JP2007197600A - 熱可塑性樹脂組成物、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的強度、寸法安定性、成型時の生産性に優れた木粉を含む熱可塑性樹脂組成物、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と木粉に、さらにワックスとタルクが加えられた混合物を溶融押出しする熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、熱可塑性樹脂と木粉とが(90:10)〜(30:70)(重量比)でなり、ワックスが木粉100重量部に対して3〜10重量部、かつ熱可塑性樹脂と木粉との合計100重量部に対して4重量部以内となる量であり、木粉が予めワックスと100〜220℃で水分を蒸発させつつ混合されてワックス被覆木粉とされ、タルクが平均粒径0.05〜2μmである成分と平均粒径15〜40μmである成分が(3:97)〜(15:85)(重量比)で混合され、かつそれらの合計量が熱可塑性樹脂と木粉の合計100重量部に対して20〜40重量部となる量である。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性樹脂と木粉に、さらにワックスとタルクが加えられた混合物を溶融押出しする熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、熱可塑性樹脂と木粉とが(90:10)〜(30:70)(重量比)でなり、ワックスが木粉100重量部に対して3〜10重量部、かつ熱可塑性樹脂と木粉との合計100重量部に対して4重量部以内となる量であり、木粉が予めワックスと100〜220℃で水分を蒸発させつつ混合されてワックス被覆木粉とされ、タルクが平均粒径0.05〜2μmである成分と平均粒径15〜40μmである成分が(3:97)〜(15:85)(重量比)で混合され、かつそれらの合計量が熱可塑性樹脂と木粉の合計100重量部に対して20〜40重量部となる量である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、およびその製造方法、より詳細には木粉の混入された熱可塑性樹脂組成物の製造方法、およびその方法により製造される熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
現代では建築材料、家具、各種成形品に天然の材木に代わって合成樹脂が広く使用されており、木質感の付与、製材くずなど木材資源の有効利用、安価な木粉を使用することによるコスト低減、さらに切削や釘打ちの容易さを追及して、熱可塑性樹脂に木粉を混合した樹脂組成物が提案されている。例えば、合成樹脂に木粉、炭酸カルシウムまたはタルクを混入させ、木粉(または、炭酸カルシウムまたはタルク)に含まれる水分と発泡剤により合成樹脂を発泡させて合成樹脂体を形成し、この合成樹脂体を中間層として両面に木板をサンドイッチ構造に貼着した積層合成板〔特許文献1参照〕、架橋発泡ポリプロピレン樹脂とセルロース系粉粒体に、官能基含有ポリプロピレンおよびスチレン系樹脂などの樹脂を配合した木質樹脂組成物〔特許文献2参照〕、熱可塑性樹脂、木質系充填剤、平均粒径2〜10μmのタルクと平均粒径0.3〜2μmのタルクからなりセルカ構造を有する木質樹脂発泡成形体〔特許文献3参照〕、熱可塑性樹脂、木粉、アスペクト比が10以上のマイカ、アルミナ、タルクなどの鱗片状の無機フィラーからなる木粉樹脂組成物〔特許文献4参照〕などである。また、木材を充填材とした合成樹脂成性形体において、木材の吸水による寸法安定性を改善するために充填材をワックスで被覆してから配合する方法が提案されている〔特許文献5参照〕。
しかし、木粉を含む樹脂組成物では、樹脂と木材の双方の性能を併せて持たせるという利点があるものの、機械的強度、寸法安定性、成型時の生産性において充分満足できるものではなかった。そこで、本発明の目的は、上記問題点を解決して、機械的強度、寸法安定性、成型時の生産性に優れた木粉を含む熱可塑性樹脂組成物、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、木粉を含む熱可塑性樹脂組成物においては、木粉と熱可塑性樹脂との界面接着性を改善することにより上記問題点が改善できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂と木粉に、さらにワックスとタルクが加えられた混合物を溶融押出しする熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、熱可塑性樹脂と木粉とが(90:10)〜(30:70)(重量比)でなり、ワックスが木粉100重量部に対して3〜10重量部で、かつ熱可塑性樹脂と木粉との合計100重量部に対して4重量部以内となる量であり、木粉が予めワックスと100〜220℃で水分を蒸発させつつ混合されてワックス被覆木粉とされており、タルクが平均粒径0.05〜2μmである成分と平均粒径15〜40μmである成分が(3:97)〜(15:85)(重量比)で混合され、かつそれらの合計量が熱可塑性樹脂と木粉との合計100重量部に対して20〜40重量部となる量である。
