JP3159230U - 作業機械用圧油制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、機器の応答性の変化を抑制し得る作業機械用圧油制御装置を提供する。【解決手段】この圧油制御装置は、コントロールバルブ20の切換弁31、32、33、34内のスプールの変位量を検出する位置検出器からのフィードバック量と、遠隔操作器19からの操作信号指令値との偏差を、予め設定された温度パラメータに基づいて補正するコントローラ30を備えている。そして、油圧ポンプ17とコントロールバルブ20との間に油温検出手段としてサーモスタット70を設けており、コントローラ30は、このサーモスタット70からのON/OFFの信号に基づいて、予め設定した温度に対応する複数の温度パラメータから一つの温度パラメータを選択し、当該選択した温度パラメータによって偏差を補正する。【選択図】図2

Description

本考案は、圧油で駆動される作業機械に好適に用い得る作業機械用圧油制御装置であって、特に、温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、作業機械の応答変化を抑制する技術に関するものである。
圧油で駆動される作業機械として、例えば遠隔操作が可能なクレーンでは、遠隔操作器に付属する速度レバーの操作量が信号指令値に変換され、この信号指令値に基づいて、コントローラでの圧油制御処理により、コントロールバルブ内のスプールの変位量が決定される。コントローラ内では、スプール変位量の目標値と作動方向が演算され、これに基づいてスプールの変位量が制御される。コントローラには、スプールの実際の変位量が差動トランスによって随時にフィードバックされており、これにより、速度レバー操作量に対するスプール変位量の応答性能を向上させている。
遠隔操作が可能なクレーンでは、コントローラでの圧油制御処理は、指令値とフィードバック値の差を比較して偏差を求め、その偏差にゲインを掛け合わせてスプール作動信号を生成する。ここで、この偏差に掛け合わせるゲインとは、コントローラのメモリに記憶されているパラメータであり、通常は一つの固定値である。そして、前記生成したスプール作動信号をコントロールバルブのスプール作動ソレノイドへと出力し、指令値に対してフィードバック値を逐次に追従させている。
ところで、クレーンの圧油の温度は、クレーンの作動開始時には、外気温とほぼ同じ(例えば20〜30℃)温度値を示すものの、供給された圧油が油タンク側で大気圧へと開放されたときには圧油の温度が上昇する。圧油が油タンク側で大気圧へと開放されると、圧油の持つ圧力エネルギーが熱エネルギーに変換されるからであり、また、油圧シリンダ等での摺動熱などによっても圧油の温度が上昇するからである。圧油の温度は時として100℃を超えることもある。油温が高温になりすぎると、圧油の劣化や、熱による各アクチュエータのパッキンの劣化に伴い油漏れなどの不具合が生じる。そのため、冷却器で強制的に圧油の温度を下げたり、油タンクを大きなものにしたりして放熱を図ることもある。ここで、クレーンの圧油の適正油温は、50℃付近が適正である。よって、前述したパラメータの通常の固定値は、この適正油温を基準に設計されている。
これに対し、圧油の温度が低すぎても、圧油の粘性が高くなり、圧油の温度による粘度状態によって、スプールの応答性・作動速度も変化する。
例えば、特許文献1に記載の技術は、クレーンの作動における連動操作性(2〜4運動)を向上させるものであるが、同文献記載の技術では、作業者が選択した2つの操作は、予めコントローラ内に記憶された固定パラメータによってコントロールバルブの各スプールの作動距離を制御することで、作業者の意に適した作動を互いのアクチュエータに行わせている。
ここで、上述のように、従来、圧油で駆動される作業機械は、偏差に掛け合わせるゲインのために用意されたパラメータが一つであり、適正温度で使用した場合に最も正確に同調するよう設計されている。そのため、圧油の温度が低すぎると、このような低温時における作動では、圧油の高粘度化による同調不良が生じ得る。
つまり、高粘度用に合わせてゲインを設定すると、逆に低粘度時にはスプール応答速度が速くなりすぎて、スプールがバタついてしまうことになる。他方、低粘度用に合わせてゲインを設定すると高粘度時のスプール応答性が遅くなってしまう。したがって、温度によって圧油の粘度が変化した場合に、作業機械の応答変化を抑制する上で、一つのパラメータのみで圧油の粘性が高粘度から低粘度まで(圧油の温度が低温から高温まで)適用させるのは困難である。
