JP3134792B2 - パワーステアリング装置におけるハンドル角補正装置及び車両 - Google Patents

パワーステアリング装置におけるハンドル角補正装置及び車両

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JP3134792B2 JP28099296A JP28099296A JP3134792B2 JP 3134792 B2 JP3134792 B2 JP 3134792B2 JP 28099296 A JP28099296 A JP 28099296A JP 28099296 A JP28099296 A JP 28099296A JP 3134792 B2 JP3134792 B2 JP 3134792B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワーステアリン
グ装置を備えたフォークリフト等の車両において、ハン
ドル角と操舵輪の切れ角との位置関係のずれを補正する
パワーステアリング装置におけるハンドル角補正装置及
び車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パワーステアリング装置として、
ハンドルの操作量に応じた油量をステアリングシリンダ
に供給して操舵輪を操向させる全油圧式パワーステアリ
ング装置が知られている。
【0003】例えばフォークリフト等の産業車両では、
荷役作業等の操作をしながら片手でハンドル操作できる
ようにハンドルにノブが設けられている。そのため、ノ
ブの位置が操舵輪の切れ角が直進姿勢にあるか否かの判
断の目安にされる場合がある。しかし、ハンドルの操作
量に応じて吐出される油量が全てステアリングシリンダ
の駆動に使用されるとは限らず、オービットロール効率
(実吐出量/理論吐出量)が低下したときには、ノブの
位置と操舵輪の切れ角との位置関係にずれが発生するこ
とになる。オービットロール効率の低下は、ハンドルが
遅い速度で操作されるときや、ステアリングシリンダ等
の油圧系におけるオイルリークなどにより引き起こされ
る。
【0004】例えば特公平3−30544号公報、特公
平4−24270号公報及び実公平7−5364号公報
等には、操舵輪の切れ角に対するハンドル角のずれを補
正するハンドル角補正装置が開示されている。図7は
実公平7−5364号公報に開示されたハンドル角補正
装置を示したものである。
【0005】同図に示すように、全油圧式のパワーステ
アリング装置51は、ハンドル52により操作されるP
S制御弁53を有するステアリングユニット54と、操
舵輪(図示せず)を操向させるステアリングシリンダ5
5と、ステアリングユニット54とステアリングシリン
ダ55とを連結する油圧ライン56,57とを備える。
油圧ライン56,57は、ハンドル52の操舵方向に応
じて操舵時には一方のラインが、油圧ポンプ58からの
加圧作動油を給送する給送ラインとなり、他方のライン
がタンク59へ油を戻す返送ラインとなる。両油圧ライ
ン56,57の途中には電磁制御弁60が設けられてい
る。
【0006】コントローラ61には、ハンドル位置セン
サ62からのハンドル回転角信号θabs と、シリンダ位
置センサ63からのシリンダストローク信号sとが入力
される。コントローラ61はハンドル回転角信号θabs
から目標シリンダストロークxgを求め、信号sから求
まるシリンダストロークxと目標シリンダストロークx
gとの偏差が許容値を越えると、電磁制御弁60を開弁
させるようにしていた。
【0007】電磁制御弁60が開弁されることにより、
油圧ライン56,57の一方の給送ラインから他方の返
送ラインに作動油の一部がタンク59に還流し、ハンド
ル52が空転状態となり、ハンドル位置が操舵輪の切れ
角に応じた正規の位置に補正されるまでハンドルの位置
補正が実施される。
【0008】この従来装置では、ハンドル位置センサ6
2の回転位置出力が微分回路で微分され、ハンドル回転
速度に比例した速度信号に変換される。ハンドル回転速
度が設定値よりも遅いときには、仮に偏差が許容値を越
えたとしてもハンドルの位置補正は行われない。そのた
め、ハンドル操作低速時におけるハンドル操作に対して
操舵輪の舵角の変化率が大きくなり過ぎる操舵フィーリ
ングの違和感をなくせるようになっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、直進走行中
はハンドル52を微調整しながら運転操作されるが、こ
のときのハンドル操作速度は遅いため、ハンドルの位置
補正が実行されなかった。その結果、ノブ52aの位置
が徐々にずれてしまうという問題があった。運転中にノ
ブ52aの位置がずれることはハンドル操作上の違和感
となる。
【0010】また、直進走行のままその後ハンドルを大
きく切ることもなく車両が停止されたときには、ノブ5
2aの位置補正の機会がないため、操舵輪が直進姿勢で
あるにも拘わらず、ノブ52aの位置が中立位置からず
れることになっていた。そのため、ノブ52aを操舵輪
の切れ角の判断の目安とすることができなくなる場合が
あった。
【0011】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、ハンドル操作速度が設定値よ
り遅いときにはハンドル位置補正を停止する機能を備え
たハンドル角補正装置において、直進走行中におけるハ
ンドルの微調整によりハンドル位置がずれることを防止
することができるパワーステアリング装置におけるハン
ドル角補正装置及び車両を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1に記載の発明では、ハンドルの実位置を検出す
るハンドル角検出手段と、操舵輪の切れ角を検出する舵
角検出手段と、前記ハンドルの操作量に対する前記操舵
輪の舵角変化の割合を通常時よりも小さく変更するため
の切換手段と、前記ハンドルの実位置と前記操舵輪の切
れ角に応じた目標位置とのずれ量を少なくとも許容値以
下に収めるように前記切換手段を駆動制御する制御手段
と、前記ハンドルの操作速度を直接もしくは間接的に検
出するハンドル操作速度検出手段と、前記ハンドル操作
速度が設定値以下となると、前記制御手段による前記ハ
ンドルの位置補正を禁止する補正禁止手段と、前記操舵
輪の切れ角が直進範囲にあるか否かを判断する舵角判定
手段と、前記操舵輪の切れ角が直進範囲にあるときに
は、前記ハンドル操作速度が設定値以下であっても、前
記制御手段による前記ハンドルの位置補正を実行させる
直進域補正実行手段とを備えている。
【0013】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載のパワーステアリング装置におけるハンドル角補正装
置において、車速を検出する車速検出手段と、前記車速
が所定速度以下の低速であるか否かを判断する車速判定
