JP3161209B2 - 耐銹性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板とその製造方法 - Google Patents

耐銹性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板とその製造方法

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JP3161209B2
JP3161209B2 JP04107294A JP4107294A JP3161209B2 JP 3161209 B2 JP3161209 B2 JP 3161209B2 JP 04107294 A JP04107294 A JP 04107294A JP 4107294 A JP4107294 A JP 4107294A JP 3161209 B2 JP3161209 B2 JP 3161209B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー受像管用シャド
ウマスク、ICリードフレーム等の各種機能材料として
用いられるFe-Ni-Co系合金薄板とその製造法に関
するものである。
【0002】Niを26〜38%含むFe-Ni-Co系
合金は室温から300℃にわたる温度域で低い熱膨張係
数を示し、カラー受像管用シャドウマスク、ICリード
フレーム等の各種の機能材料として広く用いられてい
る。
【0003】しかしながらこれらの材料は極めて錆を発
生し易く、例えば、合金鋼帯の製造工程中や上記した各
種の機器の制作中に、鋼帯および鋼板の一部が発銹する
ことが多々あり、耐銹性の向上が強く望まれている。こ
の問題を解決するため、特開昭60-21331号公報
では、Fe-Ni系インバー合金の耐銹性の向上を、C
rおよびCoの添加により達成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の先行技術では耐銹性を向上させているが、この
技術で特徴とするCrの添加により、シャドウマスク用
合金においては、黒化処理性の劣化、また、ICリード
フレーム用合金においては、メッキ性の劣化がそれぞれ
ひき起こされるという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したよう
な実情に鑑み、検討を重ねて創案されたものであって、
耐銹性に優れ、かつ、所要の表面処理性を有するカラー
受像管用シャドウマスク、ICリードフレーム等の各種
の機能材料として用いられるFe-Ni-Co系合金薄板
とその製造方法を提供することを目的としている。
【0006】その要旨とするところは以下の如くであ
【0007】(1)重量%で、Ni:26〜38%、C
o:1〜20%、Sn:0.001〜0.1%を含有す
電子部品用Fe−Ni−Co系合金薄板であって、不
純物元素としてのCrを0.1%以下とし、かつ合金薄
表面に厚さ10〜200オングストロームの酸化膜を
形成させたことを特徴とする表面処理性と耐銹性に優れ
た電子部品用Fe-Ni-Co系合金薄板。
【0008】()Sbを0.001〜0.1%付加的
に含有する上記(1)に記載の表面処理性と耐銹性に優
れた電子部品用Fe-Ni-Co系合金薄板。
【0009】(3)上記(1)または(2)に記載の化
学成分を有するFe-Ni-Co系合金帯を冷延、焼鈍を
1回ないし2回以上繰返したのち、仕上げ冷延、応力除
去焼鈍してFe−Ni−Co系合金薄板のコイルまたは
フープを製造するに当り、前記仕上げ冷延率(CR%)
を15〜80%、前記応力除去焼鈍温度(T℃)を45
0〜680℃、保持時間(t,sec)を0.5〜30
0sec、雰囲気の露点(D.P.℃)を-10〜-60
℃、雰囲気をH2 :1〜60vol%、O2 :0.02
vol%以下で残部を実質的に不活性ガスとして上記
(1)または(2)に記載の酸化膜厚さを得ることを特
徴とする表面処理性と耐銹性に優れた電子用Fe-Ni-
Co系合金薄板の製造方法。
【0010】なお斯かる本発明において所要の表面処理
性とは、カラー受像管用シャドウマスク用合金では、黒
化処理性、ICリードフレーム用合金では、メッキ性の
ことを意味する。
【0011】
【作用】上記したような本発明について更に説明する
