JP3168022B2 - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

樹脂成形品の製造方法

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  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車の両サイ
ドに装着されるサイドモール等の樹脂成形品の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、突起を有する樹脂成形品として、
例えば自動車のタイヤの後方位置の車両ボディに装着さ
れているマッドガードが知られている(特開平2−20
6518号公報)。図8に示すように、マッドガード2
1は本体22と、締付け用の貫通孔23を有する突起と
しての取付部分24とからなっている。本体22は硬質
材よりなるコア層25とその外周部に被覆された軟質材
よりなる表皮層26とから構成され、取付部分24は実
質的に硬質材のみからなっている。
【0003】図9に示すように、3つの分割型27〜2
9によって形成された成形品形状を有するキャビティ3
0には取付部分24を形成するための空洞部31が連設
されている。同空洞部31内には空洞部31の途中を遮
蔽できるスライドコア32が設けられ、同スライドコア
32には貫通孔形成用の中子ピン33が設けられてい
る。なお、前記キャビティ30の一部には樹脂を射出す
るためのゲート34が開口されている。
【0004】このマッドガードはいわゆるサンドイッチ
成形法によって、次のようにして製造されている。図1
0に示すように、スライドコア32を閉止した状態にお
いて、ゲート34からキャビティ30内にTPE(熱可
塑性エラストマー)等の軟質材を射出し、その後に同軟
質材の中にタルク入りPP(ポリプロピレン)等の硬質
材を注入する。キャビティ30内への硬質材の注入がほ
ぼ完了して内圧が上昇する時点において、図11に示す
ように、中子ピン33を空洞部31内に残した状態で、
スライドコア32を開く。すると、同スライドコア32
に接している表皮層26は硬質材によって破られ、硬質
材が前記空洞部31内に流入し、取付部分24が形成さ
れてマッドガード21が成形される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記サンド
イッチ成形法によるマッドガード21の製造方法におい
ては、図10に示すように、スライドコア32がキャビ
ティ30内に形成される表皮層26の外側(同図右側)
に位置し、キャビティ30の延びる方向(同図上下方
向)にスライドする。そのため、コア層25を形成する
硬質材が表皮層26を形成する軟質材を貫通して空洞部
31内に移動しなければならない。しかも、この軟質材
が金型によって冷却固化しやすいので、硬質材を空洞部
31内に誘導するためにはスライドコア32を移動させ
るタイミングが難しいという問題点があった。
【0006】特に、取付部分24が微小突起の場合に
は、突起内には表皮層26のみしか入らなかったり、コ
ア層25が微小突起内の先端部まで至らない可能性があ
るという問題点があった。さらに、成形品が長尺状のも
のである場合には、樹脂がキャビティ内を移動する間に
冷却されやすいため、上記のような方法で成形すること
が困難であるという問題点があった。
【0007】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたものであって、その目的は、スライドコアをスライ
ドさせるタイミングの設定が容易で、微小突起であって
もその先端部まで十分にコア層を形成できる樹脂成形品
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では樹脂成形品形状のキャビティを有する金
型本体と、同金型本体に設けられ前記キャビティと連通
する突起形成用凹部と、同突起形成用凹部に支持されか
つキャビティ内に進退可能に形成されたスライドコアと
を有する金型を用い、前記スライドコアがキャビティ内
に進入した状態において前記表皮層を形成する樹脂をキ
ャビティ内に射出し、次いでコア層を形成する樹脂を前
記表皮層を形成する樹脂内に射出するとともに、当該コ
ア層を形成する樹脂の射出中であって、前記キャビティ
内で前記表皮層及びコア層を形成する前記各樹脂が流動
