JP3159230U - 作業機械用圧油制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1に記載の技術は、クレーンの作動における連動操作性(2〜4運動)を向上させるものであるが、同文献記載の技術では、作業者が選択した2つの操作は、予めコントローラ内に記憶された固定パラメータによってコントロールバルブの各スプールの作動距離を制御することで、作業者の意に適した作動を互いのアクチュエータに行わせている。
つまり、高粘度用に合わせてゲインを設定すると、逆に低粘度時にはスプール応答速度が速くなりすぎて、スプールがバタついてしまうことになる。他方、低粘度用に合わせてゲインを設定すると高粘度時のスプール応答性が遅くなってしまう。したがって、温度によって圧油の粘度が変化した場合に、作業機械の応答変化を抑制する上で、一つのパラメータのみで圧油の粘性が高粘度から低粘度まで(圧油の温度が低温から高温まで)適用させるのは困難である。
そこで、本考案は、このような問題点に着目してなされたものであって、圧油の温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、機器の応答性の変化を抑制可能な作業機械用圧油制御装置を提供することを目的としている。
η=Bexp(E/RT) 式1
但し、η:粘度、E:流動活動化エネルギー、T:絶対温度、B:比例定数、R:気体定数、である。
この法則に従うと、圧油の温度が把握できれば圧油の粘度も分かる。したがって、圧油の温度を管理することで、粘度の管理をすることができる。
なお、請求項2に記載の考案での複数の温度パラメータは、選択し得る複数の温度パラメータの数を、高温、低温の2つに切り換える(2モード)例であるが、本考案に係る複数の温度パラメータとしては、選択し得る複数の温度パラメータの数をより多くして、つまり切り換えるモード数を上げて、実際の指令値に一層近づけるようにしてもよい。
請求項3に記載の考案によれば、遠隔操作器に設けた既存のスイッチのうち、予め決められた複数のスイッチが同時に操作されたときに、コントローラが、油温検出手段からの信号に応じて温度パラメータを切換えるので、遠隔操作器に専用スイッチを設けることなく、従来から備えられてある操作用のスイッチを複数同時操作することで、適当な温度パラメータによって偏差を補正することができる。そのため、本考案に係る作業機械用圧油制御装置を安価に構築する上で好適である。
図1に示すように、この車両搭載型クレーン(以下、単に「クレーン」ともいう)1は、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部7sに導いて、ブーム7の先端部7sの滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部7sから吊下している。
ここで、このクレーン1には、コラム6の旋回、ブーム7の起伏と伸縮、及びウインチ11の巻上巻下の作動を行うための複数のアクチュエータとして、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10、及びアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rを備えている。
ここで、図2に示すように、油圧ポンプ17とコントロールバルブ20との間には、油温検出手段としてサーモスタット70が設けられている。そして、このサーモスタット70によって検出された圧油の油温に係る信号は、コントローラ30に入力されるようになっている。
このコントローラ30は、以下いずれも図示しない、所定の制御プログラムに基づいて、演算およびこの車両搭載型クレーン1のシステム全体を制御するCPUと、所定領域に予めCPUの制御プログラム等を格納しているROMと、ROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAMと、クレーン1の遠隔操作器19(図2および図6参照)等を含めた外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(インターフェイス)とを有して構成されている。これらは、データを転送するための信号線であるバスで相互にかつデータ授受可能に接続されている。そして、遠隔操作器19からは、上述したクレーン1の各アクチュエータを作動させる実行指令となる所定の操作信号が、オペレータによるスイッチ操作(図6に示すスイッチを参照)により入力されるようになっている。
