JP3161232B2 - 内燃機関用電源装置 - Google Patents

内燃機関用電源装置

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JP3161232B2 JP15393394A JP15393394A JP3161232B2 JP 3161232 B2 JP3161232 B2 JP 3161232B2 JP 15393394 A JP15393394 A JP 15393394A JP 15393394 A JP15393394 A JP 15393394A JP 3161232 B2 JP3161232 B2 JP 3161232B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関に取り付けら
れた磁石発電機を電源として直流出力を発生する電源装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関に搭載される発電機としては、
機関の出力軸に取り付けられる磁石回転子と、機関のケ
ースやカバーに固定される固定子とを備えた磁石発電機
が多く用いられている。磁石発電機は交流出力を発生す
るため、直流により駆動することが必要とされる電装品
がある場合には、磁石発電機の交流出力を直流出力に変
換する回路が必要になる。
【0003】内燃機関により駆動される車両や作業機等
にバッテリが搭載される場合には、該バッテリと直流負
荷とを発電機の出力端子間に並列に接続して、機関の回
転数が低く発電機の出力電圧がバッテリの端子電圧より
も低い間はバッテリから負荷に電力を供給し、機関の回
転数が上昇して発電機の出力電圧がバッテリの端子電圧
を超えた状態では発電機から負荷に電力を供給するよう
にしている。このように磁石発電機の出力端子間にバッ
テリと負荷とを並列に接続する場合、磁石発電機には図
14及び図15に示したような特性が要求される。図1
4は発電機の出力電圧Vo と出力電流Io との関係を、
回転数Nをパラメータとして示したもので、同図におい
て、VB はバッテリ電圧、Ni はアイドル回転数[rpm
]を示し、Ni <N1 <N2 の関係がある。また図1
5は、バッテリの充電電流Ichと機関の回転数Nとの関
係を示したものである。
【0004】図14に示すように、磁石発電機の出力端
子間にバッテリが接続される場合には、機関のアイドル
回転数Ni からバッテリの充電が開始されることが必要
とされ、アイドル回転数Ni における磁石発電機の無負
荷電圧がバッテリ電圧VB 以上であることが必要とされ
る。また図15に示すように、アイドル回転数を超える
領域では、回転数の上昇に伴って充電電流を増大させ
て、定常運転時にできるだけ大きな充電電流Ichを流す
ようにすることが必要とされる。
【0005】定常運転時に磁石発電機からバッテリに大
きい充電電流を流すためには、磁石発電機の発電コイル
のインピーダンスを低くすることが必要であるが、アイ
ドル回転数での無負荷電圧をバッテリ電圧以上とするた
めには、発電コイルの巻数を多くする必要がある。発電
コイルの巻数を多くするとインダクタンスが増加する上
に巻線抵抗が増加するため、発電コイルのインピーダン
スは増加する。特に発電コイルを巻回するスペースに制
約がある場合には、発電コイルの巻数を多くしようとす
ると、コイル導体として線径が細いものを使用する必要
があるため巻線抵抗の増大が顕著になる。
【0006】このように、アイドル回転数において発生
する無負荷電圧を高めるという要求と、バッテリに流す
充電電流をできるだけ大きくするという要求は、磁石発
電機にとって相反するものであるため、両者を満足する
電源装置を得ることはなかなか困難であった。
【0007】そこで、特開昭59−35538号に見ら
れるように、巻数を少なくしてインピーダンスを低くし
た発電コイルにスイッチング素子としてトランジスタを
接続して昇圧回路を構成した電源装置が提案された。こ
の電源装置では、トランジスタを導通させることにより
発電コイルに短絡電流を流して該発電コイルにエネルギ
ーを蓄積し、短絡電流が所定の値に達したときにトラン
ジスタを遮断状態にして発電コイルに蓄積されていたエ
ネルギー(Li 2 )/2[Lは巻線のインダクタンス,
iは短絡電流]を放出させることにより、発電コイルに
高い電圧を誘起させる。
【0008】この電源装置によれば、発電コイルのイン
ピーダンスを低くして中高速時に大きな充電電流を確保
しつつ、アイドル回転数付近の比較的低い回転速度領域
では、発電機の無負荷出力電圧がバッテリの電圧VB に
達しない状態でも、短絡電流を遮断した際に発生する高
い誘起電圧によってバッテリに充電電流を流すことがで
きる。
【0009】ところが、特開昭59−35538号の電
源装置では、昇圧回路を構成するトランジスタが発電コ
イルの出力の各半波において1回だけしか短絡電流の遮
断を行わないため、機関の回転速度が低いときには、各
半波において短絡電流の遮断により誘起したパルス状の
電圧が消滅した後次の半波で短絡電流の遮断が行われる
までの間充電電流を流し得る大きさの電圧を発生させる
ことができず、機関の低速時にバッテリの充電を十分に
行うことができないという問題があった。
【0010】そこで、特開平5−344798号及び特
開平5−344799号に示されているように、昇圧回
路を構成する発電コイル短絡用のスイッチング素子とし
てバイポーラトランジスタを用い、該トランジスタを発
電コイルの誘起電圧の位相と無関係に短い周期で繰り返
しオンオフさせて、該トランジスタのオフ時に発電コイ
ルに蓄積されたエネルギー(Li2 )/2を放出させ、
そのときに発電コイルに誘起する高い電圧をダイオード
ブリッジ全波整流回路を通して負荷に供給するようにし
た電源装置が提案された。
【0011】このような構成によれば、磁石発電機の出
力の各半波において、発電コイルの短絡及び遮断が多数
回繰り返されるため、機関の低速時にバッテリに充電電
流が流れる回数を増加させることができ、充電電流の総
量を増加させることができる。
【0012】ところが特開平5−344798号及び特
開平5−344799号に示された電源装置では、図1
3(B)に示したように、磁石発電機の発電コイルW1
の短絡回路が構成される際に、該短絡回路に整流回路の
1つのダイオードDo とトランジスタTRo のコレクタ
エミッタ間回路とが直列に接続された状態で存在するた
め、磁石発電機の出力電圧がトランジスタTRo のコレ
クタエミッタ間飽和電圧VCEとダイオードDo の順方向
電圧降下VF との和VCE+VF に相当するしきい値電圧
Vt を超えないと短絡電流が流れないという問題があ
り、機関の回転速度がきわめて低い領域で短絡電流を流
すことができないという問題があった。
【0013】例えば、図13(B)において、ダイオー
ドDo として株式会社東芝の製造になる20DL2C4
1Aを用い、バイポーラトランジスタTRo として同じ
く株式会社東芝の製造になる2SC3710を用いるも
のとする。この場合ダイオードDo の順方向電流と順方
向電圧との関係を示す特性曲線は図16の通りであり、
25℃の温度では、VF >0.6[V]となる。またト
ランジスタTRo のエミッタ接地におけるコレクタエミ
ッタ間飽和電圧VCE対コレクタ電流Ic 特性を示すと図
17の通りであり、温度が25℃のときには、VCE>
0.04[V]となる。
【0014】ここで磁石発電機の低速時(100[rpm]
〜300[rpm])の出力電流Io に対する出力電圧Vo
