JP3165785U - ミシンのルーパ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】縁かがりミシンの上ルーパを軽量にして美麗な縫目を形成するとともに、上ルーパの製造を容易に行なうことができるミシンのルーパ装置を提供する。【解決手段】ルーパ糸入口34からルーパ剣先糸出口35までルーパ糸通しのためのパイプ29が組み込まれた上ルーパ7と、上ルーパをルーパ駆動部に位置調節自在に連結するとともにパイプを保持するためのルーパ取付腕30とを備え、ルーパ取付腕にはルーパ取付腕とは別体でパイプを保持するためのパイプ保持プレート37を設け、パイプ保持プレートはルーパ取付腕に着脱自在に取着されるものである。【選択図】図3

Description

本考案はミシンのルーパ装置に係わり、特に縁かがりミシンの上ルーパを軽量にして美麗な縫目を形成するとともに、上ルーパの製造を容易に行なうためのミシンのルーパ装置の構造に関する。
従来から、縁かがりミシンにおいて、ルーパ糸を差し入れる糸導入部から上ルーパの剣先のルーパ糸案内出口までを連通するパイプ(中空のルーパ糸案内)で連結し、パイプに供給される加圧気体の流れを利用してルーパ糸を送る気体搬送糸通し装置が知られている。これにより、複雑な糸掛けを不要とし、操作性よく糸通しを行なうことができ、このため糸通しを間違えたり、途中で糸がはみ出し、挿通されたルーパ糸が他の糸と絡んだりすることがなく、極めて簡単な操作で一気に糸通しをすることができる(特許文献1−2)。
図6に示すように、このようなルーパ糸の糸通しを行なう上ルーパ50の上ルーパ駆動部51としては、所謂「ピボット・スライド」方式が採用されている。ミシンモータMからタイミングベルトMBを介してはずみ車52とともに回転駆動される駆動軸53には、上ルーパ駆動傾斜カム54が固定され、上ルーパ駆動傾斜カム54には上ルーパ駆動二又55に取り付けられたカムフォロアであるローラ56が係合されている。上ルーパ駆動二又55は上ルーパ駆動軸57にピン58により枢着されている。上ルーパ駆動軸57には上ルーパ駆動腕58aの一端が固定され、上ルーパ駆動腕58aの他端には上ルーパ取付軸59が枢着されている。上ルーパ取付軸59はフレームに回動可能に装着されたピボット60に摺動可能に軸支されている。上ルーパ取付軸59の上端には上ルーパ50が固定されている。
図7(a)-(b)に示すように、上ルーパ50は、パイプ61を保持するためのルーパ基部62を備え、ルーパ基部62から突出しているピン63が上ルーパ駆動部51の上ルーパ取付軸59にネジ59aで位置調節自在に連結されている。
上ルーパ50は、ルーパ糸入口64からルーパ剣先糸出口65までルーパ糸通しのためのパイプ61がルーパ溝66に組み込まれ、このパイプ61はルーパ基部62によって保持されている。
このようにルーパ基部62はパイプ61の保持及び上ルーパ駆動部51への連結という2つの機能を果たすため上ルーパ50と一体的に形成された金属塊基体67で構成されている。
更に、上ルーパ50と一体的に形成された金属塊基体67には係合爪とバネが揺動自在に枢支されて別の縫目(2本糸縁かがり縫)を縫製する機能も合せ持っている。
このように構成された上ルーパ50は上ルーパ駆動部51によって針に対して楕円運動を行なう。
特許第2865470号公報(=米国特許5327841号公報) 特許第3355214号公報
このような上ルーパ構造では、上ルーパ自体の重量が重くなり、このためルーパの高速揺動運動に支障をもたらすことから理想的で美麗な縫目を形成するには不十分となっている。