ここで、熱可塑性樹脂は、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンから選ばれる1種以上のポリオレフィン樹脂であり、ワックスは、好ましくはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックスから選ばれる1種以上の石油系ワックスである。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂組成物の製造方法により製造されるものである。
本発明の木粉を含む熱可塑性樹脂組成物は、機械的強度、寸法安定性、成型時の生産性が優れ、かつ木質に近い質感の樹脂となる。木材資源の有効利用となる上、木製品と比べて微生物による劣化がなく、シロアリ、カビに侵されることないなど特色のある加工品が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の基本組成は、熱可塑性樹脂、木粉、ワックスおよびタルクであり、この木粉は、予め全てまたは一部のワックスと加熱下に水分を蒸発させつつ混合されてワックス被覆木粉とされている。
熱可塑性樹脂は、その種類によってそれぞれ固有の性状が発揮されるので、本発明において特に限定されるものではないが、代表的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6、ナイロン66、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートなどであり、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンのポリオレフィン樹脂である。またこれらのいずれかを構成成分として含む共重合体であってもよい。熱可塑性樹脂は、二種以上の熱可塑性樹脂の混合物であってもよい。二種以上の熱可塑性樹脂を混合あるいは共重合する場合は、それぞれの組み合わせによる特色の発現、相溶性の程度などにより決められるべきものである。
木粉は、天然の木材を粉体にしたものであり、木の種類は本発明で限定するものではない。原料となる木材は、生木を切り倒した直後の新しい木であってもよいが、好ましくは水分の少なくなった古木材であり、実用的には建築廃材、使用しなくなった家具、製材所や家具工場で出る背板、端材、ソウダスト、間伐材、梱包用木枠や箱、その他使用されずに捨てられている木材などが任意に選ばれる。これらは、粉砕され、さらに粉状に微粉砕され、所定の粒度範囲に分級されて使用に供される。その粒度は細かい程よいが、実用的には最大粒径が1000μm以下で、平均粒径が好ましくは50〜500μm、より好ましくは100〜300μmである。
本発明における熱可塑性樹脂と木粉は、(90:10)〜(30:70)(重量比)、好ましくは(70:30)〜(50:50)(重量比)、さらに好ましくは60:40(重量比)に配合される。この配合割合は、本発明の目的が達せられる範囲として求められたものであり、この範囲より熱可塑性樹脂が多い構成であっても、それなりの性能を有する樹脂組成物として利用価値のあるものであるのはいうまでもないが、木粉を混合することによる本発明の目的達成の観点からは充分でない。また、逆にこの範囲より熱可塑性樹脂が少ない構成は、木粉が多くなることになり、木粉を固めるに不充分であり、成型品としたとき機械的強度など充分な性能が望めない。
ワックスは、常温で固体ないし半固体であり、40〜150℃で溶融する性状のもので、石油系ワックス、動物ワックス、植物ワックスなどの天然ワックスと、合成ワックスがある。さらに詳細に分類すれば、石油系ワックスにはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックスなどがあり、動物ワックスには蜜蝋、鯨蝋などなどがあり、植物ワックスにはカルナバ蝋、木蝋、米糠蝋(ライスワックス)などがある。その他、これらのワックスを変性させた変性ワックスもある。本発明は、これらのいずれのワックスも使用でき、また任意の2種以上を混合してもよく、好ましくは価格的に安く入手できるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックスなどの石油系ワックスである。ワックスは、一種類単独でもよく、二種以上を混合してもよい。
