JP3157060B2 - 高塩基性溶融型フラックス - Google Patents
高塩基性溶融型フラックスInfo
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- JP3157060B2 JP3157060B2 JP09716893A JP9716893A JP3157060B2 JP 3157060 B2 JP3157060 B2 JP 3157060B2 JP 09716893 A JP09716893 A JP 09716893A JP 9716893 A JP9716893 A JP 9716893A JP 3157060 B2 JP3157060 B2 JP 3157060B2
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- Japan
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- slag
- flux
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサブマージアーク溶接用
フラックスに関し、より詳しくは、大入熱の高速サブマ
ージアーク溶接において溶接作業性が良好で、かつ低温
靭性の優れた溶接金属を得ることができる溶融型フラッ
クスに関する。
フラックスに関し、より詳しくは、大入熱の高速サブマ
ージアーク溶接において溶接作業性が良好で、かつ低温
靭性の優れた溶接金属を得ることができる溶融型フラッ
クスに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】サブマ
ージアーク溶接用フラックスには、種々のものがある
が、焼結型フラックス(ボンドフラックス)と溶融型フラ
ックスに大別される。大入熱の高速サブマージアーク溶
接には、ポックマーク、ブローホール、ピット等のガス
欠陥発生の面から、炭酸塩を含有したボンドフラックス
は採用されず、炭酸塩を含有しない溶融型フラックスが
一般的に広く使用されている。
ージアーク溶接用フラックスには、種々のものがある
が、焼結型フラックス(ボンドフラックス)と溶融型フラ
ックスに大別される。大入熱の高速サブマージアーク溶
接には、ポックマーク、ブローホール、ピット等のガス
欠陥発生の面から、炭酸塩を含有したボンドフラックス
は採用されず、炭酸塩を含有しない溶融型フラックスが
一般的に広く使用されている。
【0003】従来、特開昭61−169194号、特開
昭61−180694号に提案されている技術がある
が、多層溶接用に開発されたもので、能率性に問題があ
る。
昭61−180694号に提案されている技術がある
が、多層溶接用に開発されたもので、能率性に問題があ
る。
【0004】すなわち、近年、能率を上げるため、1パ
スで溶接施工したいニーズが高まっている。しかし、前
記提案では、1パスで施工すると、すなわち、入熱を上
げると、以下のように、ビード形状が台形になる問題が
ある。
スで溶接施工したいニーズが高まっている。しかし、前
記提案では、1パスで施工すると、すなわち、入熱を上
げると、以下のように、ビード形状が台形になる問題が
ある。
【0005】スラグの粘性が正常な場合は、図1に示す
ように、スラグは溶鋼上に適正にかぶさり、溶鋼の流れ
を抑え、通常の溶滴状のプール形状となり、滑らかなビ
ード外観になる。
ように、スラグは溶鋼上に適正にかぶさり、溶鋼の流れ
を抑え、通常の溶滴状のプール形状となり、滑らかなビ
ード外観になる。
【0006】しかし、スラグの粘性が低いと、図2に示
すように、溶鋼の流れにより、スラグが溶鋼上に適正に
かぶさらず、後方に押しやられ、凝固が不規則になり、
台形(富士山)状のビード外観になる。
すように、溶鋼の流れにより、スラグが溶鋼上に適正に
かぶさらず、後方に押しやられ、凝固が不規則になり、
台形(富士山)状のビード外観になる。
【0007】また、一方では、溶融型フラックスの場
合、炭酸塩を含有していないので炭酸塩から発生するC
Oガスによるシールド効果が期待できないこと、高温で
溶解して製造されるために脱酸剤が添加できないことな
どにより、靭性性能、特に低温靭性が良くないという問
題がある。
合、炭酸塩を含有していないので炭酸塩から発生するC
