JP3164312B2 - ポリウレタンおよびそれに用いるポリシロキサン側鎖含有高分子ジオール - Google Patents

ポリウレタンおよびそれに用いるポリシロキサン側鎖含有高分子ジオール

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JP3164312B2 JP09347591A JP9347591A JP3164312B2 JP 3164312 B2 JP3164312 B2 JP 3164312B2 JP 09347591 A JP09347591 A JP 09347591A JP 9347591 A JP9347591 A JP 9347591A JP 3164312 B2 JP3164312 B2 JP 3164312B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリウレタンお
よびその原料として用いるポリシロキサン側鎖含有高分
子ジオールに関する。
【0002】本発明により提供されるポリウレタンは、
ポリエステル系またはポリカーボネート系のポリウレタ
ンが本来有する高い機械的強度を保持しながら、耐摩耗
性、撥水性、潤滑性等において改善された表面特性を有
することから、機械部品、チューブ、ホース、フイルム
などの成形品の素材などとして有用である。
【0003】
【従来の技術】ポリウレタン樹脂に撥水性、表面平滑性
などの特異な表面特性を恒久的に付与する手段として、
ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなど
の高分子ジオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤と
のウレタン化反応において分子中に1個または2個の水
酸基を有するポリシロキサン化合物を併用することによ
って製造されるポリシロキサン鎖を有する変性ポリウレ
タンが提案されている(特開昭62−195389号公
報、特開昭63−286466号公報、特開昭64−4
3520号公報、特開平2−60935号公報等参
照)。かかる変性ポリウレタンは、ポリシロキサン鎖を
ソフトセグメントの一種として有するか、またはハード
セグメントから分岐した側鎖として有するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの検討によ
れば、上記公知のポリシロキサン鎖をソフトセグメント
の一種として有する変性ポリウレタンおよびポリシロキ
サン鎖をハードセグメントから分岐した側鎖として有す
る変性ポリウレタンでは、撥水性、表面平滑性などの表
面特性の改善効果を向上させるためにポリシロキサン鎖
の割合を増大させると、それに伴って機械的強度の低下
が著しくなることが判明した。
【0005】しかして、本発明の目的の一つは、高い機
械的強度と耐摩耗性、撥水性、潤滑性等において優れた
表面特性を有する新規なポリウレタンを提供することに
あり、本発明の他の目的は、該ポリウレタンを与える新
規な原料化合物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的の一つは、主鎖が、主として(a)実質的に下記化
11で示される構造単位(I−1)または化12で示さ
れる構造単位(I−2)と下記構造単位(II−1)と下
記化14で示される構造単位(III−1)または化15
で示される構造単位(III−2)とからなり、構造単位
(I−1)、(I−2)、(II−1)、(III−1)およ
び(III−2)はエステル結合またはカーボネート結合
を形成して相互に結合しており、構造単位(III−1)
および(III−2)に由来するケイ素原子を0.3〜2
5重量%含有し、主鎖両末端にそれぞれ水酸基を有し、
かつ数平均分子量が500〜10,000であるポリシ
ロキサン側鎖含有高分子ジオールからその主鎖両末端に
位置する水酸基中のそれぞれ1個の水素原子を除いた形
の高分子ジオール単位[a];(b)下記化16で示さ
れる構造単位(IV);ならびに所望により、(c)実質
的に構造単位(I−2)または下記化13で示される構
造単位(I−3)と下記構造単位(II−2)とからな
り、構造単位(I−2)、(I−3)および(II−2)は
エステル結合またはカーボネート結合を形成して相互に
結合しており、主鎖両末端にそれぞれ水酸基を有し、か
つ数平均分子量が500〜10,000である高分子ジ
オールからその主鎖両末端に位置する水酸基中のそれぞ
れ1個の水素原子を除いた形の高分子ジオール単位
[c]、および/または(d)下記構造単位(V)から
なり、高分子ジオール単位[a]のモル百分率と高分子
ジオール単位[c]のモル百分率と構造単位(V)のモ
ル百分率の和が構造単位(IV)のモル百分率に実質的に
等しく、構造単位(V)の重量百分率が30重量%以下
であり、かつケイ素原子を0.1〜20重量%含有する
対数粘度0.5〜1.5dl/gのポリウレタンを提供
することによって達成される。
【0007】
【化11】
【0008】(化11中、R1は2価の炭化水素基を表
す)
【0009】
【化12】
【0010】
【化13】
【0011】(化13中、R2は2価の炭化水素基を表
す)
【0012】 −O−R3−O− (II−1)
【0013】(式中、R3は2価の炭化水素基を表す)
【0014】 −O−R4−O− (II−2)
【0015】(式中、R4は2価の炭化水素基を表す)
【0016】
【化14】
【0017】(化14中、R5は炭素数3〜6のアルカ
ントリイル基を表し、R6はアルキレン基を表し、R7
8、R9、R10およびR11はそれぞれ炭素数1〜6のア
ルキル基またはアリール基を表し、mは5〜70の数を
表す)
【0018】
【化15】
【0019】(化15中、R3、R5、R6、R7、R8
9、R10、R11およびmは前記定義のとおりである)
【0020】
【化16】
【0021】(化16中、R12は2価の有機基を表す)
【0022】 −A− (V)
【0023】(式中、Aは2個の活性水素原子を含有す
る分子量400以下の化合物から該2個の活性水素原子
を除いた形の2価の有機基を表す)
【0024】本発明の他の目的は、上記ポリシロキサン
側鎖含有高分子ジオールを提供することにより達成され
る。
【0025】構造単位(I−1)中の2価の炭化水素基
および構造単位(I−3)中の2価の炭化水素基R2
としては、それぞれ、エチレン基、トリメチレン基、テ
トラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン
基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基などの炭素数
2〜12のアルキレン基;o−フェニレン基、m−フェ
ニレン基、p−フェニレン基、ナフチレン基などの炭素
数6〜10のアリーレン基;1,4−シクロヘキシレン
基などの炭素数5〜10のシクロアルカンジイル基など
が例示される。構造単位(II−1)および(III−2)
中の2価の炭化水素基R3および構造単位(II−2)中
の2価の炭化水素基R4としては、それぞれ、エチレン
基、プロピレン基、テトラメチレン基、2−メチルトリ
メチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、3
−メチルペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチ
レン基、ノナメチレン基、2−メチルオクタメチレン
基、デカメチレン基などの炭素数2〜14のアルキレン
基などが例示される。構造単位(III−1)および(III
−2)中の炭素数3〜6のアルカントリイル基R5とし
ては、1,2,3−プロパントリイル基、下記化17
【0026】
【化17】
【0027】(化17中、R13は水素原子、メチル基ま
たはエチル基を表す)
【0028】で示されるアルカントリイル基などが例示
される。構造単位(III−1)および(III−2)中のア
ルキレン基Rとしては、エチレン基、トリメチレン基
などの炭素数2〜6のアルキレン基などが例示される。
構造単位(III−1)および(III−2)中の基R7
8、R9、R10およびR11が表すことのある炭素数1〜
6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基などが例示され、また
基R7、R8、R9、R10およびR11が表すことのあるア
リール基としては、フェニル基、メチルフェニル基など
の炭素数6〜8のアリール基などが例示される。なお一
般式−OSiR910−で示される各繰り返し単位中の
基R9は相互に異なっていてもよく、基R10も相互に異
なっていてもよい。構造単位(III−1)の代表例とし
ては、下記化18
【0029】
【化18】
【0030】(化18中、mは前記定義のとおりであ
る)
【0031】で示される構造単位(III−1')、下記化
19
【0032】
【化19】
【0033】(化19中、mは前記定義のとおりであ
る)
【0034】で示される構造単位(III−1")などが挙
げられる。構造単位(III−2)の代表例としては、下
記化20
【0035】
【化20】
【0036】(化20中、mは前記定義のとおりであ
る)
【0037】で示される構造単位(III−2')などが挙
げられる。なお構造単位(III−1)または構造単位(I
II−2)の代りに、下記化21
【0038】
【化21】
【0039】(化21中、R5、R6、R7、R8、R9
10、R11およびmは前記定義のとおりである)
【0040】で示される構造単位または下記化22
【0041】
【化22】
【0042】(化22中、R3、R5、R6、R7、R8
9、R10、R11およびmは前記定義のとおりである)
【0043】で示される構造単位を含む場合には、含ま
れるC−O−Si部分が加水分解反応によって切断され
易いことから、ポリウレタンの耐摩耗性などの表面特性
が低下するので好ましくない。
【0044】本発明のポリウレタンを構成する構造単位
の一つである高分子ジオール単位[a]は、実質的に上
記の構造単位(I−1)または(I−2)と構造単位
(II−1)と構造単位(III−1)または(III−2)と
からなるが、該高分子ジオール単位[a]において、構
造単位(III−1)のモル百分率と構造単位(III−2)
のモル百分率の和は通常0.4〜10モル%の範囲内で
ある。ポリウレタンの耐摩耗性などの表面特性と機械的
強度の両方が良好となる点において、高分子ジオール単
位[a]中のケイ素原子含有率は0.3〜25重量%の
範囲内であることが必要であり、1〜20重量%の範囲
内であることが好ましい。
【0045】高分子ジオール単位[a]を与えるポリシ
ロキサン側鎖含有高分子ジオールの数平均分子量は50
0〜10,000の範囲内である。数平均分子量が50
0未満の場合には、ポリウレタンの耐寒性、低温特性お
よび可撓性が不十分となり、また数平均分子量が10,
000を越える場合には、ポリウレタンの力学的性能が
不十分となる。
【0046】高分子ジオール単位[a]には、実質的に
構造単位(I−1)、構造単位(II−1)および構造単
位(III−1)からなるポリエステルジオール単位(以
下、かかるポリエステルジオール単位を高分子ジオール
単位[a−1]と称する)、実質的に構造単位(I−
2)、構造単位(II−1)および構造単位(III−1)
からなるポリカーボネートジオール単位(以下、かかる
ポリカーボネートジオール単位を高分子ジオール単位
[a−2]と称する)、実質的に構造単位(I−2)、
構造単位(II−1)および構造単位(III−2)からな
るポリカーボネートジオール単位(以下、かかるポリカ
ーボネートジオール単位を高分子ジオール単位[a−
3]と称する)などが包含される。
【0047】構造単位(IV)中の2個の有機基R12とし
ては、ヘキサメチレン基などの2価の飽和脂肪族炭化水
素基;イソホロンジイル基、ジシクロヘキシルメタン−
4,4’−ジイル基などの2価の飽和脂環式炭化水素
基;ジフェニルメタン−4,4′−ジイル基、p−フェ
ニレン基、メチルフェニレン基、1,5−ナフチレン
基、キシレン−α,α’−ジイル基などの2価の芳香族
炭化水素基などが好ましい。
【0048】本発明のポリウレタンの主鎖は、上記のと
おり、特定の高分子ジオール単位[a]と構造単位(I
V)とを必須の構造単位として含有するが、これらの構
造単位に加えて高分子ジオール単位[c]および/また
は構造単位(V)を含有していてもよい。
【0049】高分子ジオール単位[c]には、実質的に
構造単位(I−3)および構造単位(II−2)からなる
ポリエステルジオール単位(以下、かかるポリエステル
ジオール単位を高分子ジオール単位[c−1]と称す
る)、実質的に構造単位(I−2)および構造単位(II
−2)からなるポリカーボネートジオール単位(以下、
かかるポリカーボネートジオール単位を高分子ジオール
