JP3162875B2 - マッサージ機 - Google Patents

マッサージ機

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JP3162875B2
JP3162875B2 JP15425093A JP15425093A JP3162875B2 JP 3162875 B2 JP3162875 B2 JP 3162875B2 JP 15425093 A JP15425093 A JP 15425093A JP 15425093 A JP15425093 A JP 15425093A JP 3162875 B2 JP3162875 B2 JP 3162875B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、施療ユニットに突設さ
れた施療子の動作により、該施療子に押し当てられた加
療部位に、揉み、叩き、指圧等の施療を行う構成とした
マッサージ機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における健康指向の高まりにより、
家庭内での使用に供されるマッサージ機が注目を浴びて
いる。特に、椅子の背当たり部に沿って移動する施療ユ
ニットに前側(背当たり部の正面側)に突出する一対の
施療子を備え、施療ユニットの移動と施療子の動作とに
より、背当たり部に押し当てられた加療部位への各種の
施療(揉み、叩き、指圧等)を行う椅子式のマッサージ
機は、着座姿勢を変えることなく首すじから腰にかけて
の広範囲の施療が可能であり、優れた施療効果が得られ
るマッサージ機として広く用いられている。
【0003】前記施療子は、共通の支軸に中途を支持さ
れた一対の支持アームの先端に夫々取り付けてあり、前
記支軸に沿う支持アームの摺動により相互に接近及び離
反して加療部位を揉みほぐす揉み動作と、前記支軸の回
りに同位相にて生じる支持アームの揺動により加療部位
を押圧する指圧動作と、同じく位相をずらせた揺動によ
り加療部位を叩く叩き動作とを行う構成となっており、
本願出願人は既に、前記各動作に夫々対応する複数の駆
動用モータを備え、これらのモータ及び施療ユニットの
上下動用モータを組み合わせて駆動することにより、前
述した各種の施療を適宜に複合した施療を可能とし、更
なる施療効果の向上を図ったマッサージ機を提案してい
る。
【0004】更に、このマッサージ機においては、前記
施療子による揉み、叩き及び指圧の各動作を、使用者に
よる強さの指定、加療部位の位置等、施療条件に応じて
行わせる動作制御が行われている。この動作制御は、前
記施療子の夫々に取り付けた荷重センサにより、加療部
位への押し当てに伴って施療子に作用する反力荷重を検
出し、例えば、この検出荷重が所定の上限値を超えない
ように前記各動作用の駆動用モータを駆動制御する手順
により実施される。これにより、揉み、叩き及び指圧の
各動作が、加療部位への作用力を自動調整しつつ行われ
て、使用者による複雑な操作を要することなく、快適な
使用感と十分な施療効果とが得られるようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上の如き
動作制御は、加療部位への施療子の押し当て荷重が正確
に検出されることを前提としている一方、この荷重検出
のための荷重センサは、揉み、叩き、及び指圧の各動作
中に、施療子に種々の方向から作用する荷重を検出する
必要があり、また、施療ユニット内部の取り付けスペー
スに限りがあることから、施療子の支持アームに貼着し
た歪ゲージにより、前記押し当てに伴って生じる歪を検
出する構成となっており、周囲の温度、湿度等の環境条
件に応じた歪ゲージの特性変化、更には、経時的な歪ゲ
ージの特性変化により、荷重センサの出力と実際の押し
当て荷重とが対応しないことがあり、特性変化後の誤っ
た出力に基づいて前述した制御が実施されて、使用感の
悪化を招来し、また所望の施療効果が得られなくなる難
点があった。
【0006】荷重センサの出力特性の変化に起因する以
