JP3164015B2 - 産業車両のハンドル角補正装置及び産業車両 - Google Patents

産業車両のハンドル角補正装置及び産業車両

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JP3164015B2
JP3164015B2 JP10754497A JP10754497A JP3164015B2 JP 3164015 B2 JP3164015 B2 JP 3164015B2 JP 10754497 A JP10754497 A JP 10754497A JP 10754497 A JP10754497 A JP 10754497A JP 3164015 B2 JP3164015 B2 JP 3164015B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワーステアリン
グ装置を備えたフォークリフト等の産業車両において、
ハンドル角と操舵輪の切れ角との位置関係のずれを補正
するハンドル角補正装置及び産業車両に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、パワーステアリング装置として、
ハンドルの操作量に応じた油量の作動油をステアリング
シリンダに供給して操舵輪を操向させる全油圧式パワー
ステアリング装置が知られている。
【0003】例えばフォークリフト等の産業車両では、
荷役作業等の操作をしながら片手でハンドル操作できる
ようにハンドルにノブが設けられている。そのため、ノ
ブの位置が操舵輪の切れ角が直進姿勢にあるか否かの判
断の目安にされる場合がある。しかし、ハンドルの操作
量に応じて吐出される作動油が全てステアリングシリン
ダの駆動に使用されるとは限らず、オービットロール効
率(実吐出量/理論吐出量)が低下したときには、ノブ
の位置と操舵輪の切れ角との位置関係にずれが発生する
ことになる。オービットロール効率の低下は、ハンドル
が遅い速度で操作されるときや、ステアリングシリンダ
等の油圧系におけるオイルリークなどにより引き起こさ
れる。
【0004】例えば特公平3−30544号公報、特公
平4−24270号公報等には、操舵輪の切れ角に対す
るハンドル角のずれを補正するハンドル角補正装置が開
示されている。図20は特公平4−24270号公報に
開示されたハンドル角補正装置を示したものである。
【0005】全油圧式のパワーステアリング装置71
は、ハンドル72により操作されるステアリングユニッ
ト73と、操舵輪(図示せず)を操向させるステアリン
グシリンダ74と、ステアリングユニット73とステア
リングシリンダ74とを連結する油圧ライン75,76
とを備える。油圧ライン75,76は、ハンドル72の
操舵方向に応じて操舵時には一方のラインがステアリン
グ用油圧ポンプ77からの加圧作動油を給送する給送ラ
インとなり、他方のラインが作動油タンク78へ油を戻
す返送ラインとなる。両油圧ライン75,76を連結す
るドレーン油ライン79の途中には電磁切換弁80が設
けられている。
【0006】制御手段81には、ハンドル回転角センサ
82からのハンドル回転角信号θabs と、シリンダ位置
センサ83からのシリンダストローク信号sとが入力さ
れる。制御手段81はマップを用いてハンドル回転角信
号θabs から目標シリンダストロークxgを求め、シリ
ンダストローク信号sから求められたシリンダストロー
クxと、目標シリンダストロークxgとの偏差が許容値
を超えるとソレノイド84を励磁させて電磁切換弁80
を開弁させるようにしていた。
【0007】電磁切換弁80が開弁されることにより、
油圧ライン75,76の一方の給送ラインから他方の返
送ラインに作動油の一部がドレーン油ライン79を通っ
て作動油タンク78に流出(還流)し、ハンドル位置が
タイヤ切れ角に応じた正規の位置に許容値内で補正され
るまでハンドル72が空転状態となり、ハンドルの位置
補正が実施される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来装置では、ハンド
ル角の補正を行う場合、電磁切換弁80は補正が行われ
ている間、全開位置に配置される。従って、電磁切換弁
80を通って環流される作動油の量はステアリングシリ
ンダ74の圧力に応じて変化する。従来はドレーン油ラ
イン79に固定絞り(図示せず)を設けて、電磁切換弁
80のオン状態即ち連通状態において電磁切換弁80を
流れる流量の最大量を規制していた。ところが、固定絞
りの絞り量を低圧時に合わせて決めると、高圧時には単
位時間当たりの補正量が大きくなりすぎて、補正中に操
舵追従性が悪くなる。一方、固定絞りの絞り量を高圧時
に合わせて決めると、低圧時に単位時間当たりの補正量
が小さくなって補正に時間がかかるという問題がある。
【0009】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、パワーステアリング装置のス
テアリングシリンダの圧力に拘わらず、ハンドル角補正
時における単位時間当たりの補正量をほぼ一定にするこ
とができ、ハンドル角(ノブ位置)が一定量ずれた場合
の補正時間をほぼ一定にできる産業車両のハンドル角補
正装置及び産業車両を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め請求項1に記載の発明では、全油圧式パワーステアリ
ング装置を備えるとともに、ハンドル角と操舵輪の切れ
角との位置関係に所定量以上のずれが生じた場合、ハン
ドルの操作時にハンドルを空転させることによりそのず
れを補正するハンドル角補正手段を備えた産業車両にお
いて、前記ハンドル角補正手段による単位時間当たりの
補正量を、前記パワーステアリング装置用のステアリン
グシリンダの圧力に拘わらずほぼ一定となるようにし
た。
【0011】請求項2に記載の発明では、ハンドルの操
作位置に応じた切れ角に操舵輪を駆動するため、ハンド
ルの操作量に応じた油量の作動油を吐出する作動油供給
手段と、前記作動油供給手段からの作動油により駆動さ
れて前記操舵輪を駆動するための油圧式のステアリング
シリンダと、ハンドルの実位置を検出するハンドル角検
出手段と、前記操舵輪の切れ角を検出する舵角検出手段
と、前記切れ角から該切れ角に応じた正規のハンドルの
位置である目標位置を求める目標位置演算手段と、前記
作動油供給手段から吐出された作動油の一部を前記ステ
アリングシリンダに供給される前にドレンタンクに還流
させて前記ハンドルの操作量に対する前記ステアリング
シリンダの駆動量の変化割合を減少させる補正手段と、
前記ステアリングシリンダの圧力を検出する圧力検出手
段と、前記ハンドルの実位置と前記目標位置とのずれ量
が少なくとも許容範囲内に収まるように前記補正手段を
駆動制御するとともに、前記ステアリングシリンダの圧
力に拘らず前記補正手段の単位時間当たりの作動油還流
量をほぼ一定にするように制御する制御手段とを備え
た。
【0012】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記補正手段は、前記作動油供給手
段から吐出された作動油の一部を前記ステアリングシリ
ンダに供給される前にドレンタンクに還流可能な管路に
設けられたデューティ制御弁を備え、前記制御手段は前
記圧力検出手段の検出圧力に対応して前記デューティ制
御弁のデューティを変更するようにした。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記デューティ弁に代えてオン・オ
フソレノイド弁を使用し、前記制御手段は前記圧力検出
手段の検出圧力に対応して該オン・オフソレノイド弁を
開状態に保持する時間を変更するようにした。
【0014】請求項5に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記デューティ弁に代えて比例弁を
使用し、前記制御手段は前記圧力検出手段の検出圧力に
対応して該比例弁の開度を変更するようにした。
【0015】請求項6に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記デューティ弁に代えて可変絞り
弁及び電磁切換弁を前記管路に設け、前記制御手段は前
記圧力検出手段の検出圧力に対応して該可変絞り弁の開
度を変更するようにした。
【0016】請求項7に記載の発明では、ハンドルの操
作位置に応じた切れ角に操舵輪を駆動するため、ハンド
ルの操作量に応じた油量の作動油を吐出する作動油供給
手段と、前記作動油供給手段からの作動油により駆動さ
れて前記操舵輪を駆動するための油圧式のステアリング
シリンダと、ハンドルの実位置を検出するハンドル角検
出手段と、前記操舵輪の切れ角を検出する舵角検出手段
と、前記切れ角から該切れ角に応じた正規のハンドルの
位置である目標位置を求める目標位置演算手段と、前記
作動油供給手段から吐出された作動油の一部を前記ステ
アリングシリンダに供給される前にドレンタンクに還流
させて前記ハンドルの操作量に対する前記ステアリング
シリンダの駆動量の変化割合を減少させる補正手段と、
前記ハンドルの実位置と前記目標位置とのずれ量が少な
くとも許容範囲内に収まるように前記補正手段を駆動制
御するとともに、前記ステアリングシリンダの圧力に拘
らず前記補正手段の単位時間当たりの作動油還流量をほ
ぼ一定にするように制御する制御手段とを備え、前記補
正手段は、前記作動油供給手段から吐出された作動油の
一部を前記ステアリングシリンダに供給される前にドレ
ンタンクに還流可能な管路に直列に設けられた電磁切換
弁及び圧力補償付流量調整弁とを備えている。
【0017】請求項8に記載の発明では、請求項7に記
載の発明において、前記管路は前記圧力補償付流量調整
弁の入口と対応する側が、前記作動油供給手段と前記ス
テアリングシリンダとを接続する2本の油圧ラインに対
してシャトル弁を介して接続され、前記圧力補償付流量
調整弁の出口と対応する側は前記2本の油圧ラインに対
して各油圧ラインに向かう側が順方向となる逆止弁を介
して接続されている。
【0018】請求項9に記載の発明では、請求項2〜請
求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記制御
手段は、前記舵角検出手段により検出された前記切れ角
から前記目標位置をハンドルの相対角度で求める目標位
置演算手段を備え、前記ハンドル角検出手段がハンドル
