JP3165186B2 - 光治療装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は光の凝固作用等を利用す
る光治療装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】光治療装置本体からの治療光を光ファイ
バケ−ブルでプロ−ブや顕微鏡等のデリバリユニットに
導き、患者の患部に照射して治療をする光治療装置が知
られている。この光治療装置本体は、その重量や冷却機
構等の問題から、簡単に移動させることはできない。

【０００３】光治療装置を処置室や手術室、複数の手術
室等異なった場所で使用するには、複数の光治療装置を
用意する外、光ファイバケ−ブルを延長するとともに、
光治療装置本体から制御用通信線を引き出してコントロ
−ルボックスを設ける構成の装置が知られている。ま
た、本出願人は特願平２−３１２００６号（発明の名称
「光凝固用アダプタ」）において、光ファイバケ−ブル
に半導体レ−ザ光の出力を補う光凝固用アダプタを設け
るとともに、このアダプタと光治療装置本体とを通信ケ
−ブルにより結んだ装置が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のコント
ロ−ルボックスやアダプタは、手術の都合上頻繁に移動
させるが、この際両ケ−ブルがからまったりする等の不
便があり、これらはケ−ブルの断線等の原因ともなる。
また、異なった場所のコントロ−ルボックスへの通信用
ケ−ブルは、外部からの電磁的、静電的影響を受けやす
く、誤動作の原因となり、また信号の減衰も起きるとい
う欠点があった。本発明は上記欠点に鑑み案出されたも
ので、コントロ−ルボックスやアダプタを移動する際の
断線等の物理的不便の軽減と、異なった場所へのケ−ブ
ルの付設の際の電磁的、静電的影響をなくすこととを実
現できる安全な光治療装置を提供することを技術課題と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の光凝固装置は上
記目的を達成するために以下の特徴を有する。即ち、 （１） 制御用操作部を有し光治療光を供給する光治療
装置本体と、該光治療装置本体からの光治療光をデリバ
リユニットに導く光ファイバケ−ブルとを有する光治療
装置において、前記光治療装置本体とデリバリユニット
に光ファイバケ−ブルで結ばれた光中継部と、該光中継
部に設けられた第２制御用操作部と、前記光治療装置本
体及び光中継部にそれぞれ配置された光信号を送受信す
る光通信手段と、該光通信手段による光信号を前記光フ
ァイバケ−ブルを介して行うための導光光学系とを有す
ることを特徴としている。

【０００６】（２） （１）の光治療光は半導体レ−ザ
光であり、前記光中継部にはその出力を補うための半導
体レ−ザを配置したことを特徴としている。

【０００７】（３） （１）の導光光学系は、光信号を
受光する受光手段の前側には治療光を除去するためのフ
ィルタを設けたことを特徴としている。

【０００８】（４） （３）のフィルタは、バンドパス
フィルタであることを特徴としている。

【０００９】（５） （１）の光治療装置は眼科用のレ
−ザ治療装置であることを特徴としている。

【００１０】

【実施例１】本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。図１は光凝固装置本体１とコントロ−ルボックス２
のブロック図である。 （レ−ザ光凝固装置本体）装置本体の光学系は以下のよ
うに構成されている。３は本体内に設けられたアルゴン
レ−ザであり４８８nm，５１４．５nmの波長の光を出射
する。４は光路を開閉する安全シャッタであり、５はレ
−ザ光をエイミング光として使用するための減衰フィル
タである。６は４８８nm，５１４．５nmの波長の光を透
過し１３００nmの光を反射するダイクロイックミラ−で
ある。７は集光レンズであり、レ−ザ光を光ファイバ８
の端面に集光する。９はレ−ザ光の一部を反射するビ−
ムスプリッタであり、その反射光は集光レンズ１０によ
り受光素子１１に入射し、その検出値はレ−ザ出力のモ
ニタリングに使用される。１２は１３００nmの波長のレ
−ザ光を出射する半導体レ−ザであり、送信用光源とし
て利用する。１３はコリメ−ティングレンズ、１４はハ
−フミラ−である。ハ−フミラ−１４の変りにポラライ
ザ等を用いても良い。１５は１３００nmの波長の光を透
過するバンドパスフィルタであり、１６はコントロ−ル
ボックス２の送信光を受光素子１７に集光するための集
光レンズである。

【００１１】次に、装置本体の制御系を説明する。２０
はレ−ザ光の出力等治療条件の設定スイッチや安全スイ
ッチを配置する操作部であり、操作部２０からの信号は
マイクロコンピュ−タ２１に入力される。マイクロコン
ピュ−タ２１の信号はＤ／Ａ変換器２２を介してレ−ザ
駆動部２３に送られ、レ−ザ３の動作を制御する。レ−
ザの出力は受光素子１１及び出力モニタ回路２４により
監視され、その出力信号はレ−ザ駆動部２３で指令出力
と比較・調整されるとともに、Ａ／Ｄ変換器２５を介し
てマイクロコンピュ−タ２１にも送られ、レ−ザの異常
出力がモニタリングされる。また、マイクロコンピュ−
タ２１は、シャッタ駆動部２６を介して安全シャッタ４
を、フィルタ駆動部２７を介して減衰フィルタ５をそれ
ぞれ制御する。２８は半導体レ−ザ１２の発光を制御す
る送信用レ−ザ駆動部、２９は受光素子１７の検出結果
を処理しコントロ−ルボックスからの送信信号を読み取
る受信回路である。