また、他の技術として、特許文献2に記載の技術が開示されている。この特許文献2に記載の技術では、コントローラに、誤作動を防止する安全装置(偏差異常チェック機構)を持たせている。つまり、フィードバック方式によるスプール制御において、遠隔操作器からの指令値に対する実際のスプールの移動追従を監視して、指令値に対しスプールの変位量との差が、ある設定値(何mm)且つ設定時間(何ms)以上継続した場合には、コントローラは、コンタミネーションによる不具合が発生した可能性があると異常判断し、これにより、アンロードバルブを駆動させることで機器を自動停止させて、誤作動を防止するようになっている。
しかし、これらの設定値と設定時間も、上記ゲインと同様にコントローラのメモリに記憶させているパラメータである。そのため、圧油の粘性が低粘度時であれば指令値に対するフィードバック値の応答は良いものの、高粘度時は指令値に対するフィードバック値の応答に時間がかかる。したがって、コンタミネーションによる不具合ではなく、圧油の粘性が高粘度という理由でコントローラが異常判断し、クレーンを自動停止させてしまうという不具合が生じ得る。
具体的に説明すると、作業者は作動中のクレーンを停止させようと操作を止める。このとき、それと同時にコントローラでは指令値が0となったと判断する。しかし、圧油の粘性が高粘度時では、低粘度時よりもスプールの中立位置まで復帰する時間が遅くなっている。したがって、コントローラは、コンタミネーションによる不具合発生と判断(エラーと判断)してしまうのである。よって、この特許文献2に記載の技術においても、上記特許文献1に記載の技術でのゲイン同様に、各アクチュエータを作動させる圧油の粘度によって不具合が生じるおそれがある。
特許第3928793号公報 特開2003−252569号公報
したがって、上述したようなゲインは、圧油の粘度にあわせた(油温にあわせた)適切なパラメータを適用することが望ましい。また、上述したような偏差異常チェック機構の設定値や設定時間パラメータについても、圧油の粘度によって適切なパラメータを適用することが望ましい。換言すれば、圧油が高粘度時のときは高粘度用のパラメータ(低温用のパラメータ)を適用し、低粘度のときは低粘度用のパラメータ(高温用のパラメータ)を適用して、関数を変化させるようにすることが望ましい。
そこで、本考案は、このような問題点に着目してなされたものであって、圧油の温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、機器の応答性の変化を抑制可能な作業機械用圧油制御装置を提供することを目的としている。
ここで、同性状の圧油の粘度と温度との関係においては、例えば下記式1に示す「アンドレードの式」によって一定の法則が成り立つ。
η=Bexp(E/RT) 式1
但し、η:粘度、E:流動活動化エネルギー、T:絶対温度、B:比例定数、R:気体定数、である。
この法則に従うと、圧油の温度が把握できれば圧油の粘度も分かる。したがって、圧油の温度を管理することで、粘度の管理をすることができる。
すなわち、上記課題を解決するために、本考案のうち請求項1に記載の考案は、車両のエンジンで駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプからの圧油を油圧源とする複数のアクチュエータと、該複数のアクチュエータへの圧油を給排する複数の切換弁を有するコントロールバルブと、前記複数のアクチュエータのそれぞれを遠隔作動させるための遠隔操作器とを備える作業機械に用いられ、前記切換弁内のスプールの変位量を検出する位置検出器からのフィードバック量と、前記遠隔操作器からの操作信号指令値との偏差を、予め設定された温度パラメータに基づいて補正するコントローラとを有する圧油制御装置であって、前記油圧ポンプと前記コントロールバルブとの間に設けた油温検出手段を備え、前記コントローラは、前記油温検出手段からの信号に応じて、予め設定した温度に対応する複数の温度パラメータから一つの温度パラメータを選択し、当該選択した温度パラメータによって前記偏差を補正することを特徴とする。なお、圧油の油温を測定する油温検出手段には、例えばサーモスタットを使用し、そのサーモスタットのスイッチのON‐OFF信号をコントローラに取り込むようにすることができる。また、複数の温度パラメータの設定に際しては、上記「アンドレードの式」に基づいて、適切な温度パラメータを設定することが好ましい。具体的には、上述の「アンドレードの式」に従い、圧油の油温を監視することで、同性状の圧油の粘度と温度との相関関係に基づき圧油の粘度の推定をすることにより、適切な温度パラメータを設定することが好ましい。