の相対角度で検出した前記実位置と前記目標位置とのず
れ量が相対角度で許容値以下に収まるように前記ハンド
ルを位置補正する。
【0019】また、請求項10に記載の発明の産業車両
は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のハンド
ル角補正装置を備えている。上記構成により請求項1に
記載の発明では、ハンドル角と操舵輪の切れ角との位置
関係に所定量以上のずれが生じた場合、ハンドル角補正
手段が作動されてハンドルの操作時にハンドルが空転さ
れて、そのずれが補正される。そして、前記ハンドル角
補正手段による単位時間当たりの補正量が、前記パワー
ステアリング装置用のステアリングシリンダの圧力に拘
わらずほぼ一定となる。
【0020】請求項2に記載の発明では、作動油供給手
段からハンドルの操作量に応じた油量の作動油が吐出さ
れ、操舵輪を駆動するための油圧式のステアリングシリ
ンダがその作動油により駆動される。補正手段は、前記
作動油供給手段から吐出された作動油の一部を、前記ス
テアリングシリンダに供給される前にドレンタンクに還
流することにより前記ステアリングシリンダの駆動量の
変化割合を減少させる。ハンドルの実位置がハンドル角
検出手段により検出されるとともに、操舵輪の切れ角が
舵角検出手段により検出される。前記操舵輪の切れ角に
応じたハンドルの正規の位置である目標位置は、目標位
置演算手段により前記切れ角から求められる。そして、
ハンドルの実位置と前記操舵輪の切れ角に応じた目標位
置とのずれ量が許容値を超えるときには、制御手段によ
り補正手段が駆動制御される。その結果、ハンドルの操
作量に対する前記ステアリングシリンダの駆動量の変化
割合が減少してハンドルが空転することとなり、ずれ量
が少なくとも許容範囲内に収まるまでハンドルが位置補
正される。また、前記ステアリングシリンダの圧力が圧
力検出手段により検出される。そして、補正手段は、ス
テアリングシリンダの圧力に拘らず単位時間当たりの作
動油還流量がほぼ一定となるように制御手段によって制
御される。
【0021】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記作動油供給手段から吐出された
作動油のうち前記ステアリングシリンダに供給される前
にドレンタンクに還流される量が、デューティ弁のデュ
ーティ値により変更される。制御手段はステアリングシ
リンダの圧力の増加に対応してデューティ値が小さくな
るようにデューティ弁を制御する。
【0022】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記デューティ弁に代えてオン・オ
フソレノイド弁が使用される。そして、ステアリングシ
リンダの圧力の増加に対応して、オン・オフソレノイド
弁はその一回当たりの開状態の時間が短くなるように、
制御手段によって制御される。
【0023】請求項5に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記デューティ弁に代えて比例弁が
使用される。そして、ステアリングシリンダの圧力の増
加に対応して、比例弁はその開度が小さくなるように、
制御手段によって制御される。
【0024】請求項6に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記デューティ弁に代えて可変絞り
弁及び電磁切換弁が前記管路に設けられる。ハンドル角
補正を行う場合には、電磁切換弁が開状態に保持され
る。そして、ステアリングシリンダの圧力の増加に対応
して、可変絞り弁はその開度が小さくなるように、制御
手段によって制御される。
【0025】請求項7に記載の発明では、請求項2に記
載の発明と同様に、ステアリングシリンダが駆動され、
補正手段は、前記作動油供給手段から吐出された作動油
の一部を、前記ステアリングシリンダに供給される前に
ドレンタンクに還流することにより前記ステアリングシ
リンダの駆動量の変化割合を減少させる。ハンドルの実
位置と前記操舵輪の切れ角に応じた目標位置とのずれ量
が許容値を超えるときには、制御手段により補正手段を
構成する電磁切換弁が開放位置に切り換えられる。そし
て、前記作動油供給手段から吐出された作動油の一部が
ステアリングシリンダに供給される前に、管路を介して
ドレンタンクに還流される。管路に装備された圧力補償
付流量調整弁の作用により、ステアリングシリンダの圧
力に拘わらず管路を流れる作動油の流量、即ち単位時間
当たりの補正量が一定になる。
【0026】請求項8に記載の発明では、請求項7に記
載の発明において、前記作動油供給手段と前記ステアリ
ングシリンダとを接続する2本の油圧ラインのうち、圧
力が高い側の油圧ラインからの作動油が、シャトル弁及
び逆止弁の作用により自動的にかつ確実に前記圧力補償
付流量調整弁の入口側に供給される。
【0027】請求項9に記載の発明では、請求項2〜請
求項8のいずれか一項に記載の発明において、ハンドル
の実位置がハンドル角検出手段によりハンドルの相対角
度で検出され、ハンドル位置補正に使用される目標位置
が目標位置演算手段によりハンドルの相対角度で操舵輪
の切れ角から求められる。ハンドル位置(ハンドル角)
補正は、ずれ量が相対角度で許容値内に収まるように行
われる。ハンドルの位置補正が相対角度でのずれ量に基
づいて行われるため、操舵輪に対してハンドルが360
度以上ずれた場合でも、1回転もしくは2回転分少ない
360度未満の補正量で済む。
【0028】請求項10に記載の発明では、産業車両に
は請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のハンドル
角補正装置が備えられているので、この産業車両におい
ては、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の発明
と同様の作用が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0030】図1は、産業車両としてのフォークリフト
Fに装備されたパワーステアリング装置1を示す模式図
である。フォークリフトFは前輪駆動、後輪操舵の4輪
車である。オペレータにより回転操作されるハンドル
(ステアリングホイール)2には、その操作性を良くす
るためにノブ2aが設けられている。ハンドル2を支持
するステアリングシャフト3はオービットロール4に連
結されている。
【0031】オービットロール4を構成するバルブユニ
ット5には、エンジン(図示せず)により駆動される油
圧ポンプ(荷役ポンプ)6からの作動油が供給される供
給管7と、ドレンタンク8に作動油を排出するための排
出管9とが接続されている。供給管7と排出管9とを接
続する管路10にはリリーフ弁11が介装され、リリー
フ弁11により油圧ポンプ6からバルブユニット5に圧
送される油圧が一定圧(設定圧)に保持されるようにな
っている。
【0032】バルブユニット5はステアリングシャフト
3により直接駆動されるものであって、ハンドル2の回
転量に比例した油量の作動油を、油圧式のステアリング
シリンダ12に供給する機能を有するものである。バル
ブユニット5とステアリングシリンダ12は2本の油圧
ライン13,14で接続されている。ハンドル2が右旋
回された場合、油圧ライン13が油圧ポンプ6からの作
動油を給送する給送ラインとして機能し、油圧ライン1
4が油圧ポンプ6に作動油を戻す返送ラインとして機能
する。また、ハンドル2が左旋回された場合、油圧ライ
ン14が給送ラインとして機能し、油圧ライン13が返
送ラインとして機能する。オービットロール4及び油圧
ポンプ6により、ハンドル2の操作位置に応じた切れ角
に操舵輪19を駆動するため、ハンドル2の操作量に応
じた油量の作動油を吐出する作動油供給手段が構成され
ている。
【0033】ステアリングシリンダ12は、車体に固定
された円筒状のシリンダチューブ15と、その内部に往
復動可能に配置されたピストン16と、シリンダチュー
ブ15の両端部から突出した左右一対のピストンロッド
17a,17bとを備えている。各油圧ライン13,1
4は、ピストン16により2室に区画されたシリンダチ
ューブ15の各室に連通されている。
【0034】各ピストンロッド17a,17bの先端部
にはリンク機構18a,18bを介して左右の操舵輪
(後輪)19,19が連結されており、ステアリングシ
リンダ12が駆動されることにより両操舵輪19はキン
グピン20を中心に左右に操舵されるようになってい
る。
【0035】両油圧ライン13,14はバイパスライン
21で繋がっており、このバイパスライン21の途中に
補正手段としての電磁切換弁22及び絞り弁23が設け
られている。バイパスライン21は作動油供給手段から
吐出された作動油の一部をステアリングシリンダ12に
供給される前にドレンタンク8に還流可能な管路を構成
する。電磁切換弁22はバイパスライン21を介してド
レンタンク8に還流される作動油量を制御するためのも
のである。電磁切換弁22を開弁させて作動油の一部を
還流させることにより、ハンドル2の操作量に対するス
テアリングシリンダ12におけるピストン16の変位量
の割合を減少させてハンドル2の空転状態を作り出すよ
うになっている。ハンドル2の空転によりハンドル角を
操舵輪19の舵角(切れ角)に追いつかせることで、ハ
ンドル2の位置補正(ノブ位置補正)が行われる。
【0036】電磁切換弁22には二位置切換のデューテ
ィ弁が使用され、バイパスライン21を遮断する遮断位
置(図1の状態)と、バイパスライン21を連通させる
連通位置との二位置に高速(例えば、1〜2ミリ秒)で
切換可能になっている。電磁切換弁22を構成するスプ
ール(図示せず)はスプリング24により遮断位置側に
付勢されており、電磁切換弁22はソレノイド25が励
磁されたときに連通位置に配置され、ソレノイド25が
消磁されたときに遮断位置に配置される。ソレノイド2
5はコントローラ26と電気的に接続されており、コン
トローラ26からの制御信号に基づいてデューティ制御
される。なお、絞り弁23は、電磁切換弁22が故障等
により開弁のままとなっても、ハンドル操作による操舵
輪19の操舵が可能となるように、バイパスライン21
の流量を絞るためのものである。
【0037】コントローラ26には、ハンドル角検出手
段及び操作方向検出手段を構成するロータリエンコーダ
27及び舵角検出手段としてのポテンショメータ28が
電気的に接続されている。ロータリエンコーダ27はス
