しかし、図11及び図12に示す従来の裏板9では、雌ねじ部4のねじ山数を多くするにも、或る一定の限界があり、それ以上にねじ山の数を増やすことができない。つまり、ドア11等が大型化してきており、例えば防火扉等の重量の大きいものを支持する場合に使用するときは、蝶番やドアクローザ等の被取付物1を固定枠2に更に強固に取り付けることが要望されている。
なお、図11及び図12に示す各凹部に形成されている雌ねじ部4のねじ山数を多くするために、この雌ねじ部4が形成される凹部10の内空間の深さH0を大きくすることが考えられるが、各凹部10は、深絞り加工で形成されているので、凹部10の内空間の深さH0を大きくすると、凹部10の周壁の厚み(肉厚)が小さくなって雌ねじ部4の強度が小さくなる。その結果、蝶番等の被取付物1を固定枠2に強固に取り付けることができないので、大重量のドア等を固定枠2に強固に取り付けることができない。
そして、雌ねじ部4の強度を大きくするために、プレス加工しようとする金属性の板状本体の厚みを大きくすると、金型及びプレス装置を大型化する必要があり、この裏板9の製造コストが増大するという問題が生じる。
また、図11及び図12に示す従来の裏板9では、雌ねじ部4にボルト5を締め付けていくと、このボルト5の締め付け力によって、雌ねじ部4の開口部12が固定枠2の内表面に押し付けられた状態となる。この状態では、ボルト5の頭部と雌ねじ部4の開口部(雌ねじ部4の有効径と略等しい直径の環状部分)12との間に被取付物1及び固定枠2を挟み込んで、この比較的狭い範囲の環状部分で大重量のドア11等を支持することになる。従って、図11及び図12に示す従来の裏板9では、大重量のドア11等を強固に支持することができない。
本考案は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、例えばドアクローザが備える取付部材等の被取付物を、建物の固定枠等の取付部に強固に固定して取り付けることができると共に、製造が簡単であり安価な取付け用裏板を提供することを目的としている。
本考案に係る取付け用裏板は、板状本体を備え、この板状本体と被取付物との間に建物の取付部を挟み込んで前記被取付物を前記取付部に取り付けるための取付け用裏板において、前記板状本体に形成され底部を有する1又は2以上の凹部と、前記凹部の内周面に形成され、前記被取付物及び前記取付部に挿通されるボルトが螺合される雌ねじ部と、前記板状本体における前記凹部の開口部が形成されている側の表面であって、前記開口部が内側に配置され、前記開口部よりも大きい所定の範囲に形成された拡大凹部とを備えることを特徴とするものである。
本考案に係る取付け用裏板を使用して、例えばドアクローザが備える取付部材等の被取付物を、建物の固定枠等の取付部に固定して取り付けるときは、まず、この裏板と、ドアクローザが備える取付部材等の被取付物との間に建物の固定枠等の取付部を挟み込んだ状態にする。次に、ボルトを被取付物及び取付部に形成されているそれぞれの挿通孔に挿通して、そのボルトの先端部を凹部の内周面に形成された雌ねじ部に螺合させて締め付ける。これによって、この取付け用裏板を使用して、被取付物を取付部に取り付けることができる。
そして、この裏板を使用して被取付物を取付部に取り付けた状態では、板状本体における凹部の開口部が形成されている側の表面に、この開口部よりも大きい所定の範囲に拡大凹部を形成してあるので、ボルトを締め付けた際に、この拡大凹部の周縁部が広い範囲に亘って建物の取付部に押し付けられた状態となり、ボルトの頭部とこの拡大凹部の周縁部との間に被取付物及び取付部を挟み込んで、この被取付物を強固に建物の取付部に取り付けることができる。
また、雌ねじ部が形成されている凹部は、底部を有しているので、この凹部の外面側から雌ねじ部に異物が進入することを防止でき、ボルトを異物に邪魔されずに雌ねじ部に螺合させることができる。
この考案に係る取付け用裏板において、前記凹部が深絞り加工によって形成され、前記雌ねじ部が転造加工で形成され、前記拡大凹部がプレス加工で形成されているものとすることができる。
このように、板状本体に対して凹部を深絞り加工によって形成すると、厚みの薄い板状本体を使用して、凹部の内周面に有効長さの大きい雌ねじ部を形成することができる。これによって、被取付物を強固に建物の取付部に固定して取り付けることができる。