の特性を見ると、例えば図12に示す通りであり、これ
に上記のトランジスタTRo 及びダイオードDo を用い
た場合の負荷線を書き込むと図12の直線ロのようにな
る。即ち、トランジスタTRo を導通させて短絡電流を
流すためには、発電機がしきい値電圧Vt =0.64
[V]を超える電圧を誘起する必要があり、発電機の出
力電圧が0.64[V]に達しない回転数では短絡電流
を流すことができないため昇圧回路は無効になる。
【0015】またトランジスタTRo としてダーリント
ン接続された複合トランジスタを用いることも考えられ
るが、ダーリントン接続されたトランジスタでは、図1
8に示したように、更にコレクタエミッタ間飽和電圧が
高くなるため、しきい値電圧は更に高くなる。なお図1
8は、株式会社東芝製のダーリントン接続トランジスタ
2SD1525のエミッタ接地の場合のコレクタエミッ
タ間飽和電圧VCE対コレクタ電流Ic 特性を示してい
る。
【0016】負荷側にバッテリが設けられていて、該バ
ッテリが十分に充電されている場合には、機関の回転数
が低い領域でバッテリ側から電装品負荷に電力を供給で
きるため、低速時に昇圧回路が働かない上記のような電
源装置を用いても、始動時から高速時まで機関を満足に
動作させることができる。
【0017】しかしながら上記の電源装置を用いると、
バッテリが設けられていても、該バッテリが過放電状態
になった場合(上がってしまった場合)には、機関の低
速時に負荷に満足に電力を供給することができなくなる
ため、負荷の中に機関の始動に必要不可欠な電装品、例
えば、燃料ポンプやインジェクタ(燃料噴射器)、或い
はこれらの制御装置等が含まれている場合には、機関の
始動を行うことが困難になる。
【0018】即ち、バッテリが役に立たない状態では、
人力を利用してロープスタート等により機関のクランキ
ング(機関のクランク軸を外力により回転させること)
を行う必要があるが、人力によるクランキングでは、機
関の回転数を高くすることが困難であり、始動操作時に
発電コイルに前記のしきい値電圧Vt を超える電圧を発
生させて短絡電流を流し、昇圧動作を行わせることは容
易でないため、燃料ポンプやインジェクタ等を駆動する
ために必要な電圧を発生させることが難しく、機関を始
動させることができない場合がある。
【0019】また最近、バッテリを搭載しない車両や作
業機等に用いる内燃機関において、機関に取り付けられ
た磁石発電機を電源として燃料ポンプ、インジェクタ及
びこれらを制御するマイクロコンピュータを駆動するこ
とが検討されている。この場合にも、磁石発電機の発電
コイルの巻数を少なくすることによりそのインピーダン
スを低くするとともに、該発電コイルの短絡及び遮断を
行う昇圧回路を設けることにより、アイドリング回転数
以上の領域で電源装置から取り出し得る負荷電流を大き
くすることが考えられる。ところがこの場合も、機関の
始動は人力により行う必要があるため、前述した理由と
同じ理由で機関の始動が困難になるのを避けられない。
【0020】バッテリを用いずに、磁石発電機の出力で
燃料ポンプやインジェクタ等の負荷を駆動する場合に、
発電コイルの巻数を十分に多くしておけば、人力による
機関の始動時に燃料ポンプやインジェクタを駆動するた
めに必要な電圧を得ることができるが、発電コイルの巻
数を多くすると発電コイルのインピーダンスが大きくな
るため、アイドリング回転数以上の定常運転領域で大き
な負荷電流を取り出すことが困難になり、定常運転時に
動作させる負荷が制限されるという問題が生じる。
【0021】そこで本出願人は先に、図7に示した電源
装置を提案した。図7において1は内燃機関に取り付け
られた磁石発電機で、この磁石発電機1は2つの出力端
子1a,1b間に単相交流電圧を出力する。2つの出力
端子1a,1bにはそれぞれNチェンネル形のMOSF
ET F1 及びF2 のドレインが接続され、MOSFE
T F1 及びF2 のソースは共通に接続されている。ま
た磁石発電機の出力端子1a,1bにはそれぞれ整流用
ダイオードD11及びD12のアノードが接続され、これら
のダイオードのカソードは共通に接続されている。この
例では、MOSFET F1 及びF2 により、発電機1
の出力端子1a,1b間を短絡するスイッチ回路2が構
成され、MOSFET F1 及びF2 のドレインソース
間に存在する寄生ダイオードDf1及びDf2と整流用ダイ
オードD11及びD12とにより、ダイオードブリッジ全波
整流回路3が構成されている。整流回路3の出力端子3
a,3b間にはコンデンサCo が接続され、該整流回路
3の出力端子3a,3bからそれぞれ負荷接続端子4a
及び4bが引き出されている。また整流回路3の出力電
圧により直流電源電圧が与えられて動作するFET制御
回路5が設けられ、該FET制御回路5の出力端子5
a,5bからMOSFET F1 及びF2 のゲートカソ
ード間に駆動信号VGSが与えられている。
【0022】FET制御回路5は例えば直流電源電圧が
印加されたときに発振して図8(A)に示すような矩形
波信号を発生する発振器からなっていて、該制御回路5
から出力される矩形波信号が駆動信号VGSとして第1及
び第2のMOSFETのゲートソース間に印加されてい
る。
【0023】負荷接続端子4a,4b間には、例えば、
電子燃料噴射装置のインジェクタに燃料を供給する燃料
ポンプを駆動するモータ6とバッテリ7とが接続されて
いる。
【0024】図7の電源装置において、FET制御回路
5は、磁石発電機1の出力周波数よりも十分に高い周波
数の矩形波信号を発生する。この矩形波信号によりMO
SFET F1 及びF2 のゲートソース間に同位相の駆
動信号が与えられて両FETが同時に駆動される。MO
SFET F1 及びF2 のゲートソース間にゲートがソ
ースに対して正電位になる極性の駆動信号が与えられる
と、両MOSFETF1 及びF2 が導通し得る状態にな
り、それぞれのドレインソース間にドレインがソースに
対して正電位になる極性の電圧が僅かでも印加されると
両MOSFETにドレイン電流が流れて磁石発電機1の
発電コイルW1 に短絡電流が流れる。駆動信号VGSが零
になると、MOSFET F1 及びF2 が遮断状態にな
るため、発電コイルW1 を流れていた短絡電流が遮断さ
れ、該発電コイルW1 にそれまで流れていた短絡電流を
流し続けようとする向きの昇圧された電圧Vep[図8
(B)参照]が誘起する。この電圧により発電コイルW
1 に図8(C)に示したような電流Ie が流れ、ダイオ
ードD11及びD12と寄生ダイオードDf1及びDf2とによ
り構成される全波整流回路を通して負荷に図8(E)に
示すような負荷電流IL が流れる。図8(D)は負荷の
両端の電圧VL の波形を示している。
【0025】MOSFETは双方向性を有していて、駆
動信号が与えられている状態では抵抗と同じように作用
し、ソースドレイン間に僅かでも電圧VSDが与えられる
とドレイン電流ID が流れる。例えば各MOSFETと
して、株式会社日立製作所製の2SK1911を用いる
ものとすると、その導通時のドレインソース間抵抗RDS
対ドレイン電流ID 特性は図19に示す通りであり、逆
ドレイン電流IDR対するソースドレイン間電圧VSD特性
は図20に示す通りである。これらより、MOSFET
のゲートソース間にソースがゲートに対して正電位にな
る極性の駆動信号VGSが印加されている状態では、ドレ
インソース間抵抗が広い範囲で一定値を示し、ドレイン
電流とソースドレイン間電圧VSDとの間にはほぼ比例関
係があること、即ち、FETをほぼ抵抗と見做し得るこ
とが分かる。