テアリングシャフト3に一体回転可能に設けられた円盤
29と、円盤29に形成されたスリット29a,29b
(図3を参照)を検出するための三組のフォトカプラを
備えたハンドル角センサ30とを備えている。ハンドル
角センサ30の検出信号はコントローラ26に入力され
るようになっている。
【0038】図1,図3に示すように、円盤29には周
方向に沿って複数(この実施の形態では40)個のスリ
ット29aが等間隔に形成されるとともに、その周縁部
の1箇所に較正用のスリット29b(図3にのみ図示)
が形成されている。ハンドル角センサ30は前記各フォ
トカプラを構成する3個のフォトトランジスタである第
1トランジスタ31、第2トランジスタ32及び補正ト
ランジスタ33(いずれも図2に図示)を内蔵してい
る。
【0039】第1トランジスタ31及び第2トランジス
タ32は、スリット29aを通り抜けた光を検出するた
めのものであり、ハンドル2の1回転で40回ずつオン
・オフを繰り返す検出信号(デジタル信号)SS1,S
S2(図4に示す)をそれぞれ出力する。両信号SS
1,SS2はその位相が電気的に90°ずれるように、
即ち1/4周期ずれるように設定されている。そして、
両信号SS1,SS2のエッジを検出して計数すること
で、ハンドル2の1回転を160分割した分解能でハン
ドル2の回転角(以下、ハンドル角θという)が検出可
能となっている。ハンドル角θは後述する操舵カウンタ
48(図2を参照)に、ハンドル相対角度に相当するカ
ウント値Cとして計数されるようになっている。
【0040】また、補正トランジスタ33は位置補正用
のスリット29bを通り抜けた光を検出するためのもの
であり、ハンドル2が中立位置に配置されたときにオン
する検出信号(デジタル信号)SSC(図4に示す)を
出力する。補正トランジスタ33からのオン信号は、操
舵カウンタ48のカウント値Cを較正をするために用い
られる。
【0041】ポテンショメータ28は右側の操舵輪19
を支持するキングピン20に配設されており、キングピ
ン20の回動量を検出して操舵輪19の切れ角に相当す
るタイヤ切れ角信号Rをコントローラ26に出力するよ
うになっている。
【0042】駆動輪(図示せず)に回転を伝達するフロ
ントデフリングギヤ34の近傍には車速検出手段として
の車速センサ35が設けられており、車速センサ35か
ら車速に相当する車速信号vがコントローラ26に入力
されるようになっている。
【0043】また、前記両油圧ライン13,14を連通
する管路36には、圧力検出手段としての圧力センサ3
7がシャトル弁38を介して接続されている。圧力セン
サ37にはシャトル弁38の作用により、両油圧ライン
13,14のうちの圧力が高い側の油圧ラインの圧力
が、管路36及びシャトル弁38を介して作用するよう
になっている。従って、圧力センサ37はステアリング
シリンダ12の圧力を検出する圧力検出手段として機能
する。圧力センサ37は検出信号をコントローラ26に
出力する。
【0044】図2に示すように、コントローラ26は、
マイクロコンピュータ39、ハンドル角検出手段を構成
するエッジ検出回路40、AD変換回路41〜43及び
制御手段を構成する駆動回路44等を備えている。マイ
クロコンピュータ39は中央処理装置(CPU)45、
読出し専用メモリ(ROM)46、読出し書替え可能メ
モリ(RAM)47、操舵カウンタ48、制御周期カウ
ンタ49、クロック回路50、入力インタフェイス51
及び出力インタフェイス52を備えている。ポテンショ
メータ28、車速センサ35及び圧力センサ37は、A
D変換回路41〜43を介して入力インタフェイス51
にそれぞれ接続されている。CPU45は制御手段及び
目標位置演算手段を構成するとともに目標方向検出手段
及び開度演算手段として機能する。ROM46は目標位
置演算手段を構成する。操舵カウンタ48はハンドル角
検出手段を構成する。
【0045】CPU45はROM46に記憶された各種
プログラムデータに基づき各種演算処理を実行し、その
演算結果等をRAM47に記憶する。ROM46には図
10〜図12にフローチャートで示すノブ位置補正制御
処理のプログラムデータ等が記憶されている。これらの
フローチャートにおいて、ステップS30が目標位置演
算手段、S40が目標方向検出手段、S130が開度
(デューティ値)演算手段、S210〜S290が操作
方向検出手段をそれぞれ構成している。
【0046】第1トランジスタ31、第2トランジスタ
32及び補正トランジスタ33からの各検出信号SS
1,SS2,SSCは、CPU45とエッジ検出回路4
0とに入力されるようになっている。エッジ検出回路4
0は各検出信号SS1,SS2,SSCの立ち上がり・
立ち下がりのエッジを検出するためのものであり、エッ
ジ検出時にエッジ信号SE1,SE2,SECを出力す
る。
【0047】操舵カウンタ48はハンドル2のハンドル
角θをカウントするためのものである。CPU45はエ
ッジ信号SE1,SE2を入力する度、つまりハンドル
2が1/160回転(=2.25°)される度に操舵カ
ウンタ48のカウント値Cを「1」ずつ変更する。操舵
カウンタ48にはハンドル相対角度で表されたノブ2a
の位置(ハンドル角θ)が「0〜159」のカウント値
Cとして計数されるようになっている。操舵カウンタ4
8はノブ2aが中立位置に配置されたときのカウント値
Cが「80」となるように設定されている。カウント値
Cはノブ2aが中立位置を通過する度にエッジ検出回路
40から出力されるエッジ信号SECに基づいて、ノブ
2aが中立位置に配置された時が「80」となるように
割込み処理により較正されるようになっている。
【0048】制御周期カウンタ49は、ノブ位置補正制
御処理の実行回数を計数するためのものであり、操舵カ
ウンタ48のカウント値Cが変更される度、つまりハン
ドル2が1/160回転される度にクリアされる。その
ため、操舵カウンタ48のカウント値Cの変更時の制御
周期カウンタ49のカウント値C1を見ることで、ハン
ドル2が1/160回転されるのに要した経過時間が間
接的に分かるようになっている。制御周期カウンタ49
のカウント値C1は、ハンドル操作が停止であるか否か
の判断に用いられる。
【0049】また、CPU45はクロック回路46から
のクロック信号に基づいて所定時間to (例えば10ミ
リ秒)間隔で図10,11に示すノブ位置補正制御処理
を実行する。但し、エッジ信号SE1,SE2を入力し
たときには図12に示す割込みルーチンを優先して実行
し、エッジ信号SECを入力したときには操舵カウンタ
48のカウント値の較正を割り込み処理で実行する。
【0050】図12に示す割込みルーチンは、エッジ信
号SE1,SE2のいずれかの入力時に優先的に割込み
で実行されるものである。この割込みルーチンでは、ハ
ンドル2の回転方向(以下、操舵方向という)の判定処
理、操舵カウンタ48のカウント処理、制御周期カウン
タ49のクリア処理、ハンドル操作停止判定等が行われ
る。
【0051】ハンドル2の操舵方向は、検出されたエッ
ジ信号SE1,SE2の立ち上がり・立ち下がりのエッ
ジの種別と、そのエッジ信号の出力元でない方のトラン
ジスタの出力レベル(信号SS1,SS2のレベル)と
の2つの判定データから判定される。即ち、図4に示す
ように、例えば信号SS1が「立ち上がりエッジ」の時
には、信号SS2がHレベルであれば「右操舵」、信号
SS2がLレベルであれば「左操舵」と判定する。信号
SS1が「立ち下がりエッジ」のときには、信号SS2
の出力レベルと操舵方向の関係が立ち上がり時と逆にな
る。また、信号SS2が「立ち上がりエッジ」のときに
は、信号SS1がLレベルであれば「右操舵」、信号S
S1がHレベルであれば「左操舵」と判定する。信号S
S2が「立ち下がりエッジ」のときには、信号SS1の
出力レベルと操舵方向の関係が立ち上がり時と逆にな
る。
【0052】ポテンショメータ28からのタイヤ切れ角
信号RはAD変換回路41を介して8ビットのAD値
(0〜255)としてCPU45に入力され、CPU4
5は入力したAD値をタイヤ切れ角Rとして取り込む。
ポテンショメータ28からの入力値はAD値=「12
8」がタイヤ切れ角R=「0°」に対応付けられてお
り、AD値<128(すなわちR値が「負」)のときを
左操舵(左切れ角)、AD値>128(すなわちR値が
「正」)のときを右操舵と認識する。
【0053】車速センサ35からの車速信号vはAD変
換回路42を介して8ビットのAD値(0〜255)と
してCPU45に入力されるようになっている。圧力セ
ンサ37からの圧力信号PはAD変換回路43を介して
8ビットのAD値(0〜255)としてCPU45に入
力されるようになっている。また、電磁切換弁22をデ
ューティ制御する制御信号が、出力インタフェイス52
に接続された駆動回路44を介してCPU45から出力
されるようになっている。
【0054】ROM46には図5に示すマップM1が記
憶されている。マップM1は、ノブ2aを位置補正する
うえでの目標位置となる目標ハンドル角θgをタイヤ切
れ角Rから求めるためのものである。マップM1には、
目標ハンドル角θgがタイヤ切れ角Rに応じたハンドル
相対角度で決まるように、操舵輪19のストロークエン
ドRE,LE間の全操舵範囲において、タイヤ切れ角R
と目標ハンドル角θgとを関連付けた制御目標ラインL
が設定されている。この制御目標ラインLは、オービッ
トロール効率(実吐出量/理論吐出量)100%を前提
とした制御理想ラインである。この実施の形態では、ノ
ブ2aが中立位置にあるときをハンドル角θ=0°(カ
ウント値C=80)に設定している関係から、目標ハン
ドル角θgの「−180°〜180°」が目標操舵カウ
ント値Cgの「0〜159」に対応付けて設定されてい
る。
【0055】ノブ位置補正制御処理では、CPU45は
ハンドル角θと、タイヤ切れ角Rから求めた目標ハンド
ル角θg とのずれ量Δθを算出し、このずれ量Δθが許
容値θo (例えば約5°)以下に収まるようにノブ位置
補正を実行する。ここでいうずれ量Δθとは、図6及び
図7に示すように現在ノブ位置と目標ノブ位置との最短
経路でのずれ量を意味し、ノブ2aの実際のずれ量Δθ
s が180°を超えたときには、ずれ量Δθが「360
°−Δθs 」で表されるものである。
【0056】ノブ位置補正は、図6及び図7に示すよう
にずれ量Δθが所定値(所定角度)A°以下であるか否
かで補正実行条件が異なっている。すなわち、ずれ量Δ
