JPH10330552A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JPH10330552A
JPH10330552A JP14791397A JP14791397A JPH10330552A JP H10330552 A JPH10330552 A JP H10330552A JP 14791397 A JP14791397 A JP 14791397A JP 14791397 A JP14791397 A JP 14791397A JP H10330552 A JPH10330552 A JP H10330552A
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JP
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wax
ethylene
powder
resin
melting point
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JP14791397A
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English (en)
Inventor
Toraichi Katsube
寅市 勝部
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロース系粉末とエチレン系樹脂との相
溶性を向上させ、機械的特性、成形性に優れる該樹脂組
成物を提供すること。 【解決手段】 特定のエチレン系樹脂(A)とセルロー
ス系粉末(B)と特定のワックス(C)からなる組成物
であって、その重量比率が(A)/(B)/(C)=3
0〜89/10〜60/1〜15の範囲にあって、その
合計が100重量部である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の組成物は、木粉など
のセルロース系粉末を充填したポリエチレン系樹脂に関
するものであり、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、
押出成形などの成形方法により各種形状の成形品を成形
し利用する。例えば、押出成形加工などにより住宅にお
ける幅木や回り縁、床材料、手摺、台所や浴室廻りの部
材、家具用材料あるいは自動車用内装材のボード心材な
どに木材に代わる好適な材料として用いられる。同様の
用途において既に木粉充填塩化ビニル樹脂が有るが、こ
のものを用いた場合には廃棄処理時の焼却処理やあるい
は火災時の発生ガスによる問題等が有るが、本発明の材
料ではその心配が無い。
【0002】
【従来の技術】従来、木粉などの植物系セルロース粉末
を充填した熱可塑性の材料としては、木粉充填塩化ビニ
ル樹脂が前述の用途などに適合した材料として、工業的
に生産されている。しかし、最近では燃焼時の公害問題
などから脱塩化ビニル化の要請がありこれに代わる材料
が望まれている。また、それらの製品の接着加工や塗装
においては人体に無害な接着剤や塗料が使用できる材料
が望まれている。そのような状況の中で塩化ビニル樹脂
に代わりうる材料のとして、無害で加工性やコストなど
から最も注目されているのがポリエチレンやポリプロピ
レン樹脂などのポリオレフィン樹脂である。しかしなが
ら、非極性のポリオレフィン樹脂に極性の高い木粉等を
配合しそれぞれの特徴や新たな機能を発現させることは
技術的に難しい。その理由として、木粉等の植物体には
水分以外に多糖類やリグニン、タンニンをはじめ熱的、
化学的に分解や変質し易い成分も多く含まれることにあ
る。また、これらを取り除いてもセルロースとポリエチ
レンは親和性が無いため何らかの処理が必用とされる。
【0003】これらのことを改良するべく数多くの提
案、発明がなされてきた。例えば、親和性の改良の一つ
の方法は化学的な方法であるが、この方法は新たにコス
ト的な問題が生じる。もうひとつは物理的な親和性の改
良方法で、この方法はそれほどのコスト的な問題を生じ
ないが、改良効果が前者に比べて弱いといわれている。
本発明は、後者に属する物理的な親和性の改良方法で改
良したものである。
【0004】従来の技術において、ポリエチレン樹脂に
木粉等を充填した本発明に最も近い技術としては次のも
のがある。特開昭54−72247に予め木粉を160
℃から260℃で加熱処理して、これに熱可塑性樹脂の
加工助剤を添加して溶融含浸させることが記載されてい
る。この発明のひとつのポイントは、木粉に含まれる水
分以外の揮発分を3%以上除去するためには、上記の温
度で数時間から数分の熱処理を行うことが必須条件であ
ると記されている。しかし、この温度と時間をかけて処
理を行うと木粉成分が変質し、変色が大きいという問題
がある。熱可塑性樹脂では低密度及び高密度ポリエチレ
ンも例示されている。また、樹脂の加工助剤としては融
点が40℃から250℃の有機物が上げられている。有
機加工助剤の範疇のものにおいてもポリエチレン樹脂と
の組合せではブリード現象や物性の低下度合いが大きい
などの好ましくないものも有る。また、ポリエチレン樹
脂であっても、更に成形性と製品物性を改良するには特
定のポリエチレンを用いることが重要である。特開平7
−266313には、熱可塑性樹脂とセルロース粉末を
混合攪拌摩擦熱でゲル化させた後に冷却粉砕して整粒す
ることが開示されているが、本発明ではそのような熱可
塑性樹脂が溶融して全体がゲル化することにより整粒が
必要となるようなゲル化処理を行わない。次に、特開昭
63−112639ではポリオレフィン樹脂に鉱油また
は合成油とワックス、無機フィラー、木粉を含む有機フ
ィラーを配合した組成物が開示されている。本発明では
このようなブリードし易い鉱油や合成油は必須成分では
ない。次に、特開昭55−127451にポリオレフィ
ン粉末と木粉、炭酸カルシュウムまたはタルクからなる
組成物が開示されている。ポリオレフィン粉末を用いる
ことはホッパーブリッジを改良し、分散性を改良する好
ましい方法である。また、特開昭58−217552に
はポリプロピレンに木粉と滑剤を配合した組成物が開示
されている。この滑剤としては、高級アルコールと酸の
エステル、グリセリンと脂肪酸のエステルがあげられて
いる。その役割は、木粉とポリプロピレンの濡れを改良