【００１２】（コントロ−ルボックス）３０は光ファイ
バ８の出射光を平行光束にするコリメ−ティングレンズ
であり、３１は４８８nm，５１４．５nmの波長の光を透
過し１３００nmの波長の光を反射するダイクロイックミ
ラ−である。３２は光束の一部を反射するビ−ムスプリ
ッタであり、その反射光量は集光レンズ３３を介して受
光素子３４で検出され、光ファイバ８から出射するレ−
ザ出力を検出し、光ファィバ８の異常等を検知する。３
５は１３００nmの波長の光をカットするフィルタで、送
信用レ−ザ光がデリバリユニットに入射するのを防止す
る。３６は集光レンズであり、アルゴンレ−ザ光をファ
イバ３７の端面に集光する。ファイバ３７はレ−ザ光を
デリバリユニット３８に導光する。３９は１３００nmの
波長のレ−ザ光を出射する送信用半導体レ−ザである。
４０はコリメ−ティングレンズ、４１はハ−フミラ−で
ある。４２は１３００nmの波長の光を透過するバンドパ
スフィルタ、４３は集光レンズ、４４は受信用の受光素
子である。

【００１３】コントロ−ルボックス２の制御系は次のよ
うに構成されている。４５は操作用スイッチからなる操
作部であり、操作部４５からの信号は直接又はＡ／Ｄ変
換器４６を介してマイクロコンピュ−タ４７に送られ
る。受光素子３４で検出された光量は、入力モニタ回路
４８に入力され、Ａ／Ｄ変換器４６を介してマイクロコ
ンピュ−タ４７に送られる。マイクロコンピュ−タ４７
は送信用レ−ザ駆動部５０を介して送信用半導体レ−ザ
３９を発光させ、出力情報をレ−ザ光凝固装置本体１に
送信する。トリガスイッチ５１の信号を受けたマイクロ
コンピュ−タ４７は、レ−ザ光凝固装置本体１に送信し
術者眼保護フィルタ５２を術者の観察光学系中に挿入す
るとともに減衰フィルタ５を光路外に退出させる。コン
トロ−ルボックス２から本体１への送信は、送信用レ−
ザ駆動部５０を介して送信用半導体レ−ザ３９を発光さ
せることにより行い、本体１からのコントロ−ルボック
ス２の受信は、受光素子４４の検出結果を信号処理回路
５３により処理して行う。

【００１４】

【実施例２】図２は本発明の第２実施例である光凝固装
置本体とアダプタのブロック図である。 （光凝固装置本体） ６０は８００nmの波長をもつ治療光を出射する半導体レ
−ザであり、図では省略してあるが２個の光源を光学部
材により合成したものである。６１はコリメ−ティング
レンズであり、半導体レ−ザ６０から出射した光を平行
光束にする（なお、省略しているが非点収差はシリンド
リカルレンズにより除去することが望ましい）。６２は
レ−ザ光の一部を反射するビ−ムスプリッタであり、反
射光は集光レンズ６３を介して受光素子６４に入射す
る。６５は治療光である半導体レ−ザ光の光路の開閉を
行うシャッタである。６６は８００nmの波長の光を透過
し、１３００nmの波長の光を反射するダイクロイックミ
ラ−である。６７は８００nm以上の波長の光を透過し、
６３０〜６７０nmの波長の光を反射するダイクロイック
ミラ−であり、ダイクロイックミラ−６７は半導体レ−
ザ６８で発光されコリメ−ティングレンズ６９により平
行光束とされたエイミング光と治療光とを同軸にする。
７０は半導体レ−ザ光を光ファイバ７１に入光させる集
光レンズである。７２は１３００nmの波長のレ−ザ光を
出射する半導体レ−ザ、７３はコリメ−ティングレン
ズ、７４はハ−フミラ−であり、コリメ−ティングレン
ズ７３で平行光束となりハ−フミラ−７４で反射した半
導体レ−ザ光はダイクロイックミラ−６６で反射した
後、集光レンズ７０によりファイバ７１に入射する。７
５は１３００nmの波長の光を透過するバンドパスフィル
タ、７６は集光レンズ、７７は受光素子である。

【００１５】制御系は、エイミング光を作り出すのに減
衰フィルタの代わりに可視レ−ザを用いている点に基づ
く相違を別にすると、実施例１のほぼ同一であるのでそ
の説明は省略する。