θがA°以下である場合(つまり、実際のずれ量Δθs
がΔθs ≦A°あるいはΔθs ≧(360−A)°の場
合)は、ハンドル2が操作される操作方向が、現在ノブ
位置が目標ノブ位置に至るのに最短経路を通って近づく
方向(以下、目標方向という)に一致するときに限りノ
ブ位置補正が実行される。また、ずれ量Δθが所定角度
A°を超える場合(つまり、実際のずれ量Δθs がA°
<Δθs <(360−A)°の場合)には、ハンドル操
作方向に関係なくノブ位置補正が常に実行されるように
なっている。
【0057】ここで、所定値A°は、ずれ量が所定角度
以上に大きくなったときには、ハンドル2が目標方向と
反対方向に操作されているときに補正を実行しても、ず
れ量の拡大よりもむしろ縮小することの確率の方が高く
なることを期待して設定した境界値である。本実施形態
では、所定値A°として80°〜120°の範囲内の値
が設定されている。
【0058】また、ROM46には図9(a)に示すマ
ップM2が記憶されている。マップM2は補正手段によ
る単位時間当たりの補正量を、前記ステアリングシリン
ダ12の圧力に拘らずほぼ一定にするための、電磁切換
弁22のデューティ値を求めるためのものである。マッ
プM2は試験により求められる。なお、理論的に求めて
もよい。CPU45はハンドル角補正(ノブ位置補正)
を実行する場合、電磁切換弁22をデューティ制御する
ようになっている。CPU45は、圧力センサ37によ
り検出された圧力に対応するデューティ値をマップM2
から演算する。そして、算出したデューティ値で電磁切
換弁22をデューティ制御する制御信号が、出力インタ
フェイス52に接続された駆動回路44を介して電磁切
換弁22に出力される。
【0059】また、この実施の形態ではハンドル操作速
度VH を、タイヤ切れ角の現在の検出値Rと所定時間前
の検出値R1との偏差(タイヤ切角速度)ΔR(=|R
−R1|)から判断するようにしている。タイヤ切角速
度ΔRが、ハンドル操作速度VH が低速であることの判
断の目安となる所定操作速度VHmin(例えば=0.3r
ps)に相当する設定値ΔRmin 未満で、かつ車速vが
所定速度vs(例えば、2km/h)以下のときには、
ノブ位置補正を禁止している。これは、ハンドル操作速
度VH が所定操作速度VHminより遅くなると、オービッ
トロール効率が低下することと、車速vが所定速度vs
以下ではタイヤ反力が増加するため、ハンドル2を操作
したにも拘わらず操舵輪19の切れ角が変化しないとい
う事態を回避するためである。
【0060】次に、前記のように構成されたパワーステ
アリング装置1の作用について説明する。フォークリフ
トFの運転時には、オペレータはノブ2aを握ってハン
ドル2を操作する。ハンドル2が操作されてステアリン
グシャフト3が回転駆動されると、バルブユニット5か
らハンドル2の操作量に応じた油量の作動油が吐出さ
れ、ハンドル2の操作量に応じてステアリングシリンダ
12を介して操舵輪19が操舵される。ハンドル操作速
度が遅いときや、ステアリングシリンダ12等の油圧系
のオイルリーク等が原因でオービットロール効率が低下
した場合、ノブ2aが正規の位置からずれる場合があ
る。そのため、ノブ2aの位置をタイヤ切れ角に応じた
正規の位置に補正するノブ位置補正制御が行われる。
【0061】以下、CPU45が実行するノブ位置補正
制御を図10〜図12に示すフローチャートに従って説
明する。なお、初期状態では電磁切換弁22が遮断位置
に配置されている、即ち電磁切換弁22が停止されてい
るものとする。
【0062】フォークリフトFのエンジン駆動中、CP
U45には各トランジスタ31,32,33からの検出
信号SS1,SS2,SSCと、エッジ検出回路40か
らのエッジ信号SE1,SE2,SECと、ポテンショ
メータ28からのタイヤ切れ角信号Rと、車速センサ3
5からの車速信号vと、圧力センサ37からの圧力信号
Pが入力される。CPU45は所定時間to (例えば1
0ミリ秒)毎に図10,11に示すノブ位置補正制御処
理を実行する。また、エッジ信号SE1,SE2を入力
すると図12に示す割込みルーチンを優先して実行す
る。この割込みルーチンでは、ノブ位置補正制御を実行
するうえで必要なデータを適宜適切な値に変更するた
め、操舵カウンタ48のカウント処理や、ハンドル2の
操舵方向を判定するための演算処理、ハンドル操作停止
判定処理、制御周期カウンタ49のクリア処理を実行す
る。なお、図10,11に示すノブ位置補正制御処理の
実行開始時(ステップ10)に、制御周期カウンタ49
のカウント値C1をインクリメントするカウント処理が
行われ、制御周期カウンタ49のカウント値C1は当該
処理の実行周期to 毎に「1」ずつ加算される。
【0063】まず、図12に示す割込みルーチンから説
明する。CPU45はエッジ信号SE1,SE2を入力
すると割込みルーチンを優先的に実行する。このルーチ
ンにおいて、S210〜S290の処理は信号SS1,
SS2,SE1,SE2を用いてハンドル2の操舵方向
を判定するための処理であり、当該ルーチンを実行する
基礎となったエッジ信号の種別(立ち上がりエッジ・立
ち下がりエッジ)と、このエッジ信号の出力元でない他
方のトランジスタの出力レベルとの2つの判定データに
より、ハンドル2の操舵方向を決定する。
【0064】まずステップ210では、エッジ信号の出
力元が第1トランジスタ31及び第2トランジスタ32
のどちらであるかを判断する。ステップ220及びステ
ップ230では、エッジ信号の出力の基礎となった信号
(SS1又はSS2)のエッジが立ち上がりエッジであ
るか否かを判断する。この判断処理では、エッジ信号の
出力元別に用意されたエッジフラグが利用される。エッ
ジフラグには、前回までの割込みルーチンにおいて判定
された、そのときのエッジ信号の出力元のトランジスタ
の出力レベルから決まる次回の検出エッジの種別の情報
(出力レベルがHレベルであれば「立ち下がりエッ
ジ」、Lレベルであれば「立ち上がりエッジ」とする)
が保存されている。そのため、今回のルーチンの基礎と
なったエッジ信号の出力元に対応するエッジフラグが
「0」であれば今回の検出エッジは「立ち下がりエッ
ジ」、「1」であれば「立ち上がりエッジ」と判断す
る。
【0065】S240〜S270の処理は、エッジ信号
の出力元のトランジスタでない他方のトランジスタの出
力レベルを判定する処理であり、判定された出力レベル
と、先に判定されたエッジの種別とにより、信号SS
1,SS2の進角・遅角の位相関係がハンドル2の操舵
方向に依って逆転することを利用し、ハンドル2の操舵
方向が決定される(S280,S290)。この操舵方
向の判定結果は操舵方向フラグにセットされ、操舵方向
フラグには左方向のときには「0」、右方向のときには
「1」がセットされる。
【0066】ステップ300では、操舵カウンタ48を
操舵方向の判定結果に応じてカウント処理する。すなわ
ち、操舵方向が「右方向」であるときにはカウント値C
をインクリメントし、操舵方向が「左方向」であるとき
にはカウント値Cをデクリメントする。但し、インクリ
メントする前のカウント値Cが「159」であるときに
はカウント値Cを「0」とし、デクリメントする前のカ
ウント値Cが「0」であるときにはカウント値Cを「1
59」とする。こうして操舵カウンタ48には、ハンド
ル相対角度で表されたハンドル角θに相当するカウント
値Cが計数される。
【0067】ステップ310では、制御周期カウンタ4
9のカウント値(制御周期カウント値)C1が、ハンド
ル操作停止の判断のために設定された設定値Co 以上で
あるか否かが判断される。制御周期カウンタ49のカウ
ント値C1は、割込みルーチンが実行される度、つまり
ハンドル2が1/160回転(2.25°)操作される
度にクリアされ(S330)、ノブ位置補正制御処理の
実行周期to (例えば10ミリ秒)毎にインクリメント
(図10のS10参照)されるものである。そのため、
制御周期カウンタ49のカウント値C1は、ハンドル2
が1/160回転操作されるまでの経過時間に相当する
値を表すものとなっており、カウント値C1が設定値C
o 以上であればハンドル操作は停止と見なされる。
【0068】制御周期カウンタ49のカウント値C1が
設定値Co 以上であれば、「ハンドル操作停止判定」を
下して操舵停止判定フラグに「1」をセットした(S3
20)後、制御周期カウンタ49をクリアする(S33
0)。また、カウント値C1が設定値Co 未満であれ
ば、操舵停止判定フラグを変更せず「0」のままで、制
御周期カウンタ49をクリアする(S330)。
【0069】こうしてノブ位置補正制御処理の実行中に
は、操舵カウンタ48のカウント値Cを見ることにより
現在のハンドル角θが分かり、操舵方向フラグを見るこ
とにより現在のハンドル操作方向が分かり、さらに操舵
停止判定フラグを見ることによりハンドル操作が停止状
態であるか否かが分かることになる。
【0070】次に、ノブ位置補正制御処理について図1
0,11のフローチャートに基づいて説明する。まずス
テップ10において、制御周期カウンタ49をインクリ
メントする。ステップ20では、ハンドル角θとタイヤ
切れ角R,R1を読み込む。ハンドル角θは操舵カウン
タ48のカウント値Cから読み出される。タイヤ切れ角
R1は所定時間n・to 前に検出されたタイヤ切れ角の
データであり、RAM47の所定領域に記憶されたもの
が読み出される。なお、現在のタイヤ切れ角Rは、所定
時間n・to 後の処理でタイヤ切れ角R1として使用す
るためRAM47の所定領域に記憶される。
【0071】ステップ30では、図5に示すマップM1
を用いてタイヤ切れ角Rから目標ハンドル角θgを算出
する。この目標ハンドル角θgは目標操舵カウント値C
gとして求められる。
【0072】ステップ40では、ノブずれ補正を実行す
る目標方向を演算する。すなわち、現在ノブ位置から目
標ノブ位置に至るのに左右どちらの方向が最短経路とな
るかを判断する。現在の操舵カウンタ48のカウント値
Cと目標操舵カウント値Cgとの偏差ΔC=|C−Cg
|を算出し、偏差ΔCが「80」以下(つまり、ハンド
ル角換算で偏差|θ−θg|≦180°)である場合に
は、C<Cgの成立時に目標方向を「右方向」、C>C
gの成立時に目標方向を「左方向」と判定する。また、
偏差ΔCが「80」を超える(つまり、ハンドル角換算
で偏差|θ−θg|>180°)場合には、C<Cgの
成立時に目標方向を「左方向」、C>Cgの成立時に目
