフィルム配線基板の製造方法を説明する図である。 従来のフィルム配線基板を説明する図である。
次に、本考案の実施形態の例について図を参照しながら詳細に説明をする。
[第1実施形態]
図1は、本考案の第1の実施形態のフィルム配線基板を説明する図である。図2は、図1のA−A線の断面を説明する図である。さらに図3は、第1の実施形態のフィルム配線基板の製造方法を説明する図である。
図1は、本考案の第1の実施形態のフィルム配線基板を説明する図である。図1に示されるように、本考案のフィルム配線基板7は、フィルムアンテナの一部であり、フィルム基材2と、フィルム基材2の一方の面に形成された配線層6とを含む。フィルム基材2は、絶縁体であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)などからなるフィルムで、厚さ25μm程度で、10cm×7cm程度の大きさである。配線層6は、複数のパッド部5a、5b、5cと第1の配線1からなり、第1の配線1は、100〜500μm程度の配線幅で、複数のパッド部5a、5c間を電気的に接続するように配置され、かつ、フィルム基材2を一方の面から見て、第1の配線1は、螺旋状に配置されている。一方、複数のパッド部5a、5b、5cは、約2mm□程度の形状となっている。
図2は、図1のA−A線の断面を説明する図である。図2に示されるように、フィルム基材2の一方の面に形成された第1の配線1および複数のパッド部5b、5cすなわち配線層6は、上層の金属層9と前記上層の金属層9より酸化されにくい金属からなる下層の金属層8とを含んでいる。上層の金属層9は、厚さ25μm程度のCuからなり、下層の金属層8は、厚さ0.3μm程度のNiからなり、下層の金属層8は、これにかぎられるものではなく、酸化されにくいNi−Pなどの合金やそれ以外の金属であってもかまわない。尚、本実施形態においては、配線層6は、上層の金属層9と下層の金属層8の2層からなる場合を例示したが、これにかぎられるものではなく、上層の金属層9の上に、酸化しにくく低抵抗なAuやAgなどの金属層が、さらにあってもかまわない。またフィルム基材2の複数のパッド部5b、5cに対応する位置には、フィルム基材2の他方の面から下層の金属層8にまで達する2つの孔3が形成されている。2つの孔3の断面は、テーパー状となっており、下層の金属層8が、約1mm□程度露出するように、加工されている。一方、フィルム基材2の他方の面には、複数のパッド部5b、5cの下層の金属層8間をつなぐように、孔3を介して、第2の配線4が形成されている。第2の配線4は、線幅1.5mm程度で、膜厚15μm程度のAgペーストなどであり、複数のパッド部5b、5c間を電気的につなぐジャンパー線となっている。
上述した本考案の構造によるフィルム配線基板7では、第1の配線1と第2の配線4間の絶縁をフィルム基材2によって、確保するため、絶縁皮膜層を必要とせず、ジャンパー線を設けることができる。絶縁皮膜層を必要としないため、第1の配線1の厚みが厚くとも、第1の配線1と第2の配線4がショートすることがない。また、パッド部5b、5cの裏面にジャンパー線があるため、外部装置と接続する複数のパッド部5a、5b間の距離を近接して設置できる。尚、本実施形態においては、孔3が2つ設けられた場合を例示したが、これにかぎられるものではなく、さらに多くの孔3を設け、複雑な回路の複数のジャンパー線を設けてもかまわない。
次に、本実施形態に係るフィルム配線基板7の製造方法について説明する。
図3は、第1の実施形態のフィルム配線基板の製造方法を説明する図である。図3(a)は、接着剤の塗布工程を示す。はじめに、フィルム基材2の一方の面にトリアジン系の分子接着剤を塗布し、接着剤を塗布した面に高圧水銀灯などの紫外線光源により、約20mJ/cm程度の照度で、紫外線の照射を行い、トリアジン系の分子接着層を活性化させ、後述する第1の配線1とPETからなるフィルム基材2との密着性を向上させる。トリアジン系の分子接着層は、例えば6−(トリエトキシシリルプロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアジド・モノソジウム塩の1重量%のエタノール溶液に40℃の温度で1分間浸漬して形成することができる。この分子接着層がもつアジド基が紫外線で活性化して密着性が向上する。従来のフィルム配線基板7は、第1の配線1をメッキで形成する際、フィルム基材2の表面を粗さなければ、フィルム基材2と第1の配線1との密着性を確保できなかった。このため、第1の配線1の表面平坦性を確保できなかった。本考案のように、トリアジン系の分子接着層を設けることで、フィルム基材2の表面を粗さなくとも、フィルム基材2と第1の配線1との密着性を確保でき、第1の配線1の表面平坦性を確保できる。トリアジン系の分子接着層としてはこれに限られることはなく、基板と密着性のよい官能基と、めっき膜と密着性のよい官能基、または紫外線照射などにより基板またはめっき膜との密着性を発現する官能基などを有したトリアジン系化合物を用いることができる。
次に、図3(b)は、下層の金属層の形成工程を示す。図3(b)に示されるように、フィルム基材2のトリアジン系の分子接着層を設けた一方の面に、下層の金属層8を形成する。下層の金属層8を形成する前、予めPd付与液にフィルム基材2を浸漬させる。Pd付与液は、奥野製薬工業社製のC−10であり、約38℃の温度で3分間程度、フィルム基材2を浸漬させる。Pd付与後、下層の金属層8をNi膜の無電解メッキにより、0.3μm程度の膜厚になるように形成する。Ni膜の無電解メッキ液は、奥野製薬工業社製のSEPであり、約38℃の温度で6分間程度、フィルム基材2を浸漬させることにより、フィルム基材2のトリアジン系の分子接着層を設けた一方の面だけに、下層の金属層8を形成することができる。このように、下層の金属層8は、Niを含む金属であるため、下層の金属層8に、酸化層や腐食層が形成されにくく、かつフィルム基材2上に、後述する第1の配線1およびパッド部5b、5cをメッキで作りやすい。
