JP3163251B2 - 熱転写用積層体 - Google Patents

熱転写用積層体

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JP3163251B2 JP11991896A JP11991896A JP3163251B2 JP 3163251 B2 JP3163251 B2 JP 3163251B2 JP 11991896 A JP11991896 A JP 11991896A JP 11991896 A JP11991896 A JP 11991896A JP 3163251 B2 JP3163251 B2 JP 3163251B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の色彩を有す
ることができ、かつ赤、緑、黒等の深みのある色や金属
色の色であっても高い発光輝度を有する残光性印刷を形
成することが可能な熱転写用積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光や人工照明の光などを照射する
と、暗所で比較的長い時間りん光(残光)を発する性質
をもち、この現象を何回でも繰り返すことができる顔料
がある。この顔料は、蓄電池の充電と放電のように光を
吸収し、暗所で発光することから蓄光顔料と呼ばれる。
また、蓄光顔料にトリチウム、147 Pm、226 Ra等の
放射性物質を混入し、これらの放射性物質から発せられ
る放射線によって蓄光顔料を刺激して発光させるものと
して夜光顔料がある。
【0003】現在、この蓄光顔料及び夜光顔料の用途
は、その残光性を利用して、スイッチ、携帯用電灯、暗
室用品、手すり、壁面標示等の夜光標示、誘導標識、避
難用具、その他の蓄光安全標識等の蓄光標識、灰皿、イ
ヤリング、テーブルクロス等の装飾品、印刷物、玩具、
文房具など広範囲の物品に及んでいる。例えば蓄光顔料
は、特開平4−51405号公報にて避難通路照明蓄光
壁装材、特開平1−111075号公報にて蓄光性繊
維、特開平1−200388号公報にて発光ロープ、特
開平1−200389号公報にて標識用シートがそれぞ
れ開示されている。
【0004】さらに、用途によっては、残光性を有する
とともに着色もしたい場合がある。ところが、従来の蛍
光顔料などで着色すると、その色や濃度によってりん光
輝度は大きく左右される。例えば、JIS K 512
0 蓄光顔料解説、解5頁の「解説表 着色による蓄光
顔料のりん光輝度の減少」によれば、着色なしを100
%とすると、緑色(添加量3.6%)で15.7%、赤
だいだい色(添加量2.4%)で14.1%、赤色(添
加量9.1%)で5.1%であり、だいだい色及び赤色
の減少が大きい。そのような問題を解決するものとし
て、例えば、特開平3−166269号公報には、有機
顔料と組み合わせたカラー蓄光顔料及び夜光顔料が開示
されている。ところが、このカラー蓄光顔料及び夜光顔
料であっても、りん光輝度の向上を図るものではないこ
とから発光輝度は低く、かつ着色できる色のバリエーシ
ョンも限られていた。
【0005】ところが、商品、ニーズの多様化から、高
い発光輝度を有し、かつ種々の着色が可能な残光性製品
に対する要望は高い。例えば、金色、銀色の金属色や黒
色の残光性製品はこれまでに実用されていない。これ
は、金属色顔料や黒色顔料を蓄光顔料と共存させても、
りん光が得られなかったからである。何故なら、金属色
顔料や黒色顔料を含む層は透光性が極めて低く、蓄光顔
料に光が蓄積しないためである。
【0006】ところで、従来の蓄光顔料に比べて高い発
光輝度を有する蓄光性蛍光体が開発されている(特開平
7−11250号)。ところが、この蓄光性蛍光体を用
いても、上記のような問題を解決するには至っていな
い。有色顔料を混在させることで、りん光の低下は依然
として大きく、かつ金色、銀色の金属色や黒色に着色す
ることは実質的にできなかった。
【発明が解決しようとする課題】本発明者はこのような
問題点に鑑みて、従来から彩色が可能であった赤や緑等
の色彩では、同等の色調であってもより高いりん光輝度
が得られる残光性複合体、及び、従来、事実上、彩色不
可能であった、金色、銀色の金属色又は黒色の着色を有
し、かつ十分なりん光輝度を有する残光性複合体、並び
にこれらの複合体を利用した物品を開発し、先に特許出