しているときに前記スライドコアをキャビティ内から突
起形成用凹部内へ退出させ前記樹脂を前記突起形成
用凹部内に誘導し、前記表皮層及びコア層からなる突起
を形成する樹脂成形品の製造方法をその要旨としてい
る。さらに、前記スライドコアは、キャビティ内に射出
された前記コア層を形成する樹脂が前記スライドコアの
上部に達した時に前記突起形成用凹部内へ退出させる樹
脂成形品の製造方法をその要旨としている。
【0009】
【作用】まず、スライドコアをキャビティ内に進入させ
た状態で、表皮層を形成する樹脂をキャビティ内に射出
し、次いでコア層を形成する樹脂をこの表皮層を形成す
る樹脂内に射出する。そして、コア層を形成する樹脂の
射出中であって、前記キャビティ内で前記表皮層及びコ
ア層を形成する前記各樹脂が流動しているときに前記ス
ライドコアをキャビティ内から突起形成用凹部内へ退出
させる。このとき、キャビティ内のコア層を形成する樹
脂がスライドコアの移動に伴って強制的に突起形成用凹
部内へ引っ張られると共に、キャビティ内を流動してい
る表皮層も突起形成用凹部内へ導かれる。その結果、
皮層とコア層からなる突起が形成されると共に、前記突
の先端部までコア層が行き渡った樹脂成形品が製造さ
れる。また、キャビティ内に射出されたコア層を形成す
る樹脂がスライドコアの上部に達した時に前記スライド
コアをキャビティ内から突起形成用凹部内へ退出させ
る。このとき、キャビティ内のコア層を形成する樹脂
は、スライドコアの移動に伴ってより確実に突起形成用
凹部内へ引っ張られる。
【0010】
【実施例】以下に本発明をサイドモールの製造方法に具
体化した実施例について図1〜7に従って説明する。図
1は、本実施例の樹脂成形品としてのサイドモール1の
斜視図、図2は図1のA−A線断面図である。両図に示
すように、サイドモール1は、蒲鉾状の形状を有する本
体2と同本体の裏面(図1の右手前面)に突設された一
対の突起としてのボス部3とからなっている。このボス
部3はサイドモール1を図示しない車両ボディに取付け
固定するためのものである。前記本体2及びボス部3
は、ともに中心部のコア層4の外周部に表皮層5が形成
されたサンドイッチ構造を有している。
【0011】コア層4はタルク入りPPから形成された
硬質層であり、表皮層5はスチレン−エチレン−ブタジ
エン−スチレン共重合樹脂(以下SEBSという)から
形成された軟質層である。このコア層4はサイドモール
1に一定の剛性をもたせるためのものであり、表皮層5
はサイドモール1の表面に柔軟性をもたせて車両ボディ
を保護するためのものである。
【0012】次に、このサイドモール1をいわゆるサン
ドイッチ成形法によって成形するための金型について説
明する。サンドイッチ成形法とは、射出成形法の一種
で、二種類の樹脂のうち表皮層5を形成する樹脂をキャ
ビティ内へ射出した後、コア層4を形成する樹脂を前記
表皮層5を形成する樹脂内へ射出し、表皮層5とコア層
4とをサンドイッチ状に成形する成形方法をいう。
【0013】図3に示すように、図中上側の金型本体と
しての固定型6と下側の金型本体としての可動型7とか
らサイドモール1の形状を有するキャビティ8が形成さ
れている。同キャビティ8の両端側における可動型7に
は、キャビティ8の厚さ方向(同図上下方向)に延びる
ボス部形成用凹部9a,9bが穿設されている。同ボス
部形成用凹部9a,9b内にはそれぞれスライドコア1
0a,10bが支持棒12によって摺動可能に支持され
ている。このスライドコア10a,10bは油圧シリン
ダ等によって駆動される前記支持棒12によってキャビ
ティ8内に進退可能となっている。キャビティ8の一端
(同図左端)には、キャビティ8内に溶融樹脂を射出す
るためのゲート11が開口されている。
【0014】次に、この金型を用いたサンドイッチ成形
法によるサイドモール1の製造方法について説明する。
図3に示すように、予め支持棒12を前進させてスライ
ドコア10a,10bをキャビティ8内に進入状態にし
ておく。このスライドコア10a,10bのキャビティ
8内への進入量はサイドモール1内に形成されるコア層
4に実質的に届くに足る長さである。例えば、この進入
量はサイドモール1の厚さが5mmの場合には約2mmであ
る。図4に示すように、まず表皮層5を形成する溶融し
たSEBSをゲート11からキャビティ8内へ一定量射
出する。このSEBSの射出量は、サイドモール1の表