手段とを備えており、前記補正禁止手段は、前記車速が
所定速度以下の低速であるときには、前記操舵輪の切れ
角が直進範囲内にあるか否かに拘わらず、前記ハンドル
操作速度が設定値以下となれば、前記制御手段による前
記ハンドルの位置補正を禁止する低車速補正禁止手段を
備えている。
【0014】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2のいずれか一項に記載のハンドル角補正装置に
おいて、前記ハンドル操作速度検出手段は、前記操舵輪
の単位時間当たりの舵角変化量である舵角速度を検出す
る舵角速度検出手段である。
【0015】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載のハンドル角補正装置において、前記補正禁止手段
は、前記切換手段の駆動状態を判断する第1判断手段
と、前記切換手段の駆動状態の違いにより、前記ハンド
ルの操作量に対する前記操舵輪の舵角変化の割合が異な
ることを考慮してハンドル操作速度が前記設定値以下で
あるか否かを判断する操作速度判定手段を備えている。
【0016】請求項5に記載の発明では、請求項1〜請
求項4のいずれか一項に記載のハンドル角補正装置にお
いて、前記制御手段は、前記舵角検出手段により検出さ
れた前記切れ角から前記目標位置をハンドルの相対角度
で求める目標位置演算手段を備え、前記ハンドル角検出
手段がハンドルの相対角度で検出した前記実位置と前記
目標位置とのずれ量が相対角度で許容値以下に収まるよ
うに前記ハンドルを位置補正する。
【0017】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載のハンドル角補正装置において、前記制御手段は、前
記ハンドルが前記実位置から前記目標位置に至るのに最
短経路で済む目標方向を検出する目標方向検出手段と、
前記ハンドルの操作方向を検出する操作方向検出手段
と、前記ハンドルの操作方向と前記目標方向とが一致し
たときにのみ前記ハンドルの位置補正を実行する補正実
行選択手段とを備えている。
【0018】請求項7に記載の発明では、車両には、請
求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の前記ハンドル
角補正装置が備えられている。 (作用)上記構成により請求項1に記載の発明によれ
ば、ハンドルの実位置がハンドル角検出手段により検出
されるとともに、操舵輪の切れ角が舵角検出手段により
検出される。そして、ハンドルの実位置と前記操舵輪の
切れ角に応じた目標位置とのずれ量を許容値が越えると
きには、制御手段により切換手段が駆動される。その結
果、ハンドルの操作量に対する操舵輪の舵角変化の割合
が通常時よりも小さくなってハンドルが空転することと
なり、ずれ量が少なくとも許容値以下に収まるまでハン
ドルの位置補正が実行される。このとき、ハンドルの操
作速度がハンドル操作速度検出手段により検出されると
ともに、操舵輪の切れ角が直進範囲にあるか否かが舵角
判定手段により判断される。ハンドル操作速度が設定値
以下になると、制御手段によるハンドルの位置補正が補
正禁止手段により禁止される。但し、操舵輪の切れ角が
直進範囲にあるときには、ハンドル操作速度が設定値以
下であっても、直進域補正実行手段は、制御手段による
ハンドルの位置補正を実行させる。従って、直進走行中
に操舵輪の切れ角を微調整するためハンドル操作してい
るときには、ハンドル操作速度が遅くてもハンドル位置
補正が行われる。
【0019】請求項2に記載の発明によれば、車速が車
速検出手段により検出され、その車速が所定速度以下の
低速であると車速判断手段により判断されたときには、
操舵輪の切れ角が直進範囲内にあるか否かに拘わらず、
制御手段によるハンドルの位置補正が低車速補正禁止手
段により禁止される。従って、操舵輪の反力が大きい停
止時には、少なくとも切換手段がハンドル位置補正実行
のときの状態に駆動されないので、ハンドルの操作量の
割りに操舵輪の舵角変化が過剰に小さくなることが回避
される。
【0020】請求項3に記載の発明によれば、ハンドル
操作速度検出手段が操舵輪の単位時間当たりの舵角変化
量である舵角速度を検出する舵角速度検出手段であり、
ハンドル操作速度が設定値以下であるか否かの判断は舵
角速度を用いて行われる。
【0021】請求項4に記載の発明によれば、切換手段
の駆動状態が第1判断手段により判断される。第1判断
手段の判断結果である切換手段の駆動状態の違いによ
り、ハンドルの操作量に対する操舵輪の舵角変化の割合
が異なることが考慮されて操作速度判定手段によりハン
ドル操作速度が設定値以下であるか否かが判断される。
従って、舵角速度からでもハンドル操作速度が設定値以
下であるか否かの判断が正確に行われる。
【0022】請求項5に記載の発明によれば、ハンドル
の実位置がハンドル角検出手段によりハンドルの相対角
度で検出され、ハンドル位置補正に使用される目標位置
が目標位置演算手段によりハンドルの相対角度で操舵輪
の切れ角から求められる。ハンドル位置補正は、ずれ量
が相対角度で許容値内に収まるように行われる。ハンド
ルの位置補正が相対角度でのずれ量に基づき行われるた
め、操舵輪に対してハンドルが360度以上ずれた場合
でも、1回転もしくは2回転分少ない360度未満の補
正量で済む。
【0023】請求項6に記載の発明によれば、ハンドル
が実位置から目標位置に至るのに最短経路で済む目標方
向が目標方向検出手段により検出される。操作方向検出
手段により検出されたハンドルの操作方向が目標方向に
一致したときに限り、補正実行選択手段によりハンドル
の位置補正が実行される。そのため、例えばハンドルが
実際には280°ずれていても80°の補正で済み、ハ
ンドルの位置補正に伴うハンドルの空転量を一層少なく
することが可能となる。
【0024】請求項7に記載の発明によれば、車両には
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のハンドル角
補正装置が備えられているので、この車両によって、請
求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明と同様の
作用が得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態を図1〜図6に基づいて説明する。図3は、車両と
してのフォークリフトFに装備されたパワーステアリン
グ装置1を示す。オペレータにより回転操作されるハン
ドル(ステアリングホイール)2には、その操作性を良
くするためにノブ2aが設けられている。ハンドル2を
支持するステアリングシャフト3はオービットロール4
に連結されている。
【0026】オービットロール4を構成するバルブユニ
ット5には、エンジン(図示せず)により駆動される油
圧ポンプ(荷役ポンプ)6からの作動油が供給される供