そして、雌ねじ部を転造加工で形成することによって、切粉を生じさせること無く雌ねじ部を形成することができる。これよって、ボルトを切粉に邪魔されずに雌ねじ部に螺合させることができる。
また、拡大凹部をプレス加工で形成することによって、板状本体に形成されている凹部の開口部及びその近傍の肉部が、この開口部の内周部を形成する外角部側に移動して、この外角部の丸味を小さくすることができる。これによって、凹部の内周面に形成される雌ねじ部の有効長さを、その外角部の丸味が小さくなった分だけ大きくすることができ、雌ねじ部の強度を大きくすることができる。
この考案に係る取付け用裏板において、前記拡大凹部は、略円形、略楕円形、略多角形、又はこれらのうちのいずれかの形状であってその一部が切欠かれている形状であるものとすることができる。
このように、拡大凹部の形状を、略円形、略楕円形、略多角形、又はこれらのうちのいずれかの形状であってその一部が切欠かれている形状としても、拡大凹部をプレス加工によって形成する際に、凹部の周壁の全周に亘って肉部を略均一に向かわせることができるので、凹部の周壁を全周に亘って略一定の肉厚とすることができると共に、凹部の内周面に形成される雌ねじ部の有効長さを大きくすることができる。これによっても、被取付物を強固に建物の取付部に固定して取り付けることができる。
この考案に係る取付け用裏板において、前記拡大凹部は、前記開口部を含む範囲に形成されているものとすることができる。
このようにすると、板状本体に形成されている凹部の開口部及びその近傍の肉部を、この開口部の内周部を形成する外角部側に効果的に移動させて、この外角部の丸味を小さくすることができる。これによって、その外角部の丸味を効果的に小さくすることができ、凹部の内周面に形成される雌ねじ部の有効長さを大きくすることができる。
この考案に係る取付け用裏板において、前記拡大凹部は、前記開口部を外側から囲むように環状に形成されているものとすることができる。
このようにすると、開口部に拡大凹部が形成されないので、拡大凹部の深さ分だけ雌ねじ部の有効長さが短くなることを防止でき、結果として、雌ねじ部の有効長さを大きくすることができる。
ただし、拡大凹部は、開口部を外側から囲むように環状に形成されているので、開口部の内周部を形成する外角部の丸味を小さくすることができ、凹部の内周面に形成される雌ねじ部の有効長さを大きくすることができる。
この考案に係る取付け用裏板において、前記板状本体が金属製であり、前記雌ねじ部の呼びがM4〜M6であって、前記拡大凹部は、直径が8〜15mmの略円形、又は当該直径の略円形の一部が切欠かれている形状であり、更に、前記拡大凹部の深さが0.5〜2mmであるものとすることができる。
このように、金属製の板状体を使用して、雌ねじ部の呼びがM4〜M6であるとすると、拡大凹部は、直径が8〜15mmの略円形、又は当該直径の略円形の一部が切欠かれている形状とすることによって、拡大凹部をプレス加工で形成した際に、板状本体に形成されている凹部の開口部及びその近傍の肉部が、この開口部の内周部を形成する外角部側に効果的に移動して、この外角部の丸味を小さくすることができ、凹部の内周面に形成される雌ねじ部の有効長さを大きくすることができる。ただし、拡大凹部の直径を8mm未満とすると、上記外角部の丸味を効果的に小さくして、雌ねじ部の有効長さを大きくすることができない。そして、直径を15mmを超える寸法としても、その15mmを超える寸法の増加分によっては、上記外角部の丸味を殆ど小さくすることができないし、雌ねじ部の有効長さを大きくすることができない。
また、プレス加工によって形成される拡大凹部の深さは、上記外角部の丸味を小さくできるので、雌ねじ部の有効長さを大きくするように働くが、その一方で、拡大凹部の深さが大きくなり過ぎると、雌ねじ部の有効長さを小さくするように働いてしまう。従って、拡大凹部の深さを0.5〜2mmとすることによって、雌ねじ部の有効長さを効果的に大きくすることができる。
この考案に係る取付け用裏板において、前記板状本体における前記凹部の開口部が形成されている側の表面に、取り付けの際の位置決め用凸部を設けてあり、前記拡大凹部の内周部を形成する外角部が、前記建物の取付部に噛み込むように角張った形状であるものとすることができる。
