JP3167158B2 - 製剤用コーティング剤 - Google Patents

製剤用コーティング剤

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JP3167158B2 JP31087391A JP31087391A JP3167158B2 JP 3167158 B2 JP3167158 B2 JP 3167158B2 JP 31087391 A JP31087391 A JP 31087391A JP 31087391 A JP31087391 A JP 31087391A JP 3167158 B2 JP3167158 B2 JP 3167158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な大腸内分解性ポリ
マーおよび該ポリマーを主成分とする製剤用補助剤に関
する。さらに詳しくは、大腸内で糖分解酵素によって分
解される共重合体および該共重合体を含有する経口投与
用固形製剤のためのコーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】イン
スリンやバソプレシンなどのタンパク・ペプチド性薬剤
の投与方法としては、現在静脈注射による方法が行われ
ているが、これらのタンパク・ペプチド性薬剤が普及す
るにつれ、より簡便な投与方法が求められてきており、
経口、経皮、経鼻、座剤などによる方法が検討されてい
る。なかでも経口による投与方法はもっとも一般的な方
法として様々な検討がなされている。しかし、経口投与
されたタンパク・ペプチド性薬剤は小腸に存在する酵素
により容易に分解され、失活するため、極端に生物学的
利用率が低い。
【0003】そこでこれらのタンパク・ペプチド性薬剤
を消化酵素のほとんど存在しない大腸で選択的に放出さ
れる製剤とすることにより、生物学的利用率を向上させ
ようとする試みがなされている。
【0004】その一つとして、pHの上昇で皮膜が溶け
て製剤中の薬剤が放出されるように考案された腸溶性製
剤があるが、生体側の消化管のpHの日内変動や食事の
影響が大きく、小腸上部で崩壊したり、反対にその製剤
が崩壊されずに排泄されたりすることが問題となってい
る。
【0005】また別の大腸選択的放出製剤として、大腸
内に存在する細菌の分泌する酵素に注目し、その酵素に
より大腸内で特異的に分解するポリマーを利用する製剤
が検討されている。大腸内には、多種類の嫌気性菌が存
在しており、人の消化酵素にはない様々な酵素を分泌し
ている。その一つとして、アゾ基をアミノ基に還元する
酵素があり、このアゾ還元酵素により切断される芳香族
アゾ基を分子内に含んだポリマーについて報告がなされ
ている(米国特許第4663308 号、特開平3-7718号)。し
かし、これらの方法は、皮膜形成性、溶解性が悪かった
り、発ガン性のあるアゾ基を使用しているという欠点が
ある。
【0006】また、二塩基酸と大腸内で特異的に分解す
る糖とからえられるポリエステルは大腸内特異的分解性
を示すことがわかっているが、これらのポリマーは、ジ
メチルスルホキシド(DMSO)、N,N- ジメチルア
セトアミド(DMAc)、N,N- ジメチルホルムアミ
ド(DMF)などの不揮発性非プロトン性極性溶媒にし
か溶解せず、コーティングに使用できるアセトン、エタ
ノール、塩化メチレンなどの揮発性の溶剤には懸濁しか
しないため、薬剤へのコーティングなどの際、操作が煩
雑であり、しかも均一なコーティングが困難であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(A) :
【0008】
【化5】
【0009】(式中、Rは二価の有機基を表わし、R1
は大腸内で加水分解を受ける、および/または資化され
難消化性の糖残基を表わす)で示される少なくとも一
種類の構造単位および一般式(B):
【0010】
【化6】
【0011】(式中、Rは前記と同じ、X1 、X2 は独
立に酸素原子、イミノ基もしくは硫黄原子を、R2 は飽
和または不飽和の炭化水素基、ポリアルキレン基、ポリ
アルキレングリコール基、ポリアリーレンオキサイド
基、ポリエステル基またはポリアミド基を表わす)で示
される少なくとも一種類の構造単位からなる共重合体お
よび該共重合体を含有する大腸選択的放出製剤用コーテ
ィング剤に関する。
【0012】
【実施例】本発明者らは、皮膜形成性に優れており、か
つ大腸内で特異的に分解され、しかも安全性に優れた皮
膜用高分子化合物を見出すため、鋭意検討を重ねた結