給管7と、ドレンタンク8に作動油を排出するための排
出管9とが接続されている。供給管7と排出管9とを接
続する管路10にはリリーフ弁11が介装され、リリー
フ弁11により油圧ポンプ6からバルブユニット5に圧
送される油圧が一定圧(設定圧)に保持されるようにな
っている。
【0027】バルブユニット5はステアリングシャフト
3に直接駆動されるものであって、ハンドル2の回転量
に比例した油量を、後述するステアリングシリンダ12
に供給する機能を有するものである。バルブユニット5
とステアリングシリンダ12は2本の油圧ライン13,
14で接続されている。ハンドル2が右旋回された場
合、油圧ライン13が油圧ポンプ6からの作動油を給送
する給送ラインとして機能し、油圧ライン14が油圧ポ
ンプ6に作動油を戻す返送ラインとして機能する。ま
た、ハンドル2が左旋回された場合、油圧ライン14が
給送ラインとして機能し、油圧ライン13が返送ライン
として機能する。
【0028】ステアリングシリンダ12は、車体に固定
された円筒中空状のシリンダチューブ15と、この内部
に往復動可能に配置されたピストン16と、シリンダチ
ューブ15の両端部から延出した左右一対のピストンロ
ッド17a,17bとを備えている。各油圧ライン1
3,14は、ピストン16により2室に区画されたシリ
ンダチューブ15の各室に連通されている。
【0029】各ピストンロッド17a,17bの先端部
にはリンク機構18a,18bを介して左右の操舵輪
(後輪)19,19が連結されており、ステアリングシ
リンダ12が駆動されることにより両操舵輪19はキン
グピン20を中心に左右に操舵されるようになってい
る。
【0030】両油圧ライン13,14はバイパスライン
21で繋がっており、このバイパスライン21の途中に
切換手段としての電磁切換弁22及び絞り弁23が設け
られている。電磁切換弁22はバルブユニット5から吐
出された油量の一部をバイパスライン21を介してドレ
ンタンク8に還流させるためのものである。電磁切換弁
22を開弁させて油量の一部を還流させることにより、
ハンドル2の操作量に対するステアリングシリンダ12
におけるピストン16の変位量の割合を減少させてハン
ドル2の空転状態を作り出すものである。ハンドル2の
空転によりハンドル角を操舵輪19の舵角(切れ角)に
追いつかせることで、ハンドル2の位置補正が行われ
る。
【0031】電磁切換弁22は二位置切換弁であって、
バイパスライン21を遮断する遮断位置(図3の状態)
と、バイパスライン21を連通させる連通位置との二位
置に切換駆動されるものである。電磁切換弁22を構成
するスプール(図示せず)はスプリング24により遮断
位置側に付勢されており、電磁切換弁22はソレノイド
25が励磁されたときに連通位置に配置され、ソレノイ
ド25が消磁されたときに遮断位置に配置される。ソレ
ノイド25はコントローラ26と電気的に接続されてお
り、コントローラ26からの制御信号に基づき励消磁制
御される。なお、絞り弁23は、電磁切換弁22が故障
等により開弁のままとなっても、ハンドル操作による操
舵輪19の操舵が可能となるように、バイパスライン2
1の流量を絞るためのものである。
【0032】コントローラ26には、操作方向検出手段
を構成するとともにハンドル角検出手段としてのポテン
ショメータ27、及びハンドル操作速度検出手段及び舵
角速度検出手段を構成するとともに舵角検出手段として
のポテンショメータ28が電気的に接続されている。ポ
テンショメータ27はステアリングシャフト3に配設さ
れたギヤ列29を介してステアリングシャフト3の回転
がその入力軸に入力されるように設けられている。ギヤ
列29のギヤ比は「1.0」に設定されており、ポテン
ショメータ27からはハンドル2の相対角度に相当する
ハンドル角信号θがコントローラ26に入力されるよう
になっている。
【0033】また、ポテンショメータ28は右側の操舵
輪19を支持するキングピン20に配設されており、キ
ングピン20の回動量を検出することにより操舵輪19
の切れ角を検出し、その切れ角に相当するタイヤ切れ角
信号Rがコントローラ26に入力されるようになってい
る。
【0034】ポテンショメータ27は、ハンドル2が中
立位置(切れ角0°のときの正規のハンドル位置)にあ
るときのノブ2aの位置を「0°」とするハンドル角θ
により、ノブ2aの現在位置を検出するように設定され
ている。一般にポテンショメータでは、その入力軸の1
回転域に位置検出不可能な非検出領域が必ずできる(本
実施形態では検出可能領域が例えば300°のものを使
用)が、検出可能領域の中央でハンドル角「0°」が検
出されるように設定することで、ハンドル2の中立位置
付近でのノブ位置補正の中断を極力防止するようにして
いる。
【0035】また、コントローラ26には車速センサ3
0が電気的に接続されている。車速センサ30は駆動輪
(図示せず)に回転力を伝達するフロントデフリングギ
ヤ(図示せず)に配設されており、車速に比例する車速
信号vを出力する。
【0036】コントローラ26は、ハンドル操作速度検
出手段、舵角速度検出手段、制御手段、目標位置演算手
段及び操作方向検出手段を構成するとともに舵角判定手
段、直進域補正実行手段、補正禁止手段、車速判定手
段、低車速補正禁止手段、操作速度判定手段、第1判断
手段、目標方向検出手段及び補正実行選択手段としての
中央処理装置(CPU)31,目標位置演算手段を構成
する読出し専用メモリ(ROM)32,読出し書替え可
能メモリ(RAM)33,クロック回路34,操作方向
検出手段及び舵角速度検出手段を構成するカウンタ3
5,AD変換回路36,37,38及び制御手段を構成
する励消磁駆動回路39を備えている。ポテンショメー
タ27,28からの各信号θ,RはAD変換回路36,
37を介して8ビットのAD値(0〜255)としてC
PU31に入力され、CPU31は各信号θ,RのAD
値をハンドル角θ及びタイヤ切れ角Rとして取り込む。
【0037】ROM32にはCPU31が実行するため
の各種プログラムデータが記憶されており、その一つに
図1,2にフローチャートで示すノブ位置補正制御処理
のプログラムデータがある。なお、このフローチャート
において、ステップS30がハンドル速度検出手段及び
舵角速度検出手段、S40が第1判断手段、S40〜S
90,S220が補正禁止手段、S50,S60が操作
速度判定手段、S70,S80,200が直進域補正実
行手段、S80が車速判定手段、S80,S90が低車
速補正禁止手段、S110が目標位置演算手段、S70
が舵角判定手段、S130が操作方向検出手段、S15
0が目標方向検出手段、S190〜S210が補正実行
選択手段をそれぞれ構成している。
【0038】また、ROM32には図4に示すマップM
1が記憶されている。マップM1は、ノブ2aを位置補
正するうえで目標位置となる目標ハンドル角θgをタイ
ヤ切れ角Rから求めるためのものである。タイヤ切れ角