請求項1に記載の考案によれば、コントローラは、油温検出手段からの信号に応じて、予め設定した温度に対応する複数の温度パラメータから一つの温度パラメータを選択し、当該選択した温度パラメータによって偏差を補正するので、予め設定した温度に対応する複数の温度パラメータから一つの温度パラメータを選択することができる。したがって、温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、機器の応答性の変化を抑制することができる。
また、請求項2に記載の考案は、請求項1において、前記複数の温度パラメータは、低温用パラメータ、および該低温用パラメータよりも高い温度に対応して設定された高温用パラメータであり、前記コントローラは、前記油温検出手段からの信号により判断した温度が、予め設定した温度未満のときは低温用パラメータを選択し、予め設定した温度以上のときは高温用パラメータを選択することを特徴とする。例えば、油温に対応させる低温用のパラメータおよび高温用のパラメータの2つは、それぞれコントローラのメモリ内に格納しておく。そして、例えば上記サーモスタットからのON‐OFF信号に応じて2つのパラメータを適宜切り換えて使用することができる。
請求項2に記載の考案によれば、高温用および低温用のパラメータを2種類に設定したので、圧油温が低温のときには、低温用のパラメータを使用し、圧油温が高温のときには、高温用のパラメータを使用して機器の応答性の変化を抑制できる。したがって、特に、クレーン用の圧油制御装置として、クレーンの制御性及び安全性を向上させる上で好適である。
なお、請求項2に記載の考案での複数の温度パラメータは、選択し得る複数の温度パラメータの数を、高温、低温の2つに切り換える(2モード)例であるが、本考案に係る複数の温度パラメータとしては、選択し得る複数の温度パラメータの数をより多くして、つまり切り換えるモード数を上げて、実際の指令値に一層近づけるようにしてもよい。
しかし、モード数を上げることで実際の指令値に近づくものの、作業機械が、後述する実施形態の例のようなクレーンの場合には、精細な制御が要求されるものではない。そのため、作業機械がクレーンの場合には、請求項2に記載の考案のように、高温、低温の2モードの切り換えができれば実際のクレーン作業には特に問題はない。なおまた、作業機械がクレーンの場合には、各アクチュエータごとに専用のパラメータを設定することも、同様に特段の必要はない。
また、請求項3に記載の考案は、請求項2において、前記コントローラは、前記遠隔操作器に設けた既存のスイッチのうち、予め決められた複数のスイッチが同時に操作されたときに、前記油温検出手段からの信号に応じて前記温度パラメータを切換えることを特徴とする。
請求項3に記載の考案によれば、遠隔操作器に設けた既存のスイッチのうち、予め決められた複数のスイッチが同時に操作されたときに、コントローラが、油温検出手段からの信号に応じて温度パラメータを切換えるので、遠隔操作器に専用スイッチを設けることなく、従来から備えられてある操作用のスイッチを複数同時操作することで、適当な温度パラメータによって偏差を補正することができる。そのため、本考案に係る作業機械用圧油制御装置を安価に構築する上で好適である。
上述したように、本考案によれば、温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、機器の応答性の変化を抑制し得る作業機械用圧油制御装置を提供することができる。
本考案に係る作業機械の一実施形態としての車両搭載型クレーンを説明する構成図である。 本考案に係るクレーンの制御装置を説明する油圧回路図である。 切換弁の軸線を含む縦断面図である。 図2に示すコントローラで実行される圧油制御処理のフローチャートである。 圧油制御処理の演算において参照されるパラメータを説明する図であり、同図は、時間に対するスプールの変位量をグラフで示し、また、本考案に係る作業機械用圧油制御装置の低温モード補正値と、従来のフィードバック値とを比較して示している。 遠隔操作器を説明する斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。図1は本考案に係る作業機械の一実施形態としての車両搭載型クレーンを説明する構成図であり、また、図2はその車両搭載型クレーンの制御装置を説明する構成図である。