【0026】そのため、発電コイルW1 の両端を駆動信
号が与えられている2つのMOSFET F1 及びF2
の直列回路を通して接続した回路は、発電コイルの両端
を抵抗を介して接続した回路と等価になり、2つのMO
SFETに駆動信号が与えられている状態での発電機の
負荷線は図12のイのように原点を通る直線になる。従
って、FETを導通させるために必要なしきい値電圧は
実質的に零になり、磁石発電機の発電コイルに僅かでも
電圧が誘起すると2つのMOSFET F1 及びF2 を
通して発電コイルW1 に短絡電流が流れることになる。
そのため機関をロープスタートする場合のように、機関
の回転数がきわめて低い場合でも、発電コイルに僅かで
も電圧が誘起すればMOSFET F1 及びF2 を導通
させて該発電コイルに短絡電流を流すことができ、MO
SFET F1 及びF2 の駆動信号が消滅して該短絡電
流が遮断されたときに発電コイルに電圧を誘起させるこ
とができる。
【0027】今磁石発電機1が図9に示すような無負荷
電圧波形を有する交流電圧Ve を発生するものとする。
図10(A)は図3の時間軸を拡大して発電機の出力電
圧の零点付近(図9のA部)の波形を示したものであ
り、同図(B)はFETのゲートに与えられる駆動信号
VGSの波形を示している。また図10(C)は発電コイ
ルW1 に流れる電流Ie の波形を示しており、本発明に
よれば、電圧Ve がほとんど零に近くなった状態でも電
流Ie が流れる。従って、発電コイルW1 の誘起電圧が
きわめて低い状態から該発電コイルに短絡電流を流すこ
とができ、機関の回転速度が低い状態でも該短絡電流の
遮断により電圧を誘起させて負荷を駆動することができ
る。
【0028】これに対し、図13(B)に示したよう
に、発電コイルW1 の両端にダイオードDo を介してト
ランジスタTRo のコレクタエミッタ間回路を接続して
短絡回路を構成する従来の電源装置では、図10(D)
に示したように、発電機の出力電圧Ve がしきい値電圧
Vt を下回ると発電コイルに電流Ie ´を流すことがで
きなくなるため、短絡電流を流すことができる期間が短
くなり、機関をロープスタートする際等の極低速時に負
荷に供給できる直流電流の総量が減少する。
【0029】図11に示した曲線は、機関をロープスタ
ートするためにロープを引いた際の機関のクランキング
回転数Nの時間tに対する変化を示したものである。短
絡回路が図13(B)で表される従来の電源装置を用い
た場合には、図11のT1 の期間しか負荷に直流電流を
供給することができず、期間T1 におけるクランキング
回転数の平均値はn2 となる。即ち、バッテリが設けら
れていない場合には、ロープを引くことによりクランキ
ング回転数の平均値をn2 にすることができないと負荷
に電力を供給することができない。これに対し、図7の
電源装置によれば、図11のTo ,T1 及びT2 の全期
間負荷に電力を供給することができ、負荷に電力を供給
するために必要なクランキング回転数の平均値(To 〜
T2 の期間における平均回転数)をn1 (<n2 )に引
き下げることができるため、機関の始動を容易にするこ
とができる。
【0030】なお図7に示した電源装置では、MOSF
ET F1 及びF2 を同時に駆動することが重要であ
る。一方のMOSFETの駆動が遅れると、駆動が遅れ
た方のMOSFETの寄生ダイオードの順方向電圧降下
が短絡回路のしきい値電圧となるため、上記のような効
果を得ることができなくなる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】磁石発電機を電源とし
た直流電源装置では、機関の回転速度が上昇したときに
負荷に加わる電圧が過大にならないように制御する必要
がある。図7に示した電源装置では、MOSFET F
1 及びF2 のデューティサイクル(オフ期間/オンオフ
の周期)を制御することにより出力電圧を調整する。
【0032】MOSFETは電圧制御素子であるため、
そのスイッチング損失は少ないが、それでも機関の定常
運転時にMOSFETのオンオフのデューティ比を制御
するだけで出力電圧を調整しようとすると、MOSFE
Tで生じるスイッチング損失が無視できないものとなっ
て該FETからの発熱が多くなり、ヒートシングとして
大形のものを用いることが必要になって電源装置の大形
化を招くという問題があった。
【0033】本発明の目的は、バッテリを使用できない
状況下でも、機関の極低速時から高速時まで負荷を満足
に駆動し得るようにした内燃機関用電源装置を提供する
ことにある。
【0034】本発明の他の目的は、磁石発電機の出力を
昇圧するためのスイッチ回路を構成するスイッチ素子と
してMOSFETを用いる場合に、該MOSFETから
の発熱を増大させることなく、出力電圧の調整を行うこ
とができるようにした内燃機関用電源装置を提供するこ
とにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】本発明は、内燃機関によ
り駆動される磁石発電機と、磁石発電機を電源として所
定の調整値以下に調整された直流電圧を出力する電圧調
整器付きの整流電源部とを備えた内燃機関用電源装置に
係わるものである。
【0036】本発明に係わる電源装置は、MOSFET
をスイッチング素子として磁石発電機の出力端子間を短
絡するように設けられたスイッチ回路と、整流電源部の
出力電圧が設定値以下のときにスイッチ回路のMOSF
ETに矩形波状の駆動信号を与えて該MOSFETをオ
ンオフさせ、整流電源部の出力電圧が設定値よりも高い
ときにはMOSFETをオフ状態に保つように整流電源
部の出力電圧に応じてMOSFETを制御するFET制
御回路とを備えたことを特徴とする。
【0037】なお本明細書において、「駆動信号」と
は、MOSFETを導通させるためにそのゲートソース
間に与える電圧信号を意味する。
【0038】一般に磁石発電機はn個(nは2以上の整
数)の出力端子を有していて、整流電源部は、磁石発電
機のn個の出力端子間に得られる交流電圧を全波整流す
る整流回路と該整流回路の出力を所定の調整値以下に保
つように制御する電圧調整器とにより構成される。この
場合、ソースが共通に接続された複数のMOSFETに
より上記のスイッチ回路を構成して、該複数のMOSF
ETのドレインを磁石発電機の複数の出力端子(異なる
出力端子)に接続する構成をとることができる。この場
合FET制御回路は、整流電源部の出力電圧が設定値以
下のときにスイッチ回路の複数のMOSFETに繰り返
し発生する同位相の矩形波状の駆動信号を与えて該複数
のMOSFETを同時にオンオフさせ、整流電源部の出
力電圧が設定値よりも高いときには複数のMOSFET
をオフ状態に保つように整流電源部の出力電圧に応じて
複数のMOSFETを制御するように構成する。
【0039】上記スイッチ回路は、磁石発電機の出力端
子の数と同数のn個のNチャンネル形のMOSFETに
より構成することができる。この場合には、カソードが
共通に接続されたn個の整流用ダイオードのアノードを
それぞれ磁石発電機のn個の出力端子に接続して、n個
のMOSFETのドレインソース間に存在する寄生ダイ
オードとn個の整流用ダイオードとによりダイオードブ
リッジ全波整流回路を構成し、該ダイオードブリッジ全
波整流回路の出力及び整流電源部の出力を負荷接続用の
端子に印加するようにすることができる。
【0040】また上記スイッチ回路をn個のPチャンネ
ル形のMOSFETにより構成する場合には、アノード
が共通接続されたn個の整流用ダイオードのカソードを