「0°」がAD値「128」に対応付けられており、タ
イヤ切れ角Rの値が「負」であれば左切れ角(左操
舵)、「正」であれば右切れ角(右操舵)として認識さ
れる。また、目標ハンドル角θgの相対角度「0°」が
AD値=128に対応付けられており、ハンドル角θの
検出領域である中立位置(=0°)から左右各々「−1
50°〜150°」の範囲で目標ハンドル角θgが設定
されている。マップM1には、タイヤ切れ角Rの左右の
ストロークエンドRE,LE間の全舵角範囲において、
タイヤ切れ角Rと目標ハンドル角θgとを関連付ける制
御目標ラインLが設定されている。
【0039】この制御目標ラインLはオービットロール
効率(実吐出量/理論吐出量)100%を前提とした制
御理想ラインである。タイヤ切れ角Rの非検出領域に相
当する部分では目標ハンドル角θgがAD値=0、つま
り−150°として設定されている。ハンドル角θとタ
イヤ切れ角Rとのいずれか一方が非検出領域にあるとき
にはノブ位置補正が実行されないようになっている。な
お、ポテンショメータ28では検出可能領域のみをタイ
ヤ切れ角検出に利用しているので、タイヤ切れ角は全て
の操舵角範囲で検出される。
【0040】RAM33にはCPU31の演算結果等が
一時記憶される。また、CPU31はクロック回路34
からのクロック信号に基づき所定時間to (例えば10
ミリ秒)間隔毎に図1,図2に示すノブ位置補正制御処
理を実行し、処理実行毎にハンドル角θ及びタイヤ切れ
角Rをカウンタ35にセットする。カウンタ35には過
去複数回分のハンドル角θ及びタイヤ切れ角Rの各デー
タが保存される。また、ソレノイド25を励消磁するた
めの制御信号は励消磁駆動回路39を介してCPU31
から出力されるようになっている。
【0041】ノブ位置補正制御処理では、CPU31は
ハンドル角θと、タイヤ切れ角Rから求めた目標ハンド
ル角θg とのずれ量Δθを算出し、このずれ量Δθが許
容値θo (例えば約5°)以下に収まるようにノブ位置
補正を実行する。ここでいうずれ量Δθとは、図5に示
すように現在ノブ位置と目標ノブ位置との最短経路を通
るずれ量を意味し、ノブ2aの実際のずれ量Δθs が1
80°を越えたときには、ずれ量Δθが「360°−Δ
θs 」となる。
【0042】ノブ位置補正は、図5に示すようにずれ量
Δθが所定角度A°以下であるか否かで補正実行条件が
異なっている。すなわち、ずれ量ΔθがA°以下である
場合(つまり、実際のずれ量Δθs がΔθs ≦A°ある
いはΔθs ≧(360−A)°を満たすとき)は、現在
ノブ位置から目標ノブ位置に最短経路で至る方向(以
下、目標方向という)にハンドル2の操作方向が一致す
るときに限り、ノブ位置補正が実行される。また、ずれ
量Δθが所定角度A°を越える場合(つまり、実際のず
れ量Δθs がA°<Δθs <(360−A)°を満たす
とき)には、ハンドル操作方向に関係なくノブ位置補正
が常に実行されるようになっている。
【0043】ここで、所定値Aは、ずれ量が所定値以上
大きくなったときには、ハンドル2が目標方向と反対方
向に操作されているときに補正を実行しても、ずれ量の
拡大よりもむしろ縮小する確率が高くなる境界値であ
る。所定値A°の一応の効果が期待される範囲は40°
〜180°の範囲で、好ましい範囲は60°〜160
°、最適な範囲は80°〜120°である。所定値Aを
60°未満とするとずれ量を拡大させる確率が高くなる
心配があり、160°を越えると補正の実行頻度をあま
り増やすことが期待し難い。80°〜120°の範囲で
は、ずれ量の拡大を回避しつつ補正の実行頻度を効果的
に増やすことが可能である。
【0044】図6(a)はハンドル回転速度とオービッ
トロール効率との関係を示すグラフである。ハンドル回
転速度(rps)が遅い場合、ハンドル2を1回転して
も定格Q(cc/rev)よりも小さい流量しか吐出されない
ため、ハンドル回転速度がある値より遅くなると、オー
ビットロール効率はハンドル操作速度が小さくなるほど
低下する。図6(b)は、バルブユニット5からの吐出
油量のうち電磁切換弁22の開弁によりバイパスされる
油量の割合(補正割合)を示すグラフであり、ステアリ
ングシリンダ12に作用する走行中のタイヤ反力(操舵
抵抗)を一定と見なしたものである。ハンドル回転速度
が遅くなるに連れて補正割合(%)が増加し、ハンドル
回転速度Vo 以下では補正割合が100%となって吐出
油量の全てがバイパスされ、ハンドル操作しても操舵輪
19の舵角変化が完全に停止することを意味している。
【0045】本実施形態では、ハンドル操作したにも拘
わらず、操舵輪19の切れ角が変化しないというハンド
ル操作上のフィーリングの悪化を防止するため、ハンド
ル操作速度が所定速度Vmin (本実施形態では「0.3
rps」)未満では、ノブ位置補正を禁止するようにし
ている。ハンドル操作速度が所定速度Vmin 未満である
か否かの判断に、本実施形態では操舵輪19の舵角速度
を用いている。所定時間n・to 前のタイヤ切れ角R
(以下、「R1」とする)と、現在のタイヤ切れ角Rと
の偏差ΔR(=|R−R1|)を舵角速度と見なしてい
る。
【0046】ここで、舵角速度とハンドル操作速度との
関係は、電磁切換弁22の開弁時と閉弁時とで異なるた
め、ハンドル操作速度が所定速度Vmin (0.3rp
s)未満であることの判断のために2種類の判定値r
1,r2を用意している。すなわち、電磁切換弁22の
閉弁時にはΔR<r1の条件が、電磁切換弁22の開弁
時にはΔR<r2の条件が成立したときをハンドル操作
速度が所定速度Vmin 未満であると判定する。判定値r
1,r2は、ハンドル2が所定速度Vmin (=0.3r
ps)で操作されたときのオービットロール効率や補正
割合を考慮された値である。
【0047】また、本実施形態では、直進走行中にハン
ドル2が操作される直進範囲(本実施形態ではハンドル
2の中立位置から±110°の範囲)では、ハンドル操
作速度が所定速度Vmin (0.3rps)未満であって
も、ノブ位置補正を実行するようにしている。直進範囲
であるか否かはタイヤ切れ角Rから判断している。
【0048】また、走行停止時(もしくは低速走行時)
にはタイヤ反力が大きく、このようなときに電磁切換弁
22を開弁させて補正割合が大きくなり過ぎることを回
避するため、車速が「5km/h」以下ではタイヤ切れ
角Rが直進範囲内にあっても、ハンドル操作速度が所定
速度Vmin (0.3rps)未満であるときには、ノブ
位置補正を禁止するようにしている。なお、所定速度V
min (0.3rps)は、図6(b)のグラフにおける
所定値Vo よりも若干大きめの値を設定したものであ
る。
【0049】次に、このパワーステアリング装置1の作
用について説明する。フォークリフトFの運転時には、
オペレータはノブ2aを握ってハンドル2を操作する。
ハンドル2が操作されてステアリングシャフト3が回転