Oガスによるシールド効果が期待できないこと、高温で
溶解して製造されるために脱酸剤が添加できないことな
どにより、靭性性能、特に低温靭性が良くないという問
題がある。
【0008】本発明は、上記従来技術の問題点を解決し
て、大入熱の高速サブマージアーク溶接において溶接作
業性が良好で、かつ低温靭性の優れた溶接金属を得るこ
とができる溶融型フラックスを提供することを目的とす
るものである。
て、大入熱の高速サブマージアーク溶接において溶接作
業性が良好で、かつ低温靭性の優れた溶接金属を得るこ
とができる溶融型フラックスを提供することを目的とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するための方策について種々検討した。まず、ビー
ドが台形になるのは、フラックスの塩基度を下げればこ
の傾向は改善されるが、低温靭性は劣化する。一方、低
温靭性を確保するために塩基度を上げると、大入熱での
作業性の劣化(ビードが台形)は助長される。
解決するための方策について種々検討した。まず、ビー
ドが台形になるのは、フラックスの塩基度を下げればこ
の傾向は改善されるが、低温靭性は劣化する。一方、低
温靭性を確保するために塩基度を上げると、大入熱での
作業性の劣化(ビードが台形)は助長される。
【0010】そこで、本発明者は、ビードが台形になる
のはスラグの粘性が低いためであることに鑑みて、スラ
グの粘度を上げるため、通常使われる手段であるSiO2
を増加させること、CaF2を減少させることを試みた。
しかし、溶接金属の酸素量が増加し(低温靭性の低下)、
またアンダーカット、スラグの焼付という問題が生じ
た。
のはスラグの粘性が低いためであることに鑑みて、スラ
グの粘度を上げるため、通常使われる手段であるSiO2
を増加させること、CaF2を減少させることを試みた。
しかし、溶接金属の酸素量が増加し(低温靭性の低下)、
またアンダーカット、スラグの焼付という問題が生じ
た。
【0011】このため、フラックスの各種成分を調査し
た結果、従来、スラグの粘性を上げる成分であったMn
Oを逆に抑制することにより、台形ビードが改善される
ことを見出した。そして、この知見に基づいて更に実験
研究を重ねて、ここに本発明を完成したものである。
た結果、従来、スラグの粘性を上げる成分であったMn
Oを逆に抑制することにより、台形ビードが改善される
ことを見出した。そして、この知見に基づいて更に実験
研究を重ねて、ここに本発明を完成したものである。
【0012】すなわち、本発明は、SiO2:25〜40
%、CaO:10〜20%、CaF2:20〜35%、Al
2O3:8〜20%、MgO:5〜15%、Na2O及びK2
Oの1種又は2種:0.5〜5%、を含み、必要に応じ
て更にB2O3:0.05〜0.50%を含むと共に、Mn
O:1%以下、TiO2:3%以下、FeO:1.5%以
下、に抑制し、かつ、 (CaO+CaF2+MgO)/(SiO2+MnO+FeO)
=1.2〜2.4 を満足していることを特徴とするサブマージアーク溶接
用溶融型フラックスを要旨としている。
%、CaO:10〜20%、CaF2:20〜35%、Al
2O3:8〜20%、MgO:5〜15%、Na2O及びK2
Oの1種又は2種:0.5〜5%、を含み、必要に応じ
て更にB2O3:0.05〜0.50%を含むと共に、Mn
O:1%以下、TiO2:3%以下、FeO:1.5%以
下、に抑制し、かつ、 (CaO+CaF2+MgO)/(SiO2+MnO+FeO)
=1.2〜2.4 を満足していることを特徴とするサブマージアーク溶接
用溶融型フラックスを要旨としている。
【0013】
【作用】以下に本発明について更に詳細に説明する。本
発明におけるフラックス成分の限定理由は以下のとおり
である。
発明におけるフラックス成分の限定理由は以下のとおり
である。
【0014】SiO2:25〜40% SiO2は酸性成分であって、スラグの融点及び粘性を調
整するのに有効な成分である。しかし、その含有量が2
5%未満であると溶融スラグの粘度が不足し、ビードの
蛇行やアンダーカットの発生原因となる。一方、含有量
が40%を超えるとフラツクスの塩基度が低下し、溶接
金属中の酸素量が増加して靭性が劣化するほか、スラグ
剥離性も悪くなる。したがって、SiO2量は25〜40