次に、図3(c)は、マスクインクの形成工程を示す。図3(c)に示されるように、フィルム基材2上の下層の金属層8の上に、後述する第1の配線1を形成しない部分に、マスクインク15を形成する。マスクインク15は、レジストであり、スクリーン印刷により、15μm程度の膜厚になるように形成する。スクリーン印刷後は、パターニングされたマスクインク15を紫外線照射などにより、硬化させる。
次に、図3(d)は、上層の金属層の形成工程を示す。図3(d)に示されるように、マスクインク15が形成されていない下層の金属層8の上に、上層の金属層9を形成する。上層の金属層9は、Cu膜の電解メッキにより、25μm程度の膜厚になるように形成する。Cu膜の電解メッキ液は、奥野製薬工業社製の硫酸銅メッキ液であり、下層の金属層8を電極にし、約25℃の温度で40分程度電解メッキを行い、下層の金属層8が露出している部分にだけ、上層の金属層9を形成することができる。
次に、図3(e)は、マスクインクの剥離工程を示す。図3(e)に示されるように、下層の金属層8の上のマスクインク15を剥離する。マスクインク15の剥離は、マスクインク15が形成されたフィルム基材2を、超音波印加したアセトン溶液に5分程度浸漬する。このことによって、レジストであるマスクインク15が、アセトン溶液に溶解し、マスクインク15を剥離させることができる。
次に、図3(f)は、下層の金属層の除去工程を示す。図3(f)に示されるように、マスクインク15によりマスクされていた部分の下層の金属層8を除去する。下層の金属層8を除去は、Ni膜である下層の金属層8をNiエッチング溶液で、エッチングすることにより行う。Niエッチング溶液は、硝酸と過酸化水素水の混合液であり、約36℃の温度で40秒間程度、フィルム基材2を浸漬させる。このことにより、露出していた下層の金属層8のみが除去され、上層の金属層9によってマスクされていた下層の金属層8が残り、上層の金属層9および下層の金属層8からなる第1の配線1および複数のパッド部5b、5cを形成することができる。尚、本実施形態の製造方法では、図1に示されるパッド部5aは、図示はしていないが、上述した図3(a)〜図3(f)の工程を経ることで、同時に形成される。
次に、図3(g)は、孔の形成工程を示す。図3(g)に示されるように、フィルム基材2の複数のパッド部5b、5cに対応する位置に、フィルム基材2の他方の面から下層の金属層8にまで達する2つの孔3を形成する。孔3は、COレーザーなどのレーザー照射を、フィルム基材2の他方の面から行うことによって形成され、2つの孔3の断面は、テーパー状とし、後述する第2の配線4を形成しても、第2の配線4が断線しにくい形状となっている。尚、本実施形態においては、図示はしないが、レーザー照射によって孔3を形成する際、フィルム配線基板7がフィルムアンテナの一部である場合、予めフィルムアンテナの一部である磁性体シートを第1の配線1の上に接着しておき、孔3を形成時に、フィルム配線基板7の強度を保てるような工夫をしてもかまわない。
最後に、図3(h)は、第2の配線の形成工程を示す。図3(h)に示されるように、フィルム基材2の他方の面に第2の配線4を形成する。第2の配線4は、Agペーストであり、スクリーン印刷により、15μm程度の膜厚になるように形成する。第2の配線4は、2つの孔3を介し、露出しているパッド部5b、5cのそれぞれの下層の金属層8間を電気的に接続するように形成されている。
このように、上述した図3(a)〜図3(h)の工程を経ることで、フィルム配線基板7を容易にえることができる。このような製法で形成されたフィルム配線基板7では、第1の配線1と第2の配線4間の絶縁をフィルム基材2によって、確保するため、絶縁皮膜層を必要とせず、ジャンパー線を設けることができる。絶縁皮膜層を必要としないため、第1の配線1の厚みが厚くとも、第1の配線1と第2の配線4がショートすることがない。また、パッド部5b、5cの裏面にジャンパー線があるため、外部装置と接続する複数のパッド部5a、5b間の距離を近接して設置できる。
1 第1の配線
2 フィルム基材
3 孔
4 第2の配線
5a、5b、5c パッド部
6 配線層
7 フィルム配線基板
8 下層の金属層
9 上層の金属層
15 マスクインク

Claims (3)

  1. フィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に形成された配線層とを含むフィルム配線基板において、前記配線層は、上層の金属層と前記上層の金属層より酸化されにくい金属からなる下層の金属層とを含んでおり、前記配線層には、複数のパッド部と第1の配線が形成されており、前記フィルム基材の前記複数のパッド部に対応する位置には、前記フィルム基材の他方の面から前記下層の金属層にまで達する少なくとも2つの孔が形成されており、前記フィルム基材の他方の面には、前記複数のパッド部の前記下層の金属層間をつなぐように、前記孔を介して、第2の配線が形成されていることを特徴とするフィルム配線基板。
  2. 請求項1に記載のフィルム配線基板において、前記下層の金属層は、Niを含む金属であることを特徴とするフィルム配線基板。
  3. 請求項1または請求項2に記載のフィルム配線基板において、前記下層の金属層と前記フィルム基材との間には、トリアンジン系の分子接着層があることを特徴とするフィルム配線基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012043631A1 (ja) * 2010-09-30 2012-04-05 株式会社いおう化学研究所 接合方法、接着性向上剤、表面改質方法、表面改質剤、及び新規化合物

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