駆動されると、ハンドル2の操作量に応じてバルブユニ
ット5から吐出された作動油がステアリングシリンダ1
2に供給され、ハンドル2の操作位置に応じた切れ角に
操舵輪19が操舵される。ハンドル操作速度が遅いとき
のオービットロール効率の低下や、ステアリングシリン
ダ12等の油圧系におけるオイルリーク等が原因で、ノ
ブ2aが正規の位置からずれる場合がある。そのため、
ノブ2aの位置をタイヤ切れ角に応じた正規の位置に補
正するノブ位置補正制御が行われる。
【0050】以下、CPU31が実行するノブ位置補正
制御を図1,2に示すフローチャートに従って説明す
る。このノブ位置補正制御ではS10〜S210までの
処理で電磁切換弁22の制御を開弁・閉弁のいずれにす
るかを判定し、最後のステップ220において、その判
定結果に基づく電磁切換弁22の開閉制御を行ってい
る。電磁切換弁22が開弁状態にあるか閉弁状態にある
かは、閉弁状態で「0」、開弁状態で「1」にセットさ
れるバルブフラグを見ることでCPU31に認知される
ようになっている。また、バルブフラグ以外の各種フラ
グは当該処理の実行に先立ってリセットされる。
【0051】フォークリフトFのエンジン駆動中、CP
U31にはポテンショメータ27からノブ2aの相対角
度に相当するハンドル角信号θ、ポテンショメータ28
から操舵輪19の切れ角に相当するタイヤ切れ角信号
R、及び車速センサ30から車速信号vが各AD変換回
路36〜38を介して入力される。
【0052】まず、CPU31はステップ10におい
て、ハンドル角θとタイヤ切れ角Rを読み込む。次のス
テップ20で、所定時間n・to 前のタイヤ切れ角R1
をカウンタ35から読み込む。ステップ30では、偏差
ΔR=|R−R1|を算出する。この偏差ΔRは舵角速
度に比例した値となる。
【0053】ステップ40では電磁切換弁22がバルブ
オープン(開弁)状態であるか否かを判断する。すなわ
ち、バルブフラグが「0」であればバルブクローズ(閉
弁)状態、「1」であればバルブオープン状態と判断す
る。バルブクローズ状態であればステップ50に進み、
バルブオープン状態であればステップ60に進む。
【0054】ステップ50及びステップ60では共にハ
ンドル操作速度が所定速度Vmin (0.3rps)未満
であるか否かが判定される。すなわちステップ50で
は、ΔR<r1が成立するか否かを判断し、ΔR<r1
の成立時にはハンドル操作速度が所定速度Vmin (0.
3rps)未満であると判断してステップ70に移行
し、ΔR<r1の不成立時にはハンドル操作速度が所定
速度Vmin 以上であるものとしてステップ100に移行
する。一方、ステップ60では、ΔR<r2が成立する
か否かを判断し、ΔR<r2の成立時にはハンドル操作
速度が所定速度Vmin 未満であると判断してステップ7
0に移行し、ΔR<r2の不成立時にはステップ100
に移行する。
【0055】ここで、判定値r1は、ハンドル操作速度
Vmin (0.3rps)が、バルブクローズ時において
は、この速度Vmin におけるオービットロール効率(例
えば70%)に応じた舵角速度に変換されることを考慮
して設定された値である。また、判定値r2は、ハンド
ル操作速度Vmin (0.3rps)が、バルブオープン
時においては、この速度Vmin における補正割合(例え
ば80%)に応じた舵角速度に変換されることを考慮し
て設定された値である。そのため、バルブクローズ時に
ΔR<r1の成立を判断し、バルブオープン時にΔR<
r2の成立を判断することで、ハンドル操作速度が所定
速度Vmin (0.3rps)未満であるか否かの判断が
舵角速度ΔRからでも正確に判断される。
【0056】ステップ70では、タイヤ切れ角Rが直進
範囲内であるか否かを判断する。タイヤ切れ角Rが直進
範囲内にあれば、ステップ80に進む。一方、タイヤ切
れ角Rが直進範囲内になければ、ステップ90に移行し
てバルブクローズ判定を下し、判定フラグを「1」にす
る。そのため、ハンドル操作速度が所定速度Vmin
(0.3rps)未満であっても、操舵輪19の切れ角
が直進範囲外であるとき(つまり、ハンドル2を直進範
囲外まで大きく切っているカーブなどのとき)には、ノ
ブ位置補正が実行されることになる。
【0057】ステップ80では、車速が「5km/h」
以下であるか否かを判断する。車速が5km/h以下で
あれば、ステップ90に移行してバルブクローズ判定を
下し、判定フラグを「1」にする。そのため、ハンドル
操作速度が所定速度Vmin (0.3rps)未満で、し
かも操舵輪19の切れ角が直進範囲内にあっても、車速
が5km/h以下のときには、ノブ位置補正が実行され
ないことになる。一方、車速が5km/hを越えれば、
ステップ100に進む。
【0058】ステップ100では、バルブクローズ判定
済みであるか否かを判断する。バルブクローズ判定済み
(判定フラグ「1」)のときにはステップ220に移行
し、その判定結果に基づきバルブ駆動指令を実行する。
すなわち、ソレノイド25に消磁信号を出力して電磁切
換弁22を閉弁駆動させる。一方、バルブクローズ判定
済みでないとき(判定フラグ「0」)には、ステップ1
10に進む。
【0059】次のステップ110では、図4に示すマッ
プM1を用いて現在のタイヤ切れ角Rに応じた目標ハン
ドル角θgを算出する。ステップ120では、ハンドル
角θと目標ハンドル角θgのいずれかが検出外の値に該
当するか否かを判断する。θg値が「−150°」、あ
るいはハンドル角θのAD値が「0」であれば、検出外
であると判断する。検出外であるときには、ステップ2
10に移行してバルブクローズ判定を下し、判定フラグ
を「1」にする。そのため、θ値とθg値のいずれか一
方が検出外にあれば、電磁切換弁22が閉弁されてノブ
位置補正が実行されない。θ値とθg 値が共に検出領域
にあれば、次のステップ130に進む。
【0060】ステップ130では、ハンドル2の操舵方
向を演算する。すなわち、所定時間n・to 前のハンド
ル角θ1をカウンタ35から読み出し、ハンドル角θ1
と現在のハンドル角θとの大小比較と、|θ−θ1|≧
θB が成立するか否かの判断とを行い、この2つの判断
結果に基づきハンドル2の操舵方向を決定する。ここで
θB 値は、ハンドル2を所定時間n・to 内に物理的に
操作不可能な限界値以上の所定値(例えば50°以上)
であり、ハンドル2の操作量(=|θ−θ1|)が物理
的にあり得ないθB 値以上であるときは、ハンドル操作
がハンドル角θの非検出領域を通過するように行われた
ものとして(つまり、AD値が「0」と「255」との
間で切り換わる場合)、ハンドル2の操作方向が決定さ
れる。
【0061】つまり、所定時間n・to の間にハンドル
角θの値が増加している(θ>θ1)ときには、操舵方
向は|θ−θ1|≧θB が成立しなければ「右方向」、
|θ−θ1|≧θB が成立すれば「左方向」と判定す