単位[c−2]と称する)などが包含される。高分子ジ
オール単位[c]を与えるポリエステルジオール、ポリ
カーボネートジオールなどの高分子ジオールの数平均分
子量は500〜10,000の範囲内である。数平均分
子量が500未満である場合にはポリウレタンの耐寒
性、低温特性および可撓性が不十分となることがあり、
また数平均分子量が10,000を越える場合にはポリ
ウレタンの力学的性能が不十分となることがある。高分
子ジオール単位[c]の含有率は本発明のポリウレタン
に対して75重量%以下であることが望ましい。
【0050】構造単位(V)を与える一般式
【0051】H−A−H
【0052】(式中、Aは前記定義のとおりである)
【0053】で示される2個の活性水素原子を含有する
分子量400以下の化合物には、通常のポリウレタンの
製造において鎖伸長剤として使用されているものが包含
される。その代表例としては、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、キシリレング
リコ−ル、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベ
ンゼン、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート
などのジオール;3,3’−ジクロロ−4,4’−ジア
ミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、4,4’
−ジアミノジフェニルメタン、エチレンジアミンなどの
ジアミン;ヒドラジン;ピペラジンなどの2個のイミノ
基を環式構造の中に含む複素環化合物;アジピン酸ジヒ
ドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジヒドラジ
ドなどの低分子化合物が挙げられる。構造単位(V)の
含有率は本発明のポリウレタンに対して20重量%以下
であり、熱可塑性が良好なポリウレタンを得る目的にお
いては、2〜15重量%の範囲内であることが望まし
い。なお、本明細書において活性水素原子とは、イソシ
アナート基と反応しうる水素原子を意味する。
【0054】本発明のポリウレタンの主鎖は、主として
上記高分子ジオール単位[a]、構造単位(IV)ならび
に所望により含有される高分子ジオール単位[c]およ
び/または構造単位(V)がウレタン結合または尿素結
合を形成して結合することによって構成される。本発明
のポリウレタンにおいて、高分子ジオール単位[a]の
モル百分率、高分子ジオール単位[c]のモル百分率お
よび構造単位(V)のモル百分率の和は、構造単位(I
V)のモル百分率と実質的に等しい。本発明のポリウレ
タンにおけるケイ素原子の含有率は0.1〜20重量%
の範囲内である。ケイ素原子の含有率が0.1重量%未
満である場合にはポリウレタンは十分な表面特性を発現
することができず、またケイ素原子の含有率が20重量
%を越える場合にはポリウレタンの機械的強度が不十分
となる。
【0055】本発明のポリウレタンは濃度0.5g/1
00mlのジメチルホルムアミド溶液として30℃で求
めた対数粘度が0.5〜1.5dl/gの範囲内であ
る。かかる範囲内のポリウレタンは熱可塑性が良好であ
り、射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形および
熱加工に好適である。ポリウレタンの成形加工性および
力学的性能が特に良好となる点から、ポリウレタンの対
数粘度は0.6〜1.2dl/gの範囲内であることが
好ましい。
【0056】本発明のポリウレタンは、上記高分子ジオ
ール単位[a]を与える上記ポリシロキサン側鎖含有高
分子ジオールと構造単位(IV)を与える有機ジイソシア
ネート、すなわち一般式
【0057】 O=C=N−R12−N=C=O (VI)
【0058】(式中、R12は前記定義のとおりである)
【0059】で示される有機ジイソシアネートとを、高
分子ジオール単位[c]を与える高分子ジオールおよび
/または鎖伸長剤の存在下または不存在下に重合するこ
とにより製造される。
【0060】上記一般式(VI)で示される有機ジイソシ
アネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、
トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソ
シアネートなどの芳香族ジイソシアネート;キシリレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートな
どの脂肪族ジイソシアネート;またはイソホロンジイソ
シアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネートなどの脂環式ジイソシアネートが挙げられ
る。
【0061】高分子ジオール単位[c]を与える高分子
ジオールには、前記のとおり、高分子ジオール単位[c
−1]を与えるポリエステルジオール、高分子ジオール
単位[c−2]を与えるポリカーボネートジオールなど
が包含される。該ポリエステルジオールとしては、ポリ
テトラメチレンアジペートジオール、ポリエチレンアジ
ペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオー
ル、ポリ−3−メチルペンタメチレンアジペートジオー
ル、エチレングリコールとプロピレングリコールとをア
ルキレングリコール成分とするポリアルキレンアジペー
トジオール、1,9−ノナンジオールと2−メチル−
1,8−オクタンジオールとをアルキレングリコール成
分とするポリアルキレンアジペートジオール、ポリカプ
ロラクトンジオールなどの公知のポリエステルジオール
などが例示される。また該ポリカーボネートジオールと
しては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、
1,9−ノナンジオールと2−メチル−1,8−オクタ
ンジオールとをアルキレングリコール成分とするポリア
ルキレンカーボネートジオールなどの公知のポリカーボ
ネートジオールなどが例示される。
【0062】本発明のポリウレタンを製造するために採
用しうる重合条件としては、公知のウレタン生成反応に
採用される条件が適用される。例えば、上記のポリシロ
キサン側鎖含有高分子ジオールならびに要すれば高分子
ジオール単位[c]を与える高分子ジオールおよび/ま
たは鎖伸長剤を約50〜230℃で有機ジイソシアネー