それぞれ磁石発電機のn個の出力端子に接続して、n個
のMOSFETのドレインソース間の寄生ダイオードと
n個の整流用ダイオードとによりダイオードブリッジ全
波整流回路を構成し、該ダイオードブリッジ全波整流回
路及び整流電源部の出力を負荷接続用の端子に印加する
構成とすることができる。
【0041】上記FET制御回路は、磁石発電機を電源
として動作するように設けることが好ましい。
【0042】
【作用】上記の電源装置において、機関の回転速度が低
く、整流電源部の出力電圧が設定値以下のときには、F
ET制御回路がMOSFETに駆動信号を繰り返し与え
て該FETをオンオフさせるため、磁石発電機の発電コ
イルを流れる電流が断続させられる。MOSFETがオ
ン状態になっている間に磁石発電機の発電コイルに短絡
電流が流れ、該発電コイルに(Li2 )/2の磁気エネ
ルギーが蓄積される。MOSFETが遮断状態になると
発電コイルを流れていた短絡電流が遮断される。このと
き今まで流れていた短絡電流を流し続けようとする向き
の高い電圧が発電コイルに誘起する。この昇圧動作によ
り、機関の低速時に負荷に与えられる電圧が上昇させら
れる。
【0043】駆動信号が与えられているMOSFETは
抵抗と同じように動作し、そのドレインソース間電圧と
ドレイン電流とが比例関係を有する領域では、ドレイン
ソース間の抵抗値がほぼ一定値を示す。そのため、発電
コイルの両端に駆動信号が与えられているMOSFET
を接続した回路は、発電コイルの両端に抵抗を接続した
回路と等価になり、MOSFETに駆動信号が与えられ
ている状態での発電機の負荷線は、図12のイのように
原点を通る直線になる。従ってMOSFETを導通させ
るために必要なしきい値電圧は実質的に零になり、磁石
発電機に僅かでも電圧が誘起すればMOSFETを通し
て発電コイルに短絡電流が流れることになる。そのた
め、機関をロープスタートする場合のように、始動操作
時の機関の回転数が極めて低い場合でも、発電コイルに
僅かでも電圧が誘起すればMOSFETを通して電流を
流して昇圧動作を開始させることができる。
【0044】従って、機関の極低速時にも負荷に比較的
高い電圧を印加することができ、機関の極低速時から負
荷を駆動することができる。
【0045】特に電子燃料噴射装置のインジェクタに燃
料を供給する燃料ポンプのモータを駆動する電源装置と
して本発明の電源装置を用いると、バッテリが過放電状
態になった際に機関を手動スタートする場合や、バッテ
リを用いずに磁石発電機の出力だけでインジェクタや燃
料ポンプを駆動する場合でも、機関を支障なく起動する
ことができる。
【0046】また上記のように構成すると、MOSFE
Tは整流電源部の出力電圧が設定値以下のときにのみオ
ンオフ動作を行うため、MOSFETがオンオフ動作を
行う領域を機関の低速領域に限定してFETの発熱を少
なくすることができる。従って、FETのヒートシンク
を小形にすることができ、電源装置が大形化するのを防
ぐことができる。
【0047】また上記のように構成すると、出力電圧を
調整するためにMOSFETのオンオフのデューティ比
を制御する必要がないため、FET制御回路の構成を簡
単にすることができる。
【0048】
【実施例】図1は本発明の実施例を示したもので、同図
において1は内燃機関に取り付けられた磁石発電機、1
0は磁石発電機1の出力を全波整流して所定の調整値を
超えないように調整された直流電圧を出力する整流電源
部、11は磁石発電機1の出力電圧を昇圧する昇圧回路
である。
【0049】この実施例の磁石発電機1は、内燃機関の
出力軸に取り付けられた磁石回転子と、機関のケースや
カバーに設けられた固定子取付部に固定された固定子と
からなる周知のもので、この例では固定子側に設けられ
た発電コイルW1 が単相の交流出力を発生するように結
線されて、該発電コイルの両端から出力端子1a,1b
が引き出されている。機関の高速時にも発電コイルW1
から大きな電流を取り出すことができるようにするた
め、発電コイルW1 としては、その巻数が少なく、イン
ピーダンスが低いものを用いる。
【0050】整流電源部10は、磁石発電機1の2つの
出力端子1a,1bにそれぞれアノードが接続され、カ
ソードが共通接続されたダイオードD21及びD22と、出
力端子1a,1bにカソードが接続され、アノードが共
通接続されたダイオードD31及びD32とからなる周知の
ダイオードブリッジ単相全波整流回路10Aと、整流回
路10Aの出力電圧を所定の調整値以下に制限するよう
に磁石発電機1の出力電圧を制御する電圧調整器10B
とからなっており、整流回路10Aの交流入力端子に磁
石発電機1の出力電圧が入力されている。整流電源部1
0の正極側の直流出力端子10aはスイッチSWを介し
てバッテリ7の正極端子に接続され、整流電源部10の
負極側の出力端子10b及びバッテリ7の負極端子は接
地されている。
【0051】電圧調整器10Bは、磁石発電機の出力端
子1a,1bにそれぞれアノードが接続され、カソード
が接地されたサイリスタTh1及びTh2と、整流回路10
Aの出力電圧に応じてサイリスタTh1及びTh2へのトリ
ガ信号の供給を制御する制御回路10B1とからなってい
る。制御回路10B1は、整流回路10Aの出力電圧が設
定された調整値以下のときにサイリスタTh1及びTh2へ
のトリガ信号の供給を停止しており、整流回路10Aの
出力電圧が調整値を超えたときにサイリスタTh1及びT
h2にトリガ信号を供給する。したがって磁石発電機の回
転数が低く、その出力電圧が低いときには、サイリスタ
Th1及びTh2が遮断状態を保持して磁石発電機の出力電
圧がそのまま整流回路10Aを通して負荷に供給される
のを許容し、磁石発電機の回転数が上昇して整流回路1
0Aの出力電圧が調整値を超えるようになるとサイリス
タTh1及びTh2が導通して磁石発電機1の出力を負荷か
ら側路し、整流回路の出力電圧を低下させる。これらの
動作により整流回路10Aの出力電圧が調整値以下に制
限され、磁石発電機がある程度以上の回転数で回転して
いる状態では整流回路10Aの出力電圧が調整値に保た
れる。
【0052】昇圧回路11は、ドレインが磁石発電機の
出力端子1a及び1bにそれぞれ接続されたNチャンネ
ル形のパワーMOSFET F1 及びF2 からなるスイ
ッチ回路2と、アノードが磁石発電機の出力端子1a及
び1bに接続された整流用ダイオードD11及びD12と、
FET制御回路5と、平滑用コンデンサCo と、整流電
源部10と昇圧回路11との間の干渉を断つためのダイ
オードD4 とにより構成されている。
【0053】MOSFET F1 及びF2 のソース及び
整流用ダイオードD11及びD12のカソードがそれぞれ共
通に接続されて、MOSFET F1 及びF2 のドレイ
ンソース間に存在する寄生ダイオードDf1及びDf2と整
流用ダイオードD11及びD12とによりダイオードブリッ
ジ単相全波整流回路3が構成されている。整流回路3の
正極性側の直流出力端子3aは正極性側の負荷接続端子
4aに接続され、該整流回路3の負極側の直流出力端子
3bは負極側の負荷接続端子4bとともに接地されてい
る。整流回路3の正極側直流出力端子3aと負荷接続端
子4aとの接続点にダイオードD4 のカソードが接続さ
れ、該ダイオードD4 のアノードに整流電源部10の正
極性側の出力端子10aが接続されている。
【0054】FET制御回路5は、タイマIC5Aと、
外付きの抵抗R1 ないしR3 及びコンデンサC1 ,C2
とからなる無安定マルチバイブレータと、トランジスタ
Tr1、ツェナーダイオードZD1 、抵抗R4 〜R6 、及
