しかし、上記従来の避難梯子では、避難するときに、上昇位置にあるそれぞれの第1及び第2可動縦桟を、避難者が1本ずつ下降位置に移動させる必要があり、手間が掛かる。そして、第1及び第2可動縦桟の上端部が、上枠の側壁の内面に挟み込まれて、両者の摩擦力によって、この第1及び第2可動縦桟が上昇位置に保持されているので、避難者は、第1及び第2可動縦桟を、この摩擦力に抗して押し下げる必要があり、高齢者、女性、及び子供には、負担が大きく、迅速な避難の妨げとなる。
また、この避難梯子は、上記のように第1及び第2可動縦桟を、上枠の側面との摩擦力に抗して上下移動させることによって、複数の各第1及び第2横桟を、折畳み位置に揺動移動させて使用できない状態にしたり、開位置に揺動させて使用できる状態にすることができるが、このように第1及び第2可動縦桟を上下移動させることを、第1及び第2可動縦桟の上部及び下部のいずれの部分でも手で持って行うことができるので、防犯上好ましくない。
本考案は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、避難梯子として使用できない折り畳んだ状態から、梯子として使用できる開状態に極めて簡単に、しかも迅速に変更することができ、梯子として使用するときに揺れることがなく安全に避難でき、更に、避難梯子を開状態に操作するための作動機構を、侵入者が操作できない箇所に設けることができる避難梯子を提供することを目的としている。
本考案に係る避難梯子は、縦方向に取り付けられる支柱部と、この支柱部の左右いずれか一方の側部に複数の第1横桟を介して揺動自在に設けられている第1縦桟と、前記支柱部の他方の側部に複数の第2横桟を介して揺動自在に設けられている第2縦桟と、前記支柱部に設けられ、前記複数の第1横桟及び前記複数の第2横桟を、前記支柱部に対して略直交する開位置に係止することができる係止機構と、前記支柱部に設けられ、前記複数の第1横桟及び前記複数の第2横桟を、前記支柱部に対して平行する側に折り畳まれた折畳み位置に係止することができる作動機構とを備え、前記第1及び第2縦桟は、前記複数の第1及び第2横桟が前記折畳み位置にあるときに上昇位置にあり、前記複数の第1及び第2横桟が前記開位置にあるときに下降位置にあり、前記作動機構は、前記複数の第1及び第2横桟が前記折畳み位置に係止されている両方の係止状態を1つの操作で解除することができるように構成されていることを特徴とするものである。
本考案に係る避難梯子によると、避難者がこの避難梯子を使用するときは、作動機構に対して1つの操作をすることによって、折畳み位置に係止されている複数の第1及び第2横桟の両方の係止状態を略同時に解除することができる。このとき、第1及び第2縦桟、並びに複数の第1及び第2横桟は、自動的に自重によって下側方向に揺動移動して、複数の第1及び第2横桟が、支柱部に対して略直行する開位置に揺動移動する。係止機構は、複数の第1横桟及び複数の第2横桟を、この開位置に係止することができ、避難者は、この避難梯子を梯子として使用して避難することができる。そして、避難者は、作動機構に対して1つの操作をすることによって、避難梯子の折畳み位置に係止されている状態を解除して、梯子としての使用状態にすることを短時間で行うことができるので、避難者は、迅速に避難できる。
そして、避難梯子を使用しないときは、例えば利用者が、第1及び第2縦桟を上側方向に揺動移動させることによって、複数の第1及び第2横桟を、支柱部に対して平行する側に折り畳まれる折畳み位置に揺動移動させることができる。作動機構は、複数の第1横桟及び複数の第2横桟を、この折畳み位置に係止することができ、これによって、この避難梯子を使用して上り下りすることができないようにすることができる。
また、これら複数の第1及び第2横桟、並びに第1及び第2縦桟を折畳み位置に揺動移動させた状態では、この避難梯子が、縦方向に設置された1本の支柱として見えるようにすることができる。
更に、支柱部には、複数の第1及び第2横桟、並びに第1及び第2縦桟が設けられており、この支柱部を建物に固定して取り付けることによって、避難者がこの避難梯子を使用するときに、梯子が揺れないので、安全に避難することができる。
本考案に係る避難梯子において、前記第1縦桟は、前記複数の第1横桟を、前記支柱部に対して略直交する前記開位置と、前記支柱部に対して平行する側に折り畳まれた前記折畳み位置との間で揺動させることができ、前記第2縦桟は、前記複数の第2横桟を、前記支柱部に対して略直交する前記開位置と、前記支柱部に対して平行する側に折り畳まれた前記折畳み位置との間で揺動させることができ、前記作動機構は、前記支柱部に設けられている第1係合部材及び第2係合部材と、前記第1縦桟に設けられ、前記第1横桟が前記折畳み位置に移動したときに、前記第1係合部材に係脱自在に係合される第1被係合部と、前記第2縦桟に設けられ、前記第2横桟が前記折畳み位置に移動したときに、前記第2係合部材に係脱自在に係合される第2被係合部と、前記支柱部に設けられ、前記第1被係合部に係合する前記第1係合部材、及び前記第2被係合部に係合する前記第2係合部材に作用してそれぞれの係合を解除することができる操作部とを備えているものとすることができる。