トと反応させ、さらに要すれば既に使用したものと同種
または異種の鎖伸長剤を混合し、約20〜250℃で反
応させることにより本発明のポリウレタンが得られる。
なおウレタン化反応では、所望により通常のウレタン化
反応触媒、例えば有機スズ化合物、有機チタン化合物、
三級アミン類などを使用してもよい。また、上記反応は
有機ジイソシアネートに対して不活性な有機溶剤の存在
下に行つてもよい。その有機溶剤としては、例えばトル
エンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチルなどのエステ
ル;ジメチルホルムアミドなどのアミド;メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケト
ン;テトラヒドロフランなどの環状エーテル;トリクロ
ルエチレンなどのハロゲン化炭化水素等が単独で、また
は任意の混合物で用いられる。これらの例示された有機
溶剤は、イソプロパノール、エタノール、メタノール等
のアルコール類と混合して用いてもよい。有機溶剤の存
在下に反応を行う場合には、反応終了時における固形分
含有量が5〜90重量%となるように有機溶剤の使用量
を調整するのが一般的である。
【0063】ポリシロキサン側鎖含有高分子ジオールに
は、実質的に構造単位(I−1)、構造単位(II−1)
および構造単位(III−1)からなるポリエステルジオ
ール[以下、かかるポリエステルジオールを高分子ジオ
ール(A−1)と称する]、実質的に構造単位(I−
2)、構造単位(II−1)および構造単位(III−1)
からなるポリカーボネートジオール[以下、かかるポリ
カーボネートジオールを高分子ジオール(A−2)と称
する]、実質的に構造単位(I−2)、構造単位(II−
1)および構造単位(III−2)からなるポリカーボネ
ートジオール[以下、かかるポリカーボネートジオール
を高分子ジオール(A−3)と称する]などが包含され
る。該高分子ジオール(A−1)、高分子ジオール(A
−2)および高分子ジオール(A−3)は、それぞれ本
発明のポリウレタンにおいて、その分子中の高分子ジオ
ール単位(a−1)、高分子ジオール単位(a−2)お
よび高分子ジオール単位(a−3)を与えるポリシロキ
サン側鎖含有高分子ジオールである。
【0064】高分子ジオール(A−1)は、例えば、所
望の構造単位(I−1)を与えるモノマー、すなわち一
般式
【0065】 HOOC−R1−COOH (VII)
【0066】(式中、R1は前記定義のとおりである)
【0067】で示されるジカルボン酸またはそのエステ
ル形成性誘導体と;所望の構造単位(II−1)を与える
モノマー、すなわち一般式
【0068】 HO−R3−OH (VIII)
【0069】(式中、R3は前記定義のとおりである)
【0070】で示されるジオールと;所望の構造単位
(III−1)を与えるモノマー、すなわち下記化23
【0071】
【化23】
【0072】(化23中、R5、R6、R7、R8、R9
10、R11およびmは前記定義のとおりである)
【0073】で示されるポリシロキサン側鎖含有ジオー
ル(IX−1)または下記化24
【0074】
【化24】
【0075】(化24中、R13は炭素数1〜4のアルキ
レン基を表し、R6、R7、R8、R9、R10、R11および
mは前記定義のとおりである)
【0076】で示されるポリシロキサン鎖含有アルキレ
ンオキシド(IX−2)とを所定の割合で使用し、これら
を150〜250℃でエステル化反応またはエステル交
換反応に付し、得られた低重合体をさらに180〜25
0℃で重縮合反応に付することによって製造される。か
かる重縮合反応は通常、重縮合触媒の存在下に減圧下で
行われる。重縮合触媒としては、通常のポリエステルの
製造において使用される重縮合触媒を採用することがで
き、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキ
シチタン等のチタン化合物;ジ−n−ブチルスズジラウ
レート、ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジブチルスズ
ジアセテート等のスズ化合物;酢酸マグネシウム、酢酸
カルシウム、酢酸亜鉛等の酢酸の金属塩と酸化アンチモ
ンまたは上記チタン化合物との組合わせなどを例示する
ことができる。これらの重縮合触媒は生成物に対し1〜
500ppmの範囲内となるように用いるのが好まし
い。
【0077】高分子ジオール(A−2)は、例えば、構
造単位(I−2)を与えるモノマー、すなわちジアルキ
ルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレン
カーボネートなどの炭酸エステルと;所望の構造単位
(II−1)を与えるモノマー、すなわち一般式(VIII)
で示されるジオールと;所望の構造単位(III−1)を
与えるモノマー、すなわちポリシロキサン側鎖含有ジオ
ール(IX−1)とを所定の割合で使用し、これらを10
0〜230℃でエステル交換反応に付することによって
製造される。かかるエステル交換反応は、反応の進行状
況等に応じて常圧または減圧の任意の圧力下で行うこと
ができる。またエステル交換反応では、触媒は必ずしも
必要でないが、反応を速めたい場合には触媒を使用する
ことが望ましい。かかる触媒としては、通常のポリカー
ボネートの製造において使用されるエステル交換触媒を
採用することができ、テトライソプロポキシチタン、テ
トラ−n−ブトキシチタン等のチタン化合物;ジ−n−
ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズオキサイ
ド、ジブチルスズジアセテート等のスズ化合物;酢酸マ
グネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛等の酢酸の金属
塩と酸化アンチモンまたは上記チタン化合物との組合わ
せなどを例示することができる。これらの触媒は生成物
に対し1〜500ppmの範囲内となるように用いるの
が好ましい。
【0078】高分子ジオール(A−3)は、例えば、構
造単位(I−2)を与えるモノマー、すなわちジアルキ
ルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレン
カーボネートなどの炭酸エステルと;所望の構造単位
(II−1)および所望の構造単位(III−2)中の一般
【0079】 −O−R3−O− (III−2a)