%の範囲とする。
整するのに有効な成分である。しかし、その含有量が2
5%未満であると溶融スラグの粘度が不足し、ビードの
蛇行やアンダーカットの発生原因となる。一方、含有量
が40%を超えるとフラツクスの塩基度が低下し、溶接
金属中の酸素量が増加して靭性が劣化するほか、スラグ
剥離性も悪くなる。したがって、SiO2量は25〜40
%の範囲とする。
【0015】CaO:10〜20% CaOは塩基性成分であってスラグの塩基度、粘性及び
融点を調整するのに有効な成分である。しかし、含有量
が10%未満では塩基度が不足して溶接金属中の酸素量
が増加するばかりでなく、スラグの粘度が不足気味とな
ってビードの蛇行が生じ易くなる。一方、20%を超え
るとスラグ剥離性が悪化すると共にフラックス自体の耐
吸湿性が悪くなり、ポックマークが発生し易くなる。し
たがって、CaO量は10〜20%の範囲とする。12
〜20%の範囲がより良好である。
融点を調整するのに有効な成分である。しかし、含有量
が10%未満では塩基度が不足して溶接金属中の酸素量
が増加するばかりでなく、スラグの粘度が不足気味とな
ってビードの蛇行が生じ易くなる。一方、20%を超え
るとスラグ剥離性が悪化すると共にフラックス自体の耐
吸湿性が悪くなり、ポックマークが発生し易くなる。し
たがって、CaO量は10〜20%の範囲とする。12
〜20%の範囲がより良好である。
【0016】CaF2:20〜35% CaF2は塩基性成分であるが、耐吸湿性を損う恐れがな
いのでフラックスの塩基性を高めるのに好都合な成分で
あり、またスラグの融点や流動性を調整するのに有効な
成分である。更にCaF2は溶接冶金反応に際してCaF2
+O→CaO+F2なる反応を起こし、発生したF2ガス
によって溶融金属を大気からシールドする効果もあり、
溶接金属の酸素含有率及び窒素含有率の低減に極めて有
効な成分である。しかし、含有量が20%未満では上記
の効果が有効に発揮されず、特に溶接金属中の酸素量が
増加して靭性不良となる。一方、含有量が35%を超え
るとスラグ巻込みが著しくなり、スラグ剥離性が悪くな
るほか、ポックマークも発生し易くなる。したがって、
CaF2量は20〜35%の範囲とする。20〜30%の
範囲がより良好である。
いのでフラックスの塩基性を高めるのに好都合な成分で
あり、またスラグの融点や流動性を調整するのに有効な
成分である。更にCaF2は溶接冶金反応に際してCaF2
+O→CaO+F2なる反応を起こし、発生したF2ガス
によって溶融金属を大気からシールドする効果もあり、
溶接金属の酸素含有率及び窒素含有率の低減に極めて有
効な成分である。しかし、含有量が20%未満では上記
の効果が有効に発揮されず、特に溶接金属中の酸素量が
増加して靭性不良となる。一方、含有量が35%を超え
るとスラグ巻込みが著しくなり、スラグ剥離性が悪くな
るほか、ポックマークも発生し易くなる。したがって、
CaF2量は20〜35%の範囲とする。20〜30%の
範囲がより良好である。
【0017】Al2O3:8〜20% Al2O3はほぼ中性の成分(弱酸性)であり、フラック
スの塩基度の低下をできるだけ抑えてスラグの融点及び
粘性を調整するのに有効な成分である。しかし、その含
有量が8%未満では生成スラグが粘性不足になってアン
ンダーカットを生じ易くなるばかりでなくスラグ剥離性
も悪くなる。一方、含有量が20%を超えるとスラグの
粘性が高くなりすぎて、スラグ巻込みやビードの凸状化
といった好ましくない現象が現れる。したがって、Al2
O3量は8〜20%の範囲とする。
スの塩基度の低下をできるだけ抑えてスラグの融点及び
粘性を調整するのに有効な成分である。しかし、その含
有量が8%未満では生成スラグが粘性不足になってアン
ンダーカットを生じ易くなるばかりでなくスラグ剥離性
も悪くなる。一方、含有量が20%を超えるとスラグの
粘性が高くなりすぎて、スラグ巻込みやビードの凸状化
といった好ましくない現象が現れる。したがって、Al2
O3量は8〜20%の範囲とする。
【0018】MgO:5〜15% MgOは塩基性成分として溶融金属中の酸素量を低減す
る効果があり、かつ粘性調整剤としての作用も有してい
る。しかし、その含有量が5%未満では溶融金属中の酸
素量の低減効果を十分発揮し得ず、また粘度不足により