と、本発明者等は、上述した観点から、耐銹性に優れ、
かつ、所要の表面処理性を有するカラー受像管用シャド
ウマスク、ICリードフレーム等の各種の機能材料とし
て用いられるFe-Ni-Co系合金薄板を開発すべく、
鋭意研究を重ねた結果、次の知見を得た。即ち、本合金
帯の化学成分、およびFe-richな酸化膜からなる
酸化膜の厚さを適正に制御することおよび冷延、焼鈍を
1回ないし2回以上繰返したのち、仕上げ冷延、応力除
去焼鈍してFe−Ni−Co系合金薄板のコイルまたは
フープを製造するに当り、仕上げ冷延率、応力除去焼鈍
時の温度、時間、雰囲気、露点を所定の範囲内に調整す
ることにより、耐銹性が優れ、所要の表面処理性を有す
る前記Fe-Ni-Co系合金薄板を得ることができる。
【0012】斯かる発明について、先ずその化学成分範
囲の限定理由の細を述べると、以下の如くである。
【0013】Niは、本合金の基本成分であり、熱膨張
係数を変化させる元素であって、カラー受像管シャドウ
マスク用(以下単にシャドウマスク用という)として
は、色ずれの発生を防止するために要求される30〜1
00℃の温度域における平均熱膨張係数の上限は3.0
×10-6/℃であ
【0014】〜8%のCoを含有するFe-Ni-Co
系合金の場合、上述した平均熱膨張係数の条件を満たす
Ni量範囲は26〜38%であり、またNi量を30〜
33%、Co量は3〜8%にすることにより、平均熱膨
張係数は更に低く優れたものとなる。
【0015】また、ICリードフレーム用としては、半
導体素子、ガラスおよびセラミックス等との熱膨張の整
合性を保つためには、Fe-Ni-Co系合金の場合、C
o:1〜20%、Ni:26〜38%の範囲内であれ
ば、ICリードフレーム用としての熱膨張の整合性を保
つことが可能である。さて、上記したFe-Ni-Co系
合金においては、耐銹性と表面処理性をともに優れたも
のとするためには、Fe-richな酸化膜の形成およ
びSnの微量添加、更に好ましくは、SnとSbとの複
合添加が必須となる。すなわち、このような酸化膜が1
0オングストローム以上では、後述するSn更にはSb
の添加のもとで本発明で意図する耐銹性が得られるが、
200オングストローム超となると、本発明で意図する
表面処理性が得られない。以上より、上記した酸化膜厚
さは10〜200オングストロームと定めた。
【0016】上記したFe-richな酸化膜厚さの適
正化に加え、本合金の表面処理性を確保しつつ、耐食性
の向上のためSnの適量添加が有効である。すなわちS
nは本合金中にあっては、合金薄板の製造工程中では、
酸化物を生成しないため、後述するようなFe-ric
hの酸化膜と合金下地の界面に濃縮し、上記した酸化膜
の密着性を高めることを通じて、耐銹性を高める元素で
ある。
【0017】Snが0.001%以上で、上記した効果
が得られるため、下限は0.001%と定めた。一方、
Sn量が0.1%を越えると、本合金で要求される表面
処理性、すなわちICリードフレーム用材料におけるメ
ッキ性、カラー受像管用材料における黒化処理性が劣化
するため、上限を0.1%とする。
【0018】本合金においては、上記したSnの添加に
加え、Sbを複合添加することにより耐銹性をより高め
うる。Sbが0.001%以上で、上記したSnの濃化
層にSbも含まれるようになり、このSbの濃化層によ
り耐銹性が更に優れたものになる。一方、Sbが0.1
%を超えると、上記したような本合金で要求される表面
処理性が逆に損なわれる。以上より、付加的に添加され
うるSb量は0.001〜0.1%と定めた。
【0019】さて、本合金において不純物元素として存
在するCrは、本合金に形成される酸化膜の密着性を低
下させることにより、耐銹性および表面処理性を劣化さ
せる有害な元素である。Cr量が0.1%を超えると、
本発明で意図する耐銹性が得られなくなるため、0.1
%を上限とした。耐銹性劣化の機構は、必ずしも明らか
ではないが、本合金で形成されるFe-richな酸化
膜の密着性の劣化により耐銹性を付与する酸化膜の欠落
部分が多くなり、この部位を起点とし、錆が発生するも
のと推定される。
【0020】なお、本合金において、前記した、Ni、
Sn、Sb、Crの他は、優れた加工性を確保するため
C:0.06%以下、O:0.005%以下、S:0.