びコンデンサC3 からなるリセット回路5Bとにより構
成されている。
【0055】本実施例で用いているタイマIC5Aは、
日本電気株式会社が製造しているμPD5555(商品
名)で、図示の端子a及びbはそれぞれアース端子及び
トリガ端子、c及びdはそれぞれ出力端子及びリセット
端子である。またe及びfはそれぞれコントロール端子
及びスレッシュホールド端子、g及びhはそれぞれディ
スチャージ端子及び電源端子である。
【0056】タイマICの電源端子hは整流回路3の出
力端子3aに接続されるとともにダイオードD4 を通し
て整流電源部10の出力端子10aに接続され、磁石発
電機1から整流回路3及び整流電源部10を通してタイ
マIC5Aに電源電圧VDDが与えられている。すなわち
タイマICは、磁石発電機を電源として動作するように
なっている。
【0057】またタイマICのディスチャージ端子gと
電源端子hとの間及びデイスチャージ端子gとスレシュ
ホールド端子fとの間にそれぞれ抵抗R1 及びR2 が接
続され、スレシュホールド端子fと接地間にはコンデン
サC1 が接続されている。タイマICのトリガ端子bは
スレシュホールド端子fに接続され、リセット端子dは
抵抗R3 を通して電源端子に接続されている。またコン
トロール端子eと接地間にはコンデンサC2 が接続され
ている。
【0058】リセット回路5BのトランジスタTr1のエ
ミッタは接地され、コレクタはタイマICのリセット端
子dに接続されている。整流電源部10の出力端子10
a,10b間に抵抗R4 及びR5 の直列回路からなる分
圧回路が接続され、該分圧回路の分圧点とトランジスタ
Tr1のベースとの間が、カソードを分圧回路の分圧点側
に向けたツェナーダイオードZD1 を介してトランジス
タTr1のベースに接続されている。トランジスタTr1の
ベースエミッタ間には抵抗R6 が接続され、抵抗R5 の
両端にはコンデンサC3 が接続されている。抵抗R4 及
びR5 からなる分圧回路により整流電源部10の出力電
圧を検出する電圧検出回路が構成され、整流電源部10
の出力電圧が設定値に達したときに、電圧検出回路の出
力電圧がツェナーダイオードZD1 を導通させ得るレベ
ルに達するようになっている。整流電源部10の出力電
圧が設定値を超えている状態では、ツェナーダイオード
ZD1 が導通してトランジスタTr1にベース電流が与え
られるため、該トランジスタが導通し、これにより、タ
イマICのリセット端子dの電位を低レベルにして該タ
イマICをリセットする。整流電源部10の出力電圧の
設定値(リセット回路がリセット動作を行うときの整流
電源部の出力電圧値)は、該整流電源部の調整電圧より
も低い値( 例えば10[V])に設定されている。バッ
テリの電圧が12[V]の場合、整流電源部10の調整
値は14.5[V]程度に設定される。
【0059】平滑用コンデンサCo は負荷接続端子4
a,4bの両端に接続されている。またこの例では、負
荷接続端子4a,4bの両端に、電子燃料噴射装置のイ
ンジェクタに燃料を供給する燃料ポンプを駆動するモー
タ(ポンプモータ)6が負荷として接続されている。
【0060】図1には図示してないが、電子燃料噴射装
置をCPUにより制御する場合には、負荷接続端子4
a,4bから該CPUに電源を供給して、バッテリ7が
使用できない状態でも磁石発電機1の出力で該CPUを
駆動し得るようにしておくのが好ましい。
【0061】タイマICを用いた無安定マルチバイブレ
ータにおいては、タイマICのトリガ端子bがスレシュ
ホールド端子fに接続されているため、該タイマICが
自己トリガされて無安定動作を行う。タイマICの出力
電圧(出力端子cと接地間の電圧)が高レベルの状態に
あるときには、電源電圧により抵抗R1 及びR2 を通し
てコンデンサC1 が充電され、コンデンサC1 の両端の
電圧が電源電圧VDDの2/3に達すると、スレシュホー
ルド端子fがオンの状態になって出力電圧を低レベルの
状態にする。このときコンデンサC1 の電荷は抵抗R2
とディスチャージ端子gとを通して放電する。この放電
によりコンデンサC1 の端子電圧が(1/3)VDDまで
低下すると、トリガ端子bがオン状態になり、出力電圧
を高レベルの状態にする。これにより再び電源電圧によ
り抵抗R1 及びR2 を通してコンデンサC1 が充電され
る。これらの動作の繰り返しにより、出力端子cと接地
間に矩形波状の電圧が発生する。この矩形波状の電圧が
MOSFET F1 及びF2 のゲートに駆動信号VGSと
して与えられている。この無安定のマルチバイブレータ
の発振は、タイマICの電源端子hに電源電圧VDDが印
加されたときに開始され、整流電源部10の出力電圧が
設定値を超えてリセット回路5BのトランジスタTr1が
導通状態になったときに停止する。
【0062】上記の無安定マルチバイブレータにおい
て、出力電圧が高レベルの状態にあるときのコンデンサ
C1 の充電時間をt1 とし、出力電圧が低レベルの状態
にあるときのコンデンサC1 の放電時間をt2 とする
と、 t1 =0.693(R1 +R2 )C1 …(1) t2 =0.693 ・R2 ・C1 …(2) で与えられる。従って出力される矩形波信号の周期Tは、 T=t1 +t2 =0.693(R1 +2R2 )C1 …(3) で与えられ、発振周波数fは、 f=1/T=1.44/(R1 +2R2 )C1 …(4) で与えられる。この発振周波数は発電コイルW1 の出力
周波数よりも十分に高く設定しておく。
【0063】また矩形波信号のデューティサイクルD
(=t2 /T)は、 D=R2 /(R1 +2R2 ) …(5) で与えられる。
【0064】図1の実施例において、整流電源部10の
出力電圧の設定値(リセット回路5Bがリセット動作を
行う電圧値)は、ポンプモータ6を正常に動作させるた
めに必要な電圧値(例えば10[V])に設定されてい
る。
【0065】本実施例において、バッテリ7を使用でき
ない状態で、機関の始動操作が行われた場合を考える。
この場合、機関の始動操作が行われると、磁石発電機1
が交流電圧を発生する。この交流電圧は整流回路10A
により整流され、該整流回路10Aの出力がダイオード
D4 を通して負荷接続端子4a,4b間に印加される。
最初はこの直流電圧が設定値よりも低いため、抵抗R4
及びR5 からなる分圧回路の出力電圧がツェナーダイオ
ードZD1 を導通させるレベルに達しない。そのためト
ランジスタTr1は導通せず、該トランジスタTr1はタイ
マIC5Aの動作に何の影響も与えない。
【0066】発電機1の出力電圧はまた整流回路3を通
して負荷接続端子4a,4bに与えられるとともに、タ
イマIC5Aの電源端子に与えられる。タイマIC5A
は3[V]程度の低電圧で動作を開始するため、該タイ
マICを用いた無安定マルチバイブレータが発振して一
定の周波数fの矩形波信号を出力し、この矩形波信号が
駆動信号VGSとしてMOSFET F1 及びF2 のゲー
トソース間に同時に与えられる。従ってMOSFET
F1 及びF2 が同時にオンオフ動作を行って昇圧動作が
行われる。
【0067】MOSFET F1 及びF2 からなるスイ
ッチ回路2による昇圧動作は図7に示した既提案の電源
装置のそれと同様である。すなわち、MOSFET F
1 及びF2 のゲートソース間にゲートがソースに対して
正電位になる極性の駆動信号[図8(a)]が与えられ
ると、両FET F1 及びF2 が導通し得る状態にな
り、それぞれのドレインソース間にドレインがソースに
対して正電位になる極性の電圧が僅かでも印加されると