ビードが蛇行し易くなる。一方、15%を超えると耐吸
湿性が劣化し、ポックマークが発生し易くなるほか、ス
ラグの焼付が増加し剥離性も悪くなる。したがって、M
gO量は5〜15%の範囲とする。
る効果があり、かつ粘性調整剤としての作用も有してい
る。しかし、その含有量が5%未満では溶融金属中の酸
素量の低減効果を十分発揮し得ず、また粘度不足により
ビードが蛇行し易くなる。一方、15%を超えると耐吸
湿性が劣化し、ポックマークが発生し易くなるほか、ス
ラグの焼付が増加し剥離性も悪くなる。したがって、M
gO量は5〜15%の範囲とする。
【0019】Na2O及びK2Oの1種又は2種:0.5〜5% Na2O及びK2Oはアーク安定剤やスラグの粘度調整剤
として効果がある。これら成分の含有量が0.5%未満
ではアーク安定性が悪くなり、ビードの凹凸や蛇行が著
しくなる。また、5%を超えると耐吸湿性が劣化し、ピ
ットやポックマークが発生する。これらの成分は各々単
独でも、或いは任意の割合で併用して上記範囲で含有さ
せることができる。
として効果がある。これら成分の含有量が0.5%未満
ではアーク安定性が悪くなり、ビードの凹凸や蛇行が著
しくなる。また、5%を超えると耐吸湿性が劣化し、ピ
ットやポックマークが発生する。これらの成分は各々単
独でも、或いは任意の割合で併用して上記範囲で含有さ
せることができる。
【0020】MnO:1%以下 MnOはスラグの粘性を上げる成分といわれてきたが、
本発明者の研究により、添加を制限することにより、逆
にスラグの粘性が上がり、著しくビード形状が改善され
ることが判明した。しかし、1%を超えると粘性が低下
してビード形状が悪くなるので、1%以下に抑える必要
がある。ビード改善の効果は0.5%以下でより良好で
ある。
本発明者の研究により、添加を制限することにより、逆
にスラグの粘性が上がり、著しくビード形状が改善され
ることが判明した。しかし、1%を超えると粘性が低下
してビード形状が悪くなるので、1%以下に抑える必要
がある。ビード改善の効果は0.5%以下でより良好で
ある。
【0021】TiO2:3%以下 TiO2はスラグ焼付きの原因となるCaO・TiO2を析
出させ、スラグ剥離性を急激に劣化させるので、3%以
下に抑える必要がある。より好ましくは1%以下に抑え
るのが望ましい。
出させ、スラグ剥離性を急激に劣化させるので、3%以
下に抑える必要がある。より好ましくは1%以下に抑え
るのが望ましい。
【0022】FeO:1.5% FeOは溶接金属中の酸素量を増加させ、靭性を低下さ
せ、またアンダーカットを発生させるので、1.5%以
下に抑える必要がある。
せ、またアンダーカットを発生させるので、1.5%以
下に抑える必要がある。
【0023】(CaO+CaF2+MgO)/(SiO2+MnO
+FeO)=1.2〜2.4 CaO、CaF2、MgOが溶接金属中の酸素量を低減させ
る働きをし、一方、SiO2、MnO、FeOは酸素量を増
加させる働きをすること、及びこれらの各成分には各々
最適配合率範囲があることは上述のとおりである。とこ
ろが、本発明者がこれらの各成分相互の関連について更
に予備実験で検討した結果、(CaO+CaF2+MgO)/
(SiO2+MnO+FeO)の比率によっても高速サブマー
ジアーク溶接における溶接作業性及び溶接金属中の酸素
量が大きく影響を受けることが判明した。すなわち、こ
の比率が1.2未満では、溶接作業性は比較的良好である
ものの溶接金属中の酸素量が増加し、溶接金属の衝撃性
能が劣化する。一方、2.4を超えると、溶接金属中の酸
素量は減少し溶接金属の衝撃性能は良好になるが、溶接
作業性が悪化し、特にスラグ巻込みやアンダーカットが
発生し易くなる。したがって、この比率は1.2〜2.4
の範囲とする。この効果は1.4〜2.4でより良好であ
る。
+FeO)=1.2〜2.4 CaO、CaF2、MgOが溶接金属中の酸素量を低減させ
る働きをし、一方、SiO2、MnO、FeOは酸素量を増
加させる働きをすること、及びこれらの各成分には各々
最適配合率範囲があることは上述のとおりである。とこ
ろが、本発明者がこれらの各成分相互の関連について更
に予備実験で検討した結果、(CaO+CaF2+MgO)/
(SiO2+MnO+FeO)の比率によっても高速サブマー