し、物性の向上と押出性を向上することにある。この特
開昭55−127451、特開昭58−217552の
樹脂成分はいずれもポリプロピレンを用いるものであ
る。本発明では低温特性の良いポリエチレンを用い、し
かも特定のポリエチレンを樹脂成分とする。次に、特公
昭58−56534にはポリオレフィン樹脂にロジン又
はロジン誘導体又は石油樹脂、可塑剤および植物繊維粉
末からなる組成物が開示されている。ポリオレフィン樹
脂はポリプロピレンを主体とすると記載されており、可
塑剤の具体例でも本発明とは異なるものである。次に、
特開昭58−198566には熱可塑性樹脂と無機フィ
ラーや木粉などの充填材を5〜30/70〜95%の配
合で加熱下の高速ミキサーで混合し、次いで冷却ミキサ
ーにて冷却したものを一軸押出機を用いてペレット化す
る製造方法であり、得られたペレットに含まれているフ
ィラー粒子が吸湿するのを防ぐために、少ない熱可塑性
樹脂量でフィラーを実質的に表面に露呈しないよう完全
被覆したことを特徴としている。本発明とは配合組成も
異なるが、本発明の組成物のフィラー成分である木粉等
は、樹脂で実質的には完全被覆されたものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、木粉などの
セルロース系粉末と組み合わせる樹脂成分において、塩
化ビニル樹脂を用いた場合の廃棄処理時の焼却処理やあ
るいは火災時の発生ガスによる問題等が無く、またポリ
プロピレン樹脂を用いた場合に低温衝撃が低いという問
題を解決する。また、ポリエチレン樹脂とは本質的に混
ざりにくい木粉を低コストの物理的な親和性の改良方法
で混ざり易くし、特定のポリエチレンを用いることで木
粉の量を多く配合したものでも脆さや耐衝撃強度の低下
の少ない組成物を提供する。また成形品を成形する手段
としては、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、押出成
形などがあるが、本発明の組成物はこれらに適合する。
なかでも長尺ものを成形することにおいて有用性の高い
押出成形法に適した材料を提供することを最重点課題と
する。更に、成形品の接着や塗装の必要性が発生した場
合、それを阻害するようなブリード性の高い添加剤を使
用せず、また人体に有害な有機溶剤やホルマリンを含ま
ない接着剤や塗料が使用可能な成形品が得られる。コス
ト的にも、木粉等のセルロース系粉末の処理も物理的な
手法を用いることで低価格の材料を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
具体的に解決する。以下に本発明を構成する各種成分の
必要特性とその作用、またその製造方法等について具体
的に記述する。
【0007】すなわち、本発明は (1)下記に示す、少なくとも2種のエチレン系樹脂
(A)とセルロース系粉末(B)およびワックス(C)
の3成分からなる混合物であって、その重量比が(A)
/(B)/(C)=30〜89/10〜60/1〜15
の範囲にあって、その合計が100重量部であることを
特徴とする組成物である。
【0008】上記のエチレン系樹脂(A)とは、密度が
0.945以上でメルトインデックスが0.01〜10
g/10分の範囲、DSCの融点の主ピークの値が12
5℃以上である高密度ポリエチレン(A1)と、密度が
0.86〜0.910g/cm3、メルトインデックス
が0.01〜10g/10min、Mw/Mnが3.0
以下、DSCの融点の主ピークの値が50〜105℃の
範囲であり、かつ、メタロセン触媒を重合触媒としたエ
チレン−α−オレフィン共重合体(A2)の少なくとも
2種類のエチレン樹脂の組合せからなり、その重量比が
(A1)/(A2)=95〜30/5〜70の範囲で、
その組み合わせたもののメルトインデックスが0.01
〜10g/10分の範囲であるエチレン系樹脂。
【0009】本発明で規定したメルトインデックス値は
ASTM D1238法による190℃、2.16Kg
荷重による。密度値はASTM D1505法による。
Mw/Mn値は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)の比である。DSCの融点の主ピークの値は、
JIS K7121法で10℃/minの速度で昇温し
たときの主ピークの温度である。
【0010】本発明に用いる高密度ポリエチレン(A
1)は、成形品の剛性や耐熱温度に寄与する。そのこと
から密度が0.945以上が必要である。また、メルト
インデックスは0.01〜10g/10minのもの、
DSCの融点の主ピークの値が125℃以上を用いる。
更に好ましくは、密度が0.945以上で融点の主ピー
クの値が130℃以上のものである。ポリエチレンのメ
ルトインデックスは分子量の指標であり、その溶融粘度
の指標ともなる。木粉などに含まれる揮発性物質は、加
熱によりガス化する。このことがその後の成形性を著し
く損なう原因であり、この揮発性物質を予め取り除くこ
とが問題解決のひとつのポイントとなる。しかし、その
揮発性物質の全てを除去することは多くの費用を必要と
し、経済的ではない。本発明では、主として最も取り除
き易い水分の大部分を予め取り除く。すなはち、後述の
ワックスを木粉などのセルロース系粉末に含浸させる工
程でそれを同時に行う。次に重要な技術のポイントがポ
リエチレンのメルトインデックス値で示される特性であ
り、残っている揮発性物質が成形加工時の熱でガス化し
ようとするときに、その回りに溶融粘度の高い樹脂を配
しておくことによってこれを出来るだけ阻止しようとす
るものである。そのためになるべくメルトインデックス
の小さい、言い換えれば溶融粘度の高い樹脂を用いる。
更に、混練の途中で発生するガスを逃がすために、成形
加工機はベント付のものが好ましい。
【0011】エチレン−α−オレフィン共重合体(A
2)は、高密度ポリエチレンに比べて剛性や耐熱温度は
低いが、セルロース系粉末(B)を多量に包含させても
耐衝撃強度の低下は少なく、曲げ加工性を付与すること
も出来る。中でも、そのような特性を効果的に付与する
ポリエチレンとしては、密度が0.86〜0.910g
/cm3、メルトインデックスが0.01〜10g/1
0min、Mw/Mnが3.0以下、DSCの融点の主
ピークの値が50〜105℃の範囲であり、かつ、メタ
ロセン触媒を重合触媒としたエチレン−α−オレフィン
共重合体(A2)がある。更に好ましくは、密度が0.