このようにすると、この作動機構は、複数の第1横桟及び第1縦桟を、開位置から折畳み位置に揺動移動させたときに、支柱部に設けられている第1係合部材が、第1縦桟に設けられている第1被係合部に係合して、複数の第1横桟及び第1縦桟が、開位置に揺動移動しないように係止することができる。
同様に、この作動機構は、複数の第2横桟及び第2縦桟を、開位置から折畳み位置に揺動移動させたときに、支柱部に設けられている第2係合部材が、第2縦桟に設けられている第2被係合部に係合して、複数の第2横桟及び第2縦桟が、開位置に揺動移動しないように係止することができる。
そして、避難者が、操作部に対して1つの操作を行なうことによって、第1係合部材と第1被係合部との係合、及び第2係合部材と第2被係合部との係合をそれぞれ解除することができ、これによって、上昇位置にある第1及び第2縦桟が、それらの自重によって自動的に下降位置に下降移動する。その結果、複数の第1及び第2横桟は、開位置に揺動移動した状態となり、避難者は、短時間でこの避難梯子を使用可能状態にすることができ、避難することができる。
本考案に係る避難梯子において、前記第1係合部材は、第1枢支部を介して揺動自在に前記支柱部に設けられ、前記第2係合部材は、第2枢支部を介して揺動自在に前記支柱部に設けられ、前記第1係合部材を、前記第1被係合部に係合させる揺動方向に付勢する第1付勢部が設けられ、前記第1係合部材は、前記第1被係合部と係合する係合位置で、前記第2枢支部と当接して、前記第1付勢部によって付勢されて揺動することが係止され、前記第2係合部材を、前記第2被係合部に係合させる揺動方向に付勢する第2付勢部が設けられ、前記第2係合部材は、前記第2被係合部と係合する係合位置で、前記第1枢支部と当接して、前記第2付勢部によって付勢されて揺動することが係止され、前記操作部は、前記第1及び第2被係合部のそれぞれと係合する前記第1及び第2係合部材を、略同時にそれぞれの係合状態を解除する方向に押圧することができるものとすることができる。
このようにすると、複数の第1横桟(、第2横桟)が折畳み位置に揺動移動すると、支柱部に設けられている第1係合部材(、第2係合部材)が、第1縦桟(、第2横桟)に設けられている第1被係合部(、第2被係合部)に係合する。このとき、第1付勢部(、第2付勢部)は、第1係合部材(、第2係合部材)が第1被係合部(、第2被係合部)に係合する方向にこの第1係合部材(、第2係合部材)を付勢しているので、第1被係合部(、第2被係合部)が第1係合部材(、第2係合部材)から外れないようにすることができる。
また、操作部が操作されて第1係合部材と第1被係合部(、第2係合部材と第2被係合部)との係合状態が解除されて、第1被係合部(、第2被係合部)が第1係合部材(、第2係合部材)から外れても、第1係合部材(、第2係合部材)は、第1被係合部(、第2被係合部)と係合する係合位置で、第2枢支部(、第1枢支部)と当接しており、第1付勢部(、第2付勢部)によって付勢されてその付勢方向にそれ以上に揺動しないように係止されている。これによって、次に、複数の第1横桟(、複数の第2横桟)が折畳み位置に揺動移動したときに、支柱部に設けられている第1係合部材(、第2係合部材)は、第1縦桟(、第2縦桟)に設けられている第1被係合部(、第2被係合部)に係合することができる状態となっており、この第1被係合部(、第2被係合部)に確実に係合することができる。
更に、避難者は、操作部を押圧操作することによって、第1及び第2被係合部のそれぞれと係合する第1及び第2係合部材に対して、略同時にそれぞれの係合状態を解除することができる。よって、高齢者、女性、及び子供等の避難者であっても、この避難梯子を短時間で、簡単に、しかも小さい力で使用できる状態にすることができ、避難時間の短縮を図ることができる。
本考案に係る避難梯子において、前記支柱部に形成され、前記第1横桟が前記折畳み位置にある状態で、前記第1縦桟及び前記複数の第1横桟を収容することができる第1収容部と、前記支柱部に形成され、前記第2横桟が前記折畳み位置にある状態で、前記第2縦桟及び前記複数の第2横桟を収容することができる第2収容部と、前記支柱部に設けられ、前記第1収容部に収容されている前記第1縦桟及び前記複数の第1横桟を当該第1収容部から押し出すことができる第1押出しバネと、前記支柱部に設けられ、前記第2収容部に収容されている前記第2縦桟及び前記複数の第2横桟を当該第2収容部から押し出すことができる第2押出しバネと、前記第1縦桟に設けられている第1把手、及び前記第2縦桟に設けられている第2把手とを備えるものとすることができる。
このようにすると、第1横桟が折畳み位置にある状態で、第1縦桟及び複数の第1横桟を第1収容部に収容することができ、第2横桟が折畳み位置にある状態で、第2縦桟及び複数の第2横桟を第2収容部に収容することができる。これによって、第1及び第2横桟を折り畳んだ状態で、複数の第1及び第2横桟、並びに第1及び第2縦桟が、第1及び第2収容部に収容されて外側から見え難くすることができ、この避難梯子の美観の向上を図ることができる。
そして、第1及び第2横桟を折り畳んだ状態で、複数の第1及び第2横桟、並びに第1及び第2縦桟が、第1及び第2収容部に収容されるので、例えば不審者が、この避難梯子を利用して上位階や下位階に侵入することを確実に防止できる。