このようにすると、位置決め用凸部を、建物の取付部に形成される位置決め孔部又は凹部に係合させることによって、この取付け用裏板の凹部に形成されている雌ねじ部が、建物の取付部に形成されているボルトの挿通孔に一致するように、この裏板を建物の取付部に取り付けることができる。これによって、ボルトを、被取付物及び建物の取付部に形成されている各ボルトの挿通孔に通して雌ねじ部に確実に螺合させて締め付けることができる。
そして、拡大凹部の内周部を形成する外角部が、建物の取付部に噛み込むように角張った形状であるので、この裏板を建物の取付部に宛がった状態で、ボルトで締め付けたときに、当該外角部が建物の取付部に噛み込むことができ、裏板が取付部に対して、その当接面と平行する方向に移動しないように強固に取り付けることができる。
この考案に係る取付け用裏板において、前記被取付物が、ドアクローザが備える取付部材、又はドア用の蝶番であり、前記建物の取付部が、固定枠であるものとすることができる。
このようにすると、この取付け用裏板を使用して、ドアクローザが備える取付部材やドア用の蝶番である被取付物を、固定枠である建物の取付部に強固に取り付けることができる。よって、この取付け用裏板によると、大きな力が働くドアクローザに使用することができるし、大重量のドアを支持することもできる。
本考案に係る取付け用裏板によると、板状本体における凹部の開口部が形成されている表面であって、この開口部が内側に配置され、この開口部よりも大きい所定の範囲に拡大凹部を形成した構成としたので、例えばドアクローザが備える取付部材等の被取付物を、建物の固定枠等の取付部に強固に固定して取り付けることができると共に、厚みの薄い金属板を使用して、製造が簡単であり安価な取付け用裏板を提供することができる。
以下、本考案に係る取付け用裏板(以下、単に「裏板」と言うこともある。)の第1実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。この取付け用裏板14は、例えば図3及び図4に示すように、ドアクローザ15が備える取付部材や、ドア29用の蝶番等の被取付物16を、建物の固定枠等の取付部17に固定して取り付けることができるものであり、板状本体18を備えている。
板状本体18は、図1(a)、(b)に示すように、金属製の細長い長方形の板状体である。この板状本体18には、例えば4つの凹部19が形成されている。
4つの各凹部19は、それぞれ同等のものであって、底部を有する袋状に形成されている。そして、この4つの凹部19のうち2つの凹部19は、図1(a)の平面図に示すように、板状本体18の一方の長辺に沿って配置され、残りの2つの凹部19は、板状本体18の他方の長辺に沿って配置されている。そして、他方の長辺に沿って配置されている2つの凹部19は、一方の長辺に沿って配置されている2つの凹部19の間に配置されている。そして、各凹部19の内周面には、雌ねじ部20が形成されている。
雌ねじ部20は、図3に示すように、ドアクローザ15が備える被取付物16(取付部材)を、建物の取付部17(固定枠)に取り付けるための固定用のボルト21が締め込まれるものである。この雌ねじ部20は、図1及び図2に示すように、板状本体18の板面に対して垂直方向に形成されている。そして、4つの各凹部19の開口部22が形成されている表面には、拡大凹部23が形成されている。
拡大凹部23は、図1及び図2に示すように、開口部22を含み、この開口部22よりも大きい所定の範囲に形成されている。この実施形態の拡大凹部23は、雌ねじ部20を中心とする略円形であって、その一部が切欠かれた形状であり、その直径が開口部22の開口よりも大きく、所定の深さに形成されている。
そして、図1(a)、(b)に示すように、板状本体18における凹部19の開口部22が形成されている側の表面に位置決め用凸部24が2つ設けられている。この2つの位置決め用凸部24は、板状本体18の前記一方の長辺に沿って設けられた2つの凹部19の間に配置されている。
この2つの位置決め用凸部24は、図4に示すように、この取付け用裏板14を建物の取付部17(固定枠)に取り付ける際に、この取付部17に形成される位置決め用孔部25(又は位置決め凹部)に係合させることによって、この裏板14の凹部19に形成されている雌ねじ部20が、取付部17に形成されているボルト21の挿通孔26に一致するように、この裏板14を取付部17に取り付けることができる。