標方向を「右方向」と判定する。この目標方向の判定結
果は目標方向フラグにセットされ、目標方向が「左方
向」のときには「0」、「右方向」のときには「1」が
セットされる。
【0073】ステップ50では、タイヤ切角速度を偏差
ΔR=|R−R1|として算出する。この偏差ΔRはハ
ンドル操作速度に比例した値となる。ステップ60で
は、現在ノブ位置と目標ノブ位置とのずれ量Δθを算出
する。すなわち、ハンドル角換算で偏差|θ−θg|が
180°以下である場合には、Δθ=|θ−θg|と
し、偏差|θ−θg|が180°を超える場合には、Δ
θ=360°−|θ−θg|とする。こうして現在ノブ
位置と目標ノブ位置との最短経路でのずれ量Δθが求め
られる。このずれ量Δθは処理上はカウント値C,Cg
を用いてカウント値C換算で算出される。
【0074】ステップ70では、ハンドル操作停止であ
るか否かを判断する。すなわち、操舵停止判定フラグを
見て「1」がセットされているか否かを調べ、「1」が
セットされていればハンドル操作停止であると判断す
る。操舵停止判定フラグが「1」であれば、ステップ1
50に移行してバルブ停止指令を実行する。従って、電
磁切換弁22は駆動されず、遮断位置に保持される。そ
のため、ハンドル操作停止中は常にノブ位置補正が実行
されない。一方、ハンドル操作停止でなければ、ステッ
プ80に移行する。
【0075】次のステップ80では、ずれ量Δθが許容
値θo 以下であるか否かを判断する。ずれ量Δθが許容
値θo 以下であればステップ150に移行し、バルブ停
止指令を実行する。そのため、ずれ量Δθが許容値θo
以下であるときにはノブ位置補正が実行されない。一
方、ずれ量Δθが許容値θo を超えるときにはステップ
90に移行する。
【0076】ステップ90ではハンドル操作速度が所定
速度(例えば0.3rps)未満であるか否かを、タイ
ヤ切角速度ΔRがΔRmin 未満であるか否かにより判断
する。タイヤ切角速度ΔRが設定値ΔRmin 未満である
と判断されればステップ100に移行し、タイヤ切角速
度ΔRが設定値ΔRmin 以上であると判断されればステ
ップ110に移行する。
【0077】ステップ100では、車速が所定速度vs
(例えば2km/h)以下であるか否かを判断する。車
速が所定速度vs以下であれば、ステップ150に移行
してバルブ停止指令を実行する。車速が所定速度vsを
超えていればステップ110に進む。
【0078】ステップ110ではずれ量Δθが所定値A
°以下であるか否かを判断する。ずれ量Δθが所定値A
°を超えるようであればステップ130に移行する。ス
テップ130では検出圧力P、即ちステアリングシリン
ダ12の圧力Pに対応するデューティ値を図9(a)に
示すマップM2から演算する。そして、ステップ140
に移行して、ステップ140で電磁切換弁22をデュー
ティ制御する制御信号を出力するバルブ駆動指令を実行
する。
【0079】そのため、図7に示すようにずれ量Δθが
所定値A°を超えるときには、ハンドル2の操作方向が
左方向(b方向)であっても右方向(c方向)であって
も、ノブ位置補正が実行され、ノブ2aは現在位置から
目標位置に向かって接近することになる。ハンドル2が
c方向に操作されるときは最長経路を通る補正となる
が、元々のずれ量ΔθがA°を超えて大きいので、多く
の場合、ずれ量Δθが拡大するよりも縮小することとな
り、ノブ位置補正の実施の機会が事実上増え、A°を超
えるずれ量のまま放置されることが極力回避される。
【0080】一方、ステップ110でΔθ≦A°の成立
時にはステップ120に移行し、操舵方向と目標方向と
が一致するか否かを判断する。この判断は操舵方向フラ
グと目標方向フラグの両フラグ値が一致するか否かで判
断する。操舵方向=目標方向の成立時にはステップ13
0に移行して圧力Pに対応するデューティ値を求めた
後、ステップ140でバルブ駆動指令を行う。また、操
舵方向=目標方向の不成立時にはステップ150に移行
してバルブ停止指令を行う。
【0081】従って、ノブ2aが図6における実線位置
に位置するときには、ノブ2aが目標位置に最短経路で
接近するa1方向(左方向)にハンドル2が操作された
ときにノブ位置補正が実行され、ノブ2aが目標位置か
ら離れる(つまり最長経路で接近する)x1方向(右方
向)にハンドル2が操作されたときにはノブ位置補正が
実行されない。また、ノブ2aが正規の位置から(36
0−A)°以上ずれた図6の鎖線位置にあるときには、
ノブ2aが目標ノブ位置に最短経路で接近するa2方向
(右方向)にハンドル2が操作されたときにノブ位置補
正が実行され、ノブ2aが目標位置から離れるx2方向
(左方向)にハンドル2が操作されたときにはノブ位置
補正が実行されない。また、実際にずれた量が360°
以上であっても、相対角度が考慮されるだけなので、補
正量は常に360°未満となる。例えばノブ2aが実際
には1回転もしくは2回転分ずれていても、オペレータ
から見てノブ2aの位置が合っていればノブ位置補正は
実行されない。
【0082】また、ノブ位置補正が行われる場合は、ス
テアリングシリンダ12の圧力Pの増加に対応して電磁
切換弁22の単位時間当たりの弁開度が小さくなるよう
に、即ちデューティ値が小さくなるように電磁切換弁2
2がデューティ制御される。その結果、補正手段の単位
時間当たりの作動油還流量即ち補正量が、ステアリング
シリンダ12の圧力Pに拘らずほぼ一定となる。
【0083】操舵輪19である後輪にかかる荷重(後輪
荷重)と、ステアリングシリンダ12の圧力とは、図8
(a)に示すように比例関係にあり、ステアリングシリ
ンダ12の圧力は後輪荷重に比例して増加する。
【0084】一方、管路を流れる作動油の流量は圧力の
1/2乗に比例するため、弁の開度が一定の場合、ノブ
位置補正時の単位時間当たりの補正量とステアリングシ
リンダ12の圧力(以下、単にシリンダ圧力と称す)と
の関係は、図8(b)に示すように、シリンダ圧力の1
/2乗に比例して増大する状態となる。従って、弁の開
度が一定の場合、発明が解決しようとする課題で述べた
ような問題が発生する。
【0085】しかし、この実施の形態では、補正時の電
磁切換弁22のデューティ値を設定するマップM2とし
て、図9(a)に示すように、電磁切換弁22のデュー
ティ値が、シリンダ圧力Pが所定圧力Ps以下で100
%となり、それよりシリンダ圧力Pが増加する範囲では
シリンダ圧力Pの1/2に乗に比例して減少する曲線を
採用している。その結果、ノブ位置補正時の単位時間当
たりの補正量が、図9(b)に示すように、シリンダ圧
力Pに拘らず一定となる。従って、ノブ2aが一定量ず
れた場合、空荷あるいは荷の重量に拘らず補正に要する
時間が一定になる。
【0086】圧力センサ37にはシャトル弁38を介し
て管路36内の圧力が作用する。そして、油圧ライン1
3に作動油が供給される状態、即ちハンドル2が右旋回
された場合は、図1に示すようにシャトル弁38は圧力
センサ37に油圧ライン13の油圧が作用する状態に保
持される。一方、油圧ライン14に作動油が供給される
状態、即ちハンドル2が左旋回された場合は、シャトル
弁38は圧力センサ37に油圧ライン14の油圧が作用
する状態に保持される。従って、ハンドル2の操作方向
に拘わらず、圧力センサ37はステアリングシリンダ1
2の圧力を確実に検出する。
【0087】この実施の形態では以下の効果を有する。 (イ) ハンドル角補正手段による単位時間当たりの補
正量が、ステアリングシリンダ12の圧力Pに拘わらず
ほぼ一定となるようにしたので、ノブ2aが一定量ずれ
た場合の補正時間を一定化できる。その結果、シリンダ
圧力Pが高くなるノーロード(空荷)での補正時に、操
舵追従性が悪化するのを回避できる。
【0088】(ロ) オービットロール4から吐出され
る作動油の一部をステアリングシリンダ12に供給され
る前にドレンタンク8に還流してノブ位置補正を行い、
単位時間当たりの還流量がステアリングシリンダ12の
圧力Pに拘らずほぼ一定となるように制御する。従っ
て、荷の重量変化に依らず、ノブ2aが一定量ずれた場
合の補正時間を一定化できる。その結果、ノーロードN
Lでの補正時に操舵追従性が悪化するのを回避できる。
【0089】(ハ) 補正手段としてデューティ制御さ
れる電磁切換弁22が使用されているため、前記単位時
間当たりの還流量、即ち補正量の調整をデューティ値を
変更することにより簡単にできる。
【0090】(ニ) バイパスライン21に絞り弁23
が設けられているため、電磁切換弁22が故障等により
開弁のままとなっても、ハンドル操作による操舵輪19
の操舵が可能となる。
【0091】(ホ) オービットロール4とステアリン
グシリンダ12とを接続する2本の油圧ライン13,1
4を接続する管路36にシャトル弁38を介して圧力セ
ンサ37が接続されている。従って、1個の圧力センサ
37でハンドルの操作方向(旋回方向)に関係なくステ
アリングシリンダ12の圧力Pを確実に検出できる。ま
た、右操舵用と左操舵用の2個の圧力センサを設けた場
合に比較して、デューティ値を演算するための制御も簡
単になる。
【0092】(ヘ) タイヤ切れ角基準で目標ハンドル
角θgを求める方法にしたので、目標ハンドル角θgを
ハンドルの相対角度で設定することができ、ハンドルの
相対角度を合わせるノブ位置補正を実現させることがで
きる。従って、実際のずれ量が360°以上であって
も、例えば1回転もしくは2回転少ない補正量で済ませ
ることができる。従って、ハンドル2の無駄な空転を無
くすことができる。
【0093】(ト) タイヤ切角速度Rが設定値ΔRmi
n 未満、即ちハンドル操作速度が所定速度未満で、かつ
車速vが所定速度vs以下のときは、ノブ位置補正を禁
止(停止)する。従って、オービットロール効率が低下
して吐出油量が少なくなり、しかもタイヤ反力が増大し
た状態で、ハンドル操作したにも拘わらず操舵輪19の
切れ角が変化しないというハンドル操作上のフィーリン
グの悪化を回避できる。
【0094】(チ) ずれ量ΔθがA°以下であるとき
には、最短経路を通る方向にハンドル2が操作されたと
きに限り補正が実行されるので、相対角度に基づく補正
方法を採用しても、ずれ量を縮小させる補正を実行させ
ることができる。また、実際のずれ量が例えば280°
であっても75°(許容値θo =5°を考慮した場合)
の補正量で済み、実際のずれ量がA°を超えて360°
未満の場合においても、実際のずれ量よりも小さな補正