上の如き難点は、他の構成の荷重センサを用いた場合に
おいても同様に生じ、また、椅子式のマッサージ機に特
有のものではなく、定置式の施療ユニットとこれに突設
された施療子とを備え、該施療子の動作により加療部位
への施療を行う構成としたマッサージ機においても同様
に生じる。
【0007】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、施療子の押し当て荷重を検出する荷重センサの
出力特性の変化に起因する誤った動作制御の実施を未然
に防止し、快適な使用感と十分な施療効果とが安定して
得られるマッサージ機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るマッサージ
機は、加療部位に押し当てられて所定の施療動作をなす
施療子に、前記押し当てに伴って作用する反力荷重を検
出する荷重センサを付設し、該荷重センサの出力に基づ
いて前記施療子の動作を制御して、前記加療部位への施
療強さを自動調節するマッサージ機において、前記自動
調節を伴う施療動作の前に、前記荷重センサの出力を較
正する較正手段を具備することを特徴とし、更に加え
て、前記較正手段による較正が、前記施療子が無荷重
下、又は所定の荷重下にある場合の前記荷重センサの出
力を読み込み、この出力を所定の基準値と比較して行わ
れること、及び、前記較正に用いる荷重センサの出力を
得るべく、前記加療部位の押し当てが不能に前記施療子
を退避させる退避スペースを備えることを夫々特徴とす
る。
【0009】
【作用】本発明においては、加療部位への施療子の押し
当て荷重を検出する荷重センサの出力を、この出力を用
いての施療強さの調節を伴う運転前に、較正手段の動作
により較正し、マッサージ中の施療子の動作制御を、前
記較正により実際の押し当て荷重に正しく対応する出力
に基づいて行わせる。
【0010】また前記較正は、施療子の押し当て荷重が
零である無荷重状態、又は予め定められた所定の押し当
て荷重が付加された定荷重状態での荷重センサの出力を
読み込み、これを所定の基準値と比較する手順により行
い、無荷重状態又は定荷重状態は、加療部位の押し当て
が不可能な位置に設けた退避スペースに施療子を移動さ
せ、この退避スペースにおいて施療子を引っ込めて無荷
重状態を実現し、同じく適宜の固定部位に施療子を押し
当てて定荷重状態を実現する。
【0011】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1は本発明に係るマッサージ機の外観斜
視図、図2はそのフレーム構造を示す側断面図である。
【0012】図1に示すマッサージ機は、幅方向両側に
肘掛け部1a,1aを有する座部1と、該座部1の後縁から
立ち上がる背当たり部2とを備え、肘掛け椅子の外観を
なす椅子式のマッサージ機である。図2に示す如く座部
1は、脚フレーム10上に装架された座板11上に着座パッ
ド12を被せてなり、また背当たり部2は、その下端を脚
フレーム10に揺動自在に枢支された縦フレーム20を左右
両側(片側のみ図示)に備え、両縦フレーム20の適宜位
置に前方に向けて突設された複数のブラケット21,21…
上に支え板22を固定して、この支え板22に背当てパッド
23を被せた構成となっている。
【0013】左右の縦フレーム20,20間には、これらを
ガイド部材として上下動する施療ユニット3が支持さ
れ、これの前側には、幅方向に一対の施療子4,4が突
設されている。これらの施療子4,4は、前記背当てパ
ッド23の幅方向中央に略全長に亘って形成され、図1に
示す如く、伸縮性に富む覆い布24により覆われた適宜幅
の切欠き部を経て背当たり部2の前側に突出し、後述の
如く、施療ユニット3に内蔵された各別の駆動機構の動
作により、揉みのための幅方向の接近及び離反動作と、
叩きのための上下方向の動作と、指圧のための前後方向
の動作とを夫々行うようになしてある。
【0014】背当たり部2の縦フレーム20は、加療部位
となる背中から首筋の曲がりに沿わせるべく、図2に示