87〜0.910g/cm3、メルトインデックスが
0.01〜5g/10min、Mw/Mnが3.0以
下、DSCの融点の主ピークの値が55〜105℃の範
囲の、メタロセン触媒を重合触媒としてαオレフィンが
4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、あるいはオク
テン−1で、その共重合量は9〜30%のエチレンとα
オレフィンを共重合したものである。
【0012】前述の高密度ポリエチレンとメタロセン触
媒を重合触媒としたエチレン−α−オレフィン共重合体
の2種類のエチレン樹脂の組合せは特に有効である。例
えば、高密度ポリエチレン(A1)とエチレン−α−オ
レフィン共重合体(A2)を組み合わせて混練すると、
高密度ポリエチレン(A1)単独の時よりも低温または
低負荷で混練できる。この事は、熱分解し易い木粉など
のセルロース系粉末を配合するには重要なことである。
また、剛性や耐衝撃強度の選択範囲が広がり、セルロー
ス系粉末を配合したときの混練時や成形時の加工温度を
低く出来ることでその熱分解や変色を少なく出来る。ま
た、成形体を加熱して曲げ加工するときの加熱温度を低
くできる。
【0013】本発明では、このような組合せによって発
現する性能を利用する。この組合せ系ではその重量比が
(A1)/(A2)=95〜30/5〜70、の範囲で
全てに優れたものが得られる。なお、この比率は最終製
品の要求特性にもよるが一般にセルロース系粉末(B)
の配合量が少なく高剛性を望む場合は、(A1)の比率
が多い方が適合する。セルロース系粉末(B)の配合量
が多く耐衝撃性や柔軟性を望む場合は、(A2)の比率
が多い方が適合する。また、特に押出成形用として適し
た原料ポリエチレンのメルトインデックスの値は、0.
01〜5g/10分の範囲のものが好適である。
【0014】次に、本発明のセルロース系粉末(B)
は、好ましくは粉末の平均粒度が300ミクロン以下の
木材系粉末、粉砕紙、粉砕クルミ殻、粉末パルプなどか
ら選ばれる少なくとも1種の植物セルロース系粉末であ
る。粉末の粒径分布において好ましくは20メッシュを
全通するものである。その上で、最終製品物性から平均
粒度が300ミクロン以下、更に好ましくは180ミク
ロン以下のものである。この好ましい効果をもたらす粉
末粒径は公知の値である。また、より好ましい原料は木
粉であり、木粉ではテルペン油などを抽出した松の粉末
残査などである。
【0015】これらの3成分材料の配合比率は、(A)
/(B)/(C)=30〜89/10〜60/1〜15
(重量%)の範囲にある。更に好ましくは、(A)/
(B)/(C)=40〜79/20〜55/1〜10
(重量%)の範囲にある。
【0016】また、(B)に対するワックス(C)の比
率は、より少ない量で最適な処理効果を得るものであ
り、セルロース系粉末(B)の表面積や水分や低沸点揮
発分の抜けた実質的な空隙率により調整するものである
が、目安としては5%から25%迄の範囲である。更に
好ましくは、5%から15%の範囲である。
【0017】一般にこれまでの知見では、組成物中の木
粉等のセルロース系粉末の量が30重量%を超えると成
形が急激に難しくなることが知られていた。その理由の
ひとつはその配合量が増えた分、水分や低沸点揮発分が
増えることも有るが、乾燥処理しても水分や低沸点揮発
分の抜けた実質的な空隙(気孔)に含まれる空気が成形
加工時の熱で膨張し、回りの樹脂層を吹き破る現象があ
げられる。
【0018】本発明者は、特定のポリエチレンとセルロ
ース系粉末およびセルロース系粉末の処理剤としての特
定のワックス、及び処理方法の組合せにより、これを効
果的に防ぐことができるを方法を創出し、セルロース系
粉末の含有量60重量%をも可能とした。
【0019】本発明に用いるワックス(C)とは、天然
ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸と1ないし3価の
脂肪属アルコールとのエステル、低分子量ポリエチレン
ワックス類、カルボン酸と高級アルコールとのエステル
から選ばれる少なくとも1種のワックスであって、その
単体または混合物の融点が40〜120℃の範囲にある
ワックスであり、高級脂肪酸は含まれない。また、ここ
でいうワックスとは常温で固体であり、加熱すると低粘
度の液体となる有機物として定義されるものであり、本
発明でもこの定義を前提とする。その融点の測定方法は
ワックスの種類により測定方法が異なる場合が有るが、
それぞれのJIS規格に応じたもの、あるいはそれに準
じた方法により測定された値である。
【0020】天然ワックスとしては具体的には、動・植
物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックスであり、石油
ワックスとしては具体的には、パラフィンワックス、マ
イクロクリスタリンワックスがある。また、これらのワ
ックスの水素添加物、酸化物もあげられる。合成ワック
スとしては具体的には、ポリエチレンワックスやその酸
化ワックス、フィッシャートロプシュワックスなどがあ
げられる。
【0021】高級脂肪酸と1ないし3価の脂肪属アルコ
ールとのエステルとしては、具体的には、炭素数14か
ら22の脂肪酸と炭素数14から22の一価脂肪属アル
コールとのエステル類、例えばステアリン酸ステアリ
ル、ベヘニン酸ベヘニルなどがあげられる。
【0022】炭素数14から22の脂肪酸と二価あるい
は三価の脂肪属アルコールとのエステルとしては、具体
的には、エチレングリコールジステアレート、エチレン
グリコールモノベヘネート、グリセリンモノステアレー
ト、グリセリンジステアレート、グリセリンジベヘネー
トなどがあげられる。上記の高級脂肪酸エステルにはヒ