量で済ませることができる。その結果、ノブ位置補正に
必要なハンドル2の空転量をさらに一層少なくすること
ができる。
【0095】(リ) ハンドル角θの検出にロータリエ
ンコーダ27を用いたので、ノブ2aの位置に相当する
ハンドル相対角度での検出値(カウント値C)をハンド
ル2の1回転(360°)全域に亘って検出することが
できる。その結果、回転式のポテンショメータを用いた
場合と異なり、ハンドル2がどの位置にあってもノブ位
置補正を行うことができる。従って、補正に要するハン
ドル操作量が減って補正が早く終了し、操舵輪19を直
進姿勢に戻したときのノブ2aの中立位置への収束性を
高めることができる。
【0096】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図13及び図14に従って説明する。この実施の形
態では補正手段として機能する電磁切換弁22として、
デューティ弁に代えて、オン・オフソレノイド弁を使用
する点が前記実施の形態と異なっている。その他のハー
ドウエアの構成は前記実施の形態と同じであり、ノブ位
置補正制御プログラムの一部と、電磁切換弁22を駆動
するときのソレノイド25の励磁時間を設定するマップ
とが前記実施の形態と異なっている。前記実施の形態と
同一部分は同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0097】デューティ弁はその応答性が1〜2ms
(ミリ秒)程度と速いのに対して、オン・オフソレノイ
ド弁はその応答性が10〜20ms程度と一桁遅い。従
って、デューティ弁のように高速でオン・オフ制御する
ことにより、短時間における見かけの上の開度を細かく
調整することは、オン・オフソレノイド弁では難しい。
そこで、この実施の形態では数十〜百ミリ秒程度を1周
期として、その間におけるソレノイド25の通電時間を
調整することにより、電磁切換弁22の見かけの上の開
度調整を行って補正量を調整するようになっている。
【0098】例えば、電磁切換弁22の応答性が20m
sで、1制御周期を100msとした場合、ソレノイド
25の連続励磁時間(連続通電時間)を変更することに
より、図14(a)〜(d)に示すように、見かけの上
の開度が20%、40%、60%、80%と変更され
る。なお、各グラフの横軸は通電時間を表す。(a)は
ソレノイド25に20ms通電(オン)して80msオ
フした場合、(b)はソレノイド25に40ms通電
(オン)して60msオフした場合、(c)はソレノイ
ド25に60ms通電(オン)して40msオフした場
合、(d)はソレノイド25に80ms通電(オン)し
て20msオフした場合をそれぞれ示す。また、1周期
の間連続通電した場合は開度100%になる。
【0099】この実施の形態では前記開度の微調整は難
しいため、シリンダ圧力Pに対応する電磁切換弁22の
開度を求めるためのマップM3は、図13に示すよう
に、不連続な線で表されるグラフとなる。なお、図13
において、縦軸は電磁切換弁22の制御周期の1周期に
おける連続通電時間の割合を%で表す。
【0100】この実施の形態では、ノブ位置補正制御プ
ログラムは前記実施の形態のものと基本的に同じである
が、図11のフローチャートにおいて、ステップ130
でシリンダ圧力Pに対応するデューティ値をマップM2
から演算する代わりに、図13のマップM3を使用して
シリンダ圧力Pに対応する電磁切換弁22の連続通電時
間を求める。そして、ステップ140では電磁切換弁2
2を所定時間連続通電させる制御信号を出力するバルブ
駆動指令を実行する。
【0101】従って、この実施の形態においても、前記
実施の形態の(イ)、(ロ)及び(ニ)〜(リ)の効果
を発揮する。しかし、前記実施の形態の方が補正量の調
整をより精度良く行うことができるとともに、1回のノ
ブ位置補正の制御周期を短くできる。一方、この実施の
形態の場合は、デューティ弁に比較して低価格の電磁切
換弁22を使用できるため、装置全体の製造コストを低
減できる。
【0102】(第3の実施の形態)次に第3の実施の形
態を図15に従って説明する。この実施の形態では補正
手段として機能する電磁切換弁22に代えて、比例弁を
使用する点が第1の実施の形態と異なっている。その他
のハードウエアの構成は第1の実施の形態と同じであ
り、ノブ位置補正制御プログラムの一部と、比例弁を駆
動するときの開度を設定するマップが第1の実施の形態
と異なっている。従って、第1の実施の形態と異なる部
分についてのみ説明する。
【0103】図15はシリンダ圧力Pに対応する比例弁
の開度を求めるためのマップM4を示すグラフである。
比例弁は弁開度が連続的に調整可能なため、マップM4
は連続した線として表される。なお、縦軸は比例弁の開
度(比例弁の駆動電流の大きさに対応する。)を示す。
【0104】この実施の形態では、ノブ位置補正制御プ
ログラムは第1の実施の形態のものと基本的に同じであ
るが、図11のフローチャートにおいて、ステップ13
0でシリンダ圧力Pに対応するデューティ値をマップM
2から演算する代わりに、図15のマップM4を使用し
てシリンダ圧力Pに対応する比例弁の開度を求める。そ
して、ステップ140では比例弁を所定開度で駆動する
駆動電流を供給するための制御信号を出力するバルブ駆
動指令を実行する。
【0105】従って、この実施の形態においても、
(ハ)を除いて第1の実施の形態と同様な効果を発揮す
る。また、この実施の形態の場合は比例弁を使用してい
るため、デューティ弁に比較してより確実に所定の開度
に調整できる。
【0106】(第4の実施の形態)次に第4の実施の形
態を図16及び図17に従って説明する。この実施の形
態では補正手段として電磁切換弁22と可変絞り弁とを
組み合わせて使用している点が第1の実施の形態と異な
っている。また、ノブ位置補正制御プログラムの一部
と、可変絞り弁を駆動するときの開度を設定するマップ
が第1の実施の形態と異なっている。第1の実施の形態
と同一部分は同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0107】図17に示すように、バイパスライン21
の途中に電磁切換弁22及び可変絞り弁53が設けられ
ている。電磁切換弁22及び可変絞り弁53により補正
手段が構成されている。電磁切換弁22にはオン・オフ
ソレノイド弁が使用されている。可変絞り弁53は全開
時における流量が、第1の実施の形態の絞り弁23の流
量とほぼ同じものが使用されている。電磁切換弁22及
び可変絞り弁53はコントローラ26に設けられた駆動
回路44を介して駆動制御される。CPU45はノブ位
置補正を行う場合、電磁切換弁22を開状態に保持する
とともに、可変絞り弁53をシリンダ圧力Pに対応する
所定の開度に保持するための制御信号を駆動回路44を
介して出力する。
【0108】図16はシリンダ圧力Pに対応する可変絞
り弁53の開度を求めるためのマップM5を示すグラフ
である。可変絞り弁53は弁開度が連続的に調整可能な
ため、マップM5は連続した線として表される。なお、
縦軸は可変絞り弁53の開度(可変絞り弁の駆動電流の
大きさに対応する。)を示す。
【0109】この実施の形態では、ノブ位置補正制御プ
ログラムは第1の実施の形態のものと基本的に同じであ
るが、図11のフローチャートにおいて、ステップ13
0でシリンダ圧力Pに対応するデューティ値をマップM
2から演算する代わりに、図16のマップM5使用して
シリンダ圧力Pに対応する可変絞り弁53の開度を求め
る。そして、ステップ140では可変絞り弁53を所定
開度で駆動する駆動電流を供給し、電磁切換弁22を開
状態にする制御信号を出力するバルブ駆動指令を実行す
る。
【0110】従って、この実施の形態においても、
(ハ)を除いて第1の実施の形態と同様な効果を発揮す
る。また、この実施の形態の場合は可変絞り弁53を使
用しているため、比例弁を使用した第3の実施の形態と
同様に、デューティ弁に比較してより確実に所定の開度
に調整できる。しかし、電磁切換弁22及び可変絞り弁
53の両者が必要なため、第3の実施の形態に比較して
構造及び制御が若干複雑になる。
【0111】(第5の実施の形態)次に第5の実施の形
態を図18に従って説明する。この実施の形態では圧力
検出センサ37を装備していない点が前記各実施の形態
と大きく異なっている。第1の実施の形態と同一部分は
同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0112】両油圧ライン13,14間には管路54,
55が接続され、両管路54,55はバイパスライン5
6により連通されている。バイパスライン56はシャト
ル弁57を介して管路54に接続されている。管路55
にはバイパスライン56との接続点を挟んで両側に、そ
れぞれ逆止弁58,59が介装されている。各逆止弁5
8,59はそれぞれ各油圧ライン13,14に向かう側
が順方向となるように設けられている。
【0113】バイパスライン56には電磁切換弁60及
び圧力補償付流量調整弁61が直列に設けられている。
圧力補償付流量調整弁61はその入口61a側が管路5
4と対応し、出口61b側が管路55と対応するように
設けられている。電磁切換弁60はオン・オフソレノイ
ド弁で構成され、電磁切換弁60を構成するスプール
(図示せず)はスプリング62により遮断位置側に付勢
されており、電磁切換弁60はソレノイド63が励磁さ
れたときに連通位置に配置され、ソレノイド63が消磁
されたときに遮断位置に配置される。ソレノイド63は
第1の実施の形態と同様に、コントローラ26と電気的
に接続されている。両管路54,55、バイパスライン
56、シャトル弁57、逆止弁58,59、電磁切換弁
60及び圧力補償付流量調整弁61により補正手段が構
成されている。
【0114】また、この実施の形態では、ノブ位置補正
制御プログラムは第1の実施の形態のものと基本的に同
じであるが、図11のフローチャートにおいて、ステッ
プ130がない点が異なっている。従って、ステップ1
10における判断で、ずれ量Δθが所定値A°を超える
ようであればステップ140に移行して、ステップ14
0で電磁切換弁60を駆動する制御信号を出力するバル
ブ駆動指令を実行する。一方、ステップ110でΔθ≦
A°の成立時にはステップ120に移行し、操舵方向と
目標方向とが一致するか否かを判断する。そして、ステ
ップ120で操舵方向=目標方向の成立時にはステップ
140に移行して、ステップ140でバルブ駆動指令を