【0080】(式中、R3は前記定義のとおりである)
【0081】で示される断片を与えるモノマー、すなわ
ち一般式(VIII)で示されるジオールと;所望の構造単
位(III−2)中の下記化25
【0082】
【化25】
【0083】(化25中、R5、R6、R7、R8、R9
10、R11およびmは前記定義のとおりである)
【0084】で示される断片(III−2b)を与えるモ
ノマー、すなわちポリシロキサン鎖含有アルキレンオキ
シド(IX−2)とを所定の割合で使用し、これらを10
0〜230℃で開還付加反応を伴うエステル交換反応に
付することによって製造される。かかるエステル交換反
応は、反応の進行状況等に応じて常圧または減圧の任意
の圧力下で行うことができる。またエステル交換反応で
は、触媒は必ずしも必要でないが、反応を速めたい場合
には触媒を使用することが望ましい。かかる触媒として
は、通常のポリカーボネートの製造において使用される
エステル交換触媒を採用することができ、テトライソプ
ロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン等のチタ
ン化合物;ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−
ブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテート等の
スズ化合物;酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸
亜鉛等の酢酸の金属塩と酸化アンチモンまたは上記チタ
ン化合物との組合わせなどを例示することができる。こ
れらの触媒は生成物に対し1〜500ppmの範囲内と
なるように用いるのが好ましい。
【0085】一般式(VII)で示されるジカルボン酸の
代表例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸な
どの飽和脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタ
ル酸、フタル酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸など
の芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸などの飽和脂環式ジカルボン酸などが挙げられ
る。該ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の代表例と
しては、上記例示のジカルボン酸のジメチルエステル、
ジエチルエステルなどのジ低級アルキルエステルなどが
挙げられる。
【0086】前記構造単位(I−2)を与える炭酸エス
テルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネートなどのジアルキルカーボネート;ジフェ
ニルカーボネートなどのジアリールカーボネート;およ
びエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど
のアルキレンカーボネートが挙げられる。
【0087】一般式(VIII)で示されるジオールの代表
例としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−
ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオー
ル、1,10−デカンジオールなどが挙げられる。
【0088】ポリシロキサン側鎖含有ジオール(IX−
1)の代表例としては、下記化26
【0089】
【化26】
【0090】(化26中、mは前記定義のとおりであ
る)
【0091】で示される化合物、下記化27
【0092】
【化27】
【0093】(化27中、mは前記定義のとおりであ
る)
【0094】で示される化合物などが挙げられる。
【0095】ポリシロキサン鎖含有アルキレンオキシド
(IX−2)の代表例としては、下記化28
【0096】
【化28】
【0097】(化28中、mは前記定義のとおりであ
る)
【0098】で示される化合物などが挙げられる。
【0099】本発明のポリウレタンは、ポリエステル系
またはポリカーボネート系のポリウレタンが本来有する
高い機械的強度を保持しながら、耐摩耗性、撥水性、潤
滑性等において改善された表面特性を有することから、
機械部品、チューブ、ホース、フイルムなどの成形品の
素材として有用であり、また合成皮革用樹脂、塗料原料
などとしても有用である。
【0100】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。
【0101】実施例および比較例において用いた化合物
は略号で示す。略号と化合物の関係を表1、表2および
表3に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】なお、高分子ジオールおよびポリウレタン
中のケイ素原子含有量は原子吸光法により測定した。ポ
リウレタン中の窒素原子含有量は元素分析法により測定
した。また、ポリウレタンの動摩擦係数はカトーテック
(株)製の摩擦感テスタ−KES−SEにより測定し
た。
【0106】またポリウレタンの機械的強度は、厚さ約
100μmのポリウレタンフイルムの引張強度および伸
度を島津製作所製オートグラフAG−B型で測定するこ
とにより評価した。
【0107】ポリウレタンの対数粘度は、ポリウレタン
を濃度0.5g/100mlのジメチルホルムアミド溶
液とし、その溶液を用いて30℃で求めた値である。
【0108】実施例1 AD350g、BD265gおよびXA550gを反応
器に仕込み、窒素気流下、210℃で生成する水を系外
に留去しながらエステル化反応を行った。水の留出がほ
とんどなくなった時点でテトライソプロポキシチタン
0.05gを加え、真空度を徐々に上げ1mmHgの真
空下で反応を完結させた。
【0109】得られた固体状物質は、水酸基価26.7
および酸価0.39を有し、またそのケイ素原子含有量
は18.6重量%であった。PBAとXAとを60℃で
混合しても両者は溶け合わず2相に分離するのに対し、
上記の得られた固体状物質は60℃で均一な液状を呈し
た。
【0110】1 H−NMRスペクトルデータ(CDCl3)δ 0ppm(Si−CH3) 1.6ppm(−CO−CH2−C2 −,−O−CH2