また、パイプの保持及びルーパ駆動部への連結という2つの機能を果たすとともにルーパ溝が形成されるルーパ基部をもつ上ルーパ構造の製造にあたっては、上ルーパの射出焼結、曲がり調整、加工、焼入れ、仕上げ、研磨、寸法調整等の多くの工程を要する。
したがって、上ルーパの製造が極めて煩瑣な作業を要するので生産性が低い状況となっている。
本考案は、これらの難点を解決するためになされたもので、縁かがりミシンの上ルーパを軽量にして上ルーパの楕円運動における慣性モーメントを低減することにより上ルーパ駆動部にかかる負荷を低減して上ルーパ駆動部の耐久性を向上させ、かつ美麗な縫目を形成するとともに、上ルーパの製造を容易に行なって製造コストを低減するためのミシンのルーパ装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本考案のミシンのルーパ装置は、ルーパ糸入口からルーパ剣先糸出口までルーパ糸通しのためのパイプが組み込まれた上ルーパと、上ルーパをルーパ駆動部に位置調節自在に連結するとともにパイプを保持するためのルーパ取付腕とを備え、ルーパ取付腕にはルーパ取付腕とは別体でパイプを保持するためのパイプ保持プレートを設け、パイプ保持プレートはルーパ取付腕に着脱自在に取着されるものである。
本考案のミシンのルーパ装置によれば、縁かがりミシンの上ルーパを軽量にして美麗な縫目を形成するとともに、上ルーパの製造を容易に行なうことができる。
本考案によるルーパ装置を適用した2本針4本糸縁かがりオーバーロックミシンを示す部分斜視図である。 本考案によるルーパ装置を適用したルーパ駆動部を示す斜視図である。 本考案によるルーパ装置を示す斜視図で、(a)はミシンの右前方向から見た状態、(b)はミシンの左後方向から見た状態を示す。 本考案によるルーパ装置を示す斜視図で、(a)はミシンの右前方向から見た状態、(b)はミシンの左後方向から見た状態を示す。 本考案によるルーパ装置を示す分解斜視図である。 従来のルーパ装置におけるルーパ駆動部を示す斜視図である。 従来のルーパ装置を示す斜視図で、(a)はミシンの右前方向から見た状態、(b)はミシンの左後方向から見た状態を示す。
以下、本考案のルーパ装置を2本針4本糸縁かがりオーバーロックミシンに適用した好ましい実施の形態例について図面を参照して詳述する。
図1に示すように、オーバーロックミシン1は、ベッドとアームを形成するフレーム2で構成されている。
ミシンモータMはフレーム2に装着され、駆動軸5はフレーム2に沿って水平方向に延びている。駆動軸5は、ミシンモータMによってタイミングベルトMBにより回転駆動される。
オーバーロックミシン1は、駆動軸5と同期して上下運動する針留11に固定され針板3を貫通して上下運動する針11a、11b、これらの針11a、11bを駆動する針駆動機構12、針板3上で布を押える布押え機構19、針板3の下側で針11a、11bの軌跡と交叉するように円弧状の軌跡を描いて往復運動する下ルーパ8、針板3の側方で下ルーパ8の軌跡と交叉するとともに針板3の上側で針11a、11bの軌跡と交叉するように楕円状の軌跡を描いて往復運動する上ルーパ7、布を1目毎に歩進させる布送り機構4で縫目形成装置20を形成している。
上ルーパ7、下ルーパ8はそれぞれルーパ駆動機構10によって駆動される。
縫目形成装置20の針駆動機構12、布送り機構4及びルーパ駆動機構10は駆動軸5によって駆動される。針駆動機構12、布送り機構4の具体的構造及び動作は公知(前記特許文献1、特許文献2)であるので、その詳細は説明を省略する。
ルーパ駆動機構10は上ルーパ7の上ルーパ駆動部14及び下ルーパ8の下ルーパ駆動部16から構成されている。
