JP3167200B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
発泡体の製造方法に関する。より詳しくは、ポリオレフ
ィン系樹脂の押出発泡方法の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】押出発泡により発泡体(フォーム)を製
造する場合には、主原材料となる樹脂にフロン等の揮発
性の発泡剤を添加し、その他気泡核剤等を加えた組成物
を押出機に供給して吐出口から吐出させ、その際に発泡
剤が揮発して組成物が発泡し、発泡体が得られる。
【0003】一般にポリオレフィン系樹脂の押出発泡に
使用される揮発性の発泡剤は、大別すると炭化水素類と
ハロゲン化炭化水素類に分けられる。そのいずれも発泡
剤としての効果は非常に優れており、各種発泡に使用さ
れていることは公知の事実である。特にフロン系ハロゲ
ン化炭化水素は一般によく使用されている。
【0004】しかし、上記発泡剤は優れた発泡性を有す
る長所がある一方で、これらの発泡剤を用いて押出発泡
を行うと、押出発泡直後から発泡体が経時的に収縮する
という問題が生じていた。これは、上記のような発泡剤
は発泡体中での透過速度(ガス逃散速度)が空気に比べ
て極めて大きいことによる。
【0005】すなわち、押出発泡直後から発泡体内部の
発泡剤と外部の空気との置換が行われるが、発泡剤は速
やかに発泡体セル内から外界へと透過してしまうのに対
し、空気は緩やかに発泡体セル内へ侵入する。このた
め、上記発泡剤を用いて押出発泡を行うと、発泡体は経
時的に収縮してゆくので、得られた発泡体の寸法安定性
に欠けるばかりでなく、長い熟成期間を必要とするとい
う欠点があった。
【0006】そこで、上記のような発泡体の気泡収縮を
抑制するため、脂肪族エステル、脂肪族アミド又はアミ
ン、その他脂肪酸等の脂肪族化合物からなる界面活性剤
として働く特殊な収縮防止剤を用いて押出し発泡を行う
ことによって発泡体の収縮を防止している。
【0007】上記のような脂肪族化合物が収縮防止剤と
して働くメカニズムは、脂肪族化合物内に配列されてい
る水酸基やアミノ基等がフロンガス等の発泡剤の透過を
妨げることやポリオレフィン樹脂に対する溶解性が悪い
ことを利用したものであり、発泡体セル表面にブリード
アウトさせることによってガス透過抑制を行うものであ
る(特公昭46−43997号公報、特公昭61−14
63号公報、特公昭62−45254号公報、特公昭6
2−45257号公報、特公平2ー48023号公報参
照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】発泡剤の樹脂中からの
ガス逃散速度は、発泡剤の種類によって大小さまざまで
あり、発泡剤によっては収縮防止剤を大量に使用しなけ
れば気泡収縮を防止することができない場合がある。し
かし、上記のような気泡収縮を抑制するために使用され
る収縮防止剤は、滑剤としても働くという特性から添加
可能な部数範囲は非常に狭く、大量に添加することがで
きない。
【0009】つまり、滑剤として働く収縮防止剤は、多
く添加すればするほど収縮防止という点ではより大きな
効果が得られるものの、大量に添加すると吐出・発泡変
動を招き、押出吐出安定性が大きく低下して成形が困難
になるという問題を生じる。また、得られた発泡体の接
着性も低下し、印刷性等も悪くなる。
【0010】また近年、フロンによる環境問題が注目を
集めていることからオゾン層を破壊しないフロンの開発
が進められており、例えばHCFC及びHFC型フロン
等が開発されている。しかし、これらの新たに開発され
たフロンの大部分はガス透散速度が大きいので、これら
のフロンを発泡剤として使用する場合は気泡収縮を防止
するために使用すべき収縮防止剤の量も多くなる。その
結果、前述したように押出吐出安定性は低下し、安定成
形が困難となる。
【0011】そこで本発明は、上記のような問題を解決
するためになされたもので、ガス逃散速度の大きい発泡
剤を使用する場合でも、気泡収縮を防止し、押出し安定
性が高く、接着性の良好な発泡体を得ることができるポ
リオレフィン系樹脂発泡体の製造方法を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、特許請求の範
囲の請求項1に記載したように、ポリオレフィン系樹脂
100重量部に脂肪族化合物からなる収縮防止剤と3〜
30重量部の水酸基含有樹脂を混合し、この混合物にさ
らに適量の発泡剤を添加した組成物を所定形状に押出し
発泡させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡
体の製造方法を提供する。
【0013】収縮防止剤として使用する脂肪族化合物
は、好ましくは脂肪酸と多価アルコールのモノエステル
又はジエステル若しくはこれらの混合物、あるいは脂肪
族アミン又はアミド化合物のいずれかである。
【0014】また、前記水酸基含有樹脂は、好ましくは
融点が100℃以上であり、且つ前記ポリオレフィン系
樹脂の融点の±10℃の範囲内である。このような水酸
基含有樹脂としては、例えばエチレン酢酸ビニル共重合
体ケン化物が挙げられる。
【0015】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明における最も重要な要素は、収縮防止剤に水酸基を
含有する樹脂を配合する点にある。収縮防止剤として広
く知られているものは、前述したように例えば脂肪族エ
ステル、脂肪族アミド又はアミン、その他脂肪酸等の脂
肪族化合物が一般的である。
【0016】しかし、これらの物質は、多量に入れると
吐出及び発泡変動を招くため、成形が困難であるばかり
か接着性も低下することも前述した通りである。そこで
本発明では、上記脂肪族化合物と3〜30重量部の水酸
基含有樹脂をオレフィン系樹脂に混合し、この混合物か
らなる組成物を押出と同時に発泡させるようにしたもの
である。
【0017】この水酸基含有樹脂にはガスバリアー効果
があり、ガス透過抑制及び吐出変動を防止する上でも効
果がある。従って、これら水酸基含有樹脂と通常収縮防