この圧油制御処理は、PTO16がON(電源がON)されるとコントローラ30の起動とともに実行されて、図4に示すように、まず、ステップS1に移行してコントローラ30からサーモスタット70に、電圧5Vの電力が出力される。続くステップS2では、サーモスタット70のスイッチがONか否かを監視して、ONであればステップS3に移行し、そうでなければステップS4に移行する。なお、このサーモスタット70は、高温時でON(通電状態)になるスイッチを用いた場合の例である。また、本実施形態では、サーモスタットの設定温度は50℃である。つまり、例えば圧油の温度が50℃未満の低温であるなら、サーモスタット70が切断されているためコントローラ30への通電はされない。他方、圧油の温度が50℃以上の高温であるなら、サーモスタット70が通電状態となる。換言すれば、コントローラ30は、このサーモスタット70のスイッチがONになったことによって検出された圧油の油温に係る信号を取得できるようになっている。
図5に、上記圧油制御処理におけるPID制御での演算において参照されるパラメータに基づく、時間に対するスプールの変位量のグラフを示す。同図では、本考案に係る作業機械用圧油制御装置の低温モード補正値と、従来のフィードバック値とを比較して示している。
y=k(en十α)・・・・式2
但し、y:スプール作動ソレノイド出力値、en:偏差、k:温度パラメータ(低温用パラメータ「1.2」、高温用パラメータ「1.0」)、α:残留偏差を無くすための矯正出力値、である。同図5に示す例では、低温用パラメータは係数kを「1.2」、高温用パラメータは係数kを「1.0」としている。
コントローラ30内で演算されるスプール変位量の目標値は、上記圧油制御処理により選択された温度パラメータで補正された値となる。そして、この値がコントロールバルブ20の複数の切換弁31、32、33、34のスプール作動ソレノイドへと出力され、指令値に対してフィードバック値が良好に追従するようになっている。このように、このコントローラ30での圧油制御処理は、ゲインを低温時は低温用のパラメータ、または高温用のパラメータに切り替えるので、温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、機器の応答性の変化を抑制することができるのである。
今、オペレータが、車両のPTO16をONにする(電源投入)と、これにより、コントローラ30からサーモスタット70に電圧5Vが出力された状態となる(図4でのステップS1)。コントローラ30は、サーモスタット70からの信号を得るために、5Vが常に出力される状態を保持する。ここで、オペレータがクレーン作業開始直後は、圧油の温度は常温(例えば、10℃から40℃付近の油温)である。そのため、上述したように、このときにはサーモスタット70はOFFとなりコントローラ30への通電がされない。よって、コントローラ30では、サーモスタット70からの信号が入力されず(ステップS2での「No」)、低温モードが選択される(ステップS4)。
油温35℃におけるときは、油温が50℃未満なので、サーモスタットはOFFであり、低温モード時である。このときは同図に示す例のように、操作直後の2.5秒間でスプールは、ほぼ最大ストロークの8割付近まで作動する。
なお、クレーン作業の開始時は、スプールの変位量が時間に対して多い。そのため、上記式2の偏差量「en」値が大きく、指令値とフィードバック値との差も大きい。これに対し、時間が経つにつれ、スプールもストロークエンド付近になると、時間当たりのスプールの変位量も少なくなる。つまりスプールの作動速度も遅くなる。そのため、指令値が遅くなった分、同図に示すように、フィードバック値が指令値に追いつき、偏差「en」値が減少する。
以上説明したように、このクレーン1によれば、温度によって圧油の粘度が変化した場合であっても、各アクチュエータの応答性の変化を抑制することができる。
例えば、上記実施形態での温度パラメータは、高温、低温の2モードを設定した例であるが、これに限らず、作業機械によっては、モード数を更に多くして、実際の指令値に一層近づける構成を採用することもできる。しかし、作業機械が本実施形態のようなクレーンでは、精細な制御は要求されない。そのため、本実施形態の例のように、選択する温度パラメータがふたつ(2モード)であっても、作業記載がクレーンであれば、実際のクレーン作業に問題はない。また同様に、各アクチュエータごとに専用のパラメータを設定することもできるが、作業機械が本実施形態のようなクレーンであれば、各アクチュエータごとの専用パラメータ設定も必要とされない。