また、複数の第1及び第2横桟が折畳み位置に係止されている状態で、避難者が、作動機構を操作してその両方の係止状態を解除すると、第1押出しバネが、第1収容部に収容されている第1縦桟及び複数の第1横桟を第1収容部から押し出すことができ、そして、第2押出しバネが、第2収容部に収容されている第2縦桟及び複数の第2横桟を第2収容部から押し出すことができる。これによって、折り畳まれた状態の複数の第1及び第2横桟を、すばやく、しかも確実に開位置に揺動移動させて使用できる状態にすることができる。
更に、第1及び第2縦桟には、それぞれ第1及び第2把手が設けられているので、これら第1及び第2把手を手で掴んで、開位置にある第1及び第2縦桟、並びに複数の第1及び第2横桟を、極めて簡単に折畳み位置に揺動移動させることができる。
本考案に係る避難梯子において、前記複数の第1横桟は、互いに所定の間隔を隔てて配置され、それぞれの一端部が前記支柱部に対して枢支部を介して揺動自在に連結すると共に、それぞれの他端部が前記第1縦桟に対して枢支部を介して揺動自在に連結し、前記複数の第2横桟は、互いに所定の間隔を隔てて配置され、それぞれの一端部が前記支柱部に対して枢支部を介して揺動自在に連結すると共に、それぞれの他端部が前記第2縦桟に対して枢支部を介して揺動自在に連結し、前記複数の各第1横桟及び前記複数の各第2横桟は、前記支柱部を基準にして略左右対称位置に設けられているものとすることができる。
このようにすると、第1及び第2縦桟を、支柱部に対して略平行する状態で、揺動移動させることができる構成とすることができ、複数の第1及び第2横桟を、スムースに折畳み位置と開位置との間で揺動移動させることができる。
そして、複数の各第1横桟及び複数の各第2横桟を、支柱部を基準にして略左右対称位置に設けることによって、避難者が上り下りのし易い梯子を提供することができる。
本考案に係る避難梯子において、前記係止機構は、第1係止部材及び第2係止部材を有し、前記第1及び第2係止部材は、それぞれの一端部が前記支柱部に対して枢支部を介して揺動自在に連結し、前記第1係止部材の他端部は、前記第1横桟に対してその長さ方向に摺動自在に連結し、前記第1横桟が前記支柱部に対して略直交する前記開位置にあるときに、前記第1横桟に設けられた第1係止部に当接して、前記第1横桟の前記第1縦桟側の他端部が下方に向かう方向に揺動しないように前記第1横桟を係止し、前記第2係止部材の他端部は、前記第2横桟に対してその長さ方向に摺動自在に連結し、前記第2横桟が前記支柱部に対して略直交する前記開位置にあるときに、前記第2横桟に設けられた第2係止部に当接して、前記第2横桟の前記第2縦桟側の他端部が下方に向かう方向に揺動しないように前記第2横桟を係止するものとすることができる。
このようにすると、複数の第1及び第2横桟が開位置にあるときに、避難者が例えば第1横桟(又は第2横桟)に体重をかけると、第1係止部材(又は第2係止部材)の一端部と他端部に対して、この第1係止部材(又は第2係止部材)を、曲げる方向ではなく、圧縮する方向に力が掛かる。これによって、この第1係止部材(又は第2係止部材)は、開位置にある複数の第1横桟(又は第2横桟)を強力に保持することができる。
しかも、係止機構が、複数の第1及び第2横桟を開位置に保持している状態で、第1及び第2係止部材、並びに第1及び第2縦桟の下端部が、下位階の床面に当接しないので、第1及び第2横桟を折畳み状態から開状態となるときに、第1及び第2縦桟が所定の下降位置に移動することを、下位階の床面に置かれている物品によって妨げられないようにすることができ、確実に開状態にすることができる。
本考案に係る避難梯子において、前記支柱部の上部が、建物の上位階の床に形成された避難用開口部の内面に固定して取り付けられ、前記支柱部の下部が、前記上位階の下側の下位階の床に固定して取り付けられるものとすることができる。
このように、支柱部の上部及び下部を、上下の各階の床に固定して取り付けると、避難者がこの避難梯子を使用しているときに避難梯子が揺れないので、避難者は、安全で迅速に避難することができる。
本考案に係る避難梯子によると、避難者がこの避難梯子を使用するときは、作動機構に対して1つの操作をすることによって、折畳み位置に係止されている複数の第1及び第2横桟の両方の係止状態を略同時に解除することができる。これによって、高齢者、女性、及び子供等の避難者であっても、この複数の第1及び第2横桟を、自動的に開位置に迅速、簡単に揺動移動させることができ、この避難梯子を使用して迅速に避難することができる。
そして、複数の第1及び第2横桟、並びに第1及び第2縦桟を折畳み位置に揺動移動させた状態では、縦方向に設置された1本の支柱として見えるようにすることができる。従って、この避難梯子の見栄えが良く、避難梯子が設置されている建物の美観を損なわないようにすることができる。
また、この避難梯子を、折畳み位置の状態にしておくことによって、この避難梯子を使用して上り下りすることができないようにすることができる。従って、例えば不審者が上位階や下位階に侵入することを防止できる。
そして、作動機構を、例えば支柱部の上端部に設けることによって、下位階で作動機構を操作できないようにすることができ、下位階から上位階への侵入を防止できる。
更に、支柱部の左右の各側部に、複数の第1横桟、及び複数の第2横桟が設けられているので、第1及び第2横桟のそれぞれの長さを必要に応じて短くしても、この第1及び第2横桟が開位置にある状態で、第1及び第2横桟の合計の横幅を避難者が安全に上り下りできる寸法に形成することができる。
