JP3167020B2 - 複合材料およびその成形体の製造方法 - Google Patents

複合材料およびその成形体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の複合材料は、押出成
形機で可塑化混練し、ダイから押出して所望の形状を与
え冷却・固化させて連続したシート、板材、管材、棒
材、異型材などの各種形状例えば、住宅における幅木や
回り縁、床材料、手摺、台所や浴室廻りの部材、窓枠、
棚板、扉の面材、造作材、家具用材料などの木工製品に
代わる成形品を成形する材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、木粉などのセルロース粉末を充填
することによって、線膨張係数の小さい熱可塑性の材料
として、木粉充填塩化ビニル樹脂が既述の用途などに適
合した材料として、工業的に生産されている。しかし、
最近では燃焼時の公害問題などから非塩化ビニル化の要
請がありこれに代わる材料が望まれている。そのような
状況の中で塩化ビニル樹脂に代わりうる材料として、加
工性やリサイクル性、コストなどから最も注目されてい
るのがポリエチレンやポリプロピレン樹脂などのポリオ
レフィン樹脂である。しかしながら、ポリオレフィン樹
脂に、木粉などのセルロース粉末を充填する場合、組成
物中の木粉等のセルロース系粉末の量が増えるのに従っ
て物性低下が大きく、また成形においても成形性が急激
に低下することが知られていた。本発明者は、セルロー
ス系粉末を特定のワックスで処理し、特定のポリエチレ
ンとを組み合わせたことにより、これらの不具合な現象
を効果的に防ぐことができる方法を創出し、特許出願番
号H09−147913に開示した。しかしながら、か
かる方法から得られた組成物であっても、住宅における
幅木や回り縁、手摺などの長尺成形品の押出成形に用い
た時の成形性は、塩化ビニル樹脂を用いたそれと比べて
溶融粘度が低く、均一流動性にも不満足な点があり、特
に異型断面形状を有する長尺成形品の押出成形などにお
いては、成形性に乏しいという問題があった。
【0003】その原因に複合材料を形成している樹脂材
料があげられ、塩化ビニル樹脂のような溶融時の自己凝
集力の強い樹脂では、押出成形において賦形ダイの内面
(金属表面)と溶融樹脂の界面が滑べることによって全
体が押出されるので、良好な外観の成形品が得られ易
い。それに対して、自己凝集力の弱いポリエチレンは、
溶融樹脂がそれらの金属表面に粘着するので中央部の溶
融体が選択的に押出され、均一流動性の不足による偏っ
た流れの発生(著しい場合はメルトフラクチャーとな
る)や成形品の表面肌荒れなどの不具合を生じ易く、ま
た賦形ダイから出た溶融樹脂は自重により垂れ下がり
(ドローダウン)を起こし易いということが判った。溶
融樹脂が金属表面に粘着するのを防ぐためには、外部滑
性効果の高い物質を添加することで改良が可能である
が、不均一流動性やドローダウンなどの不具合現象は添
加剤では、本質的には改良困難であることが判った。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、少なく
ともポリエチレンとセルロース系粉末およびワックスの
3成分からなる複合材料において、本質的には樹脂の特
性に由来するドローダウンや不均一流動性、あるいは成
形体の表面肌荒れを改良し、押出成形にさらに好適な複
合材料を提供しようとするものである。
【0005】また住宅用の脛巾、廻り縁などの木工製品
に要求される耐衝撃強度や耐熱性、線膨張係数などの物
性を満たす該複合材料、およびその成形体の製造方法を
提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともポ
リエチレンとセルロース系粉末およびワックスの3成分
からなる複合材料において、本質的には原料として用い
ているポリエチレンを更に押出成形に適した特性を持っ
たものに変えることによって、樹脂の特性に由来するド
ローダウンや不均一流動性、あるいは成形品の表面肌荒
れを改良した複合材料とし、またその組成の特定や組合
せによって、該複合材料を用いた成形品の耐衝撃強度や
耐熱性、線膨張係数などの物性と押出成形性の両方をを
満たすべく種々検討した結果、本発明に至った。この課
題を具体的に解決するに至った本発明の複合材料の各成
分の必要特性と構成、その作用、またその製造方法、該
複合材料をを原料とした成形品の製造方法等について具
体的に記述する。
【0007】すなわち、本発明は下記に示す、ポリエチ
レン(A)とセルロース系粉末(B)およびワックス
(C)の3成分からなる混合物であって、その重量比が
(A)/(B)/(C)=25〜89/10〜70/
0.5〜17.5の範囲(合計が100重量部)からな
る複合材料であって、該複合材料のメルトインデックス
(21.6kg荷重値)が、1.5〜30g/10分の
範疇、ストランド流動長差が10cm以下であることを
特徴とする複合材料である。上記に記載のポリエチレン
(A)は、メルトインデックス(21.6kg荷重値)
が1〜30g/10分の範囲、密度が0.945g/c
3 以上、ドローダウン比が0.8以上、ストランド流
動長差が15cm以下、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィーによって求められるMwとMnの比(Mw/
Mn)が10〜50の範囲の特性を有するエチレン単独
重合体またはα−オレフィンとの共重合体である高密度
ポリエチレンである。上記に記載のセルロース系粉末
(B)は、木材系粉末、粉砕紙、粉砕クルミ殻、粉末パ
ルプから選ばれる少なくとも1種の粉末の平均粒度が3
00ミクロン以下のセルロース系粉末である。上記に記
載のワックス(C)は、天然ワックス、合成ワックス、
高級脂肪酸と1ないし3価の脂肪族アルコールとのエス
テル、低分子量ポリエチレンワックス類、カルボン酸と
高級アルコールとのエステルから選ばれる少なくとも1
種のワックスであって、その融点が40〜120℃の範
疇にあるワックスである。
【0008】また、上記記載の複合材料を押出成形機を
用いて溶融し、押出して所望の形状に賦形し、固化させ
て成形品を得ることを特徴とする成形体の製造方法であ
る。上記に規定した特性の測定方法は、メルトインデッ
クス値はASTM D1238法による190℃、2
1.6Kg荷重下に測定した値である。密度値はAST
MD1505法によりに測定した値である。Mw/Mn
値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによっ
て求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)の比である。装置はWaters社製、商品名
150ーC型を用い、東ソー(株)製の商品名AT−8
07/Sカラム1本を使用し、1、2、4ートリクロル
ベンゼンを溶媒として140℃で測定した。次に、ドロ
ーダウン比およびストランド流動長差の定義とその測定
方法について、以下に記述する。測定に用いる装置はス
クリュウ径32mmの2軸押出機であり、L/D=2
4、圧縮比=2.0〜2.5のシリンダータイプの混練
押出機でストランドダイ穴は軸中心とその両サイド14
mm位置に4.0mmφの穴が計3ヶ斜め下または下向
きに配置されており、測定対象となる樹脂はホッパー部
より、定量フィーダーを用いて供給する。ここで重要な
ことは、圧縮比、樹脂温度、ダイ穴径と位置、吐出量の
関係であり、其の他は付随的なものである。このような
機械としては、例えばフリージアマクロス(株)の中谷
AS30型2軸押出機があげられる。加熱設定温度を1
70〜180℃に設定し、スクリュー回転数50〜60
rpmとし、ダイより吐出される樹脂量を7.5±0.