003%以下、P:0.01%以下、N:0.003%
以下、H:3.0ppm以下の範囲内であることが好ま
しい。
【0021】さて、本発明における耐銹性向上、表面処
理性の確保を達成する上記した合金薄板を得る方法の1
つとしては、本合金を1回ないし2回以上冷延・焼鈍
し、調質圧延、応力除去焼鈍して製造するに際して、前
記調質圧延率、応力除去焼鈍条件の適正化が必須であ
る。
【0022】仕上げ冷延率(CR%)が15%未満で
は、後述する最適な応力除去焼鈍下でも、耐銹性を向上
させうる厚さのFe-richな酸化膜が10オングス
トローム未満しか形成されず、優れた耐銹性が得られな
い。一方このCRが80%を越えると、最適な応力除去
焼鈍下で、上記した酸化膜が200オングストローム超
で形成され、本合金の表面処理性が確保できない。よっ
て、仕上げ冷延率は15〜80%と定めた。
【0023】応力除去焼鈍の条件としては、温度(T
℃)450〜680℃、保持時間(t.sec)0.5
〜300sec、雰囲気中の露点(D.P.℃)-10
〜-60℃、雰囲気ガス組成H2 :1〜60vol%、
O2 :0.02vol%以下、残部実質的に不活性ガス
とすることにより、本発明で意図する優れた耐銹性の向
上、および表面処理性の確保を達成することができる。
【0024】すなわち、Tが450℃未満、または、t
が0.5sec未満またはD.P.が-60℃未満、ま
たはH2 が60vol%超では、本合金を最適条件下で
応力除去焼鈍する際に表面処理性を確保しつつ、耐銹性
を向上させうるFe-richな酸化膜が10オングス
トローム未満しか形成されず、優れた耐銹性が得られな
い。
【0025】また、Tが680℃超、またはtが300
sec超、またはD.Pが-10℃超またはH2 が1v
ol%未満、または、O2 が0.02vol%超では、
本合金を最適条件下で応力除去焼鈍する場合でも、上記
した酸化膜が200オングストローム超と厚くなりず
ぎ、本合金の表面処理性が確保できない。
【0026】以上より、応力除去焼鈍条件として、T:
450〜680℃、t:0.5〜300sec、D.
P.:-10〜-60℃、ガス組成:H2 ;1〜60vo
l%、O2 ;0.02vol%以下、残部:実質的に不
活性ガスをそれぞれ定めた。
【0027】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例について
更に説明すると以下の如くである。 (実施例1)本発明者らは取鍋精錬によって、次の表1
に示すような、化学成分を有する合金A、C、J〜Mの
鋼塊を造塊法で、また合金B、DのCCスラブを連続鋳
造法でそれぞれ調整した。これらの合金A、C、J〜M
の鋼塊を手入れ後、分塊圧延して得られたスラブ、およ
び合金B、DのCCスラブを合わせて、表面疵取り、熱
間圧延、疵取りして得られた熱延コイルを用いて、以
降、冷間圧延-焼鈍-仕上げ冷延(圧下率30%)-歪取
り焼鈍(H2 :50vol%、D.P.-50℃、O2
:0.005vol%、残:N2 、540℃×300
sec)を行ない、板厚0.15mmの合金薄板である
材料No. 45〜No. 49を得た。また、材料No. 50と
No. 51は合金Aを用い、上記した材料No. 45〜49
と仕上げ冷延までは同じ製造方法にて材料を作製し、そ
の後の歪取り焼鈍を、おのおの540℃×0.2sec
と540℃×400sec(No. 50、No. 51とも他
の歪取り焼鈍条件は、H2 :60vol%、D.P.-
50℃、O2 :0.005vol%、残:N2 )で行な
った板厚0.15mmの合金薄板である。これらの材料
を用いて、耐銹性および黒化処理性を調べた。それらの
結果を表2に示した。
【0028】耐銹性の評価はJISZ2371による塩
水噴霧試験を20時間行い、点錆発生頻度を調べること
により行い、更に黒化処理性は歪取り焼鈍後の合金板を
エッチングによりフラットマスクにした後、マスクを7
50℃でアニールし、プレス成形の後560℃×8mi
nの条件にて黒化膜の黒色度を調査した。なお、材料表
面の酸化膜の厚さはオージェ分光分析法により求めた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】この結果より、材料No.45は、本発明規
定内の化学成分および酸化膜厚さを有しており、点錆発
生頻度は低く、耐銹性に優れており、かつ黒化膜の黒色