−C2 −) 2.3ppm(−CO−CH2−) 4.1ppm(−O−CH2−)
【0111】以上のことから、所望の数平均分子量42
00のポリシロキサン側鎖含有ポリエステルジオール
[高分子ジオール(A−1)に包含される]が得られた
ことが判明した。
【0112】実施例2〜4 表4に示すモノマーの所定量を使用する以外は実施例1
におけると同様にして、それぞれ固体状物質を得た。
【0113】得られた固体状物質の水酸基価、酸価およ
びケイ素原子含有量を表4に示す。これらの固体状物質
はいずれも、60℃で均一な液状を呈し、また1H−N
MRスペクトル(CDCl3)でδ値0ppmにSi−
CH3の吸収を示した。以上のことから、それぞれ表4
に示す数平均分子量を有する所望のポリシロキサン側鎖
含有ポリエステルジオール[高分子ジオール(A−1)
に包含される]が得られたことが判明した。
【0114】
【表4】
【0115】実施例5 AD350g、BD290gおよびYA450gを反応
器に仕込み、窒素気流下、210℃で生成する水を系外
に留去しながらエステル化反応を行った。水の留出がほ
とんどなくなった時点でテトライソプロポキシチタン
0.05gを加え、真空度を徐々に上げ1mmHgの真
空下で反応を完結させた。
【0116】得られた固体状物質は、水酸基価29.5
および酸価0.36を有し、またそのケイ素原子含有量
は17.2重量%であった。PBAとYAとを60℃で
混合しても両者は溶け合わず2相に分離するのに対し、
上記の固体状物質は60℃で均一な液状を呈した。
【0117】1 H−NMRスペクトルデータ(CDCl3)δ 0ppm(Si−CH3) 1.6ppm(−CO−CH2−C2 −,−O−CH2
−C2 −) 2.3ppm(−CO−CH2−) 4.1ppm(−O−CH2−)
【0118】以上のことから、数平均分子量3800の
所望のポリシロキサン側鎖含有ポリエステルジオール
[高分子ジオール(A−1)に包含される]が得られた
ことが判明した。
【0119】実施例6〜8 表5に示すモノマーの所定量を使用する以外は実施例5
におけると同様にして、それぞれ固体状物質を得た。
【0120】得られた固体状物質の水酸基価、酸価およ
びケイ素原子含有量を表5に示す。これらの固体状物質
はいずれも60℃で均一な液状を呈し、また1H−NM
Rスペクトル(CDCl3)でδ値0ppmにSi−C
3の吸収を示した。以上のことから、それぞれ、表5
に示す数平均分子量を有する所望のポリシロキサン側鎖
含有ポリエステルジオール[高分子ジオール(A−1)
に包含される]が得られたことが判明した。
【0121】
【表5】
【0122】実施例9 攪拌機、温度計および分留管を備えた反応器にHD53
0g、EC396gおよびXA550gを仕込み、さら
にテトライソプロポキシチタン0.05gを加え、21
0℃で生成するエチレングリコールを系外に留去しなが
ら縮合反応を行った。エチレングリコールの留出がほと
んどなくなった時点から5〜10mmHgの真空下でエ
チレングリコールを完全に留去した。
【0123】得られた固体状物質は、水酸基価27.3
および酸価0.1を有し、またそのケイ素原子含有量は
17.0重量%であった。PHCとXAとを60℃で混
合しても両者は溶け合わず2相に分離するのに対し、上
記の固体状物質は60℃で均一な液状を呈した。
【0124】1 H−NMRスペクトルデータ(CDCl3)δ 0ppm(Si−CH3) 1.35ppm(−OCOO−CH2CH2−C2 −) 1.6ppm(−OCOO−CH2−C2 −) 4.05ppm(−OCOO−CH2−)
【0125】以上のことから、数平均分子量4110の
所望のポリシロキサン側鎖含有ポリカーボネートジオー
ル[高分子ジオール(A−2)に包含される]が得られ
たことが判明した。
【0126】実施例10〜12 表6に示すモノマーの所定量を使用する以外は実施例9
におけると同様にして、それぞれ固体状物質を得た。
【0127】得られた固体状物質の水酸基価、酸価およ
びケイ素原子含有量を表6に示す。これらの固体状物質
はいずれも60℃で均一な液状を呈し、また1H−NM
Rスペクトル(CDCl3)でδ値0ppmにSi−C
3の吸収を示した。以上のことから、それぞれ、表6
に示す数平均分子量を有する所望のポリシロキサン側鎖
含有ポリカーボネートジオール[高分子ジオール(A−
2)に包含される]が得られたことが判明した。
【0128】
【表6】
【0129】実施例13
【0130】攪拌機、温度計および分留管を備えた反応
基にHD530g、EC390gおよびYA439gを
仕込み、さらにテトライソプロポキシチタン0.05g
を加え、210℃で生成するエチレングリコールを系外
に留去しながら縮合反応を行った。エチレングリコール
の留出がほとんどなくなった時点から5〜10mmHg
の真空下でエチレングリコールを完全に留去した。
【0131】得られた固体状物質は、水酸基価32.1
および酸価0.1を有し、またそのケイ素原子含有量は
15.2重量%であった。PHCとYAとを60℃で混
合しても両者は溶け合わず2相に分離するのに対し、上
記の固体状物質は60℃で均一な液状を呈した。
【0132】1 H−NMRスペクトルデータ(CDCl3)δ 0ppm(Si−CH3) 1.35ppm(−OCOO−CH2CH2−C2 −) 1.6ppm(−OCOO−CH2−C2 −) 4.1ppm(−OCOO−CH2−)
【0133】以上のことから、数平均分子量4110の
所望のポリシロキサン側鎖含有ポリカーボネートジオー
ル[高分子ジオール(A−3)に包含される]が得られ
たことが判明した。
【0134】実施例14〜16 表7に示すモノマーの所定量を使用する以外は実施例1
3におけると同様にして、それぞれ固体状物質を得た。
【0135】得られた固体状物質の水酸基価、酸価およ
びケイ素原子含有量を表7に示す。これらの固体状物質
はいずれも60℃で均一な液状を呈し、また1H−NM
Rスペクトル(CDCl3)でδ値0ppmにSi−C
の吸収を示した。以上のことから、それぞれ、表7
に示す数平均分子量を有する所望のポリシロキサン側鎖
含有ポリカーボネートジオール[高分子ジオール(A−
3)に包含される]が得られたことが判明した。
【0136】
【表7】
【0137】参考例1 AD332g、BD265gおよびZA45gを反応器
に仕込み、窒素気流下、210℃で生成する水を系外に
留去しながらエステル化反応を行った。水の留出がほと
んどなくなった時点でテトライソプロポキシチタン0.