果、主鎖内に大腸内で加水分解を受けるおよび/または
資化される糖および一定の化合物を含有する共重合体が
目的を達成することを見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0013】つぎに本発明の共重合体について説明す
る。
【0014】本発明の共重合体は、構造単位
【0015】
【化7】
【0016】および
【0017】
【化8】
【0018】よりなる共重合体である。
【0019】ポリマーの分子量はとくに限定されない
が、好ましくは2000〜1,000,000 、より好ましくは5000
〜500,000 、最も好ましくは5000〜100,000 である。
【0020】2つの構造単位(A) と(B) との共重合割合
は、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは5:95
〜80:20、最も好ましくは10:90〜70:30である。構造
単位(A) と(B) との結合方向は決まっていない。
【0021】一般式(A) で示される構造単位は、HOO
C- R- COOHで表わされる二塩基酸とHO- R1 -
OHで表わされる糖とをエステル結合させてえられる。
【0022】大腸内には多種類の細菌が存在しており、
最近の研究からこれらの細菌が、人体で消化・吸収でき
ないあるいはできにくい難消化性糖類を、醗酵により利
用しており、そのためこれまで人体では利用されないと
されていた糖類も、この過程を通って吸収されることが
わかってきた。また、人体内での発ガン性物質生成の研
究において、大腸内の特異的な糖加水分解酵素の存在が
クローズアップされてきている。これらの加水分解酵素
としては、β- グルコシダーゼ、β- ガラクトシダー
ゼ、β- グルクロニダーゼなどの他にキシラナーゼ、β
- グルカナーゼ、ガラクトマンナーゼ、ポリガラクチュ
ロナーゼ、ムチナーゼ、コンドロイチンリアーゼ、カル
ボキシメチルセルラーゼ、セルラーゼ、ポリガラクチュ
ロネイトリアーゼなどの多糖分解酵素があげられる。
【0023】HO- R1 - OHで表わされる糖は、大腸
内で加水分解を受ける、および/または資化される難消
化性の糖であって、また、糖残基2つ以上、かつ好まし
くは100 以下、より好ましくは50以下、さらに好ましく
は10以下で構成される糖である。たとえば前記酵素によ
り加水分解される糖があげられる。難消化性の糖とは、
人の小腸内で消化吸収を受けにくい、または消化を受け
ない糖のことをいう。具体的には、 6′- ガラクトシル
ラクトースや 4′- ガラクトシルラクトースなどのラク
トースのガラクトース残基にガラクトースがβ-1,4ある
いはβ-1,6で数分子結合したガラクトオリゴ糖;1-ケス
トースやニストースなどのスクロースのフラクトース残
基にフラクトースがα-1, β-2で数分子結合したフラク
トオリゴ糖;ラフィノースやスタキオースなどのスクロ
ースのグルコース残基にガラクトースがβ-1,6で数分子
結合した大豆オリゴ糖;キシロビオースやキシロトリオ
ースなどのキシロースがβ-1,4で数分子結合したキシロ
オリゴ糖;イソマルトースやイソマルトトリオースやパ
ノースなどのイソマルトースの非還元性グルコースにグ
ルコースがα-1,4あるいはα-1,6で数分子結合したイソ
マルトオリゴ糖;セロビオースやセロトリオースなどの
グルコースがβ-1,4で数分子結合したオリゴセルロー
ス;ラクトース、ラクトスクロース、ラクチュロース、
パラチノース、メレチトース、ツラノース、メリビオー
ス;マルチトール、ラクチトール、イソマルチトール、
グルコピラノシル- α-1,6- マンニトールなどの二糖類
アルコール;およびカルボキシメチルセルロース、グア
ガム、タラカントガム、キシランなどがあげられるが、
これらに限定されるものではない。
【0024】さらに、ここであげた糖はアセチル基、ベ
ンゾイル基などのアシル基や、メチル基、エチル基など
のアルキル基や、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロ
ピル基などのヒドロキシアルキル基などで修飾されてい
てもよい。これらの修飾基は、糖一分子中に未修飾の水
酸基が2つ以上残っていれば何分子結合していてもよ
く、また1種類または2種類以上の修飾基で修飾されて
いてもよい。
【0025】本発明の共重合体中には、前記の糖は2種
類以上含まれていてもよいが、1種類であることが望ま
しい。
【0026】HOOC−R−COOHで表わされる二塩