5kg/hr、樹脂温度を178±3℃となるように条
件を制御する。このような条件下でダイより出てくるス
トランドを常温下に自然に流下させる。ドローダウン比
測定用のサンプル採取は、ストランドをダイ部ですばや
くカットし、ストランド長さが30〜40cmになった
ところで再度ダイ部でカットして、それを室温で放冷す
る。得られたストランドの先端部より1cm部付近の径
が最も大きいと観察される部分の平均径を測定し、次い
で先端部より20cm長さ部の平均径をそれぞれ測定す
る。得られた数値より、ドローダウン比=(20cm部
平均径÷先端部平均径)として定義する。また、本発明
に引用するダイスエル値は、上記の先端部平均径÷ダイ
穴径(4.0mm)で表す。次に、ストランド流動長差
の測定方法はダイよりストランドが自然流下している状
態で、ストランドをダイ部ですばやくカットする。その
時より流下するストランドの3本の内の1本でも長さが
1mに達した時に、そのものと残りの2本の内のストラ
ンドの長さが短いものとの長さの差を測定する。この方
法によって、ストランド流動長差(単位:cm)=最長
ストランド長さ(100cm)−最短ストランド長さ
(単位:cm)として定義する。次に、DSCの融点の
主ピークの値とは、JISK7121法で10℃/mi
nの速度で昇温したときに測定した値の主ピークの温度
である。
【0009】本発明に用いるセルロース系粉末(B)
は、粉末の平均粒度が300ミクロン以下の木材系粉
末、粉砕紙、粉砕クルミ殻、粉末パルプなどから選ばれ
る少なくとも1種のセルロース系粉末である。粉末の粒
径分布において好ましくは20メッシュを全通するもの
である。最終製品物性から平均粒度が180ミクロン以
下、更に好ましくは100ミクロン以下のものである。
粉末の平均粒度とは、JIS K6069の篩試験方法
における累積分布の50%粒径である。また、より好ま
しい原料は栂、楓、松、樫、桧あるいは古紙などの木材
系の粉末である。複合材料中のセルロース系粉末の割合
は、10〜70重量%、より好ましくは15〜60重量
%である。本発明において、このものの粒度が前記範囲
内にあると複合材料組成物中での分散性が良好で機械的
物性も良好なものを得ることができる。また、このもの
の量が少ないと目的とする木質感や線膨張係数が不足
し、多すぎると耐衝撃性が低下し押出成形も困難になっ
てくる。
【0010】本発明でいうワックスとは、天然ワック
ス、合成ワックス、高級脂肪酸と1ないし3価の脂肪属
アルコールとのエステル、低分子量ポリエチレンワック
ス類、カルボン酸と高級アルコールとのエステルから選
ばれる少なくとも1種のワックスであって、その単体ま
たは混合物の融点が40〜120℃の範疇にあるもので
ある。本発明でいう常温とは15℃のことである。その
融点の測定方法はワックスの種類により測定方法が異な
る場合があるがそれぞれのJIS規格の方法、あるいは
それに準じた方法で測定した値である。ワックスの融点
がこの温度範囲であれば、容易にその融点以上に加熱が
可能であり、低粘度の液体としてセルロース系粉末の表
面を濡らすとともに、その気孔や空隙に染み込ませるこ
とができる。
【0011】具体的な天然ワックスとしては、動・植物
ワックス、鉱物ワックス、石油ワックスであり、石油ワ
ックスとしては具体的には、パラフィンワックス、マイ
クロクリスタリンワックスがある。また、これらのワッ
クスの水素添加物、酸化物もあげられる。合成ワックス
としては具体的には、フィッシャートロプシュワックス
や平均分子量が1000〜6000で140℃での溶融
粘度が180〜10000センチポイズのポリエチレン
ワックスやその酸化ワックスなどである。
【0012】高級脂肪酸と1ないし3価の脂肪属アルコ
ールとのエステルとしては、具体的には、炭素数14か
ら22の脂肪酸と炭素数14から22の一価脂肪属アル
コールとのエステル類、例えばステアリン酸ステアリ
ル、ベヘニン酸ベヘニルなどがあげられる。炭素数14
から22の脂肪酸と二価あるいは三価の脂肪属アルコー
ルとのエステルとしては、具体的には、エチレングリコ
ールジステアレート、エチレングリコールモノベヘネー
ト、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステア
レート、グリセリンジベヘネートなどがあげられる。上
記の高級脂肪酸エステルにはヒドロキシカルボン酸エス
テル、例えば12ヒドロキシステアリン酸エステルなど
を包含する。また、カルボン酸と高級アルコールとのエ
ステルとしては、例えばメタクリル酸やクロトン酸ある
いはそのオリゴマーと炭素数14から22の高級脂肪属
アルコールとのエステルであるジメタクリル酸ベヘニ
ル、ジクロトン酸ジステアリル、ジイソクロトン酸ジス
テアリル、あるいは酒石酸ジステアリル、クエン酸ジス