木粉は、ワックスと高温で水分を蒸発させつつ混合してワックス被覆木粉とされてから、熱可塑性樹脂、タルク、あるいはさらに一部のワックスが混合、熱可塑性樹脂が溶融されて熱可塑性樹脂組成物とされる。すなわち、本発明は、予め木粉とワックスを高温で水分を蒸発させながら混合してワックス被覆木粉とすることに大きな特徴がある
木粉に被覆されるワックスは、木粉の表面を被覆するに充分な量であればよいが、通常木粉100重量部に対して3〜10重量部、好ましくは5〜7重量部であり、かつ熱可塑性樹脂と木粉との合計100重量部に対して4重量部以内、好ましくは2〜4重量部となる量である。
ワックス被覆木粉の調製温度は、木粉中の水分を蒸発させるに充分な温度であればよいが、好ましくは100〜220℃、より好ましくは150〜200℃である。この温度での処理は、大気圧下で行われるが、減圧にして行えば水分の除去の点からより好ましい。処理時間は、温度、さらに減圧にするかどうかにより一律に決められないが、通常10〜60分である。
木粉はセルロースであるので親水性であり、一方熱可塑性樹脂は疎水性である。木粉が熱可塑性樹脂と混合され溶融状態にされたとき互いの界面で密に接することができず、木粉が互いにいくつか集合して熱可塑性樹脂中に充分よく分散されない。また、木粉中には、通常状態で5〜20重量%の水分を含んでいるので、その状態で熱可塑性樹脂と混合されたとき水分が熱可塑性樹脂中に内包されることになる。従って、本発明では、木粉と熱可塑性樹脂が混合される前に、予め木粉と溶融されたワックスを高温下で充分よく混合し、水分を蒸発除去して、さらにワックスが木粉表面の微細部分にまで浸透された状態にしておく。木粉表面がワックスで包み込まれた親油性にされることで、熱可塑性樹脂の溶融状態で混合されたとき、熱可塑性樹脂中によく分散され、また木粉中の水分の弊害も排除される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合されるワックスは、全量予め木粉と加熱混合されるのが好ましいが、ワックスの一部だけ木粉との被覆に使用され、残りはタルクとともに熱可塑性樹脂組成物の調製段階で加えられてもよい。すなわち、木粉に被覆されるワックスは木粉の表面を被覆するに充分な量であればよく、熱可塑性樹脂組成物の調製段階で最終的にワックス量が上記範囲になるように一部加えられてもよい。ワックスの量は、木粉の表面を被覆するに充分な量であるとともに、熱可塑性樹脂組成物中にあって成型時の金型金属面との滑りをよくするという観点で決められる。すなわち、ワックスが上記範囲より少ないときには、熱可塑性樹脂組成物の成型時に金型金属面との滑り不充分により成型品表面にフローマークが出たり、あるいはフローマークの出現を抑えるために成型速度を遅くしなければならないなどの障害が生じることがある。また、上記範囲より多くなると、成型時にガス発生が多くなり操作上の問題を生じたり、また成型品の性状にも問題を生じることがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらにタルクが混合される。ここで、タルクは、平均粒径が0.05〜2μmである小粒径成分と、平均粒径が15〜40μmである大粒径成分が、(3:97)〜(15:85)(重量比)、好ましくは(5:95)〜(10:90)(重量比)で混合される。タルクは、熱可塑性樹脂組成物において強度、特に曲げ弾性を高める上で有効であり、本発明の小粒径成分と大粒径成分を混合することで、機械的強度に優れた成型品の製造が可能となる。特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物では、比較的粒径が大きく、かつ粒子表面が滑らかでない木粉が配合されて熱可塑性樹脂に囲まれて存在する形態となっている。タルクの特に小粒径成分は、熱可塑性樹脂中の木粉の周囲に入り込み、熱可塑性樹脂組成物の強度向上に寄与する。
タルクは、製品中に0.1〜0.3重量%程度の水分を含んでいることがあり、好ましくは熱可塑性樹脂組成物に配合される前に加熱して脱水するのがよい。
タルクの配合量は、熱可塑性樹脂と木粉の合計量100重量部に対して、20〜40重量部、好ましくは23〜30重量部である。この範囲は、本発明の目的に合う範囲として求められたものであり、この範囲の外では特に機械的強度において好ましくない結果を与えることがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに炭酸カルシウム、二酸化珪素などの充填材、滑剤、顔料などの色素、紫外線吸収剤、ラジカル禁止剤、熱安定化剤などが配合されることがあるが、本発明は本発明の目的とする効果が損なわれない範囲においてこれらの添加を制限するものではない。