なお、このように、第1及び第2横桟のそれぞれの長さを必要に応じて短くする理由は、横桟を開いた状態で、上下の横桟の間隔が狭くなるようにして、高齢者、女性、及び子供でも安全に上り下りできるようにすると共に、横桟を折り畳んだ状態で、上下の横桟が重なり合わないようにするためである。
以下、本考案に係る避難梯子の一実施形態を、図1〜図11を参照して説明する。この避難梯子11は、図1及び図2に示すように、建物の上位階の床12と、その下側の下位階の床12とを接続するように略鉛直方向(縦方向)に立てた状態で設置される。そして、避難梯子11は、棒状の支柱部13を備えており、この支柱部13の上端部が、建物の上位階の床12に形成された避難用開口部14(ハッチ)の内面に固定して取り付けられている。そして、支柱部13の下部が、前記上位階の下側の下位階の床面に固定して取り付けられている。
また、この避難梯子11は、図1及び図2に示すように、支柱部13の左右の各側部に設けられている複数の第1横桟15、及び複数の第2横桟16を開いた状態にすることができる。よって、上位階の避難者は、緊急時には、この開いた状態の避難梯子11を使用して下位階に避難することができる。
そして、この避難梯子11を使用していないときは、図3に示すように、複数の第1横桟15、及び複数の第2横桟16を折り畳んだ状態にすることができる。よって、この避難梯子11は、梯子としての形状が外観として現れず、見栄えを良くすることができる。
また、図3に示すように、上位階の床12に形成された避難用開口部14には、この避難用開口部14を開閉することができる上蓋17及び下蓋18が設けられている。ただし、この下蓋18には、切欠き部が形成され、この切欠き部には、下蓋18が閉じた状態で、折り畳まれて支柱部13の太さとなった状態の避難梯子11が挿通される。
支柱部13は、図4に示すように、例えば断面形状が略H型のアルミ製の押出成形材であり、その上端部の背面には、2本のボルト19、19によって固定金具20が取り付けられている。この固定金具20は、図1に示すように、取付け枠21にボルトで取り付けられ、この取付け枠21は、建物の上位階の床12に形成された避難用開口部14の内壁面に固定して取り付けられている。そして、支柱部13の下端部は、図1に示すように、固定部材22を介して建物の下位階の床12の上面にボルトで取り付けられている。
そして、図4に示すように、この支柱部13の左側部には、複数の第1横桟15を介して揺動自在に第1縦桟23が設けられ、支柱部13の右側部には、複数の第2横桟16を介して揺動自在に第2縦桟24が設けられている。
これら複数の第1横桟15は、図1及び図4に示すように、互いに所定の一定間隔を隔てて支柱部13に沿って配置され、それぞれの一端部が支柱部13に対して枢支部(連結軸)25を介して揺動自在に連結すると共に、それぞれの他端部が第1縦桟23に対して枢支部(連結軸)26を介して揺動自在に連結している。
同様に、複数の第2横桟16は、図1及び図4に示すように、互いに所定の一定間隔を隔てて配置され、それぞれの一端部が支柱部13に対して枢支部(連結軸)25を介して揺動自在に連結すると共に、それぞれの他端部が第2縦桟24に対して枢支部(連結軸)26を介して揺動自在に連結している。
そして、図1に示すように、複数の各第1横桟15及び複数の各第2横桟16は、略鉛直方向に配置された支柱部13を基準にして、略左右対称位置に設けられている。
そして、この第1縦桟23は、図4に示すように複数の第1横桟15を、支柱部13に対して略直交する開位置(略水平方向に向かう位置)と、図5及び図8に示すように、支柱部13に対して平行する側に折り畳まれた折畳み位置(略鉛直方向に向かう位置)との間で揺動させることができるように設けられている。
同様に、第2縦桟24は、図4に示すように複数の第2横桟16を、支柱部13に対して略直交する開位置(略水平方向に向かう位置)と、図5及び図8に示すように、支柱部13に対して平行する側に折り畳まれた折畳み位置(略鉛直方向に向かう位置)との間で揺動させることができるように設けられている。
なお、図1に示すように、避難梯子11の第1縦桟23及び複数の第1横桟15、並びに第2縦桟24及び複数の第2横桟16を開位置に保持しているのは、第1係止機構27、及び第2係止機構28(図11参照)である。そして、図3に示すように、避難梯子11の第1縦桟23及び複数の第1横桟15、並びに第2縦桟24及び複数の第2横桟16を折畳み位置で保持しているのは、図6〜図9に示す作動機構29である。
そして、これら第1縦桟23、第1横桟15、第2縦桟24、及び第2横桟16は、それぞれ例えばアルミニュームや鉄等の金属製であり、C型チャンネル材によって形成されている。
これら第1及び第2係止機構27、28は、図1に示すように、この避難梯子11の下端側部に設けられている。そして、第1係止機構27は、第1係止部材30を有し、この第1係止部材30によって、避難梯子11の左側部に設けられている第1縦桟23及び複数の第1横桟15を開位置に保持することができるものである。そして、第2係止機構28は、第2係止部材31を有し、この第2係止部材31によって、避難梯子11の右側部に設けられている第2縦桟24及び複数の第2横桟16を開位置に保持することができるものである。