図2に示すように、上ルーパ7の上ルーパ駆動部14としては、所謂「ピボット・スライド」方式が採用されている。ミシンモータMからタイミングベルトMBを介してはずみ車6とともに回転駆動される駆動軸5には、上ルーパ駆動傾斜カム21が固定され、上ルーパ駆動傾斜カム21には上ルーパ駆動二又22に取り付けられたカムフォロアであるローラ23が係合されている。上ルーパ駆動二又22は上ルーパ駆動軸24にピン25により枢着されている。上ルーパ駆動軸24には上ルーパ駆動腕26の一端が固定され、上ルーパ駆動腕26の他端には上ルーパ取付軸27が枢着されている。上ルーパ取付軸27はフレーム2に回動可能に装着されたピボット28に摺動可能に軸支されている。上ルーパ取付軸27の上端には上ルーパ7が固定されている。
図3(a)-(b)、図4(a)-(b)、図5に示すように、上ルーパ7は、ルーパ糸通しを行なうパイプ(中空のルーパ糸案内)29を保持するためのルーパ取付腕30を備えている。
ルーパ取付腕30から突出しているピン31は上ルーパ駆動部14の上ルーパ取付軸27の取付穴27aに嵌入して止ネジ穴27bに止ネジ27cで螺着することにより位置調節自在に連結されている。
このように構成された上ルーパ7は、駆動軸5の回転に伴って、上ルーパ駆動傾斜カム21、上ルーパ駆動二又22、ローラ23、上ルーパ駆動軸24、上ルーパ駆動腕26、上ルーパ取付軸27からなる上ルーパ駆動部14によって駆動され、上ルーパ駆動腕26に枢着された上ルーパ取付軸27がピボット28の枢動穴を摺動することによりピボット28を運動基点として上ルーパ7が針11a、11bに対して楕円運動を行なう。
本考案のルーパ装置は、ルーパ糸入口34からルーパ剣先糸出口35までルーパ糸通しのためのパイプ29がルーパ溝36に組み込まれた上ルーパ7と、上ルーパ7を上ルーパ駆動部14に位置調節自在に連結するとともにパイプ29を保持するためのルーパ取付腕30とを備えている。なお、Pはルーパ剣先を示す。
ルーパ取付腕30にはルーパ取付腕30とは別体でパイプ29をパイプ保持穴40で保持するためのパイプ保持プレート37が設けられている。
また、パイプ保持プレート37には係合爪38がバネ39で揺動自在に枢支されている。この目的で係合爪38はその一端をピン41が係合爪枢支穴42に枢着され、バネ39はその一端が係合爪38のバネ留め43に、他端がパイプ保持プレート37のバネ留め44に掛けられて係合爪38を揺動自在に弾撥している。
係合爪38の使用にあたって、上ルーパ7に上ルーパ糸を糸通しすることなく下ルーパ糸を掬って上昇し、針に絡げることによって別の縫目(2本糸縁かがり縫)を縫製するときには、係合爪38の先端カギ45を上ルーパ7のルーパ剣先糸出口35に嵌合すればよい(特開昭54−143370号公報、特開2009−297186号公報)。
パイプ保持プレート37はルーパ取付腕30の止ネジ穴32に止ネジ33で螺着することにより着脱自在に取着されている。
なお、図2に示すように、下ルーパ駆動部16の構成において、駆動軸5には下ルーパ駆動傾斜カム43が固定され、下ルーパ駆動傾斜カム43には下ルーパ駆動二又44に取り付けられたカムフォロアであるローラ45が係合されている。下ルーパ駆動二又44は下ルーパ駆動軸46にピン47により枢着されている。下ルーパ駆動軸46には下ルーパ8が固定されている。
このように構成された下ルーパ8は、駆動軸5の回転に伴って、下ルーパ駆動傾斜カム43、下ルーパ駆動二又44、ローラ45、下ルーパ駆動軸46からなる下ルーパ駆動部16によって駆動され、下ルーパ8は針11a、11bに対して上ルーパ7に同期して揺動運動を行なう。
また、図1−図2において、42は駆動軸5に設けられた針駆動偏心カム41から針駆動機構12を駆動するための針駆動ロッドである。