願した〔特願平8−40998号〕。
【0007】上記のような残光性複合体は、通常、印刷
により直接被印刷物上に形成される。ところが、予め絵
柄や模様等を形成しておき、それを熱転写することで、
種々の物品に残光性の絵柄や模様等を容易に形成するこ
とができるようになる。そこで、本発明者は、上記残光
性複合体の熱転写への転用を試みた。しかるに、通常の
熱転写体は、加熱により系全体が溶融して被転写物に接
着乃至浸み込むように構成されているが、同様に系全体
が加熱溶融するような組成にした残光性複合体では、加
熱溶融により残光性のレベルが大幅に低下してしまうと
いう問題があることが判明した。そこで本発明は、熱転
写により、高いりん光輝度を有する残光性印刷を形成可
能な熱転写用積層体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、剥離性基体上
に少なくとも着色層、りん光層及び熱融着剤層を有する
熱転写用積層体であって、前記着色層が着色剤と蛍りん
光体とバインダーとを含み、前記りん光層が蛍りん光体
とバインダーとを含み、かつ前記バインダーが前記熱融
着剤層の溶融温度より高い溶融温度を有することを特徴
とする積層体に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の熱転写用積層体の特徴の
1つは、りん光層と着色層とを有することである。ここ
でりん光層とは蛍りん光体とバインダーとを含む層であ
り、着色層とは着色剤と蛍りん光体とバインダーとを含
む層である。さらにもう1つの特徴は、前記バインダー
が熱融着剤層の溶融温度より高い溶融温度を有すること
である。従来の残光性を有する製品は、着色剤と蛍りん
光体とを含む着色層のみからなるものであったが、本発
明の積層体は、上記のようなりん光層と着色層とを設け
ることで、色調は同じでも、高い発光輝度を有するか、
または従来残光性を付与することができなかった色調に
ついても残光性を付与することが可能になった。
【0010】りん光層は蛍りん光体とバインダーとを含
む層である。本発明において「蛍りん光体」とは、りん
光を発生する物質であり、そのような性質を有する物質
であれば、制限はなく使用できる。例えば、蓄光顔料や
夜光顔料は「蛍りん光体」に含まれる。また、特開平7
−11250号に開示されている蓄光性蛍光体も本発明
における「蛍りん光体」に含まれる。「蛍りん光体」と
しては、銅付活硫化亜鉛(ZnS:Cu)が一般的であ
るが、他の無機蛍光顔料や有機蛍光顔料にて蓄光性を有
するものであれば選択できる。例えば、珪酸亜鉛系、硫
化亜鉛カドミウム系、硫化カルシウム系、硫化ストロン
チウム系、タングステン酸カルシウム系などであり、特
にストロンチウムアルミネートを母体結晶とし稀土類元
素を付活剤とする蓄光顔料が発光輝度が高いという観点
から好ましい。他方、夜光顔料は、蓄光顔料に放射性物
質を添加して自発光性を有したもので、例えば、銅付活
硫化亜鉛にトリチウム、プロメチウム147などの放射
性物質を添加したものである(「改訂新版 顔料便
覧」、506頁乃至512頁、発行日;1989年3月
10日、発行所;(株)誠文堂新光社、編者;日本顔料
技術協会))。
【0011】本発明において「バインダー」とは、蛍り
ん光体ともに層を形成できるものであればよく、例え
ば、樹脂を主成分とするものであることができる。ま
た、透明性が高いものであることが、高い発光輝度を得
られるという観点からは好ましい。さらに、バインダー
は熱融着剤層の溶融温度より高い溶融温度を有すること
が、加熱による転写の後にも高い発光輝度を有するとい
う観点から必要である。通常の熱転写は、熱融着剤層の
溶融温度より約10〜30℃高い温度で加熱することに
より行われることから、バインダーは、この加熱温度よ
り高い溶融温度を有することが適当であり、より具体的
には、バインダーは、熱融着剤層の溶融温度より30℃
以上高い溶融温度を有することが好ましい。熱転写のた
めの加熱による層構造の破壊が生じることを回避すると
いう観点からは、バインダーは、熱融着剤層の溶融温度
より40℃以上高い溶融温度を有することがより好まし
い。尚、バインダーの溶融温度には上限はないが、熱融
着剤層の溶融温度よりある程度以上高い溶融温度であれ
ば層構造の破壊は防止できるので、実用的には、熱融着
剤層の溶融温度より約150℃高い温度を上限とするこ