す如き屈曲形状を有しており、該縦フレーム20の後側に
は、下部の駆動スプロケット13と上部の従動スプロケッ
ト14との間に張架された駆動チェーン15が沿わせてあ
る。駆動スプロケット13には、座部1の後下側に設置さ
れた上下駆動モータM4 の駆動力が減速機16を介して伝
達されており、この伝動に応じた駆動スプロケット13の
回転により、前記駆動チェーン15が上下に作動するよう
になしてある。
【0015】施療ユニット3は、縦フレーム20の前面に
転接する上下一対の主ローラ3a,3aと、同じく後面に転
接する副ローラ3bとを備え、これらにより、幅方向両側
にて夫々3点支持されており、また、副ローラ3bの後下
側に固定された連結部材3cを介して前記駆動チェーン15
の中途部に連結してある。而して施療ユニット3は、上
下駆動モータM4 からの伝動による駆動チェーン15の作
動に応じて、縦フレーム20の前後面での主ローラ3a,3a
及び副ローラ3bの転動を伴って上下動する。
【0016】図3は、施療ユニット3の内部構造を示す
横断面図である。施療ユニット3の内部には、これの全
幅に亘って支軸30が横架され、この支軸30と夫々平行を
なして、揉み駆動軸31、叩き駆動軸32、及び指圧駆動軸
33が横架されている。揉み駆動軸31は、施療ユニット3
の幅方向中心の一側に右ねじを、他側に左ねじを夫々形
成してなる送りねじ軸であり、施療ユニット3内部の一
側に固設された揉み駆動モータM1 からの伝動により軸
心回りに回転駆動されるようになしてある。
【0017】また指圧駆動軸33は、施療ユニット3の幅
方向中心の両側に略同寸の長さを有しており、施療ユニ
ット3内部の他側に固設された指圧駆動モータM3 の出
力端にベルト及び減速機からなる伝動機構を介して連結
され、該指圧駆動モータM3からの伝動により、軸心回
りに所定の回転角度範囲内にて回転駆動されるようにな
してある。
【0018】指圧駆動軸33の中央部には、揺動アーム34
の基端部が固定されており、前記叩き駆動軸32は、前記
揺動アーム34の先端部に回動自在に枢支されている。揺
動アーム34は、指圧駆動軸33の両側にも固定され、叩き
駆動軸32は、軸長方向3か所を揺動アーム34により枢支
され、指圧駆動軸33と平行をなして保持されている。叩
き駆動軸32は、図示の如く、中央の揺動アーム34への枢
支位置の両側に、位相をずらせた一対のクランク 32a,3
2bを備えてなるクランク軸であり、揉み駆動モータM1
と同側に固設された叩き駆動モータM2 からの伝動によ
り軸心回りに回転駆動されるようになしてある。
【0019】叩き駆動モータM2 の出力は、指圧駆動軸
33の一側を支持する伝動ボックス35の指圧駆動軸33と同
軸をなす出力端に取り出され、伝動ベルト36を介して叩
き駆動軸32に伝達されている。而して叩き駆動軸32は、
指圧駆動モータM3 からの伝動による指圧駆動軸33の回
転に応じて、揺動アーム34と共に指圧駆動軸33の軸心回
りに位置を変え、また、叩き駆動モータM2 からの伝動
により軸心回りに回転駆動されることになり、この回転
駆動は、前述した如き伝動系の構成により、揺動アーム
34の揺動と同時に行わせ得る。
【0020】図3に示す如く、支軸30と揉み駆動軸31と
の間には、移動ブロック40,40が架設してある。この架
設は、移動ブロック40,40の一側を、軸長方向への摺動
自在に支軸30に嵌合せしめ、また移動ブロック40,40の
他側を、揉み駆動軸31の左ねじ部及び右ねじ部に夫々螺
合せしめてなされており、移動ブロック40,40は、揉み
駆動モータM1 からの伝動による揉み駆動軸31の正逆転
に応じて、支軸30に沿って摺動し、互いに接近又は離反
する動作をなす。
【0021】支軸30への移動ブロック40,40の嵌合部位
には、夫々との対向面に、支軸30と同軸上での回動が可
能にアームホルダ41,41が取り付けてあり、前記施療子
4,4は、アームホルダ41,41の一側に突設された支持
アーム42,42の先端に夫々取り付けてある。図4は、施