度も本発明で意図する優れたレベルを示している。この
材料の熱幅射率は黒体を1.0とした時の値で、0.6
4の値を示し、後述する比較例に比べて高い値を示して
る。これに対して、材料No. 46、No. 48はそれぞ
れ、Sn量が本発明規定上限を超えるもの、Sbが本発
明規定上限を超えるものであり、本発明例に比べて、特
に、黒化膜の黒色度が劣り、熱幅射率も低い。また、材
料No. 47はSn量が本発明規定未満のものであり点錆
発生頻度は、本発明例に比べて高く、耐銹性が劣ってい
る。材料No. 49はCr量が本発明規定の上限を超えて
おり、点錆発生頻度は本発明例に比べて高く、耐銹性に
劣り、更には、黒化膜の黒色度も劣り、熱幅射率も低
く、黒化処理性が劣っている。また、材料No. 50、N
o. 51はそれぞれ酸化膜厚さが、本発明規定の下限未
満のもの、本発明規定の上限を超えるものであり、それ
ぞれ本発明例に比べて耐銹性、黒化処理性が劣ってい
る。以上のように、本発明で意図する耐銹性、カラー受
像管用材料としての黒化処理性を得るためには、本合金
のCr、Sn、Sb量、加えてFe-richな酸化膜
厚さの制御が重要であることが理解される。
【0032】(実施例2)本発明者らは取鍋精錬によっ
て、表3に示すような、化学成分を有する合金E、G、
N〜Qの鋼塊を造塊法で、また合金F、H、IのCCス
ラブを連続鋳造法でそれぞれ調整した。これらの合金
E、G、N〜Qの鋼塊を手入れ後、分塊圧延して得られ
たスラブ、および合金F、H、IのCCスラブを合わせ
て、表面疵取り、熱間圧延、疵取りして得られた熱延コ
イルを用いて、以降、冷間圧延-焼鈍-仕上げ冷延(圧下
率75%)-歪取り焼鈍(H2 :60vol%、D.
P.-50℃、O2 :0.005vol%、残:N2 、
540℃×300sec)を行ない、板厚0.15mm
の合金薄板である材料No. 55〜No. 60を得た。ま
た、材料No. 61とNo. 62は合金Eを用い、上記した
材料No. 55〜60と仕上げ冷延までは同じ製造方法に
て材料を作製し、その後の歪取り焼鈍を、おのおの54
0℃×0.1secと540℃×450sec(No. 6
1、No. 62とも他の歪取り焼鈍条件は、H2 :60v
ol%、D.P.-40℃、O2:0.006vol%、
残:N2 )で行なった板厚0.15mmの合金薄板であ
る。これらの材料を用いて、耐銹性およびメッキ性を調
べた。それらの結果を表4に示した。耐銹性は実施例1
と同様の方法で評価し、メッキ性は脱脂→酸洗の前処理
後、厚さ1μmのAgメッキを施した後、450℃×5
min大気中で加熱し、メッキフクレの発生の有無を5
0倍に拡大して観察することにより調べた。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】この結果より、材料No. 55、56の各材
は、本発明規定内の化学成分および酸化膜厚さを有して
おり、点錆発生頻度は低く、耐銹性に優れており、かつ
Agメッキ性も本発明で意図する優れたレベルを示して
いる。特に、Sbが複合添加された材料No. 55は、N
o. 56に比べて、耐銹性が更に優れたレベルとなって
いる。これに対して、材料No. 57、No. 59はそれぞ
れSn量が本発明規定上限を超えるもの、Sb量が本発
明規定上限を超えるものであり、本発明例に比べて、特
にAgメッキ性が劣っている。また、材料No. 58は、
Sn量が本発明規定未満のものであり、点錆発生頻度
は、本発明例に比べて高く、耐銹性が劣っている。材料
No. 60はCr量が本発明規定の上限を超えており、点
錆発生頻度は本発明例に比べて高く、耐銹性に劣り、更
にはAgメッキ性が本発明例に比べて劣っている。ま
た、材料No. 61、No. 62はそれぞれ酸化膜厚さが、
本発明規定の下限未満のもの、本発明規定の上限を超え
るものであり、それぞれ本発明例に比べて耐銹性、Ag
メッキ性が劣っている。以上のように、本発明で意図す
る耐銹性、ICリードフレーム材料としてのメッキ性を
得るためには、本合金のCr、Sn、Sb量、加えてF
e-richな酸化膜厚さの制御が重要であることが理
解される。
【0036】(実施例3)実施例1で用いたものと同様
の合金No. A〜No. Dに対応した熱延コイルを用いて、
以降、冷間圧延-焼鈍-仕上げ冷延(CR%)-歪取り焼
鈍を行ない、板厚0.15mmの合金薄板No. 1〜No.