基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、4,4 ′- ジ
カルボキシビフェニル、2,6-ジカルボキシナフタレン、
1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4′- ジカルボン酸、
1,2-ビス(2-クロロフェノキシ)エタン-4,4′- ジカル
ボン酸などの芳香族系二塩基酸;アジピン酸、1,10-デ
カンジカルボン酸、ジエチルマロン酸、フマル酸、マレ
イン酸、シュウ酸などの脂肪族二塩基酸およびシクロヘ
キサン二酸などの脂環式化合物の二塩基酸があげられる
がこれらに限られるものではない。さらに、本発明のポ
リエステル鎖中にはこれら二塩基酸は2種類以上含まれ
ていてもよいが、1種類であることが望ましい。
【0027】一方、一般式(B) で示される構造単位は、
前記のHOOC- R- COOHで表わされる二塩基酸と
H- X1 - R2 - X2 - Hで表わされる化合物とを結合
してえられる。
【0028】H- R2 - Hは飽和あるいは不飽和の炭化
水素基、ポリアルキレン基、ポリアルキレンオキサイド
基、ポリアリーレンオキサイド基、ポリエステル基また
はポリアミド基を表わす。以下に具体的に、H- X1 -
2 - X2 - Hについて四種(一般式(C) 〜(H) )に大
別し、例をあげて説明する。
【0029】(1) 一般式(C) : H- X1 - R3 - X2 - H(C) (式中、X1 、X2 はそれぞれ独立に酸素原子、イミノ
基または硫黄原子を表わし、R3 は飽和あるいは不飽和
の炭化水素基を表わす)で示される化合物、すなわち、
両端に独立に水酸基、アミノ基またはチオール基を有す
る飽和あるいは不飽和の炭化水素基である。具体的に
は、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブ
タンジオールなどのアルキレングリコール;ヘキサメチ
レンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジア
ミンなどのアルキレンジアミン;1,4-ブタンジチオー
ル、エタンジチオールなどのアルカンジチオール;1,4-
ハイドロキノン、1,3-ハイドロキノン、2.7-ジヒドロキ
シナフタレン、カテコール、1,3-ジ(ヒドロキシメチ
ル)ベンゼンなどの芳香族ジオール;1,4-ジアミノベン
ゼン、3.5-ジアミノトルエンなどの芳香族ジアミンがあ
げられる。
【0030】(2) 一般式(D) : H- X1 - (R4 O)n - R5 - X2 - H (D) (式中、X1 、X2 は前記と同じ、R4 、R5 はそれぞ
れ独立に炭素数1〜10のアルキレン基またはアリール基
を、nは1〜100 の整数を表わす)で示される化合物、
すなわち、両末端に水酸基、アミノ基もしくはチオール
基を有するポリアルキレングリコールまたはポリアリー
レンオキサイドである。具体的には、たとえば両末端に
水酸基、アミノ基もしくはチオール基を有する、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、ポリフェニレンオキサイドな
どがあげられる。
【0031】(3) 一般式(E) もしくは(F) :
【0032】
【化9】
【0033】(式中、X1 、X2 は前記と同じ、X3
6 はそれぞれ独立に酸素原子またはイミノ基を、
4 、X5 はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子または
イミノ基を表わし、R6 は炭素数1〜20のアルキレン
基、芳香族化合物の二価基、アルキレングリコール基を
表わし、mおよびLはそれぞれ独立に0〜100 の整数を
表わし、Pは1〜12の整数を表わす)または一般式(G)
【0034】
【化10】
【0035】(式中、X1 、X2 、X4 、X5 は前記と
同じ、R7 、R9 、R10はそれぞれ独立に炭素数1〜20
のアルキレン基もしくは芳香族化合物の二価基を表わ
し、R8 は二価の有機基を表わし、qは1〜100 の整数
を表わす)で示される化合物、すなわち、X3 、X6
酸素原子のばあいは、両末端に独立に水酸基、アミノ基
またはチオール基を有するポリエステルであり、具体的
にはポリε- カプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ
乳酸、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレ
ンアジペートなどの両末端に水酸基、アミノ基またはチ
オール基を有する化合物であり、X3 、X6 がイミノ基
のばあいは、両末端に独立に水酸基、アミノ基またはチ
オール基を有するポリアミドであり、具体的にはポリε
- カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン- アジピン
酸共重合体などの両末端に水酸基、アミノ基またはチオ
ール基を有する化合物があげられる。
【0036】(4) 一般式(H) : H- X1 - (CH2 CR1112r - X2 - H (H) (式中、X1 、X2 は前記と同じ、R11、R12はそれぞ
れ独立に水素原子、アルキル基、アセチル基、フェニル
基、1〜4個のアルキル基もしくはニトロ基で置換され
たフェニル基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、
カルボキシエチル基、カルボキシイソプロピル基、カル
ボキシ-2- ヒドロキシエチル基、カルボキシ-2- ヒドロ
キシプロピル基、メトキシカルボニル基、エトキシカル
ボニル基、イソプロポキシカルボニル基、1-ヒドロキシ
エトキシカルボニル基または2-ヒドロキシプロポキシカ
ルボニル基を、rは1〜1000の整数を表わす)で示され
る化合物、すなわち両末端に独立に水酸基、アミノ基ま
たはチオール基を有するポリアルキレンである。具体的
にはポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸
メチル、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチルなどの両末
端に水酸基、アミノ基またはチオール基を有する化合物
があげられる。
【0037】以上の具体的な化合物は例示であって、H
- X1 - R2 - X2 - Hはこれらに限定されるものでは
ないが、溶媒への溶解性を改善し、しかも安全性の高い
化合物としては、両末端水素基のポリプロピレングリコ
ールもしくはポリテトラメチレングリコールのようなポ
リエーテルや両末端水酸基のポリε- カプロラクトンも
しくはポリグリコール酸のようなポリエステルがもっと
も好ましい。
【0038】以上のような構造単位をもつ本発明の共重
合体の合成は、公知の方法により行われる(クリタ (Ku
rita, K.),らジャーナル オブ ポリマー ケミストリ
ーエディション(J. Polymer Chem. Ed.), 18, 365(198
0))。すなわち、糖と共重合する化合物と二塩基酸の塩
化物とをN,N- ジメチルアセトアミド(DMAc)、
ジメチルスルホキシド(DMSO)などの非プロトン性
極性溶媒中で、ピリジンあるいはトリエチルアミンなど
の三級アミン類を脱プロトン剤として使用し、約17℃で
反応させることにより行なう。
【0039】さらに、本発明には本発明の共重合体を含
有する製剤用コーティング剤が含まれる。本発明の共重
合体は大腸内で特異的に分解および/または資化される
ので、薬物を選択的に大腸内で放出させることにより消
化酵素による分解を防ぎ、高濃度に存在させることによ
り大腸での吸収を促進して薬物の生物学的利用率を向上
させることを目的とした製剤用コーティング剤として利
用することができる。ここでいう製剤用コーティング剤
には、経口投与用固形製剤、たとえば錠剤、顆粒剤、丸
剤およびカプセル剤に対する外皮用皮膜形成剤、および
薬剤を包埋したシート状製剤、の基剤などが含まれる。
【0040】本発明のコーティング剤を用いて製剤化さ
れる薬物は、大腸へのターゲティングを目的とするもの
であれば、とくに制限されることなく、いずれの薬物も
使用できる。
【0041】そのような薬物としては、たとえばインス
リン、バソプレシン、カルシトニン、インターフェロ
ン、インターロイキンなどのペプチド、メシル酸ガベキ
サート、メシル酸カモスタット、メシル酸ナファモスタ
ットなどのグアニジノ安息香酸誘導体、アスピリンなど
の抗炎症剤などがあげられる。
【0042】外皮用皮膜形成剤として用いるばあいに
は、本発明の共重合体を適当な溶媒(たとえば、塩化メ
チレン、アセトンおよびエタノールから選ばれる1種ま
たは2種の混合溶媒)に溶解させ、別途製造した経口投
与固形製剤にパンコーティング法または流動コーティン
グ法によりコーティングすることにより行われる。所望
により、本発明の共重合体だけでなく水不溶性ポリマー
(たとえば、エチルセルロース、メタクリル酸コポリマ