テアリルなどのオキシカルボン酸と高級脂肪属アルコー
ルとのエステル類、あるいはフタル酸ジステアリルなど
の芳香属ジカルボン酸と高級脂肪属アルコールとのエス
テル類があげられる。さらに好ましくは、これらのワッ
クスの内では常温において水に難溶であるほど、また吸
湿し難いほど好適である。また、特に好ましくは、これ
らのワックスの範疇において酸価または中和価(JI
S,K3341に準拠して測定された値)が5〜80程
度のものは、木粉等セルロース系粉末との親和性もより
高く、外部滑性効果も強いことから物性、成形性ともに
優れたものが得られる。特に、外部滑性の効果が高いエ
ステルワックスは、他のワックスよりも金属と溶融樹脂
の界面を滑り易くする効果が大きいので、少なくともこ
のワックスを用いることは特に好適である。
【0013】次に、セルロース系粉末(B)に対するワ
ックス(C)の比率は、より少ない量で最適な処理効果
を得るものであり、セルロース系粉末(B)の表面積や
水分や低沸点揮発分の抜けた実質的な空隙率や外部滑性
効果によって調整するものであるが、好ましくは5重量
%から25重量%迄の範疇である。更に好ましくは、5
重量%から15重量%の範疇である。これより少ないワ
ックス量では処理効果が低く、過剰なワックスの配合は
最終組成物の成形加工時の溶融粘度の低下や成形品の物
性低下をもたらす。
【0014】セルロース系粉末(B)に対するワックス
(C)の含浸処理は、溶融したワックスで木粉等のセル
ロース系粉末の表面を濡らし、また気孔・空隙に含浸さ
せる処理である。少なくとも木粉等のセルロース系粉末
の表面を濡らしポリエチレンとの親和性を与えることは
必要で有り、また気孔などの低沸点揮発分の抜けた実質
的な空隙にワックスを含浸させることによって成形時の
不良化を防ぐのを目的とする。そのためにはワックスを
その融点以上の温度にし、液体化(低粘度化)して処理
する。セルロース系粉末は通常の環境下では5重量%か
ら10重量%程度の水分を吸湿している。従って、予め
乾燥処理をしたセルロース系粉末に含浸処理を施す場合
は含浸温度は、ワックスの融点以上であれば目的を達成
できる。つまり、乾燥状態のセルロース系粉末であれ
ば、ワックスの含浸処理温度は、必要以上に温度を上げ
なくても目的を達成できる。一方、吸湿したセルロース
系粉末に直接ワックスを含浸させるには、水分を気化蒸
散させることが必要になる。この時、低融点のワックス
を用いる場合は、ワックスが溶ける程度の温度では水分
を気化蒸散させるには効率が悪い。従ってもっと高い温
度で処理することが好ましい。その方法のひとつとし
て、高速の攪拌混合が可能なヘシェルミキサーやスーパ
ーミキサー等を用いれば、攪拌混合時の摩擦発熱が利用
でき、また減圧・排気することでより効率化できる。殆
どの場合、常温でセルロース系粉末(B)とワックス
(C)と一緒にミキサーの槽内に入れて高速回転で混合
すれば、水分はこの様な攪拌・混合下では90℃程度ま
で、高くても140℃迄温度が上がってくれば、気化蒸
散し、その部分の空隙にワックスは含浸する。その際、
用いるワックスの融点が40℃より低いものを木粉等の
セルロース系粉末に溶融含浸させた場合、常温に戻して
も処理物は湿ったような状態となり、その後の混練や成
形加工において、広く使用されているスクリュウタイプ
の成形機では、そのホッパーでブリッヂを起こすことが
多い。また、そうでなくとも成形加工された成形品の表
面にブリードしてくるといった好ましくない現象をきた
す。一方、融点が120℃より高ものや溶融粘度が高い
ものは溶融・含浸が困難となる。これらのことから、よ
り好ましくはその融点が50〜110℃の範疇にあるも
のである。更に、この熱処理効率を上げるには、ジャケ
ットに熱水や蒸気を流すことや槽内の換気、減圧脱気は
効果的である。
【0015】本発明に用いるポリエチレン(A)の特性
や配合量は、押出成形時の溶融粘度、ドローダウンや均
一流動性、成形品の外観や、剛性、耐衝撃性、耐熱性な
どの成形性や成形品物性に最も大きな影響をおよぼす。
そのことから 上記のポリエチレン(A)は、メルトイ
ンデックス(21.6kg荷重値)が1〜30g/10
分の範囲、密度が0.945以上、ドローダウン比が
0.8以上、ストランド流動長差が15cm以下、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィーによって求められ
るMwとMnの比(Mw/Mn)が10〜50の範囲の
特性を有する、エチレン単独重合体またはαーオレフィ
ンとの共重合体である高密度ポリエチレンを単独または
主成分とするポリエチレンを用いる。
【0016】本発明に用いるポリエチレンの、さらに好
ましい範囲としては、メルトインデックス(190℃、
21.6kg荷重値)は2〜20g/10分のもの、密
度が0.950g/cm3 以上、ドローダウン比が0.