ドロキシカルボン酸エステル、例えば12ヒドロキシス
テアリン酸エステルなどを包含する。
【0023】また、カルボン酸と高級アルコールとのエ
ステルとしては、、例えばメタクリル酸やクロトン酸あ
るいはそのオリゴマーと炭素数14から22の高級脂肪
属アルコールとのエステルであるジメタクリル酸ベヘニ
ル、ジクロトン酸ジステアリル、ジイソクロトン酸ジス
テアリル、あるいは酒石酸ジステアリル、クエン酸ジス
テアリルなどのオキシカルボン酸と高級脂肪属アルコー
ルとのエステル類、あるいはフタル酸ジステアリルなど
の芳香属ジカルボン酸と高級脂肪属アルコールとのエス
テル類があげられる。
【0024】さらに好ましくは、これらのワックスの内
では常温において水に難溶であるほど、また吸湿し難い
ほど好適である。また、特に好ましくは、これらのワッ
クスの範囲において酸価または中和価(JIS K33
41に準拠して測定された値)が5〜80程度のもの
は、木粉等セルロース系粉末との親和性もより高く、外
部滑性効果も強いことから物性、成形性ともに優れたも
のが得られる。
【0025】これらのエステル単体または混合物の融点
が40〜120℃の範囲にあるワックスを本発明では用
いる。具体的には、溶融したワックスを木粉等のセルロ
ース系粉末(B)の空隙に含浸させる。その際、融点が
40℃より低いものを木粉等のセルロース系粉末に溶融
含浸させた場合、常温に戻しても処理物は湿ったような
状態となり、その後の混練や成形加工において広く使用
されているスクリュウタイプの成形機では、そのホッパ
ーでブリッヂを起こすことが多い。また、そうでなくと
も成形加工された成形品の表面にブリードしてくるとい
った好ましくない現象をきたす。一方、融点が120℃
より高いと溶融含浸が困難であり、それを可能にするに
は特別に加熱設備が必要となり経済的でない。これらの
ことから、より好ましくはその融点が50〜110℃の
範囲にあるものである。
【0026】含浸処理は、少なくとも木粉等のセルロー
ス系粉末に含まれる水分などの低沸点揮発分の抜けた実
質的な空隙にワックスを含浸させるものであり、そのた
めにはワックスをその融点以上の温度にし、液体化して
含浸する。セルロース系粉末は通常の環境下では5%か
ら10%程度の水分を吸湿している。従って、予め乾燥
処理をしたセルロース系粉末に含浸処理を施す場合は含
浸温度は、その融点以上であれば目的を達成できる。つ
まり、乾燥状態のセルロース系粉末であれば、ワックス
の含浸処理温度は、必要以上に温度を上げなくても目的
を達成できる。一方、吸湿したセルロース系粉末に直接
ワックスを含浸させるには、水分を気化蒸散させて、そ
の部分の空隙にワックスを含浸させることが必用にな
る。この時、低融点のワックスを用いる場合は、ワック
スが溶ける程度の温度では水分を気化蒸散させるには効
率が悪い。従ってもっと高い温度まで昇温することが好
ましい。その方法のひとつとして、高速の攪拌混合が可
能なヘシェルミキサーやスーパーミキサー等を用いれ
ば、攪拌混合時の発熱が利用できる。殆どの場合、常温
でセルロース系粉末(B)とワックス(C)と一緒にミ
キサーの槽内に入れて高速回転で混合すれば、水分はこ
の様な攪拌・混合下では90℃程度まで、高くても14
0℃迄温度が上がってくれば、気化蒸散し、その部分の
空隙にワックスは含浸する。更に、この熱効率を上げる
には、ジャケットに熱水や蒸気を流すことも行われる。
【0027】これらのワックスを含むポリエチレン樹脂
は、外部滑性効果があることが知られており、セルロー
ス系粉末を含有する本発明の組成物の成形加工時におい
ても、その負荷の低減と製品外観改良にも大きく寄与す
る。
【0028】(2)上記の(1)項に記載のセルロース
系粉末(B)とワックス(C)とを予めワックス(C)
の融点以上の温度で攪拌混合し、ワックスをセルロース
系粉末に溶融含浸させたものとエチレン系樹脂(A)と
の混合物は特に圧縮成形や押出成形に適した組成物とな
る。比較例として、エチレン系樹脂(A)とセルロース
系粉末(B)およびワックス(C)の3成分をワックス
(C)の融点以上の温度で攪拌混合し、ワックスをセル
ロース系粉末(B)に溶融含浸させようとすると、その
必要の無いエチレン系樹脂の表面も処理を受け、結果と
してセルロース系粉末の空隙にワックスを含浸させる処
理が不足する。不足すれば、その部分に成形加工上好ま
しくない空気や水分を吸湿することになる。これを補う
ためにワックスの量を更に増やすことは、結果的に成形
品物性の低下をもたらすとともに溶融粘度が下がりすぎ
て圧縮成形や押出成形に適さなくなる。
【0029】本発明では、これを防ぐために予めワック
スをセルロース系粉末に溶融含浸させたものを作り、そ
の後このものとエチレン系樹脂(A)とを混合する手段
を使う。また、ワックスをセルロース系粉末に溶融含浸
させたものは、その取扱い上の欠点である飛散性も大き
く改良されたものとなる。また、後からエチレン系樹脂
(A)とを混合することで系全体のゲル化をおこさない
という利点も有る。
【0030】すなわち、本発明の組成物はこの様なワッ
クス処理が行われたセルロース系粉末とエチレン系樹脂
からなる組成物であり、その外観的な形状にとらわれる
ものではない。
【0031】(3)上記の(1)に記載のセルロース系
粉末(B)とワックス(C)とを予めワックス(C)の
融点以上の温度で攪拌混合し、ワックスをセルロース系
粉末(B)に溶融含浸させたものとエチレン系樹脂
(A)とを混合して、それを溶融混練押出機を用いて加
熱混練し、ペレット状としたものは更に押出成形に適し
た組成物となる。すなはち、前述したようにバンバリー
ミキサーやタンデムタイプの予備混練機を備えて成形す