とができる。さらに入手の容易さ(低い耐熱性で良いこ
とから)等を考慮すれば、熱融着剤層の溶融温度より約
100℃高い温度を上限とすることができる。例えば、
熱融着剤がポリアミド系のプラタミド(日本リルサン
(株)製)の場合、溶融温度は115〜125℃であ
り、かつ熱転写のための加熱温度が約140〜160℃
の範囲であるので、熱転写により層構造が崩れないとい
う観点から、バインダーの溶融温度は160℃以上、好
ましくは170℃以上であることが適当である。尚、バ
インダーの溶融温度の上限は特に制限はないが、市販の
汎用性の樹脂を使用するという観点からは、上限はせい
ぜい300℃程度である。但し、これに限定される意図
はない。上記バインダーを構成する樹脂としては、例え
ば、アクリル系、アルキッド系、エポキシ系、ウレタン
系、アクリルシリコン系、シリコン系、フッ素系、メラ
ミン系などの樹脂の中から、適当な溶融温度を有するも
のを選択することができる。但し、これら例示の樹脂に
限定される意図はない。
【0012】りん光層の蛍りん光体とバインダーとの比
率や層の厚みは、目的物である残光性転写物に要求され
る発光輝度により適宜決定できる。一般的傾向として、
りん光層の蛍りん光体含有量が増す程、またりん光層の
厚みが増す程、発光輝度は高くなる。但し、蛍りん光体
含有量が多くなり過ぎるとりん光層の形成が困難になっ
たり、強度が低下することがある。このような観点か
ら、りん光層の蛍りん光体含有量は、50重量%以上、
好ましくは70〜95重量%、より好ましくは80〜9
0重量%の範囲である事が適当である。また、りん光層
の厚みは、例えば、10〜500μmの範囲であり、実
用的には通常50〜200μmの範囲である。尚、りん
光層の厚みを増す目的で、2層以上のりん光層を積層す
ることもできる。
【0013】一方、着色層は着色剤と蛍りん光体とバイ
ンダーとを含む層である。ここで、「蛍りん光体」と
「バインダー」とは、りん光層で説明したものと同様の
ものを使用できる。着色剤は、通常のインクや塗料等に
使用されるものをそのまま使用できる。例えば、有機又
は無機の染料又は顔料であることができる。また色調に
は特に制限はない。
【0014】特に、本発明では、金属色や黒色の熱転写
用積層体も提供できる。金属色顔料としては、一般の金
属粉やブロンズ粉を用いることもできるが、高い発光輝
度を得るという観点から、粒子の形状が鱗片状である蒸
着金属色顔料を用いることが好ましい。蒸着金属色顔料
とは、プラスチック等の破片(ポリエチレンテレフタレ
ート フィルム、アルミニウム等)に金属(金色;真ち
ゅう、銀色;アルミニウム)を蒸着し、粉砕した片状粉
であり、蒸着ののち透明(黄色)樹脂層で保護したもの
である。市販品として、例えば、尾池工業(株)製、エ
ルジーR Gold#325がある。また、黒色顔料としては、
例えば、カーボンブラック等を使用できるが、高い発光
輝度を得るという観点から、粒子の形状が鱗片状である
蒸着黒色顔料が好ましい。蒸着黒色顔料は、金属の替わ
りに黒色材を用いて形成したものである。市販品とし
て、例えば、尾池工業(株)製、エルジー Black #325
がある。上記蒸着金属色顔料や蒸着黒色顔料は、片状粉
であり、平均粒子径が通常の顔料に比べて大きい。その
ため、蒸着金属色顔料や蒸着黒色顔料を用いることで、
着色層内の光の伝達を良好に保つことが可能であり、好
ましい。
【0015】着色層中の着色剤の濃度と着色層の厚み
は、本発明の熱転写用積層体を用いて形成される残光性
転写物に必要とされる色彩を考慮して適宜決定される。
但し、着色剤の濃度と着色層の厚みが増す程、残光性転
写物の発光輝度は低下する傾向があることを考慮すべき
である。また、着色層に含まれる蛍りん光体は、りん光
層の発光と相まって、残光性転写物の発光輝度に影響す
る。特に、高い発光輝度を得るという観点からは、着色
層に含まれる蛍りん光体の粒子が、単独又は複数が連続
して、前記着色層を厚み方向に貫通して存在することが
好ましい。例えば、着色層中の蛍りん光体の粒子の少な
くとも一部の粒子径を、着色層の厚みより大きくするこ
とで、あるいは、着色層中の蛍りん光体の粒子の平均粒
子径を着色層の厚みより大きくすることで、蛍りん光体
の粒子が単独で着色層を厚み方向に貫通して存在するこ
とができる。また、蛍りん光体の粒子の複数が連続して