ーなど)、あるいは可塑剤(たとえば、ポリエチレング
リコールなど)を混合してもよい。
【0043】また、シート状製剤として用いるばあいに
は、本発明の共重合体と薬物を適当な溶媒(前記と同
様)で懸濁混和し、フィルム成形器で常法にしたがいフ
ィルムを作成後、このフィルムを微粉砕しカプセルなど
に充填することにより行われる。所望によりフィルム作
成時に、水不溶性のポリマー(たとえば、エチルセルロ
ース、メタクリル酸コポリマーなど)や腸溶性ポリマー
(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスク
シネート、カルボキシメチルエチルセルロースなど)や
可塑剤(ポリエチレングリコールなど)を混合してもよ
い。
【0044】つぎに本発明の共重合体および大腸選択的
放出製剤用コーティング剤を実施例に基づいて説明する
が、本発明はもとよりかかる実施例のみに限定されるも
のではない。
【0045】実施例1 ラクトース684mg(2.0mmol)とポリテトラメチレングリコ
ール(PTMG、平均分子量1000)2.0 g(2.0mmol) と
ピリジン0.64ml(8.0mmol) をDMAc20ml中で、17℃で
撹拌しておき、そこにテレフタル酸二塩化物812mg(4.0m
mol)を加え、24時間反応する。ゲル化物および未反応の
ラクトースを濾過によって取り除き、溶液を水に注ぎ込
み、沈殿させ、それを水で洗浄、減圧乾燥し、再びDM
Acに溶解し水で再沈殿、水洗浄、乾燥をすることによ
り生成物2.56g(収率80%)をえた。
【0046】生成物は、DMSO- d6 溶媒を用いての
NMRスペクトルの測定、IRスペクトルの測定および
元素分析により、ラクトースとPTMGが約1:2で含
まれていることが確認された。また、N,N- ジメチル
ホルムアミド(DMF)溶媒でのゲル濾過クロマトグラ
フィー(GPC)により分子量を測定したところ、ポリ
エチレングリコール換算重量平均分子量で19,000であっ
た。
【0047】 1H- NMR(δ、DMSO- d6): 3.1 〜5.8(4.9H) 、1.5(24.1H)、1.6(2H) 、1.7(2H) 、
3.3(25.8H)、4.3(2H) 、7.8 〜8.3(3H) IR(cm-1):3300、2900、2820、1720、1370、1270、
1100 元素分析: C:63.76 %、H:9.20% 実施例2 ラクトースの代わりにスタキオース1332mg(2.0mmol) を
用いたほかは実施例1と同様にして合成を行なった。3.
02g(収率78%)の生成物がえらえ、その分子量は18,0
00であった。
【0048】 1H- NMR(δ、DMSO- d6): 3.1 〜5.8(9.8H) 、1.5(23.8H)、1.6(2H) 、1.7(2.1H)
、3.3(26.2H)、4.3(2H) 、7.7 〜8.3(3H) IR(cm-1):3300、2910、2830、1730、1370、1260、
1100 元素分析: C:61.81 %、H:8.95% 実施例3 ラクトースの代わりにセロビオース684mg(2.0mmol)を用
いたほかは実施例1と同様にして合成を行なった。2.61
g(収率81%)の生成物がえられ、その分子量は20,000
であった。
【0049】 1H- NMR(δ、DMSO- d6): 3.1 〜5.8(5.1H) 、1.5(24.2H)、1.6(1.9H) 、1.7(2H)
、3.3(25.9H)、4.3(2H) 、7.8 〜8.2(3.1H) IR(cm-1):3300、2900、2810、1720、1360、1270、
1100 元素分析: C:63.85 %、H:9.27% 実施例4 ラクトースの代わりに 6´- ガラクトシルラクトース10
10mg(2.0mmol) を用いたほかは実施例1と同様にして合
成を行なった。2.81g(収率79%)の生成物がえられ、
その分子量は17,000であった。
【0050】 1H- NMR(δ、DMSO- d6): 3.1 〜5.7(7.5H) 、1.5(23.8H)、1.6(2.1H) 、1.7(2H)
、3.3(25.7H)、4.3(2H) 、7.7 〜8.2(3.1H) IR(cm-1):3300、2910、2820、1725、1380、1270、
1110 元素分析: C:62.75 %、H:9.10% 実施例5 ラクトースの代わりに1-ケストース1010mg(2.0mmol) を
用いたほかは実施例1と同様にして合成を行なった。2.