05gを加え、真空度を徐々に上げ1mmHgの真空下
で反応を完結させた。
【0138】得られた固体状物質は、水酸基価56.0
および酸価0.33を有し、またそのケイ素原子含有量
は2.9重量%であった。PBAとZAとを60℃で混
合しても両者は溶け合わずに2相に分離するのに対し、
上記の固体状物質は60℃で均一な液状を呈した。
【0139】1 H−NMRスペクトルデータ(CDCl3)δ 0ppm(Si−CH3) 1.6ppm(−CO−CH2−C2 −,−O−CH2
−C2 −) 2.3ppm(−CO−CH2−) 4.1ppm(−O−CH2−)
【0140】以上のことから、ポリシロキサン鎖が主鎖
の一部を構成する数平均分子量2000のポリエステル
ジオールが得られたことが判明した。
【0141】参考例2 攪拌機、温度計および分留管を備えた反応器にHD28
7g、EC199gおよびZA54gを仕込み、さらに
テトライソプロポキシチタン0.05gを加え、210
℃で生成するエチレングリコールを系外に留去しながら
縮合反応を行った。エチレングリコールの留出がほとん
どなくなった時点から5〜10mmHgの真空下でエチ
レングリコールを完全に留去した。
【0142】得られた固体状物質は、水酸基価56.0
および酸価0.1を有し、またそのケイ素原子含有量は
5.0重量%であった。PHCとZAとを60℃で混合
しても両者は溶け合わず2相に分離するのに対し、上記
の固体状物質は60℃で均一な液状を呈した。
【0143】1 H−NMRスペクトルデータ(CDCl3)δ 0ppm(Si−CH3) 1.35ppm(−OCOO−CH2CH2−C2 −) 1.6ppm(−OCOO−CH2−C2 −) 4.1ppm(−OCOO−CH2−)
【0144】以上のことからポリシロキサン鎖が主鎖の
一部を構成する数平均分子量2000のポリカーボネー
トジオールが得られたことが判明した。
【0145】実施例17〜24 実施例1〜8で得られたポリシロキサン側鎖含有ポリエ
ステルジオールを、表8に示すとおり、PBA、BDお
よびMDIと窒素雰囲気下ジメチルホルムアミド中、8
0℃で反応させた。30%溶液での粘度が1000ポイ
ズになった時点で反応を終了した。
【0146】得られた反応混合液をポリエステルシート
上に流し、70℃で一昼夜乾燥させることによって、厚
さ約100μmのポリウレタンフイルムを形成させた。
動摩擦係数、引張強度および伸度の測定では、このポリ
ウレタンフイルムを試料として用いた。得られた結果を
表9に示す。
【0147】比較例1 PBA、BDおよびMDIを表8に示すとおり、窒素雰
囲気下ジメチルホルムアミド中、80℃で反応させた。
30%溶液での粘度が1000ポイズになった時点で反
応を終了した。
【0148】得られた反応混合液をポリエステルシート
上に流し、70℃で一昼夜乾燥させることによって、厚
さ約100μmのポリウレタンフイルムを形成させた。
動摩擦係数、引張強度および伸度の測定では、このポリ
ウレタンフイルムを試料として用いた。得られた結果を
表9に示す。
【0149】比較例2〜4 参考例1で得られたポリエステルジオール、XAまたは
ZAを、表8に示すとおり、PBA、BDおよびMDI
と窒素雰囲気下ジメチルホルムアミド中、80℃で反応
させた。30%溶液での粘度が1000ポイズになった
時点で反応を終了した。
【0150】得られた反応混合液をポリエステルシート
上に流し、70℃で一昼夜乾燥させることによって、厚
さ約100μmのポリウレタンフイルムを形成させた。
動摩擦係数、引張強度および伸度の測定では、このポリ
ウレタンフイルムを試料として用いた。得られた結果を
表9に示す。
【0151】
【表8】
【0152】
【表9】
【0153】実施例25〜32 実施例9〜16で得られたポリシロキサン側鎖含有ポリ
カーボネートジオールを、表10に示すとおり、PH
C、BDおよびMDIと窒素雰囲気下ジメチルホルムア
ミド中、80℃で反応させた。30%溶液での粘度が1
000ポイズになった時点で反応を終了した。
【0154】得られた反応混合液をポリエステルシート
上に流し、70℃で一昼夜乾燥させることによって、厚
さ約100μmのポリウレタンフイルムを形成させた。
動摩擦係数、引張強度および伸度の測定では、このポリ
ウレタンフイルムを試料として用いた。得られた結果を
表11に示す。
【0155】比較例5 PHC、BDおよびMDIを表10に示すとおり、窒素
雰囲気下ジメチルホルムアミド中、80℃で反応させ
た。30%溶液での粘度が1000ポイズになった時点
で反応を終了した。
【0156】得られた反応混合液をポリエステルシート
上に流し、70℃で一昼夜乾燥させることによって、厚
さ約100μmのポリウレタンフイルムを形成させた。
動摩擦係数、引張強度および伸度の測定では、このポリ
ウレタンフイルムを試料として用いた。得られた結果を
表11に示す。
【0157】比較例6〜8 参考例2で得られたポリカーボネートジオール、XAま
たはZAを、表10に示すとおり、PHC、BDおよび
MDIと窒素雰囲気下ジメチルホルムアミド中、80℃
で反応させた。30%溶液での粘度が1000ポイズに
なった時点で反応を終了した。
【0158】得られた反応混合液をポリエステルシート
上に流し、70℃で一昼夜乾燥させることによって、厚
さ約100μmのポリウレタンフイルムを形成させた。