図1に示すように、この車両搭載型クレーン(以下、単に「クレーン」ともいう)1は、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部7sに導いて、ブーム7の先端部7sの滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部7sから吊下している。
ここで、このクレーン1には、コラム6の旋回、ブーム7の起伏と伸縮、及びウインチ11の巻上巻下の作動を行うための複数のアクチュエータとして、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10、及びアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rを備えている。
そして、これらの旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10、及びアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rは、図2に示すように、何れも車両のエンジン15のPTO16に連結して駆動される油圧ポンプ17からコントロールバルブ20を介して圧油を供給することにより作動するようになっている。なお、コントロールバルブ20には、ポンプポートとタンクポートとの間に、メインリリーフ弁38と、アンロード弁39とが設けられ、アンロード弁39は、アンロードが必要なときにはメインリリーフ弁38を開き、ポンプポートとタンクポートとを連通させるようになっている。
上記コントロールバルブ20は、上記各アクチュエータをそれぞれ制御する複数の切換弁を連結して構成した多連結弁装置であり、図2に示すように、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10の、各アクチュエータにそれぞれ対応する複数の切換弁31、32、33、34と、アウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rの、各アクチュエータにそれぞれ対応する複数の切換弁28、29と、各アクチュエータを所望の速度で作動させるためのアクセルシリンダ50とを備えて構成されている。
そして、各アクチュエータにそれぞれ対応する複数の切換弁31、32、33、34は、図3に拡大図示するように、スプール36が内蔵されている。このスプール36は、左右のスプリング36sで通常は中立位置に保持されている。また、このスプール36の一端はリンク18rを介して操作レバー18に連結され、さらに、他端にはパイロットピストン37が連設されており、ピストンロッド22の先端には鉄芯23が設けられている。この鉄芯23は、中空円筒形の差動トランスを備えた位置検出器40内に挿入されている。そして、この位置検出器40は、各スプール36の変位を検出してその検出した変位の信号をコントローラ30にフィードバックするようになっている。
また、各切換弁31、32、33、34それぞれには、一対のソレノイド42L、42Rを有する比例ソレノイド(比例電磁式パイロット弁)41が設けられている。各比例ソレノイド41は、油圧ポンプ17から減圧弁35を介してパイロット圧油が供給されるポートEが常時閉、タンク14へ作動油を戻すポートFが常時開となっており、コントローラ30からソレノイド42L、42Rに制御電流が入力されるとパイロットスプール42sが摺動し、入力電流値によってポートEの開口量が制御される。これにより、パイロットピストン37の左右の油室37L、37Rへのパイロット圧油の供給が制御される。
そして、各切換弁31、32、33、34は、パイロットピストン37の油室37R、37Lのいずれか一方にパイロット圧油が供給されると、スプール36が左又は右に移動して、サービスポートA、BとポンプポートPとを連通させる。これにより、各切換弁31、32、33、34は、上述した、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10の各アクチュエータを作動させるようになっている。なお、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10の各アクチュエータは、クレーン1の作業の内容に応じて互いに連動するようにコントローラ30で制御される。例えば、ブーム7の先端部7sとフック13との間の距離を常に一定に保ちながらブーム7を伸長させる場合には、ブーム7の伸長作動に伴ってウインチ11の巻下作動も必要なので、ブーム伸縮用油圧シリンダ8と、ウインチ用油圧モータ10とが連動するようになっている。