皮層5を形成するに足る量である。
【0015】次に、コア層4を形成する溶融したPPを
ゲート11から前記SEBS内へ射出する。このPPは
キャビティ8内の温度の高い中央部に沿ってSEBSを
押圧しながら流れる。一方、SEBSはキャビティ8内
の温度の低い外周側を固定型6又は可動型7に冷却され
ながら流動してゆく。図5に示すように、引き続きPP
を射出し、このPPがスライドコア10a上を通過した
直後、支持棒12を後退させてスライドコア10aを一
定速度でキャビティ8内からボス部形成用凹部9a内へ
退出させる。
【0016】すると、図6に示すように、PP及びSE
BSはスライドコア10aの退出にともなってキャビテ
ィ8内からボス部形成用凹部9a内へ誘導される。
、図7に示すように、ボス部形成用凹部9a側を流動
するSEBSはPPの外周部を迂回するような形でキャ
ビティ8内を右方へ流動してゆく(同図破線の矢印)。
PPがさらにキャビティ8内を流動して他方のスライド
コア10b上に至ったとき、上記と同様にしてスライド
コア10bをキャビティ8内から退出させると、PPが
SEBSを貫通する形でボス部形成用凹部9b内へ流動
する。
【0017】前記スライドコア10a,10bは、キャ
ビティ8内への進入時にはコア層4を形成するPPに接
する位置にあり、このPPがスライドコア10a,10
bの退出に伴ってその方向へ強制的に引っ張られる。従
って、スライドコア10a,10bを退出させるタイミ
ングが多少遅れて、PPがスライドコア10aの位置を
過ぎた状態であっても、PPをボス部形成用凹部9a,
9b内へ円滑に誘導することができる。なお、前記スラ
イドコア10a,10bをキャビティ8内から退出させ
る時期は、成形品の形状、樹脂の種類、金型温度等の条
件に基づいて予め設定しておく。また、SEBSの射出
量を前述した量よりも少なく設定し、残りのSEBSを
PPの射出と同時に行うこともできる。
【0018】このようにして両樹脂の射出が完了した
後、可動型7を固定型6から移動させて型開きする。そ
の結果、図1に示すように、サイドモール1の本体2内
にコア層4が形成されるとともに、そのコア層4が一対
のボス部3内へ延出した形でボス部3内の先端部にまで
コア層4が形成される。上記のように、本実施例のサイ
ドモール1の製造方法によれば、コア層4を形成するP
Pがキャビティ8内に進出状態にあるスライドコア10
a,10bを通過する時点以降に同スライドコア10
a,10bをキャビティ8内から退出させることによ
り、キャビティ8内のPPがスライドコア10a,10
bの移動に伴ってボス部形成用凹部9a,9b内まで強
制的に引っ張られる。
【0019】従って、従来のように表皮層の外側におい
てスライドコアをキャビティに沿ってスライドさせるの
ではなく、スライドコア10a,10bを表皮層5内に
配置した状態から退出させるようにスライドさせ、表皮
層5内のコア層4をボス部形成用凹部9a,9b内へ直
接誘導してゆく。その結果、ボス部3内には全体的にコ
ア層4が形成されたサイドモール1が容易に製造され
る。しかも、ボス部3が微小なものであっても、ボス部
3内にコア層4を確実に形成することができる。上記の
ように本発明の製造方法は、キャビティ8が長いため樹
脂が冷却されやすく、そのため突起内にコア層4を形成
しにくいサイドモール1等の長尺状樹脂成形品の製造方
法に好適に適用される。
【0020】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、次のような態様に具体化してもよい。 (1)前記実施例において、スライドコア10a,10
bの初期位置は、必ずしもコア層4に接した位置でなく
てもよく、コア層4にできるだけ近接した位置であれば
よい。 (2)ボス部3の数は3個以上であってもよく、その形
状も多少変形した円柱状、角柱状等の形状であってもよ
い。これらの場合、スライドコア10a,10b及びボ
ス部形成用凹部9a,9bの形状をボス部3の形状に合
わせる。 (3)コア層4を形成する樹脂としては、フィラー入り
TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ABS樹脂等であっ
てもよい。表皮層5を形成する樹脂としては、スチレン
−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(SBS)やポリオ