る。また、所定時間n・to の間にハンドル角θの値が
減少している(θ<θ1)ときには、操舵方向は|θ−
θ1|≧θB が成立しなければ「左方向」、|θ−θ1
|≧θB が成立すれば「右方向」と判定する。この判定
結果は操舵フラグに「左方向」が「0」、「右方向」が
「1」にセットされる。また、θ=θ1のときにはハン
ドル操作停止判定を下し、停止判定フラグに「1」がセ
ットされる。
【0062】ステップ140では、ハンドル操作停止で
あるか否かを判断する。停止判定フラグに「1」がセッ
トされていれば、ステップ210に移行してバルブクロ
ーズ判定を下し、判定フラグを「1」とする。そのた
め、ハンドル操作停止中はノブ位置補正が実行されな
い。
【0063】次のステップ150では、ノブずれ補正を
実行する目標方向を演算する。すなわち、現在のハンド
ル角θと目標ハンドル角θgとの大小比較を行い、現在
ノブ位置から目標ノブ位置に至るのに左右どちらの方向
が最短経路となるかを判断する。偏差|θ−θg|が1
80°以下である場合には、θ<θgの成立時に目標方
向を「右方向」、θ>θgの成立時に目標方向を「左方
向」と判定する。また、偏差|θ−θg|が180°を
越える場合には、θ<θgの成立時に目標方向を「左方
向」、θ>θgの成立時に目標方向を「右方向」と判定
する。
【0064】ステップ160では、現在ノブ位置と目標
ノブ位置とのずれ量Δθを算出する。偏差|θ−θg|
が180°以下である場合には、Δθ=|θ−θg|と
し、偏差|θ−θg|が180°を越える場合には、Δ
θ=360°−|θ−θg|とする。こうして現在ノブ
位置と目標ノブ位置との最短経路でのずれ量Δθが求め
られる。
【0065】次のステップ170では、ずれ量Δθが許
容値θo 以下であるか否かを判断する。ずれ量Δθが許
容値θo 以下であればステップ210に移行し、バルブ
クローズ判定をする。そのため、ずれ量Δθが許容値θ
o 以下であればノブ位置補正が実行されない。一方、ず
れ量Δθが許容値θo を越えるときにはステップ180
に移行する。ステップ180では、ずれ量Δθが所定値
A°以下であるか否かを判断する。Δθ>A°のときに
はステップ200に移行し、バルブオープン判定を下
し、判定フラグを「0」にする。そのため、ノブ2aが
図5における鎖線位置に位置する(ずれ量Δθが所定値
A°を越える)ときには、ハンドル2の操作方向が左方
向(c方向)であっても右方向(d方向)であっても、
バルブクローズ判定でない限りハンドル操作されるとき
には必ずノブ位置補正が実行される。ハンドル操作がd
方向であるときは最長経路での補正となるが、ずれ量Δ
θが所定値A°を越えた領域では、ノブ2aの位置ずれ
量を拡大させるよりも縮小させる確率が高いため、ノブ
位置補正の実施の機会が増え、A°を越えるずれ量のま
ま放置されることが極力回避される。
【0066】一方、Δθ≦A°の成立時にはステップ1
90に移行し、操舵方向と目標方向とが一致するか否か
を判断する。操舵方向と目標方向とが一致するときには
ステップ200に移行してバルブオープン判定を行い、
操舵方向と目標方向とが一致しないときにはステップ2
10に移行してバルブクローズ判定を行う。
【0067】そのため、ノブ2aが図5における実線位
置に位置するときには、ノブ2aが最短経路で目標ノブ
位置に接近するa方向にハンドル操作されるときに限り
ノブ位置補正が実行され、ノブ2aが目標ノブ位置から
離れる(つまり最長経路で接近する)b方向にハンドル
操作されるときにはノブ位置補正が実行されない。ま
た、ノブ2aが正規の位置から(360−A)°以上ず
れても、ノブ2aを最短経路で目標ノブ位置に接近させ
る方向にハンドル2操作されたときに限り、ノブ位置補
正が実行される。なお、タイヤ切れ角に応じた正規の位
置から実際のノブ位置が360°以上どれだけずれて
も、相対角度による補正では目標ノブ位置までの見掛け
上のずれ量だけが問題となるので、補正量は常に360
°未満で済む。
【0068】ステップ220では、S10〜S220ま
での処理で下したバルブ判定結果(判定フラグ)に基づ
きバルブ駆動指令を行う。判定フラグ「1」のときには
ソレノイド25に消磁信号を出力して電磁切換弁22を
閉弁駆動し、判定フラグ「0」のときにはソレノイド2
5に励磁信号を出力して電磁切換弁22を開弁駆動す
る。こうして電磁切換弁22は所定時間to 毎に開閉制
御される。なお、θ,θg値が検出外のときにはノブ位
置補正が中断されるが、この補正の中断は非検出領域を
通過する間の一時的なものなのでさほど問題にはならな
い。
【0069】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下に列記する効果が得られる。 (a)タイヤ切れ角Rが直進範囲にあるときには、ハン
ドル操作速度が所定速度Vmin (0.3rps)未満の
低速であってもノブ位置補正を実行するようにしたの
で、直進走行中におけるタイヤ切れ角の微調整のための
ハンドル操作によってノブ位置が徐々にずれる問題を解
消することができる。
【0070】(b)ハンドル操作が遅いときにタイヤ切
れ角が直進範囲内にあっても、車速が「5km/h」以
下と低速であれば、ノブ位置補正を禁止するようにした
ので、走行停止時などタイヤ反力の大きいときのバルブ
オープンに起因するハンドル操作上のフィーリングの悪
化を防止することができる。
【0071】(c)直進走行中でのハンドル操作でノブ
2aの位置が徐々にずれることが回避されることから、
直進走行中にずれ量Δθが所定値A°を越えてしまった
ために、その後、そのずれ方向にハンドル2を切ったと
きにノブ位置補正が実行されてハンドル2が(360−
A)°空転する事態をほぼ無くすことができる。
【0072】(d)ハンドル操作速度を舵角速度(偏差
ΔR)から判定する構成とし、バルブオープンであるか
否かに応じて2種類の判定値r1,r2を使い分けるよ
うにしたので、舵角速度(ΔR)からでもハンドル操作
速度が低速であるか否を正確に判断することができる。
【0073】(e)判定値r1,r2は所定速度Vmin
におけるオービットロール効率を考慮して設定したもの
であるので、ハンドル操作速度が低速であるか否かをさ
らに正確に判断することができる。
【0074】(f)タイヤ切れ角基準で目標ハンドル角
θgを求める方法にしたので、目標ハンドル角θgをハ
ンドルの相対角度で設定することができるようになり、
ハンドルの相対角度を合わせるノブ位置補正を実現させ
ることができる。従って、実際のずれ量が360°以上
であっても例えば1回転もしくは2回転少ない補正量で
済ませることができる。
【0075】(g)ずれ量ΔθがA°以下であるときに
は最短経路を通る目標方向にハンドル2が操作されたと
きに限り補正が実行されるので、実際にずれた角度量が
例えば280°であっても80°程度の補正量で済ませ
ることができる。また、補正量を拡大させてしまうこと