20を得た。仕上げ冷延、歪取り焼鈍は次の表5に示す
条件によって行った。又耐銹性の評価はこれらの供試材
についてJISZ2371による塩水噴霧試験を20時
間行い、点錆発生頻度を調べることにより行い、更にこ
れらの合金板をエッチングによりフラットマスクにした
後、マスクを810℃でアニールし、プレス成形の後5
50℃×8minの条件にて黒化膜の黒色度を調査し、
それらの結果を表6に示した。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】上記表5、6に示した結果から明らかなよ
うに、本発明範囲内の仕上げ冷延率、応力除去焼鈍条件
による材料No. 20は、本発明規定範囲内の酸化膜厚さ
を有し点錆発生頻度は低く、耐銹性に優れており、かつ
黒化膜の黒色度も本発明で意図する優れたレベルを示し
ている。この材料の熱幅射率は黒体を1.0とした時の
値で、0.62の値を示し、後述する比較例に比べて高
い値を示してい
【0040】これに対して、材料No. 1、No. 3、No.
5、No.7、No. 10、No. 11は、それぞれ、仕上げ
冷延率が本発明規定上限を超えるもの、Tが本発明規定
上限を超えるもの、tが本発明規定上限を超えるもの、
D.Pが本発明規定上限を超えるもの、H2 (vol
%)が本発明規定下限未満のもの、O2 (vol%)が
本発明規定上限超のものであり、酸化膜厚さは200オ
ングストロームを超え点錆発生頻度は5個/100cm
2 以下であるが黒化膜の黒色度は発明例に比べて、劣っ
ており、熱幅射率も本発明に比べて劣っている。
【0041】一方、材料No. 2、No. 4、No. 6、No.
8、No. 9はそれぞれ、仕上げ冷延率が本発明規定下限
未満のもの、Tが本発明規定下限未満のものtが本発明
規定下限未満のもの、D.Pが本発明規定下限未満のも
の、H2 (vol%)が本発明規定上限を超えるもので
あり、酸化膜厚さは10オングストローム未満であり黒
化膜の黒色度、熱幅射率は前記した比較例に比べると優
れているが、錆発生頻度は、5個/100cm2 を超え
ており、耐銹性が劣っている。
【0042】以上のようにカラー受像管用Fe-Ni-C
o系合金において仕上げ冷延率、応力除去焼鈍でのT、
t、D.P、H2 (vol%)、O2 (vol%)を本
発明規定値内とすることにより、本発明で意図する優れ
た、耐銹性、黒化処理性が得られることが明らかであ
る。
【0043】(実施例4)実施例2で用いたものと同様
の合金No. E〜No. Iに対応した熱延コイルを用いて、
以降、冷延圧延-焼鈍-仕上げ冷延(CR%)-歪取り焼
鈍を行ない、板厚0.15mmの合金薄板No. 21〜N
o. 41を得、仕上げ冷延、歪取り焼鈍は、次の表7に
示す条件にて行なった。耐銹性の評価は、これらの供試
材について、JISZ2371による塩水噴霧試験を2
0時間行ない点錆発生頻度を調べることにより行ない、
また、これらの合金板のメッキ性は脱脂→酸洗の前処理
後、厚さ1μmのAgメッキを施した後、450℃×5
min大気中で加熱し、メッキフクレの発生の有無を5
0倍に拡大して観察することにより調べたもので、これ
らの結果は表8において示す如くである。
【0044】
【表7】
【0045】
【表8】
【0046】上記表7、表8に示した結果から明らかな
ように、本発明範囲内の仕上げ冷延率、応力除去焼鈍条
件による材料No. 40〜No. 41の各材は、本発明規定
範囲内の酸化膜厚さを有し点錆発生頻度が低く、耐銹性
に優れており、かつAgメッキ性も本発明で意図する優
れたレベルを示してい
【0047】これに対して、材料No. 21、No. 23、
No. 25、No. 27、No. 30、No. 31はそれぞれ、
仕上げ冷延率が本発明規定上限を超えるもの、Tが本発
明規定上限を超えるもの、tが本発明規定上限を超える
もの、D.Pが本発明規定上限を超えるもの、H2 (v
ol%)が本発明規定下限未満のもの、O2 (vol
%)が本発明規定上限を超えるものであり、酸化膜厚さ
は200オングストロームを超え点錆発生頻度は5個/
100cm2 以下であるがAgメッキ性は発明例に比べ
て劣っている。
【0048】一方、材料材料No. 22、No. 24、No.