療子4,4の支持構造を示す側断面図であり、図示の如
く、支持アーム42,42はアームホルダ41,41の他側にも
突設され、この突設端は、前記叩き駆動軸32の両側のク
ランク 32a,32bに各別の連結リンク43,44を介して連結
されている。
【0022】而して、支持アーム42,42の基端は、指圧
駆動モータM3 からの伝動により指圧駆動軸33が駆動さ
れた場合、揺動アーム34,34の揺動に伴って前述の如く
生じる揉み駆動軸32の移動により、連結リンク43,44を
介して一括して押し上げ又は引き下げられる一方、叩き
駆動モータM2 からの伝動により叩き駆動軸32が回転駆
動された場合、これに伴うクランク 32a,32bの偏心回転
により、夫々の連結リンク43,44を介して各別に押し上
げ又は引き下げられる。
【0023】以上の如き押し上げ又は引き下げにより、
支持アーム42,42は、各別の移動ブロック40,40に対す
るアームホルダ41,41の回動を伴って支軸30の軸心回り
に揺動する。指圧駆動軸33の動作は、所定の角度範囲内
にて生じる低速度での回転であり、この回転に応じた支
持アーム42,42の揺動は同位相にて緩やかに生じ、支持
アーム42,42先端の施療子4,4は、前方への突出動作
又は後方への退避動作を一括して行う。一方、叩き駆動
軸32の動作は、比較的高速度での一方向回転であり、こ
の回転に応じた支持アーム42,42の揺動は、クランク 3
2a,32b相互間の位相のずれを伴って交互に生じ、施療子
4,4は、指圧駆動軸33の回転位置に応じた前後位置に
て短周期の上下動作をなす。
【0024】更に、揉み駆動モータM1 からの伝動によ
り揉み駆動軸31が回転駆動された場合、施療子4,4
は、前述の如く生じる移動ブロック40,40の摺動に応じ
て相互に接近又は離反する動作をなす。叩き駆動軸32の
クランク 32a,32bは、中央の揺動アーム34の両側に適宜
の長さを有し、またこれらへの連結リンク43,44の連結
は、軸心回りの揺動及び軸長方向への摺動が可能になさ
れており、施療子4,4の接近,離反動作は、クランク
32a,32bに沿う連結リンク43,44の摺動により許容され
る。
【0025】以上の如く構成されたマッサージ機は、座
部1に着座した使用者が、加療部位たる背中を背当たり
部2に押し当て、操作部5(図1参照)の操作により所
望の施療パターンを選択して用いられる。施療ユニット
3に内蔵された揉み駆動モータM1 、叩き駆動モータM
2 及び指圧駆動モータM3 、並びに座部1の下側に設置
された上下駆動モータM4 は、操作部5での選択パター
ンに従って駆動され、背当たり部2に押し当てられた加
療部位には、揉み駆動モータM1 の駆動による施療子
4,4の前述した動作により揉み施療が、また叩き駆動
モータM2 の駆動による施療子4,4の上下動により叩
き施療が、更に指圧駆動モータM3 の駆動による施療子
4,4の前後動により指圧施療が夫々行われ、更にこれ
らの各施療は、上下駆動モータM4 の駆動による施療ユ
ニット3の上下動により、背当たり部2に押し当てられ
た加療部位の全域において行われる。
【0026】このように行われる各施療は、施療子4,
4を支持する支持アーム42,42に付設された荷重センサ
6,6(図3参照)により、加療部位への押し当てに伴
って施療子4,4に作用する反力荷重を検出し、この検
出結果に基づいて揉み駆動モータM1 、叩き駆動モータ
2 及び指圧駆動モータM3 の出力を制御して、加療部
位への施療子4,4の押し当て力を自動調整しつつ行わ
れている。
【0027】図5は、本発明に係るマッサージ機の制御
系の構成を示すブロック図である。図中7は、マイクロ
プロセッサを用いてなる制御部であり、該制御部7の入
力側には、操作部5及び荷重センサ6が接続され、制御
部7の出力側には、前記揉み駆動モータM1 、叩き駆動
モータM2 、指圧駆動モータM3 及び上下駆動モータM
4 が各別の駆動回路を介して接続されている。
【0028】荷重センサ6は、支持アーム42,42に貼着