85以上、ストランド流動長差が10cm以下、Mwと
Mnの比(Mw/Mn)が15〜50、DSCの融点の
主ピークの値が130℃以上の特性を有するαーオレフ
ィン含量が5モル%以下の範囲にあるエチレン単独重合
体または共重合体である高密度ポリエチレンを単独また
は主成分とするポリエチレンである。共重合α−オレフ
ィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテンー
1、4ーメチルペンテンー1、ヘキセンー1、あるいは
オクテンー1である。
【0017】複合材料中の成分としては、これらの特性
を持ったポリエチレンが50重量%以上、好ましくは6
0%重量以上を占めるようにすれば、残りの樹脂成分が
上記の特性から外れたポリエチレンであってもそれを混
ぜたことによる悪影響は少ない。例えば、溶融時の粘弾
性改良やスエル特性改良、耐衝撃性改良、流動性改良等
に密度が0.945以下の中〜低密度ポリエチレンやメ
タロセン触媒で製造した超低密度ポリエチレンを併用し
て改良を測ることも可能である。
【0018】以下に、このポリエチレン(A)の特性の
特定理由についてについて、更に詳述する。既述の方法
でセルロース系粉末(B)をワックス(C)で熱処理し
たものとポリエチレン(A)とを所定量配合し溶融・混
練してペレット化、または直接に押出成形加工する場合
において、残っている揮発性物質が成形加工時の熱でガ
ス化してくるので強制脱気を行う。それでも残っている
揮発性物質が押出成形時にガス化しようとする。このと
きに、その回りに溶融粘度や溶融張力の高い高分子量の
樹脂を配しておくことによってこれを出来るだけ阻止し
ようとするものである。また、ポリエチレンの溶融時の
自己凝集力の低さを、高溶融粘度の樹脂とワックスの外
部滑性作用で補い、押出成形性を改良するものである。
【0019】そのためには、なるべくメルトインデック
スの小さい、言い換えれば溶融粘度の高い樹脂を用い
る。また、溶融粘度が高いと複合材料としたときの溶融
張力も大きくなり、押出成形時のドローダウン性も改善
されるので都合が良い。同様の理由で、樹脂の密度や融
点は高い方が、溶融樹脂がダイより押出された後の冷却
において表層の固化速度が速いことを利用する。この特
性値は押出成形に要求される特性と一致するので都合が
よい。この他に、ダイスエルの小さいポリエチレンは中
空体や薄肉部のあるリブ構造体に適し、ダイスエルの大
きいポリエチレンは中実体や発泡体に適する。一般にセ
ルロース系粉末(B)の配合量が少なく高剛性を望む場
合は、エチレン単独重合体が好ましい。一方、ポリエチ
レンに対するセルロース系粉末(B)の配合量が増える
に連れて、その成形品の耐衝撃強度は、より大きく低下
する。この低下を防ぐには原料ポリエチレンとしては、
耐衝撃性のより高いαーオレフィン共重合ポリエチレン
を用いるのが都合が良い。また、より高い耐衝撃性が必
要な場合には、少量で効果の高い超低密度ポリエチレン
やエチレン・プロピレンゴムの配合が好ましい。
【0020】本発明の目的である、特に押出成形用とし
て適した原料ポリエチレンとしてのメルトインデックス
(21.6kg荷重値)の値は、1〜30g/10分の
範疇、更に好ましくは2〜20g/10分のものが好適
である。これよりメルトインデックスの値が小さいもの
を用いようとすると、成形加工温度が木粉などのセルロ
ース系粉末の分解を防ぐ上で上限が200℃程度に制約
されるので、機械的な負荷の増大や樹脂圧力の高騰ある
いはせん断発熱によるセルロース系粉末の熱分解などの
問題が生じる。場合に依っては、そのような高粘度樹脂
との混練ではセルロース系粉末が分散不良になるおそれ
もある。一方、メルトインデックスの値の大きすぎるも
のは、既述の欠陥の発生や押出成形の際に溶融樹脂がド
ローダウンを起こし賦形が困難になる。次に、押出成形
においてはメルトインデックス以外にも分子量分布も重
要な指標である。これをあらわす指標としてMw/Mn
の値があげられる。本発明ではゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーによって求められるMwとMnの比
(Mw/Mn)が10〜50の範疇のものが好ましい。
この値が小さいものは分子量分布が狭く、組成物を押出
成形するときにメルトフラクチャーと呼ばれる非定常な
流動現象を起こし易くなる。このメルトフラクチャーを
起こさないとしても、均一流動性が不足すると偏った流
動を起こし、成形困難となる場合がある。またこの値が
大きすぎるものは、同じメルトインデックスのものであ
っても溶融粘度が低く、そのためにドローダウンしやす
く、また押出成形時にダイスエルが小さくなり、サイジ
ングダイまでの間で引き落としをするための余裕が無く
なる。本発明ではメルトインデックス値はASTM D
1238法による190℃、21.6Kg荷重下に測定
した値で示しているが、その理由は通常の2.16kg
荷重値では実測値が小さく測定誤差も大きくなり、樹脂
に掛かる荷重(背圧)が小さすぎて実際の押出成形時に
問題となるメルトフラクチャーとの対応が推測出来ない
ことによる。同様に分子量分布を規定する理由は、ドロ
ーダウンやダイスエルとの対応がメルトインデックス値
だけではとれないからである。依って、本発明ではこれ
を解決できる新たな指標として、ドローダウン比とスト
ランド流動長差なる指標を用いる。そのことで押出成形
性との関係をより明瞭とすることを可能とした。
【0021】すなわち、通常はベースとなっている樹脂
のメルトインデックスや密度や分子量分布といった指標
だけでは表せない押出し特性を、本発明では、ベース樹
脂であるポリエチレン選定に、そのものをストランドと
して押出したときに観察できるドローダウンの数値化お
よび均一流動性を数値化すること、あるいはスエル比を
併用することでそのものを用いた複合材料の押出成形性
の推定をも可能とした。
【0022】次に、これらの3成分材料の配合比率は、
(A)/(B)/(C)=25〜89/10〜70/
0.5〜17.5(合計100重量%)の範疇にある。
更に好ましくは、(A)/(B)/(C)=30〜84
/15〜60/0.8〜10(合計100重量%)の範
疇にある。特に好ましくは、(A)/(B)/(C)=
42〜84/15〜50/1〜8(合計100重量%)
の範疇である。この他に、本発明に用いるセルロース系
粉末(B)とワックス(C)とを予めワックス(C)の
融点以上の温度で攪拌混合し、ワックスをセルロース系
粉末に溶融含浸させた後、エチレン系樹脂(A)と均質
に溶融混練し、乾燥したペレット状にしたものは取扱い
が容易となるとともに押出成形時の成形機の混練能力が
あまり無い成形機での適用も可能となる。さらに、配合
物を均質な溶融混合するための原料ポリエチレンの形態
は、平均粒度が2mm以下のミニペレットや重合粉末ま
たは機械粉砕品であることが好ましい。
【0023】これらの複合材料を押出成形に供した場合
の、メルトフラクチャーやドローダウンあるいは製品物
性などに対する影響はベース樹脂によるものが大きい
が、配合されているセルロース系粉末やワックスの種類
や量の影響も無視できない。従って、本発明の目的とす
る押出成形に適合する複合材料としてのより好ましい特
性は、ASTM D1238法による190℃、21.