熱可塑性樹脂組成物の製造は、上記熱可塑性樹脂、ワックス被覆木粉、タルク、必要により追加のワックス、さらにその他各種添加剤を所定の割合で混合され、ミキサー型混合機、例えばスーパーミキサー、ヘンシェルミキサーなどで熱可塑性樹脂が溶融される条件で混練される。混練条件は、本発明は特に限定するものではないが、熱可塑性樹脂が溶融する温度で、滞留時間1〜30分である。混合機を用いず、直接単軸スクリュー押出機、ニ軸スクリュー押出機、ローラー、ニーダーなどの混練機能のある押出し機を用い直接目的の形状の成形物としてもよい。
〔熱可塑性樹脂組成物への配合成分〕
(A)熱可塑性樹脂
・ポリプロピレン:日本ポリプロ(株)「ノバテックPP・FY6」(製品名)〔メルトフロー値=3.0g/10分(230℃、21.2N)〕を使用した。
・ポリエチレン:日本エチレン(株)「ノバテックHD・FY30」(製品名)〔メルトフロー値=1.1g/10分(230℃、21.2N)〕を使用した。
(A)熱可塑性樹脂
・ポリプロピレン:日本ポリプロ(株)「ノバテックPP・FY6」(製品名)〔メルトフロー値=3.0g/10分(230℃、21.2N)〕を使用した。
・ポリエチレン:日本エチレン(株)「ノバテックHD・FY30」(製品名)〔メルトフロー値=1.1g/10分(230℃、21.2N)〕を使用した。
(B)木粉
・木粉;カネキ燃料(有)製、平均粒度:200μmを使用した。
(C)ワックス
・ワックス;日本精蝋(株)製、「155」(製品名)、融点69℃(156°F)を使用した。
・木粉;カネキ燃料(有)製、平均粒度:200μmを使用した。
(C)ワックス
・ワックス;日本精蝋(株)製、「155」(製品名)、融点69℃(156°F)を使用した。
(D)タルク
・大粒径タルク:
平均粒径23μm;富士タルク(株)製、「3240」(製品名)を用いた。
平均粒径45μm;日本タルク(株)製の試作品を用いた。
平均粒径9μm;日本タルク(株)製、「MSP」(製品名)を用いた。
・小粒径タルク
平均粒径1μm;日本タルク(株)製、「SG2000」(製品名)を用いた。
・大粒径タルク:
平均粒径23μm;富士タルク(株)製、「3240」(製品名)を用いた。
平均粒径45μm;日本タルク(株)製の試作品を用いた。
平均粒径9μm;日本タルク(株)製、「MSP」(製品名)を用いた。
・小粒径タルク
平均粒径1μm;日本タルク(株)製、「SG2000」(製品名)を用いた。
(E)その他
・炭酸カルシウム;近江鉱業(株)製、「LP−300」(製品名)、平均粒径6,6μmを用いた。
・熱安定化剤;三洋化成工業(株)製、「ユーメックス1010」(製品名)を用いた。
・滑剤;日本油脂(株)製、ステアリン酸カルシウムを用いた。
・炭酸カルシウム;近江鉱業(株)製、「LP−300」(製品名)、平均粒径6,6μmを用いた。
・熱安定化剤;三洋化成工業(株)製、「ユーメックス1010」(製品名)を用いた。
・滑剤;日本油脂(株)製、ステアリン酸カルシウムを用いた。
〔熱可塑性樹脂組成物の製造〕
750Lスーパーミキサー〔(株)カワタ製〕を使用して、先ず、木粉とワックスを混合し、窒素ガス雰囲気下、180℃にて水分を蒸発させながら20分間攪拌して木粉表面をワックスで覆ったワックス被覆木粉とした。次いで、この中に熱可塑性樹脂、タルク、さらに熱安定化剤、滑剤をそれぞれ加えて、窒素ガス雰囲気下、180℃にて20分溶融撹拌した。溶融混練物をクーラーミキサーに入れて冷却固化させ、固化物を粉砕機で10mm以下に粉砕して熱可塑性樹脂組成物とした。また、比較として室温にて木粉に溶融ワックスを噴霧してワックス被覆木粉として用い、熱可塑性樹脂組成物とした。
製造した熱可塑性樹脂組成物の配合を表1、表2に示した。
750Lスーパーミキサー〔(株)カワタ製〕を使用して、先ず、木粉とワックスを混合し、窒素ガス雰囲気下、180℃にて水分を蒸発させながら20分間攪拌して木粉表面をワックスで覆ったワックス被覆木粉とした。次いで、この中に熱可塑性樹脂、タルク、さらに熱安定化剤、滑剤をそれぞれ加えて、窒素ガス雰囲気下、180℃にて20分溶融撹拌した。溶融混練物をクーラーミキサーに入れて冷却固化させ、固化物を粉砕機で10mm以下に粉砕して熱可塑性樹脂組成物とした。また、比較として室温にて木粉に溶融ワックスを噴霧してワックス被覆木粉として用い、熱可塑性樹脂組成物とした。
製造した熱可塑性樹脂組成物の配合を表1、表2に示した。