【００１６】（アダプタ）８０は光ファイバ７１からの
出射光を平行光束にするコリメ−ティングレンズであ
る。８１は６３０〜６７０nm、８００nmの光を透過し、
１３００nmの光を反射するダイクロイックミラ−で、通
信用の受発光光路を治療用の光路と共用するためのもの
である。通信用の光学系は、１３００nmの波長をもつ半
導体レ−ザ８２、コリメ−ティングレンズ８３、ハ−フ
ミラ−８４、１３００nmの光を透過するバンドパスフィ
ルタ８５、コリメ−ティングレンズ８６、受光素子８７
からなる。入力モニタ光学系は、レ−ザ光の一部を反射
するビ−ムスプリッタ８８、コリメ−ティングレンズ８
９及び受光素子９０からなる。９１は半導体レ−ザ７２
が出射する波長の光をカットするフィルタである。９２
は８００nmの波長の光を発振する治療用の半導体レ−ザ
であり、このレ−ザ光はコリメ−ティングレンズ９３で
平行光束にされる。９４はビ−ムスプリッタ、９５は集
光レンズ、９６は受光素子であり、これらは半導体レ−
ザ９２の出力検出用光学系を構成する。９７は治療光の
光路を開閉するシャッタである。９８は領域により透過
特性を異にするミラ−であり、その中心部において本体
からのレ−ザ光を反射し、周辺部において半導体レ−ザ
９２の光を透過する。このため図上からは明らかではな
いが、半導体レ−ザ９２の光路と本体からのレ−ザ光路
とは非同軸に構成されており、これらのレ−ザ光は集光
レンズ９９によりフィバ１００に入射した後同軸化され
る（詳しくは特願平２−３１２００６参照）。

【００１７】次に、制御系について説明する。操作部１
０１の操作信号に基づいて、マイクロコンピュ−タ１０
２は送信用レ−ザ駆動部１０３を介して半導体レ−ザ８
２を駆動し、装置本体に送信信号を送るとともに、Ｄ／
Ａ変換器１０４を介して半導体レ−ザ９２のレ−ザ駆動
回路１０５に指令する。また、入力された受光素子９０
の検出信号に基づいて、入力モニタ回路１０６は光ファ
イバ７１の出射光の出力をモニタし、マイクロコンピュ
−タ１０２は出力が十分でないときは出力を上げるよう
に指令し、また異常が認められるときはシャッタ６５を
閉じるよう装置本体に指令するとともに操作部１０１に
異常を表示する。１０７は半導体レ−ザ９２の出力をモ
ニタするための出力モニタ回路である。また、トリガス
イッチ１０８からの信号を受け取ったマイクロコンピュ
−タ１０２は術者眼保護フィルタ１１０を制御するとと
もに、シャッタ６５（場合によりシャッタ駆動回路１０
９を介してシャッタ９７も）を開ける。

【００１８】以上説明した実施例は種々の光治療装置に
応用することができる事は明らかである。また、本実施
例の光学系及び制御系は種々の変容が可能であり、本発
明と技術的思想を同一にする限り、これらの変容も本発
明に含まれるものである。

【００１９】

【発明の効果】本発明の光治療装置によれば、コントロ
−ルボックスやアダプタを移動する際の断線等の物理的
不便の軽減と、異なった場所へのケ−ブルの付設の際の
電磁的、静電的影響をなくすこととを実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】光凝固装置本体１とコントロ−ルボックス２の
ブロック図である。

【図２】光凝固装置本体とアダプタのブロック図であ
る。

【符号の説明】

３ アルゴンレ−ザ ８，７１ 光ファイバ １２，３９，７２，８２ 送信用半導体レ−ザ １７，４４，７７，８７ 受信用受光素子

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 制御用操作部を有し光治療光を供給する
   光治療装置本体と、該光治療装置本体からの光治療光を
   デリバリユニットに導く光ファイバケ−ブルとを有する
   光治療装置において、前記光治療装置本体とデリバリユ
   ニットに光ファイバケ−ブルで結ばれた光中継部と、該
   光中継部に設けられた第２制御用操作部と、前記光治療
   装置本体及び光中継部にそれぞれ配置された光信号を送
   受信する光通信手段と、該光通信手段による光信号を前
   記光ファイバケ−ブルを介して行うための導光光学系と
   を有することを特徴とする光治療装置。
2. 【請求項２】 請求項１の光治療光は半導体レ−ザ光で
   あり、前記光中継部にはその出力を補うための半導体レ
   −ザを配置したことを特徴とする光治療装置。
3. 【請求項３】 請求項１の導光光学系は、光信号を受光
   する受光手段の前側には治療光を除去するためのフィル
   タを設けたことを特徴とする光治療装置。
4. 【請求項４】 請求項３のフィルタはバンドパスフィル
   タであることを特徴とする光治療装置。
5. 【請求項５】 請求項１の光治療装置は眼科用のレ−ザ
   治療装置であることを特徴とする光治療装置。