6Kg荷重下に測定したメルトインデックス値が、1.
5〜30g/10分のもの、更に好ましくは2〜20g
/10分の範疇となるように樹脂とワックスおよびセル
ロース系粉末の選択・組合せ・濃度などを調整すること
である。複合材料のメルトインデックス値が低すぎると
押出成形においてメルトフラクチャーを起こしたり、成
形機に負荷が掛かり押出しが困難になったり、また成形
体の金型に対する転写性が低下する。一方メルトインデ
ックス値が高すぎるとドローダウンの原因ともなり、賦
形が困難になる。また、複合材料のストランド流動長差
を10cm以下になるように調整しておくことである。
この流動長差を10cm以下にしておくことによって偏
よった流れを起こしにくくなり、押出成形の中でも部分
的な厚みが異なるもの複雑な形状の異型成形品の成形性
にも適合出来るようになる。
【0024】本発明の組成物を原料として押出成形をす
ることでシート、板材、管材、棒材、異型材などの各種
形状の木質感を有する成形品が得られる。特に、好適に
は押出成形機を用いて可塑化混練し、ダイより押出して
所望の断面形状を与え、冷却し固化させて長尺の成形体
品を得ることを目的とする。一般に、連続した長尺もの
を成形する押出成形機は、一般的にはホッパーから供給
された樹脂材料をシリンダー内に連続的に送りながら加
熱・溶融し、溶融した樹脂を賦形用型(ダイ)を通して
押出す。ダイを出た樹脂は更に引き落としをしながらサ
イジングダイ(最終的に寸法決めを行うためのダイ)に
導いて冷却固化させながら最終外形と寸法を合わせ、ベ
ルト式やキャタピラー式の引取り機によって引取られ、
適宜裁断される。この他、押出成形機から出た溶融樹脂
を圧縮成形したり、ロールで引取りながら更に二次賦形
や模様付けしたりする成形にも適用できる。このときの
引き落とし率を決めるためには賦形用金型の設計と樹脂
のドローダウン防止、ダイスエルのコントロールが重要
となる。溶融した樹脂には弾性があるため、ダイから出
た溶融樹脂は圧力から解放されて膨らむ現象(ダイスエ
ル)がある。これを所定の形状のサイジングダイに引き
込むためには、ダイスエルのコントロールも重要であ
る。本発明の組成物のダイスエルは、使用するポリエチ
レンとその配合量にも依存する。樹脂のダイスエルを設
定するには、既にポリエチレンの特性の特定理由の項で
述べたように、樹脂の分子量や分子量分布の影響がある
が、この他にも分子構造に依存するところも大きい。分
子構造は重合触媒や重合条件などの選択でコントロール
される。よつて、賦形ダイや成形品の断面形状によっ
て、組成物のベースとなるポリエチレンは適宜選択・組
合せて用いることも有用な方法のひとつである。すなわ
ち、単一ポリエチレンではこれらの要求特性の全てを満
たせなくとも相互の併用や、それ以外のポリエチレンを
併用することによって満たすことが可能な場合もある。
例えば、チグラー系のTi触媒を用いて重合した高密度
ポリエチレンのスエル値は比較的小さく、またフィリッ
プス系のCr触媒を用いて重合した高密度ポリエチレン
では、比較的スエルの大きいものが得られる。両者の併
用や、分岐構造を持った低密度ポリエチレンの併用や耐
衝撃性改良効果に優れた超低密度ポリエチレンの併用な
ども利用出来る。
【0025】木粉などに代表されるセルロース系材料は
水分をはじめとして、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂
の溶融・成形加工温度下では多くの蒸発・揮発してガス
化する揮発性物質を含んでいる。これらのセルロース系
粉末に含まれる揮発性物質は、複合材料としたときにお
いても、その成形性を著しく損なうひとつの原因であ
る。この揮発性物質を予め取り除くことが問題解決のひ
とつのポイントとなる。本発明では、親和性改良剤であ
るワックスを木粉などのセルロース系粉末表面に付着・
含浸させる工程で水分の脱気・乾燥を同時に行い、次い
で減圧下にポリエチレン樹脂との溶融混練工程で残った
揮発分の脱気を行い、通常はペレット状の押出成形に適
した複合材料とする。これらの工程は単独に行っても良
いが、一連の工程で行っても良い。例えば、バンバリー
ミキサーや多段ベント付き押出機などを用いて、脱気・
乾燥・複合化を連続的に一連の処理として行うことがで
きる。あるいは、タンデム型の2段押出機を用いて押出
成形・製品化まで一貫した成形も可能である。
【0026】連続したシート、板材、管材、棒材、異型
材などの各種形状例えば、住宅における幅木や回り縁、
床材料、手摺、台所や浴室廻りの部材、窓枠、棚板、扉
の面材、造作材、家具用材料などの木工製品に代わる成
形品を成形する方法としては、本発明の複合材料を押出
成形機を用いて可塑化混練し、賦形ダイから押出して所
望の形状を与え、冷却・固化させて成形する方法によ
る。このときの成形設備は押出成形機、ダイ、冷却引取
りの三つが構成の基本で、後加工が必要な場合にはその
装置が加わる。押出成形機は溶融・可塑化混練をスクリ
ュウーで行うもので単軸や二軸の押出機が適用できる。
押出機の仕様はスクリュー直径(D)およびスクリュー
の長さ(L)とその直径との比(L/D)で表される。
Dは20〜100mm、L/Dは20〜40が好適に使
用できる。本発明の複合材料の押出成形時の溶融・可塑
化温度は、150〜200℃の範囲内で行われる。ダイ
は一般には賦形ダイとサイジングダイからなる。賦形ダ
イは通常は押出機に直結させて取り付けられる。本発明
の複合材料の押出成形時の賦形ダイの温度は、140〜
190℃の範囲内で行われる。次いで、賦形ダイで概要
の形状が賦形された溶融体をサイジングダイに導く。サ