レフィン系エラストマー等であってもよい。 (4)本発明の樹脂成形品としては、バンパモール、サ
イドスポイラー、サイドガーニッシュ等であってもよ
い。
【0021】
【発明の効果】本発明の樹脂成形品の製造方法によれ
ば、スライドコアをスライドさせるタイミングの設定が
容易であり、突起が微小なものであってもその先端部ま
でコア層を十分にかつ容易に形成できるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を表す図であって、サイドモー
ルを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】サンドイッチ成形法によってサイドモールを成
形するための金型を示す断面図である。
【図4】キャビティ内に表皮層を形成する樹脂、次いで
コア層を形成する樹脂を射出した状態を示す金型の断面
図である。
【図5】コア層を形成する樹脂がキャビティ内のスライ
ドコアの位置に達した状態を示す金型の断面図である。
【図6】スライドコアをキャビティ内からボス部形成用
凹部内へ退出させた状態を示す金型の断面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】従来例を示すマッドガードの断面図である。
【図9】従来例を示す金型の断面図である。
【図10】従来例を示し、金型のキャビティ内に表皮層
を形成する樹脂を射出した後、コア層を形成する樹脂を
射出した状態を示す断面図である。
【図11】従来例を示し、金型の空洞部内のスライドコ
アを開いた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…樹脂成形品としてのサイドモール、3…突起として
のボス部、4…コア層、5…表皮層、6…金型本体とし
ての固定型、7…金型本体としての可動型、8…キャビ
ティ、9a,9b…支持凹部、10a,10b…スライ
ドコア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 31:30 (72)発明者 向井 浩 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑 1番地 豊田合成 株式会社 内 (72)発明者 細井 昭澄 愛知県海部郡七宝町大字沖之島字十坪 766 株式会社 マルヰ工作 内 (56)参考文献 特開 平4−168014(JP,A) 特開 平4−339617(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂成形品(1)形状のキャビティ
    (8)を有する金型本体(6,7)と、同金型本体
    (6,7)に設けられ前記キャビティ(8)と連通する
    突起形成用凹部(9a,9b)と、同突起形成用凹部
    (9a,9b)に支持されかつキャビティ(8)内に進
    退可能に形成されたスライドコア(10a,10b)と
    を有する金型を用い、前記スライドコア(10a,10
    b)がキャビティ(8)内に進入した状態において前記
    表皮層(5)を形成する樹脂をキャビティ(8)内に射
    出し、次いでコア層(4)を形成する樹脂を前記表皮層
    (5)を形成する樹脂内に射出するとともに、当該コア
    層(4)を形成する樹脂の射出中であって、前記キャビ
    ティ(8)内で前記表皮層(5)及びコア層(4)を形
    成する前記各樹脂が流動しているときに前記スライドコ
    ア(10a,10b)をキャビティ(8)内から突起形
    成用凹部(9a,9b)内へ退出させ前記樹脂を前
    記突起形成用凹部(9a,9b)内に誘導し、前記表皮
    層(5)及びコア層(4)からなる突起(3)を形成
    ることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記スライドコア(10a,10b)
    は、キャビティ(8)内に射出された前記コア層(4)
    を形成する樹脂が前記スライドコア(10a,10b)
    の上部に達した時に前記突起形成用凹部(9a,9b)
    内へ退出させることを特徴とする請求項1に記載の樹脂
    成形品の製造方法。
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