ここで、図2に示すように、油圧ポンプ17とコントロールバルブ20との間には、油温検出手段としてサーモスタット70が設けられている。そして、このサーモスタット70によって検出された圧油の油温に係る信号は、コントローラ30に入力されるようになっている。
次に、上記コントローラ30についてより詳しく説明する。
このコントローラ30は、以下いずれも図示しない、所定の制御プログラムに基づいて、演算およびこの車両搭載型クレーン1のシステム全体を制御するCPUと、所定領域に予めCPUの制御プログラム等を格納しているROMと、ROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAMと、クレーン1の遠隔操作器19(図2および図6参照)等を含めた外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(インターフェイス)とを有して構成されている。これらは、データを転送するための信号線であるバスで相互にかつデータ授受可能に接続されている。そして、遠隔操作器19からは、上述したクレーン1の各アクチュエータを作動させる実行指令となる所定の操作信号が、オペレータによるスイッチ操作(図6に示すスイッチを参照)により入力されるようになっている。
次に、このコントローラ30で実行される圧油制御処理について図4および図5を参照しつつ説明する。
この圧油制御処理は、PTO16がON(電源がON)されるとコントローラ30の起動とともに実行されて、図4に示すように、まず、ステップS1に移行してコントローラ30からサーモスタット70に、電圧5Vの電力が出力される。続くステップS2では、サーモスタット70のスイッチがONか否かを監視して、ONであればステップS3に移行し、そうでなければステップS4に移行する。なお、このサーモスタット70は、高温時でON(通電状態)になるスイッチを用いた場合の例である。また、本実施形態では、サーモスタットの設定温度は50℃である。つまり、例えば圧油の温度が50℃未満の低温であるなら、サーモスタット70が切断されているためコントローラ30への通電はされない。他方、圧油の温度が50℃以上の高温であるなら、サーモスタット70が通電状態となる。換言すれば、コントローラ30は、このサーモスタット70のスイッチがONになったことによって検出された圧油の油温に係る信号を取得できるようになっている。
ステップS3では、ゲインを設定するためのパラメータとして高温用のパラメータ(高温用モード)を選択して処理をステップS2に戻す。また、ステップS4では、ゲインを設定するためのパラメータとして低温用のパラメータ(低温用モード)を選択して処理をステップS2に戻す。
図5に、上記圧油制御処理におけるPID制御での演算において参照されるパラメータに基づく、時間に対するスプールの変位量のグラフを示す。同図では、本考案に係る作業機械用圧油制御装置の低温モード補正値と、従来のフィードバック値とを比較して示している。
ここで、上記PID制御に基づく圧油制御処理の内容は、次の式2で表すことができる。
y=k(en十α)・・・・式2
但し、y:スプール作動ソレノイド出力値、en:偏差、k:温度パラメータ(低温用パラメータ「1.2」、高温用パラメータ「1.0」)、α:残留偏差を無くすための矯正出力値、である。同図5に示す例では、低温用パラメータは係数kを「1.2」、高温用パラメータは係数kを「1.0」としている。
このコントローラ30での圧油制御処理は、PID制御により、遠隔操作器19の速度レバーの操作量である信号指令値とフィードバック値の差を比較して偏差を求めている。そして、この偏差にゲインを掛け合わせてスプール作動ソレノイドの出力信号を生成し、この生成したスプール作動ソレノイドの出力信号によりスプールを変位させている。