る場合は本発明の組成物はペレット状とする必要はな
く、これらの機械を使って溶融した組成物を圧縮成形や
押出成形機に直接導いて成形すれば良い。しかしなが
ら、これらの設備が無い場合は予めペレット状としたも
のを使用する方が良い。すなはち、ペレット状としてお
くことで保管中の吸湿も少なく、取扱上の飛散の心配も
無く、かつサージングの無い安定した成形ができる。本
発明の組成物をペレット状に加工するには、公知の方法
で充分である。特に好ましくは、揮発性物質が成形加工
時の熱でガス化したときにこれを除去することのできる
ベント付の機械を用いることである。
【0032】(4)上記の(1)に記載のエチレン系樹
脂(A)の内、更に好ましくは、少なくとも一方の樹脂
の平均粒度が1mm以下の重合粉末または機械粉砕品を
用いることで、特に押出成形に適した組成物となる。す
なはち、一般にセルロース系粉末(B)の比重は無機の
フィラーに比べて1/2程度であり、またその上に嵩密
度は低く、軽くて嵩高い粉末である。一方ポリエチレン
は一般にはペレット状であり、この両者を均一に混ぜて
おいても少しの振動などで不均一化する欠点を有する。
これを防ぐ手段として、本発明では、好ましくはエチレ
ン系樹脂(A)の内、少なくとも一方の樹脂の平均粒度
が1mm以下の重合粉末または機械粉砕品を用いる。こ
のことにより、その後の振動などで不均一化する欠点を
解消する。また、ペレット形状に混練して均質な材料と
するに際して、分散効率を上げることができる。
【0033】(5)上記の(1)に記載の組成物100
重量部に対して、粒子の平均粒度が10ミクロン以下
で、その見掛比重が0.5g/cc以下のシリカ、炭酸
カルシウム、カーボンブラック、酸化チタンから選ばれ
る少なくとも1種の無機フィラー(D)を20重量部以
下配合することにより、さらに押出成形に適した組成物
となる。すなはち、これらの特性を有する無機フィラー
(D)は、セルロース系粉末(B)の軽くて嵩高いとい
う共通の性質からくる成形時のホッパーブリッヂを共通
して防ぐ効果がある。これを上記の(4)項に記載した
組成物に適用することで、組成物は外観上は粉体ないし
グラニュール状のであっても、サージングの無い安定し
た押出混練や直接成形加工が可能になる。
【0034】また、炭酸カルシウムは木粉などの未精製
セルロース系粉末から出る木酢といわれる酸を中和する
のに有効である。この効果は、その粒子の平均粒度が1
0ミクロン以下で、その見掛比重が0.5g/cc以下
であればその効率が高い。
【0035】(6)上記の(1)に記載のセルロース系
粉末(B)とワックス(C)とを予めワックス(C)の
融点以上の温度で攪拌混合しワックスを木粉等のセルロ
ース系粉末に溶融含浸させたものとエチレン系樹脂
(A)との混合物からなる組成物、更には、上記のセル
ロース系粉末(B)とワックス(C)とを予めワックス
(C)の融点以上かつ140℃以下の範囲の温度で攪拌
混合し、ワックスを木粉等のセルロース系粉末に溶融含
浸させ、次いでエチレン系樹脂(A)と混合して、それ
を溶融混練押出機を用いて混練し、ペレット状としたも
のは押出成形用組成物として特に好適である。更に好ま
しくは、その組成物のメルトインデックスが0.01〜
1g/10分の範囲の溶融時の粘度が更に高い組成物を
ペレット状にしたものである。
【0036】更に好ましい押出成形用材料とするには、
(7)上記のセルロース系粉末(B)とワックス(C)
とを予めワックス(C)の融点以上かつ140℃以下の
範囲の温度で攪拌混合し、ワックスを木粉等のセルロー
ス系粉末に溶融含浸させ、次いでこれをワックス(C)
の融点以下の温度に一旦冷やし、次いで、これにエチレ
ン系樹脂(A)と無機フィラー(D)を混合して、この
ものを溶融混練機を用いて混練し、ペレット化した組成
物とすることで、更に押出成形に適した組成物とするこ
とができる。この方法の技術的ポイントは、ワックスを
木粉等のセルロース系粉末に溶融含浸させた後、次いで
これをワックスの融点以下の温度に一旦冷やす(ワック
スの状態を固体に戻す)ことにある。その後、エチレン
系樹脂(A)と無機フィラー(D)を混合することで、
この混合組成物は、さらさらした状態に変わり、サージ
ングの無い安定した押出混練や直接成形加工ができるよ
うになる。
【0037】一般に、押出成形機は押出混練機と異な
り、混合・分散を目的として加工する機械ではない。押
出成形機は一般的にはフルフライトスクリュウでホッパ
ーから供給された樹脂材料を送りながら加熱し、溶融し
て、賦形用型に注入する機能を有する。安定した品質の
賦形品を得るためには、予め樹脂材料は均質に混合され
ていることが必要となる。本発明は、そのような要求に
適応できる。
【0038】この他、本発明の組成物には、この発明の
目的を阻害しない範囲で他の成分、例えば、酸化防止
剤、光安定剤、顔料・着色剤など、あるいは発泡剤など
を配合してその性能を向上させることができる。
【0039】
【実施例】次に、いくつかの実施例および参考例をあげ
て本発明を説明する。
【0040】実施例1〜6 高密度ポリエチレンとしては、チグラー系の触媒を用い
てスラリー法で重合して得た500ミクロン篩全通のパ
ウダーで、密度が0.954でメルトインデックスが3
g/10分、DSCの融点の主ピークの値が131℃で
ある高密度ポリエチレンを用いた。また、メタロセン触
媒を重合触媒としたエチレン−α−オレフィン共重合体
としては、密度が0.902g/cm3、メルトインデ
ックスが1.0g/10min、Mw/Mnが2.4、
DSCの融点の主ピークの値が98℃、オクテン1共重
合量が12重量%のペレット形状のものを用いた。な
お、この両方のポリエチレンには、それぞれ熱安定剤と