着色層を厚み方向に貫通して存在するには、着色層中の
蛍りん光体の濃度を一定以上にすることが必要である。
例えば、着色層中の蛍りん光体の粒子の含有量を、70
〜95重量%、好ましくは80〜95重量%の範囲とす
ることで、蛍りん光体の粒子の複数を連続して着色層を
厚み方向に貫通して存在させることができる。
【0016】この状態を、図1及び2に示す例によりさ
らに説明する。図1及び2は、いずれも、剥離性基板1
の上に着色層2、りん光層3、及び熱融着層4を順次設
けた本発明の熱転写用積層体を示す。りん光層3は、バ
インダー5と蛍りん光体6とからなり、着色層2は、バ
インダー5と蛍りん光体6及び着色剤(蒸着金属色顔
料)7とからなる。
【0017】図1は、蛍りん光体6の粒子の複数(2つ
乃至3つ)が連続して着色層2を厚み方向に貫通して存
在する場合を示す。蛍りん光体6は相互に粒子同士が接
触している。また、図2は、蛍りん光体6の粒子が単独
で着色層2を厚み方向に貫通して存在する場合を示す。
このような状態になると、転写物を形成したときに、着
色層2側(図の下方)からの光は、着色層2内を透過し
てりん光層3に伝達され易くなり、りん光層3中の蛍り
ん光体6への光の蓄積を促進できる。また逆に、りん光
層3から発生するりん光が着色層2内を透過して着色層
2の表面に到達し易くなり、発光強度も高くなる。さら
に、着色層2中の蛍りん光体6への光の蓄積及び放出も
助長できる。また、着色層2中に蛍りん光体6の粒子が
存在することで、蒸着金属色顔料7は適当に間隔を置い
て分散させることができ、りん光層3への光(励起光)
の透過及びりん光層3からの光(りん光)の透過を妨げ
ることがない。
【0018】本発明の熱転写用積層体の着色層は単一の
色からなることもできるが、色が異なる2つ以上の部分
からなることもでき、模様や柄、文字、マーク等を入れ
ることもできる。また本発明の熱転写用積層体の剥離性
基板は、着色層等を熱転写する際に着色層等が容易に剥
離して転写される性質のものであれば特に制限はない。
例えば、テフロン紙、PET(ポリエチレンテレフタレ
ート)等を挙げることができる。また、基板に剥離性を
付与するという観点から、表面にエンボス加工等の粗面
化加工を施したものであることもできる。尚、基板層は
可視光に対して実質的に透明または半透明であること
が、熱転写前に着色層の模様を確認できるとうい観点か
らは好ましい。但し、着色層の模様を確認する必要がな
い場合は不透明の基板層であっても支障はないことは勿
論である。また、熱融着剤層は、各種ホットメルト材か
ら選択することができる。ホットメルト材としては、例
えば、ポエアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン
系、エチレン酢酸ビニル系等の材料を挙げることができ
る。さらに、剥離性基板と着色層との間に保護層を設け
ることもできる。保護層を設けることで転写物の着色層
等を磨耗等から保護することができる。保護層は可視光
に対して実質的に透明であることが適当であり、例え
ば、UV硬化型の樹脂層であることができる。また、熱
融着剤層とりん光層との間に反射層を設けることもでき
る。この反射層は、白色であることができる。反射層を
有すると、発光輝度を向上させることができる。本発明
の熱転写用積層体は種々の形態とすることができ、例え
ばシート、リボン、テープ等であることができる。
【0019】本発明の熱転写用積層体は、被印刷物に、
熱融着剤層の溶融温度より10〜30℃高い温度で5〜
60秒程度加熱押圧することで、残光性転写物を形成す
ることができる。但し、熱転写の条件は、本発明の熱転
写用積層体の構成や被印刷物の性質等を考慮して適宜決
定できる。本発明の熱転写用積層体を適用する被印刷物
は、例えば、布、プラスチック、陶磁器、金属、ガラ
ス、ほうろう、建材など様々な物品であることができ
る。
【0020】以下、本発明の熱転写用積層体の製造方法
について説明する。本発明の積層体は、剥離性基体の上
に、着色層とりん光層と熱融着剤層とを、塗膜やコーテ
ィング膜等の形成に常用されている、印刷や塗装等の方
法により逐次形成することにより形成できる。例えば、
りん光層は、蛍りん光体とバインダーを含むメジウムと
を混合したインクを用いて形成できる。また、着色層
は、着色剤と蛍りん光体とバインダーを含有するメジウ