コントローラ30内で演算されるスプール変位量の目標値は、上記圧油制御処理により選択された温度パラメータで補正された値となる。そして、この値がコントロールバルブ20の複数の切換弁31、32、33、34のスプール作動ソレノイドへと出力され、指令値に対してフィードバック値が良好に追従するようになっている。このように、このコントローラ30での圧油制御処理は、ゲインを低温時は低温用のパラメータ、または高温用のパラメータに切り替えるので、温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、機器の応答性の変化を抑制することができるのである。
次に、このクレーン1での実際の作業例について説明する。なお、以下の説明において、低温用パラメータ使用時は「低温モード」と呼び、高温用パラメータ使用時には「高温モード」と呼ぶ。
今、オペレータが、車両のPTO16をONにする(電源投入)と、これにより、コントローラ30からサーモスタット70に電圧5Vが出力された状態となる(図4でのステップS1)。コントローラ30は、サーモスタット70からの信号を得るために、5Vが常に出力される状態を保持する。ここで、オペレータがクレーン作業開始直後は、圧油の温度は常温(例えば、10℃から40℃付近の油温)である。そのため、上述したように、このときにはサーモスタット70はOFFとなりコントローラ30への通電がされない。よって、コントローラ30では、サーモスタット70からの信号が入力されず(ステップS2での「No」)、低温モードが選択される(ステップS4)。
しかし、その後のクレーン作動とともに、油温は序々に上昇し、油温が50℃を越えるとサーモスタット70が作動(ON)する。これにより、コントローラ30への通電がされて、その入力された信号によって(ステップS2での「Yes」)、コントローラ30は、パラメータを低温用パラメータから高温用パラメータへと切換える(ステップS3)。
ここで、クレーン1のいずれかのアクチュエータの作動を一つだけ作動させる、クレーン単独操作を行う場合において、例えば油温35℃におけるウインチ巻下げ操作を例にとると、図5に示すような、ウインチ巻下げ操作の速度レバーの操作信号指令値(以下、指令値)を、操作時間に対するスプールの変位量として表すことができる(図5に示す実線のグラフ参照)。なお、ここでの偏差とは、従来と同様に指令値とフィードバック値の差(偏差=指令値−フィードバック値)である。また、フィードバック値は実際のスプールの変位位置を表している。
油温35℃におけるときは、油温が50℃未満なので、サーモスタットはOFFであり、低温モード時である。このときは同図に示す例のように、操作直後の2.5秒間でスプールは、ほぼ最大ストロークの8割付近まで作動する。
しかし、従来のフィードバックされた値(同図での破線で示すグラフ参照)と、本考案の低温モードにおけるフィードバック値(同図での一点鎖線で示すグラフ参照)との偏差を比較すると、低温モード時のフィードバック値の方が指令値との差が少なく、追従性が向上していることが分かる。
なお、クレーン作業の開始時は、スプールの変位量が時間に対して多い。そのため、上記式2の偏差量「en」値が大きく、指令値とフィードバック値との差も大きい。これに対し、時間が経つにつれ、スプールもストロークエンド付近になると、時間当たりのスプールの変位量も少なくなる。つまりスプールの作動速度も遅くなる。そのため、指令値が遅くなった分、同図に示すように、フィードバック値が指令値に追いつき、偏差「en」値が減少する。
以上説明したように、このクレーン1によれば、温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、各アクチュエータの応答性の変化を抑制することができる。
なお、本考案は、上記実施形態に限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しなければ、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態での温度パラメータは、高温、低温の2モードを設定した例であるが、これに限らず、作業機械によっては、モード数を更に多くして、実際の指令値に一層近づける構成を採用することもできる。しかし、作業機械が本実施形態のようなクレーンでは、精細な制御は要求されない。そのため、本実施形態の例のように、選択する温度パラメータがふたつ(2モード)であっても、作業記載がクレーンであれば、実際のクレーン作業に問題はない。また同様に、各アクチュエータごとに専用のパラメータを設定することもできるが、作業機械が本実施形態のようなクレーンであれば、各アクチュエータごとの専用パラメータ設定も必要とされない。