ジアーク溶接における溶接作業性及び溶接金属中の酸素
量が大きく影響を受けることが判明した。すなわち、こ
の比率が1.2未満では、溶接作業性は比較的良好である
ものの溶接金属中の酸素量が増加し、溶接金属の衝撃性
能が劣化する。一方、2.4を超えると、溶接金属中の酸
素量は減少し溶接金属の衝撃性能は良好になるが、溶接
作業性が悪化し、特にスラグ巻込みやアンダーカットが
発生し易くなる。したがって、この比率は1.2〜2.4
の範囲とする。この効果は1.4〜2.4でより良好であ
る。
【0024】B2O3:0.05〜0.50% 更に本発明では、B2O3を必要に応じて添加することが
できる。B2O3は溶接熱で還元され、〔B〕として溶接
金属中に歩留まって溶接金属の衝撃性能を向上させる働
きをする。しかし、その含有量が0.05%未満では溶
接金属中に歩留まる〔B〕が不足し、衝撃性能向上効果
を十分に発揮し得ない。一方、0.50%を超えると溶
接金属中の〔B〕量が多くなりすぎるために高温割れが
発生し易くなる。したがって、添加する場合のB2O3量
は0.05〜0.50%の範囲とする。
できる。B2O3は溶接熱で還元され、〔B〕として溶接
金属中に歩留まって溶接金属の衝撃性能を向上させる働
きをする。しかし、その含有量が0.05%未満では溶
接金属中に歩留まる〔B〕が不足し、衝撃性能向上効果
を十分に発揮し得ない。一方、0.50%を超えると溶
接金属中の〔B〕量が多くなりすぎるために高温割れが
発生し易くなる。したがって、添加する場合のB2O3量
は0.05〜0.50%の範囲とする。
【0025】なお、本発明の溶融型フラックスは、大入
熱の高速サブマージアーク溶接に適用して最も大きい効
果が得られるが、入熱の少ないサブマージアーク溶接に
も適用できることは云うまでもない。また、溶融型フラ
ックスに含有されることがある他の成分(ZrO2、Ba
O、Li2O、V2O5、Nb2O5、PbO、Bi)も微量で含
有させることもできる。
熱の高速サブマージアーク溶接に適用して最も大きい効
果が得られるが、入熱の少ないサブマージアーク溶接に
も適用できることは云うまでもない。また、溶融型フラ
ックスに含有されることがある他の成分(ZrO2、Ba
O、Li2O、V2O5、Nb2O5、PbO、Bi)も微量で含
有させることもできる。
【0026】次に本発明の実施例を示す。
【0027】表1及び表2に示す組成のフラックスを常
法に従って溶製し、溶接作業性、衝撃値を調べた。溶接
条件及び試験方法は次のとおりである。試験結果を表1
及び表2に併記する。
法に従って溶製し、溶接作業性、衝撃値を調べた。溶接
条件及び試験方法は次のとおりである。試験結果を表1
及び表2に併記する。
【0028】〈溶接条件〉 母材:X60相当材(40mm厚×1000mm長) ワイヤ:サイズ…4.0mmφ又は4.8mmφ 成分…0.14%C−0.03%Si−1.00%Mn−5
Ni%含有鋼 溶接条件:3電極両面一層溶接 溶接入熱…100〜200kJ/cm 溶接速度…60cm/min フラックス粒度:20×Dメッシュ 開先形状:図3に示す開先形状。
Ni%含有鋼 溶接条件:3電極両面一層溶接 溶接入熱…100〜200kJ/cm 溶接速度…60cm/min フラックス粒度:20×Dメッシュ 開先形状:図3に示す開先形状。
【0029】〈衝撃試験〉試験片は、板厚中央からJI
S Z3214 4号試験片(2mmVサイドノッチ)を採取
し、−60℃で試験を行った。試験は3本の試験片を用
いて行い、その平均値を示した。
S Z3214 4号試験片(2mmVサイドノッチ)を採取
し、−60℃で試験を行った。試験は3本の試験片を用
いて行い、その平均値を示した。
【0030】各表より明らかなように、本発明例はいず
れも、一層溶接の大入熱サブマージアーク溶接によって
もビード外観が優れ、また靭性性能も優れている。
れも、一層溶接の大入熱サブマージアーク溶接によって
もビード外観が優れ、また靭性性能も優れている。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の溶融型フ
ラックスによれば、大入熱の高速サブマージアーク溶接
においても、溶接作業性が良好で、かつ低温靭性の優れ
た溶接金属を得ることができるので、高能率溶接が可能
となる。