両FETにドレイン電流が流れて発電コイルW1に短絡
電流が流れる。駆動信号VGSが零になると、MOSFE
T F1 及びF2が遮断状態になるため、発電コイルW1
を流れていた短絡電流が遮断され、該発電コイルW1
にそれまで流れていた短絡電流を流し続けようとする向
きの昇圧された電圧Vep[図8(B)参照]が誘起す
る。この電圧により発電コイルW1 に図8(C)に示し
たような電流Ie が流れ、ダイオードD11及びD12と寄
生ダイオードDf1及びDf2とにより構成される全波整流
回路3を通してポンプモータ6に図8(D)に示したよ
うな電圧VL が印加されて、図8(E)に示すような負
荷電流IL が流れる。
【0068】MOSFETは双方向性を有していて、ト
リガ信号が与えられている状態では抵抗と同じように作
用し、ソースドレイン間に僅かでも電圧VSDが与えられ
るとドレイン電流ID が流れるため、発電コイルの両端
をトリガ信号が与えられている2つのMOSFET F
1 及びF2 の直列回路を通して接続した回路は、発電コ
イルの両端を抵抗を介して接続した回路と等価になり、
2つのMOSFETにトリガ信号が与えられている状態
での発電機の負荷線は図12のイのように原点を通る直
線になる。従って、MOSFETを導通させるために必
要なしきい値電圧は実質的に零になり、磁石発電機1の
発電コイルW1 に僅かでも電圧が誘起すると2つのMO
SFET F1 及びF2 を通して発電コイルW1 に短絡
電流が流れる。そのため機関をロープスタートする場合
のように、機関の始動回転数がきわめて低い場合でも、
発電コイルに僅かでも電圧が誘起すればMOSFET
F1 及びF2 を導通させて該発電コイルに短絡電流を流
すことができ、MOSFET F1 及びF2 の駆動信号
が消滅して該短絡電流が遮断されたときに発電コイルW
1 に高い電圧を誘起させることができる。
【0069】整流電源部10及び整流回路3の出力電圧
が設定値に達すると、ポンプモータ6が正常に動作し得
る状態になるため燃料ポンプからインジェクタに燃料が
供給され、電子燃料噴射装置の動作が開始されて機関が
始動する。
【0070】機関が始動し、その回転数が上昇すると、
磁石発電機1の出力電圧が設定値を超えるためリセット
回路5BのトランジスタTr1が導通してタイマICのリ
セット端子dの電位を低下させ、無安定マルチバイブレ
ータの発振を停止させる。従って整流電源部10の出力
電圧が設定値を超えると、MOSFET F1 及びF2
に駆動信号が与えられなくなり、昇圧動作は停止する。
【0071】機関の回転数が更に上昇して整流電源部1
0の出力電圧が調整値以上になると、制御回路10B1が
サイリスタTh1及びTh2にトリガ信号を与えて両サイリ
スタを導通させる。これにより、磁石発電機1の出力が
サイリスタTh1及びTh2を通して負荷接続端子から側路
されるため、整流電源部10の出力電圧が調整電圧値ま
で低下する。サイリスタTh1及びTh2は、発電コイルW
1 を流れる電流の極性が反転したときに遮断状態にな
る。
【0072】整流電源部10の出力電圧が調整値まで低
下するとサイリスタTh1及びTh2へのトリガ信号の供給
が停止させられるため、サイリスタTh1及びTh2は導通
せず、発電コイルW1 の出力電圧がそのまま整流回路1
0Aにより整流されて負荷に供給される。これらの動作
により整流電源部10の出力電圧が調整値を超えないよ
うに制御される。
【0073】次に図1の実施例において、バッテリ7が
正常で、スイッチSWを閉じた状態で機関の始動操作が
行われたとする。スイッチSWが閉じているときには、
抵抗R4 及びR5 の直列回路の両端にバッテリ7の電圧
(12[V])が印加されているため、リセット回路5
BのトランジスタTr1が導通している。このときタイマ
IC5Aを用いた無安定マルチバイブレータは発振を行
わないため、MOSFET F1 及びF2 はオンオフ動
作を行わず、昇圧動作は行われない。
【0074】機関の始動時に長時間セルモータを駆動す
るなどしてバッテリ7の両端の電圧が設定値以下になる
と、リセット回路5BのトランジスタTr1が遮断状態に
なる。これにより無安定マルチバイブレータの発振が開
始されるため、MOSFETF1 及びF2 のゲートに一
定の周波数fの駆動信号が与えられる。これによりMO
SFET F1 及びF2 がオンオフ動作を行って磁石発
電機1の出力電圧を昇圧する。
【0075】上記のように、本発明においては、整流電
源部10の出力電圧が設定値以下の場合にのみスイッチ
回路2を構成するMOSFETのオンオフ動作を行わせ
るため、FET制御回路5は一定の周波数の矩形波パル
ス(駆動信号)を発生すればよく、MOSFET F1
及びF2 に与える駆動信号のデューティサイクルを制御
することを必要としない。FETに与える駆動信号の周
波数を一定とすると、FET制御回路5の構成を簡単に
することができる。また本発明によれば、MOSFET
がオンオフ動作を行う期間を機関の始動時の短い期間に
制限することができるため、MOSFETでの発熱を抑
制することができ、MOSFETのヒートシンクを小形
にすることができる。
【0076】なお上記の実施例ではFET制御回路5が
一定の周波数の駆動信号を発生するとしたが、整流回路
3の出力電圧に応じてデューティサイクルが変化する駆
動信号を発生するようにFET制御回路を構成して、整
流回路3の出力電圧を所定の大きさ以下に制限する制御
を行わせるようにしてもよい。
【0077】図1の実施例では磁石発電機1が単相交流
出力を発生するように構成されているが、磁石発電機が
3相以上の多相交流出力を発生する場合にも本発明を適
用できる。図2は一例として、磁石発電機が3相交流出
力を発生するように構成されている場合の本発明の実施
例を示したもので、この実施例では、磁石発電機1の固
定子が3相の発電コイルW1 〜W3 を有し、これらの発
電コイルがスター結線されている。この場合も発電コイ
ルW1 ないしW3 の巻数を少なくしてそれぞれのインピ
ーダンスを十分に低くしておく。
【0078】この例では、磁石発電機1の3つの出力端
子1a〜1cにそれぞれNチャンネル形のパワーMOS
FET F1 〜F3 のドレインが接続され、これらのM
OSFETのソースは共通接続されて接地されている。
磁石発電機1の3つの出力端子1a〜1cにはまた整流
用ダイオードD11〜D13のアノードが接続され、これら
の整流用ダイオードD11〜D13のカソードは共通接続さ
れている。MOSFET F1 〜F3 によりスイッチ回
路2が構成され、MOSFET F1 〜F3 の寄生ダイ
オードDf1〜Df3と整流用ダイオードD11〜D13とによ
りダイオードブリッジ3相全波整流回路3が構成されて
いる。MOSFET F1 〜F3 のゲートソース間に
は、FET制御回路5Aから同位相の矩形波状の駆動信
号が与えられている。
【0079】整流電源部10の整流回路10Aは、磁石
発電機の出力端子1a〜1cにそれぞれアノードが接続
され、カソードが共通に接続されたダイオードD21〜D
23と、出力端子1a〜1cにそれぞれカソードが接続さ
れ、アノードが共通に接続されたダイオードD31〜D33
とを備えたダイオードブリッジ3相全波整流回路からな
っている。
【0080】整流電源部10の電圧調整器10Bは、磁
石発電機1の出力端子1a〜1cにそれぞれアノードが
接続されカソードが接地されたサイリスタTh1〜Th3
と、整流回路10Aの出力電圧が調整値を超えたときに
サイリスタTh1〜Th3のゲートにトリガ信号を与える制