ただし、第1係止機構27は、第2係止機構28と同等のものであるので、第2係止機構28を説明し、第1係止機構27の説明を省略する。
第2係止機構28は、図11に示すように、第2係止部材31を有している。この第2係止部材31は、その一端部が支柱部13の下端部に対して枢支部(連結軸)32を介して揺動自在に連結している。そして、第2係止部材31の他端部は、避難梯子11の下端部に設けられている第2横桟16の内側に設けられている第2内側部材33と連結している。
この図11に示す第2内側部材33は、例えば第2横桟16よりも少し短い長さのC型チャンネル材であり、この第2内側部材33に互いに対向して形成されている側壁には、それぞれ長孔34が形成されている。そして、この一対の長孔34、34は、第2横桟16の長さ方向と平行して形成され、この一対の長孔34、34には、摺動ピン35がこの長孔34に沿って摺動自在に係合している。そして、この摺動ピン35は、第2係止部材31の他端部に設けられている。
そして、第2係止部材31は、図11に実線で示すように、第2内側部材33(第2横桟16)が支柱部13に対して略直交する開位置にあるときに、摺動ピン35が、第2内側部材33(第2横桟16)に形成された第2係止部34aに当接して、第2横桟16の他端部(第2縦桟24が連結している側の端部)が下方に向かう方向に揺動しないように第2横桟16を係止することができるように形成されている。
なお、この第2係止部34aは、一対の各長孔34の第2縦桟24に向かう側の端部を形成する内縁部である。
これら第1係止機構27及び第2係止機構28によると、図1及び図11に示すように、複数の第1及び第2横桟15、16が開位置にあるときに、避難者が例えば第2横桟16(又は第1横桟15)に体重をかけると、第2係止部材31(又は第1係止部材30)の一端部と他端部に対して、この第2係止部材31(又は第1係止部材30)を、曲げる方向ではなく、圧縮する方向に力が掛かる。これによって、この第2係止部材31(又は第1係止部材30)は、開位置にある複数の第2横桟16(又は第1横桟15)を、強力にその開位置に保持することができる。
しかも、第1及び第2係止機構27、28が、複数の第1及び第2横桟15、16を開位置に保持している状態で、第1及び第2係止部材30、31、並びに第1及び第2縦桟23、24の下端部が、下位階の床面に当接しないので、第1及び第2横桟15、16を折り畳んだ状態から開状態にするときに、第1及び第2縦桟23、24が、図1及び図11に示す所定の下降位置に移動することを、下位階の床面に置かれている物品によって妨げられないようにすることができ、確実に開状態にすることができる。
作動機構29は、図6〜図10に示すように、支柱部13の上端部に設けられ、図8に実線で示すようにして、複数の第1横桟15及び複数の第2横桟16を、支柱部13に対して平行する側に折り畳まれた折畳み位置に係止することができるものである。
ここで、第1及び第2縦桟23、24は、図3に示すように、複数の第1及び第2横桟15、16が折畳み位置にあるときに上昇位置にあり、図1に示すように、複数の第1及び第2横桟15、16が開位置にあるときに下降位置にある。
更に、作動機構29は、複数の第1及び第2横桟15、16が折畳み位置に係止されている両方の係止状態を、避難者による1つの押圧操作で略同時に解除することができるように構成されている。
このように、複数の第1及び第2横桟15、16が折畳み位置に係止されている両方の係止状態が解除されると、上昇位置にある第1及び第2縦桟23、24が、その自重によって下降して下降位置に揺動移動し、これによって、複数の第1及び第2横桟15、16が略同時に開状態となる。
作動機構29は、図6に示すように、支柱部13に設けられている第1係合部材36及び第2係合部材37と、第1縦桟23の上端部に設けられている第1被係合部(被係合ピン)38と、第2縦桟24の上端部に設けられている第2被係合部(被係合ピン)39とを有している。
図6に示すように、第1被係合部38は、第1横桟15が開位置から折畳み位置に移動したときに、第1係合部材36の第1係合凹部36aに係脱自在に係合されるものである。そして、第2被係合部39は、第2横桟16が開位置から折畳み位置に移動したときに、第2係合部材37の第2係合凹部37aに係脱自在に係合されるものである。
そして、第1係合部材36は、図6に示すように、略長方形の板状部材であり、第1枢支部(枢軸)40を介して揺動自在にブラケット42に設けられている。このブラケット42は、板状部材であり、互いに間隔を隔て2つ配置され、支柱部13にボルト43、43(図8参照)で取り付けられている。
第2係合部材37は、第1係合部材36と同等のものであり、略長方形の板状部材であり、第2枢支部(枢軸)41を介して揺動自在にブラケット42を介して支柱部13に取り付けられている。
そして、第1係合部材36には、この第1係合部材36を、第1被係合部38に係合させる揺動方向に付勢する第1付勢部(引っ張りコイルバネ)44の一端部が接続し、この第1付勢部44の他端部がブラケット42に接続している。
また、第1係合部材36は、その一端に形成された第1係合凹部36aが第1被係合部38の上縁部と係合する係合位置で、第1係合部材36の他端36bが第2枢支部41の下縁部と当接して、この第1係合部材36が第1付勢部44によって付勢されて、それ以上に反時計方向に揺動することが係止されている。