ムとを混合したインク、または、着色剤を含むインクと
蛍りん光体とバインダーを含有するメジウムとを混合し
たインクを用いて形成することができる。インクの組成
は、形成される各層の組成やインクの粘度等を考慮して
適宜決定できる。尚、バインダーを含有するメジウム
は、例えば、市販のもので、1液又は2液タイプで素材
に対し密着及び耐候性の良好なものを使用することが適
当である。
【0021】りん光層形成用インクは、例えば、メジウ
ム100重量部に対して蛍りん光体100〜400重量
部、好ましくは150〜300重量部を混合して作るこ
とができる。また、着色層形成用インクは、例えば、メ
ジウム100重量部に対して蛍りん光体100〜400
重量部、好ましくは150〜300重量部及び着色顔料
を含むインクを1〜25重量%の範囲、好ましくは1〜
15重量%の範囲で混合して作ることができる。
【0022】高い発光輝度を得るために比較的厚い層を
形成するという観点からは、層の形成には、スクリーン
印刷等を用いることが好ましい。また、印刷素材の形状
から平面印刷、曲面印刷、巻取印刷が可能であり、さら
には静電スクリーン印刷も利用できる(「基本印刷技
術」、114頁乃至118頁、発行日;平成5年1月3
0日、発行所;産業図書(株)、編者;角田隆弘他2
名)。スクリーン印刷に用いるスクリーンのメッシュに
は特に制限はなく、インクに含まれる蛍りん光体や着色
顔料の粒子径やインクの粘度等を考慮して適宜決定出来
る。例えば、80メッシュ〜200メッシュのスクリー
ン紗を用いるスクリーン印刷よって、厚さ10μm〜2
00μm程度の膜厚の層を形成することができる。
【0023】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに説明する。 実施例1 図3に、本実施例で作製した本発明の熱転写用積層体の
概略断面図を示す。図中、1は剥離性基板、2は着色
層、3はりん光層、8は白色反射層、4は熱融着層であ
る。剥離性基板としてペインタブルペット100M(H
A2)(藤森工業(株)製)上に下記の各インクを用い
て上記各層を形成した。即ち、下記着色層形成用インク
とT100メッシュの印刷紗を用いてスクリーン印刷
し、厚さ80μmの着色層を形成した。次いで上記着色
層の上に、上記と同様のT100メッシュの印刷紗を用
いて下記りん光層形成用インクをスクリーン印刷し、厚
さ90μmのりん光層を形成した。さらに、下記白色反
射層形成用インクをT100メッシュの印刷紗を用いて
スクリーン印刷し、厚さ9μmの白色反射層を形成し、
未硬化のうちに熱融着剤(プラタミド)の粉末を上記白
色反射層に散布して未硬化物に付着させて熱融着剤層を
形成して、本発明の熱転写用積層体を得た。この熱転写
用積層体が加熱押圧(約150℃、20秒)により、着
色層/りん光層/白色反射層/熱融着層が被転写物に熱
転写されて赤色の残光性転写物を形成できることを確認
するとともに、同様の加熱条件で加熱したサンプルと非
加熱のサンブルのりん光(残光)の強度を測定した。結
果を表1に示す。着色層形成用インク 蓄光顔料(根本特殊化学(株)製、N夜光(ストロンチ
ウムアルミネートを母体結晶とし稀土類元素を付活剤と
する蓄光顔料)、平均粒子径10μm)15gとメジウム
(Vinyl Screen Printing INK LOV 800 セイコーアドバ
ンス(株)製、固形分49.6重量%) 7.5gと着色インク
(Vinyl Screen Printing INK LOV 538プロセスレッ
ド、セイコーアドバンス(株)製、固形分56.7重量%)
0.4gを十分に攪拌混合して着色層形成用インクを形成
した。りん光層形成用インク 蓄光顔料(根本特殊化学(株)製、N夜光(ストロンチ
ウムアルミネートを母体結晶とし稀土類元素を付活剤と
する蓄光顔料)、平均粒子径10μm)15gとメジウム
(Vinyl Screen Printing INK LOV 800 セイコーアドバ
ンス(株)製、固形分49.6重量%) 7.5gとを十分に攪
拌混合してりん光層形成用インクを形成した。白色反射層形成用インク スーパーフレックス301白〔美濃商事(株)製〕熱融着剤 プラタミドH005PTA200〔日本リルサン(株)
製〕 材質:ポリアミド、粒度:60〜200μm、融点:1
15〜125℃ 接着温度:140〜160℃、接着圧力:0.3〜0.