これによって、ボルト21を、被取付物16(ドアクローザ15が備える取付部材)及び建物の取付部17(固定枠)に形成されている各ボルト21の挿通孔27、26に通して雌ねじ部20に確実に螺合させて締め付けることができる。
そして、図2に示す拡大凹部23の内周部を形成する外角部28は、建物の取付部17に噛み込むように角張った形状としてあるので、この裏板14を建物の取付部17に宛がった状態で、ボルト21で締め付けたときに(図4参照)、当該外角部28が建物の取付部17に噛み込むことができ、裏板14が取付部17に対してその当接面と平行する方向に移動しないように、この裏板14を取付部17に強固に取り付けることができる。
ただし、この図4に示す実施形態では、裏板14を建物の取付部17に溶接しているので、裏板14に、取付部17に対して平行する方向に力が掛かると、この力は、その溶接部、外角部28の取付部17に対する噛み込み部、及び2つの位置決め用凸部24と取付部17の位置決め用孔部25との係合によって受け止めることができ、裏板14が取付部17に対して上記平行方向に移動することを阻止することができる。これによって、裏板14を取付部17に強固に固定することができる。
次に、図3及び図4を参照して、図1(a)、(b)に示す取付け用裏板14を、ドアクローザ15に適用した例を説明する。図3及び図4に示すように、建物の取付部17は、矩形の固定枠であり、この固定枠は、例えば玄関の開口部を形成している。この玄関の開口部22は、ドア29によって開閉される。
また、取付部17(固定枠)の内表面には、裏板14が溶接されて取り付けられている。そして、取付部17(固定枠)の内側にはモルタル30が打ち込まれている。
ドアクローザ15は、クロ−ザ本体15aと、被取付物16(取付部材)と、連結部15bとを備えている。この連結部15bは、クロ−ザ本体15aと被取付物16(取付部材)とを連結するものである。
クロ−ザ本体15aは、ドア29に取り付けられ、被取付物16は、取付部17の内表面に溶接されている。4本の各ボルト21は、被取付物16及び取付部17に形成されているそれぞれの挿通孔27、26に挿通しており、各ボルト21の先端部が、凹部19の内周面に形成された雌ねじ部20に螺合している。そして、この状態で各ボルト21が締め付けられている。
次に、図5及び図6を参照して、取付け用裏板14を深絞り加工により形成する製造工程を説明する。これら図5及び図6に示すように、平板状の板状本体18を、パンチ(上型)31とダイス(下型)32を使用して深絞り加工を行い、取付け用裏板14を製造することができる。図6(b)に示すパンチ31は、第1パンチ31aと第2パンチ31bとを備えている。
図5(a)は、凹部19を形成するための第1工程を示し、図5(b)は、凹部19を形成するための第2工程を示している。図6(a)は、凹部19を形成するための第3工程を示し、図6(b)は、凹部19及び拡大凹部23を形成するための第4工程を示している。そして、図6(b)に示す第4工程において、拡大凹部23が第1パンチによってプレス加工で形成される。
このように、図5及び図6に示す第1工程〜第4工程の深絞り加工を順次行うことによって、凹部19の内空間の深さH1〜H4を段階的に増加させて、所定の深さH4に形成すると共に、凹部19の外径D1〜D4及び内径d1〜d4を段階的に減少させて、所定の外径D4及び内径d4に形成することができる。
そして、この図6(b)に示す第4工程が終了すると、次に、この形成された各凹部19の内周面に、雌ねじ部20を転造加工で形成する。このようにして、図1に示す取付け用裏板14を製造することができる。
次に、上記のように構成された取付け用裏板14の作用を説明する。図1に示す取付け用裏板14を使用して、図3及び図4に示すように、例えばドアクローザ15が備える取付部材等の被取付物16を、建物の固定枠等の取付部17に固定して取り付けるときは、まず、この裏板14を建物の取付部17の内表面の所定位置に溶接する。次に、ドアクローザ15が備える取付部材等の被取付物16を、建物の取付部17の外表面の所定位置に宛がう。そして、4本のボルト21を被取付物16及び取付部17に形成されているそれぞれの挿通孔27、26に挿通して、そのボルト21の先端部を凹部19の雌ねじ部20に螺合させて締め付ける。これによって、この取付け用裏板14を使用して、被取付物16を取付部17に取り付けることができる。