ラックスによれば、大入熱の高速サブマージアーク溶接
においても、溶接作業性が良好で、かつ低温靭性の優れ
た溶接金属を得ることができるので、高能率溶接が可能
となる。
【図1】スラグの粘性が正常な場合のスラグと溶鋼流れ
の状態を説明する図である。
の状態を説明する図である。
【図2】スラグの粘性が低い場合のスラグと溶鋼流れの
状態を説明する図である。
状態を説明する図である。
【図3】開先形状を示す断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−95898(JP,A) 特開 平2−258191(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/362
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、 SiO2:25〜40%、 CaO:10〜20%、 CaF2:20〜35%、 Al2O3:8〜20%、 MgO:5〜15%、 Na2O及びK2Oの1種又は2種:0.5〜5%、を含む
と共に、 MnO:1%以下、 TiO2:3%以下、 FeO:1.5%以下、に抑制し、かつ、 (CaO+CaF2+MgO)/(SiO2+MnO+FeO)
=1.2〜2.4 を満足していることを特徴とするサブマージアーク溶接
用溶融型フラックス。 - 【請求項2】 B2O3:0.05〜0.50%を含有して
いる請求項1に記載のサブマージアーク溶接用溶融型フ
ラックス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09716893A JP3157060B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | 高塩基性溶融型フラックス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09716893A JP3157060B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | 高塩基性溶融型フラックス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06285679A JPH06285679A (ja) | 1994-10-11 |
JP3157060B2 true JP3157060B2 (ja) | 2001-04-16 |
Family
ID=14185054
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09716893A Expired - Fee Related JP3157060B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | 高塩基性溶融型フラックス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3157060B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101585123A (zh) * | 2009-06-01 | 2009-11-25 | 林肯电气合力(郑州)焊材有限公司 | 一种不锈钢用烧结焊剂 |
CN104772579A (zh) * | 2014-01-15 | 2015-07-15 | 日铁住金溶接工业株式会社 | 多电极单面埋弧焊用粘结焊剂 |
JP6796962B2 (ja) * | 2016-07-13 | 2020-12-09 | 株式会社神戸製鋼所 | サブマージアーク溶接方法 |
JP7440303B2 (ja) * | 2020-03-06 | 2024-02-28 | 株式会社神戸製鋼所 | エレクトロスラグ溶接用フラックス及びエレクトロスラグ溶接方法 |
-
1993
- 1993-03-31 JP JP09716893A patent/JP3157060B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06285679A (ja) | 1994-10-11 |
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