5kg/cm2 接着時間:12〜20秒
【0024】輝度測定法 暗所で十分に放光させたサンプルに27wの蛍光灯でサ
ンプル表面照度が約5400lxの明るさに相当する光
を10分間照射することにより蓄光を行った。蓄光のた
めの光照射終了1分後にサンプルのりん光(残光)の強
度を輝度計(ミノルタカメラ(株)製LS−100)を
用いて測定した。さらに、残光性複合体に含まれる単位
蓄光顔料量(1g)当たりのりん光の強度(mcd)を
発光効率として求めた。尚、上記で用いたメジウム(Vi
nyl Screen Printing INK LOV 800 セイコーアドバンス
(株)製)に含まれるバインダーの溶融温度は 230℃以
上であった。
【0025】実施例2 メジウムとしてVinyl Screen Printing INK 2500 800
(セイコーアドバンス(株)製、固形分37.7重量%)及
び着色インクとしてVinyl Screen Printing INK2500 5
38 プロセスレッド (セイコーアドバンス(株)製、固
形分42.5重量%)を用いた以外は実施例1と同様にして
形成した着色層形成用インクとメジウムとしてVinyl Sc
reen Printing INK 2500 800(セイコーアドバンス
(株)製、固形分37.7重量%)を用いた以外は実施例1
と同様にして形成したりん光層形成用インクとを用い
て、実施例1と同様にして本発明の熱転写用積層体を得
た。この熱転写用積層体が加熱押圧(約150℃、20
秒)により、着色層/りん光層/白色反射層/熱融着層
が被転写物に熱転写されて赤色の残光性転写物を形成で
きることを確認するとともに、同様の加熱条件での加熱
したサンプルと非加熱のサンブルのりん光(残光)の強
度を測定した。結果を表1に示す。尚、上記で用いたメ
ジウム(Vinyl Screen Printing INK 2500 800セイコー
アドバンス(株)製)に含まれるバインダーの溶融温度
は 230℃以上であった。
【0026】実施例3 メジウムとしてVinyl Screen Printing INK SG410 800
( セイコーアドバンス(株)製、固形分25.5重量%)及
び着色インクとしてVinyl Screen Printing INK SG410
538 プロセスレッド (セイコーアドバンス(株)製、固
形分38.1重量%)を用いた以外は実施例1と同様にして
形成した着色層形成用インクとメジウムとしてVinyl Sc
reen Printing INK SG410 800 (セイコーアドバンス
(株)製、固形分25.5重量%)を用いた以外は実施例1
と同様にして形成したりん光層形成用インクとを用い
て、実施例1と同様にして本発明の熱転写用積層体を得
た。この熱転写用積層体が加熱押圧(約150℃、20
秒)により、着色層/りん光層/白色反射層/熱融着層
が被転写物に熱転写されて赤色の残光性転写物を形成で
きることを確認するとともに、同様の加熱条件での加熱
したサンプルと非加熱のサンブルのりん光(残光)の強
度を測定した。結果を表1に示す。尚、上記で用いたメ
ジウム(Vinyl Screen Printing INK SG410 800 セイコ
ーアドバンス(株)製)に含まれるバインダーの溶融温
度は 230℃以上であった。
【0027】
【表1】
【0028】表1に示す結果から、本発明の残光性複合
体は、加熱の前後でほぼ同等の高い残光輝度を示すこと
が分かる。即ち、着色層及びりん光層に含まれるバイン
ダーが熱融着剤層の溶融温度より高い溶融温度を有する
本発明の残光性複合体では、熱転写の後も積層構造が保
持され、その結果、高い残光性を有する熱転写物を形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有色残光性複合体の断面説明図。
【図2】 本発明の有色残光性複合体の断面説明図。
【図3】 実施例で作成した本発明の有色残光性複合体
の断面説明図。
【符号の説明】