そして、この裏板14を使用して被取付物16を取付部17に取り付けた状態では、裏板14における4つの各凹部19の開口部22に対して、それぞれ拡大凹部23を形成してあるので、ボルト21を締め付けた際に、この拡大凹部23の周縁部が広い範囲に亘って建物の取付部17に押し付けられた状態となり、ボルト21の頭部とこの拡大凹部23の周縁部との間に被取付物16及び取付部17を挟み込んで、この被取付物16を強固に建物の取付部17に固定して取り付けることができる。
従って、この取付け用裏板14によると、大きな力が働くドアクローザ15に使用しても、長期間安定してそのドアクローザ15の取付部材(被取付物16)を建物の固定枠(取付部17)に固定して取り付けることができる。
更に、雌ねじ部20が形成されている凹部19は、底部を有しているので、この凹部19の外面側から雌ねじ部20内にモルタル30等の異物が進入することを防止でき、ボルト21を異物に邪魔されずに雌ねじ部20に螺合させることができる。
そして、図5及び図6に示すように、板状本体18に対して凹部19を深絞り加工によって形成すると、厚みの薄い板状本体18を使用して、凹部19の内周面に有効長さL4の大きい雌ねじ部20を形成することができる。これによって、被取付物16を強固に建物の取付部17に固定して取り付けることができるし、安価な取付け用裏板14を提供することができる。
そして、雌ねじ部20を転造加工で形成することによって、切粉を生じさせること無く雌ねじ部20を形成することができる。これよって、ボルト21を切粉に邪魔されずに雌ねじ部20に螺合させることができる。
また、図6(b)及び図2に示すように、拡大凹部23を、プレス加工を使用して開口部22を含む範囲に形成することによって、板状本体18に形成されている凹部19の開口部22及びその近傍の肉部が、この開口部22の内周部を形成する外角部33側に効果的に略均等に移動して、この外角部33の丸味を小さくすることができる。これによって、その外角部33の丸味が小さくなった分だけ、凹部19の内周面に形成される雌ねじ部20の有効長さL4を大きくすることができ、雌ねじ部20の強度を大きくすることができる。
更に、上記のように拡大凹部23の形状を略円形であってその一部が切欠かれている形状とすると、拡大凹部23をプレス加工によって形成する際に、凹部19の周壁の全周に亘って肉部を略均一に向かわせることができるので、この周壁を全周に亘って略一定の肉厚とすることができる。これによっても、被取付物16を強固に建物の取付部17に固定して取り付けることができる。
ただし、拡大凹部23は、図1(a)に示すように、略円形の一部を切欠いた形状としたが、これ以外の略円形、略楕円形、略多角形としてもよいし、略楕円形及び略多角形のうちのいずれかの形状であってその一部が切欠かれている形状としてもよい。このようにしても、凹部19の周壁を全周に亘って略一定の肉厚とすることができると共に、凹部19の内周面に形成される雌ねじ部20の有効長さL4を大きくすることができる。
そして、この図1及び図2に示す取付け用裏板14は、例えば厚みが約3mmの金属製である。そして、雌ねじ部20は、呼びがM5(M4〜M6)であり、有効長さL4が約5mm以上である。凹部19は、外径D4及び高さN4がそれぞれ約7mmである。また、拡大凹部23は、直径K4が約13mm(8〜15mm)の略円形の一部が切欠かれている形状であり、その深さP4が約1.2mm(0.5〜2mm)である。
この図2に示すように、金属製の板状体を使用して、雌ねじ部20の呼びがM4〜M6であるとすると、拡大凹部23は、直径K4が8〜15mmの略円形、又は当該直径の略円形の一部が切欠かれている形状とすることによって、拡大凹部23をプレス加工で形成した際に、板状本体18に形成されている凹部19の開口部22及びその近傍の肉部が、この開口部22の内周部を形成する外角部33側に効果的に移動して、この外角部33の丸味を小さくすることができ、凹部19の内周面に形成される雌ねじ部20の有効長さL4を大きくすることができる。
ただし、拡大凹部23の直径K4を8mm未満とすると、上記外角部33の丸味を効果的に小さくして、雌ねじ部20の有効長さL4を大きくすることができない。そして、直径を15mmを超える寸法としても、その15mmを超える寸法の増加分によっては、上記外角部33の丸味を殆ど小さくすることができないし、雌ねじ部20の有効長さL4を大きくすることができない。