行う。即ち、前記各実施の形態と異なり、この実施の形
態ではノブ位置補正時に、弁開度あるいは弁開度に相当
する値を演算する処理がない。
【0115】次に前記のように構成された補正手段の作
用を説明する。シャトル弁57は高圧側の油圧ラインの
作動油のみをバイパスライン56に流すように作用す
る。例えば、油圧ライン13に作動油が供給される状
態、即ちハンドル2が右旋回された場合は、図18に示
すようにシャトル弁57は油圧ライン13の作動油をバ
イパスライン56に供給可能な状態となる。
【0116】従って、ハンドルが右旋回された状態でノ
ブ位置補正が行われる場合、即ちCPU45がノブ位置
補正制御プログラムを実行中に、ステップ140でバル
ブ駆動指令が実行されて、電磁切換弁60が連通位置に
配置されると、高圧側の油圧ライン13の作動油がシャ
トル弁57を経てバイパスライン56に流れ込む。バイ
パスライン56に流れ込んだ作動油は電磁切換弁60、
圧力補償付流量調整弁61、逆止弁59及び管路55を
経て油圧ライン14へ流出し、ドレンタンク8に環流さ
れる。管路55に設けられた逆止弁58,59は、いず
れも油圧ライン13,14に向かう方向が順方向である
が、油圧ライン13が高圧のため、作動油は低圧の油圧
ライン14と対応する側の逆止弁59を経て低圧の油圧
ライン14へ流出する。ハンドル2が左旋回されて、油
圧ライン14に作動油が供給される状態では、前記と逆
に油圧ライン14側から油圧ライン13側へ作動油が流
出する。
【0117】圧力補償付流量調整弁61は、その入口6
1a側と出口61b側との圧力差に拘わらず圧力補償付
流量調整弁61を流れる作動油の流量を所定量に保持す
る。従って、圧力補償付流量調整弁61が設けられたバ
イパスライン56を流れる作動油の量は、高圧側の油圧
ラインと低圧側の油圧ラインとの圧力差の大小に拘わら
ず一定となる。従って、シリンダ圧力Pに拘わらずバイ
パスライン56を経て環流する作動油の流量が一定にな
り、図9(b)で示すように、補正量がシリンダ圧力に
拘わらずほぼ一定となる。
【0118】従って、この実施の形態においては、第1
の実施の形態の(イ)、(ロ)及び(ヘ)〜(リ)の効
果を有する。また、圧力補償付流量調整弁61の作用に
より、シリンダ圧力Pに拘わらず流量を自動的に一定に
調整でき、圧力センサ37が不要になる。その結果、ノ
ブ位置補正制御プログラムにおいて、シリンダ圧力Pに
対応する弁開度あるいは弁開度に対応する値を演算する
等の処理が不要になり、制御が簡単になる。また、電磁
切換弁60が故障等により開弁のままとなっても、ハン
ドル操作による操舵輪19の操舵に支障を来すことがな
い。
【0119】なお、本発明は上記各実施の形態に限定さ
れるものではなく、例えば次のように具体化することが
できる。 ○ 第1〜第4の実施の形態において、圧力センサ37
を両油圧ライン13,14を連通する管路36にシャト
ル弁38を介して接続する代わりに、管路36及びシャ
トル弁38をなくして、圧力センサ37を各油圧ライン
13,14にそれぞれ設けてもよい。
【0120】○ 第5の実施の形態において、シャトル
弁57及び逆止弁58,59に代えて、図19に示すよ
うに、3ポート2位置切り換えの電磁切換弁64,65
を設けてもよい。両電磁切換弁64,65はハンドル2
の操作方向に対応して、コントローラ26からの信号に
よりソレノイド66,67が励消磁制御されて2位置間
で切り換えられる。この実施の形態では、ハンドル2の
操作方向が右方向のとき、両電磁切換弁64,65は消
磁状態に保持されて、油圧ライン13,14からの作動
油の流入側に設けられた電磁切換弁64は、図19に示
すバイパスライン56を油圧ライン13と連通させる位
置に配置される。また、油圧ライン13,14への作動
油の流出側に設けられた電磁切換弁65は、バイパスラ
イン56を油圧ライン14と連通させる位置に配置され
る。ハンドル2の操作方向が左方向のときは、両電磁切
換弁64,65のソレノイド66,67が励磁状態に保
持され、両電磁切換弁64,65は図19と反対側の位
置に切り換えられ、油圧ライン14の作動油が油圧ライ
ン13へ流れる状態となる。
【0121】○ 第5の実施の形態において、電磁切換
弁60と圧力補償付流量調整弁61の位置を置換、即
ち、シャトル弁57側に圧力補償付流量調整弁61を、
逆止弁58,59側に電磁切換弁60を設けてもよい。
【0122】○ 補正手段として弁開度を連続的に変更
可能な構成の弁を使用した場合においても、第2の実施
の形態のように弁開度をシリンダ圧力Pに応じて段階的
に変更するようにしてもよい。
【0123】○ ハンドル角を検出するロータリエンコ
ーダとしてインクリメントタイプのロータリエンーコー
ダに代えてアブソリュートタイプのロータリエンーコー
ダを使用してもよい。この場合、前回の制御周期におけ
るロータリエンコーダの検出角度と今回の制御周期にお
けるロータリエンコーダの検出角度からハンドル操作方
向が簡単に分かる。
【0124】○ ハンドル操作速度及び車速により、ノ
ブ位置補正を行うか否かの判断、即ちステップ90及び
ステップ100を省略してもよい。特にオービットロー
ル4として、ハンドル操作速度が遅い場合でもオービッ
ト効率の低下が少なくなるように改良された、低スリッ
プタイプのオービットロールを使用する場合はステップ
90及びステップ100を省略しても支障はない。
【0125】○ 車速検出手段はフロントデフリングギ
ヤ34の回転を検出する車速センサ35に限らず、例え
ば駆動輪と一体的に回転する他の部分の回転を検出する
車速センサを使用してもよい。
【0126】○ ハンドル角を絶対角度で検出する構
成、例えば特開平4−24270号公報に開示された装
置のように、ハンドルを支持するステアリングシャフト
の回転をウォームギヤ等の減速機構を介して減速させて
その回動量をポテンショメータで検出する構成としても
よい。ハンドル角を絶対角度で検出する構成において
は、操舵輪の舵角が直進範囲にあるか否かをハンドル角
から判断してもよい。この場合、ハンドルのずれ量を加
味すれば正確な判断結果が得られる。
【0127】○ ハンドル角検出手段として回転式のポ
テンショメータを使用してもよい。この場合、360°
全域のうち一部に非検出領域が存在するが、検出可能領
域の中央でハンドル角「0°」が検出されるように設定
することにより、非検出領域が存在してもほとんど支障
がない。
【0128】○ 補正手段を構成する電磁切換弁22、
比例弁あるいは可変絞り弁53の開度をシリンダ圧力に
対応した適切な値に設定する場合、開度とシリンダ圧力
との関係はオービットロール4の特性や、弁の特性によ
って異なり、シリンダ圧力が0より大きくなると直ちに
開度を100%より小さくする場合もある。
【0129】○ ハンドル操作速度が設定値以下である
か否かの判断を、ロータリエンコーダ27からのハンド
ル角θのデータを用いて求めたハンドル回転速度に基づ
いて行う構成としてもよい。例えば、ハンドル角θのデ
ータを過去複数回分保存(RAM47に記憶)してお
き、図10のフローチャートのステップ50において、
所定時間前のハンドル角θ1と現在のハンドル角θとの
偏差Δθ(=|θ−θ1|)を算出する。そして、偏差
Δθによりハンドル操作速度が所定速度未満であるか否
かを判定する。
【0130】○ ハンドル位置補正(ハンドル角補正)
を行う場合は、常に補正が最短経路で済む方向にハンド
ル2が操作されたときに限り補正を実行するようにして
もよい。この場合は、ノブ位置補正が実施されるときに
は必ずずれ量Δθを縮小させることができる。
【0131】○ フォークリフトに限らず、全油圧式の
パワーステアリング装置を備えるフォークリフト以外の
産業車両に適用してもよい。 ○ ノブがないハンドルの位置補正を目的として本発明
を実施してもよい。
【0132】なお、本明細書で言う「ステアリングシリ
ンダの圧力」とは、操舵時にステアリングシリンダに供
給される作動油の圧力を意味する。「所定速度以下の低
速の車速」とは、ステアリングシリンダに作用するタイ
ヤ反力が大きくなる速度域(例えば歩く程度の速度(数
km/h))以下の速度をいう。また、「フォークリフ
ト」とは、荷役用アタッチメントとしてフォーク以外の
アタッチメント、例えばロール紙の運搬に使用するロー
ルクランプ、ブロックの運搬や高積み作業に使用するブ
ロッククランプ、コイル状に巻かれたワイヤ及びケーブ
ル等コイル状あるいは円筒状の荷の運搬に使用するラム
等を装備したものを含む。
【0133】前記各実施の形態から把握され、請求項記
載以外の技術思想(発明)について、以下にその効果と
ともに記載する。 (1) 請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の発
明において、圧力検出手段は両油圧ラインを連通する管
路にシャトル弁を介して接続されている。この場合、ハ
ンドルの操作方向(旋回方向)に関係なく、1個の圧力
検出手段でステアリングシリンダの圧力を検出できる。
【0134】(2) 請求項1〜請求項9のいずれか一
項に記載の発明において、ハンドル操作速度検出手段及
び車速検出手段を設け、ハンドル操作速度が所定速度未
満で、かつ車速が所定速度以下のときには補正手段の補
正を禁止する補正禁止手段を設ける。この場合、オービ
ットロール効率が低下して吐出油量が少なくなり、しか
もタイヤ反力が増大した状態で、ハンドル操作したにも
拘わらず操舵輪の切れ角が変化しないというハンドル操
作上のフィーリングの悪化を回避できる。
【0135】(3) 請求項1〜請求項9のいずれか一
項に記載の発明において、ハンドル角検出手段はステア
リングシャフトと一体回転する円盤を有するロータリエ
ンコーダを備えている。この場合、回転式のポテンショ
メータを使用した回転検出器を使用する場合と異なり、
ハンドルの1回転の全領域にわたって回転位置(角度)
を検出でき、ハンドルがどのような位置にあってもノブ
位置補正を行うことが可能になる。
【0136】(4) 請求項6に記載の発明において、
前記可変絞り弁は全開時の流量が、ハンドル操作による
操舵輪の操舵が可能となる値に設定されている。この場
合、電磁切換弁及び可変絞り弁が故障等により全開のま
まとなっても、ハンドル操作による操舵輪の操舵が可能
となる。
【0137】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項9