79g(収率79%)の生成物がえらえ、その分子量は19,0
00であった。
【0051】1H- NMR(δ、DMSO- d6 ): 3.0 〜5.8(7.4H) 、1.5(24.2H)、1.6(2H) 、1.7(2.2H)
、3.3(25.8H)、4.3(2H) 、7.8 〜8.3(2.8H) IR(cm-1):3300、2900、2830、1730、1370、1280、
1090 元素分析: C:62.65 %、H:9.22% 実施例6 テレフタル酸二塩化物の代わりにアジピン酸二塩化物36
6mg(2.0mmol)を用いたほかは実施例1と同様にして合成
を行なった。2.35g(収率75%)の生成物がえら、そ
の分子量は14,000であった。
【0052】 1H- NMR(δ、DMSO- d6): 3.2 〜5.3(4.8H) 、1.5(24.2H)、1.6(2.1H) 、1.7(1.9
H) 、3.3(25.8H)、4.3(2H) 、1.8(3.1H) 、2.5(3H) IR(cm-1):3310、2880、2830、1710、1375、1270、
1100 元素分析: C:62.57 %、H:9.91% 実施例7 PTMGの代わりに両末端水酸基ポリε- カプロラクト
ン(平均分子量1000)2000mg(2.0mmol) を用いたほかは
実施例1と同様にして合成を行なった。2.55g(収率79
%)の生成物がえらえ、その分子量は17,000であった。
【0053】 1H- NMR(δ、DMSO- d6): 3.1 〜5.3(4.8H) 、1.3(8.1H) 、1.6(16.3H)、2.2(8.2
H) 、4.0(7.9H) 、4.1(2H) 、7.9 〜8.2(3.3H) IR(cm-1):3300、2940、2820、1730、1370、1265、
1165、1090 元素分析: C:59.61 %、H:8.01% 実施例8 PTMGの代わりに両末端アミノ基ポリε- カプロラク
タム(平均分子量1000)2000mg(2.0mmol) を用いたほか
は実施例1と同様にして合成を行なった。2.44g(収率
76%)の生成物がえらえ、その分子量は18,000であっ
た。
【0054】 1H- NMR(δ、DMSO- d6): 3.2 〜5.3(5.1H) 、1.2(7.9H) 、1.5(15.9H)、2.3(7.8
H) 、3.0(8H) 、4.1(2.1H) 、5.5(4H) 、7.8 〜8.3(2.9
H) IR(cm-1):3300、2930、2820、1730、1640、1545、
1375、1270、1170、1100 元素分析: C:60.01 %、H:8.73% 実施例9 PTMGの代わりに両末端水酸基ポリメタクリル酸メチ
ル(平均分子量1000)2000mg(2.0mmol) を用いたほかは
実施例1と同様にして合成を行なった。2.32g(収率72
%)の生成物がえらえ、その分子量は15,000であった。
【0055】 1H- NMR(δ、DMSO- d6): 3.2 〜5.4(9.8H) 、1.15(29.7H) 、1.2(18.5H)、3.7(2
9.5H)、4.1(1.1H) 、7.9 〜8.3(6.1H) IR(cm-1):3300、2950、2815、1730、1540、1450、
1370、1275、1150、1095、750 元素分析: C:56.79 %、H:7.31% 参考例1 ブルーデキストラン2000を2%、デキストランを2%、
アルシアンブルー8GSを2%、アニリンブルーを2
%、メチレンブルーを2%、ステアリン酸マグネシウム
を3%、アビセルPH-102(旭化成工業(株)製)を87
%の割合で混合し、HU- T型打錠機(畑鉄工所製)に
より、杵臼径4mm、吸込量30mg、回転数8.8rpm、打錠圧
900Kg の条件で色素含有錠剤を製造した。
【0056】実施例10 実施例1〜9でえられた共重合体500mg と分子量4000の
ポリエチレングリコール500mg を混合し、メタノールと
塩化メチレンの1:1(容量比)混合液に10%の濃度に
なるように溶解した。この溶液中に参考例1で示した色
素含有錠剤を浸漬し乾燥するという工程を膜厚が100 〜
200 μmになるまで繰り返した。膜厚はコーティング前
後の錠剤の径および厚さの差から求めた。
【0057】また、実施例でえらえた共重合体の代わり
に腸溶性コーティング剤であるヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースフタレートHP- 55S(信越化学工業株式