イジングダイで成形品の最終形状と寸法を決める。サイ
ジングダイの構造は、一般的な真空サイジング方式が本
発明でも好適に用いられる。冷却は成形品の断面形状、
肉厚、押出速度により水浸漬方式、水噴霧方式、冷風空
冷式などの方法が適用でき、サイジングしながら冷却〜
固化させる。この時の押し出し量は冷却・固化速度に応
じて調整される。冷却・固化した成形品は、およそ1〜
3m/min範囲の速度で引取り機により引取られ、用
途・要求に応じた長さに適宜裁断される。シートや平板
状成形品の場合のサイジングダイはロールとなる場合も
有る。
【0027】その他、本発明の組成物には、この発明の
目的を阻害しない範囲で他の樹脂成分、例えば、ポリプ
ロピレンやゴム、その他添加剤、酸化防止剤、光安定
剤、顔料・着色剤など、あるいは発泡剤などは、その外
観や性能を向上させるために適宜配合される。また、炭
酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラス繊維などの無機
フィラーを加えた複合材料とすることは、セルロース系
粉末配合量の比較的少ない領域のドローダウン改良、線
膨張率低減、製品剛性向上などにも有効である。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、いくつかの実施例および参
考例をあげて本発明を説明する。なお、本発明に規定し
たポリエチレンや複合材料の特性は、ASTM,D12
38法による190℃、21.6Kg荷重下に測定した
メルトインデックス値はHMI(単位:g/10分)と
して、ASTM,D1505で測定した密度(単位:g
/cm3 )、ストランドのスエル値はSwellとし
て、ドローダウン比はDDIとして、ストランド流動長
差はΔL(単位:cm)として記載する。線膨張係数
は、成形品を1m長さに裁断し、そのものを−10℃〜
50℃の範囲で温度を変えられる装置に入れて、1℃/
minの速度で昇温し連続的に長さを0.1mm精度で
測定した。得られたデータの0℃〜40℃間の長さの変
化と温度差(40℃)から線膨張係数を求めた。
【0029】
【実施例1〜3】
【比較例1〜4】ポリエチレンとして、チグラー系のT
i触媒または/およびフィリップス系のCr触媒を用い
てスラリー法で重合して得た高密度ポリエチレン6種
(A1〜A7)を準備した。これらのポリエチレン単体
の本発明に関する特性値(密度、HMI、DDI、Δ
L、Mw/Mn、融点)、及びストランドのスエル値や
外観などの観察事項を合わせて[表1]に記載した。
【0030】次に、80メッシュパスの木粉(栂材)を
準備した。このものの粒度分布は100メッシュオン:
3%、150メッシュオン:25%、200メッシュオ
ン:44%、270メッシュオン:60%、325メッ
シュオン:74%、325メッシュパス:26%であり
平均粒度は70ミクロンである。またこの木粉の、10
0℃×60分の揮発減量は10%である。ワックスとし
ては、工業的に生産されている市販のものを3種類準備
した。それぞれに使用したワックスを以下に記述する。
なお、酸価はJIS K3341、軟化点はJIS K
2531に準拠して測定された値である。nーパラフィ
ンワックス(融点が69℃)、分子量が約1500のポ
リエチレンワックス(軟化点が105℃)、クエン酸ジ
ステアレート(融点が56℃、酸価が70)。
【0031】先ず、重量で木粉110部(乾燥重量換算
では100部)、nーパラフィンワックスを4.5部、
ポリエチレンワックスを4.5部、クエン酸ジステアレ
ートを3.0部計量して、スチームで加熱したヘンシェ
ルミキサーに入れ、排気下に高速攪拌混合して系内の温
度が125℃まで上がったところで排出した。排出後
は、室温で放冷した。このものをここでは、処理栂粉と
称することにする。
【0032】上記の高密度ポリエチレン66重量部、処
理栂粉34重量部と、熱安定剤としてイルガノックス1
076を1000ppmを加えて、タンブラーブレンダ
ーで混合した。この混合材料を、先端のストランドダイ
穴が軸中心とその両サイド14mm位置に4.0mmφ
の穴が計3ヶ斜め下向きに配置された、スクリュウ径3
2mm、L/D=24、圧縮比=2.3の中谷AS30
型二軸押出混練機(ベント付)のホッパーに投入し、加
熱ゾーンを170から180℃、ダイ温度を175℃に
設定、ベント部は減圧(650mmHg前後)、スクリ
ュウ回転数を50〜60rpm、の範囲、吐出樹脂量を
7.5±0.5kg/hr、樹脂温度を178±3℃と
なるように条件を制御しながらストランドを押出した。
この時のストランドのスエル値(Swell)、ストラ
ンド流動長差の測定値(ΔL)、ストランドの状態およ
び得られたストランドのASTM D1238法による
190℃、21.6Kg荷重下に測定したメルトインデ
ックス値(HMI)を合わせて[表2]に記載した。比
較例1、比較例2の組成物の複合材料は安定したストラ
ンドが得られず、ペレットに加工できなかった。参考例
3の組成はストランドに真空・脱気しても空隙が残って
おり、それによる発泡に由来する表面肌荒れがみられ
た。なお、上記の観察・採取が済んだ後、継続して出て
くるストランドは水槽を通して冷却し、それをペレタイ
ザーに導いて次のテスト用のペレットにした。また、実
施例1〜3についてのドローダウンは小さく問題なかっ
た。
【0033】
【実施例4〜6】
【比較例5〜6】実施例1、実施例2、実施例3、およ
び比較例3、比較例4によって得られたペレットを、建
築材料の中空リブ構造の幅木金型ダイを取り付けた一軸
押出成形機(ベント無し、L/D=24、圧縮比=3、