御回路10B1とからなっている。またこの例では、整流
電源部10の正極性側の出力端子10aがスイッチSW
を介してダイオードD4のアノードに接続されて、整流
電源部の出力電圧がスイッチSWとダイオードD4 とを
通して負荷接続端子4a,4b間に印加されている。そ
の他の点の構成及び動作は図1の実施例と同様である。
【0081】上記の実施例では、各MOSFETとし
て、ゲートのソースに対する電位が0ボルトのときにオ
フ状態にあり、ゲート電位をソースに対して正電位にす
る駆動信号が与えられたときにオン状態になるNチャネ
ル形のものを用いたが、ゲート電位が0ボルトのときに
オン状態にあり、ゲート電位をソースに対して正電位に
する駆動信号が与えられたときにオフ状態になるPチャ
ネル形のMOSFETを用いることもできる。図3はP
チャネル形のMOSFETを用いる場合の実施例を示し
たもので、この例では、Pチャネル形の第1及び第2の
MOSFET F1 及びF2 のソースが共通接続され、
ドレインが磁石発電機の出力端子1a,1bに接続され
ている。また磁石発電機の出力端子1a,1bに第1及
び第2の整流用ダイオードD11及びD12のカソードが共
通に接続され、両ダイオードのアノードが共通に接続さ
れて接地されている。MOSFET F1 及びF2 によ
りスイッチ回路2が構成され、MOSFETの寄生ダイ
オードDf1及びDf2とダイオードD11及びD12とにより
ダイオードブリッジ単相全波整流回路3が構成されてい
る。またこの実施例でも、整流電源部10の正極性側の
出力端子がスイッチSWを通してダイオードD4 のアノ
ードに接続されている。
【0082】図3の実施例では、FET制御回路5が出
力する矩形波状の駆動信号が低レベルになっている期間
MOSFET F1 及びF2 が導通し、該駆動信号が高
レベルになっている期間MOSFET F1 及びF2 が
遮断状態になる。その他の点は図1の実施例と同様であ
る。
【0083】上記の各実施例では、昇圧回路11内に整
流回路3が構成されていて、昇圧回路11側からも負荷
接続端子4a,4bに直流電圧が供給されるようになっ
ていたが、昇圧回路11では昇圧動作のみを行わせるよ
うにしてもよい。昇圧回路11で昇圧動作のみを行わせ
るようにした実施例を図4ないし図6に示した。
【0084】図4の実施例では、磁石発電機1の出力端
子1a,1bにNチャンネル形のMOSFET F1 及
びF2 のドレインが接続され、両FETによりスイッチ
回路2が構成されている。MOSFET F1 及びF2
のソースが共通に接続されて接地され、発電機の出力端
子1aがダイオードD5 を通してタイマIC5Aの電源
端子hに接続され、磁石発電機1の半波整流出力により
タイマIC5Aに電源電圧が与えられるようになってい
る。ダイオードD5 のカソードと接地間には平滑用のコ
ンデンサC5 が接続されている。
【0085】この実施例では、整流電源部10の出力端
子が負荷接続端子4a,4bとなっていて、これらの負
荷接続端子間にポンプモータ6が接続され、負荷接続端
子4a,4b間にスイッチSWを介してバッテリ7が接
続されている。また負荷接続端子4a,4b間にリセッ
ト回路5Bの抵抗R4 及びR5 の直列回路(分圧回路)
が接続されている。その他の点は図1の実施例と同様に
構成されている。
【0086】図4の実施例では、整流電源部10の出力
電圧が設定値以下のときにタイマIC5Aを用いた無安
定マルチバイブレータが矩形波状の駆動信号をMOSF
ETF1 及びF2 に与える。これによりMOSFET
F1 及びF2 がオンオフ動作を行い、磁石発電機1の発
電コイルに流れる電流を断続させて該発電コイルに高い
電圧を誘起させる。この電圧は整流電源部10により整
流されて負荷に供給される。機関の回転数が上昇して整
流電源部10の出力電圧が設定値を超えるとリセット回
路5Bが無安定マルチバイブレータの発振を停止させる
ため、昇圧動作が停止する。
【0087】図5の実施例では、磁石発電機が3つの出
力端子1a〜1cを有して3相交流電圧を発生するよう
に構成され、これらの出力端子1a〜1cの内の2つの
出力端子1b,1cにそれぞれソースが共通接続されて
接地されたMOSFET F1 及びF2 のドレインが接
続されている。またこの例では、整流電源部10の出力
端子が負荷接続端子4a,4bとなっていて、これらの
負荷接続端子間に得られる電圧がスイッチSWを介して
ポンプモータ6に印加されている。その他の点は図2の
実施例と同様に構成されている。この実施例では、整流
電源部10の出力電圧が設定値以下のときにMOSFE
T F1 及びF2 がオンオフ動作を行って磁石発電機の
2相の出力を昇圧し、整流電源部10の出力電圧が設定
値を超えると該昇圧動作を停止する。
【0088】図6の実施例では、磁石発電機1が単相交
流電圧を出力するように構成され、その出力端子1a,
1bにそれぞれ1つのNチャンネル形のMOSFET
F1のドレイン及びソースが接続され、該FET F1
のソースは接地されている。昇圧回路11のその他の構
成は図5の実施例と同様である。
【0089】また整流電源部10は、磁石発電機1の出
力電圧をダイオードD6 により半波整流して負荷接続端
子4a,4bに与える半波整流回路10Aと、電圧調整
器10Bとにより構成され、電圧調整器10Bは、発電
機の出力端子1a,1b間に接続されたサイリスタTh
と、負荷接続端子4a,4b間の電圧が所定の調整値を
超えたときにサイリスタTh にトリガ信号を与える制御
回路10B1とからなっている。
【0090】図6の実施例では磁石発電機1の半波整流
出力が負荷接続端子4a,4bを通して負荷に供給され
る。整流電源部の出力電圧が設定値以下のときには、F
ET制御回路5からMOSFET F1 に駆動信号が与
えられるため、該MOSFETのオンオフ動作により磁
石発電機1の出力電圧が昇圧される。昇圧された電圧は
整流電源部10により半波整流されて負荷に供給され
る。
【0091】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、駆動信
号が与えられている状態で抵抗と同じように動作するM
OSFETを用いたスイッチ回路により磁石発電機の発
電コイルを流れる電流を断続させて、磁石発電機の出力
電圧を昇圧するようにしたので、磁石発電機が僅かでも
電圧を誘起すればMOSFETを通して発電コイルに電
流を流して昇圧動作を行わせることができる。従って機
関の極低速時にも負荷に比較的高い電圧を供給すること
ができ、機関の極低速時から負荷を駆動することができ
る利点がある。
【0092】また本発明によれば、整流電源部の出力電
圧が設定値以下のときにのみMOSFETのオンオフ動
作を行わせるため、MOSFETがオンオフ動作を行う
期間を機関の始動時の短い期間に制限してMOSFET
の発熱を少なくすることができる。従って、MOSFE
Tのヒートシンクを小形にすることができ、電源装置が
大形化するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示した回路図である。
【図2】本発明の他の実施例を示した回路図である。
【図3】本発明の更に他の実施例の構成を示した回路図
である。
【図4】本発明の更に他の実施例を示した回路図であ
る。
【図5】本発明の更に他の実施例を示した回路図であ
る。
【図6】本発明の更に他の実施例を示した回路図であ
る。
【図7】既提案の電源装置の構成を示した回路図であ
る。
【図8】図7の電源装置の各部の電圧または電流波形を
示した波形図である。