上記粉砕した熱可塑性樹脂組成物を、二軸スクリュー押出し機〔シンシナティミラクロン社製、「T−58」(型番)〕に投入し、窒素雰囲気下、170〜200℃で混練しつつ溶融押出してスノコ状試験片(図1参照)とした。
〔熱可塑性樹脂組成物の評価〕
・成形性:上記押出し成形を、走行速度(m/Hr)を変えて行い、成形品の寸法精度を評価した。評価は、図2に示した試験片の厚さ、および断面における中空部の形態で下記の基準に依って行った。
◎:規格内に充分入る。
○:ほぼ規格に入る。
△:規格を外れる場合がある
×:規格を外れる
××:規格を大きく外れる
尚、ここで規格は、押出し成形の後に続く表面切削仕上げ工程でのロスを少なくし、厚みが充分保てるようにする観点から、図2に示したように、「試験片のリブの厚さが5.0±0.25mm、板の厚さ35±0.25mm」と定めた。結果を表3に示した。
・成形性:上記押出し成形を、走行速度(m/Hr)を変えて行い、成形品の寸法精度を評価した。評価は、図2に示した試験片の厚さ、および断面における中空部の形態で下記の基準に依って行った。
◎:規格内に充分入る。
○:ほぼ規格に入る。
△:規格を外れる場合がある
×:規格を外れる
××:規格を大きく外れる
尚、ここで規格は、押出し成形の後に続く表面切削仕上げ工程でのロスを少なくし、厚みが充分保てるようにする観点から、図2に示したように、「試験片のリブの厚さが5.0±0.25mm、板の厚さ35±0.25mm」と定めた。結果を表3に示した。
・機械物性:上記走行速度20m/Hrで成形した成形品(ただし、比較例における組成物17は、走行速度10m/Hrで成形した成形品)を試験片として用いた。試験片は、23℃、RH65%の恒温室内に一昼夜置いた後、5KN万能試験機「(株)インテスコ製、「2050」(型名)」を用い、支点間距離600mmで試験片中央の上から10mm/分で荷重をかける2等分3点曲げ試験法により曲げ弾性率を求めた。
・水分による形体安定性:成型したスノコ状試験片を、室温の水に浸漬した。1週間後に、この試験片の形状を観察して、図3のように試験片の押出し方向に対して横方向の反りを、外縁部と比べて中心部の凹みの長さを測定した。規格では、横幅330mmに対して中心部の凹みが1mm以下である。
以上の結果から、本発明による熱可塑性樹脂組成物は、押出し成形において走行速度を上げても変形がなく成形することができ、成形品の強度(曲げ弾性率)も高く、水分による形体安定性も優れていることが認められた。
本発明の熱可塑性樹脂組成物製造方法による熱可塑性樹脂組成物は、木粉を含んでいるが、機械的強度、寸法安定性、成型時の生産性に優れており、木質感があり、木材資源の有効利用ができ、かつ安価な材料となって産業上寄与すること大である。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂と木粉に、さらにワックスとタルクが加えられた混合物を溶融押出しする熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、
(1)前記熱可塑性樹脂と前記木粉とが、(90:10)〜(30:70)(重量比)でなり、
(2)前記ワックスが、前記木粉100重量部に対して3〜10重量部で、かつ前記熱可塑性樹脂と前記木粉との合計100重量部に対して4重量部以内となる量であり、
(3)前記木粉が、予め前記ワックスと100〜220℃で水分を蒸発させつつ混合されてワックス被覆木粉とされ、
(4)前記タルクが、平均粒径0.05〜2μmである小粒径成分と平均粒径15〜40μmである大粒径成分が(3:97)〜(15:85)(重量比)で混合され、かつそれらの合計量が前記熱可塑性樹脂と前記木粉との合計100重量部に対して20〜40重量部となる量である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンから選ばれる1種以上のポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記ワックスが、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックスから選ばれる1種以上の石油系ワックスであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1ないし3いずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法により製造されることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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