された歪ゲージであり、加療部位への施療子4,4の押
し当て荷重は、この押し当てに応じて支持アーム42,42
に生じる歪による抵抗値変化を媒介として検出される。
図示の如く荷重センサ6は、固定抵抗R1 〜R3 を用い
て構成されたブリッジ回路に組み込まれており、荷重セ
ンサ6の抵抗値変化は、これと抵抗R3 との間の電圧V
1 と、これらと並列接続された2つの抵抗R1 ,R2
の基準電圧V2 との差として取り出され、差動増幅器G
1による電圧V3 への増幅の後、差動増幅器G2に与え
られている。
【0029】差動増幅器G2にはまた、初期調整器VR
に設定された調整電圧V4 が与えられており、これと電
圧V3 との電圧差に所定の増幅を加えて得られる差動増
幅器G2の出力電圧V5 が制御部7に入力されるように
なしてある。なお、この出力電圧V5 は、電圧制限ダイ
オードD1により、初期調整器VRの電源電圧Vcc以下
に制限されている。
【0030】差動増幅器G1の出力電圧V3 は、荷重セ
ンサ6の抵抗値変化に対応するものであるが、これの絶
対値は、荷重センサ6たる歪ゲージの取り付け状態に応
じて異なり、施療子4,4の押し当て荷重に絶対的に対
応するものではない。初期調整器VRは、外部からの操
作により抵抗値を変え、電源電圧Vccを適宜に降圧した
調整電圧V4 を出力する可変抵抗器であり、取り付け状
態の相違により出力電圧V3 に生じる影響は、初期調整
器VRの操作により調整電圧V4 を初期調整することに
より排除され、制御部7への入力となる差動増幅器G2
の出力電圧V5は、施療子4,4の押し当て荷重に絶対
的に対応するものとなる。
【0031】図6は、初期調整手順の説明図である。図
示の如く差動増幅器G1の出力電圧V3 は、押し当て荷
重の増大に伴って比例的に増加する態様を示すが、その
絶対値は、荷重センサ6の取り付け状態に応じて異な
る。一方、調整電圧V4 は、押し当て荷重の如何に拘わ
らず一定であり、この絶対値は、初期調整器VRの操作
により変更し得る。前記初期調整は、荷重センサ6を取
り付けた後、押し当て荷重の無負荷状態において、差動
増幅器G2の出力電圧V5 の変化を監視しつつ初期調整
器VRを操作し、図中に実線にて示す出力電圧V3 に対
しては実線にて示す調整電圧V4 を、一点鎖線にて示す
出力電圧V3 に対しては一点鎖線にて示す調整電圧V4
を夫々出力させて、両者の差を増幅して得られる前記出
力電圧V5を初期基準電圧Vadj1とVadj2との間に収め
るように行われる。この調整後の無負荷状態の出力電圧
5 は、以後の制御動作に用いる基準電圧Vref1として
制御部7に記憶させておく。
【0032】制御部7は、操作部5に設定された施療パ
ターンに従って、出力側の揉み駆動モータM1 、叩き駆
動モータM2 、指圧駆動モータM3 及び上下駆動モータ
4の夫々に駆動指令を発する動作をなし、この動作に
より施療子4,4は、揉み、叩き及び指圧の各施療動
作、更には、これらを適宜に組み合わせた施療動作を、
施療ユニット3の上下動を伴って行い、背当たり部2に
押し当てられた加療部位には、略全域に亘って所望の施
療パターンでの施療が行われる。
【0033】またこの間、制御部7は、荷重センサ6の
荷重検出により得られる前記出力電圧V5 を逐次読み込
み、これと前記基準電圧Vref1との差に所定の定数(図
6における出力電圧V5 の傾き角度に相当する)を乗じ
て施療子4,4の押し当て荷重を求め、この結果に基づ
いて前記各モータの出力を調整する制御動作を行う。こ
の制御動作により、加療部位への施療子4,4の押し当
て荷重が調整され、荷重コントロール下でのマッサージ
が行われる。なおこの荷重コントロールは、操作部5に
おける施療パターンの設定、好みの施療強さの設定等、
使用者の意思による各種の設定に従って実行され、背当
たり部2に押し当てられた加療部位には、所望のパター
ンでのマッサージが、所望の強さにより行われる。
【0034】以上の如き荷重コントロールは、荷重セン