但し、図2に示したクレーンの各アクチュエータの切換弁31、32、33、34とアクセルシリンダ50とは、その構造が異なる。そのため、アクチュエータ用の切換弁のパラメータに加え、アクセルシリンダ50専用のパラメータ値を別途に設定すると、より確実な制御が期待できる。
また、遠隔操作器19からのスイッチ操作により、手動パラメータ変更を行うようにすることも可能である。しかし、従来から備えられてある、遠隔操作器19に設けた既存のスイッチ(図6に示す符号19a〜f)のうち、予め決められた複数のスイッチが同時に操作されたときに、コントローラ30が、サーモスタット70のON/OFFの信号に応じて温度パラメータを切換えるようにすれば、本考案に係る作業機械用圧油制御装置を安価に構築することができる。
具体的には、例えば図6に示す遠隔操作器19に設けた、上段左のスイッチ19aは、ブーム先端から下方に吊下されるフックを、車両走行時にはブーム下面に当接格納を可能にする、フック格納スイッチである。
通常、このフック格納スイッチ19aを操作すると、ブーム先端下面から一定の距離を保ったまま、これ以上フックが巻き上がることを無くする巻過警報装置(図略)の作動を停止させつつ、作動圧を通常値から低圧に落とし、フックがブーム下面に当接格納するよう巻上作動させる。また、図6に示す下段左のスイッチ19cはブームを左右旋回させる、旋回作動スイッチである。この旋回作動スイッチ19cはトグルスイッチであり、上方操作で右旋回、下方操作で左旋回するようになっている。
通常では、上記2つのスイッチ19a、19cは同時に操作されることは無い。そのため、フック格納スイッチ19aを押しつつ、旋回作動スイッチ19cで右旋回操作をすれば、パ温度ラメータが切り替わるように、コントローラ30で制御させることも可能である。
1 車両搭載型クレーン(作業機械)
4 ベース
5 旋回用油圧モータ(アクチュエータ)
6 コラム
7 ブーム
8 ブーム伸縮用油圧シリンダ(アクチュエータ)
9 ブーム起伏用油圧シリンダ(アクチュエータ)
10 ウインチ用油圧モータ(アクチュエータ)
11 ウインチ
12 ワイヤロープ
13 フック
14 タンク
15 エンジン
17 油圧ポンプ
18 操作レバー
19 遠隔操作器
20 コントロールバルブ
30 コントローラ
31、32、33、34 切換弁
70 サーモスタット(油温検出手段)

Claims (3)

  1. 車両のエンジンで駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプからの圧油を油圧源とする複数のアクチュエータと、該複数のアクチュエータへの圧油を給排する複数の切換弁を有するコントロールバルブと、前記複数のアクチュエータのそれぞれを遠隔作動させるための遠隔操作器とを備える作業機械に用いられ、前記切換弁内のスプールの変位量を検出する位置検出器からのフィードバック量と、前記遠隔操作器からの操作信号指令値との偏差を、予め設定された温度パラメータに基づいて補正するコントローラとを有する圧油制御装置であって、
    前記油圧ポンプと前記コントロールバルブとの間に設けた油温検出手段を備え、前記コントローラは、前記油温検出手段からの信号に応じて、予め設定した温度に対応する複数の温度パラメータから一つの温度パラメータを選択し、当該選択した温度パラメータによって前記偏差を補正するようになっていることを特徴とする作業機械用圧油制御装置。
  2. 前記複数の温度パラメータは、低温用パラメータ、および該低温用パラメータよりも高い温度に対応して設定された高温用パラメータであり、前記コントローラは、前記油温検出手段からの信号により判断した温度が、予め設定した温度未満のときは低温用パラメータを選択し、予め設定した温度以上のときは高温用パラメータを選択することを特徴とする請求項1に記載の作業機械用圧油制御装置。
  3. 前記コントローラは、前記遠隔操作器に設けた既存のスイッチのうち、予め決められた複数のスイッチが同時に操作されたときに、前記油温検出手段からの信号に応じて前記温度パラメータを切換えることを特徴とする請求項2に記載の作業機械用圧油制御装置。
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