してイルガノックス1076を1000ppm、カルシ
ュウムステアレートを300ppm含む。
【0041】セルロース系粉末としては、家具メーカー
の廃木粉を乾燥して用いた。その粒度は、350ミクロ
ン篩全通で平均粒度は100ミクロン程度である。木粉
を100℃の乾燥機で1時間乾燥したときの乾燥減量
は、7%であった。
【0042】ワックスとしては、工業的に生産されてい
る市販のものを用いた。それぞれに使用したワックスを
以下に記述する。なお、酸価はJIS K3341、軟
化点はJIS K2531に準拠して測定された値であ
る。
【0043】実施例1ではn−パラフィンワックスで融
点が69℃のもの、実施例2ではベヘニン酸ベヘニルエ
ステルで融点が71℃のもの、実施例3ではエチレング
リコール・ジステアレートで融点が64℃のもの、実施
例4ではステアリン酸モノグリセライドで融点が67℃
のもの、実施例5ではクエン酸ジステアレートで融点が
56℃、酸価が70のもの、実施例6では分子量が約1
500のポリエチレンワックスで軟化点が105℃のも
のを用いた。
【0044】先ず、乾燥木粉とワックスをそれぞれ10
0対10の重量比率で計量して、スチームで加熱したヘ
ンシェルミキサーに入れ、高速攪拌混合して系内の温度
が120℃まで上がったところで排出した。排出後は、
室温で放冷した。このものをここでは、処理木粉と称す
ることにする。
【0045】処理木粉44重量部に対して、高密度ポリ
エチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体を3対1
の重量比率で計量して、その54重量部を加えて、ブレ
ンダーで均一に混合した。得られた混合物を、ここでは
押出成形材料と称することにする。
【0046】この押出成形材料を、押出混練機や押出成
形機のホッパーへ投入する作業等において、処理木粉の
飛散性(粉塵として舞い上がるかどうか)を第1表に記
載した。
【0047】また、この押出成形材料を、先端に厚さ3
mm、幅60mmのスリットダイを設けた押出成形機
(ベント付)のホッパーに投入し、加熱ゾーンを150
から170℃に設定し、スクリュウ回転数を20rpm
で押出成形を実施した。このときのホッパー内で押出成
形材料がブリッジ現象を起こすか否かを第1表に記載し
た。またスリットダイから出てきた賦形物の状態の観察
結果と、スリットダイから出てきた賦形物を真空・水冷
サイジングダイに導いて板状の成形品を得た。この成形
品を常温で1ヶ月間室温に放置しておいておき、その表
面に白化等の目視判定できるようなブリード物が有った
かどうかについて第1表に記載した。
【0048】参考例1〜3 参考例1として、実施例1で用いたワックス処理してい
ない乾燥木粉40重量部に対して、実施例1で用いた高
密度ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体
を3対1の重量比率で計量して、その60重量部を加え
て、ブレンダーで均一に混合した。
【0049】参考例2として、実施例1で用いた乾燥木
粉と融点69℃のステアリン酸を100対10の重量比
率で計量して、スチームで加熱したヘンシェルミキサー
に入れ、高速攪拌混合して系内の温度が120℃まで上
がったところで排出した。排出後は、室温で放冷した。
この処理木粉44重量部に対して、実施例1で用いた高
密度ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体
を3対1の重量比率で計量して、その54重量部を加え
て、ブレンダーで均一に混合した。
【0050】参考例3として、実施例1で用いた乾燥木
粉とn−パラフィンオイル(液体)を100対10の重
量比率で計量して、スチームで加熱したヘンシェルミキ
サーに入れ、高速攪拌混合して系内の温度が120℃ま
で上がったところで排出した。排出後は、室温で放冷し
たものはしっとりとした湿っぽい粉末であった。この処
理木粉44重量部に対して、実施例1で用いた高密度ポ
リエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体を3対
1の重量比率で計量して、その60重量部を加えて、ブ
レンダーで均一に混合した。
【0051】これらの、参考例の材料を実施例1と同じ
方法で評価した。その結果も第1表に併記した。
【0052】
【表1】
【0053】備考:上記の飛散性は、ワックス処理木粉
の飛散性の有無を表す。ただし、参考例1はワックス処
理なしでの状態。上記のブリッジは、ホッパー部でのブ
リッジの有無を表す。上記の賦形性は、押出機賦形ダイ
部より出てきた賦形状態を表す。上記のブリード有無
は、経時後の成形品表面の白化の有無で判定。
【0054】実施例1〜6と参考例1〜3の比較をした
表1で明らかなように木粉のワックス処理をしない場
合、また本発明において定義されたワックス以外のステ
アリン酸やオイル状のものを用いた場合には、取扱い性
や成形性、製品外観に差が観られる。
【0055】実施例7、参考例4 高密度ポリエチレンとしては、チグラー系の触媒を用い
てスラリー法で重合して得た500ミクロン篩全通のパ
ウダーで、密度が0.950〜0.969g/cm3
範囲でメルトインデックスが25〜0.05g/10分
の範囲、DSCの融点の主ピークの値がいずれも130
〜135℃の範囲である数種類の高密度ポリエチレンを
用意した。メタロセン触媒を重合触媒としたエチレン−
α−オレフィン共重合体としては、密度が0.868〜
0.885g/cm3の範囲、メルトインデックスが3
0〜0.5g/10minの範囲、Mw/Mnが2.3
〜2.5の範囲DSCの融点の主ピークの値が62〜8
0℃の範囲、オクテン1共重合量が18〜25重量%の