サ6による荷重検出が正確に行われることを前提として
いるが、前述の如く荷重センサ6は、施療子4,4の支
持アーム42,42に貼着された歪ゲージであり、周辺温
度、湿度等の外的な要因、又は経時的な要因による特性
変化が生じ易く、これに気付かないまま前述のマッサー
ジが行われた場合、本来の強さでの施療が行われないこ
とから、快適性が損なわれる問題がある。
【0035】図7は、以上の問題の説明図である。前述
した初期調整により図中にAとして示す荷重−電圧特性
を有するようになした荷重センサ6が、特性変化により
Bとして示す荷重−電圧特性を有するようになった場
合、例えば、操作部5に押し当て荷重F1 下でのマッサ
ージが設定されたとき、出力電圧V5 の上限値は、A特
性上のVA ではなく、B特性上のVB となることから、
制御部7においては、基準電圧Vref1とVB との差bに
前記定数を乗じて求まる荷重F2 を上限値としての制御
動作がなされ、この荷重F2 が設定荷重F1 を大きく上
回ることから、好みの強さを超えた強さでのマッサージ
が行われることになる。
【0036】このような問題に対処するため、制御部7
は、荷重コントロール下でのマッサージが設定された場
合、前述した制御動作を行う前に、現状における荷重セ
ンサ6の出力を施療子4,4の押し当て荷重に正しく対
応させるべく、以下の如き較正動作を行う。図8は較正
動作の手順を示すフローチャートである。
【0037】図8に示す如く、まず、施療子4,4を引
っ込め(ステップ1)、次いで退避スペースに移動させ
る(ステップ2)。退避スペースは、例えば、施療子
4,4を加療部位に押し当てることが不可能な位置、例
えば、図1中にCとして示す如く、背当たり部2の最上
部の左右両側、即ち、座部1に着座した使用者の頭部の
左右両側であり、この退避スペースへの移動は、上下駆
動モータM4 への連続的な駆動指令により施療ユニット
3を最上部に移動させ、更に揉み駆動モータM1への連
続的な駆動指令により施療子4,4を相互に離反させる
ことにより実現される。また、ステップ1での施療子
4,4の引っ込めは、指圧駆動モータM3 への駆動指令
により施療子4,4を後退させることにより実現する。
【0038】而して、ステップ2までの実行により、施
療子4,4は、何らの外力も受けない状態となり、この
後制御部7は、荷重センサ6からの入力電圧V5 を読み
込み(ステップ3)、これを前記基準電圧Vref1と比較
し(ステップ4)、両者が一致しない場合、基準電圧V
ref1を現状の入力電圧V5 に更新し(ステップ5)、ま
た両者が一致した場合には、基準電圧Vref1の更新を行
わずに較正動作を終了する。
【0039】以上の動作は、施療子4,4の押し当て荷
重が0となる状態、即ち、荷重センサ6の無荷重状態を
強制的に実現し、この状態での入力電圧V5 を新たな基
準電圧Vref1とすることに相当し、以後の制御動作は、
初期調整の際に設定された基準電圧Vref1ではなく、施
療動作前における荷重センサ6の荷重−電圧特性の0
点、即ち、図6中のVref1′を基準電圧として実行され
る。而して、前述した如く、押し当て荷重F1 下でのマ
ッサージが設定された場合、出力電圧V5 の上限値は、
B特性上のVB とVref1′との差b′から求まる押し当
て荷重を上限として行われ、このb′は、A特性上のV
A と初期調整時の基準電圧Vref1との差aと略等しいこ
とから、初期調整直後と略同一の荷重コントロール下で
の施療が安定して行われ、満足すべき使用感が得られる
ようになる。
【0040】制御部7の較正動作は、図9に示すフロー
チャートに従う手順により行ってもよい。この場合、図
8に示す手順と同様に、まず施療子4,4を引っ込め
(ステップ1)、退避スペースに移動させる(ステップ
2)。その後、施療子4,4を突出させて予め設定され
た定荷重f1 を付加せしめる(ステップ3)。このよう
な定荷重f1 の付加は、前記退避スペースに施療子4,
4と対向する押し付け部を設けておき、指圧駆動モータ
3 を所定の出力にて駆動し、施療子4,4を前記押し