動摩擦係数、引張強度および伸度の測定では、このポリ
ウレタンフイルムを試料として用いた。得られた結果を
表11に示す。
【0159】
【表10】
【0160】
【表11】
【0161】
【発明の効果】本発明により提供されるポリウレタン
は、上記の実施例から明らかなとおり、高い機械的強度
を有するとともに耐摩耗性等の表面特性に優れる。また
本発明によれば、かかる優れたポリウレタンを与えるポ
リシロキサン側鎖含有高分子ジオールが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/50,63/695,64/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖が、主として(a)実質的に下記化
    1で示される構造単位(I−1)または化2で示される
    構造単位(I−2)と下記構造単位(II−1)と下記化
    4で示される構造単位(III−1)または化5で示され
    る構造単位(III−2)とからなり、構造単位(I−
    1)、(I−2)、(II−1)、(III−1)および(II
    I−2)はエステル結合またはカーボネート結合を形成
    して相互に結合しており、構造単位(III−1)および
    (III−2)に由来するケイ素原子を0.3〜25重量
    %含有し、主鎖両末端にそれぞれ水酸基を有し、かつ数
    平均分子量が500〜10,000であるポリシロキサ
    ン側鎖含有高分子ジオールからその主鎖両末端に位置す
    る水酸基中のそれぞれ1個の水素原子を除いた形の高分
    子ジオール単位[a];(b)下記化6で示される構造
    単位(IV);ならびに所望により、(c)実質的に構造
    単位(I−2)または下記化3で示される構造単位(I−
    3)と下記構造単位(II−2)とからなり、構造単位
    (I−2)、(I−3)および(II−2)はエステル結合
    またはカーボネート結合を形成して相互に結合してお
    り、主鎖両末端にそれぞれ水酸基を有し、かつ数平均分
    子量が500〜10,000である高分子ジオールから
    その主鎖両末端に位置する水酸基中のそれぞれ1個の水
    素原子を除いた形の高分子ジオール単位[c]、および
    /または(d)下記構造単位(V)からなり、高分子ジ
    オール単位[a]のモル百分率と高分子ジオール単位
    [c]のモル百分率と構造単位(V)のモル百分率の和
    が構造単位(IV)のモル百分率に実質的に等しく、構造
    単位(V)の重量百分率が30重量%以下であり、かつ
    ケイ素原子を0.1〜20重量%含有する対数粘度0.
    5〜1.5dl/gのポリウレタン。 【化1】 (化1中、R1は2価の炭化水素基を表す) 【化2】 【化3】 (化3中、R2は2価の炭化水素基を表す) −O−R3−O− (II−1) (式中、R3は2価の炭化水素基を表す) −O−R4−O− (II−2) (式中、R4は2価の炭化水素基を表す) 【化4】 (化4中、R5は炭素数3〜6のアルカントリイル基を
    表し、R6はアルキレン基を表し、R7、R8、R9、R10
    およびR11はそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基または
    アリール基を表し、mは5〜70の数を表す) 【化5】 (化5中、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11
    およびmは前記定義のとおりである) 【化6】 (化6中、R12は2価の有機基を表す) −A− (V) (式中、Aは2個の活性水素原子を含有する分子量40
    0以下の化合物から該2個の活性水素原子を除いた形の
    2価の有機基を表す)
  2. 【請求項2】実質的に化8で示される構造単位(I−
    2)と下記構造単位(II−1)と下記化9で示される構
    造単位(III−1)または化10で示される構造単位(I
    II−2)とからなり、構造単位(I−2)、(II−
    1)、(III−1)および(III−2)はカーボネート結
    合を形成して、相互に結合しており、構造単位(III−
    1)および、(III−2)に由来するケイ素原子を0.
    3〜25重量%含有し、主鎖両末端にそれぞれ水酸基を
    有し、かつ、数平均分子量が500〜10,000であ
    るポリシロキサン側鎖含有ポリカーボネートジオール。 【化8】 −O−R3−O− (II−1) (式中 R3;は2価の炭化水素基を表す。) 【化9】 式中、5;は炭素数3〜6のアルカントリイル基を
    表し、R6;はアルキレン基を表し、R7、R8、R9、R
    10およびR11はそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基また
    はアリール基を表し、mは5〜70の数を表す。) 【化10】 式中、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11
    よびmは前記定義のとおりである。)
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