範囲の数種類のペレットを機械的に粉砕して粉末形状と
したものを用意した。なお、この両方のポリエチレンに
は、それぞれ熱安定剤としてイルガノックス1076を
1000ppm、カルシュウムステアレートを300p
pm含む。このものから、第2表に記載した各種のメル
トインデックス(第2表ではベースPEのMIとして記
載)となるようにこの両者を2対1から5対1の範囲の
重量比率で組み合わせ、それぞれの原料粉末ポリエチレ
ンとした。
【0056】セルロース系粉末としては、木粉充填塩化
ビニル樹脂に用いられている木粉をを用いた。その粒度
は、150ミクロン篩全通で平均粒度は100ミクロン
程度である。この木粉の100重量部に対してn−パラ
フィンワックスで融点が69℃のものとクエン酸ジステ
アレートで融点が56℃のものと分子量が約1500の
ポリエチレンワックスで軟化点が105℃のものを3対
2対3の比率で合計15重量部を計量して、スチームで
加熱したヘンシェルミキサーに入れ、高速攪拌混合して
系内の温度が120℃まで上がったところ(投入・混合
開始から約30分後)で排出した。排出後は、室温で放
冷した。参考として、この処理における木粉の仕込み量
に換算した揮発減量は7%であり、殆ど水分であり、こ
の条件下では熱分解などの変質は起こしていないことが
判った。このものをここでは、処理木粉と称することに
する。
【0057】この処理木粉の35重量部に対して、上記
の各種メルトインデックスの原料粉末ポリエチレンの6
5重量部とをブレンダーで均一に混合したものを作っ
た。
【0058】これと別に、この処理木粉の60重量部に
対して、上記の各種メルトインデックスの原料粉末ポリ
エチレンの40重量部とをブレンダーで均一に混合した
ものも作った。
【0059】この混合材料を、二軸押出混練機(ベント
付)のホッパーに投入し、加熱ゾーンを150から17
5℃に設定、スクリュウ回転数を30から60rpmの
範囲で変えてダイに掛かる背圧一定の120kg/cm
2に制御しながら混練し、出てきたストランドを水槽を
通して冷却し、それをペレタイザーに導いてペレットに
した。このときのストランドの状態を観察し、その結果
を第2表に記載した。
【0060】これによって得られたペレットを、建築材
料の中空リブ構造の幅木金型ダイを取り付けた押出成形
機(ベント無し)のホッパーに投入し、加熱ゾーンを1
50から170℃に設定し、スクリュウ回転数を12〜
15rpmで押出成形を実施した。ダイから出てきた賦
形物の状態の観察結果は、程度こそ軽いものの前記のス
トランドの状態を観察したときと傾向は同じであり、ベ
ースポリエチレンのメルトインデックスとストランドの
関係では、ベースポリエチレンのメルトインデックスは
10g/10分以下が好ましく、成形加工できるならば
更に低い方が良いものができることが判った。すなは
ち、ストランドに加工するときの状態の悪いものは押出
成形にも適さないことが判った。また、成形加工性とそ
のベースポリエチレンのメルトインデックスの関係で
は、木粉の充填量が増えるほど低いメルトインデックス
の樹脂を用いる方が良い結果をもたらすことが判った。
【0061】
【表2】
【0062】注:×:不良、△:可、○:良、◎:優 実施例8 セルロース系粉末として、松材チップを水蒸気蒸留して
樹脂や油脂を抽出した後のチップを微粉砕した松の木粉
を用いた。その粒度は、150ミクロン篩全通で平均粒
度は100ミクロン程度である。
【0063】この微粉砕した松の木粉の106重量部
(乾燥重量換算では約100重量部)に対してn−パラ
フィンワックスで融点が69℃のものとクエン酸ジステ
アレートで融点が56℃のものと分子量が約1500の
酸化ポリエチレンワックスで軟化点が105℃、酸価が
18のものを3対2対3の比率で合計10重量部を計量
して、スチームで加熱したヘンシェルミキサーに入れ、
高速攪拌混合して系内の温度が120℃まで上がったと
ころ(投入・混合開始から約30分後)で排出した。排
出後は、室温で放冷した。参考として、この処理におけ
る松の木粉仕込み量に換算した揮発減量は5%であり、
殆ど水分であった。このものをここでは、処理松粉と称
することにする。
【0064】高密度ポリエチレンとしては、チグラー系
の触媒を用いてスラリー法で重合して得た500ミクロ
ン篩全通のパウダーで、密度が0.958でメルトイン
デックスが0.08g/10分、DSCの融点の主ピー
クの値が135℃である高密度ポリエチレンを用いた。
また、メタロセン触媒を重合触媒としたエチレン−α−
オレフィン共重合体としては、密度が0.902g/c
3、メルトインデックスが1.0g/10min、M
w/Mnが2.4、DSCの融点の主ピークの値が98
℃、オクテン1共重合量が12重量%のペレット形状の
ものを用いた。なお、この両方のポリエチレンには、そ
れぞれ熱安定剤としてイルガノックス1076を100
0ppm、カルシュウムステアレートを300ppm含
む。この両者のポリエチレンを第3表に示した割合で組
み合わせて使用した。
【0065】また、無機のフィラーとして微粉末の炭酸
カルシュウムを用意した。このものの嵩比重は、0.1
7g/cc、平均粒径は、0.15ミクロンである。
【0066】上記の材料を第3表に示した重量割合で計
量し、ブレンダーで均一に混合したものを作った。フィ
ラーを配合したことにより、配合前よりさらさらの状態
になり、ブリッジの心配が無くなった。
【0067】この混合材料を、二軸押出混練機(ベント
付)のホッパーに投入し、加熱ゾーンを150から17
5℃に設定、スクリュウ回転数を30から60rpmの
範囲で変えてダイに掛かる背圧一定の120kg/cm
2に制御しながら混練し、出てきたストランドを水槽を