付け部に押し付けることにより実現する。
【0041】その後入力電圧V5 を読み込み(ステップ
4)、このV5 を含む次式により、その後の制御動作に
際して用いる基準電圧Vref2を算出し(ステップ5)、
較正動作を終了する。 Vref2=Vref1+(V5 −Vref3) …(1)
【0042】(1)式中のVref3は、図10に示す如く、
初期調整後のA特性上において定荷重f1 に対して得ら
れる入力電圧V5 であり、制御部7に予め記憶させてあ
る。較正動作時におけるB特性上での入力電圧V5 から
前記Vref3を減じる(1)式の第2項は、A特性とB特
性との同一荷重下での出力差であり、(1)式により求
まる基準電圧Vref2は、図7における基準電圧Vref1
と同様、B特性上での無負荷状態下の出力となり、この
基準電圧Vref2を用いる以後の制御動作により、初期調
整直後と略同一の荷重コントロール下での施療が安定し
て行われ、満足すべき使用感が得られるようになる。
【0043】なお、本実施例においては、椅子式のマッ
サージ機への適用例について述べたが、本発明の適用範
囲は、加療部位への押し当て荷重の検出結果に基づいて
施療子4,4の動作を制御するように構成されたマッサ
ージ機全般に亘ることは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明に係るマッサー
ジ機においては、加療部位への施療子の押し当て荷重を
検出する荷重センサの出力に基づく施療動作の前に、較
正手段の動作により荷重センサの出力が自動的に較正さ
れるから、荷重センサの特性変化による誤った出力に基
づく動作制御の実施を未然に防止でき、快適な使用感と
十分な施療効果とが安定して得られるようになる等、本
発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマッサージ機の外観斜視図であ
る。
【図2】本発明に係るマッサージ機のフレーム構造を示
す側断面図である。
【図3】施療ユニットの内部構造を示す横断面図であ
る。
【図4】施療子の支持構造を示す側断面図である。
【図5】本発明に係るマッサージ機の制御系の構成を示
すブロック図である。
【図6】荷重センサの出力を初期調整する手順の説明図
である。
【図7】荷重センサの特性変化により生じる問題点の説
明図である。
【図8】荷重センサの出力の較正手順の一実施例を示す
フローチャートである。
【図9】荷重センサの出力の較正手順の他の実施例を示
すフローチャートである。
【図10】図9に示すフローチャートに従う較正方法の
説明図である。
【符号の説明】
3 施療ユニット 4 施療子 6 荷重センサ 7 制御部 C 退避スペース M1 揉み駆動モータ M2 叩き駆動モータ M3 指圧駆動モータ M4 上下駆動モータ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加療部位に押し当てられて所定の施療動
    作をなす施療子に、前記押し当てに伴って作用する反力
    荷重を検出する荷重センサを付設し、該荷重センサの出
    力に基づいて前記施療子の動作を制御して、前記加療部
    位への施療強さを自動調節するマッサージ機において、
    前記自動調節を伴う施療動作の前に、前記荷重センサの
    出力を較正する較正手段を具備することを特徴とするマ
    ッサージ機。
  2. 【請求項2】 前記較正手段による較正は、前記施療子
    が無荷重下、又は所定の荷重下にある場合の前記荷重セ
    ンサの出力を読み込み、この出力を所定の基準値と比較
    して行う請求項1記載のマッサージ機。
  3. 【請求項3】 前記較正に用いる荷重センサの出力を得
    るべく、前記加療部位の押し当てが不能に前記施療子を
    退避させる退避スペースを備える請求項1又は請求項2
    記載のマッサージ機。
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