なお、ルーパ糸入口34からルーパ剣先糸出口35までルーパ糸通しのためのパイプ29にルーパ糸を糸通しするルーパ糸通し機構の具体的構造及び動作は公知(特許文献1、特許文献2)であるので、その詳細は説明を省略する。
このように構成されたルーパ装置において、針11a、11b、上ルーパ7、下ルーパ8への糸通しが完了した後、駆動軸5の回転に伴って、針駆動機構12、布送り機構4及びルーパ駆動機構10の上ルーパ駆動部14及び下ルーパ駆動部16がそれぞれ駆動され、縫目形成装置20による縫目形成にあたっては、針11a、11bが上死点から降下し最下点より上昇するとき針糸を下ルーパ8の剣先で掬い、針糸は下ルーパ8に掛け止られたまま、下ルーパ8が前進しながら上ルーパ7が最下点より上昇して下ルーパ8の下ルーパ糸を掬い、下ルーパ糸が掛け留められた上ルーパ7が上死点に到達した後に後退降下するとき上死点より降下する針11a、11bが上ルーパ7の上ルーパ糸を掬って布を貫通した後に上ルーパ7が降下しながら上ルーパ7に掛け留められた下ルーパ糸が抜けて外れた後に下ルーパ8は後退しながら掛け留めていた針糸が下ルーパ8より抜けて外れることにより縁かがり縫目を形成する。
また、係合爪38を使用して、上ルーパ7に上ルーパ糸を糸通しすることなく下ルーパ糸を掬って上昇し、針に絡げることによって別の縫目(2本糸縁かがり縫)を縫製するときには、係合爪38の先端カギ45を上ルーパ7のルーパ剣先糸出口35に嵌合すればよい。
なお、このような縁かがり縫目自体の形成手法は公知である(特許第3877829号公報)。
このように構成されたルーパ装置によれば、ルーパ装置の上ルーパ7は、ルーパ取付腕に上ルーパ取付軸に取付るためのピンのみを形成して薄く、小型の金属体で構成し、ルーパ取付腕とは別体でパイプを保持するためのパイプ保持プレートが着脱自在に取着した構成により、ルーパ取付腕自体が簡素化構造とされ、かつルーパ取付腕自体がその体積を減少できるため、上ルーパ全体の重量の軽量化が図られ、上ルーパの楕円運動における慣性モーメントを低減して上ルーパ駆動部(上ルーパ駆動傾斜カムおよび上ルーパ駆動二又に取り付けられたカムフォロアであるローラ)にかかる負荷を低減できるので、上ルーパ駆動部の耐久性を向上させるとともに、上ルーパの高速楕円運動が軽便、円滑に行なわれることから理想的で美麗な縫目を形成することができる。
また、ルーパ駆動部へ連結するためのピンのみを形成し、ルーパ溝が形成されるルーパ取付腕をもつ上ルーパ装置の製造にあたっては、その構成が上ルーパ、ルーパ取付腕及びピンのみという一体的な構造に簡素化されるので、鍛造で容易に製造できる。したがって、上ルーパの製造が鍛造工程だけの作業で実行できるので製造コストを低減でき生産性が高くなる。
本考案におけるミシンのルーパ装置は、ルーパに加圧気体を利用して自動的に糸通しする縁かがりミシンに好適に適用可能である。
7・・・上ルーパ
14・・・ルーパ駆動部
29・・・パイプ
30・・・ルーパ取付腕
34・・・ルーパ糸入口
35・・・ルーパ剣先糸出口
37・・・パイプ保持プレート

Claims (1)

  1. ルーパ糸入口からルーパ剣先糸出口までルーパ糸通しのためのパイプが組み込まれた上ルーパと、
    前記上ルーパをルーパ駆動部に位置調節自在に連結するとともに前記パイプを保持するためのルーパ取付腕とを備え、
    前記ルーパ取付腕には前記ルーパ取付腕とは別体で前記パイプを保持するためのパイプ保持プレートを設け、
    前記パイプ保持プレートは前記ルーパ取付腕に着脱自在に取着されることを特徴とするミシンのルーパ装置。
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