をできるだけ回避できる。
【0076】尚、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次の
ように具体化することができる。
【0077】
【0078】(1)バルブユニット5からの吐出流量を
検出することによりハンドル操作速度を求めてもよい。
この構成によれば、バルブユニットからの吐出流量がハ
ンドル回転速度にほぼ比例するので、舵角速度を用いる
判定のように電磁切換弁22の切換状態を考慮しなくて
済む。
【0079】(2)舵角速度ΔRを用いたハンドル操作
速度が設定値以下であるか否かの判断を、2つの判定値
r1,r2を用いる方法に代え、バルブオープン時には
偏差ΔRに補正係数を乗じるなどの補正をし、バルブク
ローズ時とバルブオープン時で一つの共通の判定値を用
いて判定する方法としてもよい。この構成によっても、
舵角速度からハンドル操作速度が設定値以下であるか否
かの判断を正確に行うことができる。
【0080】(3)ステアリングシャフト3とポテンシ
ョメータ27との間にウォームギヤ等を有する減速ギヤ
を採用し、ポテンショメータ27で検出される絶対角度
の検出値を演算等により相対角度に変換し、タイヤ切れ
角Rから求めた相対角度の目標ハンドル角θgに実ハン
ドル角θを補正する構成としてもよい。この場合、絶対
角度から相対角度に変換する演算手段(例えば計算処理
やマップ演算を実施するための手段)が、ハンドル角検
出手段を構成することになる。この構成によれば、絶対
角度から相対角度θを求めるための演算手段が必要には
なるものの、ハンドル角θの非検出領域を無くすことが
できる。
【0081】(4)本発明でいう所定速度以下の低速と
は、ステアリングシリンダ12に作用するタイヤ反力が
大きくなる速度域(例えば歩く程度の速度(数km/
h))、もしくはその速度域で確実にハンドル位置補正
が実行されるように若干の余裕を見た所定速度以下の速
度をいう。例えば若干の余裕を見て所定速度を10km
/hとしてもよい。
【0082】(5)前記実施形態において、補正禁止の
条件の一つであった車速の限定を外してもよい。つま
り、車速が所定速度以下の低速であっても、舵角が直進
範囲にあるときにはハンドル位置補正を行ってもよい。
この構成によれば、低速走行時にはタイヤ反力によりハ
ンドル操作の割りに舵角変化が小さくなるものの、直進
走行時におけるハンドル2の微調整の間にノブ2aが位
置ずれすることを回避できる。
【0083】(6)制御目標ラインLの目標ハンドル角
θgに対するタイヤ切れ角Rの比が、オービットロール
効率100%である理想ラインよりも小さくなるように
設定してもよい。この構成によれば、直進範囲でのノブ
位置補正の実行頻度が増すので、ノブ2aの中立位置へ
の収束性を高めることができる。
【0084】(7)ノブがないハンドルの位置補正を目
的として本発明を実施してもよい。ノブがないハンドル
においても本発明の適用により、直進走行時のハンドル
の位置ずれを極力回避できる。
【0085】(8)従来技術で述べたようなハンドル角
を絶対角度で検出する従来装置において、本発明を適用
してもよい。(9) 従来装置のようにハンドル角を絶対角度で検出す
る構成においては、操舵輪の舵角が直進範囲にあるか否
かをハンドル角から判断してもよい。この場合、ハンド
ルのずれ量を加味すれば正確な判断結果が得られる。
【0086】(10)前記実施形態ではフォークリフト
に適用したが、パワーステアリング装置を備えるフォー
クリフト以外の産業車両、さらに自動車(乗用車)など
の車両において、本発明を広く適用することができる。
【0087】前記実施形態から把握され、特許請求の範
囲に記載されていない発明を、その効果とともに以下に
記載する。 (イ)請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明
において、前記操舵輪は前記ハンドルの操作量に応じて
吐出される作動油に基づき作動される油圧式のアクチュ
エータにより操向駆動されるようになっており、前記切
換手段は、前記アクチュエータに吐出された作動油の一
部をドレンタンクに還流させる還流通路上に設けられた
切換弁である。この構成によっても、直進走行中のハン
ドルの微調整によりハンドル位置がずれることを防止で
きる。
【0088】(ロ)請求項1〜請求項7及び前記(イ)
のいずれか一項に記載の発明において、前記ハンドルに
はノブが設けられており、前記制御手段は、前記ノブが
正規の位置に配置されるように前記切換手段を駆動制御
する。この構成によれば、操舵輪の切れ角に応じた正規
の位置にノブを位置補正でき、ノブの位置を操舵輪の切
れ角の判断の目安としても差し支えない。
【0089】(ハ)請求項6に記載の発明において、前
記実位置と目標位置との最短経路でのずれ量が所定値よ
り大きいか否かを判断する第2判断手段(S180に相
当)と、前記ずれ量が所定値を越えるときには前記切換
手段を前記ハンドルの操作方向に関係なく駆動させる補
正実行手段とを備え、前記補正実行選択手段は、前記ず
れ量が所定値以下であるときに限り、前記操作方向と前
記目標方向とが一致したときに行う前記切換手段の駆動
を実行するように設定されている。この構成によれば、
最短経路でのずれ量が所定値を越えるときには、ハンド
ルの操作方向が左右どちらであってもハンドル位置補正
が実行され、ずれ量の拡大を極力回避しつつハンドルの
位置補正の機会を増やすことができる。
【0090】(ニ)請求項7に記載の発明において、前
記車両は産業車両である。この構成によれば、産業車両
においても、請求項7に記載の発明と同様の効果を得る
ことができる。
【0091】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1、請求項3
及び請求項7に記載の発明によれば、ハンドル操作速度
が設定値以下であっても、操舵輪の切れ角が直進範囲内
にあるときには、ハンドル位置補正を禁止しないように
したので、直進走行中にハンドルを微調整しているとき
にハンドルの位置が徐々にずれてしまうことを回避でき
る。
【0092】請求項2及び請求項7に記載の発明によれ
ば、車速が所定速度以下の低速であるときには、操舵輪
の切れ角が直進範囲内にあるか否かに拘わらず、ハンド
ル位置補正を禁止するようにしたので、操舵輪の反力が
大きい停止時に少なくとも切換手段がハンドル位置補正
実行のときの状態に駆動されないので、ハンドルの操作
量の割りに操舵輪が舵角変化が過剰に小さくなることを
回避できる。
【0093】請求項4及び請求項7に記載の発明によれ
ば、切換手段の駆動状態の違いにより、ハンドルの操作
量に対する操舵輪の舵角変化の割合が異なることが考慮
されてハンドル操作速度が設定値以下であるか否かが判
断されるため、舵角速度からでもハンドル操作速度が設
定値以下であるか否かの判断を正確に行うことができ
る。