同様に、第2係合部材37には、この第2係合部材37を、第2被係合部39に係合させる揺動方向に付勢する第2付勢部(引っ張りコイルバネ)45の一端部が接続し、この第2付勢部45の他端部がブラケット42に接続している。
そして、上記と同様に、第2係合部材37は、その一端に形成された第2係合凹部37aが第2被係合部39の上縁部と係合する係合位置で、第2係合部材37の他端37bが第1枢支部40の下縁部と当接して、この第2係合部材37が第2付勢部45によって付勢されて、それ以上に時計方向に揺動することが係止されている。
操作部46は、図6に示すように、断面形状が略コ字形状であって、下側及び左右方向に開口するように形成され、第3枢支部(枢軸)47を介して上下方向に揺動自在にブラケット42に設けられている。そして、この操作部46の上部壁の下面には、操作凸部46aが設けられている。
この操作凸部46aは、第1被係合部38に係合する第1係合部材36の、第2枢支部41側の他端部の上縁部、及び第2被係合部39に係合する第2係合部材37の、第1枢支部40側の他端部の上縁部を、略同時に下方に向かって押圧することができて、第1及び第2係合部材36、37(第1及び第2係合凹部36a、37a)の第1及び第2被係合部38、39に対するそれぞれの係合状態を、略同時に解除することができるものである。
そして、図10等に示すように、この操作部46の互いに対向して形成されている2つの側壁部の間には、支柱部13の上端部、及びこの支柱部13の上端部から上方に突出して取り付けられている一対のブラケット42、42が収容されている。
また、図4及び図5に示すように、支柱部13の左側部には、第1収容部48が形成され、支柱部13の右側部には、第2収容部49が形成されている。
この第1収容部48は、図5に示すように、第1縦桟23、及び複数の第1横桟15を折り畳んだときに、これら第1縦桟23、及び複数の第1横桟15を内側に収容することができるものである。そして、第2収容部49は、第2縦桟24、及び複数の第2横桟16を折り畳んだときに、これら第2縦桟24、及び複数の第2横桟16を内側に収容することができるものである。
このように、第1縦桟23、及び複数の第1横桟15が第1収容部48に収容されると共に、第2縦桟24、及び複数の第2横桟16が第2収容部49に収容された状態では、図3に示すように、この避難梯子11を正面から見ると、1本の支柱部13のみが外観として現れ、第1及び第2縦桟23、24、並びに第1及び第2横桟15、16が正面からは見えないようになっている。
この第1収容部48は、図4に示すように、断面形状が略H形の支柱部13が有している互いに対向する2つの側壁部13a、13aの左側部と、結合壁部13bとによって形成されている。そして、第2収容部49は、この支柱部13の2つの側壁部13a、13aの右側部と、結合壁部13bとによって形成されている。
次に、図8を参照して、第1及び第2収容部48、49のそれぞれの奥側部に取り付けられている第1押出しバネ50、及び第2押出しバネ51を説明する。
第1押出しバネ50は、図8に示すように、屈曲形成された板バネであり、折り畳まれて第1収容部48に収容されている第1縦桟23、及び複数の第1横桟15を、この第1収容部48から左外側に押し出すことができるものである。この押し出された第1縦桟23、及び複数の第1横桟15は、図4に示すように、開状態となり、その開状態で第1係止機構27によって保持される。
この第1押出しバネ50の基端部は、図8に示すように、支柱部13が有している結合壁部13bの左側面にボルト52で取り付けられ、その先端部が第1横桟15の側面を左外側に押し出す方向に付勢している。
図8は、第1縦桟23、及び複数の第1横桟15が折り畳まれて第1収容部48内に収容され、第1縦桟23の上端部に設けられている第1被係合部38が第1係合部材36に係合している。これによって、第1縦桟23、及び複数の第1横桟15の折畳み状態が保持されている。従って、図9に示すように、避難者が、操作部46を下方に押圧する操作をすると、第1被係合部38が第1係合部材36から外れることとなり、これら第1縦桟23、及び複数の第1横桟15は、第1押出しバネ50によって第1収容部48から左外側に押し出されて開状態となる。
また、第2押出しバネ51は、第1押出しバネ50と同様に、図8に示すように、屈曲形成された板バネであり、折り畳まれて第2収容部49に収容されている第2縦桟24、及び複数の第2横桟16を、この第2収容部49から右外側に押し出すことができるものである。この押し出された第2縦桟24、及び複数の第2横桟16は、図4に示すように、開状態となり、その開状態で第2係止機構28によって保持される。
そして、この第2押出しバネ51の基端部は、図8に示すように、支柱部13が有している結合壁部13bの右側面にボルト52で取り付けられ、その先端部が第2横桟16の側面を右外側に押し出す方向に付勢している。これ以外は、第1押出しバネ50と同様に作用するので、その説明を省略する。