【図9】磁石発電機の無負荷出力電圧波形の一例を示し
た波形図である。
【図10】発電コイルを短絡するスイッチング素子とし
てFETを用いた場合とバイポーラトランジスタを用い
た場合の動作の相違を説明するための波形図である。
【図11】機関を手動スタートさせた場合のクランキン
グ回転数の変化を示した線図である。
【図12】磁石発電機の出力電圧対出力電流特性を負荷
線とともに示した線図である。
【図13】(A)は本発明の実施例における発電コイル
の短絡回路を示した回路図である。(B)は従来の電源
装置における発電コイルの短絡回路を示した回路図であ
る。
【図14】バッテリが搭載されている内燃機関に取り付
ける磁石発電機に要求される特性を示した出力電圧対出
力電流特性を示した線図である。
【図15】バッテリの充電電流と機関の回転数との望ま
しい関係を示した線図である。
【図16】ダイオードの順方向電流対順方向電圧特性の
例を示した線図である。
【図17】或トランジスタのコレクタエミッタ間飽和電
圧対コレクタ電流特性を示した線図である。
【図18】他のトランジスタのコレクタエミッタ間飽和
電圧対するコレクタ電流特性を示した線図である。
【図19】MOSFETの導通時のドレインソース間抵
抗対ドレイン電流特性の例を示した線図である。
【図20】図19と同じMOSFETの逆ドレイン電流
対ソースドレイン間電圧特性を示した線図である。
【符号の説明】
1 磁石発電機 W1 〜W3 発電コイル 2 スイッチ回路 3 整流回路 4a,4b 負荷接続端子 5 FET制御回路 5A タイマIC 10 整流電源部 11 昇圧回路 D11〜D13,D21〜D23,D31〜D33 ダイオード F1 〜F3 MOSFET Df1〜Df3 寄生ダイオード

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関により駆動される磁石発電機
    と、 前記磁石発電機を電源として所定の調整値以下に調整さ
    れた直流電圧を出力する電圧調整器付きの整流電源部と
    を備えた内燃機関用電源装置において、 MOSFETをスイッチング素子として前記磁石発電機
    の出力端子間を短絡するように設けられたスイッチ回路
    と、 前記整流電源部の出力電圧が設定値以下のときに前記ス
    イッチ回路のMOSFETに矩形波状の駆動信号を与え
    て該MOSFETをオンオフさせ、前記整流電源部の出
    力電圧が設定値よりも高いときには前記MOSFETを
    オフ状態に保つように前記整流電源部の出力電圧に応じ
    てMOSFETを制御するFET制御回路とを具備した
    ことを特徴とする内燃機関用電源装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関により駆動されてn個(nは2
    以上の整数)の出力端子間に単相または多相の交流電圧
    を発生する磁石発電機と、 前記磁石発電機のn個の出力端子間に得られる交流電圧
    を全波整流する整流回路と該整流回路の出力を所定の調
    整値以下に保つように制御する電圧調整器とからなる整
    流電源部とを備えた内燃機関用電源装置において、 前記磁石発電機の複数の出力端子にそれぞれドレインが
    接続されソースが共通に接続された複数のMOSFET
    を備えたスイッチ回路と、 前記整流電源部の出力電圧が設定値以下のときに前記ス
    イッチ回路の複数のMOSFETに繰り返し発生する同
    位相の矩形波状の駆動信号を与えて該複数のMOSFE
    Tを同時にオンオフさせ、前記整流電源部の出力電圧が
    設定値よりも高いときには前記複数のMOSFETをオ
    フ状態に保つように前記整流電源部の出力電圧に応じて
    前記スイッチ回路の複数のMOSFETを制御するFE
    T制御回路とを具備したことを特徴とする内燃機関用電
    源装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関により駆動されてn個(nは2
    以上の整数)の出力端子間に単相または多相の交流電圧
    を発生する磁石発電機と、 前記磁石発電機のn個の出力端子間に得られる交流電圧
    を全波整流する整流回路と該整流回路の出力電圧を所定
    の調整値以下に保つように制御する電圧調整器とからな
    る整流電源部とを備えた内燃機関用電源装置において、 前記磁石発電機のn個の出力端子にそれぞれドレインが
    接続されソースが共通に接続されたn個のNチャンネル
    形のMOSFETからなるスイッチ回路と、 前記磁石発電機のn個の出力端子にそれぞれアノードが
    接続されカソードが共通に接続されたn個の整流用ダイ
    オードと、 前記整流電源部の出力電圧が設定値以下のときに前記ス
    イッチ回路のn個のMOSFETに繰り返し発生する同
    位相の矩形波状の駆動信号を与えて該n個のMOSFE
    Tを同時にオンオフさせ、前記整流電源部の出力電圧が
    設定値よりも高いときには前記n個のMOSFETをオ
    フ状態に保つように前記整流電源部の出力電圧に応じて
    前記スイッチ回路のn個のMOSFETを制御するFE
    T制御回路とを具備し、 前記n個のMOSFETのドレインソース間に存在する
    寄生ダイオードと前記n個の整流用ダイオードとにより
    ダイオードブリッジ全波整流回路が構成されて、該ダイ
    オードブリッジ全波整流回路の出力及び前記整流電源部
    の出力が負荷接続用の端子に印加されていることを特徴
    とする内燃機関用電源装置。
  4. 【請求項4】 内燃機関により駆動されてn個(nは2
    以上の整数)の出力端子間に単相または多相の交流電圧
    を発生する磁石発電機と、 前記磁石発電機のn個の出力端子間に得られる交流電圧
    を全波整流する整流回路と該整流回路の出力電圧を所定
    の調整値以下に保つように制御する電圧調整器とからな
    る整流電源部とを備えた内燃機関用電源装置において、 前記磁石発電機のn個の出力端子にそれぞれドレインが
    接続されソースが共通に接続されたn個のPチャンネル
    形のMOSFETと、 前記磁石発電機のn個の出力端子にそれぞれカソードが
    接続されアノードが共通に接続されたn個の整流用ダイ
    オードと、 前記整流電源部の出力電圧が設定値以下のときに前記n
    個のMOSFETに繰り返し発生する同位相の矩形波状
    の駆動信号を与えて該n個のMOSFETを同時にオン
    オフさせ、前記直流電源回路の出力電圧が設定値よりも
    高いときには前記n個のMOSFETをオフ状態に保つ
    ように前記整流電源部の出力電圧に応じて前記スイッチ
    回路のn個のMOSFETを制御するFET制御回路と
    を具備し、 前記n個のMOSFETのドレインソース間の寄生ダイ
    オードと前記n個の整流用ダイオードとによりダイオー
    ドブリッジ全波整流回路が構成されて、該ダイオードブ
    リッジ全波整流回路及び前記整流電源部の出力が負荷接
    続用の端子に印加されていることを特徴とする内燃機関
    用電源装置。
  5. 【請求項5】 前記FET制御回路は、前記磁石発電機
    を電源として動作するように設けられている請求項1,
    2,3または4のいずれかに記載の内燃機関用電源装
    置。
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