通して冷却し、それをペレタイザーに導いてペレットに
した。このときのストランドの状態は良好であった。
【0068】これによって得られたそれぞれのペレット
を、建築材料の中空リブ構造の幅木金型ダイを取り付け
た押出成形機(ベント無し)のホッパーに投入し、加熱
ゾーンを150から170℃に設定し、スクリュウ回転
数を12〜15rpmで押出成形を実施した。その結果
は良好であり、実用に耐えるものであった。
【0069】一方、それぞれのペレットを3mmの板状
にプレス成形し、その物性と水性酢酸ビニルエマルジョ
ン系の木工用ボンドで接着し、その接着強度を測った結
果を合わせて第3表に記載した。物性の測定方法は、第
3表の備考欄に記載した一般的な方法による。接着強度
の試験片の作り方と測定方法を、次に記述する。3mm
の板状のプレス成形品から幅30mm、長さ90mmの
長方形の板を2ヶを1セットとして切り出す。そのそれ
ぞれの板の片端から35mm程度の面に#240のサン
ドペーパーをかけ、さらにその部分を#400のサンド
ペーパーで慣らす。これを水洗・乾燥して、サンドペー
パーをかけた部分に薄く均一に水性酢酸ビニルエマルジ
ョン系の木工用ボンドを塗って、端から30mmの塗布
面同士を貼り合せる。この部分を押さえて、余分な接着
剤を押出す。そのまま一晩放置し、自然乾燥させる。次
いで23℃、50%湿度の環境下で48時間以上状態調
節する。接着面でない両端部に、厚み3mmの約30m
m角の添え板を当てて、引張り試験をするための掴みし
ろとする。チャック間90mm、引張り速度5mm/m
inで引張ったときの剥離あるいは破壊強度を求める。
【0070】
【表3】
【0071】備考;A1:A2は、高密度ポリエチレン
とメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体の比
率を表す。CC配合量は、炭酸カルシウムの配合量を表
す。曲げ物性は、ASTM D790法による。単位は
kg/cm2耐衝撃強度は、ASTM D256による
ノッチ付の強度を表す。単位はkg−cm/cm 接着強度は、接着面の剥離又は基材破壊時の強度を表
す。単位はkg *印は基材破壊であったことを表す。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば親
和性の悪いエチレン系樹脂とセルロース系粉末とを十分
に相溶化することができ、耐衝撃性等の機械的特性、成
形性、とくに押出成形性を向上した樹脂組成物を得るこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 1/00 C08L 1/00 //(C08L 23/04 1:00 91:06)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示す、少なくとも2種のエチレン
    系樹脂(A)とセルロース系粉末(B)およびワックス
    (C)の3成分からなる混合物であって、その重量比が
    (A)/(B)/(C)=30〜89/10〜60/1
    〜15の範囲にあって、その合計が100重量部である
    ことを特徴とする組成物。上記のエチレン系樹脂(A)
    とは、密度が0.945以上でメルトインデックスが
    0.01〜10g/10分の範囲、DSCの融点の主ピ
    ークの値が125℃以上である高密度ポリエチレン(A
    1)と、密度が0.86〜0.910g/cm3、メル
    トインデックスが0.01〜10g/10min、Mw
    /Mnが3.0以下、DSCの融点の主ピークの値が5
    0〜105℃の範囲であり、かつ、メタロセン触媒を重
    合触媒としたエチレン−α−オレフィン共重合体(A
    2)の少なくとも2種類のエチレン樹脂の組合せからな
    り、その重量比が(A1)/(A2)=95〜30/5
    〜70の範囲で、その組み合わせたもののメルトインデ
    ックスが0.01〜10g/10分の範囲であるエチレ
    ン系樹脂である。
  2. 【請求項2】 エチレン系樹脂(A)の内、少なくとも
    一方の樹脂が平均粒度1mm以下の重合粉末または機械
    粉砕品であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の組成物100重量部に
    対して、粒子の平均粒度が10ミクロン以下で、その見
    掛比重が0.5g/cc以下のシリカ、炭酸カルシウ
    ム、カーボンブラック、酸化チタンから選ばれる少なく
    とも1種の無機フィラー(D)を20重量部以下配合し
    たことを特徴とする押出成形に適した組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の組成物の製造方法であ
    って、セルロース系粉末(B)とワックス(C)とを予
    めワックス(C)の融点以上の温度で攪拌混合すること
    でワックスをセルロース系粉末に溶融含浸させたものと
    エチレン系樹脂(A)との混合することからなる組成物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の組成物の製造方法であ
    って、セルロース系粉末(B)とワックス(C)とを予
    めワックス(C)の融点以上の温度で攪拌混合すること
    でワックスをセルロース系粉末に溶融含浸させたものと
    エチレン系樹脂(A)とを混合して、それを溶融混練押
    出機を用いて加熱混練し、ペレット状とする組成物の製
    造方法。
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