また、図4及び図5に示すように、第1及び第2縦桟23、24のそれぞれの上端部の左右の各外側面には、第1把手53、及び第2把手54が取り付けられている。これら第1及び第2把手53、54によると、使用者は、これら第1及び第2把手53、54を手で掴んで、図4に示す開位置にある第1及び第2縦桟23、24、並びに複数の第1及び第2横桟15、16を、極めて簡単に図5に示す折畳み位置に揺動移動させることができる。
次に、上記のように構成された避難梯子11の作用を説明する。今、避難梯子11は、図3に示すように、支柱部13の左右両側に設けられている第1縦桟23、及び複数の第1横桟15、並びに第2縦桟24、及び複数の第2横桟16が折り畳まれた状態(折畳み位置にある状態)となっている。次に、避難者がこの避難梯子11を使用するときは、まず、図3に示す作動機構29の操作部46を下方に向かって押圧する。このように、避難者が、操作部46に対して1つの押圧操作をすることによって、折畳み位置に係止されている複数の第1及び第2横桟15、16の係止状態を解除することができる。
これによって、図1及び図2に示すように、第1及び第2縦桟23、24、並びに複数の第1及び第2横桟15、16は、自動的に自重によって下側方向に揺動移動して、複数の第1及び第2横桟15、16が、支柱部13に対して略直交する開位置(略水平位置)に揺動移動する。そして、第1及び第2係止機構27、28は、複数の第1横桟15及び複数の第2横桟16を、この開位置に係止することができ、避難者は、この避難梯子11を梯子として使用して避難することができる。
このように、図1に示す避難梯子11によると、高齢者、女性、及び子供等の避難者であっても、この複数の第1及び第2横桟15、16を、自動的に開位置に迅速、簡単に揺動移動させることができ、この避難梯子11を使用して迅速に避難することができる。
次に、図8及び図9を参照して、作動機構29を説明する。図8は、この避難梯子11が折り畳まれた状態を示しており、支柱部13に設けられている第1係合部材36(及び第2係合部材37)の第1係合凹部36a(及び第2係合凹部37a)が、第1縦桟23(及び第2縦桟24)の上端部に設けられている第1被係合部38(及び第2被係合部39)に係合して、複数の第1横桟15及び第1縦桟23(及び複数の第2横桟16及び第2縦桟24)が、開位置に揺動移動しないように係止している状態を示している。
このとき、第1付勢部44(及び第2付勢部45)が、第1係合部材36の第1係合凹部36a(及び第2係合部材37の第2係合凹部37a)が第1被係合部38(及び第2被係合部39)に係合する方向(下方向)にこの第1係合部材36(及び第2係合部材37)を付勢しているので、第1被係合部38(及び第2被係合部39)が第1係合部材36(及び第2係合部材37)から外れないようにすることができる。
よって、この避難梯子11の上位階側の上端部に設けられている操作部46を操作しない限り、折り畳まれた状態の避難梯子11を開状態にすることができないようになっている。従って、下位階の侵入者は、折り畳まれた状態の避難梯子11を開状態にすることができず、上位階に侵入することができない。
次に、図9に示すように、避難者が、操作部46を第1及び第2付勢部44、45の付勢力に抗して下方に押圧操作すると、第1係合部材36が第1枢支部40を中心にして時計方向に所定角度だけ回動して、第1係合凹部36aと第1被係合部38との係合状態を解除することができると共に、これと同時に、第2係合部材37が第2枢支部41を中心にして反時計方向に所定角度だけ回動して、第2係合凹部37aと第2被係合部39との係合状態を解除することができる
つまり、避難者が、図9に示すように、操作部46に対して1つの押圧操作を行なうことによって、第1係合部材36と第1被係合部38との係合、及び第2係合部材37と第2被係合部39との係合を、略同時に解除することができる。これによって、上昇位置にある第1及び第2縦桟23、24が、それらの自重によって自動的に所定の下降位置に下降移動する。その結果、複数の第1及び第2横桟15、16は、開位置に揺動移動した状態となり、避難者は、短時間でこの避難梯子11を使用可能状態にすることができる。よって、高齢者、女性、及び子供等の避難者であっても、この避難梯子11を短時間で簡単に、しかも小さい力で使用できる状態にすることができ、避難時間の短縮を図ることができる。
また、図9に示すように、避難者が、操作部46を押圧操作すると、第1被係合部38(、第2被係合部39)が第1係合部材36の第1係合凹部36a(、第2係合部材37の第2係合凹部37a)から外れるが、第1係合部材36(、第2係合部材37)は、第1被係合部38(、第2被係合部39)と係合する係合位置で、その他端36b(、37b)が第2枢支部41(、第1枢支部40)と当接しており、第1付勢部44(、第2付勢部45)によって付勢されてその付勢方向にそれ以上に揺動しないように係止されている。
つまり、次に、複数の第1横桟15(、複数の第2横桟16)が折畳み位置に揺動移動したときに、支柱部13に設けられている第1係合部材36(、第2係合部材37)は、第1縦桟23(、第2縦桟24)に設けられている第1被係合部38(、第2被係合部39)に係合することができる状態となっており、この第1被係合部38(、第2被係合部39)に確実に係合することができる。