止剤とを併用することで、通常滑剤としての特性も有す
る収縮防止剤の添加量を少なくすることが可能となり、
気泡収縮のないオレフィン系発泡体を吐出変化もなく安
定的に成形することができる。そして、滑剤としての特
性も有する収縮防止剤の添加量が少ないことから、得ら
れた発泡体のアクリル系粘着剤による接着が阻害され
ず、発泡体の印刷性等も損ねることが少ない。また、水
酸基含有樹脂を併用することにより、滑剤としての特性
も有する収縮防止剤との各種組合せが可能となり、例え
ばブタン、ペンタン、CO2等のガス透過度の大きなガ
スの無収縮発泡法への展開も見込める。
【0018】水酸基含有樹脂は、融点が100℃以上の
ものが好ましい。また、主材料であるポリオレフィン系
樹脂の融点に近いほど好ましい。具体的には、融点が主
材料融点の±10℃の範囲内であるのが好ましく、さら
に好ましくは±5℃の範囲内である。このような水酸基
含有樹脂としては、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体
ケン化物が挙げられる。
【0019】また、水酸基含有樹脂はガス透過を抑制し
たり吐出変動を防止するばかりでなく、樹脂そのものと
してポリオレフィン系樹脂とブレンドされた樹脂を形成
するので、得られた発泡体に新たな特徴を付加し得るこ
ととなる。例えば、水酸基含有樹脂としてエチレン酢酸
ビニル共重合体を配合した場合は、得られた発泡体に適
度なダンカ性能の向上が期待できる。
【0020】本発明にいうポリオレフィン系樹脂として
は、例えばポリエチレン、架橋性ポリエチレン共重合
体、ポリプロプレン、エチレン−ピロピレン共重合体、
エチレン又はプロピレンのα−オレフィン共重合体、エ
チレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらをそ
れぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使
用してもよい。なお、水架橋性ポリオレフィン樹脂を主
材料として用い、これに水酸基含有樹脂を配合する場合
には、水酸基含有樹脂が親水性樹脂であることから、架
橋触媒の使用を省略することも期待できる。
【0021】さらに、気泡核剤、架橋触媒、酸化防止
剤、滑剤、静防剤、顔料等を適宣必要に応じて添加する
こともできる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。メ
ルトインデックス(190℃ MI)が2.0で密度が
0.92の低密度ポリエチレン樹脂に、収縮防止剤とし
ての脂肪族エステル、水酸基含有樹脂及び気泡核剤とし
てのタルクを、実施例1〜6及び比較例1〜5としてそ
れぞれ表1及び表2に示すような種々の割合で混合し
た。
【0023】これらの混合物を40m/m口径の単軸押
出機(L/D:28)に供給し、溶融混練した後、押出
機中央に設けられた発泡剤注入口から発泡剤を注入し、
発泡倍率が35倍程度になるように設定した。次いで再
度混練冷却した後、押出機先端に装着された口金(口径
4φ)から大気中に押出し、吐出と同時に発泡させた。
【0024】これらの各実施例及び比較例の押出し特性
及び得られた発泡体の特性を表1及び表2に示した。な
お、各表において発泡体の特性評価の結果は以下のよう
に表示した。 吐出変動(押出安定性):◎吐出変動なし、○吐出変動
が安定領域内、△吐出変動少し多い、×吐出変動大 発泡成形性・外観:◎最良、○良好な領域内、△時々不
足有り、×不足 収縮:◎収縮なし、○1日以内に収縮が回復、△3〜5
日収縮が残存、×5日以上収縮が残存 接着性:◎オレフィン単体発泡品と同程度の接着性、○
接着可能領域、△接着性やや不足、×接着性悪い
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】以上、表1及び表2からも明らかなよう
に、水酸基含有樹脂と脂肪族エステルとを併用すること
により、吐出安定性もあり、成形性(外観含む)の良
い、収縮等による経時変化の少ない発泡体を安定的に得
られることが分かる。また、脂肪族エステルの添加量を
減らすことにより、アクリル系粘着剤等との接着性も向
上する。
【0028】なお、表1及び表2に示した通り、水酸基
含有樹脂(エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)の配
合量は、主原料比30部以下が安定成形には好ましいと
いうことが分かる。これは、配合量が主原料比で30部
を超えると発泡体が連泡になったり、表面性不良を起こ
したり、柔らかくなり過ぎたり、あるいは耐熱性の低下
を招いたりするためである。
【0029】
【発明の結果】以上説明した通り本発明によれば、ガス
逃散速度の大きい発泡剤を使用する場合でも、水酸基含
有樹脂を使用することにより、少量の収縮防止剤を添加
するだけで気泡収縮を防止することができ、押出し安定
性が高く、接着性の良好なポリオレフィン系樹脂発泡体
を得ることができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂100重量部に脂
    肪族化合物からなる収縮防止剤と3〜30重量部の水酸
    基含有樹脂を混合し、この混合物にさらに適量の発泡剤
    を添加した組成物を所定形状に押出し発泡させることを
    特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記脂肪族化合物は、脂肪酸と多価アル
    コールのモノエステル又はジエステル若しくはこれらの
    混合物あるいは脂肪族アミン又はアミド化合物のいずれ
    かである請求項1記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記水酸基含有樹脂の融点は100℃以
    上で且つ前記ポリオレフィン系樹脂の融点の±10℃の
    範囲内である請求項1又は2記載のポリオレフィン系樹
    脂発泡体の製造方法。
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