また、プレス加工によって形成される拡大凹部23の深さP4は、上記外角部33の丸味を小さくできるので、雌ねじ部20の有効長さL4を大きくするように働くが、その一方で、拡大凹部23の深さP4が大きくなり過ぎると、雌ねじ部20の有効長さL4を小さくするように働いてしまう。従って、拡大凹部23の深さP4を0.5〜2mmとすることによって、雌ねじ部20の有効長さL4を効果的に大きくすることができる。
次に、本考案に係る第2実施形態の取付け用裏板36を、図7(a)、(b)を参照して説明する。この図7(a)、(b)に示す第2実施形態と、図1(a)、(b)に示す第1実施形態とが相違するところは、図1(a)、(b)に示す第1実施形態では、4つの凹部19を備え、それぞれの拡大凹部23の形状が、略円形の一部が切欠かれている形状であるのに対して、図7(a)、(b)に示す第2実施形態は、5つの凹部19を備え、それぞれの拡大凹部23の形状が略円形であるところである。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
次に、本考案に係る第3実施形態の取付け用裏板39を、図8(a)、(b)を参照して説明する。この図8(a)、(b)に示す第3実施形態と、図1(a)、(b)に示す第1実施形態とが相違するところは、図1(a)、(b)に示す第1実施形態では、4つの凹部19を備え、それぞれの拡大凹部23の形状が、略円形の一部が切欠かれている形状であるのに対して、図8(a)、(b)に示す第3実施形態は、8つの凹部19を備え、それぞれの拡大凹部23の形状が略円形であるところである。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
次に、本考案に係る第4実施形態の取付け用裏板41を、図9(a)、(b)を参照して説明する。この図9(a)、(b)に示す第4実施形態と、図1(a)、(b)に示す第1実施形態とが相違するところは、図1(a)、(b)に示す第1実施形態では、各拡大凹部23が開口部22を含む形状であるのに対して、図9(a)、(b)に示す第4実施形態は、各拡大凹部42が開口部22を外側から囲むように略円環状に形成されているところである。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
このようにすると、開口部22に拡大凹部42が形成されないので、拡大凹部42の深さ分P4だけ雌ねじ部20の有効長さL5が短くなることを防止でき、結果として、図9(b)に示すように、雌ねじ部20の有効長さL5を、L4よりもP4だけ大きくすることができる。
ただし、拡大凹部42は、開口部22を外側から囲むように略円環状に形成されているので、第1実施形態で説明したように、開口部22の内周部を形成する外角部33の丸味を小さくすることができ、凹部19の内周面に形成される雌ねじ部20の有効長さL5を大きくすることができる。
ここで、図9(b)に示すように、拡大凹部42は、開口部22を外側から囲むように略円環状に形成されているが、このように形成することができるように、図6(b)に示す第1パンチ31aの下面、及び第2パンチ31bが形成されている。
そして、図9(b)に示す開口部22の高さP4は、板状本体18の表面と同一の高さとしたが、板状本体18の表面よりも低い高さにしてもよい。そして、拡大凹部42の内周面及び外周面を、略円形、及び略円形の一部が切欠かれている形状としたが、これ以外の例えば略楕円形、略多角形、又はこれらのうちのいずれかの形状であって、その一部が切欠かれている形状としてもよい。
また、上記各実施形態では、図3及び図4に示すように、被取付物16としてドアクローザ15が備える取付部材を例に挙げたが、これに代えて、図には示さないが、ドア29用の蝶番であってもよい。要は、建物の取付部17に取り付けられる被取付物であればよい。つまり、この取付け用裏板14によると、例えば大きな力が働くドアクローザに使用することもできるし、大重量のドアを支持することもできる。
更に、上記各実施形態では、図3及び図4に示すように、建物の取付部17として固定枠を例に挙げたが、これ以外の例えば壁部、柱部、又は桟部であってもよい。