フルフライトスクリュー)のホッパーに投入し、加熱ゾ
ーンを155から170℃、ダイ温度160℃に設定
し、スクリュウ回転数を12〜15rpmで押出し、次
いで真空水冷サイジングダイに導いて成形を実施した。
【0034】つぎに、金型を7mm厚×75mm幅の板
状成形品が得られるダイとザイジングダイに取り替え
て、加熱ゾーンを165から180℃、ダイ温度180
℃に設定し、スクリュウ回転数を16〜20rpmで成
形した。いずれの場合も、ダイから出てきた賦形物の状
態の観察結果はを[表3]に記載した。[表2]の複合
材料のストランドの特性と[表3]の複合材料の押出し
成形性とを対比すると、程度こそ軽いものの前記のスト
ランドの状態を観察したときと押出成形したときの傾向
は同じであり、ペレット製造時にストランドがメルトフ
ラクチャーを起こした比較例2の材料は押出成形に供し
たときに偏流れを起こし、ドローダウンが大きく賦形が
困難であった比較例4の材料は、HMI=30であり溶
融粘度が低い材料であった。また実施例4〜6について
のドローダウンは小さく問題なかった。
【0035】すなわち、複合材料の押出成形性が良いか
否かを予め判断する方法として、ひとつは、組成物をス
トランドとして押出してペレットに加工するときのスト
ランドの状態の良否や特性値を観測すること、もうひと
つは用いたポリエチレンの特性で押出成形性を予め推定
できることを示した。このことをより判り易くまとめ、
[表4]として示した。これらの結果例からも明らかな
ように、押出成形性に支障の無い複合材料を得るために
は、少なくとも原料として用いるポリエチレンの特性
が、本発明に規定したメルトインデックス(21.6k
g荷重値)が1〜30g/10分の範囲、ドローダウン
比が0.8以上、ストランド流動長差が15cm以下、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求め
られるMwとMnの比(Mw/Mn)が10〜50の範
囲内にあることが必須である。
【0036】また、成形しょうとする成形品の構造・形
状によっては複合材料のスエル値が、比較的スエルの大
きい材料が適する場合と比較的小さい材料が適する場合
があり、その成形品構造・形状によって使い分けること
で、より良い成形品が得られることを示している。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【実施例7〜9】
【比較例7〜8】木粉含量の多い複合材料とした時の耐
衝撃性とスエル改良効果を目的として、高密度ポリエチ
レンと低密度ポリエチレンの併用例について記載する。
各材料の組成は、ポリエチレンが異なる以外は同一配合
である。本発明の特性を満たす高密度ポリエチレンとし
て、密度=0.959g/cm 3 、HMI=4.0g/
10分、Mw/Mn=27のもの(A8として記載)
と、ブレンドによって耐衝撃性とスエル改良に効果効果
があるメタロセン系触媒で重合したところの密度=0.
902g/cm3 、HMI=38g/10分、Mw/M
n=2.7のポリエチレン(A9として記載)を準備し
た。このそれぞれの単体ペレットおよび両者の溶融混合
ペレットについて、実施例1と同じ方法でベースポリエ
チレンとしての特性を測定した。その結果を[表5]に
示した。
【0042】これらのポリエチレンを用いて実施例1に
記載した処理栂粉とを、ポリエチレン/処理栂粉=66
/34重量部とし、これに熱安定剤としてイルガノック
ス1076を1000ppmを加えたものを、実施例1
に記載した二軸押出混練機を用いて、同条件で押出し
た。参考例8の組成ではストランドのメルトフラクチャ
ーが著しく、ペレット化出来なかったが、その他の組成
物はペレットが得られた。得られたペレットを、建築材
料の中空リブ構造の幅木金型ダイを取り付けた一軸押出
成形機(ベント無し、L/D=24、圧縮比=3、フル
フライトスクリュー)のホッパーに投入し、加熱ゾーン
を155から170℃、ダイ温度160℃に設定し、ス
クリュウ回転数を12〜15rpmで押出し、次いで真
空水冷サイジングダイに導いて成形を実施した。このと
きの成形性の観察結果を合わせて[表5]に示した。比
較例7の成形性の不良はドローダウンによる判定であ
る。なお実施例7〜9についてはドローダウンは小さく
問題なかった。このことから、本発明の特性を満たすポ
リエチレンが主成分であるならば、その範疇から外れた
ポリエチレンを併用しても、成形性にはそれほど支障無
く用いることができることを示している。
【0043】
【実施例10〜11】セルロース系粉末として、楓材粉
を用いた。このものの粒度分布は100メッシュオン:
0重量%、150メッシュオン:6重量%、200メッ
シュオン:29重量%、270メッシュオン:48重量
%、325メッシュオン:62重量%、325メッシュ
パス:38重量%であり平均粒度は50ミクロンであ
る。またこの木粉の、100℃×60分の揮発減量は7
重量%であった。
【0044】この木粉の107重量部(乾燥重量換算で
は約100重量部)に対してnーパラフィンワックスで
融点が69℃のものとクエン酸ジステアレートで融点が
56℃のものと重量平均分子量MWが約1500の酸化
ポリエチレンワックスで軟化点が105℃、酸価が18
のものを3対2対3の比率で合計10重量部を計量し
て、スチームで加熱したヘンシェルミキサーに入れ、高
速攪拌混合して系内の温度が135℃まで上がったとこ
ろ(投入・混合開始から約25分後)で排出した。排出
後は、室温で放冷した。このものをここでは、処理楓粉
と称することにする。
【0045】つぎに、無機のフィラーとして微粉末のタ