また、遠隔操作器19からのスイッチ操作により、手動パラメータ変更を行うようにすることも可能である。しかし、従来から備えられてある、遠隔操作器19に設けた既存のスイッチ(図6に示す符号19a〜f)のうち、予め決められた複数のスイッチが同時に操作されたときに、コントローラ30が、サーモスタット70のON/OFFの信号に応じて温度パラメータを切換えるようにすれば、本考案に係る作業機械用圧油制御装置を安価に構築することができる。
通常、このフック格納スイッチ19aを操作すると、ブーム先端下面から一定の距離を保ったまま、これ以上フックが巻き上がることを無くする巻過警報装置(図略)の作動を停止させつつ、作動圧を通常値から低圧に落とし、フックがブーム下面に当接格納するよう巻上作動させる。また、図6に示す下段左のスイッチ19cはブームを左右旋回させる、旋回作動スイッチである。この旋回作動スイッチ19cはトグルスイッチであり、上方操作で右旋回、下方操作で左旋回するようになっている。
通常では、上記2つのスイッチ19a、19cは同時に操作されることは無い。そのため、フック格納スイッチ19aを押しつつ、旋回作動スイッチ19cで右旋回操作をすれば、パ温度ラメータが切り替わるように、コントローラ30で制御させることも可能である。
4 ベース
5 旋回用油圧モータ(アクチュエータ)
6 コラム
7 ブーム
8 ブーム伸縮用油圧シリンダ(アクチュエータ)
9 ブーム起伏用油圧シリンダ(アクチュエータ)
10 ウインチ用油圧モータ(アクチュエータ)
11 ウインチ
12 ワイヤロープ
13 フック
14 タンク
15 エンジン
17 油圧ポンプ
18 操作レバー
19 遠隔操作器
20 コントロールバルブ
30 コントローラ
31、32、33、34 切換弁
70 サーモスタット(油温検出手段)
Claims (3)
- 車両のエンジンで駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプからの圧油を油圧源とする複数のアクチュエータと、該複数のアクチュエータへの圧油を給排する複数の切換弁を有するコントロールバルブと、前記複数のアクチュエータのそれぞれを遠隔作動させるための遠隔操作器とを備える作業機械に用いられ、前記切換弁内のスプールの変位量を検出する位置検出器からのフィードバック量と、前記遠隔操作器からの操作信号指令値との偏差を、予め設定された温度パラメータに基づいて補正するコントローラとを有する圧油制御装置であって、
前記油圧ポンプと前記コントロールバルブとの間に設けた油温検出手段を備え、前記コントローラは、前記油温検出手段からの信号に応じて、予め設定した温度に対応する複数の温度パラメータから一つの温度パラメータを選択し、当該選択した温度パラメータによって前記偏差を補正するようになっていることを特徴とする作業機械用圧油制御装置。 - 前記複数の温度パラメータは、低温用パラメータ、および該低温用パラメータよりも高い温度に対応して設定された高温用パラメータであり、前記コントローラは、前記油温検出手段からの信号により判断した温度が、予め設定した温度未満のときは低温用パラメータを選択し、予め設定した温度以上のときは高温用パラメータを選択することを特徴とする請求項1に記載の作業機械用圧油制御装置。
- 前記コントローラは、前記遠隔操作器に設けた既存のスイッチのうち、予め決められた複数のスイッチが同時に操作されたときに、前記油温検出手段からの信号に応じて前記温度パラメータを切換えることを特徴とする請求項2に記載の作業機械用圧油制御装置。
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JPWO2017154139A1 (ja) * | 2016-03-09 | 2018-07-26 | 三菱電機株式会社 | バルブ装置 |
JP2018119679A (ja) * | 2017-01-23 | 2018-08-02 | 株式会社不二越 | 油圧装置の異常検出装置、油圧装置、および加工母機 |
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CN116447184A (zh) * | 2023-06-20 | 2023-07-18 | 中联重科股份有限公司 | 液压系统控制方法、计算机设备及机器可读存储介质 |
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