なお、図8に示すように、第1係合部材36(、第2係合部材37)の先端部下縁は、傾斜縁部として形成され、第1被係合部38(、第2被係合部39)が折畳み位置に移動するときに、第1被係合部38(、第2被係合部39)が、この傾斜縁部に当接して第1係合部材36(、第2係合部材37)の先端部を押し上げて第1係合凹部36a(、第2係合凹部37a)に係合できるようになっている。
次に、避難梯子11を使用しないときは、例えば利用者が、図1に示す第1及び第2縦桟23、24を上側方向に揺動移動させることによって、複数の第1及び第2横桟15、16を、支柱部13に対して平行する側に折り畳まれる折畳み位置に揺動移動させることができ、この状態で、第1及び第2縦桟23、24が作動機構29によって係止される(図3参照)。
図5は、第1横桟15が折畳み位置にある状態となっており、第1縦桟23及び複数の第1横桟15が第1収容部48に収容されている。そして、第2横桟16も折畳み位置にある状態であり、第2縦桟24及び複数の第2横桟16が第2収容部49に収容されている。これによって、第1及び第2横桟15、16を折り畳んだ状態で、複数の第1及び第2横桟15、16、並びに第1及び第2縦桟23、24が、第1及び第2収容部48、49に収容されて外側から見え難くすることができ、この避難梯子11が、縦方向に設置された1本の支柱として見えるようにすることができる(図3参照)。従って、この避難梯子11の美観の向上を図ることができ、避難梯子11が設置されている建物の美観を損なわないようにすることができる。
そして、図5に示すように、第1及び第2横桟15、16を折り畳んだ状態で、複数の第1及び第2横桟15、16、並びに第1及び第2縦桟23、24が、第1及び第2収容部48、49に収容されており、しかも、作動機構29を支柱部13の上端部に設けてあり、下位階で作動機構29を操作できないようにしていることによって、不審者が、この避難梯子11を利用して下位階から上位階に侵入することを防止することができる。
更に、図8に示すように、複数の第1及び第2横桟15、16が折畳み位置に係止されている状態で、避難者が、図9に示すように、作動機構29を押圧操作してその両方の係止状態を解除すると、第1押出しバネ50が、第1収容部48に収容されている第1縦桟23及び複数の第1横桟15を第1収容部48から左外側に押し出すことができ、そしてこれと同時に、第2押出しバネ51が、第2収容部49に収容されている第2縦桟24及び複数の第2横桟16を第2収容部49から右外側に押し出すことができる。これによって、折り畳まれた状態の複数の第1及び第2横桟15、16の両方を、すばやく、しかも確実に開位置に揺動移動させて使用できる状態にすることができる。
そして、図1及び図2に示すように、支柱部13には、複数の第1及び第2横桟15、16、並びに第1及び第2縦桟23、24が設けられており、この支柱部13の上端部及び下端部を上位階及び下位階の各床12に固定して取り付けることによって、避難者がこの避難梯子11を使用するときに、梯子11が揺れないので、安全で迅速に避難することができる。
また、図1に示すように、支柱部13の左右の各側部に、複数の第1横桟15、及び複数の第2横桟16が設けられているので、第1及び第2横桟15、16のそれぞれの長さを必要に応じて短くしても、この第1及び第2横桟15、16が開位置にある状態で、第1及び第2横桟15、16の合計の横幅を避難者が安全に上り下りできる寸法に形成することができる。
なお、このように、第1及び第2横桟15、16のそれぞれの長さを必要に応じて短くする理由は、横桟を開いた状態で、上下の横桟の間隔が狭くなるようにして、高齢者、女性、及び子供でも安全に上り下りできるようにすると共に、横桟を折り畳んだ状態で、上下の横桟が互いに重なり合わないようにするためである。
更に、図1に示すように、複数の第1横桟15は、互いに所定の間隔を隔てて配置され、それぞれの一端部が支柱部13に対して枢支部25を介して揺動自在に連結すると共に、それぞれの他端部が第1縦桟23に対して枢支部26を介して揺動自在に連結している。そして、複数のそれぞれの第1横桟15の枢支部25、26間の距離は、同一となるように形成されている。
そして、複数の第2横桟16も、互いに所定の間隔を隔てて配置され、それぞれの一端部が支柱部13に対して枢支部25を介して揺動自在に連結すると共に、それぞれの他端部が第2縦桟24に対して枢支部26を介して揺動自在に連結している。そして、複数のそれぞれの第2横桟16の枢支部25、26間の距離は、同一となるように形成されている。
このようにすると、第1及び第2縦桟23、24を、支柱部13に対して略平行する状態で、揺動移動させることができる構成とすることができ、複数の第1及び第2横桟15、16を、スムースに折畳み位置と開位置との間で揺動移動させることができる。
また、図1に示すように、複数の各第1横桟15及び複数の各第2横桟16は、支柱部13を基準にして略左右対称位置に設けられているので、避難者が上り下りのし易い梯子を提供することができる。
ただし、上記実施形態では、図9に示すように、作動機構29を支柱部13の上端部に設けたが、作動機構29をこれ以外の箇所、例えば支柱部13の下端部に設けてもよい。このように、作動機構を支柱部13の下端部に設ける場合は、例えば操作部を支柱部13の前面に配置して、操作部を下側方向にスライド移動させることによって、第1及び第2係合部材36、37の第1及び第2被係合部38、39に対する係合状態を解除できるようにするとよい。