1・・・剥離性基板 2・・・着色層 3・・・りん光層 4・・・熱融着剤層 5・・・バインダー 6・・・蛍りん光体 7・・・着色剤 8・・・白色反射層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B32B 27/20 B32B 27/20 A B41M 1/12 B41M 1/12 3/12 3/12 5/30 B44C 1/17 A B44C 1/17 B41M 5/26 K (56)参考文献 特開 平9−31369(JP,A) 実開 昭59−194949(JP,U) 実開 平2−80467(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06P 5/00 114 - 119 B32B 27/00 - 27/42 B41M 1/12 B41M 3/12 B41M 5/30 B44C 1/17

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剥離性基体上に少なくとも着色層、りん
    光層及び熱融着剤層を有する熱転写用積層体であって、 前記着色層が着色剤と蛍りん光体とバインダーとを含
    み、 前記りん光層が蛍りん光体とバインダーとを含み、かつ
    前記バインダーが前記熱融着剤層の溶融温度より高い溶
    融温度を有することを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 着色層に含まれる前記蛍りん光体の粒子
    が、単独で又は複数が連続して、前記着色層を厚み方向
    に貫通して存在する請求項1記載の熱転写用積層体。
  3. 【請求項3】 着色層中の蛍りん光体の少なくとも一部
    の粒子径が、前記着色層の厚みより大きい請求項2記載
    の熱転写用積層体。
  4. 【請求項4】 着色層中の蛍りん光体の平均粒子径が、
    前記着色層の厚みより大きい請求項2記載の熱転写用積
    層体。
  5. 【請求項5】 着色層中の蛍りん光体の含有量が、55
    〜95重量%の範囲にある請求項1記載の熱転写用積層
    体。
  6. 【請求項6】 着色層中の着色剤が有色顔料である請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の熱転写用積層体。
  7. 【請求項7】 有色顔料が金属色顔料又は黒色顔料であ
    る請求項6記載の熱転写用積層体。
  8. 【請求項8】 金属色顔料及び黒色顔料の粒子が鱗片状
    である請求項7記載の熱転写用積層体。
  9. 【請求項9】 りん光層に含まれる蛍りん光体が蓄光顔
    料及び/又は夜光顔料である請求項1〜8のいずれか1
    項に記載の熱転写用積層体。
  10. 【請求項10】 着色層に含まれる蛍りん光体が蓄光顔
    料及び/又は夜光顔料である請求項1〜8のいずれか1
    項に記載の熱転写用積層体。
  11. 【請求項11】 りん光層及び着色層に含まれるバイン
    ダーが可視光に対して実質的に透明である請求項1〜1
    0のいずれか1項に記載の熱転写用積層体。
  12. 【請求項12】 着色層が、色が異なる2つ以上部分か
    らなる請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱転写用
    積層体。
  13. 【請求項13】 剥離性基体と着色層との間に保護層を
    有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱転写用
    積層体。
  14. 【請求項14】 保護層が可視光に対して実質的に透明
    である請求項13記載の熱転写用積層体。
  15. 【請求項15】 剥離性基体が可視光に対して実質的に
    透明である請求項1〜14のいずれか1項に記載の熱転
    写用積層体。
  16. 【請求項16】 りん光層と熱融着剤層との間に反射層
    を有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の熱転写
    用積層体。
  17. 【請求項17】 反射層が白色である請求項16記載の
    熱転写用積層体。
  18. 【請求項18】 バインダーが、熱融着剤層の溶融温度
    より30℃以上高い溶融温度を有する請求項1〜17の
    いずれか1項に記載の熱転写用積層体。
  19. 【請求項19】 バインダーの溶融温度が160℃以上
    であり、熱融着剤層の溶融温度が100〜130℃の範
    囲である請求項18記載の熱転写用積層体。
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