【0094】請求項5及び請求項7に記載の発明によれ
ば、操舵輪の切れ角からハンドルの相対角度で求められ
た目標位置にハンドルの実位置を補正するようにしたの
で、操舵輪に対してハンドルが360度以上ずれた場合
には、1回転もしくは2回転分少ない360度未満の補
正量で済み、ハンドル位置補正に必要なハンドルの空転
を相対的に少なくできる。
【0095】請求項6及び請求項7に記載の発明によれ
ば、ハンドルが実位置から目標位置に至るのに最短経路
で済む目標方向にハンドルが操作されたときに限り、ハ
ンドル位置補正を行うようにしたので、ハンドルのずれ
が360°未満であるときにも、実際のずれ量より少な
い補正量で済み、ハンドルの位置補正に伴うハンドルの
空転を一層少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態におけるノブ位置補正制御処理のフ
ローチャート。
【図2】同じくフローチャート。
【図3】パワーステアリング装置の模式図。
【図4】マップを示すグラフ。
【図5】ノブ位置補正制御の説明図。
【図6】(a)はハンドル回転速度とオービットロール
効率の関係を示すグラフであり、(b)は補正実行時の
バイパス特性を示すグラフ。
【図7】従来装置の模式図。
【符号の説明】 1…パワーステアリング装置、2…ハンドル、19…操
舵輪、22…切換手段としての電磁切換弁、27…操作
方向検出手段を構成するとともにハンドル角検出手段と
してのポテンショメータ、28…ハンドル操作速度検出
手段及び舵角速度検出手段を構成するとともに舵角検出
手段としてのポテンショメータ、31…ハンドル操作速
度検出手段、舵角速度検出手段、制御手段、目標位置演
算手段及び操作方向検出手段を構成するとともに舵角判
定手段、直進域補正実行手段、補正禁止手段、車速判定
手段、低車速補正禁止手段、操作速度判定手段、第1判
断手段、目標方向検出手段及び補正実行選択手段として
のCPU、32…目標位置演算手段を構成するROM、
35…操作方向検出手段及び舵角速度検出手段を構成す
るカウンタ、39…制御手段を構成する励消磁駆動回
路、F…車両としてのフォークリフト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−241767(JP,A) 特開 平2−147474(JP,A) 特開 昭61−261164(JP,A) 特開 昭61−200060(JP,A) 特開 平9−39819(JP,A) 実開 昭62−178273(JP,U) 実開 昭62−174273(JP,U) 実開 平2−93184(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/09 B62D 6/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハンドルの実位置を検出するハンドル角
    検出手段と、 操舵輪の切れ角を検出する舵角検出手段と、 前記ハンドルの操作量に対する前記操舵輪の舵角変化の
    割合を通常時よりも小さく変更するための切換手段と、 前記ハンドルの実位置と前記操舵輪の切れ角に応じた目
    標位置とのずれ量を少なくとも許容値以下に収めるよう
    に前記切換手段を駆動制御する制御手段と、 前記ハンドルの操作速度を直接もしくは間接的に検出す
    るハンドル操作速度検出手段と、 前記ハンドル操作速度が設定値以下となると、前記制御
    手段による前記ハンドルの位置補正を禁止する補正禁止
    手段と、 前記操舵輪の切れ角が直進範囲にあるか否かを判断する
    舵角判定手段と、 前記操舵輪の切れ角が直進範囲にあるときには、前記ハ
    ンドル操作速度が設定値以下であっても、前記制御手段
    による前記ハンドルの位置補正を実行させる直進域補正
    実行手段とを備えているパワーステアリング装置におけ
    るハンドル角補正装置。
  2. 【請求項2】 車速を検出する車速検出手段と、 前記車速が所定速度以下の低速であるか否かを判断する
    車速判定手段とを備えており、 前記補正禁止手段は、前記車速が所定速度以下の低速で
    あるときには、前記操舵輪の切れ角が直進範囲内にある
    か否かに拘わらず、前記ハンドル操作速度が設定値以下
    となれば、前記制御手段による前記ハンドルの位置補正
    を禁止する低車速補正禁止手段を備えている請求項1に
    記載のパワーステアリング装置におけるハンドル角補正
    装置。
  3. 【請求項3】 前記ハンドル操作速度検出手段は、前記
    操舵輪の単位時間当たりの舵角変化量である舵角速度を
    検出する舵角速度検出手段である請求項1又は請求項2
    のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置におけ
    るハンドル角補正装置。
  4. 【請求項4】 前記補正禁止手段は、前記切換手段の駆
    動状態を判断する第1判断手段と、前記切換手段の駆動
    状態の違いにより、前記ハンドルの操作量に対する前記
    操舵輪の舵角変化の割合が異なることを考慮してハンド
    ル操作速度が前記設定値以下であるか否かを判断する操
    作速度判定手段を備えている請求項3に記載のパワース
    テアリング装置におけるハンドル角補正装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記舵角検出手段によ
    り検出された前記切れ角から前記目標位置をハンドルの
    相対角度で求める目標位置演算手段を備え、前記ハンド
    ル角検出手段がハンドルの相対角度で検出した前記実位
    置と前記目標位置とのずれ量が相対角度で許容値以下に
    収まるように前記ハンドルを位置補正する請求項1〜請
    求項4のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置
    におけるハンドル角補正装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、前記ハンドルが前記実
    位置から前記目標位置に至るのに最短経路で済む目標方
    向を検出する目標方向検出手段と、前記ハンドルの操作
    方向を検出する操作方向検出手段と、前記ハンドルの操
    作方向と前記目標方向とが一致したときにのみ前記ハン
    ドルの位置補正を実行する補正実行選択手段とを備えて
    いる請求項5に記載のパワーステアリング装置における
    ハンドル角補正装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記
    載の前記ハンドル角補正装置を備えている車両。
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