ルクを用意した。このものの嵩比重は、0.19g/c
c、平均粒径は、2ミクロンである。次に、[実施例
1]に用いたA5の高密度ポリエチレンのパウダー(5
00ミクロン篩全通のパウダー)と、、[比較例9]で
用いたメタロセン系ポリエチレンA9のペレットを準備
した。この両者のポリエチレンを[実施例10]のベー
スポリエチレンはA5単独、[実施例11]のベースポ
リエチレンはA5/A9=2/1(重量割合)の組み合
わせたものを準備した。これらのポリエチレンには、熱
安定剤としてイルガノックス1076を1000ppm
を加えた。次に、処理楓粉/A5パウダー/タルク=3
8.5/56.5/5.0(重量割合)としたものを
[実施例10]の処方とし、処理楓粉/混合PE/タル
ク=44/51/5(重量割合)としたものを[実施例
11]の処方とした。
【0046】この混合材料を、二軸押出混練機(ベント
付)のホッパーに投入し、加熱ゾーンを160から18
0℃に設定、スクリュウ回転数を50から60rpmの
範囲、吐出樹脂温度178℃前後に制御しながら混練
し、出てきたストランドを水槽を通して冷却し、それを
ペレタイザーに導いてペレットにした。このときのスト
ランドの状態は双方とも良好であった。その時のHMI
とスエルおよびストランド流動長差のデータを[表6]
に示した。
【0047】これによって得られたそれぞれの複合材料
ペレットを、[実施例4]で用いた一軸押出成形機の先
端部に厚4mm×42mm幅の板状の廻り縁成形品が得
られるダイを取り付けた。押出成形機の加熱ゾーンを1
60から170℃、ダイ温度160℃に設定し、スクリ
ュウ回転数を10〜12rpmで押出し、出てきた溶融
樹脂を真空・水冷ザイジングダイに導いて引取りながら
成形した。このときの成形の状態は連続した運転におい
ても双方とも良好であった。得られた成形品から各種物
性測定用のサンプルを切り出した。物性測定方法は曲げ
試験はASTMD790、ノッチ付きアイゾット衝撃は
ASTMD256、熱変形温度(低荷重値)はJIS
K7191−1による。得られたデータは[表6]に記
載した。線膨張係数は−10℃〜50℃までの温度範囲
で測定した。[表5]、[表6]に示した各種の数値や
特性値からも明らかなように、木粉量を増やした組成で
あっても複合材料中の成分としては、これらの特性を持
ったポリエチレンが、好ましくは60重量%以上(具体
例示は66重量%)を占めるようにすれば、残りの樹脂
成分が上記の特性から外れたポリエチレン(例示では、
メタロセン触媒で製造した超低密度ポリエチレン)であ
ってもそれを混ぜたことによる悪影響は少なく、スエル
や耐衝撃性改良を図ることが可能であることを示した。
なお実施例10〜11はドローダウンは小さく問題なか
った。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【発明の効果】上記のように本発明により、少なくとも
ポリエチレンとセルロース系粉末およびワックスの3成
分からなる複合材料において、本質的には樹脂の特性に
由来するドローダウンや不均一流動性や成形品の表面肌
荒れを改良するために、原料として用いているポリエチ
レンを更に押出成形に適した特性を持ったものに変える
ことで、より押出成形に適した複合材料を提供すること
が可能となる。また該複合材料を原料とした、住宅用の
脛巾、廻り縁などの木工製品に要求される耐衝撃強度や
耐熱性、線膨張係数などの物性、およびその押出成形性
を同時に満たす成形品の製造方法を提供することが可能
となる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示す、ポリエチレン(A)とセル
    ロース系粉末(B)およびワックス(C)の3成分から
    なる混合物であって、その重量比が(A)/(B)/
    (C)=25〜89/10〜70/0.5〜17.5の
    範囲(3成分合計が100重量部)からなる複合材料で
    あって、該複合材料のメルトインデックス(21.6k
    g荷重値)が、1.5〜30g/10分の範疇、ストラ
    ンド流動長差が10cm以下であることを特徴とする複
    合材料。ポリエチレン(A); メルトインデックス(21.6k
    g荷重値)が1〜30g/10分の範囲、密度が0.9
    45g/cm3 以上、ドローダウン比が0.8以上、ス
    トランド流動長差が15cm以下、ゲルパーミエーショ
    ンクロマトグラフィーによって求められるMwとMnの
    比(Mw/Mn)が10〜50の範囲の特性を有するエ
    チレン単独重合体またはα−オレフィンとの共重合体で
    ある高密度ポリエチレン。 セルロース系粉末(B); 木材系粉末、粉砕紙、粉砕ク
    ルミ殻、粉末パルプから選ばれる少なくとも1種の粉末
    の平均粒度が300ミクロン以下のセルロース系粉末。 ワックス(C); 天然ワックス、合成ワックス、高級脂
    肪酸と1ないし3価の脂肪族アルコールとのエステル、
    低分子量ポリエチレンワックス類、カルボン酸と高級ア
    ルコールとのエステルから選ばれる少なくとも1種のワ
    ックスであって、その融点が40〜120℃の範疇にあ
    ワックス。
  2. 【請求項2】 特許請求項1に記載の複合材料を押出成
    形機を用いて溶融し、押出して所望の形状に賦形し、固
    化させて成形品を得ることを特徴とする成形体の製造方
    法。
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