に記載の発明によれば、パワーステアリング装置のステ
アリングシリンダの圧力の大きさに拘わらず、ハンドル
角補正時における単位時間当たりの補正量をほぼ一定に
することができ、ハンドル角(ノブ位置)が一定量ずれ
た場合の補正時間をほぼ一定にできる。
【0138】請求項3に記載の発明によれば、補正手段
としてデューティ制御弁が使用されるため、デューティ
値をステアリングシリンダの圧力に対応して変更するこ
とにより、単位時間当たりの補正量をステアリングシリ
ンダの圧力に拘らず簡単にほぼ一定に保持できる。
【0139】請求項4に記載の発明によれば、補正手段
としてデューティ弁に比較して低価格の電磁切換弁を使
用できるため、装置全体の製造コストを低減できる。請
求項5及び請求項6に記載の発明によれば、補正手段と
してデューティ弁を使用した場合に比較してより確実に
所定の開度に調整できる。
【0140】請求項7及び請求項8に記載の発明によれ
ば、圧力検出手段でステアリングシリンダの圧力を検出
する必要がなく、制御も容易となる。請求項8に記載の
発明によれば、作動油供給手段とステアリングシリンダ
とを接続する2本の油圧ラインのうち、圧力が高い側の
油圧ラインからの作動油が、自動的にかつ確実に圧力補
償付流量調整弁の入口側に供給される。
【0141】請求項9に記載の発明によれば、操舵輪の
切れ角からハンドルの相対角度で求められた目標位置に
ハンドルの実位置を補正するようにしたので、操舵輪に
対してハンドルが360度以上ずれた場合には、1回転
もしくは2回転分少ない360度未満の補正量で済み、
ハンドル位置補正に必要なハンドルの空転を相対的に少
なくできる。
【0142】請求項10に記載の発明によれば、請求項
1〜請求項9のいずれか一項に対応する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のパワーステアリング装置
の模式図。
【図2】 ハンドル角補正装置の電気的構成を示すブロ
ック図。
【図3】 ロータリエンコーダを構成する円盤の部分模
式図。
【図4】 ロータリエンコーダからの出力信号のタイム
チャート。
【図5】 目標位置設定用のマップを示すグラフ。
【図6】 ノブ位置補正制御の説明図。
【図7】 ノブ位置補正制御の説明図。
【図8】 (a)は後輪荷重とシリンダ圧力との関係、
(b)は絞り一定での補正量とシリンダ圧力との関係を
それぞれ示すグラフ。
【図9】 (a)はデューティ値設定用のマップを示す
グラフ、(b)は補正量とシリンダ圧力との関係を示す
グラフ。
【図10】ノブ位置補正制御処理のフローチャート。
【図11】ノブ位置補正制御処理のフローチャート。
【図12】割り込みルーチンのフローチャート。
【図13】第2の実施の形態のバルブ開時間設定用のマ
ップを示すグラフ。
【図14】同じく弁開度とオン時間の関係を示すグラ
フ。
【図15】第3の実施の形態の比例弁開度設定用のマッ
プを示すグラフ。
【図16】第4の実施の形態の絞り弁開度設定用のマッ
プを示すグラフ。
【図17】同じくパワーステアリング装置の模式図。
【図18】第5の実施の形態のパワーステアリング装置
の模式図。
【図19】別の実施の形態のパワーステアリング装置の
部分模式図。
【図20】従来装置の模式図。
【符号の説明】
1…パワーステアリング装置、2…ハンドル、4…作動
油供給手段を構成するオービットロール、6…同じく油
圧ポンプ、8…ドレンタンク、12…ステアリングシリ
ンダ、13,14…油圧ライン、19…操舵輪、21,
56…管路としてのバイパスライン、22…補正手段を
構成するデューティ弁としての電磁切換弁、27…ハン
ドル角検出手段を構成するロータリエンコーダ、28…
舵角検出手段としてのポテンショメータ、37…圧力検
出手段としての圧力センサ、40…ハンドル角検出手段
を構成するエッジ検出回路、44…制御手段を構成する
駆動回路、45…制御手段及び目標位置演算手段を構成
するとともに目標方向検出手段としてのCPU、48…
ハンドル角検出手段を構成する舵角カウンタ、53…補
正手段を構成する可変絞り弁、57…補正手段を構成す
るシャトル弁、58,59…同じく逆止弁、60…同じ
く電磁切換弁、61…同じく圧力補償付流量調整弁、6
1a…入口、61b…出口、F…車両としてのフォーク
リフト。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/09 B62D 6/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全油圧式パワーステアリング装置を備え
    るとともに、ハンドル角と操舵輪の切れ角との位置関係
    に所定量以上のずれが生じた場合、ハンドルの操作時に
    ハンドルを空転させることによりそのずれを補正するハ
    ンドル角補正手段を備えた産業車両において、 前記ハンドル角補正手段による単位時間当たりの補正量
    を、前記パワーステアリング装置用のステアリングシリ
    ンダの圧力に拘わらずほぼ一定となるようにした産業車
    両のハンドル角補正装置。
  2. 【請求項2】 ハンドルの操作位置に応じた切れ角に操
    舵輪を駆動するため、ハンドルの操作量に応じた油量の
    作動油を吐出する作動油供給手段と、 前記作動油供給手段からの作動油により駆動されて前記
    操舵輪を駆動するための油圧式のステアリングシリンダ
    と、 ハンドルの実位置を検出するハンドル角検出手段と、 前記操舵輪の切れ角を検出する舵角検出手段と、 前記切れ角から該切れ角に応じた正規のハンドルの位置
    である目標位置を求める目標位置演算手段と、 前記作動油供給手段から吐出された作動油の一部を前記
    ステアリングシリンダに供給される前にドレンタンクに
    還流させて前記ハンドルの操作量に対する前記ステアリ
    ングシリンダの駆動量の変化割合を減少させる補正手段
    と、 前記ステアリングシリンダの圧力を検出する圧力検出手
    段と、 前記ハンドルの実位置と前記目標位置とのずれ量が少な
    くとも許容範囲内に収まるように前記補正手段を駆動制
    御するとともに、前記ステアリングシリンダの圧力に拘
    らず前記補正手段の単位時間当たりの作動油還流量をほ
    ぼ一定にするように制御する制御手段とを備えた産業車
    両のハンドル角補正装置。
  3. 【請求項3】 前記補正手段は、前記作動油供給手段か
    ら吐出された作動油の一部を前記ステアリングシリンダ
    に供給される前にドレンタンクに還流可能な管路に設け
    られたデューティ制御弁を備え、前記制御手段は前記圧
    力検出手段の検出圧力に対応して前記デューティ制御弁
    のデューティを変更するようにした請求項2に記載の産
    業車両のハンドル角補正装置。
  4. 【請求項4】 前記デューティ弁に代えてオン・オフソ
    レノイド弁を使用し、前記制御手段は前記圧力検出手段
    の検出圧力に対応して該オン・オフソレノイド弁を開状
    態に保持する時間を変更するようにした請求項3に記載
    の産業車両のハンドル角補正装置。
  5. 【請求項5】 前記デューティ弁に代えて比例弁を使用
    し、前記制御手段は前記圧力検出手段の検出圧力に対応
    して該比例弁の開度を変更するようにした請求項3に記
    載の産業車両のハンドル角補正装置。
  6. 【請求項6】 前記デューティ弁に代えて可変絞り弁及
    び電磁切換弁を前記管路に設け、前記制御手段は前記圧
    力検出手段の検出圧力に対応して該可変絞り弁の開度を
    変更するようにした請求項3に記載の産業車両のハンド
    ル角補正装置。
  7. 【請求項7】 ハンドルの操作位置に応じた切れ角に操
    舵輪を駆動するため、ハンドルの操作量に応じた油量の
    作動油を吐出する作動油供給手段と、 前記作動油供給手段からの作動油により駆動されて前記
    操舵輪を駆動するための油圧式のステアリングシリンダ
    と、 ハンドルの実位置を検出するハンドル角検出手段と、 前記操舵輪の切れ角を検出する舵角検出手段と、 前記切れ角から該切れ角に応じた正規のハンドルの位置
    である目標位置を求める目標位置演算手段と、 前記作動油供給手段から吐出された作動油の一部を前記
    ステアリングシリンダに供給される前にドレンタンクに
    還流させて前記ハンドルの操作量に対する前記ステアリ
    ングシリンダの駆動量の変化割合を減少させる補正手段
    と、 前記ハンドルの実位置と前記目標位置とのずれ量が少な
    くとも許容範囲内に収まるように前記補正手段を駆動制
    御するとともに、前記ステアリングシリンダの圧力に拘
    らず前記補正手段の単位時間当たりの作動油還流量をほ
    ぼ一定にするように制御する制御手段とを備え、 前記補正手段は、前記作動油供給手段から吐出された作
    動油の一部を前記ステアリングシリンダに供給される前
    にドレンタンクに還流可能な管路に直列に設けられた電
    磁切換弁及び圧力補償付流量調整弁を備えている産業車
    両のハンドル角補正装置。
  8. 【請求項8】 前記管路は前記圧力補償付流量調整弁の
    入口と対応する側が、前記作動油供給手段と前記ステア
    リングシリンダとを接続する2本の油圧ラインに対して
    シャトル弁を介して接続され、前記圧力補償付流量調整
    弁の出口と対応する側は前記2本の油圧ラインに対して
    各油圧ラインに向かう側が順方向となる逆止弁を介して
    接続されている請求項7に記載の産業車両のハンドル角
    補正装置。
  9. 【請求項9】 前記制御手段は、前記舵角検出手段によ
    り検出された前記切れ角から前記目標位置をハンドルの
    相対角度で求める目標位置演算手段を備え、前記ハンド
    ル角検出手段がハンドルの相対角度で検出した前記実位
    置と前記目標位置とのずれ量が相対角度で許容値以下に
    収まるように前記ハンドルを位置補正する請求項2〜請
    求項8のいずれか一項に記載の産業車両のハンドル角補
    正装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項9のいずれか一項に
    記載のハンドル角補正装置を備えている産業車両。
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