会社製)500mg を用いたほかは同様にしてコーティング
製剤をつくり、コントロールとした。
【0058】実験例1 実施例10でえられた製剤について、生体内での崩壊性お
よび溶出性を調べた。
【0059】(実験方法)実験はWistar系、8週令雄の
ラットを1群4〜6匹として用いて行なった。
【0060】第1群のラットを開腹し、小腸大腸接合部
を結紮する。結紮部の小腸側を切開し、大腸側はそのま
ま腹部に戻し、小腸の切断部位と開腹部を腸管が体外へ
開存するように縫合する。つぎに左腹部を開腹し、十二
指腸最上部(胃幽門直下)を切開し、十二指腸内へ実施
例10でコーティングした錠剤を投与する。十二指腸切開
部を縫合したのち、外科用接着剤で切開部を接着し、開
腹部を縫合する。
【0061】このラットを清潔な環境で飼育しておき、
小腸開存部より流出する内容物を観察し、錠剤の有無、
錠剤の形状・硬さ、色素の溶出状態を調べる。
【0062】第2群のラットには、第1群と同じ操作で
切開した小腸大腸接合部の縫合修復を施したのち、十二
指腸最上部より十二指腸内に実施例10でコーティングし
た錠剤3個を投与する。このラットを同様に飼育し、糞
便の状態(色調・内容物)を観察する。
【0063】第3群のラットは開腹し、小腸大腸接合部
を切開し、実施例10でコーティングした錠剤を大腸内へ
挿入する。切開部および開腹部の縫合ののち、同様にラ
ットを飼育し、糞便の状態を観察する。
【0064】(結果)結果は表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】表1より、本発明による共重合体でコーテ
ィングした錠剤は小腸内では崩壊せず、薬剤の放出も抑
えられていることがわかる。一方、大腸内ではコーティ
ング剤は崩壊し、薬剤も放出されていることがわかる。
【0067】
【発明の効果】本発明の共重合体を利用し、コーティン
グしたり適当な製剤用補助剤として包埋したりすること
により、薬物の経口投与による他の消化器管での分解吸
収を抑え、選択的に大腸で放出させることにより薬物を
大腸に高濃度で存在させることができる。このため、薬
物の投与量が副作用の少ない、生物学的利用率を改善さ
せた製剤設計が可能となる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−183696(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(A): 【化1】 (式中、Rは二価の有機基を表わし、R1は大腸内で加
    水分解を受ける、および/または資化される難消化性の
    糖残基を表わす)で示される少なくとも一種類の構造単
    位および一般式(B): 【化2】 (式中、Rは前記と同じ、X1、X2は独立に酸素原子、
    イミノ基もしくは硫黄原子を、R2は飽和または不飽和
    の炭化水素基、ポリアルキレン基、ポリアルキレングリ
    コール基、ポリアリーレンオキサイド基、ポリエステル
    基またはポリアミド基を表わす)で示される少なくとも
    一種類の構造単位からなる共重合体。
  2. 【請求項2】 R1がβ-グルコシダーゼ、β-ガラクト
    シダーゼまたはβ-グルクロニダーゼにより加水分解を
    受ける糖残基である請求項1記載の共重合体。
  3. 【請求項3】 R1がガラクトオリゴ糖残基、フラクト
    オリゴ糖残基または大豆オリゴ糖残基である請求項1記
    載の共重合体。
  4. 【請求項4】 一般式(A): 【化3】 (式中、Rは二価の有機基を表わし、R1は大腸内で加
    水分解を受ける、および/または資化される難消化性の
    糖残基を表わす)で示される少なくとも一種類の構造単
    位および一般式(B): 【化4】 (式中、Rは前記と同じ、X1、X2は独立に酸素原子、
    イミノ基もしくは硫黄原子を、R2は飽和または不飽和
    の炭化水素基、ポリアルキレン基、ポリアルキレングリ
    コール基、ポリアリーレンオキサイド基、ポリエステル
    基またはポリアミド基を表わす)で示される少なくとも
    一種類の構造単位からなる共重合体を含有する大腸選択
    的放出製剤用コーティング剤。
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