26、No. 28、No. 29はそれぞれ、仕上げ冷延率が
本発明規定下限未満のもの、Tが本発明規定下限未満の
もの、tが本発明規定下限未満のもの、D.Pが本発明
規定下限未満のもの、H2 (vol%)が本発明規定上
限を超えるものであり、酸化膜厚さは10オングストロ
ーム未満でありAgメッキ性は前記した比較例に比べる
と優れているが、錆発生頻度は、5個/100cm2 を
超えており、耐銹性が劣っている。
【0049】以上説明したようにICリードフレーム
Fe-Ni-Co系合金において仕上げ冷延率、応力除去
焼鈍でのT、t、D.P、H2 (vol%)、O2 (v
ol%)を本発明規定値内とすることにより、本発明の
目的とする優れた、耐銹性、メッキ性が得られることが
明らかである。
【0050】
【発明の効果】以上詳細したような、本発明によれば、
耐銹性が優れ、かつ優れた表面処理性、すなわち、カラ
ー受像管用Fe-Ni-Co系合金では優れた黒化処理
性、ICリードフレーム用Fe-Ni-Co系合金では優
れたメッキ性を有し、これらの性能を必要とする各種の
機能材料に用いられるFe-Ni-Co系合金薄板を適切
に提供することができるものであるから、工業的に有利
な効果がもたらされ、その結果の大きい発明である。
フロントページの続き (72)発明者 若狭 浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−251249(JP,A) 特開 昭60−111448(JP,A) 特開 昭62−139850(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 302 C21D 8/02 C22C 38/40 C22C 38/52

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Ni:26〜38%、Co:
    1〜20%、Sn:0.001〜0.1%を含有する
    子部品用Fe−Ni−Co系合金薄板であって、不純物
    元素としてのCrを0.1%以下とし、かつ合金薄板
    面に厚さ10〜200オングストロームの酸化膜を形成
    させたことを特徴とする表面処理性と耐銹性に優れた電
    子部品用Fe-Ni-Co系合金薄板。
  2. 【請求項2】 Sbを0.001〜0.1%付加的に含
    有する請求項1に記載の表面処理性と耐銹性に優れた電
    子部品用Fe-Ni-Co系合金薄板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の化学成分を有
    するFe-Ni-Co系合金帯を1回ないし2回以上の冷
    延、焼鈍を繰返したのち、仕上げ冷延、応力除去焼鈍し
    てFe−Ni−Co系合金薄板のコイルまたはフ−プを
    製造するに当り、前記仕上げ冷延率(CR%)を15〜
    80%、前記応力除去焼鈍温度(T℃)を450〜68
    0℃、保持時間(t,sec)を0.5〜300se
    c、雰囲気の露点(D.P.℃)を-10〜-60℃、雰
    囲気をH2 :1〜60vol%、O2:0.02vol
    %以下で残部を実質的に不活性ガスとして請求項1また
    は2に記載の酸化膜厚さを得ることを特徴とする表面処
    理性と耐銹性に優れた電子部品用Fe-Ni-Co系合金
    薄板の製造方法。
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